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1954-03-31 第19回国会 衆議院 労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十一日(水曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 池田  清君 理事 丹羽喬四郎君    理事 持永 義夫君 理事 稻葉  修君    理事 多賀谷真稔君 理事 井堀 敏雄君       黒澤 幸一君    島上善五郎君       大西 正道君    日野 吉夫君       矢尾喜三郎君    中原 健次君  出席政府委員         労働政務次官  安井  謙君         労働事務官         (労政局長)  中西  實君  委員外出席者         議     員 青野 武一君         議     員 楯 兼次郎君         議     員 山口丈太郎君         議     員 館  俊三君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      山内 隆一君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道監         察役      山田 明吉君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  井上 正忠君         日本国有鉄道参         事         (職員局労働課         長)      中畑 三郎君         日本国有鉄道参         与         (厚生局長)  吾孫子 豊君         日本国有鉄道参         与         (天王寺鉄道管         理局長)    西阪 文雄君         日本国有鉄道参         与         (四国鉄道管理         局長)     間瀬孝次郎君         参  考  人 相田 一男君         参  考  人 青山 義一君         参  考  人 岩井  章君         参  考  人 歌崎 藤作君         参  考  人 佐藤光司郎君         参  考  人 出口  昇君         参  考  人 横手 眞夫君         参  考  人         (関東特需労協         議長)     坂本  登君         専  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 三月二十五日  委員松田竹千代辞任につき、その補欠として  山村新治郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員大橋武夫辞任につき、その補欠として  増田甲子七君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員増田甲子七君及び佐藤芳男辞任につき、  その補欠として大橋武夫君及び中野四郎君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十六日  労働基準行政地方移譲反対陳情書  (第二四五三号)  同  (第二四五四号)  労働基準行政地方移譲並びに人員整理に関す  る陳情書  (第二四五五  号)  同  (第二四五六号)  労働基準法改正に関する陳情書  (第二四五七号)  失業対策事業国県営施行に関する陳情書  (第二四五八号) 同月二十七日  労働基準行政地方移譲反対陳情書  (第二五二八号)  労働基準行政地方移譲並びに人員整理に関す  る陳情書  (第二五二九号)  同  (第二五三〇号)  同(  第二五八二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  仲裁裁定実施に関する件  特需関係労務に関する件     ―――――――――――――
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き仲裁裁定実施をめぐる紛争問題について調査を進めます。  本問題につきまして、歌崎藤作君、横手眞夫君佐藤光司郎君、青山義一君、出口昇君及び相田一男君以上六名の方々が御出席になつております。  なお本問題につきまして、前会同様委員外の楯兼次郎青野武一君、山口丈太郎君、館俊三君より、それぞれ発言を求められておりますので、これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければさよう決します。  なお委員諸君の御了承を得ておきたいと思うのでございますが、本日はMSAに関する法案が上程されますので、本委員会は二時ごろまでしかやれないのではないかと思われますが、今日は天王寺局の問題と新潟局の問題、この二点の調査を今日中に終りたいと考えておりますから、御協力をお願いいたします。なお、左右社会党から、他の問題につきまして質疑及び調査要求等もございますが、これは本委員会が終りました後に、理事会を開きまして、その理事会におきまして委員会運営についてお打合せをしたい、こういうように考えておりますから御了承願います。それでは質疑を許します。楯兼次郎右
  4. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 前回の委員会におきまして、天王寺の主として組合側説明をお聞きいたしたのであります。そして当局に対しましてこれらに対する実情をお伺いしたのでありますが、当時、人王寺管理局関係者の方がお見えにはらないで、詳細なる説明を聞くことができませんでした。私どもは当初の委員会において、今次行われました処分は、最高の決定を行つたのは総裁であるということを、再三お聞きしたのでありまして、当然天王寺に関する処分理由につきましても、国鉄の本庁において詳細御承知なければならないと思うのでありますが、この点につきまして、当時詳細な報告がなかつたと、いう点につきましては、われわれの非常に遺憾とするところであります。本日天王寺関係の方がお見えになつておると考えますので、以下二、三の点につきましてお聞きしたいと思います。  私ども天王寺のこの処分理由についてお聞きいたしましたのは、一般的に公労法十七条によります処分、それから特に天王寺特殊事情といいますか、これが起つた二、三の理由をあげておられるわけであります。私は公労法の一般的なこの問題につきましては、後日に譲ることといたしまして、大王寺特殊事情について二点お伺いしたいと思います。大体天王寺で起つております問題の特殊事情といたしましては、山田客貨車区のいわゆる暴行事件、それから電車運転休止の二点が強調されておりますので、最初に客貨車区の暴行事件について、当局側から御説明をお願いしたい、このように考えております。
  5. 西阪文雄

    西阪説明員 山田客貨車区におきましては、年末闘争の際、十割休暇闘争実施されまして、そのときに管内からかなりの数の職員ピケラインを張りまして、組合職員の職場に入ることを阻止いたしておつたのでありますが、その際中央において話合いがついたという情報が到達いたしまして、組合責任の方から。ピケラインを解いて他の適当な箇所に組合員は集結していただきたいという意味の放送が行われました。そして大部分の組合の方はその方に集結されたのでありましたが、その際、鳳の電車区から山田客貨車区に参つておりました大体四十名くらいかと思われますかの人たちは、集団をなしまして山田客貨車区の周囲示威運動をしてまわつたわけであります。そのときに、その力をもつて客貨車区のガラスあるいははめ板を破壊いたしました事件がございました。そうした集団的な示威運動が行われましたことによつて客貨車区の本区におきます業務の正常な運営がその間中行われ得なかつたこと、並びにそのために客貨車区の本区の周囲における作業の正常な運営が行われ得なかつたのでございます。しかもこの示威運動は、ただいま申し上げましたように、年末闘争一つといたしましての山田客貨車区における十割休暇闘争の一環として行われましたので私たちといたしましては、公労法第十七条に違反する行為であると考えまして処分の事由に掲上いたしたような次第でございます。
  6. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 十七条の問題はあとに譲りまして、理由書の中に建物損壊事故を惹起したということが載つておりますので、それを聞きたいと思います。ただいまガラスはめ板破損、こういうことをおつしやいましたが、一体ガラスはどれだけ破損をし、はめ板はどの程度にいたんだのか、この二点をお聞きしたいと思います。
  7. 西阪文雄

    西阪説明員 窓ガラスが四枚破損いたしました。また側板が二箇所破損いたしました。そのほか、くつで側板をけりました跡は、多数痕跡を残しておる次第でございます。
  8. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 ガラス四枚と、はめ板二箇所の損害が、処分の大きな理由一つになつておるわけでありますが、この当不当につきましては、またあとでやりたいと思います。従つてお聞きしたいのは、平田吉田両君が、この損壊事故に対してどういう役割を演じたか、この人たちがそれをこわしたのか、どういう立場にあるのか、御説明願いたいと思います。
  9. 西阪文雄

    西阪説明員 平田君は、この示威運動先頭に立ちまして、示威運動を率いておられたことは確認されております。また吉田君は、示威運動の中にあつて示威運動の一員として加わつて行為をしておられたことが確認されております。またもう一つは、この鳳電車区の人々による示威運動は、鳳分会責任ある吉田君並びに平田君の御両人の統率指揮によつて行われたものと、当方では認めておる次第であります。
  10. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 どうも回答が私の御質問申し上げるのとぴつたりいたしておりません。組合側説明では、千名くらいの方が当日集まつた、こういうことが言われておるわけでありますが、その中におつた、あるいは先頭に立たれたということでは、この損壊事故に対する責任者だとは、私は言えないと思います。またこれに参集されました各分会からの責任者は、この両名以外にもたくさんある。私は当局損壊事故に対する吉田平田両君行為に対する認識が、きわめてあいまいであるという点を指摘をせざるを得ません。はつきりとガラス破損はめ板破損を両人が行つたかどうかという点について、もう一回私はお聞きしたいと思いますが、当人がやつたのではない、あるいはやつたのである、このどちらかについてお答えを願いたいと思います。
  11. 西阪文雄

    西阪説明員 四十名ばかりの多数の人が示威運動を行いまして、その人たち行動が原因でガラスが破壊され、またはめ板破損された等の事故が起つておるのでございまして、実を申しますと、四十人ばかりの人でありまして、どの人ガラスを破壊し、どの人の足ではめ板がけられたかは、はなはだ確認がむずかしい問題でございまして、目下なお調査はいたしておりますが、吉田君並びに平田君がガラスを破壊し、または再君がはめ板を破壊いたしたという確かな証拠は、目下のところは確認いたしておらない次第でございます。
  12. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 どうも処分根拠なつ損壊事故に対する当人役割の判定について、きわめてあいまいであるということを私は遺憾に思います。  次にお聞きいたしたいと思いますが、この事件について山田市警に告訴された、こういうようなことをお聞きしたのでありますが、その後の取扱いはどうなつておるか、御説明願いたい。
  13. 西阪文雄

    西阪説明員 建物管理責任者であります山田客貨車区長から、損壊事故につきまして山田市警に告訴いたしております。市警におきましては告訴を受理されまして、その後私たちの方にはいかなる結論に達しましたか、連絡を受けておりませんのが現状でございます。
  14. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 それで次にお聞きをしたいのでありますがこの処分の有力なる根拠となつております列車の二本の運休であります。この前の委員会において組合側の話を聞きますと、私はこの列車運休については、あなた方の責任ではないか、そういう感じがするわけであります。と言いますのは、当時十一月の十一日にダイヤ改正が行われた。ほかの区におきましては、すでにダイヤ改正にあわせましてそれぞれ乗務員行路というものが変更をされておつた。ところが当鳳電車区でありますか、ここはこのダイヤ改正変更による乗務行路変更ということが行われておらなかつた、しかも人が不足をする。それでその人の充足方について、組合とあなた方とが団体交渉を持たれておるうちに、いわゆる中闘の指令によつてああした運動が行われた。しかも超過勤務をするところの三十六条協定破棄されたというふうに、私どもは承知いたしております。従つて、それらから来る要員不足によつて運転休止が行われた。しかもこれを裏づけるがごとく、十二月の二十四日であつたと記憶いたしておりますが、あなた方は人員不足一名を補充をされている、こういう説明があつたわけでありますが、これもずつと私どもがお聞きいたしますと、何ら両名に対するところの処分理由にならない。あなた方自体が、人の足らないということを認められて補充をされている。にもかかわらず、有力な処分理由となつているという点については、われわれ委員といたしましては納得いたしかねる。この点について、あなた方はどういうお考えをお持ちになつているか、ひとつ簡略に御説明願いたいと思います。
  15. 西阪文雄

    西阪説明員 もともと申しますと、この電車は七月一日から運行いたしておりました電車でございます。そうして十一月一日にダイヤ改正いたしまして、電車の種類を定期電車とする、こういうことにいたしておりました性格電車でございます。さてその乗務につきましては、十一月一日から定期ダイヤになることによつて乗務員交番改正をする必要がございましたので、その約二十日ほど前に、鳳の電車区長の方から、交番をこういうように改正いたしたいという内容を、組合の方にお示しして話合いをいたしておつたのであります。この話合い性格は、成規団体交渉ではございませんで、乗務員交番を制定いたすにつきましては、乗る人たち意見をもよくくみ入れて、そうして区長側と乗る人たちの側との、できるだけ円満な意見の一致によつて実行いたしたいという心づもりから、いたしておる性格話合いでございます。それで本来用いられております言葉による団体交渉ではないのでありますが、とにかくそうした話合いを進めておりまして、十一月十一日に定期ダイヤ改正をいたしまして、事なく十九日までその仕業通り行われて来ておつたのでございます。  それからもう一つは、要員不足かどうかという問題でございますが、電車乗務員につきましては、勤務時間の規定がございまして、その勤務時間の規定の範囲内の時間で乗務していただく限りは、要員不足を来さないのでございまして、このときにおきましても、交番定期作業あるいは臨時作業その他を含めまして、鳳の電車区の乗務員に対しましては、時間が超過し、そのために要員補充しなければならない状態ではなかつたのであります。従つて要員不足という状態ではございませんでした。  それからもう一つは、一名補充の問題でございますが、これは長期欠勤いたしている者がございまして、そのために副運転士と申しまして、運転士資格は持つておりますが、この前の定員改正関係上、副運転士という名目にいたしまして、運転以外の仕事にも従事させるようにいたしておきました。その副運転士運転士欠員ができましたために、十二月の末に運転士になつたのでございまして、これは要員欠員補充したとは申しましても、実際数が不足しておつたの補充したのではございませんで、副運転士という同じく電車運転し得る資格のある者の名前を変更いたしたような次第でございます。  それから三十六条協定破棄の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、電車運転士としては、何時間の勤務をするということに規定ができておりまして、その時間内に勤務していただく限りは、勤務時間外の乗務勤務とはなりませんで、この場合には定められておる時間内の勤務仕事が足りておりますので、三十六条とは関係がないのでございます。
  16. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 今言われました長期欠勤者があつたから補充した。その長期欠勤者は、いつからいつまで休んでおつたかということをお聞きしたい。それからそのあとで、組合側から、今の当局の解釈は間違えていないかどうか、その点もお聞きしたい。
  17. 西阪文雄

    西阪説明員 長期欠勤者がいつから欠勤に入りましたか、実は資料を持つて参りませんので、後刻取調べたいと思います。  それから補充いたしましたのは、さつき申し上げましたように副運転士から運転士にいたしましたので、これは十二月の末でございまして、本件が起りましたのは十一月二十日でございます。時間的な関係は、さようなことになつております。
  18. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 長期欠勤者ですが、調査をしなければわからない、こういうことをおつしやいますが、私は非常に不満であります。しかし、調べなければわからないというならば、今ここでしつこく追究はいたしませんけれども、それでは、この問題の起きた当時に補充をすべき長期欠勤者があつたかどうかということをお聞きしたい。
  19. 西阪文雄

    西阪説明員 長期欠勤者がございますと、予備員を持つておりますので、予備員でその仕事補充さしておりますから、長期欠勤者がありましたがゆえに、すぐに超過勤務をいたすというような状態にはないのでございます。
  20. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私の御質問申し上げておることの答弁になつておらない。この問題の起きたときに、その人は長期欠勤取扱いを受けておつたかどうか、長期欠勤者があつたかどうかということをお聞きしておるわけです。あなたは、いつからいつまで休んだかわからないとおつしやいますので、問題はこの事件の起きたときに関係がありますから、当時長期欠勤者があつたかどうかということだけお答え願えばけつこうであります。
  21. 西阪文雄

    西阪説明員 その当時欠勤者がございました。
  22. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 それでは組合側にこの間についての模様をお聞きしたいと思います。
  23. 出口昇

    出口参考人 この間も大体の御説明を申し上げたのでありますが、当時、前段の点については、大体同様であります。問題のありますのは、新交番変更されたことも、当局団体交渉でない、こういうことをおつしやつておるのでありますが、団体交渉でないにしても、交番変更されたにもかかわらず、従来通り交番によつて――これは記憶しておりますところでは確かに十二月の三十日まで旧交番のままで列車運営をされておつた従つて十一月十一日から十九日あるいは十二月三十日までの間においては、前記の列車については臨時電車として運行されておつたのであります。従つてこの内容の中において、当時組合側から四名なり五名の人間をよこせという要求当局へ出しておつた模様であります。しかしながら、当局の賃料を当時検討いたしました際に、〇・四の人員が従来の労働条件よりもオーバーする、こういうことが言われておつたのであります。従つて〇・四の労働オーバーとなることは――一々その日の超勤については、超勤とならないが、長い間とにかくダイヤ改正をされる以前の場合においては、〇・四だけの労働強化になることは、だれが見ても統計的に明らかであります。従つてそういうことになりますと、当時組合としても、当然労働者労働条件の向上のために当局団体交渉なり交渉を行うのでありますから当然問題になつたところであります。従つてこの問題が、三十六条協定破棄という形の中において、〇・四という人間をよこすということがこの場合に前提となつておれば、こういう不詳事故は起つておらないと私は考えておるわけであります。  それから、これはちよつとはずれますが、先ほどの山田の場合において、ガラスが四枚割れました。これはここにも領収書がありますが、当時組合から二百十円で中西というガラス屋から買い、弁償いたしております。従つて、当日も申し上げましたが、これは鳳電車区だけではなくて、当時奈良なりあるいは和歌山の一部の人たちがこのデモ隊の中におる。直接指揮系統ということになりますと、鳳電車区だけの分会長組織責任者ということになると、問題のあるところであろうと思います。従つてわれわれといたしましては、当時鳳の電車区初め、奈良和歌山等人々が、山田客貨車区のぐるりを、昼の一時ごろから断続的にぐるぐるまわつて示威行動をやつてつたということでありまして、その最後にやつたのが、この今責任をとつておるところの集団暴行事件といわれる、このデモ行動であるということであります。
  24. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私がお聞きしたがつたのは、この二点であります。これが天王寺管理局における解雇理由の主要なる根処になつております。今お話を聞きますと、非常にあいまいである。ガラス四枚、はめ板の二箇所がいたんだので、これを解雇理由に取上げるということも、私はどうかと思いますし、また当人が直接これに手を下したということならば、まだあなた方の筋も通ると思いますが、それもありません。判別が困難であるというような御説明であります。それから次の列車運休の有力な根処になつておりますこの問題につきましても、今説明を聞きますと、あとの一名の補充は、長期欠勤者補充をしたということを言われておりますが、当時やはり欠勤者があつた。しかも、これは天王寺管理局以外の管理局もそうでありますが、列車遅延というようなことを、あなた方は盛んに言われておりますけれども、いわゆる人が足りない。三十六条で超過勤務をしておる。それが組合運動によつて破棄をされておる。そのために列車遅延をしておるという列車遅延に対します根処というものが隠されておる。こういうふうに過日来の委員会を経験をいたしまして、私は痛感をいたしておるわけであります。そこで当局がなされました解雇理由に対するあなた方の答弁では、われわれ委員としては、両名の解雇に値するとは考えません。何とかひとつ私はこれらに対します問題の再調査をするなりもう一回当局で御検討を願つて処置をしてもらわなければ困ると思います。この問題につきましては、総括をいたしまして次の委員会で私申し上げたいと思いますので、天王寺に関しまする私の質問はこれで打切りたいと思います。
  25. 赤松勇

    赤松委員長 この際お諮りいたします。天王寺関係につきましての実情調査についてはこの程度にして、続いて新潟鉄道局に移りたいと思いますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければさよう決定いたします。それでは間瀬説明員から、当時の実情について御説明を願います。間瀬説明員
  27. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 新潟といたしましては、年末闘争責任者といたしまして、相田一男君、大瀧君の御両名を、公労法第十八条により解雇処分をいたしました。その理由は、解雇理由書にある通りでございまして、その一つは全般的な問題でございます。第二の新津における問題、これが新潟として特殊な問題でございますので、特にこれを重点にして御説明申し上げたいと思います。  新津における闘争行為は、十二月一日、二日と二日間にわたつて行われました。特に十二月一日の分が非常に重要な点でございまして、まず第一番に御説明申し上げたいと思います。十一月三十日午後、相田君と大瀧君と神谷君と五名が総務部長に会見をいたしました。そして新津車掌区で三割休暇実施をする、貨物列車運転休止を対象とするという申入れがありました。私の方といたしましては、総務部長から、そういうことは極力やめていただきたいという勧告をいたしております。それから同日の十六時五十分に、箱岩君と佐藤君と風間君が、新津車掌区長に対して三十七名の休暇一括承認申入れをされております。区長はこれを拒否をいたしました。  話はちよつと前後いたしますが、事態が非常に憂慮されるかつこうになつて参りましたので、三十日に、私は、職員の自重を要望する訓示を全管内に出しております。  十二月一日朝八時五十五分でありますが、相田大瀧君が車掌区長に面会をいたしまして、三割休暇をやるという通告を行われております。区長はこれの拒否をいたしております。十時二十分ごろから組合員がだんだん集まつて参りまして、車掌区の表口、裏口に対してピケを張りました。組合の方では、車掌区に対しましては、通行証を発行いたしまして、これで出入の許可をいたしておりました。通行証のないものは、車掌区に入れないという形をとつたのであります。十時四十分に総決起大会を新津の駅前の広場で行いまして、そのとき、大体千名から千百名くらいの人が集まつてつたように報告を受けております。私の方といたしましては、車掌区の出入りが非常にむずかしくなつておりますので、臨時に点呼場を新津の駅長事務室に設けて、そこに車掌区の助役を置いて、車掌区に入れないけれども、出勤して来て乗務の意思のある車掌に対しては点呼を行いました。なお、これによつて列車が相当に影響を受ける可能性も考えられますので、非組合員車掌経験者を動員いたしまして、万端の手はずを整えて、輸送の確保をはかつた次第でございます。  まず第一番に対象になりました列車は、二六四列車――盤越西線の列車でございます。新津は非常に広い構内でございまして、たくさんの着発線がございますが、南二番線へのすえつけが十時五十五分に終つております。予定通り行けば、定時に発車できる状態でございます。この当時、車掌は前に出て参つておりまして、この乗務車掌は、内部の点検と整理を全部済ましておりました。十一時十五分ごろに五十名くらいのピケ隊が参りまして、車掌乗務を押えまして、緩急車にピケを張りました。また十一時二十五分ごろにさらに五十名程度増員されて参り、そこで発車をしようとしてタブレットを持つて参りますと――その直前に、初めは大体十四、五名の人が機関車の前頭にまわつて、機関車の前頭にピケを張つたのでございます。それで車掌の方も、緩急車を抑えられて乗務できませんし、機関車の前頭の方もピケを張られました。しかし、この区間は車掌乗務省略を認められておる線区でございますので、車掌乗務省略で出す準備をいたして、発車合図をいたしました。しかし前頭にピケを張つている人たちがのきませんので、そのままわずかに動くか動かない程度でとまつてしまいました。いろいろその間にごたごたがございまして、十二時三十分に、話がつきませんので、一応運休手配ということにいたしまして、機関車をはずしました。十三時三十分に、またその列車を臨貨として、九二四六として運転しようとしたのでありますが、やはり前の場合と同様に、機関車の前頭にピケを張られてしまいまして、再び十三時四十分に運転を断念せざるを得ないかつこうになつてしまつたのでございます。  この事態の起る少し前、十一時半ちよつと前ごろでございますが、大瀧君と上田君とが参りまして総務部長に会見し、現地においてこれこれを運休列車の対象にするという通告を受けております。このときにも、総務部長は、こういうことはやめてもらえないかということを極力勧告いたしております。それと同時に、この事態が起きたことを、総務部長は私のところへ――私は局にいて、中央との連絡その他に当つていたのでございますが、通告が参りまして、非常に事重大でございますので、ただちに本庁の職員局長に連絡をいたしまして、ひとつ中央において、こういうことはやめてもらうように話をしてもらいたいと要請をいたしました。それ以外の列車で、こういうかつこうになつて運休せざるを得なくなりましたのは、四七一列車、七七六列車、六六三列車が出ておりますから、合計五箇列車が、車掌乗務を押えられたことによるのと、機関車の前頭にピケを張られたという、このどちらかの理由運転休止をせざるを得ない状態になりました。  なお当日、新津においてこういう紛争が起つておりますので、そういう点を考えまして、当局の手配の結果運転休止のやむなきに至りました列車が、九七五六、九五六二、九七五三の三箇列車ありました。また途中打切り――これは一つの操車場が特に混雑するか、あるいは混雑を予想されます場合に、その近くに貨物列車をどんどんつつ込んで参りますと、非常に輸送のあとのさばきが困難になりますので、これを広い範囲にばらまくために途中打切りをやります。これが六本の貨物列車の途中打切りが行われております。なお旅客列車二本、貨物列車四本が、九分から百十五分程度遅延を生じたというのが、そのときの状態でございました。  当方といたしましては、十四時に総務部長が現地で組合に対して、こういうことはひとつやめてもらいたいということを再度要請をしております。これは口頭で申し入れております。なお十五時五分にさらにそういう口頭申入れを書面にして組合の方に申入れをいたしております。この間にいろいろ話の交換がございまして、組合の方として列車のピケを解きましたのが、十五時三十九分であります。まは十六時三十分に車掌区のピケを解いて、十七時四十五分に解散をいたしております。そこで私は再びこういう事態の起きないように、また再び職員に告ぐということで、訓示を出して自重を促した次第でございます。  次に、二日の分につきましては、一日の十二時五十五分に車掌区長のところへ相田君と佐藤君がやつて参りまして、五十四名の休暇申入れをいたしております。区長はこれを拒否いたしております。十二月の二日になりまして、七時五十五分に新津の駅長室で総務部長から、再び組合に、前日のようなことはやめてもらいたいという勧告を口頭でいたしております。九時三十分に、駅前で組合の大会がまた開かれました。このときは約八百名程度組合員が集まつていたと報告を受けております。十時二十分に当局から再び口頭によつて、ひとつきのうのような事態を起さないようにしてもらいたいという勧告をしておりますが、当局といたしましては、輸送の確保をいたしますために助勤手配その他前日と同様な手配をいたしておりました。ただ三日の日には、当局の助勤手配をいたしました車掌につきましては、一箇列車だけ少し紛争がございましたが、大体大した妨害はなくて、車掌は一箇列車だけを除きまして乗車をして出ることができたような状態でございます。ただ貨物列車が二本ほど遅延をいたしました。  以上が新津において二日間にわたつて行われました紛争の概要でございます。
  28. 赤松勇

    赤松委員長 次に相田参考人の発言を許します。相田参考人。
  29. 相田一男

    相田参考人 お手元に資料を差上げてあるはずでございますので、これを一応ごらんになりながら、私の説明をお聞き取り願いたいと思います。  今、前新潟鉄道管理局長の間瀬孝次郎氏がいろいろ事情を説明されました。しかしながら、その中において非常に事実と相違している点があるし、非常に重要な点をおおい隠していることが明らかになつております。その問題について、私はただいまから当時の内容を具体的に御説明申し上げたいと思います。  この資料にありますように、あるいはまた間瀬局長が言われましたように、遵法闘争とかあるいは休暇闘争というものを、国鉄の労働組合が全国にわたつて実施をしたことにつきまして、特殊な問題として、新津駅構内に十二月一日に事件が発生した、従つてこの内容についてだけ事実を正しく述べるということを前提とされましたが、私もこの点が当局が一番重く見た点であろうと思いますので、この点にだけ重点を置いて、説明を申し上げたいと思います。  資料の二番に「十二月一日の事実それに至る背景は次のようなものであつた」と書いてありますが、その内容説明申し上げますと、十一月三十日午後四時ごろ組合側は地方当局に対して、中闘の指令によつて新津車掌区の組合員に対して三日間に一日ずつ休暇をとつてもらうことになつた、従つてそのことを通告をするということを総務部長、労働課長に申入れを行いました。同時に、現地の新津車掌区においては、個人名を明らかにいたしました休暇請求書を車掌区長に対して請求をいたしております。それで私たち休暇は、十二月一日から三日間にわたつてとるということになつておりましたが、私たちは、やはりいろいろな紛争を避け、しかも列車の運行を、十分にとは行かないまでも、重要列車はどうしても確保して行かなければならない、こういう紛争を避けるという立場から、前日に申入れを行いまして、現地における混乱をできるだけ避けようと努力をいたしました。当日三十日に休暇請求をいたしました人員は、当初組合側の計画といたしましては、おおむね五十名ということであつたのであります。ところが、この資料に書いてありますように、この休暇闘争について、やはり若干当局話合いをする必要があるというので、話合いを持ちました際において、当局は、組合側は、中闘の指令でやるのだからこれはいたし方がない、しかしながら旅客と重要な貨物の列車だけはぜひとも確保したい、またふだんは不定期列車とか臨時列車、あるいはそう重要でない列車もあるわけですが、そういう重要でない列車運転休止の措置を事前にとりたい、こういうことを当局は申しておつたわけであります。それに対して組合側は、当局の考え方に対しては、組合側としても同感である。そのようにわれわれは大体想定して、組合としても一応列車の運行、あるいは車掌が休むとどういう状態になるかということは、しろうとではありませんので、大体の予想はついております。従つて最初われわれは旅客列車と重要貨物列車だけには影響を与えないように努力をしよう、こういうことを想定しておりましたので、私たち当局の考え方に賛同いたしました。従つて当初大体五十名を休ませる予定のところ、当局のいろいろな意見を聴取いたしまして、大体七名から八名、この人員を減らすことにしよう、こういうことで、われわれは最終的には、ここにありますように、四十三名の人員を休んでもらうということに決定をいたしたわけであります。この四十三名の人員は、新津車掌区の総員二百四十八名から言いますと、大体一割七分であつて、そう大きな休暇人員ではないのであります。中間の指令は、三日間に一日ずつ大体休暇をとつてもらいたい、こういう指令でありましたので、平常から行けば、一日大体三割程度の人だけが休む、いわゆる三割賜暇というかつこうになるわけであります。ところが、われわれとしては、前段に申し上げましたように、旅客列車と重要な貨物列車には、どうしても影響を与えてはいけないという、そういう大乗的な見地から、第一日目にはわずか一割七分の人員休暇をとつていただくということに決定をいたしたわけであります。  さらに組合側としては、当日いろいろな混乱なり紛争なりが起きると、後日非常に困りますので、われわれはぜひとも紛争を避けたい、こういうことから、強く申し入れましたところ、当局は、局長は行けないが、総務部長、労働課長は現地に行つて組合側と問題が起きた場合には、そのときそのとき一緒に話し合おうじやないか、そこで紛争が起きないように努力をしようじやないかということを確約をいたしております。従つて組合側としては、この休暇を請求いたします際に、一日目が非常に問題が起きる可能性がある。すなわち紛糾とかその他が出て来る可能性があります。しかしながら、一日の組合側が請求をした休暇人員を休ませれば、大体二日、三日の運転にはそう支障がないという状態が出て来るわけであります。そういう点から、一日に休ませた人間当局乗務させるというようなことになると、二日、三日には非常に困るからということを、再三申し上げておつたのであります。これは前の本委員会で、広島の方からいろいろ事情説明をいたしておりましたが、休んだ人間をひつぱり出して乗務をさせようとすると、必ず二日、三日乗務に重大な問題が起きて列車が混乱するという状態が出て来るわけであります。従つて、そういうことも当局に対してわれわれとしては分に申し上げておつたわけであります。こういうふうにわれわれは事前に、休暇に入る前の日に、こういう措置を講じ、当局と誠意をもつて話し合うという態度をとりましたので、このような状態で行けば決して紛争は起きないものであるということを確保をいたしまして、十二月一日から闘争――いわゆる休暇実施に入つたわけであります。  休暇実施については、十二月一日になりまして、大体十時ごろから闘争に入りました。普通であるならば、朝早くから闘争に入ることも必要でありましたが、朝はどうしても重要列車が多いということで、組合側としては、紳士的に大乗的な見地に立つて、できるだけ時間を遅らせて休暇に入つたわけであります。  ところが、その日になりまして、当局は一体どういう措置を講じたかと申しますと、前日両者がお互いに良心をもつて交渉をした内容を平然と破りました。破つた内容を申し上げますと、ここに書いてありますように、ピケによつて車掌区に入れない休暇請求者――われわれは説得をするという意味でピケを引きます。そうして説得に応じて帰つてつた車掌さんを、当局はかり集めて、間瀬局長が申しましたように、強引に、組合でいいますと、いわゆる職制の人たちを配置しておいて、うちに帰ろうとする車掌さんをどんどん呼びもとして、それを強引に駅長室にひつぱつてつた。駅長室でどういうことをやつたかといいますと、そこから隣の駅まで公安官をつき添わせて公安の自動車に乗せていわゆる公安官という一つの警察的な役目の人たちに監視をさせながら隣駅まで自動車をもつて運んだ、こういう態度に出ました。従つて、結論的に申し上げますと、この態度というものは、一名も休暇の請求を認めない、しかも合法的な立場に立つて休暇の請求をした車掌さんたちを、人権無視という形で、職制の力を利用し、しかも公安官まで動員して隣駅に送つたということ、合法的な立場に立つ休暇請求を一人も認めないという立場を、地方当局としてはとつたわけであります。こういう形でやつたことは、必然的にどういうことになるかと申しますと、その結果、当局は隣の駅まで車掌を輸送いたしましたので、隣の駅までの間の線路は、現実に車掌がいなくなるわけであります。そのために、ここに対しては隣駅まで車掌なしに乗せるか、あるいはまた車掌としての資格のない人――これはいわゆる運転考査というものがありまして、この考査に合格し、そうしていろいろな定められた携帯品を持たなければ、車掌としての資格がないわけであります。そういうような車掌資格を無視して、運転考査に合格をしない人たちまでも、隣駅まで車掌代理として乗せて行こうというその意図が、この公安官をもつて自動車で隣の駅まで送つたという事実の中に、はつきりとうかがわれたわけであります。さらに前日に、大体地方当局はいたし方がないという形で、紛争が起きないように運休を認めておつた列車の運行をさせるとか、あるいはまた臨貨まで運転をさせるというようなことが出て参りまして、最初から組合に対して非常に極端な挑戦的な態度で出て来たわけであります。  このようにして問題の発火点になりましたいわゆる二六四列車事件が発生をいたすわけであります。二六四列車というのは、新津から郡山の方に行く磐越西線の列車であります。この貨物列車は、入れかえ代用列車といいまして、各駅に入れかえ用貨車をつけたり切離したりする列車である。しかもこの列車には、代用車といいまして、小さい車扱いではなくて、小口の荷物を輸送する貨車がついておるわけである。従つていかにこの二六四列車が、磐越西線の車掌省略をするこにのできる簡易線区であつたとしても、入れかえなり代用車というものがついておるとすれば、必ず車掌を乗せなければならないわけです。しかも平常の慣行からいいまして、いかに磐越西線が車掌省略線であるといえども、常にこういう場合には、安全のために車掌を乗せておつたというのが現状であつたわけであります。組合側は、当局に緩急車に呼んだ人を乗せるとか、車掌資格のない人を乗せようという意思があるかないかをいろいろ監視をしおつたわけです。ところが監視の最中に、新津駅の助役が急に発車の合図をいたしましたので、組合側の監視職員は非常に怒つたわけであります。監視職員は、現実に毎日現場で運転規程を守つて働いている人である。従つて運転規程を常に守れ守れと言つておきながら、こういうときになると運転規程を守らせない、こういうことに対して非常に大きな怒りを発しました。その結果、やはりわれわれはこの列車には車掌を乗せなければならぬ筋のものである。しかも列車の安全ということから言つても、この列車には、具体的に申しますと、馬を積んで人夫が乗つてつたという車もあつたわけであります。こういう列車車掌を乗せないということは、非常に遺憾であるということをわれわれは常に言われている。方を守るという立場から、また安全という立場からもこの列車の発車を阻止しなければならないということを覚悟いたしまして、そうして線路上に出てこの列車を停止せしめたわけであります。この点について、間瀬局長は非常にあいまいにいたしております。なぜ組合側は線路上に出たのかという点をおおい隠して、ただ発車合図をしたところが、組合側が機関車の前に出たのだ、こういうふうに非常に物事を表面的にとられて、当局がとるべき手段を全然とらなかつたという点をおおい隠している点が、非常に重要なことであると思います。  こういうふうにして、一応この二六四列車は、われわれは発車を阻止いたしました。ところが前日に組合側としては、問題が起きたら必ず当局と話し合うということになつておりましたので――当局は今までそういう話合いを破つて参りましたが、組合側としては、そういう立場を依然として守つて行かなければ、あとになつて問題が起るというので、どうしてこういう列車を強引に発車をさせようとするのかということを、当局に対して申入れを行いました。ところがこのときに、当局の貨物課なりあるいは運転の面に携わつている人たちが、どういう暴言を吐いたかと申しますと、列車を発車させなければそれでいいんだ、だんだん機関車の前に出てくれ、そうすれば証拠があがつて首を切るのに非常に簡単だ、そういう非常に問題にならない非常識な暴言を吐いておる。またどうしても当局が出すというなら、われわれは、代用車あるいは中間で入れかえをするような貨車は、一応連結を解除して発車をさせたらよいのではないか、こういう建設的な申入れもいたしました。ところが当局はこれに対してどういうことを言つたかというと、そんなことをすれば発車する必要がないのだと言つて組合の誠意ある申入れに対して、全然考慮を払わないというような態度を示しました。当局は、運転の安全を確保せい、そうして運転規程を確実に守れと言つておきながら、列車車掌を乗せないなどということはとんでもないことだ。普通の場合、助役が車掌の乗車したのを見きわめないで発車合図をしたということによつて、非常に大きな罰を食つたこともある。あるいはまた車掌列車に乗り遅れたために、非常にしかられたという事態もある。こういうことを当局から常に言われておりますので、組合員は真剣になつてこの列車を発車させてはならないという立場をとらざるを得なかつたわけであります。こういうふうにわれわれは二四六列車を、正しい立場から発車阻止をいたしました。ところがまた当局は、その後二六四列車を臨時貨物列車として発車をさせようといたしました。この場合も同じ経過をたどつたので、われわれはやはりいろいろ話し合つたが、話合いがつかないでこの列車運休に至らしめたいというのが現実だつたのであります。従つて、これ以後当局は、間瀬局長が言われましたように、四七一列車。七七六列車、六六三列車、これも全部同じような状態のもとに運休をいたしました。  しかしながら、ここで十分先生方の御理解をお願いいたしたいことは、七七六、六六三列車というようなものもこういう事態に立ち至りましたけれども、われわれがこういう状態をいつまでも続けて行くとすれば、必ず旅客列車や重要列車に影響があるということから、当時地方本部の全責任を負つていた私、それと戦術委員長をやつておりました大瀧君が、一生懸命になつて組合員を説得して、当局が正常な車掌を乗せて出そうとするならばぜひ発車をさせてくれ、こういうことで何回も組合員のやじにもまれながら、あるいはまた組合用語でいうつるし上げられながら、列車を出させたというような状態が何回もありました。この具体的な内容については、一番最後の五番に書いてありますように、二六四列車運休になりました、六六三列車はこういう状態なつたと局長は言いますが、この列車は、当局の要請をいれて、組合側としては怒つておる組合員を説得して、正規の車掌を乗車させて、あとでこの列車番号をかえて発車させており、また四七一列車も、当局の要請を十分にいれてこれを九四七一列車として組合員を説得してわれわれが出しておる。こういう状態があつたわけであります。従つてそういう経過から申しまして、組合側といたしましては、当局から処分を受けるどころか、賞状ぐらいもらわなければならぬ、こういう積極的な立場に立つておるということが現実だつたわけであります。  以上結論といたしまして世間に非常に大きな問題になつており、あるいはまた地方当局が誇大宣伝をしております線路上において列車の運行を害した、こういうことはまつたく表面的な見方であつて、その事態が起きた原因を全然おおい隠しているということが言えると思うのであります。従つて、これを理由にしての組合側に対する責任追究ということは、まつたく的はずれであると同時に、責任の所在というようなものは、むしろ当時の局長でありました間瀬孝次郎氏が負うべきであつて組合としては、この問題の責任の追究ということは、てんで的はずれであると考えておるわけであります。特にこの間において、当局が違法と挑発というものを平然と出して行つた。特に紛争を好んで引起す態度をとつたということは、明らかに地方当局組合の弾圧を策しているといわなければならないと思います。しかも、ここで重要なことは、これは真実であるかいなかはともかくとして、本庁の間獺局長が非常に強硬にわれわれの処分を主張したということであります。しかもこのような、今まで私がずつと説明を申し上げましたような状態の中において、間瀬局長がわれわれの首を切つたということは、どういうところに原因があるとかいうことを組合で討議いたしました。この結論といたしまして、組合側として得たところのは、最近地方当局の中において、いろいろな不在の事実が明らかになりつつあります。それを調査し、そうしてただすことが組合責任であると考えまして、組合側はこの問題をいろいろ調査いたしておるわけでありますが、この調査が明らかになると、当局にとつてはとんでもないことになる。こういうことから、それを指導し、その責任の地位にある相田大瀧という両名の首を切ることが、これらの問題を解決することに最も重要なことではないかというふうに地方当局は考えたであろうということを、組合側としては会議の席上において推定し、結論づけておるのであります。これはもちろん一方的であるという御批判もあろうと思います。けれどもこれも一つの重要な因子としてこの問題の追究に当つていただきたいと考えるわけであります。  特に一番最後に申し上げたいことは、十一時ごろ地方闘争委員会から電話指示がございまして、この電話指示の内容は、新潟地方本部組合員が、線路上で列車の発車を阻止したことは当然である。そのような事態をあえて引起したところに原因があるのであるから、これは当局責任なんだ、従つて中闘は当局と話し合つて次のことをきめたから、そのような行為話合いの上でやめてくれということがいわれました。この内容を申し上げますと、本庁では、新潟当局に対して、車掌を乗せないで発車をなせるようなことはしないようにただちに中止をさせる。従つて組合側は、そのようなことを地方当局がやめるとするならば、当然のこととして線路上で列車をとめるというようなことはしない、この問題を後日の問題に残して処分の対象やら処罰の対象やらにしないということを確約したという電話指示がございましたので、われわれは中央の考え方を了として十二月一日の闘争を打切つたというのが真相でございます。  以下非常に長々とまとまりのないことを申し上げましたけれども、よろしく事実の追究に当つていただきたいということをお願い申し上げまして、私の説明を終らしていただきます。
  30. 赤松勇

    赤松委員長 黒澤幸一君。
  31. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 ただいま当事者双方から事情をお聞きしたのでありますが、重要な点において、たくさん食い違いがあるように見受けられるのであります。組合側の御説明によりますと、組合におきましては、十二月一日よりの闘争に対しまして、当局話合いの上で、どうして闘争を進めようかという努力が真剣にされたように承つたのでございますが、その結果十二月一日から三日間の賜暇休暇を五十名とろうとしたのを四十三名にした、そういうことについて了解ができた。また重要貨物列車、旅客車についても、発車の確保をするというように話合いもついたようにお聞きしたのであるが、そうした話合いが、当日になりまして当局の一方的なやり方によつて破棄されてしまつた。その結果当局におきましては、資格のない車掌を乗車させようとした、また車掌を乗せないで発車させようとしたというような重裏な点が、組合の方から述べられたのであります。ただいまの組合側説明に対しまして、間瀬説明員もお聞きになつておりまして、あなたの御説明と違う点がよくおわかりになつたと思いますが、その点をはつきり御説明つて、それからいろいろ質問したいと思います。
  32. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 資格のない車掌を乗せたという話でございますが、これは非組合員の中で、前に車掌の経験を持つております者を選びまして――ただ最近は、昔と違いまして、運転の考査に合格をしませんと乗せらません。当日運転考査も成規通り実施をいたしまして乗せておりますので、資格のない車掌を乗せようとしたということは当らないと思います。なお、先ほど携帯品の点で、所定の携帯品を持たないで乗るというのは資格がない、こういうお話でありますが、携帯品はちやんと所定のものを持たせるように手配をしたのでございます。  それからもう一つ車掌乗務省略の問題でございますが、これは普通の取扱いで行きますれば、乗ることになつておるのでございますが、先ほど御説明いたしましたように、。ピケツト・ラインを張られまして緩急車に乗務させることができないというかつこうになつておりましたので、臨機の処置といたしまして、保安度を勘案して、そして車掌乗務省略をして発車をさせるということを手配したのでございます。これは中央からの指示にも、磐越西線は車掌乗務省略を局長権限でやつてもかまわないということに指示が参つております。また私は、保安の責任者といたしましても、一区間この車掌乗務を省略いたしましても問題はない、こう考えまして、そのような手配をいたした次第でございます。
  33. 赤松勇

    赤松委員長 相田参考人、御意見はありませんか。
  34. 相田一男

    相田参考人 運転考査を実施をしたその者のみを、休暇の代務者として列車に乗せようとしたんだという御説明でございますけれども組合側調査をして明らかにした点といたしまして、非常に重要なことは、ずつと前に車掌をやつたことがあるという程度の経験、こういうものを根拠にしたというようなこと。ずつと昔に車掌をやつて、そして最近ではもう車掌を全然やつておらぬ、こういう人たちも、車掌資格のあるものと一方的に当局は認定をしたということ。さらにただいまのお話によりますと、運転考査を当日実施したと言われておりますが、もしかりに当日運転考査を実施したということになりますと、組合側としては、当局運転考査というものをどういうふうな誠意をもつて理解をし、安全のためにこの考査を重要視しておるかということに非常に疑問を抱く、こういう点について、組合側としては非常におかしな点があると考えるわけであります。それから携帯品の問題については、確かに携帯品はそう大きな重要な携帯品は持たなかつたということは、私どもとしても主張をしておりません。それから車掌省略についてでありますが、先ほども長々と御説明をいたしましたが、磐越西線はなるほど車掌を省略することができるかもしれません。しかしながらそのことは、常に車掌を乗せておるということの意味を全然理解しておらないことだと思います。車掌省略ができるということをうたつてつたとしても、常に車掌を乗せておくのは、これはやはり業務の都合上か、さらに人道的な見地、安全という立場から車掌を乗せておくものだと私たちは理解しておるのでございます。従つて正常な立場で運転をするならば、やはり車掌を乗せるべきである。しかもこの列車は、先ほど申しましたように代用列車であり入れかえ列車である。こういう立場を考えますと、どうしても車掌省略ということは、筋の通らない違法であると考えざるを得ないのであります。
  35. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 間瀬説明員は、車掌資格のない者に対して運転考査をやつたと、ただいま述べられたのでありますが、いつどういう方法でその考査をやられたか、お聞きしたい。
  36. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 考査の方法というものは、ちやんと一定したものがございまして、その方法に従つて考査員が実施をしております。実施をいたしましたのは、当日の午前中に実施をいたしております。
  37. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 十二月一日の午前十時ですか。
  38. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 一日の朝やりまして、大体あの列車に間に合うように実施をいたしたのであります。
  39. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 その考査の方法は、どういう方法でやつたのですか。どなたがやつたんですか。
  40. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 こちらで発令しておりますところの運転考査員が、現地へ参りましてやつております。
  41. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 どなたがやつたのでしようか。この点をお聞きしたいと思います。
  42. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 今、名前はちよつと記憶がございませんので、後刻調べて御返事いたしたいと思います。
  43. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 そういう重要な、しかも緊急事態の中に、資格のない者を急遽運転の考査をするということは、われわれ常識的に考えられないのでありますが、どなたがそういうことをやられたのか、その点をはつきりしてもらいたいと思います。
  44. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 ただいま至急調査いたしまして、御返事いたしたいと思います。
  45. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 その点、私は納得できないのでありますが、質問を進めるために、その報告を求めて後日質問したいと思います。  次に、吾孫子説明員にお聞きしたいと思うのでありますが、車掌を省略して列車を走らせてさしつかえないのだ、またそういうことに対して公社から指令を出したというようなことを、今間瀬説明員から報告されたのでありますが、どういう場合に車掌を省略して列車を出すことができるのか。またそういう指令を公社が出したのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  46. 井上正忠

    ○井上説明員 車掌乗務省略の問題は、実は本庁の運転局というところで主管いたしております。私も地方局長でその通達に縛られておりますが、乗務省略の通達が出ておるのであります。大体原則といたしまして、自動信号、いわゆる信号の自動区間、これは駅との間に幾つも自動信号機の数だけ列車が入れるわけでございます。そういうふうな非常に列車回数の多い線区に対しましては、車掌乗務省略は原則として認めない。ただ支線区のような自動信号区間でない線区につきましては、線区を指定して、省略をしてもよろしいということを通達いたしております。
  47. 赤松勇

  48. 山口丈太郎

    山口丈太郎君 私は鉄道屋ですから、そのつもりで答弁してもらわないと困るのです。今も車掌資格を有しない者を乗せることは違法だということで、組合がいろいろそれに対する違法性を追究しておる。ところが当局では、午前中に車掌の適格検査をやつて、その免許を与えているのだと言う。ところが、それを試験した者はだれだといつて尋ねると、だれがやつたのかわからない。国鉄の方では、その乗務員資格を検定する機関というものは、恒常的に、ちやんと機構的にも備えておるものだと、こう私は考えておるのです。ところが、それを便宜的に、だれでもかまわないといつて、お前は資格があるから乗りなさいというようなことで、この重要な列車乗務員資格なるものを左右されていたのでは、あぶなくて乗ることはできぬ。国民は安心して国鉄の乗物に生命財産を託しておくわけには参らないということになる。一体だれがその検査の衝に当つておるのか、当らしておるのか、その機構は一体どういうことになつておるのか。これは即座にあなた方は責任者として答えられなければならない問題である。それが今答えられないというのは、どういうわけですか。そんなことでは、あぶなくて私は汽車に乗れませんぞ。
  49. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 私の方としては、考査員は運転部の獺賀清一、箕輪俊藏、竹田彦之造、この三人を充てておりますが、今そのだれが行つたかという点の確認をさしておるわけでございまして、だれにでもかつてにやらせておるというのではありません。
  50. 山口丈太郎

    山口丈太郎君 かつてにやらせておるものでないと言うなら、こういういわば非常に大事なときだから、従つてそのときの命令というものは、ちやんとあなたは知つておらなければならぬ。今三人の名前をあげられましたが、それが一体どういう根拠で、そういう資格のない者を午前中に認定して資格ありとしたのか、そういう命令系統についても、一体どういうことをされたか――変な話じやありませんか。私の方も鉄道屋ですけれども運転士資格を与えるにしても、ちやんと教習所にも入れなければならぬ。そうして一定の教習をやつて、その教習課程に合格をしていなければ、これは絶対に電車運転士にしない。同時に、車掌もやはり一定期間の教習課程を経て、そうして乗務に必要なすべての資格というものを検査して、一定の点数を持つておらなければ、たとい私鉄でもそう簡単に、午前中に試験をして午後から乗せるというわけには参らない。大体あなたが、そういう臨機応変の措置によつて従業員を左右されているとすれば、たいへんなことになる。どういうふうに考えられて措置されておるのか。たといそれが成規の手続においてなされておるとしても、その試験の結果与えられた資格なるものは、きわめて不備なんです。そんなものじや私どもは生命、財産を預けるわけには参らない。一体それはどういうことなのか、これは職員局長もおられることだから、はつきりとこの際その内容を示していた、だきたい。
  51. 井上正忠

    ○井上説明員 その資格者につきましては、今申しましたように、それぞれの規程、通牒、そういうもので縛つております。今問題になりました車掌につきましては、車掌という資格を規程によつてとりまして、しかもなおその上に運転考査という考査を一つ受けなければならない、そういうことなんであります。ただいまの新潟の事例におきましては、かつて車掌が上級職に上つたのであります。ですから車掌の経験者であります。それで欠けるところは考査を受けなければならぬ、こういうことであります。考査につきましては、考査の方法、規程、これは通牒で総裁から出ておりますが、この仕事運転局が所管しております。その考査の合格、非合格の判定は、任命されました考査員によつて、地方の鉄道局長が最後の判定をいたす、こういうことになつております。
  52. 山口丈太郎

    山口丈太郎君 そこで、今話を聞いてみると、その日の午前中に資格を与えたと言うがそんなことはできはしません。できないことになつているじやないですか。ここにずらりと並んでおられるが、私は無理に、不公平に組合の肩だけを持とうとは考えておらぬ。やはり国政を審査する者として、公平に考えたい。しかし、少くともこの労働者を職場を追い出すということは、同時にその労働者に付随している家族全部を含めて、これに死刑を言い渡しているのと一緒なんです。しかもあなた方は、やはり公労法という法律をたてにとつてつておられる。そうすれば、あくまでも私は、法律というものをあなた方自身も守つた上でなければ、そういうことはできないはずだと思う。ところが、その法律を守るに、あなた方は一方的な解釈によつてやるということになれば、権利者はどんなことをやつてもいい、しかし労働者の方ではその法を守らなければならぬ、こういうことになる。そんな便宜的に法律を使うようにはできていない。とすれば、あなた方は午前中に資格を与えたんだと言つておられるけれども、合法的に一切の資格を与えるべく措置をとる余裕はなかつたものと私は考える。そうすれば、緊急事態だからといつて、ただ便宜的にそういうことが行われるということは違法だ、このように考えるが、あなた方はそれを合法と考えてそういうふうになさつたのか、新潟説明員から所見を聞いておきたい。     ―――――――――――――
  53. 赤松勇

    赤松委員長 この際お諮りいたしますが、本問題につきまして、本日出席予定の参考人横山利秋君が出張のため出席不可能となりましたので、岩井章君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければさよう決します。  なお国鉄中闘にお願いしておきたいのですが、委員会に正式決定で参考人をきめたのです。参考人が出席不可能の場合にはそれにかわる人が必ず出席していただかないと、中闘だけの参考人でなく、全国からも集まつてもらい、当局側委員会要求通り出ているのですから、この点あらかじめ委員長の万に連絡の上、遅滞なく出席していただくようにしていた、だきたいと思います。     ―――――――――――――
  55. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 ただいまの御質問でございますが、考査によつて一定の基準に入つておるということを確認いたしておりますので、それでこの点では間違つた指定ではない、こう考えております。
  56. 山口丈太郎

    山口丈太郎君 一定基準に合格しているということを確認した上だと言われますけれども、その確認の基準がまたでたらめだ、便宜的にその確認を変更しているじやありませんか。今の本庁の説明を聞くと、すべて実地考査までやらなければ資格はとれないでしよう。運転考査もやらなければとれないでしよう。ところが、明らかにそれはできていない。できていないとすれば、基準なるものを便宜的に動かしたということになる。それはどういうことですか、もう一度承りたい。
  57. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 私の方としましては、成規の考査をやりましたので、一つも省略しておらぬのでございます
  58. 赤松勇

  59. 館俊三

    館俊三君 今、大急ぎで車掌の認定をやつて乗せたというのですが、その人は前にも車掌をやつてつたということですが、前というのはいつごろのことなんですか。
  60. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 今ここに何年くらい前という資料を持つておりませんが、正確を期しますために、後ほど調査して提出いたしたいと思います。
  61. 中原健次

    ○中原委員 それをひとつ報告していただきたいと思いますが、終戦後アメリカさんがやかましく言うて、そうして運転考査をやつた。そのために従来長く運転に携わつてつた人でも、考査をとるために非常に難儀をした。あなた方はそれを強硬にやつて、非常に従業員を畏怖せしめておつた。そういう重大な考査の試験をやつてつた。そういう重大なものをその朝すぐやつて、しかも前歴がいつであつたかわからない人をやつて、すぐに乗せるということは、常識的に考えて、りくつのあるなしにかかわらず、きわめて危険なことです。そこで考査を受けた人がやつたということも御報告願いたいし、前歴がどうかということも御報告願いたい。それと同時に、考査の内容について、正確にここに御報告願いたい。今の新しい考査はどういう試験をするのか、どういうことをやるのかわからない。そこで、おそらくその試験は厳密におやりになつただろうと思うから、試験科目その他についての記録を正確に報告をしていただきたい。こう私は考えます。それはできるでしようね。
  62. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 後ほど御報告いたしたいと思います。
  63. 館俊三

    館俊三君 もう一つお伺いいたします。車掌乗務しない列車――貨物列車であろうが旅客列車であろうが、それをうつかり思つてか、あるいは職務怠慢かで、駅の助役さんが発車させた場合には、その助役は首になつたりする、そういうことですから、平常の場合で、それを助役が発見しなかつた、ところが運転に少しも関係のない係員がそれを発見して注意をした場合には、表彰に値することだろうと私は思うが、どうですか。
  64. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 私先ほど当事者双方の御説明のうち、重要な食い違いの点を指摘いたしまして、間瀬説明員から御説明を願つたのでありますが、そのうち一点落ちておりますので、再度お尋ねしたいと思います。  それは組合側で御説明になりました十二月一日からの闘争に対しまして、組合側では、当局者と話合いの上で、重要な貨物列車、旅客列車に対しては、これを確保するようなお話合いができた。それから五十名の賜暇休暇をとろうとしたのでありますが、当局話合いの上で四十三名にした。そういうように大体話合いがついて、十二月一日から闘争に入つたようにお聞きしたのでありますが、その点について、間瀬説明員から、その事情がその通りであるかどうか、お聞きしたいと思います。
  65. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 ただいまの点のお答えをいたします。前日組合の方から、重要列車の確保とか旅客列車の確保というような申出がございましたが、こまかい点について、両方の意見が一致して列車運転休止をきめたというようなことはございません。なるほどその中で、あるいは貨車がなくなるので、一本ぐらいは消えるようになるかもしれないという話合い程度のものは、総務部長のところでいたしておりますが、これこれの列車は消してもいいというような確定的な話合いまでには至つておらないのであります。
  66. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 関連して……。話が少し違つた問題に入つておりますが、私は先ほど出ました車掌の省略と無資格者の問題につきまして、非常に疑義がございますので、少しお聞きしたいと思います。当日午前中に無資格者の考査をして、資格をつけて乗せた。しかもそれを実施した人の氏名がわからない。こういう点についても非常に不可解の念を抱いたわけでありますが、このくらいのことはわかると思いますので、お聞きしたいと思います。その考査をして乗せた人は現実に同職をやつてつた人であるか、この点についてお尋ねいたします。
  67. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 お答えいたします。第一日の分としては、公安職員車掌の経験者を充てることにいたしておりました。それから第二日は、公安職員あるいは駅の助役というようなものの中の、車掌の経験者を充てる段取りをいたしたのであります。
  68. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 公安職員と駅の助役と言われますが、われわれの常識で行きますと、考査をしたのみで車掌仕事をさせる、そういうことは、通常行われておらないのではないかと考えます。おそらくあなたの方としては、そういうことはあり得ないということはおつしやり得ると思いますが、通常ほかの職から車掌になる場合には、一片の考査によつて職名がかわるのか、あるいは何か相当な試験をやらなければかわれないのか、こういう点を、組合側の方から、組合的立場でなくて、通常の業務の面からお答えを願いたいと思います。
  69. 相田一男

    相田参考人 運転考査について、組合側の立場でなくて平常やられていることについて申し上げます。車掌運転考査は、どういうふうに平常行われておるかと申しますと、車掌試験に合格して車掌なつた人、車掌の職名を持つた人が、一年に一回ずつ成規運転考査を受けて車掌をやつておる、こういうことになるわけです。従つて公安職員車掌運転考査を受けたから、ただちに車掌の代務をできるということについては、規定上こういうことは通らない、こういうふうにわれわれは理解いたします。
  70. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 それでは国鉄本庁の方にお伺いしたいと思います。そういう職務の任用方でさしつかえないかどうか。車掌の任用方は、ただいま間瀬前新潟局長の言われたやり方でさしつかえないかどうか。従来そういうふうにやられておるかどうか、お伺いしたい。
  71. 井上正忠

    ○井上説明員 運転考査というものは、御承知の通りに終戦後できた新しい制度であります。運転の取扱を直接担当する者についてはこの考査の合格者でなければならぬ、こういうきまりになつておるわけであります。運転考査そのものは、車掌だけではなしに、駅長も運転を扱う助役も、全部この考査を受けることになつております。事実上の現実の姿といたしましては、たとえば駅長、助役の異動というふうなときには、必ずしも終戦後になつて運転考査を受けた人ばかりとは限りません。但し、大体においてそういう人たちは、かつて輸送の業務を担当しておりましたので、仕事の経験者でありますが、終戦後できました考査制度というものの考査を受けなければならぬということで、現実の問題といたしましては、駅長なり助役を新しく指定いたしますときに、前日あるいは当日成規の手続で考査をやることが、運用上しばしばあるわけでございます。で、新潟の先般とりました運転考査の方法も、かつての前歴者に、終戦後できました考査をいたしましたについては、当時の状況として、私は時宜を得た処置であろうとこう考えております。
  72. 赤松勇

    赤松委員長 ただいま国鉄総裁は、国鉄職員の兼職の問題について緊急に委員会に呼ばれましたので、委員長これを許しましたから、御了承願います。
  73. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私はそれを聞いているのではありません。他職から車掌になる場合に、一片の考査で車掌になれるかどうか、それが国鉄の内部には行われておるかどうか。もし新潟のとつた措置が適法であるとするならば、おそらくわれわれの常識経験から行けば、新潟をもつて嚆矢とするというふうに了解するわけでありますが、従来他職から車掌になる場合に、一片の考査で資格のかわつた場合があるかどうか、この点をお聞きしたい。
  74. 井上正忠

    ○井上説明員 車掌につきましては、車掌資格は、考査の前に車掌試験もしくは教習所等を経る、そういう任用の資格がございます。その任用の資格車掌に登用するわけであります。登用しました車掌に、今度直接運転の扱いをさせますについては考査が必要になる、こういうことになつております。
  75. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私は抽象論でわかりませんから、具体的にひとつ出します。たとえば定員法のときあたりは、一番よく話がわかりますが、車掌をやつてつて、たとえば荷扱手なら荷扱手に降職をした。従つて次に車掌欠員ができて、車掌にしようとした場合に、一片の考査でただちに車掌にもどれる制度を現在とつておるかどうか。新潟の場合、そういう制度をとつてつたのかどうか。おそらく私は一定の試験を受けて、その上にまた考査を受けて乗務をする、こういうふうにやるのが普通の常識ではないかと思うのですが、その点についてどうお考えですか。
  76. 井上正忠

    ○井上説明員 今のお尋ねの件でありますが、荷扱手につきましては、車掌資格を持つておりませんから、もしその荷扱手が別の機会で車掌資格を持つておりましたならば、これについては、考査を済ませましたら、車掌仕事をやらせることになると思います。
  77. 歌崎藤作

    歌崎参考人 私はもともと運転屋でありまして、馘首の対象になつたときには予備助役という職名でありましたが、これらの運転考査につきましては、従来から重大な関心を持つて今日まで参つた者です。本日ここに当局の幹部から運転考査に対する観念が述べられて、私は唖然といたしておるわけであります。運転考査というものは、そもそも先ほどから各説明員が言われておるように、終戦後におけるところの一つの制度としてできた制度であります。これらに対しては常に、これがわれわれ労働者階級にとつては過重なオーバー・ワークになるということで、今廃止論をやつておる段階でありますが、これは車掌なり機関士なり運転士なりこういう人たちがこの運転考査に無事通過するという過程におきましては並々ならぬ苦労をし、勉強をして、そうしてこの登竜門を通る、こういう制度がこの運転考査の本質である。従つて職員局長から、たとえば定員法当時に車掌をしておつて、荷扱手に降職をしたその人間が、現在運転考査だけをすればただちに車掌に登用ができる、こういうような重大な発言をされたのですが、そういうようなことをこの席上で発言をされた以上、私は今後ほんとうにそういうことを実施されて行くのかどうかということも、この機会にはつきりしておきたいと思うわけでありますが、従来そういうことは、国鉄においてはやつておらないわけであります。昭和二十四年が定員法でありまして、当時荷扱手に降職をいたしました車掌であつたとするならば今日車掌になろうとするには、当然車掌の試験に合格をし、さらに運転考査に合格をし、あるいは身体、知能の検査――これが最もむずかしい問題でありまして、いわゆる運転考査だけが合格をすれば、ただちに車掌の適格性があるということでなく、いわゆる車掌としては、運転の場合においては目が矯正して一・〇なければいかぬ、こういうような規定もあり、あるいはそれぞれの諸条件が具備をしない限りにおいては、車掌に登用することができないという規定が現在あるわけであります。これが最近になつて、総裁達か何かでかわつたとするならば、これは私の重大ミスでありますが、そういうことについては、私は確信を持つておるわけであります。  以上運転考査に対するところのわれわれの今日まで考えて来た点について、御報告を申し上げます。
  78. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 歌崎参考人の言われるのが、私はほんとうだと思います。  それからいま一つ、私どもの経験で行けば、よしんば、そうではないのだがあなた方の論を受入れると仮定をしても、車掌として乗務するには、添乗の見習をして、それから乗らなければ――みな資格があるから乗れるということでは、あぶなくてしかたがない。従来そういう方向をとつてつた。だがその方法をとられておらない。私はこの問題については、時間がないのでこれ以上追究いたそうとは思いませんが、新潟管理局のとられた措置は、明らかに局長みずから国鉄の規程というものに違反をしておる、こういうふうにこの問題については申し上げざるを得ないと思います。  それから、車掌乗務について、まだ重要なことが落ちておると思います。先ほど組合側の参考人から言われました言葉の中に、馬匹積みの車がついておる、こういうことを言われましたが、当時の二六四列車でありましたか、この列車に馬積みの車がついておつたかどうか、この点をまずお聞きしたい。
  79. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 馬積みの車は、ついておりました。
  80. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 馬積みの車がついておるとすれば、当然私は人が添乗をしておるのが通例だと思いますが、この人が乗つておる列車が、たとい貨物列車といえども車掌を省略することができるかどうか、この点についてお答えを願いたい。
  81. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 今の市掌の乗務省略線区についてでありますが、私の方といたしましては、わずかな一区間ほど乗務を省略いたしまして、その次の駅から車掌を手配して乗せようというふうに考えておりました。それでこの新津と五泉との間は比較的平坦線でありまして、いろいろな問題が起る可能性も非常に少い。そういう点で、保安度の点ではそれほど心配をする必要がないという見解のもとに、車掌乗務省略の決意をしたのであります。
  82. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 そういたしますと、規定には牴触しない、こういうふうに新潟局長はおつしやいますが、この点について本庁の担当の方はどうですか、さしつかえないですか。
  83. 井上正忠

    ○井上説明員 実は私は職員局長で、その方の担当ではないのでありますが、運転取扱規程というのは鉄則として出ております。馬積み車の話でありますが、運転取扱規程というのは、車掌乗務を省略する区間ということで、たとい馬積みの車がありましても、車掌の、いわゆる運転車掌でありますが、後部車掌のない線区でも馬積み車はついております。この馬積み車については、その規程では、御承知のように突放してはいけない、「突放」というのは、人が乗らないで機関車がけることでありますが、駅の構内でその車を機関車がけるといいますか、突き放すというあの作業をしてはいけないという制限規定があつたように記憶いたしておりますが、車掌の問題には、馬積み車とは関係がないのであります。
  84. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 それはおそらく車掌乗務を省略する場合には、特殊の条件がなければならないと思う。ところが、先ほど参考人のお話では小口積みの車がついておる、いわゆる小口代用車がついておる、こういうことを言われますが、こういう列車車掌乗務省略ができるのか、この点についてお伺いしたい。
  85. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 ただいまの点は新津から五泉まで一駅でございまして、途中で小口代用など扱うということはございませんので、五泉の駅から車掌を手配するということを考えておりました。この点はさしつかえがないかと考えております。
  86. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私こまかい国鉄の規程というものの記憶がないのでございますが、無条件で今あなた方のお話を聞けば、馬積みには付添人がついている、しかも小口は当然私は封印もやられておらないのではないか、こういうふうに考えるわけです。そういう列車に対して無条件で車掌乗務を省略する、これは常識では考えられない。少くとも国鉄に一日でもおつた人間については、常識では考えられない。それをあなた方はあえて正当である、こういう意見を吐かれるに至つては、私はちよつとどうかしておられるのではないかと思う、こういうふうにしか私はとれぬわけです。あなたは車掌乗務を省略するという点について、それらの配慮というものは局長としてさしつかえないのかどうか、無条件で車掌乗務の省略ができるのかどうか、この点についてお伺いしたい。
  87. 赤松勇

    赤松委員長 委員長から申し上げておきますけれども、これは労働委員会の問題だけでなく、後日運輸委員会等においても、当然問題になると思いますので、当局の統一的見解をまず明確にしておきたいと思います。
  88. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 ただいまの点にお答えをいたしますが、施封の問題につきましては、必ずしも施封をしなければならないという規定はございません。私の考えといたしましては、一駅だけの問題でありまして、ことにその日の天候その他から見まして、途中でこの列車がとまるというようなことの予想もあまりありませんので、それでその次の駅までは大体行けるということで、そのまま出すことは非常の場合やむを得ない、こういうふうに考える次第でございます。
  89. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 この点についてひとつ組合側意見を聞きたい。
  90. 相田一男

    相田参考人 ただいまの車掌省略の問題でありますが、この問題については、なるほど磐越線は車掌を省略してよろしいということにはなつていると思います。しかしながら、われわれの今までの経験から行きますと、それから規程上からいつても、入れかえ列車であり、しかも代用車がついているということになれば、どうしても車掌はつけなければならない。間瀬局長自身が、われわれをそういうふうに指揮監督して来たものであると、われわれは確信をいたしております。それと同時に、今天気がよかつた事故が起きる危険性はないと言われますけれども、いつ何どき自動車にぶつかるか、どういうことがあるかわからぬわけであります。そうなれば、多分小口の貨物というものは施封がしてありませんから、ふたがあくわけです。ちよつと荷物を盗まれてもわからぬという状態がやはり出て来ると思う。ただ隣の駅に車掌を配置してあるから、一駅区間だけはよろしいのだということは、結果から出て来たことであつて、これは筋としては通らない。こういうことになれば、われわれ使われている職員としては、平常の業務を若干変更して勤務をしなければならぬという形が出て来るものと私は考えております。
  91. 赤松勇

    赤松委員長 黒澤幸一君。ちよつと希望しておきますが、このあと大阪から参考人を呼び出しておりますので、時間の関係もあり、また本会議の都合もありますので簡潔に願います。
  92. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 簡単に申し上げます。相田一男君、大瀧保君、この両君解雇理由一つに、当局側では、この新潟地方本部傘下の組合常諸君のとられた行動は、国鉄労働組合新潟地方本部の指令、指導に基くものであることが事実によつて明らかであると述べられておるのであります。組合側にお聞きいたしたいと思うのでありますが組合行動が、国鉄労働組合新潟地方本部の指令によつてなされたのであるかどうか、この点に対してお聞きしたいと思います。
  93. 相田一男

    相田参考人 結論から申し上げますと、本部の指令によつてわれわれは動いたということになるわけであります。ただしかし、本部の指令の範囲内において、具体的な事実についてどうかということについては、指令の範囲内においては、われわれは具体的に指示することがあり得ます。十二月一日の問題でも、車掌さんを休ませる、それで並行して規程を守る運動実施しなければならないのだ、こういう指令がありましたので、前段の説明のような状態が発生をいたしたわけであります。
  94. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 各地方本部の遵法闘争、賜暇休暇そのほか一切の闘争の指令は、地方本部自体の指令でなくて、今組合側で申されましたように、国鉄労働組合本部の中闘の指令によつてなされたものであるということが、ほかの各管理局関係解雇になりました方の説明の中にも示されておるのでありますが、新潟管理局におきましては、特に地方本部指令というようなことを理由に掲げておるのであります。この点は当局の間違いではないかと私は考えるのですが、その点を間瀬説明員にお聞きいたしたいと思います。
  95. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 この機関車の前頭に立つてピケを張るというような事例は、全然ほかの方には出ておりません。また中闘の方からこれを差しとめられてやめたというような点を考えてみますと、地方本部独自の立場でやられたのだというふうに、われわれ考えた次第でございます。
  96. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 ピケ張りその他の遵法闘争賜暇休暇超勤拒否にいうようなこには、中闘本部からの指令でなされておるに思うのであります。国鉄組合の組織上からいたしまして、中闘の指令に対しましては、地方本部におきましてこれを実行するところの責任と義務というものは当然あるのでありまして、ただ今間瀬説明員説明されましたピケを張つたというような特殊の状態、それは今までの双方の説明によつてわかつたのでありますが、それはそういう事態が起らざるを得ないような、いわゆる当局側の、最初の組合にの話合い破棄したというところから起つて来ているものでありまして、そうした一切の指令というものは、中闘本部からの指令に従つて、それを責任と義務において履行したものであるとわれわれは考えておるのでありますが、その点もう一回はつきり御説明願いたい。
  97. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 ただいまの点でございますが、当局組合話合いをして、二六四列車運休をするというようなことは、何もしておりませんので、そういう点では、特に話合いの実行をしなかつたから、そういう誘発をしたのだというようには、私ども考えていないのでございます。
  98. 相田一男

    相田参考人 それは話合いはしております。われわれは現実を見ておつたわけではないので、その点は明瞭でありませんが、われわれは中闘を信頼してその指示に従つております。従つて、たとえば車掌を乗せないで発車をさせるようなことをしない、組合からも従つて線路上にピケを張るというようなことはあり得ないだろう、今後の問題につきましては、これはあとに残さないという確約をした。従つて当局も、そういう挑発行為をやらないから、やめてくれというので、われわれは筋の通つた言い分として、中闘の指令に従つてああいう形に必然的になつた、こういうふうに理解しているわけであります。
  99. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 解雇の言い渡しを受けております相田一男君は、副委員長兼企画部長、大瀧保君は書記長の立場にあるようでありますが、この両名の解雇理由は、指令、すなわち当局側でいつております組織上の責任を問われたのであるかどうか、あるいは実行行為責任を問われたのであるかどうか、その点お聞きしたいと思います。
  100. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 実行をした組合の組織上の責任者でございます。
  101. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 今のお答えを、私ちよつと了解できないのです。実行上の組織上の責任者、そういうことですか。
  102. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 実行した組合責任者でございます。
  103. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 この新潟地方本部の委員長は、解雇になつていないのであります。私はこのことをどうこう言うのではない、当然だと考えているのでありますが、当局側におきまして委員長責任を問わないという事情は、どういう事情でございますか。
  104. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 委員長は、ちようど外遊しておりまして留守でございましたので、責任はございません。
  105. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 当局側にお尋ねいたしますが、新潟鉄道局管内が、他の責任を問われない管内に比して、特に責任を問われたというのは、どういう点において違いがあつたか、お尋ねいたしたい。
  106. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 ほかの管内は、ほかの管理局長がおりまして、それがいろいろ事態の判定をいたしておる次第でございます。私のところといたしましては、私の管内に起きました事態について、責任あると判定をした次第でございます。
  107. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今の件について、国鉄当局にもひとつお尋ねいたします。
  108. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今の間瀬局長説明通りでありまして、前にも申し上げておりますが、われわれとしましては、各管理局の状況をよく聞きまして、その中で特に事実顕著であり、責任も重いと思われるところについて処分をするようにしております。
  109. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 聞瀬説明員は、主観的にお話をなさつたわけです。管内だけを考えてみてこうだというお話をなさつたわけですが、吾孫子説明員は、同じであるということを言われました。私は国鉄全般の当局者としては、こことここは違うからという判定がなくては、ないところとあるところという判定はつかないと思うのですが、特に新潟の鉄道局管内について、責任者を出さなければならなかつた事情は、他に比してどういう点が違つてつたかお尋ねをいたしたいと思います。
  110. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 新潟管内実情は、先ほど来説明をくださつた通りでございまして、当局側がいろいろと苦心をして業務の正常な運営を保持しようという努力をしておつたのに対して、それができないようにさせることに、組合側はまた非常に努力されたわけであります。新潟管内の分について見ますと、私どもとしては、管理局長の意見通り、これは責任を追究しなければならない程度のものであるというふうに、相談の結果考えたわけでございます。処分者を出さなかつたよその管内の状況は、新潟管内ほどひどくはなかつた、こういうことでございます。
  111. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ひどくはなかつたということですがそれは運休列車が多かつたという事実に基いて責任者を出されたのかどうか。
  112. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 運休列車がよそに比較して非常に多かつたということも、もちろん重大な判断の要素にはなつておりますけれども、それのみではございません。これも申し上げ方は抽象的になりますが、単に結果だけを見ておるというのではないので、前にも申し上げたことがございましたが、その実行の方法、その他全体の動き方を考慮に入れまして責任を問うようにしたわけでございます。
  113. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国鉄側から言いますと、単に被害の状態のみではなくて、組合の主観的な意思あるいはその方法、こういうものを勘案されて責任を問われた、こういうことですね。
  114. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 別の言葉で申し上げれば、違法性の顕著なところ、こういうふうに考えて、違法性の最も顕著な箇所の責任を問うた、こういう考え方で処分したわけであります。
  115. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 違法性ということになると、きわめてむずかしいのです。事実行為であるか違法性の認識であるかという点について、かなり問題があると思います。そこで吾孫子説明員にはまたの機会に来ていただいて意見を述べたいと思いますが、今お話がありました違法性の問題につきましても、組合側では十分話し合つて、そうした紛糾の事態に至らないようにという申入れを、十一月三十日にしておるということは、組合の資料にも出ておるわけであります。組合としましては、本部の指令であるが、当局の意向を入れて七名だけ減しておる。その七名というのは一割七分であつて、中央指令の三日間に全員一日の休暇をとるということに比しては、非常に少い。そして組合としては、これで完全に旅客列車、重要貨物列車は確保できると思う。さらに二日、三日目は完全に平常運転ができる、こういうことを言い、またそれを確信しておつた。ところが、その話合い当局側は一方的に破棄して、この休暇請求者を強引にかり集めた、こういうところに事態の紛糾を見ているわけです。当局側は、十一月三十日に組合員に会われたときの状態と、さらに十二月一日にとられた状態と非常に差異があると思いますが、十一月三十日から十二月一日の朝にかけて、当局側は一体どうしてそういうような態度の変更をなされたのか、この点についての事情をお伺いしたいと思います。
  116. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 当局としては、別にそういうように態度をかえたということはございません、休暇の四十何名というものを、当局が容認したというようなことはございませんので、それは組合が一方的にお考えになつたことだと私は考えます。
  117. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今の点について、組合側にお尋ねいたしたいと思います。
  118. 相田一男

    相田参考人 組合側が一方的に判断したものであるというように言われておるわけでありますが、これについては、出席者の名前を申し上げますと、当局側総務部長それから労働課長、組合側相田大瀧、それから神谷、上田と四人の闘争委員出席して、旅客列車、重要貨物列車には絶対に影響を与えない、こういう立場で臨む、それは非常によろしいということで、われわれは当局がこういうような形で出て来るということは、全然考慮しておらなかつたわけであります。  それから特に重要なことは、当局はいかに考えようとも、われわれとしては当局から指示された仕事を十何年もやつて来ている関係上、これだけ休めばどういう事態が起きるかということは、やはりある程度わかつてつたわけです、従つて、われわれは中闘の指令、その他いろいろありましたけれども、旅客列車と重要貨物列車は十分に確保しなければならないという立場で計画を進めておつたわけであります。この点については、当局でも十分に了解しておると考えております。特にもう七名くらいふやせというような要求もありましたので、やはり組合としてはそれを認めておる。こういう状態も、やはり現実の処置として、当局も認めなければならない点だと考えております。
  119. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は特に処分された局と処分されない局との差について、非常に重大な関心を持つものであります。新潟の鉄道局管内の労働組合のとられた態度は、他に比して決して違法性の認識においても差がないように私は思う。もしこの通りにして、また他の局がとられた態度と同じような態度を新潟の鉄道局がとつておるならば、こういう事態の紛糾は見ていなかつた、また処分者も出ていないように思うのでありますが、この点、やはり広島のこの前聞きました事情と軌を一にするものと考えるのであります。むしろ当局が挑戦をしてこういう事態が起き、処分者が出ておる、こういうふうにどうも私は考えられてならない。当局の意向に従つて七名減しておるという状態の中で、組合側としては旅客列車と重要貨物列車は初日において確保できて、二日目あるいは三日目から平常運転ができるというように確信をしてやつておる。どうもあなたの方が挑戦をされておるように考えられるのですが、その点はどうですか。
  120. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 私どもの方といたしましては、四十名というような大量の休暇をとられまして、それによつて輸送が確保できるということは、この年末繁忙期においては、とうてい考えられませんので、そういう申合せに応ずるというようなことも、当然ないことであります。私の方から挑戦をするというような考えは、毛頭持つておらなかつたのであります。
  121. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 先ほど来の質疑応答によつて休暇とピケの問題が大きく浮び出ておると思いますが、一体新潟管理局として、いわゆる与えられた休暇が正常に消化されておるかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  122. 間瀬孝次郎

    間瀬説明員 ただいま管内全般の休暇の数字を持ち合せておりませんので、後ほど資料としてお出しいたしたいと思います。
  123. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 おそらく私は、相当の休暇というものが成規の期間にとれないと思う。極端なことを言うと、二割やそこらは無理してとらなければとれない、そういうのが国鉄の現状ではないか。特に新潟鉄道局においても例外ではないと考えておりますが、この点はひとつあとでお出し願いたいと思います。  それから、先ほど来の論議を聞いておりますと、どうも当局の方にも非常に落度がある。というのは、車掌の無資格者を乗務させたり、あるいは当然車掌乗務させなければならない列車に、いろいろな理由をつけて省略する、こういうことを主張されておるわけでありますが、当局のとつたこれらの違法性というものが、あなた方の説明によつてほとんど合理化されておる。違法ではないというように、私どもに押しつけようとされておるような傾向があるわけであります。しかも正常な運転をやろうとする組合側が、逆に全部違法である、こういうように無理に私どもに押しつけておるように私どもにはとれるわけです。それからこの処分の決定をする機関が、あるいは管理局であり、あるいは国鉄の本庁である。この問題も、私は過日来の委員会を静かに振りかえつてみましても、どうも判然としない。本庁の方がやられたのならば、当然先ほど論議になりました天王寺管理局のこまかい内容までもわかつておらなくてはならない。どこを基準にして処分をしたかという点が、私どもにはのみ込めない。この点も、私どもの疑義を抱く点でございます。  この問題は、どうせ後日の委員会で総括的に論議されると思いますので、本日は打切りたいと思いますが、先ほど組合側が出されました資料の末尾によりますと、新潟管理局で起つたこの問題については、処分をしないことに了解済みであるということがうたわれておるわけでありますが、この点について中闘の岩井君でもけつこうでありますから、どうして処分をしないと話合いのついた新潟の問題について、このような解雇処分がなされたか、この点についてお伺いしたいと思います。
  124. 岩井章

    ○岩井参考人 前の委員会に出ておりませんので、経緯が十分わかつておりませんが、今お話の点は、私どもにしましては、当時三割の指令を出したときの気持にしては、列車をとめることに重点を置くという考え方ではなかつたのであります。当時、記銀にも明らかな通り、国会の仲裁裁定の審議が、組合的な言葉で非常にヤマの状況にありましたので、これに対する組合側の的確なる意思表示をこの行動によつて求める、こういうところに重点を置いた指令として出しております。従つて新潟のとられた処置、その中で今直接御質問となりました点は、当時私どもとしまして、本部、本庁の間におきまして、新潟車掌が欠乗をしておるためにこういう状況が起きた、その状況の報告を、組合当局もともにそれぞれの機関から受けたのであります。従つて、こういう状況の中で、でき得る限りわれわれの目的である意思表示というものを的確にし、しかも公器である列車というものを考えてみた場合に、十分話合いをして、その上でと、こういう気分がありましたので、本庁の労働課とこの問題について話をいたした、これは事実であります。そして車掌が欠乗をしたような列車運転をさせない、こういう約束もいたしました。それから組合側は、かかる行動をできるだけしない、こういう約束もいたした。その際に、こういう約束をするからには、将来こういう問題については顧慮をしない、こういうふうな話も当時の話の中から出ていたわけであります。従いまして、先ほどからいろいろ、特に多賀谷議員から御質問になつていました点にも触れるわけでありますが、列車の本数が何本とまつた、こういう、当局の立場で言う被害の程度によつて地方々々を首切つたり、特別の地方をピック・アップして首切つたという当局側の御答弁でありましたが、私どもとしましては、むしろ結果的に列車がとまつたというのは、ほかの方に多いという場合も事実として知つているわけであります今日資料を、全部全国的に持つて来ていませんが、この点は、いずれ御要求があれば提出をいたしたいと思いますが、やはり新潟が、いろいろな努力を本部本庁間でしながら、結果的に馘首の通告を受けたのは、当局が主観的な意図に基いて地方々々を適当にねらい打ちをしたというふうに理解せざるを得ないというのが、私どもの今日の気持であります。
  125. 赤松勇

    赤松委員長 新潟の問題につきましては、後日引続き調査を行いたいと思いますので、本日はこの程度にとどめたいと思います。  そこで、大阪より参考人が来ておられます。大阪市鉄道管理局内、佐藤光司郎君、大阪駅構内大阪車掌区内、青山義一君、この二人が来ておられますが、この両君に対する売疑は、ひとつ二十分に御協力願いたい。そのあとで前回の委員会において決定しております特需関係の問題を取上げたい、こう思つております。なお本会議の時間も迫つておりますので、御協力願います。  それから東京鉄道局管内調査につきましても、これは次回の委員会――この委員会が終り次第、左右社会党から質問の通告もございますし、あるいは議案についての発言もございますので、これを理事会においてきめたいと思います。  当局側、何か発言がございますか――また継縦しますから、ちよつと協力してください。  それでは参華人の御両君、こちらへ来てください。
  126. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 始める前に一言申し上げておきたい。本日大阪から参考人が見えになりましたが、実はわれわれ大阪に参りましたときに、第二信号扱所に上りまして当日の担当者、にわれわれ労働委員として質問をいたしましたときに、駅長さん初め、助役さんがそこにお見えになつたのですが、どういうかげんか非常に遠慮をなさいまして、われわれの質問に対しまして明快なる御策弁がなかつたわけであります。そこで、本日この委員会における証言の結果において、今後職務上の地位その他において、当局から云々されるようなことはよもあるまいとは思いますけれども、そういうことの絶対にないよう、ひとつ国鉄当局の方に確約をしていただきたいと思います。
  127. 井上正忠

    ○井上説明員 ここでは真実を話していられるものと、私は考えておりますので……。
  128. 赤松勇

    赤松委員長 私からもお願いしますが、先日来いろいろな調査を進めて参りまして、いろいろな発言がございましたが、その発言の内容について、よしんば当局の方で気に食わぬ点があつても、これは国会の権威においてやることですから、あとで報復をしたり、あるいは身分上いろいろなことをしないようにしてもらいたい。これについて当局側の御意見を聞きたい、こういうことなんです。
  129. 井上正忠

    ○井上説明員 楯議員のお話の点、十分に了承いたします。
  130. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私は実は月光事件の問題についてお伺いしたいと思います。私どもはあの事件を、ただ当日起きた問題であるとのみ限定したくありません。といいますのは、私ども調査をしたり、いろいろ質疑応答をやつております経過から考えまして、あの月光に対する荷扱いというものが、何か担当者にとりましては過重である――厳格にいえば基準というものはないかもわかりませんけれども、大体の積載容量というものは明示されておる。それを越えて、極端なことを言いますと、無理に積み込むというようなことが考えられるわけであります。荷扱いを担当されております方にお伺いしたいのは、あまりにも荷物が多過ぎるのではないか。特に年末等においては、普通の常識を越えた積載が行われるのではないか、こういうふうに考えられますが、この点どういうふうに考えられるか、お伺いしたい。
  131. 青山義一

    青山参考人 私、当の一八列車の月光号の荷扱い車掌として説明いたします。また大きく、国鉄の荷扱い関係車掌としての考えもございますし、現在の荷物の出荷量から見て荷物車が不足しておることは事実でございます。そして一八列車に対しては、今お聞きのように、基準というものが、私らの解釈では非常にむずかしいのであります。なぜかといいますと、何ぼをもつて満載の限度とするという明らかなる明示がないわけでありまして、一〇〇%は、荷物車の通路、中道をあけて、そうして両戸前口をあけて、高さ一メートル八十というものがまず一〇〇%というようになつておるのであります。しかしながらその一〇〇%をもつて満載だと言つていいかどうかということが非常に苦しいし、またそれで満載だと言うことはいけないということに現在なつておるのです。それはただ法律の表わす基準であつて、現在の荷物の出荷、また荷物車とあわせて考えると、決して一〇〇%が満載状態ではない、こういうことを、いつもわれわれは言われておるのであります。それでありますから、私らはいつも上りの場合には、京都、大阪を出る場合には、天井一ぱいに積まなければ東海道線は越せない、東京駅には着けない、こういう覚悟をもつてわれわれ荷物手はやつております。また下りの場合、東京を出る場合には、天井まで荷物を積まなければ、われわれは東京駅は出られないのだ、こういう覚悟のもとにやつておるのであります。それでありますから、自然お客さんの大切な荷物でも足げにしなければならぬ、実に忍びない状態もあるのでございます。現在の車の足りない関係で、まずそのようにやられておりますが、できることならば一両の荷物車でも、できなかつたら半両でも多くの荷物車を一日も早くつくつていただくように、国会のお方にもお願いしたい、かように考えております。
  132. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 私たちも、いろいろな情勢を見たり質問をしておりまして、日常の取扱い方がそうではないかというふうに考えております。月光事件も、これはことさらあの問題を起すとて起つたものではない、そういう過重な状態の中に、過去において当局がやつておりましたいわゆる荷物愛護運動というようなものの取扱いを厳格にやれば、あの月光事件のような状態が当然生れて来るのではないか、こういうふうに推量できるわけであります。  そこで、時間がございませんので、簡単にお聞きしたいと思います。おそらく荷物の積載量については、あなたとそれから積み込みの荷物掛の方がやられたと思いますが、当日あなたの方でもつと積め、こういうことを主張され、組合側がこれを阻止されたのかどうか。当局の資料の説明では、大体そういうことを言われておりますが、この点について、当日の実情を簡単にお話願いたいと思います。
  133. 青山義一

    青山参考人 当時のことを申し上げます。ちようど十一月二十六日でありますから、年末繁忙期に向う最中でもある。また一八列車は、宇都宮以遠の荷物が相当多い。これは大体上野着中継というのですか、鉄道の荷物輸送の関係上いろいろ区分がありまして、まず昼にはけなかつた荷物は、一八列車で東北線方面の荷物が大阪からも輸送され、また京都からも輸送される。こういう関係上一八列車は宇都宮以遠の荷物が非常に多いわけであります。当日は、私がホームに上りましたら、まず三輪車が二十台から三十台余りありまして、きようは荷物が相当多い、こういうふうに覚悟しておりました。そうして列車の入つて来るのが二十一時四十七分でありまして、発車が二十二時ちようど、十三分あるのであります。私の見ているときに荷扱手が二名おりまして、車掌室が列車の一番最後部になつておりまして、二名の荷扱手に一名ずつ戸前品で積込みの状態を監視させ、私は荷物車の車掌室の中から、全般の積載の状態なり、あるいは車掌室の監視並びに授受の方にまわつてつたのであります。小荷物掛が、列車が到着してすぐ入つて来て、ちよつと多いが頼む、こう言つて二百四十四個の引継ぎを持つて来て、まず判だけ押してくれぬか、引継いで、あとから総締めは持つて来るから……、こういう話でありました。それで私は引継ぎをもらつてすぐ調べてみると、二百四十四個ございました。それで判を押しました。この分なら大したことはない、私はこういうように覚悟しておつたのであります。そうして荷扱手を各入口に派遣して荷物の積込み状態を監視させ、私は車掌室から全般の状態を監視しておりました。そうしてちようど発車六分近く前ごろになりましたら、駅の荷扱手が四、五名中に入つて思い思いに積んでおりますから、相当積みました。そうした時分に、もうどうです一ぺん積載状態をひとつ平塚さん見てくださいというわけで――その前にはホームでは非常に喧々囂々として争うというか、何というか、やかましく言うておりましたが、私まだその現場へは行つておらなかつた。それは私のおる口よりももう一つ向う側の口でありましたから見通しがきかない、とにかく相当騒がしい声はしておりました。それで私は発車六分前ごろに、相当積ました時分に、一ぺん積載状態を見てくれというのですから、私は責任状態を見に前に行きました。そうしたら、一台の荷物車から十五、六個の荷物を積まんとして、すでに積んでおる最中でありました。それから盛んに組合の方、当局の方と思われる方との間の争いがはげしかつた。積もうとする者、またこれを制止しようとする者、積むんだとか、今まで荷扱いがやつておるんだとか、やかましかつた。それで私見ておりましたら、デッキがなくて全部が荷物車になつておる関係上、大阪の駅は奥へ積むから、戸前口はかなり寄せてありました。そうすると日ごろ私たちは、天井まで積まなければ大阪は出られないというような観念もあるしするので、年末ではあるし、荷物も相当来ておつたから、まあまあ――十五、六個の荷物を非常にやかましく取合いしておる。それと同時に、私は引継ぎをもらつて、そうして判を押しておる関係上、荷物と引継ぎと合わぬことは、私の責任上、仕事の上でいろいろ困ることありますしするので、まあ十五、六個の積みさしの荷物は積んでもらおう、こういうことで、とにかく当局組合との間の苦しい立場に立つてつて、まあ積んでください、またこれは積んではいけない、こういうことはまず言えないが、私の心の中で正しい判断として、これは荷扱車掌として、積残りはいけない、とにかく引継ぎをもらつて判を押したから積残りはないように、この十五、六個の荷物を積んでもらおう、こういうふうに私は言つたわけでございます。
  134. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 それでは、佐藤さんにお伺いしたいと思いますが、積込みの阻止に対して、積込の総指揮をやられたというぐあいに、先日の委員会で聞いておりますが、あなたはだれに話をされ、だれから頼まれて、積み込まなくてはいけない、これを阻止する組合に対して、積むんだ、こういうことを言われたのは、独自の判断か、そうでないのか、この点についてお伺いしたい。
  135. 佐藤光司郎

    佐藤参考人 お答えをいたします前に、私の立場をちよつと申し上げておかぬと話が合いませんので、一応申し上げます。  私の職名は、駐在運転長付でありまして、駐在運転長付と申しますと、現場へ直接参りまして、運転に関する一切の業務に対して現地の指導監督をするのが任務の概略であります。  当日、ちようど年末で荷物がたいへん輻輳しておりますと国時に、折柄ちようど闘争のまつ最中で、相当大阪駅の荷物状況が混乱することが予想されたのであります。そこで、そういう職責上から、現地へ行つてみる責任を自分で痛感いたしたことは当然であります。当日大阪駅のホームに参りまして、その状況を見たわけであります。時間がないようでありますので、その実情を簡単に要点をつまんで申し上げますと、今専務車掌が話された通り、当該列車はマニという車でありまして、荷物の実情は、これは平生統計によりますと、新聞であれば大体七百から千二百ほど積めるのであります。普通の荷物で申しますと、これが普通に積み込みまして大体六百、無理をしますと大体七百ぐらいは積めるというのであります。しかるに当日ホームの状況は、三輪車荷車一台に十五個から二十個積むのでありますが、これを十八台持つてつたわけであります。そうすると、最高積んだ個数で計算いたしましても、大体三百六十の個数になるわけでありますがこの荷物を積むために、今車掌から話があつたように、授受がされたわけであります。現場を指導し、監督する者の立場から申し上げますと、お客さんから預かつた大切な荷物に、もし途中で事故があり、あるいは授受に対して遺憾があつて、客に迷惑をかけてはならないという点に、われわれは特に気を使つておるわけであります。今申し上げましたように、車掌が授受をしたものに対しては、持つて行かなければならないという精神は、専務車掌が言つておる通り、監督の地位にある者といたしましても、何とかそれだけは積んでやらなければならないという気持は持つておるわけであります。ところが、たまたま当日、当該列車の最後部の方約五十メートルの地点に、ピケライン要員が招集れされておりまして、絶えず現場の積込み状況と勘案して連絡をとつておられたようであります。その状況で、ちようど荷物が十八両の車のうち十五両積み込まれた際に、当該入口に地方闘争本部の闘争委員の方が二名、初めてからつき切りにおられましたが、あと三両積んでしまつたら荷物がなくなるわけであります。七百積めるところへ三百五、六十積んでもがらがらであることは、常識的でも判明するわけなんですが、あと残すものが少くなつたものですから、満載ということで、とびらの前におる当該地方闘争委員が、両手をあげて積むのを阻止するかのごとき行動に出たのであります。その際に、中の方からは手を出して荷物をとろうとするのであります。こういう状況を呈しておる際に、その阻止をしておりました当該闘争委員が、専務車掌のことをニレチと言いますが、ニレチを呼べ、ニレチを呼べと連呼したのであります。私もそばにおりまして、これは三儀の童子でも、この状態が満載であるかいなかということは判明でき得るから、私も見てもらつた方がいいじやないか、かように心得ましたので私も続けてニレチを呼ぶように、当該小荷物の責任者である小荷物主任を呼んだのであります。小荷物主任を呼んで、小荷物主任ニレチを呼べと、私はその組合の指揮者と同じ調子で呼んだのであります。そういう言葉を相前後いたしまして、今申し上げました青山専務車掌が現場へやつて来たのであります。やつて参りまして車内を見て、今申されたごとく申されたわけであります。その積もうとする荷物を指さしながら、じや、それを積んでくれ、その通りの言葉なんですが、こういうふうに言われたのであります。それと同時に小荷物主任に、ニレチが積めと言つたら積めと、こういうぐあいに小荷物主任に言つたのであります。もちろんこれは、先ほど申し上げましたように、荷物専務車掌がそのような状況にあるのにもかかわらず、荷物が満載だから積めないということを、かりに申したとするならば、監督の責任にある者といたしまして、満載でないわけでございますから、これはそういうことを言われても、当然積まなければならないように、私は指揮しなければならないはめにあるわけであります。  なお当日の、その列車に対する状況を申し上げますと、大阪で三百八箇を積みまして、京都へ行つて六十九箇を積載しております。さらに名古屋へ行きまして、はつきり数字的に記憶をいたしておりませんが、百二十二、三箇積載していると思うのであります。先ほど専務車掌が言われたように、当該一八列車は指定列車でございまして、宇都宮以遠の荷物を専属的にこの車に積み込むのであります。ゆえにその荷物は宇都宮まで行く間に整理されればいいのであります。ゆえに、きわめて作業の状況は、他の車と比較いたしまして好条件に恵まれているのでありまして、大阪で三百八箇を積んだ荷物、これが満載とは、私がここで申し上げるまでもなく、当時の実情を見ておられた各新聞社の記者等においても、なお翌日の新聞紙上においても、明確に記されているように、がらあきの車が満載で発車したというように見出しを書いている実情であります。以上であります。
  136. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 どうも三百八箇積んでありながら、がらあきとはちよつと話がおかしいのですが、そういたしますと、担当者とあらかじめ相談をされて、あなたはそういう措置をとつたものではない。たまたま組合と争つているうちに、いろいろな情勢から、これは積まなくてはいけない、こういうことになつたというふうに了解いたします。
  137. 赤松勇

    赤松委員長 楯君、御発言中ですが、ただいま本会議に定員法がかかりますし、そのあとのMSAの法案がかかりますので、時間がございませんので、ひとつ端的に御質疑をお願いしたいと思います。答える側も、ひとつ端的に事実だけを答えていただきたいと思います。
  138. 楯兼次郎

    ○楯兼次郎君 端的に聞きます。そうしますと、担当者と事前に相談して、積める、積めないという判断をしたものじやないということを、私は今のあなたの言葉から受取ります。それからその車掌さんが指さして、これだけは積んでもらいたいと言われた荷物は、積んだのか積まないのか。その点が一つと、それからお客さんから預かつた大事な荷物であるということを強調なさつているわけでありますが、資料を見ますと、その荷物の上にあなたが乗られて、踏みつけて指揮をなされた、こういうふうになつておりますが、この二点について伺います。
  139. 佐藤光司郎

    佐藤参考人 二つについての御質問でございますが、第一点の、一十個ほどの荷物のうち、積んだ荷物は、当時車掌が言つているように、たしか十五、六であつたと思いますが、そういうピケラインを張つてしまつてから、大体五、六個の荷物が積まれたと思います。結局残りました荷物は八個でございます。  それから、佐藤は大事な荷物を、そのように強調しておりながら、踏んだではないかという御指摘でございますが、なるほど言葉だけで行きますと、その通りでございますが、そこには理由があるのでございます。と申しますのは、簡単につまんで申し上げますと、ピケを張るために、職員が一ぺんにがつと入口の方に押しかけて来た。それですから、三輪車を押しまくつたわけであります。そしてその車の上に載つてつた荷物が落ちて、それが踏みつぶされたわけであります。それを、こつちは入口におつたために拾つた。ところがそういう大勢のところで、おそらくは意識的でなかつたかもしれませんけれども――相当な混乱状態ですから、だれが踏んだとかどうしたということは、私はここに強調いたしませんが、そういう混乱の中で荷物を積もうとして、相当もみくちやにされて踏つぶされそうになつたわけであります。もう一つ言葉を鋭く申しますならば、その状態であれば、踏み殺されてしまうような実情であつたわけであります。そこで何とかその荷物を持つたまま立ち上ろうとするわけでありますが、踏みつぶされないようにしようとして荷物をひつぱる、それを踏まれるという状態で、容易に起き上つて自分のからだが自由にならないのであります。そこでその荷物に上つたという問題は、押しまくられてどうにもならない、そこへもつて来て、何とかしてそこの場所からのがれようとする騒ぎに、佐藤の服をひつぱる方がおるというような実情で、その場面はちよつとここで言葉によつて表現を申し上げることができないわけでありますが、そういう雑然とした中で持物の上にあるいは佐藤の足がかかつてつたかもしれません。そういう点で御了承願いたい。
  140. 横手眞夫

    横手参考人 大事な点でありますので、明確にしておきたいと思います。ニレチ――荷扱い専務がただいま証言をされたように、先日井上説明員が、専務が荷物を積んでくれというにもかわからず、ピケが妨害して積めなかつたということは、この点についても明らかになつたと思います。荷扱い専務が来ましたときは、本日の証言によつても明らかなごとく非常に混乱状態に入つてつたということであります。なぜ混乱に入つてつたかということであります。それは別途資料でお手元に配つてあると思いますが、二十六日の月光の問題を惹起する前の団体交渉によつて明らかなごとく、この判断については、当局の方から小荷物主任と荷扱い専務が責任者として判断をする、だから妨害しないでくれという申出があり、われわれの方としてもそれを了解はしたのであります。従つて佐藤参考人が今言われております大事な点は、そういう団体交渉の打合せにもかかわらず、指揮監督という名をもつて、そういう打合せを十分に行わず、あるいは知つてつてつたのか、荷扱い専務と小荷物主任と話をせよというその瞬間に、佐藤参考人が荷物を中に投げ入れた、ここに混乱紛争が起きたということであります。  いま一つは、荷物はピケによつてつぶされたということを言つておりますが、先ほども申し上げました通りに、ピケの配置は初めから荷物の妨害のためにやつたのではなくして、これは明らかに佐藤参考人が荷物を投げ、愛護運動にもかかわらず荷物を乱暴に扱う、それが闘争委員の方を刺激するというような問題が起きましたので、制止を開かずにやつたために、そこへ直接行動隊が出て行動したということであります。これは前回の私の供述と何らかわつておりません。  それから荷物がつぶれたのは、押しつぶされて転がりそうになつたからということであります。さらに荷物に足をかけたかもしれないということを言つておりますが、これは写真によつても――参考として皆さんにお見せしましたが、そういうものではなくして、荷物の上に乗つたがゆえに荷物がくずれて来た。従つて、荷物からおりろということを、私の方から佐藤参考人に対して勧告をしたというのが事実であります。それを振り切つて、荷物の中で、写真でも明らかなことく、手を振つてさしずをしておるというのが現実の姿なのであります。そういう点は、非常に大事な点でありますので、ここに明らかにしておきたいと思います。前日の打合せを、前回二十四日の当時、井上説明員は全然そういうことはなかつたいうことを言われております。その議事録については、本日お手元に配つてありますが、この中においても明らかなごとく、労働運動というものは、なるべく現地における紛争を起さないように、前もつて当局話合いをする、その話合いの上に立つて協定されたことは、お互いに協定を守つて行く、これが私は労働関係の紛争を起さない根幹ではないだろうかと考えます。しかるにもかかわらず、団体交渉にも参加しておらないその人たちが、話合いをしろと言つておるにもかかわらず、指揮監督の名をもつて、この話合いの寸前に荷物を投げ込んだことが、当日の混乱を起した原困となつたことは、私は非常に残念であるということを御答弁申上げておきたいと思います。
  141. 赤松勇

    赤松委員長 井上説明員は、組合側から出された二十六日の団交議事録はお読みになりましたか。
  142. 井上正忠

    ○井上説明員 実は組合から出しておいでのものは、私拝見しておらぬのでありますが、当時の団交と言われておりますものは、こちらから荷物の満載の説明を二十五日、前日に出しております。この資料はお手元にお出ししているわけであります。組合の方からの資料を私ども拝見いたしておりません。
  143. 横手眞夫

    横手参考人 二十六日の午後であります。月光は二十六日の夕方にやつておるのであります。二十五日も確かに団体交渉いたしました。十五日にやつた問題について、今後紛争を起したくないというので、当局の方からも申入れがあり、その中に一メートル八十の基準の問題も確かにございました。しかし最後の結びとしては、総務部長としてはこの際確認しておきたいということで、それは積載量については、関係職員、荷扱い車掌及び小荷物主任というような責任者が判断するので、組合がそれに干渉したり妨害したりする行為はやめてもらいたいということを、総務部長の方から言われておるのであります。それを組合の方は、労務団体交渉における協定として、われわれはそういう行動をとつたのであります。従つて佐藤参考人も言われました通りに、われわれのところの組合員がニレチを呼べ、荷扱い専務を呼んでくれと言つておるのは、そこで交渉をしようということにほかならないのであります。
  144. 赤松勇

    赤松委員長 本委員会の決定によりまして決定した文書でありまして、正式に提示されておるのであります。あなたの方は、それは事実に反するということになりますと、重大でございますが、いかがでございますか。
  145. 井上正忠

    ○井上説明員 このいただきました議事録は、私もずつと通覧しまして、まだよくわからないのですが、実は私二十五日に団交に出ておりませんので、総務部長と旅客課長、一番の荷物の責任者が出ておりましたので、私の方から出しました記録と、組合の方からの交渉の記録とつき合せて、ちよつとどこがかわつておるかよくわかりません。ただ乗務員側と打合せをすればいいということであります。簡単に申し上げますとそうでありますが、結局駅と乗務員との打合せというものは、常日ごろ問題の起る性格のものでありまして……。
  146. 赤松勇

    赤松委員長 ほかのことはいいです。その議事録を確認してもらえるかどうかという問題です。
  147. 井上正忠

    ○井上説明員 それでは、後ほど御報告いたします。
  148. 赤松勇

    赤松委員長 では次の機会にあなたの方から意思表示をしていただくということにしたいと思います。  この問題はこの程度にとどめまして、次会に本問題を継続して調査を進める必要がありますので本日御出席の参考人中、岩井章君、歌崎藤作君の各位には、御足労ながら次会にも御出席願いたいと存じますから御了承願います。     ―――――――――――――
  149. 赤松勇

    赤松委員長 次に特需関係労務に関する件について調査を進めます。     ―――――――――――――
  150. 赤松勇

    赤松委員長 この際お諮りいたします。特需関係労務に関する問題について、関東特需労協議長の坂本登君より、参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認めてさよう決します。坂本参考人こちらへ来てください。  それでは、時間がありませんから、すぐ坂本参考人の御意見の発表を願います。
  152. 坂本登

    ○坂本参考人 それでは簡単に陳情の要旨を申し上げます。前回の委員会におきまして、これから申し上げますようなことについては、大体申し上げてあるのでありますが、具体的な問題を理解していただくために、簡単に経過を申し上げます。  まずわれわれの要請した問題は、特需労働者――特需の中においていわゆる需品特需というものがありますが、われわれの場合には役務特需で、現在関係人員にして大体二万五千人、事業会社の数にして八社あります。これらの労働者の退職金の問題についての保護立法を要請したいというのが今回の趣旨であります。なぜこのようなことを申すかといいますと、特需の命数が今年一ぱい程度に考えられるし、大体月を追つて量も減つて行く。こういう中において業種転換という問題がありますが、それが不可能な場合には、必然退職をするという環境に置かれております。それにもかかわらず、特需労働者の退職金の引当額は、現在のアメリカとの関係において、私契約の建前をとつて、業者が自由にアメリカと契約する。この自由にという一応形式上の立場はありますが、実際には力関係において押される。目下の業界の状態においては、仕事をほしいために、米軍の思うままに値段をたたかれておる。こういう状況下にありまして、十分な退職金のたくわえを持たないという実情にあります。これを他の例にとりますと、いわゆる、LSOという直用労務者の半額程度しか、企業の支払い能力としては持たない、こういう関係に置かれております。その実態はLSOのそれとかわらないにもかかわらず、失業の場合における補償、なかんずく退職金という問題については、不遇な点が予想される。従来の歴史的な事情からいつて、われわれは、この場合は、政府の責任において保護されるべしという主張を持ち、権利を持つておるのではないか、こういう点をまず考えたのであります。この点前回の委員会におきまして、あるいはこういう希望を持つて関係当局、また労働省あるいは外務省、調達庁等をたずねて、いろいろ意見をたたいたのでありますが、現在のところ、調達庁関係として米側に強力な折衝をして、企業管理をして退職金の支払い能力を付与させる、いわゆる米軍から現在以上の金をしぼりとればいいじやないか、このために当局は力を尽すであろう、こういうような見解をいただいておるのであります。これらの関係は、われわれがここ数年間分契約あるいは間接契約によつて不利な契約を打開する、こういう方向に努めて来たにもかかわらず、実際はできない。いよいよ差迫つた現在にあつて、せめて退職金をというようなところで立法化を考えなければならなかつたという事情下において、特調が業者と米軍との間に入つて何らかの政治工作、あるいはどういう方法かによつてそういう結果をもたらすということは、一応見解としてはわかるのでありますが、実際の効果において、われわれははなはだ疑いを抱かざるを得ないこういうように考えております。その理由として先ごろ伺つたところによりますと、特調関係においても、特需問題については公契約法の方式をとることについては賛成であるが、なかなかできないでおるというような事情、おそらくわれわれの想像するところでは、行政協定がその大きな基本的な障害になつておるのではないかということも想像いたしますので、この点に期待はかけられない。そこで私契約だからあまり干渉はできないということも、これまでの間、しばしば当局からそういう意思の表明がありますので、今回の場合、特需の問題については、非常に問題があることはわかるけれども、その打開の方法は、主として米軍と業者にあつて、私契約という建前を生かしつつ、なお当局としてその間におつて働きかけて、そういうような希望に沿うであろうというようなことを伺つたのであります。  しかし、われわれの疑問を端的に申し上げますと、従来できなかつたことが今回特にできるという理由を、どういうふうに考えるか。またその手段としてこの問題に対して具体的にどういうような措置をいただけるかという点について、結果に対して疑問を持つという前提に立ちまして、そういうことを申し上げて、当局の、特に調達庁関係のこの問題に対する見解を承つて、その上でさらに意見を申し上げたいと思います。  以上概略を申し上げまして、一応私の陳情を終ります。
  153. 赤松勇

    赤松委員長 これより質疑を許します。日野吉夫君。
  154. 日野吉夫

    ○日野委員 この問題の調査にあたりましては、今の意見にもありますが、本年限りだというようなことも言われておる特需関係の見通しが、非常に重大なんでございまして、この関係については、過般井堀委員から一応受注関係の明細報告を求められて、特調の方で約束しているはずであります。しかし、どういう事情か、一向資料が出て参りませんので、調査を進める上に非常に不便を感じているのであります。ちよつと見ますと、東洋経済やエコノミスト等で、かなり詳細な資料を発表いたしております。国会の審議の前に、雑誌等が発表しているのであつて、別に秘密保護法の関係もないでしようから、これはひとつお出し願いたい。いつ打切られるのか、どのくらいの受注があるのか、これがはつきりしないと、対策の立てようがない。二月に来たアメリカの対外活動本部長官スタツセン氏は、特需八億の確約をしておる。今年の約束をしているのであります。さらにマニラでこの関係会議が開かれておりますが、この会議でどういうように決定したのかも、一向はつきりしていない。愛知通産相に対しては、大体特需の八億を保証する、減少する心配はないというようなことも言つておられる。新聞記者会談などでも、明確に言つておられるようであります。財界筋に対しても、こういう明確なことを言つておられるし、朝鮮にまわつて朝鮮の復興特需も約束させるというようなことも言つておられる。朝鮮の発表によりますと、朝鮮の復興に対して日本からも相当の物を買う、具体的に六十二万ドルの自動車の部品、あるいは鉄道の車両、そのほかに一千万ドルの日本から買う肥料購入資金も決定しておる、しかし日韓会談を開くにあたつては日本が失言を取消さなければいかぬ、失言取消しを条件とするなんと言つておりますが、ここまで話が具体的に進んでいる。しかし現実には、一向に発注が出て来ていない。昨年同期と比較して、ほとんど三分の一程度に減つておる。一方では明確に八億ドルの約束をする、そしてMSAの締結でも五千万ドルの外麦の買付のうち、一千万ドルは日本に譲与する、これは日本の防衛力充実のために使わせるというようなことが言われておる。     〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕四千万ドルは日本の国内における完成兵器を買うのだ、こういうようなことが言われておりますけれども、現実にはやはり減つておる。それならば、この協定が成立した後に約束通り注文がどんどん来るものか、このままでもう先細りになつて、とにかく特需というものは将来はなくなるものでしようか、それはいつまで続くのか、こういう点についての一応の見通しが立たぬと、産業の転換もできないし、労働者の配置の点も考えられないので、一応これらについての見通しがありましたならばお伺いしたいし、できれば、この審議の調査の資料として詳細なものを御提出願えば非常にいいのですが、それらに対して見解をお述べ願いたい。
  155. 山内隆一

    ○山内説明員 お二人さんの御意見なり御質問に対して、お答えを申し上げたいと思います。今のあとの特需の見通しはどうかというお尋ねであります。これは私からあまり口はばつたいことは差控えなければならぬと思いますが、非常に大きな問題でありまして、おそらく日本政府のいかなる担当省庁においても、はつきりとした見通しをつかんでおるものはないと思います。一番関係の深いところは、実は調達庁ではないのでありまして、そういう問題については外務省とかあるいは大蔵省とか、経済審議庁とかあるいは通産省、そういう方面がむしろ大事な関係でありまして、いずれぼんやりしておるはずはない。日本の重要な外貨の問題にも影響することと、それから特需の業者あるいは労務者、あらゆる方面に大きな影響がありますので、この見通しをつけたいという気持において、委員さん方とおそらく同じ気持を持つておられるだろうと思います。私の方としましては、もちろんそういう大きな問題の権限を持つておるわけではありませんが、ただ私どもとしては、絶えず不服のある業者の方と接触していること、それから労務者の方からもいろいろ不平不満を聞かされること、そういうことからいつて、何といつても一番根本の大事なことは特需の見通しをはつきりし、しかもそのある見通しのもとに発注の平均化をはかつてもらいたい、こういうことは、調達庁が言い出して、外務省を通じて向うと折衝いたしております。調達調整委員会に持ち出して、なおひとつこの問題をできるだけわかるようにしてもらいたいという交渉をしつつあるような次第であります。従つて、特需全体の見通しいかんと言われたときに、遺憾ながらここで申し上げるほどの材料を持つておりません。ただ、車両の修理というようなああいう大きな役務関係につきましては、絶えず契約調停委員会に出ております竹田君の話なんかによりますれば、今のところ、来年の六月ぐらいまではまず大丈夫だという程度のことは、わかつているらしいのですが、ではそれから先完全になくなるのか、まだ続くのかというところはわからない。そんな程度のことで、お答えになりませんけれども、あしからず御了承願いたいと思います。  それから、こちらの方から特に調達庁を指定してのお尋ねがありました。最初の問題は非常に大きな問題で、私ここで申し上げることは、ほんとうははばかりたいのですが、ただお話の通りの立法化ということは非常に困難である、こういうことを申し上げざるを得ないのであります。あとの退職金の問題は、この前もここで申し上げたのですが、最近の極東軍司令官に対する契約調停庁委員会からの勧告によりまして、今までよりは相当好転しております。たとえばある業者の契約の中に、わずかな退職金が積立てになつておる、しかもそのわずかなものがコストに入つておる。ところが大分大幅に削られたというようなことで退職を余儀なくされるようになれば、これはアメリカさんの方の理由による縮小であり、発注減ということに見まして、そして必要な整理による退職手当を計算して、今積立金に載つておるとか、あるいは労働協約で約束している額よりも多くなつて、その差額が幾らかということが出れば、その差額は特に補償として出してやろう、こういうことになつておりますので、これはもちろん勧告ですけれども、その勧告はいずれ末端に移りまして話がきまるものと私どもは確信いたしておりますから、そういう程度においては、整理による退職手当は出していただけるものと信じております。
  156. 日野吉夫

    ○日野委員 大きな問題であることは、日本の経済を左右する大問題でありますから、私もその通りであることを率直に認めます。ただ、この場合一応明確な見通しを持たぬと、対策が立たない、こういう意味で、特調は契約調停委員会の事務局になつているはずです。そこでこういう状況が続きますと、調停委員会が去年は百五十件を取扱つて、そのほかに事件にならないあつせんを千件やつたという報告を出しておりますが、こういう調停を要する紛争等も非常に多くなると思う。それでこれらの対策を立てる上からもどうしても一応今発表になつておる程度の数字は調査しなければならぬと思いますので、あなあが過般井堀さんと約束した資料の提出を、事務局として通産省なりあるいは外務省なり、そうしたところと折衝し、資料をとつてここに御提出願いたいと思うのですが、それは確約できますか。
  157. 山内隆一

    ○山内説明員 この前の会合のときに、井堀委員からお話がありまして、あのときに、ものによりましては、私この席でもかくかくの事情で非常に困難であるということを申し上げたはずでありますが、最後のときにできるだけ資料を御提出しましよう、またわからぬところはできるだけ調査して差上げましよう、ということを申し上げたのであります。その後資料として御提出申し上げたものの中には、お尋ねの事項の入つていない点が大分ございます。この点、私ども恐縮に思つておりますけれども、実は調達庁の性格が、契約調停委員会の事務局であつて、問題のあつたその問題を調査研究して、合同委員会に勧告案として出すその仕事をやるだけでございまして、特需全体の非常に広汎にわたるものの材料は何も持つておりませんし、またもらい得るルートもないわけであります。しかしお言葉もありましたので、通産省の特需課に行つたらどうかと思つて、係の者を特需課の方に差出していろいろ聞いてみましたところが、向うの方に相当いろいろの材料があります。しかしその材料が生の材料でありまして、非常に広汎にわたつたたくさんな分量でありますので、とうていわずかな人員で、それを借りて来て調べるということはほとんどできません。そこで通産省に行つて場所を借りてそこでやらせてもらおうと思つたのですが、その方の事務局の人員というものはきわめてわずかでありますので、これもなかなか困難である、しからば通産省にやつてもらおう。向うの材料ですから通産省にやつてもらおうというのはどうかという問題が残るわけでありますが、これは先方のことですから、あまり深入りしたことは私ども聞いておりませんけれども、向うとしても非常に件数の多い大量な容積を持つ書類でありますから、なかなか困難じやないかというような話を聞いて参りました。その事情だけは、当時井堀さんにも話してあつたわけであります。そんな事情でありまして、調達庁の今の事務局というものは、特需関係全体の事務局ではなくて、問題が起きた場合に、ちようど裁判所が裁判に提起された場合にそれを研究すると同じ程度しか権限もなし、職員も持つていないし、経費も持つておりませんので、非常に困難であるということを申し上げざるを得ないと思います。
  158. 日野吉夫

    ○日野委員 どうも特調相手では、なかなか話が進まぬのでありますが、これは通産省を呼んで、もう一度この関係、見通し等をはつきりとつけて対策を立てなければならぬと思いますから、次会には、その手配方を委員長にお願いいたしておきます。  それで特調に関係のことだけの質問をしたいと思うのですが、この特需関係の労務者の地位というものは、一体このままでいいのか。業者と駐留軍との契約によつて、結局その契約の条件によつて左右される労務者が、不利な契約の条項があれば当然労働条件が苛酷になつて来る。しかし今のお話のように、直用労働者に比較しても退職金が半分しか用意がないということ、その他時間の問題などもあるので、これはどうしてもこの契約のもとでは特需関係労働者の身分は保障されないのであります。しかも今この見通しのもとでは、先細りでありまして、すでに問題が起つておる。この間聞きましたが、日中産業などは、今の政界の問題のあおりを食つて、すでに首切りの問題が起つておる。こういつた問題をどう処理するかということについて、何かいい方法があるかどうか。もしこの契約が、業者と駐留軍の私契約のままに置かれるならば、当然そういうことになり、しかもこれは労働三法の適用を受けないというような状態になつているので、これは特調の管轄であろうと思いますが、あつせんあるいは条約の改訂等で公契約、あるいは間接に政府と駐留軍が対等の立場において契約をして、それを責任をもつて業者にやらせる、こういうように契約を改めることが可能かどうか、この点はついて特調の御意見はどうですか。
  159. 山内隆一

    ○山内説明員 根本の考え方から申しますれば、はたしてこれが理想的に行くかどうかということは、若干疑問がありますけれども、お話のように調達庁が米軍と契約をして、適正なる業者にやらせるというような考え方は、これは考え方としては十分あり得ることだと思います。これは言葉をかえて言えば、前に調達庁が終戦処理費についてやつていた間接調達ということになるかと思いますが、これは御承知のように行政協定の上で間接契約ができないような形になつておりますので、今この方法がいいんじやないかというような声が大きくなりましても、簡単に行政協定を改訂してもとのように直すということは、非常にむずかしい問題がいろいろ介在しているかと思います。この見通しについては、どつちかというとなかなかむずかしいのじやないか、かように考えています。ただ私どもでやり得ることは、今お言葉の中にもありましたように、何か契約の仕方がなんかに非常にまずい点、業者に不利益のような点があれば――もつとも個々の契約にちよつとあつたからといつて、すぐ調達庁が取上げて、その契約の改訂を迫るということは、契約調停委員会の本質に沿わないのでありまして、全体に共通した事項で、私どもがいつかも申し上げましたように、あまりアメリカ式にやられて、日本の業者が非常に損をする、泣寝入りになるようなことがあつては困るというので、ある程度契約に入る事前に先方と協議して、なるべく共通の問題でできるだけ問題になりそうなものを、日本側に有利なといいますか適正な条文にかえて、折衝して一般条項というものをきめて――前に参考にお上げしてありますが、ああいうもの、あるいは非常に特殊な契約について、さらに特に伴うべき特殊の条項というものを相談してきめる、そういうものが前提になつてつてありますけれども、これはもとより調達庁もいろいろな問題を出して全部認められたわけではないのでありまして、これをやつてつたら、結局いつまでたつても話がつかぬので、この程度で一応話をつけようということで今やつております。従つて契約の中に、全体としてまだ不満足な点なり、あるいはこちらが持ち出して一つの懸案事項として、駐留軍でワシントン政府に問い合せておるような問題があるわけです。そういうようなものもできるだけ有利に解決するように、さらに調達庁としては努力することが必要であり、また残された問題だと思います。それからもう一つ、たびたび申し上げる通り、個々の契約で、案文ではなくて、解釈のいかんによつて非常に損得が起る場合と、それから解釈というよりは、現場の監督官のやり方によつて、これはりくつではなしに非常に損をする場合がありますが、そういう場合に、業者の方から軍に一応の是正方を申し込んで、聞かれないときには異議申立として出してもらうというようなことによつて、個々の業者の困る問題を契約調停委員会にかけて個々に解決する。これは当然調達庁の仕事でありますから、なるべく伝宣して、泣寝入りにならぬようにと思つて各方面にお願いして、まずまず努力して、この問題をまずそういう方面から解決をしたいというような気持でやつておるわけでございます。
  160. 日野吉夫

    ○日野委員 この問題は重大な問題であり、非常に困難な問題であるけれども、不可能な問題ではないし、ほうつておけない問題ですから、ひとつ通産省を呼んではつきりと見通しをつけて、それからもう一度調査を進められることと思いますから、きようはこの程度にします。
  161. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長代理 次会に特需関係の労務者の退職金につきまして、通産省に来ていただいて審議したいと思います。  次会は明後四月二日午前十時より開会いたします。本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時三十一分散会