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1954-02-27 第19回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年二月二十七日(土曜日) 午前十時四十九分
開議
出席分科員
主査
庄司
一郎
君 倉石 忠雄君 原 健三郎君 森 幸太郎君 八木
一郎
君 長谷川 保君 山花 秀雄君 堤 ツルヨ君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 草葉
隆圓
君 労 働 大 臣
小坂善太郎
君
出席政府委員
厚 生 技 官 (
公衆衛生局環
境衛生部長
)
楠本
正康君
分科員外
の
出席者
専 門 員
小林幾次郎
君 ――――――――――――― 本日の会議に付した事件
昭和
二十九
年度
一般会計予算
中
文部省
、
厚生省
及び
労働省所管
昭和
二十九
年度
特別会計予算
中
文部省
、
厚生省
及び
労働省所管
―――――――――――――
森幸太郎
1
○森(幸)
主査代理
ではきのうに引続き、
予算委員会
第二
分科会
を開会いたします。
昭和
二十九
年度
一般会計予算
中、
文部省
、
厚生省
及び
労働省所管
、並びに
昭和
二十九
年度
特別会計予算
中、
厚生省
及び
労働省所管
を一括して議題といたします。きのうまでに
各省所管
についての大体の
質疑
を終了したわけでありますが、なお若干の
質疑
が保留にな
つて
おりますので順次これを許します。
庄司一郎
君。
庄司一郎
2
○
庄司委員
厚生省
の特に
環境衛生部門
における
当局
に、きわめてこまかい点をお
伺い
申し上げ、も
つて
国民衛生保健
の
完璧
を期したいと思うのであります。 まず第一にお
伺い
いたしたいのは、
昭和
二十九
年度
予算
の中には
水道施設費
としてたしか七千五百万円ほどを御要求にな
つて
おるようであります。この項目の
予算
は、前
年度
においては一億三千三百余万円であつたと思います。本年は
緊縮予算
の
関係
といいましようか、たたりといいましようか、七千五百万円ほどにこれが減らされておる。これは一体どういうわけであるか。 それから
簡易水道関係
、これはおもに
市町村
のうちでもある一定の
部落
であるとか、特定の
部落
であるとか、
簡易水道
でございますからある小
地域
に架設される
簡易水道関係
が多いと思うのでありますが、その
簡易水道整備費補助
は六億四千万円でございます。かようなものが計上されておるようでございまするが、
上水道
並びに
簡易水道
ともに
わが国
民の
保健衛生
のためには、あくまでも拡充整備して行かなければならぬことは言うまでもございません。
厚生省当局
においても
環境衛生
の立場から、むろんその御
方針
であるとは思いまするが、さてお尋ねいたしたい結論は、以上の
水道予算
をも
つて
二十九
年度
は
上水道
において、あるいは
簡易水道関係
において、
全国市町村等
において何
箇所
、あるいは何十
箇所
ほど御
計画
をなされ、あるいは
補助
の対象となる
市町村
があるかというようなことをまず
最初
にお
伺い
したいのであります。
楠本正康
3
○
楠本政府委員
まず
最初
に
一般上水道関係
について申し上げますが、この点に関しましては、ただいま御
指摘
のように二十九
年度
は本
年度
に比べまして
かなり
の
減額
を見たのであります。しかしながらこの点も
国家財政
の
観点
からやむを得ないことと存じておりますが、ただ
一般上水道
につきましては、国の
補助金
というものはきわめて一
部分
でありまして、大
部分
が
起債
によ
つて
おります。たとえば
起債額
が本年も百億
あまり
を配当いたしておるのでありまして、
従つて補助金
の
減額
よりむしろ
起債額
が問題であります。来
年度
の
起債
としては、一応現在まで百億が決定をいたしておりますが、これらはもう少し増加するものと
考え
ております。従いまして
事業量総計
からいたしますと、大体本年並にできるものと確信いたしております。なおこれら
上水道
の現在の各地の
要望
を総括いたしますと、
継続事業
として約三百
箇所
、その
金額
は約三百億に達しております。一方
新規事業
につきましては、いまだ全部集計並びに
要望
が終
つて
おりませんが、現在すでに百
箇所
あまり
、その
金額
は六十億に達しております。従いまして現在の
事業量
は、今までのところでさえも三百六十億に達しておる
現状
でございまして、これを百億
あまり
の
金額
でまかなうということには相当な困難が伴うものと
考え
ております。 次に
簡易水道
について申しますと、これらは
町村
、特に
部落等
を中心として行います
関係
もありまして、これをすべて
起債
でまかなうということは困難であります。従いましてこれらの
簡易水道
につきましては、
従前補助事業
として執行をして参
つて
おりますが、来
年度
につきましてもその
方針
でございます。
金額
につきましては、これはまつたく本
年度通り
でございまして、来
年度
はいささかも減少しておらないかわりに、増加もなく、本
年度通り
の仕事でございます。しかしながら御
承知
のように
簡易水道
は、ある
部落
は実際にガランをひねれば水が出るのに、その隣り村では手おけで水を運んだりして非常な難儀をしておるということになりますと、
あまり
にもその対照が違いますので、一たびある
箇所
に
簡易水道
が設けられますと、その周囲が黙
つて
いないということは当然でありまして、そのために現在非常に多くの
要望
を受けております。現在までにすでに私
ども
の手元に参
つて
おります
要望箇所
は九百
箇所
、その
事業費
は約百億に達しております。しかし、これらをいかに少額の
補助予算
をも
つて
納得
をしていただくかということにつきましては、今後きわめて困難が手伝うものと
考え
ております。
庄司一郎
4
○
庄司委員
大体ただいまの御
説明
によ
つて了解
をいたしました。ただ
簡単水道
を
要請
されておる
町村
あるいは
部落
が
全国
で九百
箇所
ある。約一千
箇所
に近いのですが、これに対する
補助額
が、原案のままに本
国会
を
通り
ましても、六億四千万円である。百億円ほどを要するところの
簡易水道
には、まことにこれこそ漢文でいえば九牛の一毛にも達しないのであります。そこで
国民保健衛生
のため、また
チフス
あるいは赤痢のような
法定伝染病等
をできる限りこれを未然に防止するためにも、
上水道
並びに
簡易水道
は、
わが国
の
都市
には大体でき上
つて
おりますが、
地方農村等
においても明るい
田園都市建設
のために、二十九
年度
は余儀ないとしても、三十
年度
以後においてはできるだけ
厚生省
は
予算
の
わく
を確保されまして、あるいは
起債
の
わく
を拡大されて、
全国
九百
箇所
の
町村
の
要請
を満し得るよう向う三年なり五年の
計画
をお立てになりまして、万遺憾なき
措置
をと
つて
いただきたいと思うのであります。 第二にお
伺い
申し上げたいのは、
全国
の
国立病院
の
関係
であります。
全国
の
国立病院関係
のうち、特に長期にわたる
結核患者
を収容しておる
病院
、そういう
場所
における水質の
検査
を厳重にされ、純粋の用水を供給することはむろんのこと、
国立病院
その他
民間
の
病院
でありましても、
簡易水道
の
施設等
にはできるだけの御援助を賜わりたいものであると
考え
ておるのであります。近来新しい
社会福祉
あるいは医療福祉的な立法のもとに、各
地方町村
にもおいおい
民間病院
ができて参りました。そういう方面における特にこの
簡易水道関係
には、
厚生省
の建前によ
つて助成政策
をと
つて
もらいたいと
考え
ておりますが、御意見はいかがでございますか。
楠本正康
5
○
楠本政府委員
ただいまの点はまつたく御
指摘
の
通り
でございまして、
国立病院
その他
療養所
、あるいは
民間
の大きな
病院
、あるいは
寄宿舎施設
、かようなものに対しまする
給水
というものは、確かに欠けるところが多いのでございまして、
全国
的に見ましても、かような
給水施設
からしばしば問題を起しております。特に
炭鉱
の
寄宿舎
というようなところから問題が多く出ておるのでございます。
従つて
これらの点につきましては今後特に
指導
をいたしまして、
塩素滅菌
その他の
措置
を講じまして、
事故
の
発生防止
に努めたいと
思つて
おります。しかしながら、かような
施設
のみに特別に
簡易水道施設
を設けるということは、財政的に申しましても、あるいは効率的に申しましても、必ずしも万全の
措置
と言い得ませんので、今後はやはりかような
地域
に
簡易水道
なりあるいは
上水道
を設けまして、それらの
水道
の一環としてこれらの
病院
あるいはその他の
施設
がその
水道
の恩恵にあずかり得るような
措置
をとりたい
考え
でございます。
従つて
私
ども
も、従来わずかばかりの
予算
ではありますが、できるだけかような
施設
のある
場所等
を重点的に選びまして、
水道計画
を実施して参
つて
おる次第であります。
庄司一郎
6
○
庄司委員
水道関係
に関連をいたしまして、
全国
の
温泉浴場
においては、古く
封建時代
以来、たとえば
鉄分
を含有しておるところの
温泉
の湯を飲めば胃腸がなおるとか、あるいは眼を洗えばトラホームがなおるとかいうような、
多分
に迷信的な
民間
の悪い伝統が残
つて
おります。そこで
厚生省
としては、
全国都道府県
の何千何百という
温泉浴湯
でありますから、なかなか困難でしようが、もう一度再検討をされて
当該温泉
の
泉質
が皮膚を浸透して、あるいはラジユームのエマナチオンのような放射によ
つて治療力
のあるようなものもありますけれ
ども
、ただ無条件に口から飲むことによ
つて
なおるのであるということでは、そこに
多分
に
危険性
があるのではないか。
温泉
の源泉より湯を持
つて
来る、それには
りつぱな導水管
を通
つて
来るものもあるけれ
ども
、中には竹をま二つに割りまして、その竹の
導水管
をも
つて
持
つて
来るような、
かなり
に
黴菌
その他の
混入
のおそれのあるような
状態
が今でも残
つて
おります。そこで
温泉
の
泉質
及びそれがからだに及ぼす
影響等
に関して、
環境衛生
上ぜひ再検討してほしい、そう
考え
ておりますが、そういう方向の御
研究
はいかがでございますか。
楠本正康
7
○
楠本政府委員
温泉
の
効果
につきましては、各
研究機関等
の協力を得て大体
現状
が明らかにな
つて
おります。これらの
効果
につきましては、もちろん科学的に見ても正しい捨てがたいものがあります。しかしながら一方にはただいま御
指摘
のように、科学的には必ずしも理由のないもの、むしろ迷信的なものもありますので、私
ども
は従来かような
効果
につきましては
表示
をさせることにいたしまして、各
温泉等
に
表示
をし、またその
使用方法
、
利用方法等
についても
注意
を喚起しておる次第でございまして、今後とも、これらの
温泉
の
効果
の正しい
利用
並びに迷信的な
信頼感
をなくすことにつきましては、一層努力をいたしまして、各
温泉
についております
表示
あるいは
注意書等
をもつとくふういたしまして、わかりやすいものにすると同時に、一方では
一般民衆
の
衛生知識
の向上をはかりまして、正しく
温泉
を
利用
いたしまして、これによ
つて
健康の増進をはかる、かような
方法
で進みたい
考え
でございます。 次に、これまた御
指摘
のように、
温泉
の
給湯設備
につきましては、現在必ずしも
鉄管
が使えない場合もある等の
関係
によりまして、
場所
によりますとまことにいかがわしい
施設
の場合もございます。かようなものが、不衛生になる
現状
を認めざるを得ないばかりでなく、同時に
漏水等
で損失も多いのであります。これらの点につきましては今後できるだけ正しい
施設
をするように
指導
して参りたいと
思つて
おりますが、しかしながら何分にも
温泉
は、これまたただいま
お話
のありましたように、いろいろな
鉄分
その他の成分を
含おん
でります
関係
で、必ずしも
鉄管等
が適当しないので、えてさような
施設
になるという点に関しましては、なお今後
研究
の余地があるものと
考え
ております。
庄司一郎
8
○
庄司委員
そこでさらにお
伺い
したいことは、
全国市町村等
に、
厚生省
は
かなり
長い間、また今後将来とも、その
完璧
を期すべく、
補助政策
をとられ、あるいは
起債
の
わく
を与えて、
水道
あるいは
簡易水道
の
施行
を助成されることはまことにけつこうでありまするが、この
施行
の結果において、おのおのの
市町村
がその好むところにより、あるいは
日本鋼管会社
の
鋼管
を
給水パイプ
として用いるところもある、あるいは
イタリア式
の
エタニット・パイプ
を用いるところもあり、あるいは従来の
鉄管
を用いられる
町村
もある、あるいはまた
秩父セメント関係
の
パイプ
を用いられるところもあり、おのおのそれには特色がございましよう。また長所もございましよう。これらについて私は、どの
会社
の
メーカー
の
製品
が最も理想的な
耐久力
を持
つて
おるか、また
環境衛生
の点から見て、その場合には
腐蝕
せざるところの特質を持
つて
おる、
従つて耐久力
を持
つて
おるというような
意味
から、あえて
厚生省
がどの
会社
の
製品
を特に推薦されるとか推奨されるとかいうようなことをお願いするのでもなければ、
要望
するのでもない。ただどの
会社
の
製品
であろうと、
当該市町村
が多大の金をかけ、あるいは
起債
の
わく
をもらい、
国家
の
補助
を受けてでき
上つた水道
の
パイプそのもの
が、百年も二百年も長い将来きわめて安全なる
状態
にあ
つて
、
水道
の所期の目的を達成させることができ得るような処置に御
指導
だけは願わなければならないのである、こういう
観点
から――特に本員は若い
時代
直接
水道関係
の
工事
に従事した経歴もあります。
水道関係
については
わが国最高
の
権威者
である
中島工学博士
の
指導
のもとに、微力ながら多少の
予備知識
を持
つて
おる者でありますが、以上の
観点
から、何も
厚生省
をして特殊なる
会社
の特殊な
製品
の御選定と御推薦というようなことは、もちろん弊害が伴うのであるから、そういうことを強制するのじやない。ただ要は施工後においてはきわめて安全なる装置であ
つて
、長い将来その
鉄管
なり
パイプ
なりが、
腐蝕
して、
腐蝕
の
部分
に穴が明き、あるいは
ガス爆発
をしてひるが入る、
みみず
が入る、その他あらゆる無数の
黴菌
が入
つて
、かえ
つて
この
腐蝕
したる
水道
の
敷設町村
において
チフス患者
が非常にふえたというような
実例
があるのであります。そこで私はこういう
観点
から、昨年の十一月の七日
厚生委員会
に臨時に
委員
を願いまして、特に
厚生省
は御
質問
を申し上げ、なかんずく直接あなたよりいろいろ御
答弁
をいただいてお
つたの
でありまするが、その御
答弁
の中に、まだ本
委員
と
厚生省
の間に未
解決
の問題がございます。その未
解決
の問題は、
給水パイプ管
が
爆発
して多大の損害を
市町村等
が受けた、その
パイプ
――これは幸か不幸か
秩父セメトン製造
の
パイプ
でございます。それらに対して厳重なる
警告
を与えられたかどうか、つまり
工業標準規格
というものが五箇条
かに相
な
つて
おることも御
承知
の
通り
であります。その
規格
に合わないものに
国家
が
補助
を与え、
工事
を
施行
させるということは危険である。そこでこの
パイプ
の中には
雑繊維
が
混入
していないもの――これはより完全なるものを推奨さるることがきわめて適当でございまするが、
石綿
と
セメント
、これ以外の
雑物
、特に
雑繊維
が
混入
された場合には、その
雑繊維
から
腐蝕
が出て参りまして、
パイプ
に穴が明き
爆発
をする、それから
黴菌
が入る、
みみず
が入る、あるいはひるが入る。そういう
衛生環境
上まことに望ましからざる
状態
にあるのでありますが、前回の
質問
において、さような
メーカー
に対しては相当御
注意
あるいは御
警告
があるものと
考え
ておりましたが、その後どういう対策をとられたか、また
厚生省
が
パイプ
の
製品
に対して厳重なる御
検査
があ
つて
しかるべきものと
考え
て
質問
をいたしてお
つたの
であるが、その後
検査
の制度を設けられて御励行なさ
つて
おるかどうかということを、
最初
一点お
伺い
したいのであります。
楠本正康
9
○
楠本政府委員
ただいま御
指摘
のように、最近エタニット・
パイブ
と申しましようか、
石綿セメント
・
パイブ
が
かなり
普及をして参りました。これらは
金額
の安い
点等
から当然のことと存じますが、その結果、私
ども
も、従来までしばしばこれらの
石綿セメント
・
パイプ
による
工事
の結果いろいろな
事故
が起
つて
おるということを
承知
をいたしております。しかしながら元来この
鉄管
あるいは
石綿セメント
・
パイプ等
を比較いたしますと、お互いに一長一短がございまして、どちらが優秀であるということもなかなか言えぬのであります。そこで私
ども
といたしましては、特に
簡易水道等
の場合には、むしろ場合によ
つて
は
石綿セメント
・
パイプ
で十分である、かように
考え
ておるわけであります、しかしながら今も申しますようにいろいろと
工事
の結果
事故
が起る場合も
承知
をいたしております。ところがこれらの
事故
はもちろんいろいろなところに
原因
もありましようが、
一つ
にはその
設計方式
並びに
工事
の
方法
によ
つて
大分違
つて
参るのであります。
つまり工事
の
方法
が非常にむずかしいというところに
一つ
の問題があります。さような点から
考え
まして、目下これらの
原因
につきまして十分に
調査
をし、その
現状
を把握いたしまして、今後できるだけ
工事設計等
の
指導
をいたしたい、かように
考え
て目下
全国
的にわた
つて
その結果について
調査
をいたしております。なお
石綿セメント
・
パイブ
に限らず、すべて
水道管
は
水道協会
が個々につきまして
試験
をいたしておりまして、必ずこの
試験
に合格したもののみを各
町村
が使うように私
ども
は
指導
をいたしております。従来までほとんどすべての場合、この
指導
は
かなり
徹底をいたしまして、無
検査
の品物は使われておらぬ、不
合格品
は使われおらないというような
現状
のように
承知
をいたしております。
庄司一郎
10
○
庄司委員
ぜひ
検査
も励行され、
全国水道協会
の厳密なる
検査
を経たるものを、かような問題に関して比較的
予備知識
のございません
町村等
に、ひ
とつ
よく
納得
の行くような
お話
もして、将来御
指導
をお願い申し上げたいと思うのであります。 時間の
関係
上、五、六問
質問
がございまするが、立て続けにひ
とつ
お
伺い
を申し上げますから、それぞれお答えを願
つて
おきたいと思います。先ほど申し上げた昨年の第十七回
国会厚生委員会
において、
上水道用
の
石綿セメント高圧管
に対し御
説明
をいただいたのであるが、その後の
調査
により、
国家
の
補助奨励
の手前もあり、かつは
国民
の
生存保健
上に
関係
することきわめて甚大であると
考え
まするので、これは捨ておけない問題であるから、以下数項にわた
つて
お
伺い
をしてみたい。それにどうか誠意を持
つて
良心的な御
説明
を与えていただきたいと思うのであります。 ただいま私の受けておる
情報
によりまして、最近における
上水道事故
の一部を御参考に申し上げたい。これは
厚生省
においても
情報
をとられておることと思いまするが、喜ばしい
情報
でありません、悲しむべき
情報
であります。すなわち
工事施行
後において
高圧管パイプ
の
爆発関係
は、長野県伊那郡高木村、これは
昭和
二十八
年度
の三百五十万円
工事
であります。同県の北佐久郡
伍賀
村、これは百三十万円
工事
、南佐久郡の上松町、これが三百五十万円、東筑摩郡の
麻積
町二百五十万円
工事
、これらは
パイブ
の種類は全部
秩父パイプ
であります。七十五ミリあるいは五十ミリあるいは七十五ミリ、七十五ミリ、かような
関係
にな
つて
おるが、全部
工事施行
直後において
事故
が発行して
爆発
をいたしておるのであります。
香川
県においては託間町、これは百五十ミリ、これも
破裂
であります。
香川
県田熊町、これは一千メートルの
工事
でありますが、
秩父パイプ
百ミリないし百五十ミリ、これも
続発
であります。福島県
常磐炭鉱勿来鉱業所
、これは百五十ミリ、約二千メートル、これも
続発
であります。
福岡
県刈田町、これが一千メートル、百五十ミリ、これも
続発
でございます。
福岡
市、これも百五十ミリ。熊本県の水俣市、これも
秩父パイプ
の
箇所
だけが
破裂
しておるのであります。長崎市吉井町、これも
続発
であります。これは
エタニット・パイプ
と称して
秩父パイプ
を代納したのであります。なお本年一月二十八日、横浜市
上水道管破裂
四千二百件と翌日の新聞に発表されましたが、この
事故
は御
調査
になりましたか。かようなことを列挙してあえて申し上げる
ゆえん
のものは、私
ども国会議員
も
市町村
の
要請
によ
つて
、早くこの市に
上水道
を設けてもらいたい、国の
補助
をもらいたいと、この
部落
に
簡易水道
の
要請
があるから
簡易水道
を許可してもらいたい、それに伴う
補助
並びに
起債
の
わく
はなるべく多くもらいたい、これは
政党政派
のいかんを問わずどの
党派
の
国会議員
も、選挙区から頼まれますと、
民意暢達
の
意味
において
請願陳情
をしておることはいうまでもございません。けれ
ども
、その
工事
が一旦完成したあかつきにおいて、以上の
実例
において申し上げたように、間もなくその
高圧パイプ
が
破裂
するのでありまして、これを修理補修しなければならない。しばらくの間は断水して
給水
が困難になるのであります。こういうような
工事完成
後における問題については、実は今まで各
党派
を問わず
国会
における
質問
になかつたから、これは
国会議員
として決して親切な
ゆえん
でないと
思つて
私は御
質問
しておるのであります。ゆえに、先ほど申し上げたように、でき得るだけ
耐久力
を払
つて
おる
りつぱなパイプ
を
市町村等
が購入できるような御
指導
がほしい、こういうことから申し上げておるのであります。 そこで
公衆衛生
、
環境衛生
に関する件でございますが、
上水道
は
公衆衛生
に関することが第一と思われますが、その
パイプ
について、
イタリア
では今から二十六年前、西暦一九二七年
バデユア医大
の
カサグランデ教授
が、
鉄管
は、それから出る
鉄分
が
黴菌
の繁殖を助けることから、
エタニット管
と比較実験して、摂氏二十二度下で
チフス菌
は
鉄管
では
瀞水中
で三日ないし五日間、
動水中
で三日ないし四日間生存するが、
エタニット管
では、
静水
で四十八時間、
動水
ならそれより短かく、また
コレラ菌
は
鉄管
ですべての場合四十八時間以上生存するが、
エタニツト管
で、
静水
二十四時間、
動水
五時間で死滅すると発表し、
上水道
は少くとも夜間は滞水する時間が相当あるのですから、これは重要なことと思いますが、
黴菌
に対しかようなお
考え
はありませんか。かような点が重要とすると、
エタニツト・パイプ
のような
石綿セメント高圧管
に対し、
石綿
に
有機繊維
を入れ、それが必ず腐るものである以上有害とは思いませんか。煙突、屋根ぶき
スレート
のごとき
低圧品
でさえ、
京大堀尾教授
の
試験成績
は不良としており、
スレート業者
中には絶対不可としている者も相当あるのですが、それでも同
教授
は五%までは
製造技術
によ
つて
は
混入
してもよいのではないかと言
つて
いるのですが、この
疑問付
のものを
上水道用高圧管
に適用するのは乱暴で、わずかに五%とい
つて
も
重量比
であるから、パルプのような
有機繊維
は
石綿
の約三分の一の
重量
だから、容積からいえばその三倍とな
つて
、非常に多くなり、とうてい許しがたいものとなるが、そういうことは思いませんか。
上水道用秩父パイプ
に入
つて
おる
有機繊維
は肉眼でもはつきり見わけのつく黄色い斑点で現われており、
セメント袋
のくずの
こま切れ
のようですが、その正体は何ですか。
楠本説明員
が明治二十八年十月七日第十一回
国会衆議院厚生委員会
でなされた
説明
に、管の
製造
に
毛布
を使うため、自然にその
落毛
が入るから、
有機繊維
の
混入
は不可避とありますが、
毛布といつて
もフエルトと通称するもので、二枚使
つて
おり、それが約三百六十ポンドで
パイプ
を三百トンつくるととりかえるのでこれが全部使い果されて
パイプ
の中に入るとしても、〇・〇五%にしか当らないし、実際には一〇%も減らない。それも
毛布
を洗いながら使うため大
部分
は流れ去るので、
落毛
が
パイプ
の中に発見されたとか、
落毛
のために故障があつたとかいうことは、外国ではもちろん国内でも聞かないのです。そして
昭和
二十八年正月七日
東京都立工業奨励館長橋本宇一
氏が
エタニツト・パイプ
の
成績書
に
有機繊維
を
混入
しないことを報告しているのですが、これは
昭和
二十八年十一月二日
質問
第四号で当
委員
から提出した
秩父パイプ
の
成績書
と同時に出したもので、これでも
落毛
のないことがおわかりになることと思いますが、御高説はいかがですか。
楠本説明員
は、
東京
都
工業奨励館長橋本宇一
氏の
秩父バイブ成績書
は
昭和
二十七年製の
パイブ
についてで、
昭和
二十八年七月改正された
改正規格
のものでなく、その前の旧
規格
のものだから、
規格違反
にならないと
説明
されましたが、当
委員
の調べたところを申し上げましよう。
戦時
中からのことを申し上げると、
昭和
十八年
日本石綿パイプ工業組合
ができたころは、戦争もたけなわで物資は欠乏し、
石綿
の輸入がないため、
有機繊維
を入れてもしかたがないということにな
つて戦時規格
ができたのです。そしてそれ以前は
有機繊維
は
低圧管
の入に許したのを、
高圧管
まで拡大されたのです。終戦となり
昭和
三十二年二月
全国石綿スレート工業協同組合
ができて、同年五月に第一回技術
委員
会が開催されまして、
戦時
規格
を改正して、
高圧管
には
有機繊維
の
混入
を禁止する話が出て、同年六月に第二回、また七月に第三回が続会されまして、
有機繊維
混入
禁止が、そこで決定し、業者から見本を出させ、内務省土木
試験
所において
試験
の結果合格したので、それが裏づけとな
つて
、
昭和
二十四年八月土木
規格
JES七二〇二号が最後的に決定されたのであります。その土木
規格
のJES七二〇二号が
昭和
二十五年十二月通産大臣によ
つて
、日本工業
規格
水道
用
石綿セメント
管JIS五三〇一号(一九五〇)として制定され、同年三月二日官報をも
つて
これが公示されたのであります。これが
楠本政府委員
の言われる古い
規格
なのであります。石旧
規格
によるとバイブは
セメント
及び
石綿
を用いることとあるのであります。これは絶対であります。さらに
石綿
には品質良好なる精
製品
でなければならない、リファインされたものでなければならない。カナダ
石綿
規格
等による四級の中位以上の品と、品質を限定しておるのであります。
昭和
二十八年七月四日改正の新
規格
のように、
有機繊維
の
混入
禁止条項がなければ何を入れてもさしつかえがないと解釈をされておるかどうか。 以上たいへんややこしいことでありまして、これは専門的な何かありませんと、何ら興味がないような問題でありますが、要するに
石綿
及び最も優秀なる良質な
セメント
以外のもの、特に
雑繊維
等は
混入
してはならない。
混入
するならば
腐蝕
をしてバイブの
爆発
が続出することは先ほど申し上げた
通り
であります。そこで一層
検査
を厳重にされる。かような
上水道
並びに
簡易水道等
、施工後において
爆発
するような、ただいま列挙申し上げたような事実の
製品
等に対しては、あるいは
メーカー
等に対しは、その
会社
の何たるを問わず、どんな
会社
でありましても、公正無私なる見地より厳重なるところの
警告
を与え、
注意
をされ、
市町村
の
水道
工事
、長い将来の
水道
の
利用
等に、いわゆる
町村
財政にも被害を与えないように、水の供給を受けておる市民にも迷惑を与えないように、インチキの
パイブ
を、比較的
水道関係
の専門的知識において無知なるところの、無知と言
つて
はなはだ失礼ですが、
予備知識
のありません
町村等
に売りつけさせないように、よほど厳重なるところの対策をとらなければならないと私は
考え
ておるのであります、今まで私
ども
はただこの
町村
に
水道
を設けてもらいたい。この
部落
に
簡易水道
どうかと、そういうことばかり願
つて
参
つたの
でありますが、ただいま申し上げましたように、この
石綿セメント
の中には
かなり
インチキな、ルーズな品物があります。最近においてただいま列挙いたしましたように、遺憾ながら被害
町村
が多々現われ参
つて
おるのであります。ただいま申し上げた読売新聞の四千二百件、これは多くに蛇口のようでありますが、たとい蛇口でありましても、この秩父
セメント
製の管はそこに何らかの弱点があ
つたの
ではなかつたか。日本におけるただいま
エタニット・パイプ
あるいは
セメント
・
パイプ
をつく
つて
おる甲乙丙丁どの
会社
にも私は何らかの縁故
関係
がありません。ただただこの
水道
の
耐久力
をして
完璧
ならしめたい。
りつぱなパイプ
を
市町村
に供給させて、施工後において
爆発
あるいは腐敗等のないように、私は青年の
時代
に
水道
の仕事に直接体験を持つたものでありますがゆえに、いかに多くの
黴菌
がこの
腐蝕
した
部分
、
破裂
した
部分
より
混入
しておるか、ほんとうに
みみず
。ひるなどを見たら驚きますよ。どうかひ
とつ
この点はただ単に一定の器材の
わく
を与える、六億何千万円の
予算
を来年は与えるのだという単純な
考え
でなく、
水道
の基本をなすところのこの導水
パイブ
等に関しては、
厚生省
におかれましては責任を持たれた上において、厳粛なる
規格
の監督とい
つて
は何ですが、
検査
並びに御
指導
を
要望
してやまない次第であります。どうかただいま申し上げた要点を、五、六
箇所
あるようでありますが、簡明にお答えいただきたい。 最後に、厚生大臣に、かような不良
製品
を出した
会社
は、遺憾ながら私の列挙によ
つて
は秩父
セメント
だけでございますが、その他にもあるかもしれません。あれはその
情報
によ
つて
お
伺い
もし、お願い申し上げたい。私は一
会社
に何ら緑もございません。
わが国
の
上水道
、
水道
あるいは下水、農村においては二毛作を行うための土地改良、その水を供給するための上水管、これは農民に
関係
のある問題であります。ひとえにりつぱなインチキのない品物をつく
つて
いただいて、供給していただきたいしそういう点の御配慮をお願いしたいという点について厚生大臣からこの後の対策について一言簡単に御
答弁
をいただきたいのであります。
楠本正康
11
○
楠本政府委員
きわめて、専門的な御意見、御
質問
でございます。逐次順を追
つて
お答えさせていただきます。
最初
に
お話
のございました各地の
事故
の頻発等につきましては、先ほ
ども
申し上げましたように、目下
全国
的に
調査
中でございます。従いましてこれらの
調査
の結果に基きまして、さらにその
原因
理由等を明らかにいたしまして、適当な対策を立てたいと
考え
ております。 次に横浜市の
パイプ
の
事故
でございますが、これは私
ども
の方でもさつそく
調査
をいたしまして、その結果たまたま本年一月二十七日から約一週問にわたりまして全市的に、約九千件に及ぶ
破裂
事故
を起したのでありますが、これを
調査
いたしましたところ、その
原因
はすべて寒気が急激に襲
つて
来たための凍結
事故
でございます。その
箇所
等はすべて
導水管
ではなく、家庭引込みの
給水
管の
破裂
であ
つたの
であります、しかもその九〇%は鉛管であつたように
承知
いたしております。しかしながらいずれにいたしましても、今後一層
水道協会
の行いまする
試験
の徹底をはかり、これを厳格に突施いたしまして、必ず
町村
に対しては
検査
に合格したものを使うように強力に
指導
いたす所存であります。 次にただいま専門的に細菌生存力の問題につきまして御意見があつたわけでありますが、ただいま御
指摘
の学説と申しましようか、この実験成績は実はいまだ私
ども
は
承知
いたしておりません。
従つて
万一かような事実があるといたしましても、少くとも世界の学界においていまだ承認される域には達していないのではなかろうか、かように
考え
ております。なおこれらの点につきましては、私
ども
不勉強でありますので、今後学者等にもよく意見を聞きまして一層勉強を重ねたい、かように
考え
ております。 次に
お話
にありました
石綿セメント
・
パイプ
に有機質が
混入
する、これはもちろんある量以上に有機質が
混入
いたしております場合は、衛生上有害でありますことは申すまでもなく、一方
水道
の配水管としてもきわめて不適当なものであることは申すまでもございません。従いましてこれらの点はまつたく御
指摘
の
通り
と
考え
ております。 次に同じく
石綿セメント
・
パイプ
の中に入ります
有機繊維
の点につきまして、五%にも達するものはどうかという
お話
がございましたが、これらはもちろん不適当なものでございまして、とうてい許しがたいものでございます。
従つて
かようなものがかりにあつたとしますれば、それは当然
検査
の結果不
合格品
として処理されておるものと
考え
ております。 次に
秩父パイプ
におきまして、御
指摘
の点は、肉眼でも見えるような
雑物
を
混入
しておつたという
お話
でございますが、私
ども
、この点につきましては、いまだ、確認をいたしておりません。そこでこの点につきまして至急
調査
をいたしまして、はたしてさようなことがあるか、しかもこれがどういう経路でできたものか、あるいは
検査
漏れか、あるいは
検査
がごまかされたか、さようなこまかい点について十分な
調査
をし、結論を得たいと
考え
ております。従いまして御
指摘
のような
混入
物の正体がはたして何物であつたかということは、今ここでお答えするまでには至
つて
おりません。しかしながらさような肉眼で見えるようなものがあつたとすれば、
石綿セメント
・
パイプ
は日本標準
規格
においても、
規格
がきま
つて
おるような
関係
もありますので、おそらく
検査
の結果不合格とな
つて
おるのではなかろうか、かように
考え
ております。 次に先
国会
の
厚生委員会
におきまして私から、御
指摘
のように、これはフエルトを使
つて
製造
をする過程において、どうしてもフェルトの一部が
パイプ
に漏れ、そのために
有機繊維
が
混入
することはやむを得ぬということはなるほど確かに申し上げました。しかしながらこの
意味
は、きわめて微量の、化学分析上証明せられる、つまり顕微鏡的な存在である、さようなものはやむを得ないということを申し上げたのでありますが、その際言葉の足りなかつたために、ただいま
お話
のような誤解がもしあつたといたしますれば、それははなはだ遺憾でございます。私はもちろんこれはきわめて微量で、顕微鏡的には、あるいは化学分析上にはかようなものが証明せられることもあり得るということを申し上げたのであります。これははなはだ言葉が足りずに失礼をいたした、かように
考え
ております。 次にこの標準
規格
につきまして最後に
お話
がございました。私も
戦時
中以来この
石綿セメント
・
パイプ
の
規格
がいろいろかわ
つて
参りましたいきさつ等をよく
承知
をいたしております。またその
戦時
中のものを新たにかえて、逐次りつぱな
製品
ができるような
規格
に進みつつある状況もよく知
つて
おります。その点につきましてはただいま先生の御
指摘
の
通り
でございます。ただこの
昭和
二十八年七月以前の旧日本標準
規格
におきましては、当然
有機繊維
を使用してはならないものとな
つて
おります。ただこれが
規格
上明記されておらなか
つたの
でありますが、
規格
に明記されていないからとい
つて
、かようなものを
混入
していいとは決して解釈いたしておりませんので、かようなものがあればもちろん、
規格
品にはあるいは合格しておるかもしれませんが、実質的にはこれは不合格となる品物であります。その点も誤解のないようにお願いしたい、かように
考え
ております。 なお最後に私
ども
は、今後経済的な事由からもあるいは
簡易水道
が逐次普及して行きます
観点
等から
考え
まして、この
石綿セメント
・
パイプ
というようなものが今後一層普及して行くのであろうと
考え
ております。
従つて
これらの品質の向上につきましては今後とも十分意を用いまして、りつぱな品物が日本においても生産されるように努力をいたしたいと存じております。 なお現在の
製品
におきましても、アメリカ等の
製品
に比べますと確かに劣るところがございましてこれらの点は日本産業の見地から申しましてもはなはだ遺憾な点と
考え
ております。なお具体的には今後
水道協会
の
試験
をさらに徹底するよう、協会を特に督励いたします。そしてかような少しでも品質の悪いものは不
合格品
になるような
措置
を強行いたしたいと
考え
ております。一方
町村
に対しましては、今後とも必ず
試験
に合格した品物を使うように強く
要望
し、
指導
いたす
方針
でございます。さらに、もしも現在の
石綿セメント
・
パイプ
に対しますところの標準
規格
がまだ不十分であるという点がありますれば、それらの点は今後
研究
をいたしましてこの
規格
を改正し、そして逐次りつぱな品物ができるように進めて参りたいと存じます。 なお最後に、私
ども
はただいま先生から
お話
のございましたように、決して
町村
に対しまして単に金をやつたり
起債
をつけたりして、
水道
を引けばそれで事終れりとは毛頭
考え
ておりません。単に
起債
をつけたり
補助
をつけたりすることは
一つ
の手段にすぎません。要はりつぱな
水道
が各家庭に引かれ、これによ
つて
生活が改善され、
環境衛生
が改善され、そしてりつぱな
国民
生活ができることを念願といたしているのでございまして、かような点に関.しましては今後一層力を尽して進みたい所存でございます。
草葉隆圓
12
○草葉国務大臣
庄司
さんの御意見まことにごもつともだと存じます。
水道
の行政と申しますか、問題は、
環境衛生
、
公衆衛生
の上から
一つ
の大きな中心をなしますことは御意見の
通り
であります。現在
わが国
の全世帯のうち、
水道
を使用しておりますのはわずかに三五・七%程度である、井戸水を五三%程度あるいはわき水を五%程度、流れ水を四%以上も使
つて
おるという
現状
でありますから、
水道
の普及とあわして
簡易水道等
の普及に政府は全力を尽しておる
状態
であります。しかし全力を尽すからとい
つて
、決してこれに用います器具あるいは
パイプ
その他をゆるがせにいたしましては、水質だけはりつぱにな
つて
も
お話
のようなかえ
つて
逆
効果
を来すおそれがありますので、この点に対しましては、ただいま部長からもお答え申し上げましたように、今後十分
研究
をし、かりに不十分なもの、あるいは不正当なものがありますればこれを使わないように十分検討いたしまして御期待に沿うようにいたしたいと存じております。なおこれらの器具その他は科学の進歩につれましてだんだんと改善され、進歩して参りますから、十分
厚生省
といたしましても
研究
調査
を重ねて参りたいと存じております。
庄司一郎
13
○
庄司委員
楠本政府委員
の御
答弁
と草葉厚生大臣の御
答弁
により、今後一層
当局
においては責任観念の上に立たれて、優秀なる永久性を持
つて
おる、
爆発
その他の
危険性
のない、結果においては
市町村
財政に迷惑をかけない、中正なる市民に満足を与え得るように、厚生
当局
としては、先ほど具体的な
実例
をあげたようなインチキな
製品
をつく
つて
おるところの
メーカー
、
会社
等には
公衆衛生
の立場から強く御忠告といいましようか、御
警告
といいましようか、あ
つて
しかるべきものだと私は
考え
ておるのであります。たといその
会社
が何億、何十億の大
会社
といえ
ども
、そういうものに負けてはならない。草葉さんは正義の士であることは私も深く確信しておりますから、たとい大資本の
会社
といえ
ども
インチキな
製品
をつくるような
会社
には一応
警告
を与えたい、聞かざれば最後の手段をとるというようなことは順序であると思う。たいへん長い
質問
をさせていただいてありがとうございました。
森幸太郎
14
○森(幸)
主査代理
他に御
質問
はございませんか。――それでは
昭和
二十九
年度
一般会計予算
中、
文部省
、
厚生省
及び
労働省所管
並びに
昭和
二十九
年度
特別会計予算
、
厚生省
及び
労働省所管
に対する
質疑
は終了いたしました。
原健三郎
15
○原(健)
委員
この際動議を提出いたします。すなわち本
分科会
所管の
予算
各案に対する討論採決は
予算委員会
に譲られんことを望みます。
森幸太郎
16
○森(幸)
主査代理
お諮りいたします。ただいまの原健三郎君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
森幸太郎
17
○森(幸)
主査代理
御異議なしと認めます。原健三郎吾の動議のごとく決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十四分散会