○植木
参考人 広島地方本部の植木であります。
闘争委員長をいたしております。私
どもの立場から御
説明申し上げたいと思います。
まず第一番に、別に私は首を切られておるから感情的になるというわけではありませんが、こういう場合におきましては、やはり労使ともに国会という権威を尊重いたしまして、その
人たちがとりましたことを詳しく申し上げることを、私
どもも考えなくちやならぬ。ことに、これは
組合のみならず、
当局においてもしかりであろうと、かように思うのであります。ただいま
磯崎局長の方からお話がありましたが、大切なところが漏れております。実はこのことは、御報告にな
つておるであろうと思うのでありますが、それらのことがどうであろうかと思いますので、このことにつきましては長崎総裁も御
出席の上で私は聞いてもらいたいところでございます。
私が申し上げたいことは、私
どもは、私
どもの年末の
闘争につきましては、仲裁の裁定完全実施ということを願としてや
つたのでありまして、私は本年五十三才になりますが、普通の
状態でありますなら
当局的立場に立つのであります。二年半ばかり前そういう話もあ
つたのでありますが、今日なお
組合にとどま
つておりますゆえんは、仲裁裁定が完全に履行せられるという姿ができるならば、国鉄労働
組合の
組合運動はまさに正常となるであろう、このことはひいて日本の労働
運動に影響を及ぼすものであるという信念に基いて私
どもは
組合運動をや
つたので、私はそういう信念でのみ――昨年の年末の場合には、御承知のように昨年の夏ごろから仲裁裁定については全然了承しがたいというような国会方面の空気もあ
つたということでございまして、私
どもも、参加
組合員二万三千人のものは一致結束いたしまして、これではという気持の上に立
つて広島地方本部が行動したということを御承知いただきたいと思うのであります。
特にいろいろお話が
つたようでありますが、私
どもは中開指令に基いてや
つたのでありまして、これらの点については、いろいろ見解があろうかと存じますが、
組合の
運動をいたしております者といたしまして、業務指令に対して従わないという結果が現われますと、これは
組合幹部としての責めを果さないことになりますので、先ほど諸先生方からお話のように私
どもは忠実に中闘指令を
行つたのでありまして、地本におきまして具体的にわれわれに対して課せられることが何であるかということを
局長に話しましたところ、
磯崎局長は、
自分は事実を
中央に報告した、しかもその決定は
中央においてなされることであ
つて、
自分は任命権者としての発令をしたまでであるということでありますが、先ほどのお話でありますと、
局長がみずからいけないと思
つてや
つたというような言葉がにおえるようでございますが、そういう過程を経ました。
本論に入ります。特に私も
局長が申されましたように
遵法闘争なり、休暇
闘争なりというようなこと、また同じ休暇
闘争でも、後に行われました十割休暇
闘争は、途中で簡単にやめたのでありますから、これらについては問題はないと思うますので、私も十二月一日、二日、三日にわた
つて行いました三割休暇について申し述べたいと存じます。
御承知のように、休暇は十二月一日、二日、三日にわた
つて行つたのであります。広島地方本部といたしましては、この戦術を行使いたしますのに先だ
つて、十一月二十九日午後三時、
磯崎広鉄
局長に対しまして事前通告を
行つたのであります。このこのことにつきましては――これは弁解がましくなりますが、広島が一日早く通告したために、
当局者に裏をかかれるという面もあ
つて困
つたというような非難も、他の地方本部から受けましたけれ
ども、私
どもといたしましては、すでに
当局にも申し伝えておりましたように、事態がきわめて重要ということを思いまして、下部の
組合員が一体としてきわめて固い決意を持
つておりますだけに、相なるべくは
当局者に十分に考慮を払
つてもら
つて、もしできることなら戦術を発信する前にこれを解決したいという気持があ
つたことも事実であります。ともかく私
どもは、私以下大崎
書記長、ここにおります
本間企画部長三名が
局長に面接いたしました。その際に
磯崎局長はできることならとりやめてほしい。しかし
組合は
中央闘争委員長の指令であるからこれを行われるであろう。
従つて以下は聞いてもらえないかもしれないが、
局長のひとり言として聞いてほしい。すなわち、一、広島駅については、交通保安の見地から踏切警手及び運転保安の見地から信号掛の休暇はとりやめてほしい。二、広島
車掌区については、第一に
旅客列車、次に主要貨物
列車の運行を確保してほしい、こう申されたのであります。このことは、地本で団体交渉をいたしました場合に、何回も
局長に――私は意図は知らなか
つた。しかしながら戦術を行使する上において、
局長は理解を与えておられるはずである。そのことを結果が大きいから非難するということは当らぬということを申し上げ、広島の団体交渉では、しばしば
局長が大きくうなずいておられましたから、このことは御否定にはならないはずであります。
従つて、この見地に立つ限り、私は休暇をとることについて、この戦術を通じて、一応
当局は十分に御了解を願いたい。しかも十一月二十九日に、先ほど申しましたように通告をしておるというような事態もありまして、ひとりその現われた結果のみについて責められるということについて、われわれはどうも納得できがたいと思うのであります。
しかし、このことはともかくといたしまして、
局長のさような御意図に対しまして、広島地方本部といたしましては、偶然にも
局長の意向のように
闘争委員会で決定をいたしております。その理由は、広島駅につきましては、申されたように山陽線の主要駅であります。かつまた踏切り等については、市内交通もはげしゆうございますので、それらのことを考えた結果でございますし、さらにまた広島
車掌区につきましては、
旅客列車の受持ちが、これは
車掌区々々々でいろいろ違いますが、広島の
旅客列車の毎日動いております
列車の割合を申しますと、
旅客列車が六の割合であり、貨物
列車が四の割合でございます。従いまして、
局長の意図として
旅客列車、主要貨物
列車ということであ
つたのであります。第一番に
旅客列車ということでありますが、そこで、もし私
どもが
中央闘争委員会の
闘争指令そのままに実施いたしましたならば、
旅客列車がばたばた倒れるということが予想されたからであります。この点につきまして、去る日交通新聞によりますと、十七日に
吾孫子職員局長は、当
委員会で、三割を出動させないようにしておるところがあるということを申され、今日もそのようなことの御
発言がありましたが、もしこのお考えの中に広島のことを含めておつしや
つたのであるといたしましたならば、とんでもない見当違いであるというふうに私
どもは思うのであります。私
どもといたしましては、
局長の意向をもくみまして、
旅客列車と主要貨物
列車の運転を確保するためにとりましたところの、苦心の戦術であ
つたということを申し上げたいと思います。
かようにいたしまして戦術に入
つたのでありますが、
当局側にも
従つて用意があるはずであると思
つており、はなはだしい
列車運行上の乱れは起らなか
つたはずでありますのに、十二月一日以降どうして広島にはあのようにたくさんのダイヤの乱れが起
つたか、ただいま
局長のお話にな
つたような事態が起
つたかということであります。このことについては私
どもの方はお手元に別に記録として今日出しておりますので、後ほど企画部長の方からその問題について補足して
説明を申し上げたいと思います。
そこで十二月一日午前零時から戦術行使に入りました後に、午前の六時ごろまでは、戦術がわれわれの意図の通りに比較的スムーズに行われてお
つたのでありますが、午前八時ごろから、休暇をさせて多少
列車に影響があるのだがと思
つておりましたが、朝間から
列車はぐんぐん動いておりました。どうしたのだろうというて調べてみましたところが、広島の
車掌区長が
組合戦術の裏をかいて、次のようなことをや
つておりました。すなわち当日私
どもが休暇を命じました
車掌の取扱いの問題でありますが、当日出務いたしました勤務
車掌のうちの二、三名の者を、広島を
中心に短距離の区間を廻転乗務をさせておりました。そうして一方私
どもが休めと言
つた者を区長が呼びつけまして、どういう指令を発しましたか知りませんが、とにかく所定の駅に行
つて待
つておれと言われた。広島を
中心にしてぐるぐるまわして、ここまでおいでおいでで乗らしておるのであります。そこで、
組合が指令した休暇をとらないそれらの者は、ある部分については
当局もやむを得ないものと認められておりながら、どうも休暇の実態が上
つておらぬということでありました。そこでそういうようなことが行われておりました。このことをやりますために、
車掌にはジヤンパーを着せるとか、あるいは合図燈はふろしき包みに包むとかいうような用心深いカムフラージユをしておる、こういうようなことでありまして、
組合は当然のことといたしまして対策を講じませねばならぬので、中間駅に対して所要の行動隊を配置して、この結果
当局は完全にというか、相当参られたような
状態であります。
私はここで申し上げておきますが、初め私
どもの戦術行使の中には、先ほど
局長の言われたように、糸崎以西について行動隊を配置したということの御非難でありますが、私は戦術の初めに、こんなことは広島地方本部としても、また
委員長の私としても、夢にも考えていなか
つたことであります。広島の
車掌区長に、あるいは
当局が授けたかどうかは知りませんが、とにかく
組合にはああや
つてや
つておけばいい、戦術の裏をかけばこういう方法があるということが如実に現われてお
つた、邪推かもしれませんが、私はそういうふうに思います。その結果として、
組合としては、こういうふうに中間駅にまで行動隊を出さざるを得なか
つたというわけであります。
しかも、この過程におきまして、特に御認識をいただきたいことは、
車掌には七つ道具ということを、運転取扱心得の中なり付属規程において明示いたしておるのでありますが、場合によりますれば、
車掌の資格でありますところの運転考査試験を通
つた者とか通らない者とか、あるいは持物でありますところの信号用の雷管とか笛とか七つ道具がありますが、これらを省略して乗
つてもよいということがあります。恐しいのは、復線区間でありますので、いつ何時不時に
列車が停止するやらわかりません。そういうのに、うしろから来る
列車に対しまして、
鉄道の
規定として雷管という煙と音を発するものをも
つてうしろの汽車をとめるのでありますが、後方防護のためにするそういう雷管を持たせない。よく調べてみるとそういうような
状態があ
つた。
ここでちよつとはさみますが、先ほど残念なことながら廿日市という駅へ
列車が機外停車をして、そうして
車掌が欠乗したまま一区間走
つたという御報告がありましたが、この
列車は五一
列車と申します。これは主要貨物
列車でありますが、これに対して
当局はどういうことをいたしたかと申しますと、広島の駅から四駅隔
つたところに瀬野という駅がございますが、その
列車は広島までは岡山の
車掌が乗
つて参ります。ところが
組合が戦術を使
つておるからというので、
当局もそういう戦術を使われたのでしようが、瀬野の駅へ持
つて行
つて広島の
車掌を置きまして、臨時停車をさせて、瀬野の駅で広島の
車掌に乗り継ぎをさせました。そして広島の付近ではどうも
組合の目が多いからというので、己斐と横川というのは、広島の地方産業としてハムやら、かまぼこやらを出すのでありますが、
当局は
列車が動いておるのに、
組合の目が多いというので、とめるべき横川、己斐というような駅をわざわざ通過させまして、そのために急いで汽車が
行つたものですから、廿日市の駅で、運の尽きと申しますか、前の
列車がつかえてとま
つてお
つた。そこへ
ピケ隊が行
つてお
つたから、君はどうしたのかと言
つたら、所定のわれわれの意図の通りの戦術が行われておらぬから、そこで
車掌が欠乗かということにな
つた。この点につきましては、実は広島の福島町とか草津というところは、ハムなりかまぼこの産地でありますが、そこから苦情を申し込まれました。
局長に直接電話がありましたが、
組合の戦術のためなら、私らも批判されなければならぬ。しかし停車する
列車を通過させたために、ハム、かまぼこが腐
つたのだから、
組合が責任を負わなければならぬ理由はない。動いておる
列車をとめないで
荷主に迷惑をかけたのだから、われわれの責任ではない。私も了解を求めに行くが、あなたもおいでなさいと言うて、あいさつに行きました。
局長に電話がありましたから、御記憶でありましようが、そういうようなあわてぶりで、正常な乗務ぶりをや
つておりません。
そこで、私も三十年に余る
鉄道に勤めた者でありまして、
鉄道愛については、あえてここにすわ
つておられる方々の人後に落ちない考えを持
つておりますが、これではいかぬということで、この
列車運行の不自然さを是正いたしますために、私
どもは何とかしなければならぬということで、十二月一日の正午でありますが、
組合から申入れをいたしまして、午後六時まで、
当局の営業部長と総務部長――営業部長は小林さん、総務部長は道下さんと申しますが、その方々にわざわざ営業部長の部屋に集ま
つていただきまして、何とかせねばならぬ、あまり
当局もあわてぶりがひどいじやないか。こういう千名に余る動員をかけて、
組合は目が多いのだ、そういうところで
組合の裏をかこうというようなことが、もともとあわてぶりなんだ、だからひとつこれを直しましようじやないかということで――これはいろいろの御
意見ありましたので、六時間かかりましたが、結局こういうことに妥結をいたしました。
当局は、広島
車掌区長の裏切り行為を即時やめて、平常通りの乗務開始を――広島駅から乗りますので、広島駅から乗務さすこと、二番目は、
組合としては
局長の意図の通りに
旅客列車並びに主要貨物
列車の運転を確保すること、こういうことに妥結がまとまりまして、かくして十二月一日の夜から逐次
列車の正常運転の方向にきま
つたのでありまして、まことに手前みそのようでありますが、
組合といたしましては、こうした争議行為の途中におきましても、公益事業である
鉄道職員としての立場、その良識は失わなか
つたつもりであります。
しかるに、広島におきまして特に三名の馘首が行われたということは、私は端的に申しますが、初めは
局長がある
意味で去年のことも考え合せ、まあ相当大きい腹を見せられたようでありますが、現われた結果が大きか
つたので、はなはだ失礼であります。実は
局長さんの面子をお立てになるために、
中央幹部と呼応せられて、広島については他局に見ない峻厳な処置をとられたのだろうというように思います。あまり弁解がましくなりますが、私がこれを申し上げるのは、実は十二月一日、二日、三日以降について、
列車が申されたように倒れておりますが、このことは、実は第一日に、広島の
車掌区長がわれわれの戦術の裏をかいてジヤンパーを着たり合図燈を包んだのもこの目で見ました。そういうことをしさえしなければ、確かに休暇をと
つただけ影響はあ
つても、ある程度の
列車の運行をして、他局にはなはだ大きいような事故や
列車運休はなか
つたと思うのでありますが、問題は限られた地域のことでありますので、
従つて第一日に
列車が倒れた結果、第二日、第三日に
列車をどういうように運休せねばならぬ、しかも二十本、三十本運休しましたのは、実は
当局の業務命令で
列車を運休したのでありますが、これらのことにつきましては、私は私
どもの立場としては、あまりに
組合だけにいけなか
つたということの責任を負わせられるのは、どうかというふうに思うのであります。特に中開指令の問題を十分に実施いたしました私
どもに、
吾孫子局長のお話によりますと、アクテイヴを切
つたというお話でありますが、こういうようなことは、私
どもは今も
つて中闘指令を狭めてこそ実施すれ、拡張して実施したというようにも思
つておりませんので、単一体であります国鉄労組に対して、団結権の否定であるように思うのであります。
さらに補足して申し上げたいことは、公労法十八条は、私
ども広島の学者等に聞いているのでありますが、これは刑罰的な適用をすべきでないという考え方であります。しかるに、
当局はこれを懲罰刑罰的に臨みまして、恩給権を続奪する、共済
組合年金の減額処分を行う、さらに多年勤めてお
つて、
規定として功績賞等を与えております者に対して、それらの待遇一切を剥奪するというようなことは、実に遺憾のきわみであると思うのであります。公労法十八条は、労使間の紛争に
関連するものであります以上、きわめて悪意に満ちた解雇権の濫用であるというふうに私は結論づけるのであります。
以上申し上げましたように、いろいろございます。特に
局長が先ほど言われました中で、一、二の点を申し上げておかなくてはなりません。
組合員を拘束したということでございます。私
どもは全員から、
組合員に休暇の意思表示をしてもらいました。但し、やはり労働
組合の中には、この休暇について、いろいろ職制の圧迫によ
つて、
自分は年末
闘争ということを思
つてお
つても、やはりさしさわりがあるということもございます。中闘の指令もございますので、私
どもは一切下部の不安をなくするために、
中央本部がその責任をとる。ということは、
中央の
闘争指令につなが
つての責任をとる
意味合いでありまして、あえて広島中闘が本部の責任をとるということを言明したので、そういうことを言
つたんだから、広島の三役あるいは二役が、広島の者に対してそういうことをみずから認めているじやないかと言うことは、あまりおつかぶせた言い方であろう、かように思うのであります。
休暇
闘争の問題については、以上申し上げた通りでございまして、どうぞひとつ、諸般の問題が、今まで解明されました他の地方本部の場合にもございますけれ
ども、こうしたお互いに労使紛争の間の感情が非常に激しておりますときに、とんでもない小手先を弄するというようなことが、皆様方に対して非常に御配慮を煩わす結果にな
つたということを申し上げまして、以上私の陳述を終ることにいたします。