○堤(ツ)委員 私はこれは間違いのないように聞いておいてもらいたいのですが、社会党の代議士が
労働基準法の改正の必要や施行細則の検討の必要があると言つたことは、改悪を
意味し、逆コースを
意味して言うておるのではない、私が最も憂えるところは、日本が独立するためには
経済自立、その
経済自立のためには産業を振い興して行かなければならぬ。その生産振興のためにこの基準法にもし欠点があ
つて生産を圧迫するとすれば、これは重大問題であります。従
つて私はフルに
労働者が働いて、思う存分物が生産できて、そうして生産
物価が国際水準にマツチして貿易が振い、日本が富まんがための私の発言でございます。私は
労働者の基本的人権、与えられた
労働三法のあの基本線を逆コースに行かせていい、改悪していいとは断じて言わないのでありまして、この点はお間違いなく聞いていただきたいのでございますが、審議会に御諮問に
なつたとすれば、
大臣にもいろいろなお
考えがあ
つてそういうことをなさつたであろうと思いますので、私は今や
つておいでになるその結果を拝見いたしまして、真に産業振興のために
労働基準法の施行というものは、真剣に資本家も
労働者も
考え直さなければならぬと私は公平にそう思
つております。大企業と申すのは何パーセントか、中小企業と申しましても、大中小からすればどれくらいのものか、家内工業でペタルを自分で一生懸命踏んでや
つているものが、
労働基準法の適用をやかましく言
つて、そうして食
つて行けないような
状態に追い込むということは、私は国家の大きなマイナスであると思
つておりますので、ひとつそういう観点から、これは与野党のいかんを問わず、真剣に私は
経済政策の一環として
考え直さなければならぬと思
つておりますので、
労働省におきましても、今までのような、
労働者の風当りが強く
なつたら
労働者を避ける、資本家の風当りが強く
なつたら資本家にうまく言いのがれをするというような行き方でなしに、根本策を樹立して、私は
労働行政の使命に行きていただきたいということを、
大臣せつかく御出席でございますから、お願いをいたしておきたいと存じます。
次にこれは基準
行政にも
関係があるのでございますが、私の県に近江絹糸という名高い思想の古い工場があります、これは
労働省でももて余していらつしやる。そこで私は、これをひとつ例にあげますけれ
ども、
全国に似たり寄つたりのものがあるという点において、旅費や研究費も組んであるのですから、ひとつ真剣に
労働省で
考えていただきたいと思うのでありますが、ある長野県の家庭で、子供が学校を出て、高等学校へ上げてやりたいけれ
どもやれないという親のところへ、あつせん人が来て、そうしてあなたのむすこさんを高等学校へやりなさい、私が世話してあげますとい
つて、連れて行つたのを滋賀県の近江絹糸、行
つてみると、学生の身分で待遇してもらえると思
つて行つたのに、これは実地だという
名目で、夜の十二時にボイラーをたかせる。そうして学校を卒業したら、学生の間は授業料を引き、飯代を引くから、給料は安くていいけれ
ども、これが卒業すると一人前になるから、工賃を高くやらなければならないとい
つて、契約に反してこれを捨てるのであります。実に無礼きわまる資本家でありますが、これが年間何億という金を残して、
東京の本社で年々財界、官界、政界の名士を呼んで、みやげ品をそろえて、芸者をあげて、そうして公社発展の祝賀会をや
つている。こういうしまつで、いかに資本家側をたたいてみても、これがどうしても反省をしない。しかも寄宿舎には仏壇をつくりまして、南無阿彌陀仏を言わなければうちの工員でないというようなこともや
つている。幾多の例もありますが、文献のようなものが出ておりますから後日差上げます。私は、
労働基準監督局がけしからぬというので、初め
労働省の出先の監督署に当りました。そうしていろいろととつちめてみましたら、
労働基準監督署は、これは署長以下非常にまじめでございまして、涙ぐましい
努力をや
つている。ところがこの高等学校と称するところの学校を管理している県の教育
委員会、知事、
労働部長あたりが、この
労働基準監督署の良識ある正しい法律に従
つての勧告をどうも聞かない。そうして知事の選挙費用を出したり、また官庁を籠絡いたしまして、一生懸命にや
つている基準監督
行政に県がブレーキをかけて
しまつて、いつまでた
つても直らないのが、この近江絹糸です。こというものはどういうふうに
解決して行つたらいいか。私は基準
行政は出先がや
つて、県がどんなブレーキをかけても知らないというような
労働省のあり方でなしに権威あるあり方が中央からできるのではないかと思うのでありますが、これについて
労働省は、
大臣以下御
努力に
なつたことがあるか、ひとつこれについてお答え願いたい。しかもこれは私の方の近江絹糸だけではありません。たくさん例がございます。こういうことを捨てておくということは、何のために
労働省があるかわからないから、私は質問するのであります。