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1954-02-25 第19回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十九年二月二十三日(火曜日) 委員長指名で次の通り選任された。    主査 西村 直己君       尾崎 末吉君    小林 絹治君       高橋圓三郎君    福田 赳夫君       船越  弘君    本間 俊一君       河本 敏夫君    櫻内 義雄君       足鹿  覺君    佐藤觀次郎君       稲富 稜人君    小平  忠君       黒田 寿男君     —————————————     会議 昭和二十九年二月二十五日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席分科員    主査 西村 直己君       小林 絹治君    高橋圓三郎君       福田 赳夫君    船越  弘君       本間 俊一君    櫻内 義離君       足鹿  覺君    佐藤觀次郎君       小平  忠君    吉田 賢一君       黒田 寿男君     兼務       山本 勝市君    今澄  勇君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         農 林 大 臣 保利  茂君         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         経済審議政務次         官       深水 六郎君         総理府事務官         (経済審議庁次         長)      長村 貞一君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部長)    西原 直廉君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部会課長) 塚本  茂君         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    松尾 金藏君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君         外務政務次官  小滝  彬岩         外務事務官         (大臣官房官房         長)      松井  明君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     中村  茂君         外務事務官         (欧米局長)  土屋  隼君         外務事務官         (情報文化局         長)      田付 景一君         外務省参事官  寺岡 洪平君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     増田  盛君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     福井 政男君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (企業局長)  記内 角一君         通商産業事務官         (重工業局長) 徳永 久次君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (公益事務局         長)      中島 征帆君         特許庁長官   石原 武夫君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  分科員外出席者         外務事務官         (大臣官房総務         課長)     近藤 晋一君         外務事務官         (経済局次長) 小田部謙一君         外務省参事官  石黒 四郎君         工業技術院長  駒形 作次君     ————————————— 二月二十五日  分科員稲富稜人君辞任につき、その補欠として  吉田賢一君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  第四分科員山本勝市君及び第一分科員今澄勇君  が本分科兼務なつた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十九年度一般会計予算経済審議庁、外  務省農林省及び通商産業省所管  昭和二十九年度特別会計予算農林省及び通商  産業省所管     —————————————
  2. 西村直己

    西村主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  議事に入るに先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。私が本分科会主査に選任されましたが、分科会各位の御協力によりまして、円滑に議事を進めて参りたいと存じます。何分よろしくお願い申し上げます。  なお分科会における審査日程につきましては、予算委員会理事会申合せによりまして、本二十五日は一日間、明二十六日は本委員会がありますので午後より、明後二十七日は一日間ということになつておりますから、お含みおきを願つておきます。  なお分科会は、御承知の通り昭和二十九年度一般会計予算中、経済審議庁外務省農林省及び通商産業省所管昭和二十九年度特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管審査を行うことと相なつておりますが、審査の都合上、まず所管全部についてそれぞれ政府説明を聴取した後、一応の予定として、外務省所管、次に経済審議庁所管、次に通商産業省所管、次に農林省所管の順序によりまして、逐次各省庁別に質疑を行い、理事会申合せ通り 二十七日中には審査を終了するよう議事を進めて行きたいと存じますから 御協力のほどを願つておきます。  それではただいまより、各省別に逐次政府説明を聴取することといたします。  まず一般会計予算中、経済審議庁所管について説明を求めます。経済審議庁長官愛知揆一君
  3. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま議題なつております経済審議庁予算案について御説明申し上げます。  歳出予算要求総額は三億三千三百十六万八千円でありまして、これを前年度予算額三億四千三百九十七万七千円に比較いたしますと、一千八十万九千円の減額なつております。  次に、経費の内訳を申し上げます。  第一に、経済審議庁の項においては、要求額は、一億九千三百六十万九千円でありまして、前年度二億三百九十五万五千円に比較しますと、一千三十四万六千円の減額なつております。この要求額は、人件費一億四千四百十二万一千円と、事務費四千九百四十八万八千円であります。  この事務費を、さらに内容別に御説明申し上げます。  わが国経済に関する長期目標を作成し、また半年ないし一年程度の短期経済予測をいたしますための経費としては、二百四十三万五千円を要求しております。  各経済官庁で作成した産業財政金融貿易運輸等の諸基本政策目標について総合調整を行い、あるいは審議庁として総合経済政策を企画立案するための経費といたしましては、一百六十八万二千円を要求しております。  わが国内外の経済の動きを正確にかつすみやかに批握して、これを分析総合し、統計指標に現わして経済政策策定資料とし、あるいは、経済施策効果を測定するために必要な経費としては、一千五百三十一万四千円を要求しております。この経費は、毎月の定期的な月報類と臨時的な印刷物及び年報にとりまとめて発表する経済自書等の印刷に要する経費がおもなものであります。  国民所得調査して、各種経済政策目標策定の基盤にするための経費としては、一百八十四万円を要求しております。  このほかに、国民所得の元本ともいうべき国富の調査は、昭和十年以降中絶されておりましたが、戦後経済構造の変化した事情もあつて、再調査の必要に迫られておりますので、この調査を準備する経費もわずかながら要求してあります。  次に戦後わが国経済の復興安定をもたらした経済施策内容、経緯、効果を記録しておく必要がありますので、経済安定本部以来の貴重な資料を散逸せしめることなく、とりまとめて戦後経済史として残すために、資料を収集分類するに必要な経費も、わずかながら要求してあります。第二に、国土開発調査費の項においては、要求額一千四百九万円でありまして、前年度予算額一千三百七十万六千円に比較いたしますと、三十八万四千円の増額なつております。  国土開発費内容を御説明申し上げますと、この経費は、国土総合開発法電源開発促進法特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法離島振興法等の各法律に基きまして、それぞれの災害防除生産力向上並びに離島後進性を除去、発展せしめるための諸施策を樹立するに要する経費と、次に申し述べる審議会の運営に要する経費とであります。  国土総合開発審議会は、委員会と六専門部会のほか、各種分科会特別委員会から成り立つておりまして、それぞれ国土総合開発計画とその実施について調査審議の上、内閣総理大臣に報告しまたは勧告することが目的であります。  電源開発調整審議会は、電源開発に関する基本的目標、費用の振り分け、開発担当者決定水利権水没補償等事項審議決定することが目的であります。  特殊土壌地帯対策審議会は、特殊土壌におおわれて年々災害に見舞われ、また特殊土壌なるため農業生産力が著しく劣つている地域について、災害防除生産力向上をはかるための諸計画審議決定することが目的であります。  また離島振興対策審議会は、本土より隔絶せられた離島後進性を除去するため産業振興経済力の培養、島民の生活力安定福祉をはかる各種施策審議決定の上、内閣総理大臣に提出することが目的であります。  第三に、土地調査費の項においては、要求額一億二千九十四万九千円でありまして、これを前年度予算額一億二千百九十万円に比較いたしますと、ほぼ同額なつております。  土地調査費は、国土調査法に基きまして、国土開発、保全、利用高度化をはかるため、国土実態を総合的に調査する経費であります。その内容を申し上げますと、基準点測量水調査土地分類調査地籍調査に要する経費でありまして、この調査重点は、基準点測量地籍調査であります。  基準点測量は、四等三角点の新設でありまして、本年度は、人件費等の値上りもあり、予定点数を若干減らし、一応二千四百点とし、経費におきましても前年度よりも若干減額の六千六百六万三千円を要求しております。  次に、国土調査法第九条の規定によりまして、地方公共団体土地改良区等が国土調査を行いますときの補助金として、前年度より若干増額の五千二百三十百万円を要求した次第であります。  以上をもちまして一応経済審議庁予算説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細御説明を申し上げたいと存じます。  何とぞ御審議の上、可決せられんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 西村直己

    西村(直)主査 次に、一般会計予算及び特別会計予算中、通商産業省所管について御説明を求めます。通商産業大臣愛知揆一君
  5. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま議題なつております通商産業省所管予算各案について御説明を申し上げます。  まず二十九年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は六十六億八千三百十八万三千円でありまして、これを二十八年度総額五十八億一千八百三十万二千円に比較いたしますと、八億六千四百八十八万一千円の増額なつておりますが、給与改訂の平年度化等人件費増額分三億七千九百七十一万七千円を控除いたしますと、差引四億八千五百十六万四千円の増額となるわけであります。  次に二十九年度予定経費中重要なものについて御説明申し上げますと、第一に貿易振興対策といたしましては総計三億二千九百六十万三千円を計上いたしましたが、これを前年度一億九千六十五万円と比較すると一億三千八百九十五万三千円と約七割の増額を見ております。増額重点は、わが国貿易商社等が弱体であり、その海外活動が不十分な現状にかんがみ、主として海外貿易振興施設充実をはかつたものであります。  まず日本商品の展示及び貿易あつせんを行う貿易あつせんにつきましては、前年度ニューヨークに開設をいたしたのでありますが、二十九年度はさらに二ケ所を新設せんとするものであります。  次にプラント輸出促進をはかるため現地における機械設計技術相談等の便宜をはかるための重機械技術相談室につきましては、前年度、サンパウロ、ブエノスアイレス、カラチ、ニユーデリー、ラングーン、バンコツクの六箇所に開設いたしましたが、二十九年度はその本格的な活用を期する所存であります。  次に国際見本市参如補助については、前年度の約倍額の六千七百五十万円を計上し、その規模内容強化充実をはかりたいと存じます。また海外市場開拓及び販路の拡張をはかるため、本邦商品及び産業経済実態海外へ紹介宣伝するための海外広報宣伝費につきましては、その重要性にかんがみ、前年度一千二百九十万円を約倍増し、三千万円を計上いたしております。そのほか海外市場調査会補助日本国際見本市補助東南アジア技術協力団体補助等につきましては、前年度に引続きましてそれぞれ前年度とほぼ同額を計上いたした次第でございます。  第二に資源開発対策であります。まず石油試掘費等補助につきましては、最近における石油消費量激増状況等をも考慮し、国産原油開発増産をはかりますため、前半度三千五百三十万円を約四倍の一億三千万円と大幅に増額した次第であります。次に金、銅、鉛、亜鉛、硫黄、ニツケル、マンガン、クローム等重要鉱物生産維持をはかるための探鉱費補助については、前年度とほぼ同額の一億二千五百万円余を計上いたしております。そのほか、国際収支悪化の折から、国内自給度向上をはかるため、鉄鋼原料としての砂鉄、磁硫鉄鉱調査費として九百五十万円を計上する等、地下資源調査関係経費充実をはかつております。  第三に技術振興対策でありますが、まず新技術応用研究及び工業化試験に対する補助につきましては、前年度同額の六億円を計上いたしまして、その重点的運用を期している次第であります。次に工作機会等試作補助といたしましては、前年度同額の一億円を計上いたしておりますが、二十九年度は前年度と異なり、対象機種工作機械及び工具、軸受け等基礎部門に限定することなく、他の機種にも拡大するとともに、メーカーのみならず需要者に対しましても補助金を出し得ることとし、優秀なる国産機会試作促進に資したいと存じておるのであります。次に発明実施化促進のための補助金貸付金につきましては、新規発明実施化重要性にかんがみまして、前年度に比し若干増額し、三千万円を計上いたしておるのであります。また当省所属試験研究機関については、それぞれの基礎的研究に必要な研究費のほか、特別のテーマにかかる特別研究費総計二億二千万円計上いたし、これによりましてガスタービン航空原動機及び機体、海水利用放射性同位元素工業的利用地熱発電等現下わが国経済にとつて喫緊重要事項に関する研究促進をはかる所存でございます。  第四に、中小企業振興対策でございます。これに関しましては、まず第一に、今後考えられる経済デフレ化傾向に対処いたしまして、中小企業金融円滑化をはかるため、中小企業金融公庫に対し前年度同額の百三十億円の財政投融資を行うことといたしておる次第でありますが、回収金等を考慮いたしますと、二十九年度の本公庫運用資金増額は、前年度に比し、若干増額されたことと相なるかと存ずるのであります。なお、本公庫に対する一般会計よりの出資二十五億円の予算的措置は、形式上大蔵省予算に計上されておる次第でございます。中小企業振興対策の第二は、中小企業協同組合共同施設等補助でありますが、これは前年度一億八千万円に対し、中小企業振興重要性にかんがみ、二十九年度は三億円を計上し、中小企業協同化をより一層促進するとともに、今回は新たに本補助金運用によりまして中小企業における設備近代化を推進する方針であります。次に都道府県に対する中小企業振興指導費補助については、前年度とほぼ同額を計上いたしており、また昨年の風水害に伴う小企業者復旧資金に対する利子補給としては、一応三千万円を計上いたしておる次第であります。  以上をもちまして当省関係一般会計予算概括について御説明いたしましたが、次に二十九年度当省所管特別会計に関しまして、その歳入歳出予算大要を簡単に御説明申し上げたいと存じます。  まずアルコール専売事業特別会計でございますが、二十九年度歳入予定額は三十五億一千五百八十二万八千円、歳出予定額は三十億七千九百九十五万九千円でありまして、資産、売掛金等関係を加減しますと、二十九年度益金予定額は三億七千万円余と相なるのであります。  第二に輸出保健特別会計について御説明申し上げます。二十九年度歳入歳出予定額は、ともに四十四億九百九十七万六千円でありまして、歳入のおもなるものは保険料収入三億八千四十九万六千円、資金運用収入一億四千八百五十万円、返納金収入五億五千四百三十七万七千円、前年度剰余金三十三億二千六百六十万三千円等であり、歳出のおもなるものは支払い保険金七億四千六百二十六万二千円、予備費三十六億三千九百十九万七千円等であります。なお二十九年度における輸出保険制度運用といたしましては、輸出組合を相手方とする包括保険制度を拡大するとともに、委託販売保険制度を新設することとし、予算総則におきまして、それぞれ保険契約限度引上げをはかつております。  第三に中小企業信用保健特別会計について御説明申し上げます。二十九年度歳入歳出予定額は、ともに三十七億九千五百六十四万二千円でありまして、歳入のおもなるものは保険料収入九億七千三百二十万円、資金運用収入九千万円、前年度剰余金二十六億三千二百九十万三千円等でありまして、歳出のおもなるものは支払い保険金八億五千百五十七万円、予備費二十九億一千二百八十一万円等であります。中小企業振興対策につきましては先ほど御説明申し上げましたが、右振興対策の一環として本特別会計運用といたしまして、小口保険制度を新たに設けますとともに、業務の拡大に伴いまして予算総則において、保険契約限度引上げをはかつております。  第四に特別鉱害復旧特別会計について御説明申し上げます。本業務は、戦時中の石炭乱掘に伴う鉱害を復旧することを目的とするものでございまして、二十九年度歳入歳出予定額は、ともに七億三千六百十二万一千円であり、歳入のおもなるものは納付金収入五億九千百二十六万円であり、歳出はその大部分が事業費であります。なお米国対日援助物資等処理特別会計及び緊要物資輸入基金特別会計については、業務の終了に伴い、二十九年度から廃止いたすこととし、その残務は一般会計において処理する予定なつております。  以上をもちまして一般会計及び特別会計予算概括について御説明いたしましたが、この際当省関係財政投融資計画につきまして、簡単に御説明いたしたいと存じます。このうち中小企業金融公庫については、中小企業振興対策のところですでに触れましたので、開発銀行電源開発会社及び輸出入銀行について御説明いたします。  まず開発銀行でございますが、これに対する投融資額としては、前年度六百億円に対し、二十九年度は三百五十億円、また回収金等を含めました運用資金総額といたしましては、前年度八百六十億円に対し、二十九年度は六百五十億円と約二四%の圧縮を行わざるを得なかつたのでありますが、今後、電力、石炭鉄鋼合成繊維機械硫安等重要産業における開発計画または近代化計画について、さらに新規工事の繰延べ、継続工事重点的実施等について再検討を加えまして、極力投資効果の万全なる発揮を期する所存であります。  次に電源開発会社につきましては、前年度二百億円のところ六十億円を増額し、二百六十億円といたしましたが、なお当初の予定額を下まわりますので、実行上は一層工費を切り詰め着工順位等を勘考いたしまして、当初計画に近い開発計画の達成に努めたいと存ずる次第でございます。  最後に輸出入銀行については前年度に引続き二十九年度におきましても新規財政投融資は行いませんが、同銀行回収金及び運用利殖金として百六円、前年度繰越しとして百二十億円、計二百二十六億円の資金運用によりまして、今後におけるプラント輸出促進を期す所存であります。  以上で通商産業省所管一般会計及び特別会計の御説明終つたのでありますが、なお御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上、可決せられんことをお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  6. 西村直己

  7. 保利茂

    保利国務大臣 昭和二十九年度農林関係予算につきまして、その大要を御説明申し上げたいと存じます。  来年度予算案は、総合的な食糧自給度向上及び農林漁業経営の安定をはかろうとするところに主たる目標を置いて、編成いたしたものでございまして、今後これに基きまして主要食糧増産畜産振興農産物価格調整等に関する施策を強力に推進いたして参る所存であります。  以下主要なる経費につきまして簡単に御説明申し上げます。  まず食糧増産対策関係経費につきましては、これが確保のためできるだけの努力を傾けたつもりであります。このうち農地の拡張及び改良につきましては、特に土地改良重点を置きまして極力前年度の線を維持して参りたいと考えておりますが、その他開拓、干拓の各事業を通じて、新規事業は単年度完成小規模工事以外は一切抑制し、継続事業促進をはかることといたして参りたいと存じます。  次に入植助成関係につきましては、従来通り開拓者に対する資金貸付のほかに新たに乳牛導入資金の繰入れ及び短期資金融資円滑化のための中央開拓融資補償協会への政府出資金を要求いたしております。  次に耕種改善につきましては、従来通り種子対策土壌改善対策農業改良普及事業等経費を計上したほか、特に植物防疫対策につきましては、従来の方針を変更して病虫害の発生予察事業及び防除組織の整備を強化いたし、農薬については備蓄制度の拡充に力を注ぐことといたしました。   〔主査退席福田(赳)主査代理着席〕  畜産振興経費につき御説明申し上げます。政府といたしましては国内食糧の総合的な自給度向上食生活改善をはかりまするため、畜産振興には特に力を注ぐこととし、有畜産家創設のための利子補給飼料対策家畜改良増殖等施設を引続き実施するとともに、特に集約酪農地区の設定、牧野改良経費につきましては相当大幅に増額計上いたしております。  蚕糸振興経費につきましては、特に生糸輸出促進をはかりまするため海外生糸調査事務所設置等により海外宣伝を強化いたすことといたしましたが、このほか繭の増産養蚕経営合理化をはかりまするため、経営改善特別指導及び技術改良経費を要求いたしております。  農産物価格調整関係経費につきましては、前年度に引続き甜菜糖、澱粉、かんしよ生切りぼし、外国飼料のほか、新たに菜種の買上げを行うことといたし、これらの買入費食糧管理特別会計に計上いたし、農業経営の安定を期した次第であります。  農業災害補償制度経費につきましては、現行制度改善につき根本的に検討中でございまして、いまだその結論を得ておりませんので、前年度の線を踏襲いたしております。  農林漁業における財政投融資と市中金融に対する利子補給につきましは、農林漁業金融公庫の貸出し財源として二百二十五億を確保いたし、土地改良、造林、林道、漁港、漁船及び共同利用施設等の拡充と近代化をはかることといたし、また昨年の冷害、風水害等の被害農家に対しまする営農資金利子補給金として所要の経費を要求いたしております。  林業振興経費につきましては、新たに治山治水上重要な地域における民有林野の買上げを行い、治山事業の拡大実施をはかることといたし、また造林事業につきましても濫伐地、伐採跡地のすみやかなる解消をはかりまするため相当の経費増額をいたし、保安林の整備強化の措置と相まちまして治山の徹底を期したいと存じておる次第であります。このほか林道、森林計画等の経費を計上いたしました。  第八に水産振興経費でございますが、漁業振興の根本であります漁港の整備事業重点を置くことはもちろん、沿岸及び沖合における資源の枯渇の現状にかんがみまして、水産増殖事業、近海資源の開発調査、過剰漁船の整理等を引続き実施いたしますとともに、海外漁場への発展、新漁場の開発に特段の努力を払うことといたしております。  第九番目に食糧管理関係経費につきましては、一応現行の線を踏襲することといたしましたが、国際収支の現状にかんがみまして、外米の輸入を極力節減することとし、麦食への転換促進と麦類の輸入増加により相当大幅の輸入補給金の減少が可能となつたのであります。このほが農産物の買入れにつきましてはすでに申し上げました通りでありますし、また学童給食につきましては引続き所要の経費を計上いたしております。なお食糧管理制度につきましては、国民生活、農家経済等と密接な関係を有する問題でありますので、内閣に食糧対策協議会を設け、食糧管理その他食糧問題全般につきましてただいま検討を重ねている最中でありまして、基本対策の確立につきましは協議会の推移をながめまして、慎重に処理いたしたいと考えております。  農林予算の骨子の大要は以上の通りでございますが、詳しくは官房長から説明をいたさせます。  何とぞ慎重御審議のほどお願い申し上げる次等であります。
  8. 福田赳夫

    福田(赳)主査代理 それでは農林省所管について政府委員から補足説明を聞取いたします。渡部官房長。
  9. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 ただいま農林大臣から予算の基本的大要について御説明がありましたので、数字的に補足させていただきます。  農林省所管の合計といたしましては、前年度千四百五十三億円が千三十七億円になつたのであります。これは前年度に比較しまして四百十六億円の減となつております。このほかに農林省関係の予算としましては、総理府所管の公共事業費すなわち北海道関係五十八億、大蔵省所管関係農林漁業金融公庫出資九十五億がありますので、農林関係予算としましては千百九十億円となりますが、これは前年度千七百十九億円に比べまして五百二十八億の減となります。この減つたおもな理由は、輸入食糧価格調整金繰入れが二百十億の減、農業共済再保険金特別会計保険金支払い財源不足金繰入れについて三十億円の減、農林漁業金融公庫出資について借入金を増額いたしましたので、そのかわりといたしまして百十一億円の減があつたのであります。そのほかに米の供出完遂奨励金繰入金五十億円、冷害対策費の四十億円及び当年災関係で八十二億円が落ちたものでありまして、彼此検討いたしますと、今次緊縮予算の影響は少からざるものがありましても、大体におきまして農林省関係事業を遂行できるというふうになつております。  まず一般会計の食糧増産対策費でありますが、まず農地の拡張改良費であります。これは総額におきまして二百六十四億円、前年度は二百七十五億円でありまして、十億円の減となつております。このうち土地改良重点を置かれまして、国営灌漑排水事業継続事業をできるだけ早期に完遂することを目途としまして、前年度五十七億円を六十六億円に増額いたしました。土地改良補助事業につきましては八十二億円で、前年より減少いたしました。これらの事業を含め、土地改良総額としましては百六十二億円でありまして、前年度とほぼ同額なつております。なお土地改良機械購入のため、農業機械整備費にまわした一億六千万円があります。  開拓事業といたしましては九十八億円であります。前年度は百六億円でありますので、相当減つております。従いまして新規入植は、前年度八千戸を七千戸に予定しております。このうちには、開墾建設事業四十一億円、干拓建設事業二十五億円、開拓事業費二十八億円等が計上されております。  次に食糧増配対策費の第二といたしまして、入植関係経費でありますが、開拓資金融通特別会計への貸付財源としまして、十四億八千五百万円、これは前年度十七億二千五百万円に比べまして相当減つております。しかし新しい項目とまして、乳牛の導入費をこの金から出すことにいたしております。また中央開拓信用保証協会への政府出資金を五千万円増額いしたました。前年度の分を合せて一億五千万円にすることにいたしております。  次に第三に、食糧増産対策経費の第三の費目として耕種改善経費でありますが、この中には種子対策、土壌対策、改良普及事業、植物防疫関係があります。種子対策につきましては御承知の通りでありまして、主要食糧の種子の改良につきまして四億七千万円、大体前年度程度要求しております。土壌対策につきましては、低位生産地及び酸性土壌の解消、特性土壌対策の経費として三億一千万円、前年度より多少増加しております。農業改良普及事業につきましては、農業改良普及員、生活改良普及員の補助率の引下げによりまして、前年度十四億が十二億になつております。植物防疫関係につきましては、前年度十三億でありましたが、農薬の補助新規のこれから奨励するものに限つた関係で七億に減つておりますが、但し発生予察事業の費用を増し、防除器具を、府県で持つべき購入費を前年の約四倍にしまして、二億計上しております。さらに農薬につきましては、農薬の備蓄の拡大ということを考えております。次に、農業関係の試験研究事業につきましては、十五億円でありまして、前年度十二億円に比べまして、約三億程度の増加になつております。これは国の農業試験研究機関と農業技術研究所、地域農業試験場の経費十一億、都道府県の農業試験場の指定事業等の補助その他常農地の試験地特性検定試験、施肥改善合理化試験、土地改良実施の跡地の営農を確立するための土地改良地区試験費と新しい費目を計上しております。北海道関係につきましては、従来からあります心土耕、混層耕用の機械購入てん菜振興対策等の経費が入つております。このほか積寒地帯の農業振興のための総合助成施設としまして二百六十箇村、前年度は二百箇村を対象としておりますが、これに対しまして一億三千万円、農地の交換分合換地計画等に一億二千万円、特殊農作物増産等に二千万円等を計上しております。  次に畜産振興経費でありますが、この経費としましては総額八億九万円、前年度五億六百万円であります。そのおもなるものは、有畜農家の利子補給制度として引続き行われておるもの二億六千万円。飼料対策としまして牧野改良事業、阿蘇山麓地帯の災害復旧事業あるいは従来の飼料作物の原採種團の経費のほかに、新規として牧野改良事業機械力により効率的に進めるための施設としての牧野改良センターの経費として四千万円ばかり計上しております。なお北海道における牧野草地の改良機械化の経費としまして千万円、飼料自給経営施設として千六百万円を計上しております。  次に集約酪農地区の設定につきましては、継続二地区、新規四地区、合計六地区にしまして、千八百万頭のジヤージー種乳牛を導入することにしております。このために前年度分六千八百万円であつたのを二億三千万円に増算しております。  なお種畜の購入等、家畜の品種改良について、国内産種蓄の購入経費、輸入経路等それぞれ増すとともに、人工受精施設費、家畜衛生技術指導施設費等をそれぞれ増しております。  第三に蚕糸振興関係につきましては、新しい項目といたしまして、ニユーヨークに海外生糸調査事務所を新しく民間で設置しまして、これに委託費を出し、繭の増産と生産費低減の措置として相当の経費を計上しております。  第四に農林産業団体の関係経費でありますが、これは農業委員会関係に二十四億円、前年度三十一億でありますので相当の減少をいたしました。  これは補助率を減らすとか、あるいは町村合併の促進によりまして、委員会の数が減るということを予想しておるのであります。再建整備の経費につきましては、引続き増資奨励金等を要求するほか、農業協同組合の連合会の整備促進事業費補助金としての経費を計上しております。  第五に農産物価格調整関係経費でありますが、これは食糧管理特別会計で引続きまして、てん菜糖、澱粉、生切干かんしよを買い上げますほかに菜種を買い上げることにいたしております。  第六は農業災害補償関係経費であります。これは総額百六十億四千万円を計上しております。このうち農業共済兼保険時別会計繰入分としては水稲、陛稲、麦、蚕繭、家畜の保険料国庫負担分及び業務取扱費として七十九億を、同特別会計兼保険金支払い財源不足補填金として五十五億円を計上しております。このほか農業共済事業事務費負担金として二十三億円を計上しております。  次に農業漁業関係の営農資金等に対する利子補給関係を申し上げます。農林漁業金融公庫出資金は九十五億円でありまして、前年度分は二百五億円であります。資金運用部からの借入金前年度分五十億を百五億に増しました。これに償還金を加えまして、先ほど説明がありましたように二百二十五億円の運用財源といたしております。前年度は二百六十五億円でありますので相当減つております。それから特別会計による政府の融資並びに融資保証といたしましては、自作農創設特別措置、開拓資金融通及び中小漁業融資保証保険の各特別会計があります。  利子補給のおもなるものは、先ほど申しました家畜導入資金利子補給のほかに、凍霜害から冷害に至るまでの営農資金利子補給、それから従来法律として通つております被害農家の営農資金、十勝沖地震による被害農家の営農資金に対する利子補給、ルース台風、十勝沖及びカムチヤツカ沖地震等による被害農家の災害復旧資金利子補給等々があります、  次に林業関係経費でありますが、治山事業に四十九億円、林道事業に十九億円、造林事業に三十五億円となつておりますが、今年度は特に治山につきまして右の経費のほか、国有林野事業特別会計の中におきまして、治山治水上重要な地域における民有林を積極的に買い取りまして、これに治山事業を施行する経費として、特別会計の中に三十億円を新たに計上しております。  右の地産治水対策の重要なる一環として、保安林の緊急整備をはかる必要がありますので、新たに保安林管理実行案作成に要する経費として三千五百万円を計上しております。  そのほか民有林計画に五億円、森林病虫駆除事業に二億円、林業改良普及に一億円、優良種苗普及に四千万円の経費を前年度に引続いて計上しております。  次に水産関係でありますが、水産関係につきましては、まず減船整理につきまして二億六千万円、これは小型が一億七千万円、中型が九千万円ということになつております。これによりまして、小型におきましては二千五百九十四隻、中型底びき関係では六十五隻の整理を行うことといたしております。  水産資源の増殖に関しましては一億三千九百万円を計上いたしましたが、内水面における種苗の生産及び放流の施設、浅海における貝類、海藻類、帆立貝の増殖、北海道におけるさけ、ます孵化等の事業のほかに、新たに最も集約的かつ零細な漁場であります瀬戸内海における魚類の増殖をはかるための費用として、二千万円余りを計上いたしております。  新漁場の開発及び漁業取締り関係につきましては、北洋漁業の保護取締りと、さけ、ます、底魚関係の資源調査のための経費として一億六百万円、新たに南方漁場の開発のため官船一隻を派遣する経費として三百万円を計上いたしております。このほか遠洋漁業取締り経費といたしまして東海、黄海の出漁船の保護取締りのための経費二億円、沖合い漁業取締りのための経費五千万円等を計上いたしております。  次に漁港の施設につきましては、すでに着工しておる地区の早期完成をはかることといたしまして、二十億円を要求いたしております。前年度二十一億円に比べまして若干の減少をいたしております。  右のほか、魚田開発に四千万円、対馬暖流海域の水産資源開発等に三千万円、水産技術改良普及に一千万円を要求いたしておりますほか、新しい項目として、若干ではありますが、冷害対策に関する海洋調査のための経費として一千九百万円を計上しております。  次に災害復旧費の関係でありますが、二十九年度は農業関係で百五十四億円、林業関係で八億円、漁港関係で十一億円を計上いたしておりますが、これは前年度に比較いたしますと六十六億円の減少となつております。これは前年度におきましては、大災害の連続によりまして、その復旧費が予備費をもつてはとうていまかなうことができないので、補正予算で追加されました八十二億円が入つておるからであります、二十八年度末の未復旧残事業費はなお巨額に上つておりますが、ただいま再査定等を行つて極力事業費の圧縮をはかつておりまして、災害復旧については、この経費をもちまして遺憾なきを期したいと思います。  以上は一般会計でありますが、次に特別会計について簡単に申し上げます。  まず食糧管理特別会計であります。食糧管理特別会計は、現行の線を踏襲することにいたしております。すなわちまず第一に供出制度を継続することといたしまして、供出量は二千七百二十二万石、前年度二千百四十四万石であります。平年作の供出が可能であろうというふうに考えます。また国内産の麦について、前年度とほぼ同様の買上げを行うことといたしております。  輸入食糧につきましては、外米の輸入量は極力少くすることといたしまして、できるだけ麦を多く買うことにいたしました。米は百十四万トン、前年度は百四十五万トン、大麦は百三万トン、前年度は八十五万トン、小麦は百九十六万トン、前年度は百九十七万トンというふうになつております。  消費者価格は現行をすえ置きということで予算を組んでおります。なお生産者価格につきましては、前年度の予算価格と同一としております。ただ米につきましては、従来の超過供出奨励金、完遂奨励金を基本価格に統合いたしまして一本価格として計上いたし、早場米奨励金につきましても、前年度の予算と同額の八十一億を計上しております。  輸入食糧の価格調整補給金につきましては、前年度三百億を九十億円に計上しております。これは米の輸入価格あるいは麦の輸入価格が、単価が下つたというふうな原因によるのであります。それからもう一つ国内の消費者価格を上げたという、二つの理由によつてできておるのであります。  食生活の改善のための学童給食用小麦の廉価払下げは、従来通りやります。但し前年度に比べまして対象児童数を相当増価いたしましたので、十五億を十七億にしております。前年度から引続いております冷害、風水害等による被害農家の飯用米麦の特別価格払下げの金として、五億九千万円を一般会計から繰入れることにいたしております。  澱粉、てん菜糖、生切干、かんしよ、輸入資料のほか、新たに計上した菜種の買入れは、先ほど御説明した通りであります。  農業共済再保険金の特別会計でありますが、これは先ほど申し上げた通りであります。  第三の特別会計として森林火災保険特別会計でありますが、歳入歳出ともに二億九千万円、前年度より若干増加しております。  漁船再保険特別会計は、これも前年度より若干増加しております。二十八年度に満期保険を創設いたしましたが、引続いてこの勘定でやるというようにいたしております。特殊保険勘定は歳入歳出とも二億四千万円。給与保険勘定につきましては、特殊保険と同様の考えのもとに、保険事故が発生した場合の再保険金の財源として、資金運用部から一千万円の借入れを予定しております。  次に自作農創設特別措置特別会計でありますが、買収は千五百町歩の既墾地、二万三千五百町歩の未墾地を買い上げることとし、売渡しは五千四百町歩の既墾地、未墾地十三万八千町歩、牧野二千四十二町歩を予定しております。この会計の歳入歳出は十四億一千万円であります。  開拓資金融通特別会計につきましては、先ほど御説明した通りであります。  国有林野事業特別会計は、歳入歳出とも三百四十九億五千万円、前年度三百三十二億でありまして、若干の増を見ております。この中で地産事業をやらすために必要な経費両方を計上しておることは、先ほど説明を申し上げた通りであり。  次に国営競馬の関係でありますが、国営競馬といたしましては、歳出歳入百三十億、二十八年度の実績によりまして十六億の増加となつております。これは投票券勘定でありまして、業務勘定は歳入歳出とも三十五億であります。これもやはり若干増加しまして、益金十五億円を繰入れることとしておりますが、これも前年度十三億に比べて約二億の増加になつております。  次に糸価安定特別会計でありますが、これは歳入歳出とも二十二億になつております。これは現在糸価が非常に高いのでありまして、この特別会計の発動はまだしておりません。高い価格の絹糸の輸出をどう伸張するかにつきましては、現在法案を整備しておりますので、近く国会の御審議を願うことを予定しております。  最後に中小漁業融資保証保険特別会計であります。  以上が数学的な農林関係の予算の概要であります。
  10. 福田赳夫

    福田(赳)主査代理 この際小林絹治君より農林省当局に対し、資料要求の発言を求められております。これを許します。
  11. 小林絹治

    小林(絹)委員 今数字をずつと御説明になられた。それはそれでよろしい。ところでこの農林省などは非常に種類の多い雑多な仕事をする省でありますから、外務省などとは違つて、今ああしてずつと棒読みに予算を言われたが、なかなかわからない。実は私は議席にあること十七、八年、また農村出のものですから、農林省の行政とか立法については、多少知つておるつもりでありますけれども、よくわからない。そこで農林省のこの予算の審議はあさつてくらいになると思いますから、そのときに質疑をいたしますけれども、資料としてもう少し今度は親切というか、たとえば二十八年度の予算と二十九年度の予算を、去年よりはことしの方がこれこれのものについては幾ら金をたくさん出しておる、それは去年に比べて何割何分ふえた、何割減つたというような、わかりやすいものを出していただきたい。そこでどういうわけでこれをふやしたのか、どういうわけでこれだけ減したのか、これだけ減しちや困るじやないか、ことし予算がなければ来年どうするかというようなことが審議をするのに大切なことであります。今お読みになつたのは、それはそれでよろしい。けれどもこれでは国民にはわからない。でありますから、今度資料の準備をして、もう一ぺんまた読んでもらつたらいいと思うが、それは今申したように、本年度はこれだけふえておる、減つておる、それは何億になるとか、ほかにこれだけ使つたからこれだけ減つたというのではないと、国民は承知しません。たとえば一つの例を言いましても、先だつて中に食糧事務所の人数を減した、それから統計調査所と一緒にするとか言つておる。農林大臣もよく知つておりはすまいと思う、また局長といえども所管以外のことはよく知つていない。それくらい広い範囲の仕事をしておるのだから、統計調査所の人を減すとか——統計調査所がどういうことをしておるかということを国民は十分知つていないが、あれなんかでも減してはいかぬと思う。たとえば各府県においてかつてなことを言つておる。県の名は言いませんが、一つの例を言いますと、統計事務所はびわの災害が二十五万貫というのに対して、県の方では二十七万貫と言つておる。その県はいくらびわができる年でも二十五万貫より以上できたことはない。これを二十七万貫落そうと思えば、知事さんどういうふうにして落したかわからない。各府県はそういう無理なことをやつておる。これは補助金をよけいとりたいからで、またやむを得ない。しかし政府として統計調査をしつかりしなければならない。それには統計調査所がしつかりしなければなりません。あるいは食糧事務所にしましても、この人を減すということは供出に非常にさしつかえて来る。価格検査はやらなければならぬ。供出はできない。ことに審議会に通過いたしました農産物価格安定法につきましても、これは農産物ですから、ほかの工業製品と違つて、いついつまでに幾らこしらえるということはできぬ。天候の関係もありますし、地方々々の土地の関係もあつて、年中生産がかわつて来る。どうかすると非常に価格が落ちて農家に損をさすから、そこで政府が値段をきめて、これを買上げてやるというのが、あの農産物価格安定の法律なんです。ところがそれを検査しなければ政府はとらぬじやないか。そういうような現場の仕事をどういうわけで減らすのか。今度の改良普及につきましても、改良普及員の金がことしは大分減つておる。あるいは地方に出す金を、農林省の予算でなくて、一部はほかから出すというような建前の話を聞いておりますけれども、どういうわけでそうしたのか。私が聞くところでは、去年は三分の二の補助をしておつたのが、ことしはその半分になるという。農業技術員というものは非常に大事なんです。反当収入をふやすのには、どうしてもあれに仕事をさせなければならぬし、近ごろは事務も多い。それを減らさなければならないということになると、非常に困るじやないか。ほかでどれくらいふえたから、これを減らさなければならぬのだということがわからなければ、国民は承知しない、農村は承知しないでありますから、その審議をするについて、だれにもわかるように今度説明の用意をして来て、そして重点的に、これだけのものはことしは新しくふやすのだとか、あるいは減らすのだとか、その理由を付した説明の用意をしてもらいたい。いずれこの農林省の予算については、多分明後日あたりになると思いますが、短かい期間にやるのでありますから、そういう親切な材料をつくられるように希望いたします。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 関連しまして資料の要求をしたいと思います。最初に経済審議庁関係で、昭和二十九年度国民所得推計が五兆九千億という発表が二月一日になされておりますが、きわめて概括的なものでありまして、その内容を知りたいのであります。その国民所得の推計の基礎になりましたものを詳細に御提示願いたい。できれば昨年度の分と対比したものがほしいのであります。それからもう一つとりあえずお願いしたいのは、農林、通産両省関係で、今度いろいろな補助金の削減等が行われた種目が相当あるようであります。政府はこれを地方交付税の中に算定基準として織り込んでおるということをしばしば言つておりますが、何の種目を幾ら、どういう基準によつて地方交付税に入れておるのか、その種目別金額、その算定の基準というものを、小さな金額といえども詳細に通産、農林関係で御提示願いたいということを、とりあえず要求しておきます。
  13. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 関連して農林省資料を要求しておきたいのです。国営の灌漑排水事業が出ておりますが、民営の潅漑排水についての統計、資料がありましたら、ぜひ御提出願いたいと思います。それから干拓事業の問題ですが、干拓事業が、途中でやめられるのは別として、今までどのような経過になつているか、簡単でけつこうですから、資料がありましたらぜひ御提出願いたい。以上、二点をお願いいたします。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私も農林省関係について資料をお願い申し上げておきます。砂糖について輸入関係、消費関係及びこれの外貨割当等に関する各般の資料、それから災害復旧事業補助金の問題につきまして、査定は完了して仕事はできたが、補助金はまだ交付せられていらぬといつたものがあれば、全国的に数字と箇所、金額、年度をお示し願いたい。それから私あとでまた文書をもつて要求することにいたしますから、御了承願います。
  15. 小平忠

    小平(忠)委員 資料要求の問題で関連してお願いしたいと思います。  現在MSA協定の折衝がほとんど最終段階に入つておるかのごとき状態であるのでありますが、現在了解がついたのと未解決の問題があると思います。特に顧問団の問題、さらに余剰農産物の買付協定に関しましては、最後の協定がまだされていないということを新聞では見るのでありますが、先般岡崎外務大臣から中間報告がありました後において、進んだ問題もあろうかと思うのであります。結論を申し上げますれば、MSA協定に関しまして、現在話合いがついたものの内容、まだ未解決の問題の内容、特に顧問団に対しまする具体的なとりきめ、さらに余剰農産物の買付問題については、先般の外務大臣の中間報告では大麦、小麦に限定されていたようでありますが、最近の報道によりますと、バターその他の農産物につきましても買付をするかのごとき情報も現われておりますが、これらの話合いを進めておりまする内容について、外務省から資料の御提出を願いたい。   〔福田(赳)主査代理退席、西村主査着席〕
  16. 西村直己

    西村主査 次に一般会計予算中、外務省所管について説明を求めます。岡崎外務大臣。
  17. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 外務省所管昭和二十九年度の予算について大要を御説明いたします。  予算総額は五十七億七百六十五万九千円でこれを大別いたしますと、外務本省二十億九千六百十二万九千円、在外公館三十六億五千百五十三万円であります。その内容について御説明いたします。  第一、外務本省一般行政に必要な経費五億七千六百三十六万円は、外務省設置法に定める本省内部部局及び付属機関の一部事務を処理するための職員一千二百二十二名の人件費及び物件費等でありまして、前年度に比し四千三百九十二万七千円の増加は職員の給与改訂等の増額であります。  第二、外務行政連絡調整に必要な経費一億二千八百六十七万七千円は、本省と在外公館との事務連絡のための電信料、郵便料及び旅費等でありまして、前年度に比し一千九百五十一万一千円の増加は、在外公館の増加と連絡事務の増加したためであります。  第三、外交文書編纂公刑に必要な経費五百万一千円は、明治以来の日本外交史実を編集し、公刊するための経費であります。  第四、外交電信に必要な経費三千百九十四万八千円は在外公館との通信施設改良整備等に必要な経費であります。  第五、外交運営の充実に必要な経費三億円は、外交再開第三年目において各国との外交交渉により幾多の懸案問題の解決をはかり、また各種の条約協定を締結する必要がありますが、これらの交渉をわが国に有利に展開させるため必要な工作費で、前年度に比し八千四百万円の増額なつております。  第六、アジア諸国に関する外交政策及び賠償実施政策の樹立に必要な経費六百四十六万八千円はアジア諸国に関する外交政策の企画立案、その実施及び賠償実施政策の樹立のため必要な経費であります。  第七、アジア諸国との経済協力に関する事務に必要な経費六千五百六十五万円はアジア諸国との経済協力をはかるために企画立案し、及びその実施につき総合調整するに必要な経費と、財団法人国際学友会補助金三千五百万円及び経済協力民間団体補助金三千万円であります。前年度に比し一千八百二十八万七千円の増加は、経済協力民間団体補助金新規増加によるものであります。  第八、欧米諸国に関する外交政策の樹立に必要な経費一千九百五十五万円は北米、中南米、西欧及び英連邦諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施に必要な経費と、今秋京都において開催される太平洋問題調査会の太平洋会議補助金二百七十七万七千円及び在パリ日本会館補助金百二十三万一千円であります。前年度に比し三百六十六万四千円の増加は、在パリ日本会館補助金の増加と太平洋会議補助金新規増加によるものであります。  第九、サン・パウロ市四百年参加に必要な経費一千七百三十八万七千円は日伯友好関係の増進に資するため、ブラジル国サン・パウロ市四百年祭祝典に参加し、各国国情展においてわが国情を紹介するための経費と、同国に派遣する表慶使節団の外国旅費等であります。  第十、国際経済情勢の調査並びに資料の収集等に必要な経費七百五十七万二千円は世界経済の正確な把握を期するため、内外の資料文献を広く収集整理するための経費であります。  第十一、通商貿易振興に必要な経費二百六十四万一千円は通商利益の保護増進をはかるため、通商貿易に関する調査等のための経費であります。前年度に比し、二百九万七千円の増加は、非常勤職員手当及び庁費の増加によるものであります。  第十二、条約締結及び条約集編集等に必要な経費一千四百十二万八千円は国際条約の締結、条約集等の編集、条約典型の作成、条約及び国際法並びに内外法規の調査研究のため必要な事務費等であります。  第十三、戸籍法及び国籍法関係事務処理に必要な経費三百二十三万三千円は、在外邦人の身分関係事務及び二重国籍者の日本国籍離脱に関する戸籍法上の事務に必要な事務費であります。  第十四、国際連合への協力に必要な経費八千四百四十九万円は国際連合各機関の調査研究に必要な事務費と、後進国経済開発技術援助拡大計画拠出金二千八百八十八万四千円、国際連合国際児童緊急拠出費三千六百八万円、朝鮮救済再建計画拠出金一千四百四十三万二千円及びパレスタイン難民救済計画拠出金三百六十万八千円であります。前年度に比し一千八百二十一万五千円の増加は、前記朝鮮救済再建計画拠出金及びパレスタイン難民救済計画拠出金の新規増加によるものであります。  第十五、日米合同委員会日本側事務局の事務及び国連軍協定実施に関する事務処理に必要な経費六百六十九万円は、日米安全保障条約第二条に基く行政協定の実施機関である合同委員会の日本側事務局の事務及び国際連合軍との協定実施に関する事務に必要な経費であります。前年度に比し二百九十四万四千円の増加は、行政協定事務地方公共団体委託費の新規増加によるものであります。  第十六、情報啓発事業実施に必要な経費二千三百七万三千円は国際情勢に関する資料の入手、海外に対する本邦事情の啓発及び国内啓発等のため必要な経費であります。  第十七、国際文化事業実施に必要な経費一千六百二十六万円は、文化交流を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な啓発宣伝資料の作成、購入の経費及び国際連合協力の意思を盛り上げるため、国家的事業の一環として、財団法人日本国際連合協会補助金六百五十四万一千円と、日本文化の海外紹介の事業を主とする財団法人国際分化振興補助金二百六十六万円であります。前年度に比し二百万六千円の増加は、文化紹介資料の購入、作成の増加によるものであります。  第十八、海外渡航関係事務処理に必要な経費九百三十四万一千円は、旅券の発給等海外渡航事務の経費と、その事務の一部を都道府県に委託するための委託費四百二十七万八千円であります。前年度に比し百九十七万八千円の増加は、旅券作成費の計上によるものであります。  第十九、未引揚げ邦人調査等に必要な経費一千五百八十五万八千円は未帰還邦人の氏名、生死等を明らかにし引揚促進のための外交交渉及び留守家族援護策の実施に必要な資料を整備するための事務費、及びこの事務の一部を都道府県に委託するための委託費九百万二千円であります。  第二十、旧外地関係事務関係事務処理に必要な経費七百十四万四千円は、二。朝鮮、台湾、樺太、関東州等旧外地官庁職員の給与、恩給、の支払いその他残務整理に必要な経費であります前年度に比し百八十七万九千円の増加は、非常勤職員手当の増加によるものであります。  第二十一、旧外地官庁引揚げ職員等の給与支給に必要な経費七千四百万円は、二十九年度中の旧外地官庁引揚げ見込職員百名と、未引揚げ職員六百二名の留守家族に支払う俸給その他給与であります。前年度に比し一千四百万円の増加は、法令により恩給年限に達した未帰還職員を退職とみなしたため、これら職員に対する退職手当の新規増加によるものであります。  第二十二、移民振興に必要な経費三億七千九十六万九千円は、南米開拓移民三千五百人を送出するための渡航費貸付金三億三千二百五十三万二千円、及び移民事務を民間団体に委託するための経費三千万円等であります。前年度に比し二億九百六十四万五千円の増加は、送出移民の増加に伴う渡航費貸付金及び移民事務委託費の増加によるものであります。  第二十三、神戸移住あつせん所事務処理に必要な経費一千八十九万一千円は、移民の本邦出発前における健康診断、教養、渡航あつせん等の事務を行うため必要な経費であります。前年度に比し四百三十九万八千円の増加は、常勤労務者給与及び移民用寝具等購入費の増加によるものであります。  第二十四、国際会議参加及び国際分担金支払等に必要な経費二億五千八百六十九万八千円は、海外で開催される各種国際会議にわが国の代表を派遣し、また本邦で開催される国際会議に必要な経費とわが国が加盟している国際機関の分担金であります。前年度に比し四千四百十二万七千円の増加は、外国旅費、国連食糧農業機関分担金、同運転貸本基金分担金、国際小麦理事会分担金、及びユネスコ分担金等の増加と関税貿易一般協定分担金を増加したためであります。  第二十五、在外公館一般行政に必要な経費三十五億五千五百五十五万五千円は、既設公館六十二館一代表部四百十八名、二十九年度新設予定の在イラク、シリア、レバノン、コロンビア、農ドミニカの五交使館、ハンブルグ、シドニーの二総領事館トロント、メダン、レオポルドヴイルの三領事館、及びエジプト公使飢を大使館に昇格するために必要な職員二十八名及び既設公館の職員の増加三十五名、計四百八十一名の給与、赴任、帰朝、出張旅費、事務費、交際費等であります。昨年度に比し四億四千九百九十二万八千円の増加となりますが、そのおもなるものは新設公館の経費、職員給与の改訂、及び事務費等の増加であります。  第二十六、対外宣伝及び国際文化事業実施に必要な経費二千九百二十万七千円は、わが国とアメリカ合衆国及び東南アジア諸国との親善に寄与するため、わが国の政治、経済、文化等の実情を組織的にアメリカ合衆国及び東南アジア各地に紹介するための資料作成費、公演謝礼、及び事務費並びに国際文化交流のため、日仏文化協定実施混合委員会の運営等に必要な経費であります。  第二十七、在外公館営繕に必要な経費五千二百十四万八千円は、在インド大使館事務所をニユーデリーに新営するため、並びに在外公館の事務所及び官庁公邸建物の、修理費等であります。  第二十八、国際会議事務処理に必要な経費一千四百六十二万円は、在外公館所在地で開催される国際会議の事務処理に必要な事務費であります。  以上がただいま上程されております外務省所管昭和二十九年度予算の大要であります。何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  18. 西村直己

    西村主査 これにて所管全部について、政府説明を終了いたしました。  吉田賢一君から資料要求の発言があります。吉田賢一君。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは通産省の方から、第一に、最近の綿花、繊維類、化繊を含みまして羊毛などの輸出入の状況、その趨勢、価格、相手国との関係、そういうことを詳細に知り得る資料、それからなお二、右に関連いたしまして、これら各般の繊維類の国内における生産と消費、価格の趨勢等を知り得るもの、第三は、昭和二十七年以降の外貨の予算割当等の状況を知り得るもの、これも通産省だと思いますから、お取寄せ願いたいと思います。
  20. 西村直己

    西村(直)主査 吉田君の資料要求は、今政府委員が参つておりませんから、主査の方から正式に連絡をいたしておきます。  引続き、外務省所管議題といたしまして質疑に入ります。質疑は通告によりましてお許しをいたします。佐藤觀次郎君。
  21. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 外務大臣に三、四点質問いたします。第一次のソ連からの引揚げは完了いたしましたが、第二次のソ連からの引揚げの問題はどうなつておりますか。
  22. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは外務省では関与しておりませんが、赤十字を通じてやつてもらつております。第二回の分は先方から通知がありましたので、ただいま、厚生省、運輸省と連絡いたしまして、船の準備、受入れ態勢の準備等を整えつつあります。
  23. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いつも問題になるのでありますが、この日本の漁場の問題で、いろいろ日韓問題あるいは中共との問題もありますが、従来日本が一番大きな漁場にしておりました樺太とかあるいは千島方面の漁場の問題であります。これは実際日本の人口問題その他防衛関係を考えまして、何らかの手を打たなければならぬのじやないかというような気がするのですが、外務省としてこれらの点につきまして、何らかの対策がおありなさるかどうか、この一点お伺いいたします。
  24. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 実は漁業の問題につきましては、水産庁と連絡をいたしておりますが、水産庁の方で具体的な計画が立ちますと、それに基いて、今度は国際関係等から外務省で考慮するつもりでおります。ただいまあちらの方面に出て行く計画を民間の漁業会社で立てておるようであります。これが具体的になりますれば、外務省としては、こういう問題について特別に何も反対はないのであります。さしつかえない限りはこれを援助したいと思つております。
  25. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ヨ一ロツパに参りますと、日本の在外交館、大使館、公使館というものは非常に貧弱でございまして、これは戦争に敗れたのたから、いろいろのつらいことはやむを得ませんけれども、われわれは非常に肩身の狭い感じをして参りました。そこでたとえばスエーデンのストツクホルムへ参りますと、そこにデンマークとノールウエーと三つの公館として一つになつておるわけですが、こういうものは何とか独立してその機能を発揮させることが必要ではないか、こういうように思いますが、今まで北欧との経済的な関係はなかつたようでありますけれども、将来いろいろの関係で、こんな国々と交渉を持つことが有利であるというような見解を持つておりますが、その問題について外務大臣は、本年度の予算にはないようでありますが、どういうようなお考えを持つておられますか。ひとつお伺いしたい。
  26. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私もお考えには同感でありまして、ことにこちらはスエーデンの公使がデンマーク、ノールウエーを兼任しておりますが、先方はデンマークも専任の公使、ノールウエーも専任の公使、スエーデンも専任の公使を東京に送つております。従いまして相互主義から申しましても、こちらでやはり専任の公使を送ることが適当であるし、デンマーク等には農業関係で、酪農等についてかなり深い関係もありますし、また最近デンマークから種牛を十頭ほど寄贈されるような事実もありまして、ぜひこういたしたいと思いまして、実は外務省といたしましても今度の予算のときは二十三ほどの新しい会館をつくりたい計画をいたしておりますが、緊縮予算の関係上どうしてもできませんので、さしあたりは経済関係に一番重要な地区を選びまして先ほど申しましたような、十ほどの新しい公館をつくるということにとどめざるを得なかつたのであります。この次の年度におきましてはぜひこういう国に対しても、新しく専任の公館をつくりたい、こう考えております。
  27. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 非常にこまかい問題でございますけれども、現在外務省のいろいろな役人の方が赴任される場合には飛行機で行く。荷物はあとから船で行くというような関係で、旅費なんかのことで気の毒な面がたくさんあるように聞いておりますが、こういう点について外務大臣は今度の予算に、こういう不備を補うだけの予算をおとりになつているかどうか。まことに気の毒な状態がありますので、お尋ねいたしたいと思います。
  28. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 まことに御同情あるお考えありがとうございます。ただわれわれとしましては職員の経費等はできるだけ倹約をいたしまして、多少でもその方で節約した分は外交事務の処理の方に向けたいと思いまして、本人は飛行機で行く、荷物は原則として船で送る、こういうことにいたさざるを得ないのであります。但し任命がきまりますと、約一月間出発までに準備その他にかかると思いますが、できます限りは、その事前に大体お前はどこに赴任する予定であるということも内報いたしまして、あらかじめ荷物等をつくつて船で送つて、本人が到着するときは、おもなる荷物は大体到着しておるというふうな便宜をはからいまして、その間を何とか間に合せておりますが、これは将来もやはり経費節約の上から申しまして、また人員の関係から申しまして、ゆつくり船で出すということはこの際どうも適当でありません。そうかと申しまして多くの荷物を飛行機で運ぶということは、これまた経費関係上困難でありますので、やはりできるだけ今のやり方を便宜なようにいたしまして、職員も不便の少いようなことで、主として経費節約のためやむを得ずこうやつてしばらくは行かなければならぬ、こう考えております。
  29. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一つ伺いますが、いろいろな矛盾があると思いますが、私は詳しいことは知りませんが、電信費と出張費の問題でいろいろ規則があるそうでありまして、たとえばパリからベルリンに行くのにも出張で行けば安いが、電信だとかえつて経費がかかる。こういうことで外交上非常に困る問題があるというとを聞いておりますが、こういう点について、もう少し余裕のある方法で実際の事務のできないような方法を、今度の予算でとられているのかどうか。また将来どういうような考えを持つておられるのか、その点をお伺いいたします。
  30. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 この点もお話のことは事実でありまして、われわれの方の方針といたしましては、人はなるべくかえない——かえないというのもおかしいのでありますが、その土地になれるために人をなるべく長く置くようにいたしたい。そのために赴任旅費と申しますか、方々に転任したりする旅費の法はなるべく節約をいたしまして、そのかわりに同じ旅費でも出張旅費の方はできるだけふやしております。それでも本年度の終りになりますと、赴任旅費の方はほとんどなくなり、出張旅費の方は多少ゆとりがあるという程度でありますが、今後ともなるべく出張を多くさせて、電信ではどうも意を通じない点もたくさんありますし、また相手方の国情等もよく研究する必要がありますので、お説のようなつもりで一般旅費の中の区分は出張旅費の方を多く、赴任旅費の方をなるべく節約する、こういうつもりでただいまもやつております。
  31. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点お尋ねいたしますが、日本の円が非常に弱いので、ヨーロッパに出られている外交官の方は非常に困つております。外交官の実際の役目は別でございますが、国民全体が節約をしても、外交官にはみじめな思いをさせたくないという感じを私は強く持つて来たわけでありますが、たとえばフランスのようなところは物価か高い、従つて日本から外国に行く人が非常に多いので、パリの大使館ではいろいろ日本から来る人の世話だけでも、非常に苦労をされているわけであります。これはいろいろ事情もあるかと存じますが、特に物価が高い国、たとえばフランスなどはそうでありますが、そういうところに対しては何らか国の予算としても援助する必要かあるのではないか。そういう点の考慮が払われているのかどうか。また将来こういう問題について日本の円が非常に弱いので、そういうようなことも考えてやる必要があるのではないかということを感じて来たのですが、外務大臣はどういう考えを持つておりますか、最後にお尋ねをいたします。
  32. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これまた非常に御理解あるお考えで感謝いたすのであります。原則としましては、国の体面を維持するために、外交官にもある程度のゆとりのある生活をさせたいことはやまやまでありますけれども、一方国内情勢がごらんの通りでありますから、われわれとしては外務省の職員が海外に行きましても、私生活はできるだけ節約するように、従いまして俸給とか、手当というようなものも勢い限られた範囲で、ごらんになると、まことにみすぼらしいというような点もあることは承知いたしております。しかし同時に外交事務の方につきましては、これまたあまり金ばかり節約してもいけませんので、ここにもあります通り、外交工作費三億円を大蔵省にようやく承認してもらいましてこの方面の仕事の上においては、できるだけのことをさせたいと考えております。  なお各国の物価は年々異動するものでありまして、日本の円がかりに実勢が弱いといたしましても、ある国では相当に高いし、他の国では生活が非常にむずかしくなるということがありますので、在勤俸の改訂につきましては絶えず調査をいたしております。また毎年各在外公館からこまかく——たとえば肉類はどう、着物はどう、家賃、水道、ガスはどうというような調査を正式に取寄せております。それで物価と見比べて在勤俸をどうするかという考慮をいたすことにいたしております。ただいまのところは、まだただちに改訂することは困難でありますけれども、今までの資料を見ましても、ある国においては思つたより物価が高いところもあり、また他の国では案外物価が変動せずに行つているところもあります。この改訂は種々企てておりまして、また本年度においては在勤俸の改訂の案は出しておりませんが、必要な調査はずつと続けておリますから、今後そういうことをいたす必要が出て来る場合ももあろうかと考えております。できるだけ御趣旨に沿うように努力したいと思います。
  33. 西村直己

    西村(直)主査 小平忠君
  34. 小平忠

    小平(忠)委員 主としてMSA協定問題につきましてお伺いしたいと思いますが、その前に、ただいま佐藤委員から発言がありました在外公館の施設なり、職員の待遇等の問題につきまして二、三感じております点をお伺いしたいと思います。  実は私の友人にも多く外国に出ておる人があるのでありますが、現地に参りましていろいろ不自由をいたしておる実情を、われわれは通信などによつて知るのであります。日本が戦前の体制に逐次復帰しつつあるということは、わが国が国際社会に復帰するという立場から非常にけつこうなことであります。私はただいまの外務大臣の予算の説明並びに御答弁で大体了承するのでありますけれども、日本の内地におつてさえも苦しい、まして祖国を離れて遠い他国にあつて非常に恵まれい環境にあるのですから、この施設なり待遇の問題については、大臣も大分考慮していただきたい。もちろん今年は吉田内閣の緊縮予算の方針によつて、大蔵省の査定でも相当切り詰められておりますけれども、十分に御考慮願いたいと思います。  そこで私が特に感じますことは、日本の今後の経済自立という観点から、アメリカのように非常に富める国に匹敵するように、日本のあらゆる産業経済を持つて行くということは、なかなか困難でございますが、農業でも漁業でも、あるいは中小企業でも勤労者でも、日本の国情と非常に合致しておる国というのは、結局北欧の諸国なんであります。ところが現にデンマークにしろノルウエーにしろ、こういう国々に一体どういう施設がなされておるか、戦後われわれの同僚議員が多くこの地に視察に行つて帰つて来た話では、まつたく問題にならないということを耳にいたすのであります。日本は、何といつても食べることに不自由のないようにするために、まず食糧問題の解決が刻下の急務であります。ところが日米の農業なり漁業をアメリカのような大規模な形に持つて行くことは不可能でありまして、日本の環境に合つた形といえば、やはり北欧諸国あるいは英国ということになるのでありますが、外務大臣は在外公館の施設なり職員の問題について、どのようにお考えになつておるか、ひとつ率直に承つておきたいと思います。
  35. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは先ほど申しましたように、北欧三国などは非常に参考になる点がたくさんありますので、できますならば——本年度はこれは困難でありましたが、この次の年度にはぜひあそこにも在外公館を設けたいと思います。それ以外に、農林省と話をいたしまして、たとえば農業の面においても、これは北欧ばかりじやない、スイスなども非常に役に立ちますが、傾斜地をいかに利用して牧草などをつくるかという点、またデンマークのようなほとんど農業を中心としてしかも富める国にするには、いかにすべきかというような点も十分研究したい、そのためには農林省の者も在外公館に加えて、この方面に出して行きたい、こう考えております。また農林省で派遣いる練習員も、アメリカのみにやらなすでヨーロツパにやるということも、農林大臣と話をいたしております。さらに、御承知のようにデンマークからは技師を一人日本によこしまして、これで農業指導を多少やつておりますが、今後ともこの方面に努力して行きたいと思つております。もつとも農林関係につきましては、この方面と同時にブラジル等の農業移民の関係もありますので、こちらの方にも農林省関係の者も出して行きたい、こう考えております。いずれにしましても、日本と国情の近いところ、おつしやる通りこれは最も必要なことでありまして、アメリカのまねをしろといつても、なかなかこれは困難であります。その点はよく承知いたしております。むしろイタリアであるとかイギリスであるとか、あるいは北欧三国、スイス、われわれとしては、この問題については、こういうところを一番重視して考えております。
  36. 小平忠

    小平(忠)委員 了承いたしましたので、われわれも側面的に大蔵省の方で査定する予算については御援助いたします。ひとつ外務省はそういう意味で、ほんとうに日本の経済自立という観点から、がんばつていただきたいと思います。  次にMSA協定の問題でありますが、アリソン大使が過日帰られたのでありますけれども、お会いになられてどのようなお話合いをされ、どのように進んでおりますかお伺いいたしたい。
  37. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 実は私国会で時間をとられておりますので、アリソン大使が帰られてからまだ会つておりませんが、事務的にはずつと連絡しております。できれば今週中にも調印したいと考えてやつて来ましたけれども、どうも——顧問団の数につきましては大体意見の一致が見られた、というのは、多少多いのでありますが、大体一年以内には半減できる見込みがつきましたし、保安庁側でも当初においては相当数が必要であるという考えでありますので、数については大体見当がつきましたが、この経費が案外多いのでありまして、これはただいまの予算上からいつても、既定予算の範囲でまかなえる程度と思いまして、今話を続けておりますが、まだそこまで結着がいたしておりません。そのために今週中は調印はおそらく困難じやないかと考えております。まあ来週になるというのが今の実情でありますが、これもまた非常にはつきりした見通しというわけには参りません。
  38. 小平忠

    小平(忠)委員 顧問団の数が大体半減の見通しといいますと、四百人でありますか。
  39. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 私の申しますのは、当初は非常に多いのでございます。というのは、初めに飛行機だとか船だとか、いろいろなものが参りますので、これに必要な顧問団は数が相当多いのでございますが、二年以内、あるいは場合によつては今年中には半減できるくらいになり得る、こういう見込みであります。
  40. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいま顧問団の話が出たのでありますが、顧問団の性格やあるいは任務等につきましては、予算総会でいろいろ議論され、大臣も御答弁になつたのでありますが、ただ問題は、この顧問団が実際に保安隊の中にありまして、いつまでも日本の保安隊がアメリカに隷属し、アメリカの指揮監督を受けて、すべてアメリカの指示に基いてやらなければならぬというようなことは、政府がたびたびおつしやるような日本の治安維持のための自衛力を漸増して行くという立場から、隊員の養成に実際支障がある。大臣の説明されましたように、新しい飛行機が来る、あるいは武器が来る、そういつたものの操作等の指導は必要でありましようけれども、問題は精神的な面において顧問団の性格だと思います。それはあくまでもそういうことの阻害のないようにしなければならないと思いますし、もう一つの問題は、ただいま大臣が経費の問題に触れたのでありますが、相当かさむのではなかろうかと思います。大体性格の問題と、それから経費の問題は、先般の大臣の中間報告においても、新聞報道でも、この顧問団の問題が、結局未解決のように報道されておるのです。これは、今週締結したいと思うが、来週——来週といつても、そう日にちがないのであります。従いまして、実際問題としては経費がどのくらいかさむものであるか、そういつた点をお伺いしたい。
  41. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 顧問団の性格等についての御心配はごもつともであります。私もそう考えております。顧問団の任務の中で、大要を言いますと、新しい兵器等に対する使い方その他を教える係と、それから今度はどういう兵器がいるかということを見まして、これを本国と相談したり、あるいは今後の域外買付で、どういうものがどれだけいるか、またこれをどこの国に出すかというようなこと、つまり品物の管理といいますか、品物を注文したり、その方の始末をする者と、その兵器を教え込む役と、二つあるわけであります。大体保安隊の隊員は、非常にわかりがいいといいますか、今までの成績からいいますと、教える方は一年もたてば完全にマスターできる。従いまして顧問団の半分くらいは不必要になる。あとは兵器等を取扱う、あるいは域外買付等を取扱う人間にだんだん限定されて来る、こういう意味で、われわれも何となく保安隊の内部に干渉するような印象を与えたり、あるいは保安隊がアメリカの指導のもとに立つ部隊であるというような懸念を与えたりしないように努力はいたしておりますが、顧問団があると、とかくそういうふうな目で見られるおそれも非常にありますので、この人の問題につきましても、数が多ければ多いだけそういう印象を与えやすいわけでありますから、この点は、多少時間がかかりましても、できるだけ納得のできる範囲に、つまりわれわれとしてはわかつても、国民が納得のできる範囲にいたしたい、こう思つて今かかつているわけであります。  経費につきましては、内容は顧問団の人々の宿舎の費用、それに基く電燈料とか、いろいろなものがありますが、こういうもの、及び国内にあつちへ行つたりこつちへ行つたりする旅費、これがおもなるものであります。もつとも宿舎費の中には召使の費用も入つております。たとえば顧問団の人々の俸給とか被服とか、そういうものは全然入つておりません、それにしましても、大体家を一軒持ちましてそういうものを置きますと、アメリカ人の今の生活をこちらに移して参りますのですから、やはりかなり金がかかりまして、おおよそ見れば一人年に百万円程度のものが平均してかかる、大体こう押え得る。それに附属した多少のものがかかりますので、かりにこれが七百名とかいうような数になりますと、十億近い金が一年にいるという勘定になるわけであります。これはアメリカ人の生活としてはあまりおかしくない程度の、つまり別にふしぎのない程度の費用だとは思いますけれども、しかし日本から言いますれば十億といえども相当の金でありますから、これをできるだけ少くする。いずれにいたしましても十億より少い額ではありますけれども、これをどこまで縮められるか、たとえば自動車のガソリンの費用、これが一日に百マイル走る計算でやつている、日本なら五十マイルでもいいじやないかということになれば、それでガソリンも半減するというようなことで、できるだけ切り詰めてやつてみたい、こう思つておりまして、この点でまだ最終的な話合いに至つておりませんが、いずれにいたしましても十億以内であることは間違いない。どの程度になるかは、もう数日かかるんじやないかと考えております。
  42. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの点はよくわかりました。  次に余剰農産物の買付協定は、MSA本協定と同時に締結されるのでございますか。
  43. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 ただいまのところそのつもりでおります。
  44. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、私はこの点で非常に疑問を感じているのですが、先般大臣の御答弁によりますと、MSA援助はあくまでも贈与であつて対価を支払うものではない、そういうふうに御答弁されたのですが、そうしますと小麦、大麦等の余剰農産物の買付は対価を払わないのでありますか。私は払うものと解釈しているのでありますが、・・・・・。
  45. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは何かお聞き違いじやないかと思いますが、MSA協定に基く援助には、対価を払わないでもらうものと、それから対価を払うものとあるのです。元からそうなつております。ただ武器援助と申しますか、完成兵器等の援助については対価は払わないということになつておりますが、それでも払いたいという国があれば、対価を払う協定を結び得るのでありまして、その他の援助の中には、対価を払つてもらうものもちやんと規定の中にあるのであります。従いまして、日本が今まで考えておりましたいわゆるMSAの援助は、完成兵器の援助でありますから、対価を払わない部分になる。そこで今度新たに今年から五百五十条がつけ加わりまして、小麦の買付等ができる。この余剰農産物の買付につきましては、五百五十条に、ちやんと対価を払う、但しその国の通貨で払うということになつておりますから、これはいわゆる完成兵器の援助とは別で、対価を払うのであります。従いまして、私の申したのがもし何か言い間違いであれば別ですが、対価を払うものと払わないものとあるが、日本の受ける部分は、対価を払わない部分である。それはおそらく五百五十条の農産物の問題がまだ起らない前の御説明であつたと思います。農産物の方は対価を払うごとになります。
  46. 小平忠

    小平(忠)委員 先般、援助資金の使途に関する協定案の御説明があつたわけでありますが、日本政府は、五千万ドルに相当する援助資金、すなわち百八十億を積み立てなければならない。この資金は結局外国為替資金特別会計に繰入れる云々ということになつているのでありますが、これは提出されている予算の外国為替資金特別会計に計上されておるのでありますか、ないのでありますか。
  47. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 これは私も実ははつきりいたさないので、あとで政府委員から御答弁いたさせますが、小麦につきましても、向うから買いつけますと、それに見合う金を積み立てるわけであります。その中から御承知のように三十六億に当る部分は贈与になりますからこれは別にいたします。ですから二口になるわけであります。そこでこれは形式的から言いますと、まず外貨で買いつけて、その外貨を今度は向うが払いもどしをする、従つて日本としては外貨は実際上何もいらない、こういうことになるのでありますが、形式的に外貨で買いつける場合の瞬間に、それだけの金があるかどうかということは、私は大蔵省の方にまだ確かめておりませんから知りませんが、実際上金を出したりひつ込めたりする必要はないのでありますから、かりになくても何らさしつかえない、こういうことになるのではないかと思つております。
  48. 小平忠

    小平(忠)委員 この点はきわめて重要な点でありまして、これは近々協定をせられるということですから、一体経理関係はどうなつているかということを、大臣が大蔵省と密接に打合せていないということは、私はどうかと思うのです。これはどうなつておりますか、政府委員から聞きましよう。
  49. 土屋隼

    ○土屋政府委員 小麦の買付につきましては、いよいよ協定ができまして、アメリカの小麦が何トン日本に行くということがきまりまして、アメリカの政府はその小麦に対して、対価をドルで払うのでありますから、その通知が日本に来ますと、日本はそれに見合つた円貨を規定された銀行に入れることになります。私も実は大蔵省からはつきり聞いておりませんが、私どもの考えではおそらく特別会計から支出されまして、その特別会計から支出された円というものは、小麦は国民に売りさばかれるわけでありますから、売りさばかれた金からあとで返済されて行くものだと了解しております。従つて大蔵省で当然特別会計の中に措置されているものというふうに考えます。
  50. 小平忠

    小平(忠)委員 その点は、当然措置されておるものと解するということでは、ちよつと理解できないと思うのでありますが、その点お調べいただきまして、後刻でけつこうでありますから、ひとつ御回答をいただきたいと思います。  そうしますと、この点で大臣がただいまおつしやつたように、MSA協定には贈与とそれから対価の支払いと二つになつておる、特に余剰農産物については、協定五百五十条に基きまして、これは円資金で払うのだ、そういうような場合に問題点は、一千万ドルに相当する三十六億、これは贈与を受けるものである。そういうことになつて参りますと、ことさらにこの余剰農産物の買付を、何がゆえにMSA協定に基くMSA援助による買付をするか理解できないのであります。これは国際小麦協定に基く価格によつて買付が幾らでもできるのであります。何がゆえにこういうような操作をおやりになるのか。問題は、先般の予算総会でも、結局かねて公表されております協定の内容を見ますと、世界の市場価格の最高価格を下まわつているというような観点から結局対価を最高価格より高い価格で支払つて、その余剰分をあたかも贈与を受けたかのごとき形において、それを軍需産業の方向にまわして、武器の製作をするというようなからくりであるかのごとく報道されておるのです。実際そういうことがあるとすればゆゆしき問題だと私は思います。こういうことについて、どうお考えになつておりますか、もう一度お尋ねいたします。
  51. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 第一に国際小麦協定で買いますれば安い値段で買えますけれども、これは本年度も非常に努力いたしましたが、百万トンを限度として、それ以上は国際小麦協定では買えないのであります。この前は五十万トンであります。ところで不作等の関係もありまして、今年はもつとよけいに麦を入れたいということでありますが、そこにまたドル不足という点もありますので、なるべくドルを使わないで入れたい、しかも安い価格で入れたいと思いますと、ちようど農産物のMSAの協定があるわけであります。これは最高価格ということでありますが、その後の交渉によりまして、国際小麦協定の価格とほぼ同様、多少の開き、高い安いはありましようが、しかもこれを円貨で買えるということになりますと、ドルの問題も都合がいいし、また価格もいわゆる最高価格では決してない、またその中には贈与もある、こういうような点を考えまして、これはぜひ余剰農産物を買いつけたい、こういうつもりでおるのであります。
  52. 小平忠

    小平(忠)委員 時間も大分過ぎておりますからあと二、三点、四、五分で結論に持つて行きたいと思います。  大臣のただいまおつしやるようなぐあいにドル不足である。結局円の支払いでこれを買いつけできる。国際小麦協定によりますわくも今年に百万トン以内というようなことからそういたしたい。価格についても当初の協定の最高価格を上まわつてはいけないと思うから改訂して、大体国際小麦協定に近い線で買うというようなことでありますれば了解できます。ぜひそのようなぐあいに最後の協定は——もし国際小麦協定より上まわるようなことがあつた場合には、政府も野党もこの年間三百億、四百億という輸入価格差補給金が、がんになつているというので、今年は大幅に三百億から九十億に減らした。ところが、これをさらに最高価格、国際市場価格の線まで持つて行きますと、厖大な金を支払わなければならぬから、農林省としては買えないと言つておるわけでありますから、ぜひともこの線で最後の協定をされるように努力をお願いしたいと思います。  次に買付品目でありますが、先般外務大臣は大体小麦五十万トン、大麦十万トンというお話でありましたが、さらにバターその他の食料品を買いつけするというようなお話でありますが、その点いかがになつておりますか。  もう一点は今度の輸入食糧のいわゆる予算に計上されております——これは血管特別会計になりますけれども、私はほかの問題をお聞きするのではないのであります。外務大臣所管でMSA協定に基きます余剰農産物の買付の問題でありますが、あれは予算書にどれだけ買付数量が予定されておるか、その二点をお伺いしたい。
  53. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 小麦の方は大体五十万トン、大麦の方が大体十万トン、これを二口合せますと約四千四、五百万ドルになるようであります。これが当初は小麦五十万トンで五千万ドルという計算をいたしておりましたが、価格が安くなりましたので十万トンの大麦を加えて、しかもまだ四千四・五百万ドルにしかならない。残りがまだ四、五百万ドルあるわけでありますから、これをどういうふうに使うかということにつきましては、大体この協定ができる前には話合いが済まないかもしれませんが、ただいま考えておりますのは、これでバターを買うか、あるいは小麦をもつとよけい買うか、そういう程度で考えておりますが、まだ農林省でいろいろほかの国内需要その他と見比べてやりますので決定はいたしておりません。おそらく、もしMSA協定が、今週できないにしても、来週早々認印というようなことになりますれば、その四、五百万ドル残つた分で何を買うかということはきまらないで、調印することになるかもしれないと思います。それから予算の方は、実は私よく知らないのですが、大蔵省等と相談いたしましたところが、これは十分金がある、こういうことでありまして、その点信頼してやつております。
  54. 小平忠

    小平(忠)委員 前段の、小麦、大麦のほかに、大体それが四千四、五百万ドルで、まだ相当残つておるから、バターその他を買付したいが、まだ決定を見たわけでない、場合によつてはそういつた内容を未解決のまま調印されるのではないかということは、これはあり得ることでありますし、それでもしようがないと思います。私はなぜこれをお伺いするかということ、これは新聞などでもいろいろ情報が流れておりますが、大きな問題はバターの買付なんです。この点は結局国内よりも安い濠州やあるいはアメリカから安いバターを買う——今日のようなバターやチーズでございますと、国民大衆の口に入らぬのでありますから、もう少しバターを安くするか、粉食奨励をするにいたしましても、やはり乳製品を国民大衆の口に入りやすくするためには、もつと安いものをという声が強いのであります。そういう意味から安いバターなどを大量に入れるということには、根本的には反対ではありません。しかし、日本の農業の現状は、何んといつても酪農振興である。畜産奨励をしなければならぬ。そのためには、やはり、一応混乱の中に安定して参りました国内の乳価に大きな打撃を与え、そうして酪農業者が、酪農農家が、大きな打撃を受けるような形においてのバターの輸入というものは、大きな問題になるのでありまして、私はその点について心配をするから伺つておるのでありますが、これはけつこうだと思う。けつこうだと思いますが、この点については、やります場合においては、国内の乳価なり日本の酪農業に打撃を与えないように、そうして、むしろ国民の多くの人の口にこれが入るような形でやつてもらいたい。一例を申し上げますならば、やはり日本は米食偏重から粉食奨励によつて切りかえて行つた場合には、いわゆる学校給食の場合に、バターを計画的な一種の統制のもとに、国内の乳価に支障のないような形でやつてもらおうというふうに考えておるのでありまして、この点はもし御答弁いただければ幸いでありますが、私の希望としてこれをついでに申し上げたいのであります。  その次に、予算の中で、輸入食糧の中で、MSAで買いつける食糧については、実はこれはどうも私は予算総会でも明確な答弁をいただけなかつたが、実は農林省から資料をいただいたのです。その中には、MSAの買付数量を三十万トン一応入れております。これはただいまお説のように、米国の本会計年度内に小麦四十万トン、大麦十万トンを買い付ける、こういう話を進めておる際に、なぜ政府は三十万トンしか、この計画の中に見てないのか。これを外務大臣御承知かどうか、承りたいと思います。
  55. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 まず酪農の問題でありますが、実はそのバターを買いつけるか小麦にするかというのも、日本の酪農保護の上にどうかという点で、農林省等がいろいろ研究しておるわけであります。りくつから言えば、急に小麦をよけい入れて米食からかえて行こうというのですから、日本の酪農で追いつかないことは、これは明らかだと思います。しかし、同時にまたそういう傾向が見えると、すぐバターが姿を隠したり何かする。私は、これは業者の悪いところだと思うのでありまして、そういう点を懲らしめるためには、バターを入れることもいいことだと思いますが、そのために酪農をつぶすようなことになつては、これはたいへんなことだと思います。またいなかを調べてみると、私の聞いたところでは、都会は別としていなかでは、パンは食べるけれどもバターをつけて食べるなんてことは、今まであまりやつていない、牛乳はいいかもしれぬけれども、バターまではいなかでは必要ないではないかという意見も、今のところあるのであります。そういう意味でいろいろ考慮しておりますが、おつしやる点、つまり、酪農をせつかく育て上げたものをつぶさないという点が、主たる考慮のもとになつております。  それから、お見せになつたその書類を私は知りませんが、あるいは、当初は五千万ドルということは、池田特使が向うに行きました当時、だんだん具体時的になつたのでありまして、その前はそれは一千万ドルとかあるいは三千万ドル程度が話合いになつておつたのであります。五千万ドルというのは池田特使が行つてからの話でありますから、あるいはそれで——初めのうちは最高価格という話もありましたから、三千万ドルというと約三十万トン、こういう計算が出て、あるいはそれが少し前の書類ではないかとも想像するのですが、どういう意味か、私は見ておりませんし、また聞いておりません。
  56. 小平忠

    小平(忠)委員 これで私は質疑を切り上げますが、この書類は先般の予算総会で要求いたしまして、四、五日前に農林省からいただいた書類でありますから、古い資料ではない。これは農林省の大臣官房からいただいた資料でありますが、これに明確に、MSAとしまして、三十万トン、価格は八十二ドルとある。大臣、もう近々に協定をするというときに、そういう不明確なことではどうかと思う。即刻農林省、大蔵省と打合せをされまして、少くとも予算が衆議院で討論採決に入る三日、四日までには、書面ででも何でもけつこうでありますから、先ほど申し上げましたいわゆるこの二点について、どうぞひとつ明らかにしていただきたい、先ほどの点は、外国為替特別会計内容の問題と、その数量の問題なのでありますが、ぜひひとつ明確にして、後ほどでけつこうでありますから御答弁を願いたいと思います。私は、以上で、外務省、特に大臣に対する質問を終ります。予算全体につきましてはいろいろ意見もありますけれども、日本の外交というものが、占領終了後にあつて、なかなかやりにくい中にあつて逐次昔の形に復帰しつつあるというこの姿は喜ばしいのであつて、これを推進するためには、外務省の役人が、日本の体面を汚さないように思い切つて堂々とやることである。しかしそれについては、私はぜいたくをせいということを言うのではない。日本の品位、日本の国際的な地位というものを高める意味からも、ひとつ大いにがんばつていただきたい。
  57. 西村直己

    西村主査 他に御質問もないようでありますから、外務省所管についての質凝は、一応終了いたします。なお、保留した分については適当な機会にお許しいたします。  なお、吉田賢一君から資料要求の御発言があります。吉田賢一君。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 経済審議庁外務省農林省通商産業省各省庁にわたりましての二十八年度予算の執行状況を知るために、おもなる経費につき昭和二十八年十二月末、可能ならば、二十九年一月末現在における収入支出の総額についてわかり得る資料を、御提出願いたい。おもな経費につきましては、省庁において適当に御選択になつてけつこうであります。要するところ二十八年度の予算の執行の状況を知る趣旨でありますから、それに沿うようにお願いいたします。
  59. 西村直己

    西村主査 午前中の議事はこの程度にとどめます。午後二時から再開いたし、経済審議庁所管及び通商産業省所管についての質疑に入ります。  暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ————◇—————    午後二時三十分開議
  60. 西村直己

    西村主査 休憩前に引続き会議を開きます。  経済審議庁所管及び通商産業省所管を一括議題といたしまして、質疑に入ります。佐藤観次郎君。
  61. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 国土総合開発のことにつきまして質問したいと思うのです。実は国土総合開発は戦争に敗れて以来今日まで、狭い土地におきまして荒廃した日本の国土を新しく開発する意味におきまして、非常に将来性のある問題であります。私も幸いにして総合開発審議会の委員になつておりますが、実は経費がないため、いくら名案があつても現実には実行されないという非常に悲惨な状態であります。今年度は三十八万四千円とふえたにはふえたけれども、ぼくらのポケット・マネーくらいのところより出ていない。こういうことで、はたして国土総合開発がうまく行くかどうか、その点についてひとつ御説明を願います。
  62. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 国土総合開発の財政的な裏づけの問題でございますが、佐藤委員もよく実情を御承知の通りでございまして、実は国土総合開発の方は地域別に一つの対象として、その地域内の事業をまとめて、やりたいと思つておるのであります。予算の方は地域別についていないのでありまして、業種別と申しますか、道路は道路、鉄道は鉄道、治山は治山というふうに事業別に、また各省別について来ておる関係上、それぞれ各省における事業の優先順位が、特定地帯で審議会を通つたからといつて最優先的につくかと申しますと、御承知のように必ずしもそうは参らないのでありまして、特に重要な問題は優先的に扱いますが、ものによつては若干事業の繰延べ、あるいはしばらく着手を見合すという状況にも相なりますので、予算の観点からいたしますと、総合的に各省が手をつける段階までには必ずしもまだなつておらぬのであります。しかしただ計画がはつきり固まりますと、時期の早いおそいの問題はありましても、計画そのものとしては決して齟齬を来さないように問題を進めるわけでございますから、御指摘のように今年度の三地域に対する開発、ことに北上、阿仁田沢、最上の三地点が今日問題になつておるわけでありますが、これに対する費用は若干減つておるように見えますが、内容をよく検討いたしますと、必ずしもそういうわけでもないのでありまして、特に北上におきましては、御承知のように猿ケ石等今までやつておつたおもな事業は大体完了いたしまして、今後新規事業に着手するという事業も残されておる関係上、そういつたかつこうになつておるのでありまして、今申しましたようにさしあたつての行き方といたしましては、工事の施工そのものは経費のいかんにかかわらず総合的に、むだなしに、効率的に、やり得るという点を着眼としてはねらいまして、進めて行く以外に、しばらく方法はないじやなかろうかというふうに考えておるのであります。
  63. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ経費の問題もございますので、われわれの考え方のように行かないと思いますけれども、木曽川の総合開発がこの前問題になりまして、中部六県の非常に重大な木曽川を中心とした総合開発も目前に迫つておるわけでありますが、これはダムをつくつたり、その他いろいろな大きな工事もございますから、むろんわれわれもそういうことを知らなければなりませんけれども、こういうことをやるのにやはりあそこに手をつけたりここに手をつけたりして、いわゆるみんなに都合のいいようにしてやるということは非常に弊害が多くなる。だからせつかくいろいろな案ができたならば、これを根本的に一つ一つ片づけて行くということがなければ、なかなかうまく事が運ばぬことを感じるのであります。  しかるに国土総合開発と同じような関係がありましても、電源の開発の方は、どういうわけか知らないが非常にうまく行つておる。これは資金の面と思いますが、こういうことの説明がわれわれにわからないのであります、国土総合開発の方はうまく行つておらぬのに、電源開発の方は非常に進捗しておる。たとえば天龍川の開発も非常に進捗しておるようでありますが、その振合いはどういうふうになつておるか。ひとつわかるように御説明願いたいと思います。
  64. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 国土総合開発法電源開発促進法との関連の問題並びにその実際の状況に関する御質問と思いますが、国土総合開発法の方は、法律といたしましても、その立法的な精神あるいは実体からいたしましても、電源開発促進法は優先すると申しますから、そういう性質のものでありまして、閣議の決定を経てきまりますれば、その計画自体に従つて、その地区の開発をしなければならぬことは当然でございます。従いまして国土総合開発法に規定されました特定地帯がはつきり閣議決定をされますと、それに従つて電源の開発を施行するのでございますが、国土総合開発法で規定いたします特定地帯等は、御承知のように数県にまたがるものが多うございまして、従つて農業水利の問題あるいは治水の問題等に関しましても、数県の現地の意見が、なかなかまとまりにくい点がございます。ところがあの法律の建前上、なるべくは下の方でと申しますか、現地の機関がそれぞれ立案をして、そして話合いのついたものを中央に持つて来るという建前になつておる関係上、ややもすると地方から話合いのついた計画として出て来るのがおそくなるといつた関係もございまして、今まではつきりきまつたのは、さつき申しました三箇地点だけでございますが、そういう関係がございます。  一方、電気の方は非常に急いで開発をしなければならぬ。電力の需給関係あるいは輸出促進のためのコストの引下げ等、いろんな観点から電源開発は一刻もゆるがせにならないという情勢が、特に一昨年度くらいから大きくクローズ・アツプされて来て参りましたので、本来ならば先ほど申しましたように国土総合開発法によりまして、その地点の総合的な開発計画決定され、その線に沿つて電源の開発をやるのが、一番スムーズに行くのでありますけれども、それを待つておるわけには参らないような緊迫した状態になつたものですから、その計画の固まる前に、電源開発の面だけを優先的に決定して建設にかかつたわけであります。それでは国土総合開発の問題と電源開発というものを別個な扱いで、切り離して進むのかと申しますと、決してそうではないのでありまして、あくまでもそのきめる当時まで考え得る国土総合開発計画というものを頭に描きながら、電源の開発というものを押し進めて行くのでありまして、従いましてかりに電源の開発をしたあとで、国土総合開発の地点が正確にきまつた際にも、その間にできるだけ矛盾のないようにということで計画決定してございます。たとえますれば天龍の例、ただいまお話がありましたが天龍の問題にいたしましても、本来であれば、利益だけでありますればおそらくは佐久間地点のみをきめて、そしてあとは全部の総合開発がきまつてからで、いいではないかということになるのではないかと思いますが、実際はそういうふうに参らぬのでありまして、あの地区のいわゆる天龍東三河地区全般の総合開発計画がきまらぬでも、電気の方であの佐久間地点をきめる際には、佐久間地点だけをきめるのではなくて、そのすぐ下の秋葉という地点を設けて、それによつて多量の農業水利に対してコンスタントに水を流すというような問題をも考慮し、あるいは道路のつけかえ、森林の開発あるいは奥地の開発等も考え、あるいは将来の工業地帯等も考慮いたしまして、佐久間地点にかりにダムをつくる場合には、風致の問題もある程度考えながら実際の着手をし、そして着手をしながら同時に主体の天龍開発が進むわけでありますから、それに相伴つて総合開発計画も進めて行くというような手順になつている次第でございます。
  65. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点お尋ねします。いろいろ事情があると思いますが、本年度は予算に組まれなかつたと思いますけれども、木曾川の総合開発の方は問題になりましたし、いろいろダムの問題でもめておるという話ですが、来年度には予定が入つておるのかどうか、その点をお尋ねしておきます。
  66. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 木曾地区の総合開発に関しましては、御承知のように愛知用水の問題もからみまして、非常に厖大なと申しますか、また非常にりつぱな開発計画ではございますが、ただいまのところでは地方から案が上つて参りまして、審議会審議するための準備を整えつつございまして、固まり次第正式に審議会にかけて御決定願いたいと思います。ただいまのところでは地域部会で検討しております。
  67. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 その次は通産大臣にお尋ねしたいと思うのですが、私たちが一番心配しておりますのは、今度の予算で結局中小工業者にしわ寄せが行く、こういうように感ずるわけなんです。そこでそういう点でいろいろ政府の方ではその心配はないというようなことを育つておられますけれども、私たちは現在の予算の関係からいたしまして、結局中小工業者が相当倒れるのではないか、現にドツジ予算においても相当痛手をこうむりまして、何といたしましても敗戦後のことでございますから相当資本の浅い、しかも人口の多い狭いところに同じ業種がたくさんあるので、相当今度のデフレ予算で中小工業が倒れるのではないかという心配をしておるわけでござまいすが、そういうことについて、どういう処置をされるつもりなのか、愛知通産大臣からお答えを願いたいと思います。
  68. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一にいわゆるデフレ的要因のきつい財政経済政策をとるということになりますと、最も早く、かつ最も深く影響を受けるものは御指摘の通り中小企業でありますので、その点につきましては私どもといたしましても、でき得る限りの配慮をいたして参りたいと考えておるのであります。ただ根本的な問題として私どもの考えを申しますならば、前々から申しておりますように、たとえば生産の全体の規模を急激に切るということでもございませんし、それからたとえば雇用量の問題などにいたしましても、急激なドラステイツクな失業というような問題が起らないようにしようというので、全体の動かし方についても、急激なデフレ政策を一挙にとろうというのではございませんから、根本的な考え方から申しましても、私は今観念的に恐れられるほど実際上の問題としては、そういう御心配のようなことが急激に出て来ることはなかろう、またそういうふうにしたいと思つております。  それから中小企業自体に対する具体的な対策といたしましては、ひとり金融問題のみならず、税制の面におきましても、あるいは協同組織を強化する面におきましても、できるだけ総合的にこの波をかぶる場合に協同連帯してその余波をできるだけ少くし、被害を最小限度にとどめるようにというような点につきましては総合的な措置をとつて参りたいと考えております。
  69. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 愛知通産大臣は前に大蔵次官をやつておられましたので、大蔵省の関係もございますから御承知かと思いますが、今度われわれが期待いたしました中小企業金融公庫でございますが、これが中小工業者の金融機関として非常に期待されたわけです。ところが実際にあたつてみますと決してそういうようなことにはなつていない。なるほど国民金融公庫は各地区に支部がございまして、多年の経験と貸金の一本化のために金は少額でありましても、非常に中小企業者のためになつております。ところが実際にこの中小企業金融公庫はその資金の面が種々雑多でありまして、あるときは農林中金、あるときは商工中金というようないろいろ種種雑多でありまして、それが幾つもちぎられております関係上、実際には現在の事情ではさほどこれが有効に働いておらないわけであります。この点について今度の財政投資は少いわけでございますが、しかし現実にわれわれが期待したような効果がないとすれば、むしろこれは中小企業金融公庫は、国民金融公庫の方にまかして事をやるか、あるいは中小企業金融公庫が将来もつと発展するならば、各地区に支所でも設けて責任ある方法をとらなければ、私はこの中小企業金融公庫は実際の用をなさぬ、こういうように実情を調べて考えて来ましたけれども、通産大臣はどういうお考えを持つておられますか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  70. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまの問題につきましては、いろいろの御批判があることも私もよく承知しておるつもりなんでありますが、御承知のように当初中小企業金融公庫の創立を考えましたときの考え方といたしましては、この中小企業金融公庫に対しては、いわゆる中小企業の長期運転資金あるいは設備資金というようなものをそれによつてまかなう。従つてその貸出しの対象となるものは、国民金融公庫よりは程度におきましても一段と上のものというふうな考え方であつたわけでございまして、そういう場合にこういつた性格の融資をいたします場合には、なるべく簡素な形で既存の中小金融機関等を利用いたしまして、その公庫自体としては固有の資金も出張というようなものも持たずに、これはいわゆる財政資金の管理者的な立場において、直接貸しはできるだけ避けて既存の金融機関を利用したいということで、昨年の九月以降開業後そういう方針でやつて参つたわけでございます。その後実験上の意見もいろいろ出て参りましたし、このやり方の改善については、いろいろと考えなければならぬ、くふうしなければならぬ点も多いと思います。けれども現在のところといたしましては、このやり方を始めまして、まだ日も浅いことでございますから、十分改善を加えることによつて、所期の効果をあげるであろう。ただいまただちに直接貸しということを中心にして店舗の増設というようなことは考えていないような次第であります。
  71. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これは愛知さん非常に忙しいから御存じないかと思いますが、中小企業金融公庫は実際本来の目的を果していないということは、実際にあたつて見るとわかるわけでありまして、これは岡田中小企業庁長官が来ているからわかりますが、はたしてこのままで中小企業金融公庫が、その本来の目的を果し得るかどうかということについて、私は非常に疑問を持つておるのでございます。この点について岡田さんがちようど来ておられますから、岡田さんから中小企業金融公庫はこのままでやつて行つても、これで中小企業者のためになつて行くかどうかということについての御意見なり参考意見なりを、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  72. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 途中から参りましたので、御質問全体の趣旨が、私直接伺いませんので、あるいはつかまえそこなつている点がありましたら、あとで御指摘願いたいと思います。特に直接貸しにからみまして、中小企業金融公庫が今後今のような代理貸しの姿において、機能が十分果し得るかどうかという趣旨の御質問であつたと思います。実はその点につきましては、いろいろの方面から少くとも国民金融公庫程度の店舗を自分で持つてやらないと、公庫をつくつた趣旨がほんとうに窓口に反映しないのじやないかという意味の御意見なり御希望なりは、多々拝聴いたしているのでございます。私どもといたしましても、公庫の趣旨が真に代理店でありまする窓口を通じまして、中小企業界に反映しているかどうかということにつきましては、いろいろの形で調査いたしておりますし、私自身もことしの初めごろ、ちよつと十箇所程度抜き取り的に実際に歩いて調べてみたのでございます。また数字の上から申し上げてみましても、公庫ができまして、十二月三十一日までの間に二千七、八百件、金額で六十一億円くらいの金が出ているのであります。その後実際歩いてみますと、やはり従来中小企業者が急所と思われるような施設改善に進んで行きたいと思いながら、適切な金が見つからないために足踏みしておりましたのが、この公庫の金を借りましたために十分に行つているという事例が、私が歩いたところでは大体行つているように思うのであります。問題は、つまり代理店といたしましても公庫といしたましても、開業早々で不なれな点があつた。ことに代理店側に対しまして、この公庫の趣旨を十分理解していただくためには、かなりの時間が必要であろうと思のでありますが、それが今までのところやつと勉強期間が済んで来たというふうなぐあいに、私いろいろ窓口を歩いてみて考えるのであります。今後におきましては、公庫それ自体におきましても、やや陣容が整備して参りますし、代理店においても半年の勉強が済んだわけでありますから、これからほんとうの意味においての公庫の組織が動き出すのではなかろうかと思うのであります。先ほど大臣が答弁されましたように、われわれといたしましても機構をほんとうにうまく活用するように持つて行かなければならぬと思いますし、私はほんとうの姿においてこれから動くのではないか。特に店舗をつくると申しましても、相当の経費を要しますし、一番の重要問題は人員の養成から申しましても、これは大ごとであります。それよりはやはり既存の金融機関のベテランの方々に、公庫の趣旨を十分に理解して運用していただきますれば、かえつてその方がよろしいのじやないかというような考えで、今後とも私は参りたいと思うのであります。要するに公庫の趣旨が窓口において、へんにまげられませんように、十分その趣旨が窓口に徹底して理解されるように今後も努めて参りたい。さようなことによりまして今後も努力するようにいたしたいと考えます。
  73. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 中小企業金庫は非常に掛声が大きかつただけに、非常に失望の点が多いわけであります。中小企業者は今年度は私たちは恐ろしい危機があると思つておりますので、ぜひひとつ中小企業庁長官、通産大臣はお役所的な仕事にならぬで、中小企業者のために御努力願いたいと思います。  それから貿易の問題でございますが、実はいろいろ貿易の問題については愛知さんは大蔵政務次官から通産大臣になられたので、よく知つておられますけれども、日本の貿易振興といいましても、非常にいろいろ不利な状態がありまして、ちよつと国外に出てみると、その不利な状態がわかるわけです。特にイギリスが今日ポンドの力を非常に強めたということは、これは為替統制を徹底的にやつたということが、大きな原因をなしているわけであります。そこでこれは多少大蔵省の管轄かと存じますが、日本の今のような場合、最近やみドルの問題でいろいろ新聞なんかをにぎわしておりますが、この為替政策を根本的にやらなければなかなか貿易というものはうまく行かない。今日の日本のようなルーズなやり方をしておつては、いくら政府貿易政策と言いましても、為替の統制ができなければなかなか貿易振興はできないと思いますが、その点についてどういう方法で貿易振興のために、為替政策をうまくやるかということについての通産大臣の御意見を承りたいと思います。
  74. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は御指摘の通りでございまして、基本的には私は結局円の価値を強化するということに対して、あらゆる政策が凝集されて行くことが最も望ましいことだと思います。そのためにはいろいろな方法が総合的に考えられることと思うのでありますが、国際収支をとんとんにするということが、最もその重点をなす考え方であると思うのであります。そこで為替の統制の問題でございますが、これは現に御承知のようにいわゆる外貨の割当という制度を中心にいたしまして、外資の統制をずつとやつて奉つているのでありますが、これにはいろいろの方法が従来もございまして、たとえば自動承認制というようなものについては、比較的楽な考え方であり、またその他のものに対しては、メーカーに対する割当を中心にして行くという考え方であつたわけでございますが、そこで昭和二十九年度の外貨予算の編成については、どうやつて行こうかということについて、今日のところ政府部内におきましても、知恵をしぼつて改善されたやり方を、ぜひ打ち出して参りたいと思つております。その考え方といたしましては、予算委員会でも申し上げた機会があつたかと思いますが、一つは奢侈品的ないわば不要不急品に対しては、徹底的な抑制措置を講じて行く。これは問題がない点でございます。それから第二には日本の現在の産業構造の現状から申しまして必要なる原材料で、しかも政府の全体の総合的な見通しの中で、これだけの産業の規模はぜひ維持しなければならないと考えているものについては、それに必要な原材料は苦しくとも確保しなければならないという考えであります。それから第三には、これは自然の成行きでもそうなると思いますけれども、食糧等の昨年の不作ということに関連いたしまして、非常に食糧の輸入が緊急的に多かつたようでございますが、こういうものは実情に沿うて、相当大幅に節減ができると思います。これが第三の問題であります。それから第四には、しかしながら貿易の伸張の問題は、相手のあることでもございますので、相手国とのいろいろ貿易上の協議によりまして、日本としては当面のところはあまり必要のないものであつても、あるものにつきましては、その全体の話合いをうまく進めます上におきまして、不要不急のものも、ほんのわずかではございましようが入れざるを得ないものもあろう。これが第四の考え方でございます。全体を通じて、非常に急激な無計画な外貨の節減ということをやりますと、かえつて生産に支障を来し、また当面物価にも非常な悪影響を及ぼすと思いますし、そこのかじのとり方につきましては、慎重にやつて参りたいと考えておるわけであります。
  75. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最近日英通商協定のために行かれました東条さんもお帰りになつたのでありますが、ランカシヤなんかは条約と申しますか協定がイギリスに非常に不利である——新聞には有利なように発表されておりますが、われわれもロンドンにしばらく行つておりまして聞いた話でございますけれども、ランカシヤの綿業者あるいはあの地区の国会議員なども、非常に日本に対して異議を持つておりまして、にわかにこの日英通商貿易協定を楽観いたすわけには行かないのであります。ことにポンド地域は御承知のように日本の貿易じりにおいて、輸出の三分の一くらいを占めておりますので、その点についてまだ細目はわかりませんけれども、必ずしも日本の貿易の将来に明るい見通しがあるとばかりは言えない面があるのであります。この点について通産大臣はどんなお考えを持つておられますか。この貿易協定によつて日本の輸出振興にどういういい影響を与えるかについての御意見を承りたいと思います。
  76. 愛知揆一

    愛知国務大臣 日英貿易協定の問題でございますが、結論的に申しますと、英国側が非常な好意と協力を示してくれまして、いわゆる拡大均衡というような線の一つの大きな筋がこの話合いに通つたということは、私どもとしては非常に喜ぶべきことだと考えておるのであります。ただ御指摘のようにこれはわくができただけであつて、ことに現在の英国の諸般の情勢から言うて、これだけの輸出はむずかしいではないか、そのわくを中心にして、輸出が伸びるといつて楽観はできないではないか、こういうお話でございますが、この点もごもつともと思います。しかし私どもは内容的に具体的に考えまして、たとえばこれを大体三つにわけて申し上げればよろしいと思うのであります。一つは英本国に対する関係、第二が植民地に対する関係、第三が自治領、独立国に対する関係、大きくこの三つにわけてみました場合に、英本国に対しましては、ポンドにいたしまして、千四百五十万ポンドの輸出が計画されておりますが、その英本国の千四百五十万ポンドと、植民地、これは香港も含みますが、それに対する輸出計画が九千百五十万ポンドほどあります。この両者につきましては、すでに向う側として輸入を許可した品目の表もございます。また今回の会談によりまして、新たに輸入を許可する品目として、品目を特契したようなものもございます関係で、この両者につきましては、もちろんこれは良質廉価なものを輸出するという努力をやらなければならぬわけでありますが、大体この見通し通りに行くであろうと私ども見ております。それからまた第三の自治領、独立領等に対しましては、九千二百五十万ポンド程度のものを見越しておるのでありますが、これにつきましては、今後やはり外交的にもいろいろ手を打つて参らなければなりません。今申しました前の二つの範疇に属するものよりは一層の努力をこれに対してはいたさなければならないと考えておりますが、しかしこれらの国々との間の関係におきましても、代表としてこちらから会談に参加した人たちの報告を聞きましても、従前よりはよほど見通しが明るくなつたように見受けられるような次第であります。なおただいま申しました輸出の総計は一億九千八百五十万ドル程度になるのでありますが、これは協定それ自体にあげられました数字の大体九割ぐらいでございますから、その点でも見通しの計画量はある程度のゆとりをとつておるわけであります。
  77. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後にお尋ねいたします。今度の予算で前の通りなつておりますが、科学技術振興費、おるいは工作機械補助費、あるいは発明実施化に対する補助金、これらの問題でありますが、これを見て非常に考えますことは日本の機械が古い、非常に遅れておるという事実であります。たとえば織物にしましてもアメリカあたりではすでに自動織機を非常に入れておる。その他いろいろ外国で聞いてみますと、日本の科学が遅れておることを感ずるわけでありますし、どうもこの点について通産省は比較的積極的であるけれども、大蔵官僚がなかなかそういうものについて理解がないという非難も一応聞いております。そういう点についてわずかこれだけの費用では、将来における科学的な発展のためにはどうも足らぬと考えますが、通産大臣はどんなふうに考えておられますか。
  78. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘の点は私もまつたく同感でございます。今回の二十九年度予算におきましても、十分の努力と成果をあげることができなかつた点は、非常に遺憾に思つておるのでありますが、それにいたしましても、たとえば発明実施化試験費の補助が九百万円とか、それに対する貸付金が二千万円とかいうことを初めといたしまして、応用研究補助費二億円、それから工業化試験補助金が四億円というように総計いたしますと、現在の乏しい予算の中では私どもとしては相当に重点を置いておるのであります。なお今後におきましても通産省のこういつた面に対する考え方としては、新規技術を工業化するのにどうやつたならばよいか、あるいはまた新しい資源の開発について、どういう技術的なくふうがあるであろうかという、二つの点について特に努力すること、それからいま一つは輸出振興につきまして、卑近なところから、たとえばパブリツク・リレーシヨンと申しますか、これの中にはレツテルのデザインというような問題も入ると思いますが、そういう方面に通産省としての試験研究の努力を向けて参りたい、こういうふうに考えております。
  79. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点、アメリカからセメントのスレートのギヤの機械を輸入するために、小笠原大蔵大臣が外資を導入するというような話をちよつと聞きましたが、これは通産省の方においてわかつておりますか。
  80. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ちよつとその問題は私まだ承知しておりませんので、調べましてお答え申し上げます。
  81. 西村直己

    西村主査 今澄勇君。
  82. 今澄勇

    今澄委員 私経済審議庁関係で、予算委員会質問ができなかつた簡単な問題を二、三御参考までに聞いておきたいのです。  まず第一番に今の外貨の保有手持高と、今度の外貨の割当をめくつては、外貨の割当を今までより減らさないで割り当てたのでは、保有外貨の現状からはとても困難である。そこで外貨の割当を減らすというと、砂糖に表われたように、これらの輸入物価の値上りで、価格引下げという日本の基本的な一兆予算の中心がくずれる。そこで外貨の割当を減らせば、貸出しをうんと締めるなり、よほどの手心を加えるなりして、日本の物価の引上げを押えなければならぬということになるわけであります。だから外貨の割当を、外貨の手持ちがなくなつてもどんとやつて、輸入物価の値上りを防ぐという方針に出るとすれば、金融引締め等のやり方も、そう強硬にやらぬでもいいということになる。この点が今の日本経済の一番中心過大になつて来て、役所におかれては、関係各次官その他この問題について連日鳩首協議をなさつておるようであるが、これに対する経審としての基本的な考え方を、まず承つておきたいと思うのであります。
  83. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま今澄さんのおあげになりましたようなことはまつたく事実でございまして、私どもといたしましても、先ほどもお答えいたしましたように、この問題につきましては、現在必死の努力をいたしておるわけでございます。その考え方といたしましては、たとえば数字で申しますと、全体の一兆予算から見ました、またそれとうらはらになつておりまする国内の有効需要なり、生産の見通しからいたしまして、二十九年度の輸入規模というものは二十一億四千万ドル程度が必要である。二十八年度の実績がまだはつきりわかりませんから、正確な比較はできませんが、二十八年度の輸入はおそらく二十二億ドルをかなり越えるのではないかと思います。それにいたしましても、二十二億ドルとかりに仮定いたしますと、三千万ドルくらいを減少し得るということになるのであります。もう一方におきまして、外貨の手持につきましても、率直に申しまして、実は三月末にこうなるであろうと予想したものよりは、現在のところではもう少し心細い状態になつております。その方のこともにらみ合せて考えなければなりませんが、しかし私どもが予算を編成した当時考えた輸入規模の二十一億四千万ドルを守り抜ければ、先ほど申しましたように、食糧輸入は当然減るであろう、それから不急不要品は切れるということで、原材料等の輸入につきましては十分確保できる、こういうふうに考えておるのであります。これは最近新聞その他でもいろいろ論議が出ておりますが、一つの行き方として、輸入を徹底的に切る、ある程度物価がそれによつて上つても、大局を救う道から行けば、その方がいいんだという説もございますが、私どもはその説よりも、むしろ全体の金融の引締め、有効需要の減退ということをまず最初に押し出して、それに見合せて外貨の予算というものをつくつて行くのがよろしい、また必要な原材料が暴騰する、需給が乱れるという程度に外貨を締めるべきではない、私は現在そういうふうに考えておりますので、それを中心にいたしまして、大蔵省や日本銀行やその他政府部内の意見を、ただいまとりまとめておるようなわけでございます。
  84. 今澄勇

    今澄委員 私も外貨の割当を極端に減らすということよりも、経理の方針で行かれる力がいいと思いますが、何にしても一番の中心は、外貨の手持ちが当初の予想よりも心細いということであれば、ある程度割当の方針を変更するか——今まで外貨の割当についてはいろいろと問題があつて、この外貨の割当を洗えば非常な事件も出て来ると思いますが、こういう問題はしばらくおいて、従来の外貨の割当の方式と違つた方式をとられるかどうか。それから抽象的にいろいろ言われたが、今日は分科会ですからそう報道関係も多くおるわけではなし、私は内輪の話で聞きたいのですが、この外貨の割当方針について、ある程度大まかな品目別というか、分類別に並べてみると、どういう品目を削つて、どういう品目を現状維持で、どういう品目はふやして行くかというような概略の方針でもわかれば、それを承つておくと、今後の外貨の割当から来る物価の変動に対する私どもの見通しも立つのではないか。だから、外貨の割当、これから来る物価の動向とういことは、重大な影響があるので、経審としても通産省としても、十分連繋をとりながら、この問題はひとつ慎重にやつてもらわなければならぬと思う。これらについての御見解も聞いておきたいと思います。
  85. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一に、外貨予算の編成のやり方と申しますか、仕組みが従来通りでよいかどうかという点については、現在私どもが研究しておる案としては、必ずしも従来通りの方式でない方がよいのではないかということも含めて考えております。それから、たとえば自動承認制その他の方式をどの程度——これは現在原則的にクローズされておるわけでありますが、これを復活した力がよいか、あるいは復活するにしても改善の余地がないか。こういう仕組みの問題もあわせて現在考えております。  それから物資別の大体の考え方でございますが、これは先ほど申しましたように、またただいまも御指摘がございましたように、きわめて最近の私どもの経験から申しましても、自動承認制のクローズ等に関連いたしまして、非常な思惑が起り、また一部の物資について価格の高騰なども起りまして、私どもとしては、率直に言つて困つたわけであります。この作業も、実はまだ十分できておりませんし、従つて今日ここで申し上げるだけの用意がないのでございます。これはできるだけすみやかに固めまして、何らかの方法でお話申し上げるようにいたしたいと思います。ただ、せつかくのお尋ねでございますから、今後どうするかということよりも、これは御承知のところでございますが、大体今入手し得ておる二十八年中の輸入品目の中で、特に目立つてどういうものが多かつたか、その五、六の品目を申し上げますと、たとえば前年に比べて、原毛が三割四分の増、機械が五割三分の増、くず鉄が六割三分の増、原油が四割八分の増、大豆が五割三分の増、ウール・ノイルが九割六分の増、米が一割二分の増、木材が六割八分の増、砂糖が一割三分の増。これは大体昨年の十二月までのところを拾つたわけでございますが、こういつたようなところが最近の実情であることを申し上げておきます。
  86. 今澄勇

    今澄委員 経理並びに通産の計画のぐあいもございましようから、外貨の割当については相当の見通しを私どもは立てたいと思つておりますけれども、まあその程度で満足をいたしましよう。外貨の割当については、たとえば砂糖の外貨の割当でも、一つのところに粗糖だけを輸入さして利潤をあげさせるとか、あるいはいろいろ商社のバランス、外国商社と国内商社のバランス等を見てみると、事務当局のこの決定のやり方には、非常に大きな情実と問題がひそんでおる。これを一々大臣のところで見破ることはなかなか困難でしようが、私は、外貨の割当については、十分ひとつ基本方針をきめられて、厳正にこれが割当をやつて、あまり世間から指弾されぬ方向に持つて行くよう、愛知通産大臣に要望をするにとどめておきます。二十九年度の外貨予算の割当その他をめぐつて、私は予算委員会においてさらに、従来通りであればこれらの問題も十分ひとつ追求を申し上げることを留保して、これはひとつ善処方をお願いしたいと思います。  それから今の日本の国内経済と対比する世界経済の見通しですが、井上準之助蔵相のときにおける日本のデフレ政策、金解禁というものが折からの世界的な不況と合体して、遂に最後にはわが国内における実力行動を誘発して、日本の革命的な様相を呈して来たという昔の思い出に徴して、今日の日本のデフレ政策というものは、世界的な動向を加味せずにこれを行うことはできない。その世界的な動行の中で、経審はアメリカの経済の見通し、さらにアメリカ経済のもたらす世界経済全体への見通し、朝鮮休戦に伴う軍拡スロー・ダウンから来る軍需工業品の値下り等々が、世界経済に及ぼす影響というものをどの程度に見ておられるか、今の日本経済もまことに苦難で、しかも政治情勢としては、疑獄の問題その他で、国民の政府に対する疑惑並びにそういつた革命的な要因に対しては、非常に度合いが高まつておる。この際国際的な恐慌の渦に巻き込まれて、日本の経済がさらに、ちようど日本の昔の金解禁当時の状況に酷似しておるように私は思うのであるが、このアメリカを中心とした世界経済への、通産大臣、経審長官としての見通しを承つておきたいと思います。
  87. 愛知揆一

    愛知国務大臣 アメリカの経済の動向につきましては、実は、われわれとしても非常に重大な関心を持つておるわけでございます。これは御承知の通り、最近アメリカの景気の見通しの問題について一つの注目すべき意見が出ましたのは、イギリスのコリン・クラークの説でございます。それからソ連のヴアルガも最近アメリカの経済の見通しをやつておりますが、私の見方は、この二つの見方は非常に悲観的な、むしろ通説——と言うとおかしくなりますが、これに反するものではなかろうかというふうに考えるのであります。それはその前後からいろいろの経済雑誌あるいはその他の方から想像し、また特に米国の政府筋が考えております公の見通し等を見てみましても、大体下向きにはなつておるけれども、現在のところいわゆる恐慌というような程度に突入して行くようには見ていない。また一九二九年当時のアメリカの経済に比較いたしまして、現在のアメリカ経済としてはそういう変動に対して、非常に強靱な体制になつておるというような見方の方が支配的であると思いますし、それから米国政府筋もこういう状態に処して、やるべきことはアジヤストメントであるが、不況の対策というような表現は必要でないというようなことを言つておるようでございます。  それからもう一つは、最近ECAの調査したところを見ますと、かりにアメリカの経済が多少後退して、そうしてたとえば米国の消費が四%低下したという場合を想像してみると、米国の総輸入額は大体二四%ぐらい減る。こういうふうな見方をいたしておるようでございまして、こういう点については、こちら側としても非常に注視してまして、アメリカの経済実態が現在御承知のような状況で、世界に対する一つの大きなモメントになつておりますから、スターリング地域と日本との場合その他に、相当な影響があることも覚悟しなければならぬ。そこで話は飛びますが、先ほどの貿易計画におきましても、対米の輸出については去年よりもちよつと内輪に輸出計画をつくつておるのも、こういう点を私としては頭に置きまして、そういう計画をいたしておるようなわけであります。  それから外貨の問題につきまして御注意をいただきましたが、今後の処理につきましては誤りなきを期したいと思います。  それから従来云々という話がございましたが、私はそういうことはないと信じますが、なお将来におきまして十分戒心をいたしたいと思います。  それからついでにちよつと申し上げておきたいのですが、井上財政の話が出ましたが、実はこの点についても経済審議庁といたしましては、井上財政があのときに登場したその前の状況その後の状況を比較いたしまして、今度のこのデフレ的な政策というのは、あれよりはドラステイツクじやない、あそこまで行つてはいかぬというようなかつこうで、全体の計画をいたしております。
  88. 今澄勇

    今澄委員 そこでこの外貨に関連して、できれば今日までの外資の導入額の総計、もう一つは、外人及び外人商社の本国送金額は年度別に幾らであるか、米国軍人及び商社、これは映画、石油、商品販売等の蓄積円、これの数字を承りたいのですが、これは経審、通産打合わされて、あるいは大蔵関係にも来ていただいて、もしできることならこの数字を——これは参考にするだけでございますから、予算総会が終るまでにいただければいいと思つてお願いいたしておきます。  そこで今実勢三百六十円の為替レートの問題ですが、すでにニユーヨーク・タイムズ等に報道せられているところを見ると、為替を引下げなければ日本はやれないだろうなんというような報道もあつて、非常に動揺を与えておる。なお政府は三百六十円を維持すると言うけれども、これを裏づけするいろいろの輸出振興、物価の引下げ等の政策には欠けておるというような状態で、為替に対する不安が非常に多い。そこで終戦以来この為替の実勢と、公定レートをめぐるやみ取引が多くて、伊藤斗福もこの為替のやみ取引で実は検挙せられておるが、これは伊藤斗福が警視庁で陳述しておるように、やみドルでやられたのが運の尽き。それとやみ取引が半ば公然と行われておることは、通産大臣も御承知だろうと思う。私は、これは経審としての為替に対するものの考え方と、それからもう一つは、こういう為替のやみ取引が公然と行われて、四谷御殿と言われたり、あるいは三信ビル等を前進基地としてルートが出ておるようでありますが、こりれらの問題は将来検討することとして、かような為替のやみ取引に対して経審は、日本経済の全般からどういうふうな考えを持ち、どういうふうに法務省等とも連絡をとられ、大蔵省関係とはどういう対策を立てて臨んでおられるかという点について、為替レートの維持に関する見解と、それに伴うやみ取引等に対する御見解を、ひとつ承つておきたいと思います。
  89. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほどの外資の取引の問題等につきましては、たとえば外資の導入額、その形式とか条件とかいうものは、資料が用意してございますから、プリントとしてただちに差上げるようにいたしたいと思つております。送金額その他について、あるいは御満足の行かないものもあろうかと思いますが、できるだけの用意はいたしたいと思います。  それからやみドルの問題でございますが、これはただいま御指摘のありまたように、三百六十円を絶対に維持しなけしれば、日本の経済自立というものはできないと私は考えておるのであります。そういう観点から見ましても、現実にやみドルの問題があるということは、まつたく遺憾にたえないわけでございます。これは直接の職権としては、大蔵省と法務省の問題になると思いますけれども、経済政策の根本として重大な問題でございまますので、従来におきましてもその取締りの方法等について、経路をはつきりさせること、またできるだけ断固たる措置をとるのには、どういう方針をとるべきかということについては、関係の向きにいろいろと協議をいたしておるのでありますが、すみやかに関係当局において、まずその仕組みから考えまして、ますます厳重な処置をとるようにすることを、われわれとして期待しておるわけであります。ただおそらく占領から独立に移りまするその前後からのいろいろの、何と申しますか、法律的にも明白な処理ができなかつた場合も、あるいはあろうかと思うのでありますが、ここまで独立国として成長いたしました以上は、外国人関係等に対しましても、法律的にもあるいは行政的にも断固たる処置をとるべきであると私は考えております。
  90. 今澄勇

    今澄委員 そこで分科会ですから、なごやかに話を聞いて、大体私の予定の御答弁を得たので、最後に私は電気の値上げについてお伺いしたい、経審は物価が下ると言つておるのですが、どうも現状は卸売指数も、小売指数も、政局の不安と相まつて漸次上りつつあつて、なかなか現下の物価は端倪を許さないものがある、電気の値上げについても、ただ機械的にとにかく国民生活に影響を及ぼすものの値上げは反対、農村の使う肥料は断固として値下げというような観念論だけでは、日本の産業構造はその基礎を固めることができない。だから日本のこれらの国家的な基礎産業開発をなし、基礎を固め、マス・プロを増大しながら、しかもそういうものの料金が上らないようにするということは、現下の自由党内閣としても、経審としても、一番大きな難問題だと私は思います。たとえば肥料の値下げをやりますためには、肥料の企業形態が半ば経済的な形態のもとに、政府の運営がこれに加わるというなら下るでしようけれども、自由企業で放任しておいて、電気の値上げが行われれば、コストが上つて来るのはあたりまえです。電気会社にしても、一般物価が高くなれば、新しい開発をすれば、これまたコストが上るのは当然だが、こういつたような企業の形態並びに国民大衆の要望にこたえるような一つの対策というものが、どうも経審にはないようです。電気の値上げに関してのあなた方の考え方。それから四月一日以降値上げをする。四月一日までは値を上げないという答弁を、この前の予算委員会で、私は元の通産大臣から得ておつたんだが、四月一日以降はそれじや値上げをされるのかどうか。値上げをされるとすれば、その基礎はどういう点において値上げをやられるのか。聴聞会も行われるようでありますから、これをまず承つて、引続いて電気が上れば、電気を使うその他の産業も値上りになつて来ることはやむを得ないので、そういうものについては今度は一体どういう措置を講じて行くか。物価引下げと非常に矛盾するこれらの問題に対する物価政策全般にも及んで、ひとつ経審長官の御意見を承つておきたいと思います。
  91. 愛知揆一

    愛知国務大臣 電力料金の問題につきましては、今回の予算委員会の冒頭の本間委員の御質問に対しましてお答えいたしました通り、私の気持は一貫しておるのでありますが、ただただいまも御指摘がございましたように、電力の開発を進めて行く場合に、どうしても資本費が増高する。この問題は当面の値上げ、位下げの問題のみではなくして、将来長きにわたる問題でございますから、政府としては別途、実はいろいろとない知恵をしぼりまして、たとえば国税の面において、あるいは地方税の面において、あるいは開発銀行の金利の面において、恒久的にその電力開発のための資本費の増高に対して、できるだけ軽減するという措置を鋭意今検討いたしておりまして、それぞれの面で結論を得つつあるわけでございます。そういたしますと、九電力会社が値上げを申請して参りましたその基礎となつた条件に対しては、相当改善が恒久的に加えられ、だんだん幅が狭くなつて参ります。一方法規の命ずるところに従いまして、聴聞会を不日始めることにいたしましたが、彼此勘考いたしまして、三月、しかるべき時期に政府としての最後の決定を明らかにいたしたいと思いますが、その際の私の個人的な考え方は前会にも申し上げた通りであります。  それから物価全体についてのお話でありますが、これはなるほど一月の物価の動きを見ましても、あるものについてはごく軽微でありますが、上つたことはこれは事実否定のできないところであります。私どもとしてはこの予算の執行ができてから、四月から以降におきまして漸次この政策の浸透が行われ、そうして夏ごろから顕著な現象がだんだん現われて参りまして、年度間を通ずれば、六、七パーセント、ある時点と時点との問で比較すれば、一〇%程度まで下るものと現在確信いたし、またそういう方向に馴致したいために、電力料金、その他の問題についても、その思想のもとに善処いたしたいと考えておるわけであります。
  92. 今澄勇

    今澄委員 問題は公益的、公共的立場から、国民輿論として上つて来る電力料金の値上げ反対、肥料の値上げ、その他ガス料金、郵便料金等、いろいろ要求しておる中で、たとえば鉄道は公社であり、郵便関係はこれまた公営事業であるというようなことで、非常に企業形態というものが大きくあずかつて力があるが、電気事業だけは私企業にまかせて、価格の面については非常に大きく大衆の輿論をそのまま映して行くというところに、私は非常に大きな無理がこれらの企業にしわ寄せせられておるのは事実であると思います。通産省としては国民の要望にこたえて、電気料金の値上げ等を押えるべし、しかしながらその企業形態は電気開発等についてのもつと建設的な見解がないことには、私は今の日本経済というものは成り立たぬのではないかという点を、経審長官に十分御検討願わなければならないと思います。なお電気に関連して火力借款が引続き交渉をせられておるということであるが、もしさしつかえなければ火力借款についての現在の実情等についても、ちよつと御報告を願つておきたいと思います。
  93. 愛知揆一

    愛知国務大臣 火力借款については昨年成立いたしました契約以上に、現在これを広げるという計画は持つておりませんし、また交渉もいたしておりません。
  94. 今澄勇

    今澄委員 火力借款は昨年やつたけれども、そのほかに今度東京電燈が現に会社間同士、その他交渉が進捗中なのであります。これらに関してもし通産大臣御存じなければ、公益事業局長からでも今の実情について御報告願いたい。
  95. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほどお答えいたしました通り政府としては何ら交渉も計画もしておらないのであります。あるいは公社として希望的な案があるかもしれませんが、その点は私まだ承知いたしておりません。
  96. 今澄勇

    今澄委員 それでは通産関係をなお一、二お聞きしたい。今電気に次いで一番問題なのは、燃料対策であると思うのであります。そこで外貨の割当とからんで、一ころは石炭を非常に使わせないで、重油をやつて、日本の燃料政策の一助とするという方向転換が行われ、さうに今度は低品位炭と重油との混合使用をやつて、日本のかまの改良が考えられ、しかるところまた今度は石炭中心主義になつて来た。日本の石炭産業が非常に大きな苦難に当面しておることは御承知の通りですが、日本の基礎産業がこういう燃料政策の朝令暮改によつて、大きくその基礎をゆるがされておることは通産大臣も御承知の通りであるが、この燃料対策というものについて、経審としてはどういうふうに考えられるか、通産省としてはいま少しく一貫した何らかの燃料対策というものはとり得ないものがどうか、通産大臣にひとつ御意見を聞いておきたいと思います。
  97. 愛知揆一

    愛知国務大臣 総合燃料対策につきましては、これも委員会で大体の方針を御説明いたしたのでありますが、私は根本的には石炭の問題をぜひ解決いたしたい。石炭の問題の解決については、適正な出炭の規模というものをはつきり掲げて、需要者との道を十分つけることにしなければならない。この数字はまだ政府としてはつきり申し上げる段階まで行つておりませんが、私の気持としては、四千八百万トン以上のものを適正の出炭規模として確立いたしたい。同時にこの出炭規模に対し、合理化の努力を労使両方でやつていただいて、コストをさらに引下げていただくことによつて、需要者側の石炭需要に対する協力を仰ぎたい。それから重油につきましては、重油でなければならないものが相当ございますことは御承知の通り。それからしいて申せば重油転換ということのために非常な固定資金を使い、あるいはその結果においてコストが非常に大幅に減つたというようなものに対しては、これはある程度の敬意を払わなければならないと思いますが、敬意を払いつつも、そこで話合いをぜひ結んで行きたい。私どもとしてはいわゆる統制とううような、戦時中にやりましたような方法は絶対に用いたくないのでありますが、納得づく、話合いの協力ということで、さような方法を進めてありたいと考えております。それからなお重油の問題につきましては、そのほかいろいろ考えなければならない要素もたくさんございますが、それを総合して検討いたしまして、できるだけすみやかな機会に一つの結論を打出したいと思つております。
  98. 今澄勇

    今澄委員 そこで石炭に関連して、この鉱害対策というのが終戦以来戦時特別鉱害並びに一般鉱害等、この石炭産業にからまる被害者の問題が、通産省の努力にもかかわらず、大蔵省関係の不協力で非常な迷惑をかけておることは、通産大臣御承知の通りです。今回のあなたの説明の中にもこの鉱害の問題に触れておられるが、私どもはこれらの鉱害に対して、やはり当初通産委員会が出した法案等も屡次修正をせられておるが、通産大臣はこれらの鉱害については、ぜひ責任を持つて鉱害被害者の救済ができ得るような方途を講ぜられる必要があるし鉱害の復旧の現状並びに通産省のこれに関する見通し等について、概略御説明願つておきたいと思います。
  99. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまお話のございましたように、たとえば金の問題等につきまして、当初通産省が計画した通りに実現しなかつたという考え方等もあるようでございますが、これらの点につきましては私といたしましても、あらためてできるだけの努力を払いたいと思つております。なお具体的な数字等についてのお尋ねがございましたが、政府委員からお答えいたさせます。
  100. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 鉱害のうちで、戦争中特別な指令によりましてやりました例の特別鉱害のことでございますが、これにつきましては当初損害額を認定いたしまして、それを五箇年計画でありましたか極力やつて参りましたが、一方におきましては、いろいろな復旧事業費等の値上りもございまして、それで少し年月を延ばしまして、かつこの事業費の値上りに見合いまする鉱業権者の負担分を増加いたしまして、昭和三十二年度でございますが、これまでにみな完全に達成したい、こう考えております。その関係の法律案を今国会に御審議をお願いした次第であります。一般鉱害の方につきましては、これは御案内のように、いろいろ関係の箇所も多くありまして、われわれとしましても何とか早急にと思つておりますが、当初いろいろスタートの遅れた関係もございまして、復旧の進捗の度合いがあまり進んでありませんのは、はなはだ残念に思つております。この方もできるだけ進めて参りたいと考えております。
  101. 今澄勇

    今澄委員 石炭を重視しておるという通信大臣の御答弁はなかなかよかつたんですけれども、これらの鉱害対策一つ取上げてみても、通産大臣までは詳細に連絡がないと思いますけれども、どうもずさんきわまる状態で、現地の九州などはまつたく哀れな状態に放置せられておるようなわけです。私はこの機会に通産大臣に対してこれらの鉱害等の問題も、日本の基礎産業石炭産業の育成のためほうつておかれない重大な問題であるということを、御注意を申し上げるにとどめておきましよう。  なお最後に中小企業庁長官がお見えになつておられますから一言聞いておきますが、今度の保全経済会並びに日本殖産金庫等その他匿名組合あるいは相互金融組織等によります金融機関は、今度大蔵省の出した取締り法規によつて、これらはほとんど国民的な憤激もあつてつぶれるんじやないかと思うんです。そうすると中小企業金融にも非常な打撃を及ぼす面もあるから、私は予算委員会でしきりとこれらの匿名組合組織による不健全金融機関を鋭く追究をしましたが、しかし中小企業庁としては、こういつた機関がもし閉鎖になり、あるいはつぶれて行くとすると、中小企業金融の建前から、どうして一体その対策を講ずるかということもお考えにならなければならぬと思うのです。そこで片方を見ると匿名組合では出費者に制限はなくて、十何万という人が預けており、中小企業等協同組合法の信用協同組合は、員外貯蓄の制限がある。中小企業等協同組合には当初員外貯蓄の制限のなかつたものが制限を受けて、非常に信用事業がきゆうくつで、しかも匿名組合というようなわけのわからぬ詐欺団体が、無制限に金が集められておつたという事情を、一体中小企業庁としてはどう考えておるのか、それからもう一つは、保険協同組合等、中小業者が——いわゆる消防設備の完備とともに、火災保険の燃える率というものはだんだん少くなつた。だからこういう保険会社にやらしておけばもりかることはわかり切つておるけれども、こういうものを中小業者の全国的組織でやらせれば、国家が消防組織に力を入れつつあるパーセンテージだけ減つて来る火災の率でもうかると同時に、この保険金というものが大きく中小企業自家金融の中心になるというのであつて、中小企業等協同組合法は当初中小企業庁でつくられた原案には保険業があつた、しかしこれが、議会で削除になつたのであるが、こういつたいわゆるやみ金融等の横行しておる現状のもとにおいて、保険協同組合をぜひ復活する必要があると思う。さらに中小企業庁は中小企業金融については、のべつ幕なしに新しい中小企業金融機関をつくりさえすればいいというわけのものではない。中小企業金融公庫は開店休業、半身不随でまつたく動きがとれないという形でありますし、なぜもう少し中小企業金融を系列的に親銀行的なものを中心にずつとその下に並べて、そうして銀行中小企業の窓口で、どのくらいの金を出す、それらの中小企業専門金融機関で幾らの金を出す、不動産金融、運転資金、設備資金等をうまくわけて、いま少しく金融機関の体系が整備されないものかとひとしく心配しておるので、これらの点について中小企業庁長官の御見解を承りたい。
  102. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 保全経済会は直接金を貸す仕組みではないと思いますが、株主相互金融の関係が非常に問題になりまして、御指摘いただきましたように今後これが大きく発展するということは、とうてい考えられないと思うのです。われわれといたしましてもかような金融情勢にかんがみまして、今度の国会に対しましても、これらのやみ金融等がなくなります結果、一番いろいろと困られるのは、どつちかといえば小口の金額をこういう機関を利用して簡単に借りておつたという階層ではなかろうかというような考えから、信用保険法の一部を改正いたしまして、一口十万円までの小口の金融につきまして、信用保証協会が保障をいたしました再保険を補填率八割まで引上げまして、小口金融に一つの潤滑剤を与えたらどうか。また国民金融公庫といたしましても、五万なり、十万なりという小口の貸出しにつきまして、特に三箇月とか六箇月とかいうような短期関係を、もう少し簡単にすみやかに貸し出し得るような仕組みを、今立案をいたしておるのであります。これらの点がぐあいよくすべり出しますれば、いわゆる小口の簡単な金を借りるということで、従来かような金融機関がある程度の存在価値があつたといたしますれば、政府施策で何とかこれを正常な形で運営できるようなぐあいに持つて行きたい、かように考えましていろいろ準備をいたしておるのであります。信用保険法の改正の方は、すでに通産委員会の方に上程をいたしておるのでございます。  なお金融の系列をはつきりさせて、市中金融機関あるいは中小企業専門の金融機関、それぞれ分担をきめて計画的に金をだすようにすればいかにという御見解でありますが、私どもとしましても、その御見解にはまつたく同感でございまして、たとえば中小企業金融公庫運用いたすにつきましても、それぞれ銀行なら銀行というものが、中小企業に対してどの程度の役割を果しておるか、相互銀行はどの程度の階層に対してどの程度の金融を中小企業関係にやつておるか、それぞれの種類の金融機関の中小企業に対して果しております役割を勘案いたしまして、それぞれの金融機関に対するわくをきめて、その運用の全きを期したいと思つてやつておるのでございます。今後ともさような方向に特に努力を用いたいと思います。  なお信用協同組合の員外預金の関係でございます。この点は信用金庫と信用組合と二本建の制度にいたしました場合に、信用金庫については員外の預金を認める、信用組合についてはほんとうに同志相集つてお互いの力で、金融をつけて行こうという性格を強く打出そう、それで一定の余裕期間を与えまして、どちらになるかということの選択をまかせたようになつておるのであります。その期限がすでに経過いたしまして、信用組合に残るもの、信用金庫にかわつたものというように分野がかわつたわけでございます。信用金庫なり、信用組合にはそれぞれ持味があろうかと思いまして、それぞれの持味を生かしながら中小企業の金融に努めて行くというのが、現在の構想と思うのであります。信用協同組合について員外預金を認めるというふうないろいろの点を直して行きますれば、信用金庫と信用組合というものの二本建になること自体がどうかという問題に相なろうかと思うのであります。さような点も今後十分検討を加えたいと思いまして、われわれといたしましても大蔵省の銀行局あたりとは、いろいろ相談はいたしておるのでありますが、これについての終局的な結論はまだ出しておらぬのであります。  保険協同組合につきましては、この前の国会に議員立法として提案になりまして、いろいろと御審議をいただいたのであります。その原案につきましては、なおいろいろ研究をすべき点があるということで、前の国会では審議が進まなかつたのでございまして、今後の国会に継続に相なつておると思うのでありますが、その研究につきましては、私ども並びに大蔵省も御相談にあずからせていただきまして、現在も、通産委員会のこれに特に関心を持つておられます方々が、前の法案を基礎といたしまして、実情に合うような案を御検討に相なつておる状況でございます。せつかく保険協同組合ができるのでございますれば、これが健全に伸びていただくことが望ましいのでございます。保険技術の点、また保険協同組合の経理を健全に育てて行くためには、いかなる用意をいたすべきかというふうな点等につきまして、目下検討を加えておるのが現在の段階でございます。
  103. 今澄勇

    今澄委員 中小企業庁長官の御説明でよくわかりました。ぜひ私は、大蔵省のいろいろな方針から来る圧力に——ひとつ閣内ですから相談をされて、中小企業金融の完璧を期してもらいたいと思います。  最後に、愛知通産大臣兼経審長官にちよつと申しておきますが、私が、手元にいろいろ投書として集まつたものを整理した中に、大蔵省が公認をしておる、あなたが前に大蔵省におられたときからある元の無尽会社、今の相互銀行、今度信用組合から離れて信用金庫になつたあの大きな元の市街地信用組合等の預金の預かり、貸出しにおいて——きようは分科会ですから具体的には申しませんが、預金台帳にも載せないで高利の金を預かつておる。そうしてさらにそれを高利で運転して、いわば株主相互金融的な、貸金業法的なやみ金融を、これらの金融機関の責任者が個人の資格においてやつておる。そうして今日は遂に大蔵省の発見するところとなつて馘首せられた者もあるようです。これは今の相互銀行、信用金庫にとどまらずして、地方銀行にもあれば、全国的銀行にも支店々々によつてあるようです。それら匿名組合組織による保全経済会の破綻、株主相互金融による破綻から、ひいては相互銀行、信用金庫、さらに地方銀行に至るまでのそういう一つの事実、相当の金利を出しても使いたいという、かような資金に対する要求の声が自然と織りなしたこれらの風潮に対して、一部では京都の公同信用金庫の取付騒ぎ等から、中小金融機関に預けた金が万一手にもどらないということがあつては困るから、預金保険をひとつ創設してもらいたいというような意見が出ておるのであります。私は機会を得てこれらの問題についての具体的なものを一ぺん追究したいと思いますけれども、きようは分科会ですから概略を述べて、こういう今の状態のもとにおいて、経審長官、通産大臣の考え方はどうか、さらにそのような、預けたものがとれなくなるのじやないかということで、心配しておる者が要望しておる預金保険等の構想は一体どうなのかというようなことについて、元大蔵省におつて、造詣の深い愛知さんにお答えを願つて、足鹿さんが見えましたからこの辺で私の質問を終ります。
  104. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまのお話につきましては、そういうことが具体的にありますれば、まことにけしからぬ話だと思うのであります。これは大蔵省に長くおりました私といたしましては、個人的にも非常にこれは遺憾千万なことだと思いまして、従来もそういう点につきましては、銀行検査制度の拡充というようなことにつきまして、ずいぶん骨を折つて参つたのでありますが、これはひとつあらためて御指摘のありました問題でありますから、大蔵省の方へもさつそく連絡をいたしまして、実情を調べ、あるいはこれに対して断固たる措置をとるというような処置をとりたいと思います。  それから預金保険の問題でございますが、これも、御承知のように、実は数年前から預金保険制度というものを、立法化したらどうかという説もあつたのでありますが、しかしこれはまた、それよりも前に、各金融機関が、少くとも正規の金融機関として政府から設立を認可されたものが、かりにも国民全体の負担において預金保険をしてもらわなければ預金が払えないというようなことがあつたのでは申訳がないじやないか、金融機関自体の充実と、健全経営と、それから検査制度を確立することの方が先ではなかろうかということで、預金保険制度の問題は、ただいまのところは政府部内で法律案としての用意はないのではなかろうかと思います。最近の大蔵省の見解は、私もちよつと離れましたのでわからないのでありますが、従来の考え方としては、まず各金融機関にそういうようなおそれのないような経営をさせる、常時監督を厳重にするということで考えておつたように考えます。
  105. 西村直己

  106. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私は経審長官、また通産大臣にお尋ねいたしますが、今まで中小企業についていろいろお話がありましたけれども、中小企業がことしは非常な苦境に立つだろう、それについては議論はないと思うし、また大臣もそれを率直に考えられて、中小企業金融公庫、また国民公庫に金をまわす——これはその通り予算にも書いてありますが、大臣が言われてもそう大して特筆すべきほどではない。しかし注目すべきことは、大臣が、協同組合を非常に強化してやつて行くのだということを言われておるのです。私は、これは非常に注目しておるのです。ほかの施策というものはほとんど言うに足らない。まあ普通の措置であるが、中小企業協合組合について、どういう構想を持つておるか、これをひとつ伺つておきたいと思います。
  107. 愛知揆一

    愛知国務大臣 中小企業につきましては、ただいまも御指摘がございましたように、どうも、金融にできるだけの努力をすると申しましても、その金額はそう大したものではないと言われますことは、金額としては御指摘の通りでございます。そこで、私どもとしてはこういうような政策転換の際、特に財政資金を十二分に調達することがむずかしいというような場合においては、総合的な対策で中小企業を伸ばして行かなければならないのではなかろうかというようなところから、いろいろと各般の措置を考えたわけでございまして、その一つといたしまして、いわゆる組織化、中小企業の組織を強化するということを従来からやつておりますけれども、あらためてひとつ力を入れたいこと、こういうふうに考えたわけでございます。たとえば、協同組合法の施行以来、政府としても組合の成立と運営の指導に努めて来ましたわけで、最近における組合の数は、おそらく三万近くになつておるかと思うのでありまして、中小企業者の相当部分か組織をされたということができるかと思うのであります。さらにこれを拡大して行くことはもちろんでございますが、今後の着眼点としては、組合の質的な充実重点を置くことを中心に考えて参りたい。それで、具体的に申しますと、たとえば組合の診断制度の普及徹底、それから指導要領、経理基準等の作成によりまする組合の指導、それから組合指導者の育成といつたような、いわば指導行政の強化をはかりたいということを考えておりまして、そのことを抽象的に協同組合の拡充化というふうに申したわけでございます。たとえば、いわゆる診断精度というようなものにつきましても、手前みそになるかもしれませんが、最近相当の効果をあげており、また非常に診断の希望も多いようでございますので、たとえば診断員には登録診断員制度というようなものをつくるというようなくふうも、現在いたしておるような次第であります。
  108. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうすると、これは予算の上では何か裏かづけをしておられますか。
  109. 愛知揆一

    愛知国務大臣 二十九年度三億円。そのうち共同施設関係で二億円、それから組合設備の近代化というような方面に対する措置といたしまして一億円、合計いたしまして三億円ということに、予算上なつておるわけでございます。
  110. 福田赳夫

    福田(赳)委員 この問題は非常に実行がむずかしいのだろうとは思うのですが、非常な中小企業の危機の際でもありますから、ひとつ具体的に着々と強力に進めてもらいたい。  それからただいまも今澄君から御指摘がありましたが、相互金融とか保全経済界というようなもの、これはとうてい成り立ち得るものじやないと思うのであります。かかるものが存在し得る理由はないと私は思うのでありますが、しかし、それだけの社会的需要というものがあつてできたものだと思う。これは今回法律によつて整理せられる運命にあると思うのでありますが、そうすると、その社会的必要を満たす機構というものが、どうしても必要じやないかと思うのです。昔は無尽会社みたいなものがそういうような役目を務めておつたように思うのですが、ところがこれが相互銀行になりまして、銀行というものですから、一段と高く構えてなかなか大衆を相手にしないというような風潮もある。零細なる資金需要者は一体どこへ行つたらよいのかというと、これは、信用金庫、信用組合という組織が認められてあるだけなんです。今までの無尽会社というようなものを銀行的範疇に入れた今日におきましては、どうしても金融機構の系列を少し思い直してみなければならぬというふうに私は考えるわけなんです。信用金庫、信用組合、これはどうしても相当力を入れて育成して行つてもらいたいと私は思うのでありますが、どうも政府のやり方を見ていると、こういう小さいものは相手にしないというような風潮もあるし、また、保全経済会だとか相互会社みたいにやつかいもの扱いにするような傾向もなきにしもあらずというふうに考えているわけですが、これはほんとうに庶民の金融系列の中核体であるというような気持で取扱うべきものじやないかと思うのでありますが、大臣のお考えはいかがでしようか。
  111. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもつともに存じます。先ほど今澄さんも指摘されたのでありますが、やはりこの際となると、金融、特に中小金融、庶民金融の系列をもう少し整理し、それからこれを拡充するということは、私は、私見として非常に大切なことだと思うのであります。同時に、昔の制度に帰ることにあるいはなるかもしれませんが、中央機関というようなもののあり方についても、積極的に考えた方がいいのじやなかろうか。幸い、今回の国会の問題にはならないかもしれませんが、大蔵当局におきましても、いわゆる金融三法と申しますか、通貨制度の問題等についても、だんだんおちついて考え得る段階になつたようでありますから、それとあわせまして金融制度全般の階調ある発展をするように、ぜひ考えたい、こういうふうに思つております。
  112. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それから同時にさような中小金融を受持つ金庫だとか組合というものには、弱体なものもあろうかと思うのです。特に組合におきましとは、地方庁でやつておるという関係もあつて、相当急速に数がふえております。これをこまからといつてほつておきますと、また相互金融のような事態に追い込まれるようなことがないか、これを相当心配しておるのです。先ほど中小企業庁長官のお話を聞いておりますと、二つのものが、これは選択権があつて、一つはこういう道を選択したのだから、こうだというような話でありますが、そういうようなことにかかわらず、同じ角度で同じ金融機関として取上げて行くべきものである。そうすると現在非常に問題になつておる相互金融というような事態と思い合せまして、心配なことになりはしないかということもありますから、今後ひとつ大いにこの方面にも監督を強化されまして、健全なる庶民金融の中枢機関というようなところに仕立ててもらいたい、こう希望いたしておきます。それから先ほど火災保険の話がありましたが、私は今澄君とは違つた角度で御意見を承りたいのですが、これはやはりほつておきますと、保全経済会みたいなことになる。どうもこれも非常に零細なものだからといつて、やつかいもの扱いにするというような風潮がある。これは政府は議員が今立法しておるというようなことで傍観しておるというような事態でありますが、通産大臣として進んで取上げて、自分で思う通りの立法をして未然にそういう忌まわしい事態を防がなければならぬと考えるのでありますが、お考えはどんなものでしようか。
  113. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実は率直にお答えするのでありますが、協同組合による火災保険業務ということは、私は従来は実は賛成できなかつたのであります。と申しますのは、火災保険事業というようなものについては、そのことだけを専業にして厳重な政府の監督のもとに置いて、相当な自己資本を持つたものでなければ、私は事業としては不適当ではなかろうかというふうに考えて参つたのでありますが、最近、先ほど岡田長官から申し上げましたごとく、前国会あるいは前々国会から、国会の方でもこれに対しては相当活発な御論議がございますので、現在私といたしましては白紙にもどつて、はたしてどういうふうに考えたらばいいかという考え方をまとめたいと思つておるのであります。一方、国会の方での法案の御審議は、先ほど岡田長官の申しましたような経過をたどつております。
  114. 福田赳夫

    福田(赳)委員 協同組合組織の火災保険いとうのは、どうしても狭い地域でなければ成り立たない。そこで狭い地域で一度火事があるというようなことになりますと、これは一度でつぶれてしまうような場合もあろうかと思う、その辺非常に御戒心くださいまして、この議員立法が行われたならば、それに対して強力なる意見を申し述べ、またさらに進んでこういう態度でこれを取締りたいと思うならば、むしろその方向を希望するのでありますから、そのようにいたしていただきたいと思います。  それから中小企業公庫というのが脚光を浴びてできたわけです。それに比べまして、これは実は評判が非常に悪い。そんな金があるなら、国民金融にでもまわしたらいいじやないかというような希望があるのでありますが、これは結局店が多過ぎる、従つて一つの店に行く金が少いものですから、一つの店に、あるいは一貸付くらいしかできないというくらいな金しか行かないものですから、ここが非常に問題の起つて来るもとになるのじやないかというふうに思うのです。あるいは代理をやるところの店舗を制限いたしますとか、あるいはさらにさような方式をとらずに、自分で各府県に店舗を設けるとか、または国民金融公庫と相乗りで同じ店舗でやるとか、そういう何か運営において新構想をとられる必要があるのじやないか。あまりにもこれは評判が悪い。大臣はそういうことを承知しておるのかどうか、また承知しておるならば、どういう方策を考えておるか。
  115. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは大方の御期待が非常に大きかつただけに、いろいろの点で御批判を仰いでおることは私も承知いたしております。ただいま御指摘もありましたが、現在代理店が四百六になつておる。これが多過ぎるか少な過ぎるか、いろいろまた見方があると思うのであります。先ほども申しましたように、これの運営については、十分すみやかに改善するようにいたしたいと思います。ただどうしても独立の店舗、あるいは直接貸しを原則にするということは、かえつて効果が薄いのではなかろうかと考えておるのでございまして、そういう方向で御指摘のような点、あるいは各方面から御注意をいただいておりますような点を十分取上げて、改善をはかりたいと考えております。
  116. 福田赳夫

    福田(赳)委員 次に経審長官としての大臣にお伺いしたいのでありますが、先ほど貿易の状況も非常に心細いというようなお話でありますし、新聞等に報ぜられるところを見ましても、なかなか楽観を許さぬような状況であります。しかも一月前に大臣が経済演説をされまして、そうしてわずか一月ばかりの間に非常に大きな変化が起りつつあるように思うのでありますが、どのような変化が起りつつあるのか。見通しと比べまして最近の事態について御説明願いたい。   〔主査退席本間主査代理着席
  117. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は先ほどちよつと申し上げ方が悪かつたと思うのでありますが、一月の経済状況の移りかわかりを見ますと、たとえば物価におきましてごくわずかではございますが、十二月よりも指数が上つておるのであります。それが一つ、それからいま一つは、外貨の面におきまして、予想いたしましたよりも輸入輸出ともに伸びておるのでありますけれども、予想いたしましたよりは輸入が多かつた、この二点が指摘されなければならない点だと思うのでありますが、そういう状況でありますから、なおさら今度の予算案及びそれに伴います諸般の政策が一日も早く実施の過程に入つて、これが浸透して行つて、ことしの三月と来年の三月を比べていただければ、私は一月前に申し上げましたような姿ができるように、なおさらのこと大いに努力をしなければならない、こういう気持でおるわけでございます。それからなお国際収支の問題にいたしましても、二月及び三月の状況はまだ的確につかめませんけれども、先ほど申し上げ方が多少神経質的になつておつたかもしれませんが、現在の事情についてしかく悲観しておるわけではございません。
  118. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうすると二十八年度につきましては、大体一億九千万ドルぐらいの赤字だというお話でありましたが、その程度で済むのでありますか。
  119. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は一億九千万ドルよりも多少多くなると思います。
  120. 福田赳夫

    福田(赳)委員 多少というのは、相当ですか、ごくわずかですか。大体二億ドル程度ですか。
  121. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は、予算委員会でありましたか、本会議でありましたか、大蔵大臣も二、三度申しておつたと思うのでありますが、二十八年度末の、つまり年度末の状況においては、二億四千万ドル、あるいは五千万ドルと言つたかと思いますが、二億四、五千万ドルの赤ではなかろうかということを言つておつたと思いますが、それ以上にひどくなるようなことはないと思います。この一億九千万ドルというのは、大体歴年を基準にして推計をいたしておつたのであります。
  122. 福田赳夫

    福田(赳)委員 当初の経済指標を見ましても、これはなかなか楽観を許さない状況なのですが、それがさらに悪化して来るというふうになりますと、二十九年度というようなことを考えましても、なかなかこれは容易なことではないと思うのです。結局国内の消費抑制ということが非常な問題になつておる。今回予算を細組まれたときの方針というものも、結局国際収支の一点にあるのじやないかというふうに私は思うのですが、この予算だけではどうしても処置できない。私はどうしてもこの予算の趣旨を貫くためには、三つの施策を強力に進めなければならぬと思う。一つは、予算の実行の問題で、これを厳重にやつてもらいたい。これは予算委員会でも大蔵大臣に申し上げたのですが、これはむしろ大蔵大臣というよりは、この施策全体の総指揮官である経審長官の任務であると思うから申し上げるのでありますが、国で最大の消費者である政府か使う金——あなたが五分ないし一割くらい物価を下げるというなら、まず上半期においてはただちにすべてのものについて予定見積りというものを五分引く、下半期において一割引くというくらいに——これが適切であるかどうかわかりませんが、お考えになつて、そういう方法の施策をただちにおとりになるべきではないか。さらに今二十八年度のものにつきましても着手すべきことではないかと思うのですが、そういうような施策を進められておるかどうか。これは先ほど大蔵大臣にも申し上げておいたのですが、総指揮なんでありますから、念のためお伺いします。
  123. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことに適切な御注意をいただいて恐縮いたしたのでありますが、今御指摘の点と、それからいま一つ、やはり全体のやり方といたしまして、政府が最大の消費者である立場から申しまして、いわゆる国産品を徹底的に使おうではないかということとあわせて、通産省並びに審議庁としてはすでに方針決定しておりまして、まだ政府全体の決定まで至つておりませんが、御趣旨の点は十分体してうまくやつて参りたいと思います。
  124. 福田赳夫

    福田(赳)委員 政府全体としてすみやかにその方策をとられたいと思います。と同時に、地方団体がまた政府と並んで一兆円の予算を使うのですから、地方団体についてもただちにこれに協力するような措置をとつてもらいたい。さらに電力会社は通産大臣の管轄下にありますし、政府のいろいろな関係機関というものがあるわけですから、これら全部に同じ方針協力を要請してもらいたい。おそらく国全体の消費の六割が、そういう方向へ行くわけですから、私はそういう措置をただちにとつていただきたいということをお願いいたしたわけであります。  それからさらに予算の問題と並んで重要なのは、金融の問題とそれから輸入資金の確保の問題だろうと思うのです。金融の問題につきましては別といたしまして、輸入資金の確保ということは、非常にむずかしい問題だろうと思います。ことに最近の外貨の状況から見まして、必要なる物資は確保いたしたいところでありますが、そう潤沢に確保できるかどうか、昭和二十九年度においてどのくらいの赤字になるか、再来年は運転資金にもさしつかえるというような状況において、さような物が確保できるであろうかどうかということを、私も心配し、世の中でも心配しているのであります。これについて通産大臣はどういうふうな見通し、またお考えを持つているか、これを承りたいと思います。
  125. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申したのでありますが、二十一億ドル余の外貨の輸入予算が組めますれば、大体二十九年度の総合的な日本経済の姿というものが確保されると、私は考えているのであります。問題は、これからさらに来月一ぱいかかりまして、その後の日本の外貨のポジシヨンを十分検討し、また国際情勢その他を検討をいたしました上で、最終的に外貨予算の編成をやるわけでございます。これではお答えにならぬと思うのでありますが、現在の私の立場としては、必要な原材料等の輸入につきましては、何とかして外貨予算を確保いたしたい。これが確保できないということでありますと、全体の考え方の上に非常なひびが入つて来ることになる、こういうふうな考え方で今後とも努力いたすつもりでございます。
  126. 福田赳夫

    福田(赳)委員 輸入資金は、全力を尽して極力これを確保する、こういうふうに了承いたしまして、その点は終ります。  それからこの経済施策を進めて行く上において、世間でいろいろ疑義を持つている。特に経団連とかいう方面では非常に心配というか、不安というか、傍観的態度——一体政府に何ができるものか、腕前を見るのだ、お手並拝見だというような態度で見ているわけなのであります。それから国民全体もいろいろ新聞、雑誌その他を見てこの施策が成功するかどうかということについて、たいへんな危惧を持つている。これは確信のほどを津々浦々に徹底させるような施策を、強力に進めるべきものじやないかと思うのです。これはもとより政府においてそういうことをすべきところでありますが、民間にも呼びかけなさつて、あらゆる機会をつかまえ、また一つの国民運動というところまで持つて行くくらいな考えが必要じやないかと思います。国がのるかそるかの経済施策に対する国民の協力要請ということについて、これは政府全体として、またその経済政策の総元締として、経済長官は相当考慮に置かれる必要があろうかと思いますが、この点の決意いかん、またその具体的方法についてお考えがあれば、そのお考えを承りまして、私の質問を終
  127. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもつともでございまして、まず私として考えておりますことはこういう順序になるのであります。たとえばこの経済政策については、説明するだけ、あるいはスローガンを掲げるだけであつては、国民に納得していただくことはできないのでありますから、地についた、具体的な施策と見通しとを、次々に打出して行くことだと思うのであります。これはただいまのお尋ねとはちよつと角度が違うかもしれませんが、たとえば企業をすつきりとした形で、合理的に運営して行くということが、現在の日本の経済で最も必要であることを私力説いたしましたが、これはその後におきまする税法上の各般の措置において、ほとんど大部分は法律案の上に具体化しているわけでございます。今後におきまして、たとえばただいまの外貨予算の編成の問題、それから今後一箇年間にわたる物資の需給状況の見通しというようなものについて次々に作業いたしまして、たとえば経審としては、あるいは通産省としても、あらゆる場合にこういう具体的な考え方のもとに、こういう政策をやろうとしておるんだという資料だけは、少なくとも十分に準備をいたしたいと思つております。これを民間の方面で自主的に盛り上つて来る国民運動がありますれば、大いに御利用をいただきたい。政府みずからが官製の宣伝をするということはいかがかと思いますが、十分お考えいただけるような、資料は十分用意しておきたい、こういうふうに考えております。
  128. 本間俊一

    本間主査代理 足鹿覺君。
  129. 足鹿覺

    足鹿委員 私は政府昭和二十九年度財政投融資に関連をいたしまして、通産大臣並びに経審長官にお伺いいたしたいのであります。  〔本間主査代理退席、主査着席〕 それは先般の予算総会の際にも若干触れたのでありますが、政府は低物価政策を推進して行くその目標年度末において物価水準を五ないし一0%引下げる。そのためにそれに関連した重要施策をとろうとしているのでありますが、その一つとしてはやはり低金利政策というところにも一つの柱があることは、私もそれを伺つておるし、またその必要を認めるのでありますが、しかるに実際上の面を見ますと、政府の一連の物価引下げ施策に関連をする金融ないし財政投資対策の面を見ますと、この政府施策と逆行するような計画が、特に財政投融資資金計画表の中に見受けられることを遺憾とするものであります。それは本日われわれが審議をしております通産関係に見ましても、中小企業公庫に対しましても、明らかに現われておりますし、また国民金融公庫農林漁業公庫、あるいは住宅金融公庫等にも一連の構想が貫かれているように思います。そこで通産関係としまして、私は特に伺いたいのは、中小企業公庫についてでありますが、これは先ほどからも御意見がありましたように、きわめて評判が悪い。それは貸出しの条件であるとか、あるいは借受の希望に対してほとんど応じられないとか、いろいろなこれには隘路がありまして、これをもつと実情に即応するように改めていただかなければならぬ。まずその一つの条件として金利を下げたり、あるいは貸付の条件を緩和し、実情に即するためには、どうしても一つの条件として資金の面において、でき得る限りその条件を整えなければならぬと思うのであります。しかるにことしの中小企業公庫に対する資金計画を見ますと、昨年は一般会計からの繰入れが百十億であつたものが、本年は二十五億に激減をしている。逆に資金運用部からの繰入れは昨年は二十億であつたものが、本年の計画によれば百五億にふくらでんいる。結局トータルの上においてはなるほど百九十億というふうに去年よりもふえては来ておりますが、昨年の百五十億に比べると四十億ふえてはおりますが、事実上において政府資金を激減し、資金運用部に多くの肩がわりをしておいでになる。このことはこの前も農林漁業公庫の際に私が申し上げたと同様に、政府資金の場合には別に金利を要しない。資金運用部の場合は六分五厘ですかの金利を資金運用部に支払わなければならない関係上、どうしても中小企業公庫の運営の面において、金利高を招来しはしないか。むしろ私は逆に希望としては金利を引き下げて、資金難にあえいでいる中小企業に対する救済の手を延べて行かなければならない。そのことが中小企業を維持し、さらに雇用の弾力性を高めて労働問題にも寄与し、ということになつて行くのであります。現在地方銀行等を見ておりますと、中小企業金融に対しましては、ほとんど融資が困難な状態であります。そういつた点から現在は評判が悪くても、中小企業公庫の持つ意義というものは非常に大きいし、その使命も非常に重いと思うのであります。これをやはり金利の面から引下げ、貸付の対象たるいろいろな条件を実情に即応して、簡易化して行く方向でなければならないのに、事実政府中小企業公庫に対する財政投融資の面からしましては、これとおそらく逆行した計画が立てられているが、この計画においてなお政府の低金利政策を、この中小企業公庫の際に実行でき得るかどうか。私はそういつた面で非常に疑問を持つておりますが、少くとも現状維持の状態で行けるか。あるいはこういうふうにコスト高の資金を相当大量に、去年の五倍以上も入れておつて、これがコストに響かないかどうか。そういつた点で中小企業公庫の不評に拍車をかけるような結果になりはしないかというような疑念すら持つのでありますが、そういつた点について具体的に御解明を願いたい。
  130. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまのお話は、結局するところ資金の量が中小企業公庫に対して十分配当ができなかつたという点に、私は集約されると思うのであります。それでただいまも御指摘がございました通り中小企業公庫の二十九年度資金源としては百九十億ございますが、政府出資分は御指摘の通り二十八年度に比べて非常に少くなつております。そこでコストのかかる金がふえたということは御指摘の通りでございます。しかしながら現実にこれを貸し出します場合の金利をこれによつて上げる意図は毛頭ないのでございまして、御承知のように現在年一割でございます。年一割を二十九年度も踏襲して参るつもりでございます。それからいま一つ金利全体についての御意見がございましたが、これは理論的にもいろいろの論議がある点でございますが、デフレ的な政策をやります場合には、一般論としてはむしろ金利を上げるべきではないかというような説もあるくらいでありますが、中小金融については金利を現在並に、それからさらにできれば下げるということを、重点的な方面については考えたいという考え方を今いたしておるわけでございます。それからこれは中小企業金融公庫が出しておる資料でございますから、手前みそと御批評を受けるかもしれませんが、年一割の利率につきまして、最近関係の人たちに質問書といいますかアンケートを出しまして、回答がございましたが、一割の利率については、ちようど手ごろと思いますという回答が五四%、高いと思いますというのが三六%、こういうふうなアンケートの回答が出ておりますことを御参考までに申し上げておきたいと思います。
  131. 足鹿覺

    足鹿委員 そこで中小企業金融の問題についてでありますが、現在中小企業の範囲は、政府方針では三百人以下の使用人ということになつておるようでありますが、そういう考え方は、実際東京とか大阪あるいはその他の大都市あるいはその周辺のところではなるほどそれに当てはまるような企業状態もたくさんあるのでありましようが、しかし事実その他の地域におきましては、三百人ということになりますと、これは中小企業ではなくて大企業と、地方民も、また本人たちもいつも考えておるし、そういう気持で運営しておる。実際一般通有の概念としては、いわゆる十人か二十人程度の労務者を使つて、忙しいときは若干の臨時工を入れる、また店舗を構えて五人、十人程度の者で製造、販売をやつておるというものも、学問的にはどうかわかりませんが、やはり概念的、大づかみにわれわれはこれは中小企業だと考えておるのです。また一般もそうだろうと思うのです。そこで政府の御方針では実際と少し異なつた点がありはしないか、そういうところからいろいろな中小金融についての基本的な対策というものに若干のずれ、ギヤツプが出て来るのではないか。その点わが国の企業実態の面において、政府の考えておられるようなものを中小企業として行かれることは、全体の産業構造の面から見てはあるいは妥当かもしれませんが、しかし実際はそうではない。もう少しその線を実際に近いように基準といいますかそういうものを下げて、そして経営力の弱い、また脆弱な、真の意味における中小企業に対する金融を初め、一般のこれが振興政策というものが立てられなければならないのではないかと考えるのであります。私はこの方面はあまり深く検討しておりませんので、私の考え方があるいは間違つておるかもしれぬし、政府自身もすでにお気づきになつて立てておられると思いますが、今言つたような趣旨において、もつと中小企業振興対策というものの内容を整理して、実情に即応した施策をとられなければならないのではないかと思うわけなのです。一例を金融に求めたわけでありますが、その辺について政府にまとまつた御構想がありますかどうか、あれば承りたい。
  132. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘の点は、私も率直に申しますが、ごもつともだと思うのであります。実は三百人以下というような従業員の組織を中小企業ということに今やつておりまして、そういうことをいわゆる中小企業対策というものの大きなわくとして、その中で考えられておるのであります。正確な数字はただいま覚えておりませんけれども、おそらく日本全体の企業体のうち、その規模のものがおそらく九割以上だつたと思います。それから日本全体の生産高で申しますと、六割を越えておるかと思います。要するに大きな意味でいえば、これを中小企業ということは適当なのかもしれませんけれども、現在の分散された零細化された日本内部の企業の規模としては、これは少し中小企業というのには範囲が大き過ぎるかもしれないということも言えるかと思うのであります。そこで私どもが実際問題としてやつておりますことは、たとえば中小企業金融公庫はそのうちの比較的上の方のところ、それから国民金融公庫は沿革から申しましても、引揚者に対する生業資金というものも仕事の一環でありますごとく、いわゆるそれより、もう少し零細な、ほんとうの零細金融というようなところ、あるいは商工中金については組合中心主義というような系列を、大体の考え方としてはつくつて、考えて参つておるのであります。確かに先ほど来御指摘のような、またただいま足鹿さんの御指摘のような点がありますから、さつきも申しましたように、中小金融の系列を、新しい時代のもとにおいてどういうふうに配分、配列をするかということは、ひとつ大きな問題として、政府におきましてもじつくり考えて参りたいと思つております。
  133. 足鹿覺

    足鹿委員 ぜひそういうふうにおとりはからいを願いたい。あまり時間を経過するよりも、拙速でもまず一歩踏み出していただきたい。地方の実情というものは中央でお考えになつておる以上に、非常に窮迫した事態でありますから、ただいまの通産大臣の御方針のごとく、速急に施策を進めていただきたい。これは意見も一致しておるわけでありますから、特にお願いをいたしておきたいと思います。  次に経審長官としての愛知さんにお伺いしたいのでありますが、自由党の政府のもとにあつては、自由経済を根本方針としておられるのでありますから、いわば計画経済的な仕事の内容を多分に持つ経済審議庁というものは、およそ自由党政府のもとにあつては、やや軽く扱われるきらいなしとしないと、私はそういうふうに直観をいたしております。これは私の錯覚かもしれません。しかしたとえばこの予算を見ましても、まことに貧弱きわまる予算であつて、いろいろここに新規事業なり既定事業等お並べになつておりますが、相当削減を受けたものもあります。また一つの資料でもつて総合的な仕事をするという程度に終つておるようであります。一番重要な問題は、現在の資本主義が日本の状態においてはすでに独占の段階に入つておるということです。これはもう政党なり、主義主張というものは別として、資本主義経済が必然の道として、独占の段階に進まなければ、企業自体を維持することができないという一つの経済的な定則の上からも、日本が例外であることは許されないのであります。そういう段階になつて参りますと、好むと好まざるとを問わずそれが社会主義的な計画経済的な考え方からする経済審議庁のあり方、あるいは自由経済を根本とした政府のもとにおける経済審議庁のあり方というものは、おのずから違うでありましようが、その出発点はどこであろうとも、少くとも自由放任の放恣な経済であつては、企業自体も成り立たないし、国民もその重圧に苦しむということになるだろうと思いますのであります。そういつた見地から見ましても、経済審議庁の仕事の内容またそれに必要な経費は、まことにおそまつ千万なものであるように見受けるのでありますが、この経済審議庁のあり方について、もつと一つの企画を経費を伴つた実行に移すという方向に、一歩踏み出すことはできないものであるかどうか。日本の経済を分析し、その結果を総合しておる、ただその作業をしておるというだけにしかわれわれは受取れないのであります。こういうことでは、経済審議庁の本来の任務というものは果せないのではないか、そういう感じすら強く持つのでありますが、そういつた点については、これは立場の相違として経審長官は一蹴されるでありましようが、今私が申し上げたような点は、主義主張は別として、日本経済の今後のあり方、産業構造の今後の方向、再編成、そういつた面を基調とするところの日本の各種産業生産力の発展、ひいては国民所得の増大というような面に、重大な関連を持つて来ると思うのでありますが、現自由党内閣のもとにあつても、なお貧弱に失するきらいがありはしないか、こういうふうに全体を総括して感じますが、経審長官としての御所見はどうでございますか、最初にこの点を伺つておきたいのであります。
  134. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま主義主張は別としてというお話でございましたが、やはり私といたしましては、言葉は練れないかもしれませんが、自由な主義、資本主義経済をやつて参りたいという点におきましては、どうしても主義主張が出て来ざるを得ないのでありまして、その点は御了解願いたいと思うのでございます。しかし同時に、たとえて申しますならば、今回のいわゆる一兆円予算にいたしましても、やみくもに一兆円ということをスローガンに掲げてやつておるわけでは決してございませんで、国民所得の動向なりあるいは今後一年間の日本の生産の規模なり、あるいは外貨の状況なりというものと総合的に、うらはらの関係において、財政は一兆円を切りたいということで、この予算ができておるような次第てもございますから、私どもの考え方あるいはやり方というものも、吉田総理の言われるがごとく、いわゆる共産主義国家において行われておるような意味における計画経済というものはとりませんけれども、総合的な全体の政策をかみ合せてやつて参る、それには当然計画性というものがあり、見通しもある。こういうふうな私は基本的な考え方をいたしております。従いまして経済審議庁の持つ役割は、私は非常に大事だと思うのであります。それから私個人といたしましても、経済審議庁の現下における役割の重要さということは、常々口にもいたしておりますし、十分経済審議庁の仕事がその負荷にこたえ得るようにやることにつきましては、この上とも努力をいたしたいと思つております。しかし御承知のように、審議庁は実務を持たざる官庁でございまして、日本の従来の官庁行政の、これが特色でもあり、欠点ともいえるかもしれませんが、実務を伴わない、行政事務を持たない役所には、率直に申しまして、どうしても予算がとりにくいのであります。しかし私は経済審議庁というような役所は、何も人員が非常に多く必要であるわけでも、金が非常にたくたんいるわけでもない。やり方によつてはやつて参れるのでありますから、現在の審議庁の職員に対しましても、この与えられた条件のもとにおいて、できるだけひとつ伸び伸びとやつて行こうじやないかということを申しておるくらいでございまして、予算はまことに乏しうございますが、しかしこの乏しい予算の中で、できるだけの力を発揮して参りたいと考えておる次第でございます。
  135. 足鹿覺

    足鹿委員 予算は乏しくても、人は足りたなくても、やるだけのことはやる、とこういう御所信でありますから、続いてお伺いをいたしますが、この大臣の予算説明の中に、国民所得調査して、各種経済政策目標策定の基礎にするための経費としては、百八十四万円を要求しておるということをいつておられます。今回の一兆円予算の根底になつておるものは、やはり国民所得の推計が大きな要素であろうと私は思います。そこで、この国民所得の問題については、この間の予算総合で、私は農業問題から出発して、いろいろと長官に伺つたのでありますが、時間もなかつたので、今日は少し詳しくお伺いしてみたいと思うのであります。とにかく予算は百八十四万円であつても、国民所得の推計については、何ら遺憾がない、やれる、こういうふうに受取るのでありますが、しからば午前中に私要求しておきました昭和二十九年度における五兆九千億の推計国民所得の基礎を伺つた上で、さらによく私も研究をし、また別な機会にお尋ねしたいと思いますが、どういつた面から五兆九千億という厖大な推計所得を発表されましたか、そのうちで農業所得をいかように見ておいでになりますか。その点については一兆三千億程度を見ておるということは、先日の御答弁で私記憶しておりますが、いずれにしましても一兆三千億が一兆一千億にいたしてみましても、日本の国民所得の中に占める農業所得の割合は、実に微々たるもので、一七%前後になろうと思います。こういつた農業所得によつて国民の総人口の四割四分を占める人間が、とにもかくにも生活をしておる。これは現在の日本農村が世界に類例のない零細経営であつて、自家労力をほとんどただ同様に見て、非常な勤労に励んでおるために、また一面自給物をたくさん持つておるために、どうにか生存の域を往来するような生活を営みながらやつて行つておると思うのであります。そこで私は、農林省もさることながら、経済審議庁としては、ただ現状を分析し、あるいは将来の指標を換げるだけではなくして、人口の四割四分を占めるにもかかわらず、所得は一割七分程度しかない、こういう悲惨な日本の農村というものを、今後どういうふうに発展をさせて行くのか。所得の面からも、あるいは人口比率の面からも、どういうふうに今後推し進めて行くことが正しいかということについては、何ら資料もいただいておらないし、またそれに対するところの経済審議庁なり、農林省方針というものを私ども伺つたことがございません。だから私は先刻大臣に申し上げましたように、現状を分析するだけでは結局意味がない。この現状を何年かの計画、あるいは中期あるいは長期の計画を立てて、こういうふうにあらしめるのであるという権威ある一つの計画が樹立をされて、その総合施策に向つて各省が経済審議庁方針に相呼応して立ち上るところに、一つの政策の推進があるのではないか。私が一番遺憾に思いますことは、経済審議庁は現状をほとんど分析しておるだけであつて、将来の一つの方向というものに対しては、かくあるべきだということに対する何らの基本的な方針がないところに、私が先ほど大前提に申しましたように、これであつていいのか、経済審議庁がこういうことではたして本来の使命が発揮し得るかどうかということを申し上げたのは、ここにあるのであります。そこで大臣はどういうふうにお考えになりますか、これは農業問題で大臣の御所管ではございませんが、経済審議庁として、日本の農村人口は国民の総人口に比例して、現在は四三%九、四四%という厖大な人口を抱擁しておる。これはどの程度の人口にした方がいい、あるいは現在の一七%前後の農業所得というものを、どの程度にまで高めることが、日本の国土の状態あるいは他産業との関係において妥当だと思われるか、少くともそういつたものが、政府としてなければ、経済審議庁として一応お立てになつたものがあるならば。この際承りたい。もしないならばその権威あるものを御作成になつて、そしてこれをお示し願いたい。そういう意味から午前中に、この国民推計所得の生み出されたところの基礎資料の御提示を願いたいということを申し上げたのでありますが、そういつた点について経済審議庁の長官としては、今私が申し上げましたような点について、経済審議庁方針を今後どういうふうに処置されようとしておりますか、承つておきたいのであります。
  136. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お答えいたします。国民所得の基礎になりました推計につきましては、プリントは多分明日お届けできると思いますが、もしなんでございましたら、ただいま概略御説明いたす用意はいたしております。  それから農業所得の関係につきましては、先般予算委員会のときには時間も十分ございませんで、十分なお答えあるいは御説明もできませんでしたが、これもやはりただいま用意いたしております資料の中で、二十八年度との比較あるいは勤労所得として見た場合の農業所得と、個人の所得として見た場合の農業所得とにわけまして、数字的な御説明ができることに相なつております。  それから日本の農村人口が大体四割四分程度であり、所得はそれに反して一七%であるから、将来の人口構造をどういうふうに考えるかという点のお尋ねがございました。これはまことに遺憾でございますが、現在審議庁としてお答えできるだけの方針を打つておりません。しかし非常にいい御注意をいただきましたので、ひとつ審議庁といたしましても、あらためて勉強させていただきたいと思います。なおこれらの点について、あるいは農林省等の方からお答えができる点があろうかと考えるわけでございます。
  137. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま私が指摘しました点につきましては、十分研究をするということでありますので、これ以上あえて追究をすることは避けたいと思いますが、ただここで、もうすでにお気づきであろうと思いますが、一番大事なことは、過般の予算総会で私は時間がないし申し上げなかつたのでありますが、最近特に日本の中小企業の面におきましても、倒産が続出するという憂うべき現状でありますが、農業の場合も、言葉をかえて言えば一種の中小企業に類似するものであるといつてもいいかもしれません。そういつた意味におきまして、やはり農業だけで生活を維持できるような施策が伴わなければならない。にもかかわらず現実の日本の農村は、階層の分化が非常に激化して行つております。農地改革の成果どころの話ではなくて、農地の移動は年々累増の一途をたどつております。しかも専業農家で生計の維持ができずして、兼業農家あるいは農業を従とする第二種兼業農家が年々激増しつつあるのであります。ほとんど農家の現金収入の六割六分を最高として、農外収入に依存をしておる。これをややもすれば大蔵省あたりにおきましては、いわゆる農業所得の増加だ、こういうふうに一括して言われますが、これは農家所得という意味において、なるほど一家の中心が農耕によつて立つておる形をしておるから、農家所得としては農業収入も農外収入もすべて農家収入というふうに包括されるでありましよう。しかし内容においては事実農業による純所得というものが非常に減じつつある。これは憂うべき現象でありまして、私ども非常にこの点を心配いたしておるものであります。そういつた点から政府資料によりますと、東北、北陸、東海、瀬戸内という農区別に分類をいたしまして、東北においては、一町未満の農家が現金収入を農外収入に求める現金が六六・八%であるという驚くべき数字が出ておる。中間は省略しまして、瀬戸内、東海方面にしてみましても、これは経営規模が東北に比べると縮小して参りますが、五反未満を標準にとつてみますと、やはり六九%から七〇%内外を往来しておる。こういうことは年々の政府統計によつて見ますと、この傾向がはげしくなつて来ておるのであります。これは別に農民がいわゆる農業でなくても、一人前の生計を維持できるならば、あえて私は農業でなくてもよろしいと思いますが、本来の農業所得が減じて農外収入に依存をして行かなくてはならなくなつておるこの傾向は、いわゆる農村の階層分化をさらに激化せしめつつあるということにおちつこうと思うのであります。従つてただ単なる農業所得の増大というようなことではなしに、いわゆる他産業との関連において正常な農家収入を維持する方策というものがとられ、同時に現在専業農家として生計を維持しておる農家を、どうしたならば転落せしめないかということに対する、専業農家に対する政策と、いま一つは兼業農家に対するところの一種の農民政策とでもいいますか、広い意味における他産業との関連を持つた政策がとられなければならないと、私はいつも考えておるのであります。そういつた面ももうすでにお気づきになつておるとは思いますが、特に私は大臣の特別の御研究を願いまして、これに対する施策を早急に経済審議庁として、少くともこの大きな農村人口を包擁し、民族の源泉力になつておる日本農村というものに対する一貫した施策の基礎を固めてもらわなければ、どのように部分的な施策を次々ととりましても、うまく行かないのではないかと思いますので、これは余談でありましたけれども、特にこの際この問題を指摘しておきたいと思うのであります。  そこで一点お尋ねを申し上げたいことは、日本の産業ないしはその産業の基礎たるべき電気あるいは農地の造成というようなことにつきまして、総合開発計画が立てられておることは御存じの通りでありますが、最近聞くところによりますと、日本の大規模な農地の開発には政府資金も導入できない、またその事業それ自体からして採算の合わない農地の造成等については、民間資本もなかなか入らない、また資金の規模も実に莫大であつて手が及ばぬというようなことから、外資の導入が伝えられておる。たとえば農地開発営団というようなものがあり、外資をこれに入れて来たらどうか、あるいは愛知愛知川流域であるとか、あるいは東京湾の干拓であるとか、あるいは諫早地区における大干拓というような声が相当上つております。国土の総合開発を担当しておられる経済審議庁として、いわゆる農地の造成等に対して外資導入についてはいかなる態度を持つておられますか。その辺の経過を御存じでありますならば、ひとつこの際御説明を願つて、明らかにしていただきたいのであります。
  138. 愛知揆一

    愛知国務大臣 非常に示唆の深いお話を伺いまして、まことにありがとうございました。そういう点につきまして、従来にも増してひとつあらためて勉強さしていただきたいと思つております。  それからただいまお尋ねの農地の造成、国土の総合開発等についての外資の問題でございますが、ただいまおあげになりましたたとえば愛知用水の計画、それから八郎潟その他の干拓の計画あるいは北海道の泥炭地域の開発計画というような数件の問題につきまして、農林省その他と協力いたし、経済審議庁におきましても、いろいろの案をつくつてはおるのであります。そして、現在は資本蓄積の非常に乏しい現状でございますから、できれば外資がこういう面へも導入されれば、非常にけつこうであるというふうに考えておりますけれども、これは相手のある仕事でもございますし、現在のところ具体的に話合いが進行しておるという問題はないのであります。かりに将来の問題として、われわれの今の希望がだんだん具体的になりまする場合におきましては、その計画その他について導入されるであろう外資との関係を見まして、さらにその計画も調整しなければならぬと思つておりますが、現存のところはこれらの点はまだ家庭の問題でございまして、一応の試案があるという程度でございます。
  139. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、まだ具体的には進行しておらないというお話でありますから、くどく申し上げる必要もなかろうと思いますが、かつての電力借款の際に日本銀行を担保に入れるならというような屈辱的な条件がくつついておつた。私は日本の現在の農地の造成拡張の遅々たる現状から見まして、おそらくこれは表面化して来るのではないかと考えますが、その場合に、かつての電力借款の際に提示されたごとき屈辱的なものが——あれは電力借款という一つのきわめて部分的なものに対してでありますが、農地そのものになりますと、日本の国土の部分であります。われわれの体にたとえるならば、大きな部分でありまして、これが外資導入のいろいろな条件によつて、先般のような事例がもしあるといたしますならば、これは容易ならない大きな問題を将来に残すであろうということも案じられるのでありまして、そういつた点につきまして、私どもとは若干の所見を異にされるとは思いますが、いわゆる国土そのものに対する正常な開発は、われわれは何ら拒否するものではありませんが、それに伴つて日本の国土自体に、国民として、日本人として忍ぶべからざるがごとき条件をしいられるようなことについては、十分御留意を願いたい、これは将来の仮定の上のことでありますからあえてこれ以上は申し上げませんが、私は特にこの点を指摘して、御注意を喚起しておきたいと思うのであります。  この間の予算総会では十分伺うことができませんでしたが、国土開発法に基く開発指定地域が、全国で十四ないし十五あるように承知いたしておりますが、そのうちこれに関連して北上川流域の開発を初め、若干手を出しておいでになる模様であります。私の方にも大山、出雲地区という大きな開発指定地区がありまして、これの指定を受ける段階においては地方民は非常な期待を持つて、そして今にもこの総合開発地域の指定を受けるならば、われわれのような僻陬の山陰の地にあつても、非常な国の施策が延びて来るという期待を持つておりましたが、依然として、今日まで指定は受けたものの遅遅として一向これが進んでおらない。この悩みは各指定を受けた地区ともに同様であろうと思うのでありますが、政府は特に小規模土地改良費に対しては、補助金の打切りを行い、あるいは工費百万円以下の小規模改良工事については、補助金の打切りを行う、あるいは補助率を削減する、あるいは国の代行である県営農地改良事業等についても、その経済効率をいろいろと勘案する。そして大規模なものに対しても重点的に行うという方針を、本年度の予算において明らかにしております。とするならば、いわゆる国が独立立法を起して、地方民にも多大の希望を抱かせ、今日までこの重点施設を呼号しながら、国土総合開発に対しては何ら見るべき予算上の措置が、本年度の予算においても見ることのできないことを私は遺憾に思います。この点については、一体年次的にいつどのような財政投資量によつて、この問題が進められて行くのでありますが、これは地方の期待が非常に大きいし、またその上げる成果は国家的にも大きいと思いますので、先般の予算総会のような抽象的なこととではなくして、もし、概括的な御答弁をいただいたあとで、それに関する政府資料がありましたならば、御提示を願いたい。以上で私の質問を終ります。
  140. 愛知揆一

    愛知国務大臣 最初に先ほどの問題でありますが、私は火力の借款が屈辱的なものであるとは考えておりませんので、この点は意見の相違と思いますが、念のため申し上げておきます。なお御注意の点は十分了承いたしました。  それから特定地域の開発計画の問題でございますが、あるいは細部につきましては関係部長から説明をいたしますが、全体の進捗の状況といたしましては、昭和二十六年の十二月に全国で十九地域が指定されました。それから現在までに関係都道府県から計画書が提出されましたものは、北上を初めといたしまして、十三地域でございまして、その中に御指摘の出雲大山地区が入つております。この十三地域の中で、北上と阿仁田沢と最上につきましては審議が完了いたしまして、それぞれ閣議決定を行い、また予算の措置もいたしたわけでございます。その他の地域につきまして、開発審議会審議が現在行われておるわけでございますから、その審議とにらみ合せまして将来の計画を立てたいと考えております。なお将来の考え方でございますが、これは非常に大きな金額のものでありますが、同時にたとえば電源開発の問題でありますとか、鉄道の関係でありますとか、いろいろの関係が総合されるわけでございますから、見方によりますれば、それらの各別々の計画を総合するということにおいて、相当資金の効率化がはかれる点もあろうと思います、今ただちに各地方民が御期待になつておるような程度に大きく、かつすみやかに進みはしないと思いますけれども、できるだけ具体的な計画を財政その他の事情の許す限り進めて行くことにいたしたいと考えております。
  141. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいまの出雲大山地区の計画につきましては、ただいま地方から資料が提出され、その資料審議会の地域部会の法で検討中でございます。今年度中に、つまりこの三月の末までには審議会決定をいたしまして、閣議決定をとりたいと思つておりますので、実際の予算措置等はその後になろうかと思います。ただ新しい地帯と申しますか、全然さらの地帯を開発するのと違いまして、日本の国土総合開発は現在もそれぞれ開発しておりますのを、むだのないように総合する点が一つと、それから今まで開発しない地点を大きく開発するという二つの面がございますので、大臣の説明がございました大きく開発する、たとえば出雲大山地区でありますと、あの下流に非常に大きい工業地帯を建設するいつたようなことは、あるいはただいますぐ実現するということは困難かと思いますが、閣議決定によりまして正式に指定になりますと、少くとも現在各省で実施予算として受けておりますのをさらに効果的に、あるいは発展的に予算措置をつけるように、今後努力する予定でございます。
  142. 西村直己

    西村主査 山本勝市君。
  143. 山本勝市

    山本(勝)委員 大分時間もおそくなつておりますので、簡単にお答え願えばけつこうですが、予算について伺います。  第一の点は燃料政策の問題でありますが、二月十一日でありましたか、通産委員会における通産大臣の御答弁の中に、石油をイランから入れるか入れないかというような問題に関連をして、国内の石炭との関係、それから石油を入れると石炭業者に打撃を与える、この点も考えなければいけない、また外交上のイギリスとの関係もよく考慮しなければならぬいうふうな御答弁がありましたが、その中に燃料政策はいろいろ複雑な関係を持つておるけれども、数日の間には結論を得たいということを述べられております。それで燃料対策に関する結論が得られたかどうか。これは結論の内容は時間もありませんし聞きませんが、得られたかどうか。それからあのときに日英会談に行つた日本側の局長連中も一日、二日のうちに帰つて来る、そうすれば電報ではわからなかつたようなこまかな点もわかると思う。おそらく日英会談の中にこの石油問題も話に出ておるに相違ないと思うというふうなことも大臣が答えておられます。それからもうすでに十日以上もたつておりますので、日英会談に出席した局長も帰つて来られたことと思いますし、また燃料政策の結論も——要するにお伺いしたいことは、これは非常に早急に決定しなければならぬ大問題でありますが、複雑な問題であります。燃料政策の結論が得られたかどうかということと、それからイラン石油を入れるということになれば、国際カルテル方面の石油よりも品質がよくて安い、しかし外交上いろいろ問題があるというようなことでありますが、この点についても結論に達せられたかどうか、これをまず最初にお伺いいたします。
  144. 愛知揆一

    愛知国務大臣 総合燃料対策につきましては、大体通産省としては結論を得たのでございます。ところが御承知のように、現在炭労ストなどの問題もございますので、私どもの考え方はすべて納得づくで、話合いを基礎にして行きたいと思つておりましたので、そういう関係でまだほかに対して具体化するまでには参つておりません。  それからイランの問題につきましては、いろいろ英国筋等の意向も徴することができました。それらの雰囲気を頭に置いて、ただいま外務省筋におきまして、私どもの気持を十分くんでそれぞれの必要とされておる交渉といいますか、話合いを進めてくれておりまして、私どもとしてはそれに対して期待を持ちながら、結果を待つておる状況でございます。
  145. 山本勝市

    山本(勝)委員 その点では外務省が交渉中でございましよが、私は通産大臣に希望を申し上げておきたいのですけれども、もうすでに独立をいたしたことでありますし、何もイギリスから高いものをそう買わにやならぬということで遠慮する必要もないと思います。外交上友好国としてのこともあると思いますが、やはり経済の見地、産業の見地、またアジアの諸国も友好国なんでありますから、単に外務省に一任されないで、相当強く通産大臣としての立場から発言してもらいたいと思います。決して日英関係を無視してやれという意味ではありませんけれども、しかしとかくこれまでの外務省の行き力からいうと、なるべく事を起さぬというだけに終る心配もあると思います。それだけ希望を申し上げておきま。  第二の点でお伺いしたいのですけれども、御承知の通り今外貨が四割くらいのプレミアムがついておるといわれておるのでありますが、おそらく事実だろうと思います。それほど外貨というものが要求されておるのでありましようが、為替レートというものは、御承知の通りドルに四割のプレミアムがついておるように、三百六十円レートというものは実勢から見れば円が高過ぎる。こういうことは間違いないと思う。私はここで結論を先に申しておきますが、決して為替レート三百六十円を、五百円とか五百四十円とかいうような実勢に沿うようにただちにかえるがいいとは申しません。それはもういろいろ影響するところが大きいものですから、これは慎重な考慮と準備を要することであつて、それをただちにかえるということには、結論から言えば私は反対であります。ただ実勢に沿わない為替レートを維持しておる関係上、そこからいろいろとむずかしい問題が発生して来ておる。ドルにプレミアムがついておるというふうなことも一つの事実でありますが、また為替レートが実勢に沿わないために、非常に得をする産業と、非常に損をする産業と出て来る。たとえて申しますと、国際価格が非常に安い、日本の物価が三割も四割も高い。ドルに四割のプレミアムがついて動くということを目安にしますと、私は三割以上、四割近くも高いのだと思いますが、そういう場合に安いところで物を買うて、高いところで売るということを商売にしておる仕事、たとえば油を買うて来るとか、あるいに砂糖を買うて来るとか、外国の安いところで買うて、日本の高い物価のところで売る、それで商売をしておる者は、為替レートはドルを安くやつておるために非常な得をしておる。ところが船会社のような——今日非常に忌まわしい問題を引起しておりますけれどもこの問題はしばらくおくといたしまして、外国からドルやポンドをかせいで来るけれども、売るものは何もない。ただ外貨をかせいで来る。かせいで来た外貨、実際は五百円以上もするようなものを三百六十円にかえられて、そうして三百六十円でもつて国内のいろいろな高い物を買うて経営して行くということになると、やつて行けない。もし私に船会社の立場に立つて主張させれば、利子補給なんというものはいらない、ほんとうにわれわれがかせいで来たドルを実際の価値通りに交換してくれれば、利子補給などはいらぬし、従つてコミツシヨンをやつたりいろいろなことをして頭を下げる必要は少しもない、こういうことを私なら主張すると思う。ですからどうしても為替レートを今日三百六十円にきめるということは、他のいろいろな理由から決定しておることで、国策ですからいたしかたがないのですが、その結果として、五百円のものを三百六十円にかえられるというふうなことから事業が成り立つて行かない。そうしてそれをほつておくわけにも行かないし、海運政策の上からもそうですけれども、事実やつて行けないからといつて、利子補給をすると、今度はそのために金利体系というものがまつたくくずれてしまう。業者自身としましても、はたして五分で借りられるのか、来年は三分五厘になるのやら、その次はまた五分になるのやらわからぬということでは、採算の基礎がぐらついておるのですから、とうてい事業合理化できるわけはございません。これもつまり実勢に沿わない為替レートを国策上維持していることから来る一つの弊害だと思う。またもう一つは、たとえば硫安のようなものは、二重価格でもつて、国内へは高く売り、外国へは安く売るといつて農業関係の連中が大いにぶうぶう言いますが、しかしこれも、為替レートがほんとうに実勢に沿うたとしたら、外国に売るものは三百六十円でなしに、たとえば五百円とか五百四、五十円ということになれば、大体国内の相場と同じであつて、外国へは安く売つて国内へは高く売つておるということから、国内に不平などが起る余地は決してないのですよ。ただ五百何十円のものを三百六十円と換算するから、そこで向うへは三割も四割も安く売つて、こつちは高いという問題も起つて来る。その他いろいろな問題が起つて来るのでありますが、そうかといつて最初に申しました遮り、すぐ為替レートを動かせとは申しません。もし今為替レートに手をつけ出すと、国内態勢が確立しない現状において、次から次に今度はイジー・ゴーイングの手段でもつて、為替レートに手をつけるということが起つて来て収拾しがたいことになることは私も心配いたします。それは準備を必要とすることであつて、やはり確固たる準備と見通しを整えた適当な時期において、実勢に沿うようにレートをきめて、そうしてそこで実施して行くということでなければ、物価を四割下げるの三割下げるのなんていうことは、口では言つてもやれることではないし、またやつたらたいへんなことになる。しかも、ことしは五分ないし一割、その次も五分ないし一割、その次もまた五分ないし一割というふうに三年も四年もどんどん先下りになつて来るというような状況のもとでは、とうてい産業界というものは立つて行けるはずがありません。ですからその点はいろいろ学者などを集めて根本的に研究してもらいたい。それを簡単に結論を出して発表したりすると、シヨツクが大きいですし、そうかといつて、あまり無理を重ねて行くということでは、とうてい長く続くものではありません。  そこでそのことを希望しておいて、今のままで貿易振興をする方法についてひとつ御意見を承り、私の考えも申してみたいと思いますが、現在のような実勢に沿わないレートでも、なおかつ輸出し得る品物をずつと研究してもらいたい。それは国内へは高く売つて外国へは安く売る、というよりも安く売らなければ売れないわけですが、結局二重価格でやつておるというのではなしに、もつぱら外国に輸出する、国内でその損失をカバーするというのではなくて——それでもなお輸出能力があるのだから、為替レートを実勢に沿うようにしたら、これに対して数倍の輸出が出て来ることは明らかでありますが、そうではなくて、今日の悪条件のもとにおいてすらも輸出し得るものが私はあると思う。そういうものをひとつ通産省は本気で調べ上げてもらいたい。そこで私は一、二の例を申しますと、原料を外国から一切輸入しないで——一切という言葉は悪いかもしれませんが、九分九厘まで輸入しないで、そうしてなおかつ輸出しておる。国内へは一切売らない。従つて、ほかへ買わせる方法がないと思われるのに、輸出しておる品物がある。数量はきわめて少いでしようけれども、たとえば魚つり竿みたいなものです。魚つり竿は国内でも売つておりますけれども、こういうものは日本の特殊なものであつて、これはまず可能性がある。それから輸出専門のおもちやがある。これは私は親類でもなければ、縁故も何もないものですけれども、最近ある人の紹介を得て、三十年来もつぱら輸出おもちやをつくつておるところを実際見て参りましたが、たとえばアメリカに送るキヤデラツクならキヤデラツクの一九五四年型の実に精妙な自動車をつくつておりますが、その原料といえば、その自動車についておるタイヤ、これはゴムでできておる。このタイヤのゴムは確かに外国から来たのですが、そのほかは一切内地のものです。それで聞いてみますと、アメリカで一ドルに売るものが、横浜から船で積み出すときの値段が二十セント、五分の一だ。五分の一で日本でつくつて、それをアメリカへ輸出して、その人だけで年に二億円ばかり輸出しておる。私はこういうふうなものは探せばほかにもあるのではないかと思う。全額は百ドルでも二百ドルでも、いかにこまかくてもいいから、この為替レートで不当に円が高過ぎるような状況のもとにおいて、なおかつ輸出専門で伸びて行かれる事業を探してもらいたい。あるいは探しておられたら承りたいと思いますが、時間もありませんから、ここで御説明願わなくても、それを専門に探さしてほしい。おそらくほかにもそういうものがあるだろうから、さしあたつてはレートをかえるわけに行きませんから、輸出振興上そういうものに税法あるいはその他の面で、多少援助を與えてでも輸出をやつて行けば、これはドルの正常化が行われたらもちろんなお一層伸びる事業であります。今日といえども輸出振興に役立つのではないか、こういうふうに思うのであります。  それから第三点、これはちよつと変な質問になりますけれども、通産大臣の本会議其他での答弁を聞いておつて多少気になるから、ちよつとお伺いいたすのであります。近ごろ奢侈々々ということをしきりに法律用語としてまで使つております。その奢侈というのは、むだという意味なのか、それともぜいたくという意味なのか、あるいは実用的でないという意味なのか、あるいは不経済という意味なのか、それとも値段が高いという意味なのか、あるいは高級とでもいうのか。奢侈という概念について、そう厳密なる定義でなくてもいいのですけれども、しかしこれが実際に法律となつて現われて来るというような場合におきましては、国民生活に重大な役割を打ちますし、ことに奢侈を抑制するということが、今度の予算編成の大きな方針なつておるというのでありますから、一体どういうふうな気持で奢侈という言葉を使つておられるのか。ただそういうのは社会通年で常識上わかるというふうな、そういう答えではだめなんです。ひとつ伺つておきたいと思います。
  146. 愛知揆一

    愛知国務大臣 第一の為替相場の問題につきましては、山本先生結論をおつしやつておりますので、非常に私も御同感でございますが、現在かえるべきではないと思います。それから同時に、これも申すまでもございませんが、国際物価の比較と申しましても、これは非常にむずかしいのでございまして、現在でもものによりましては、日本からの輸出価格が、先方の物価から申しまして十分売れるものが中にはあるわけでございます。そういう点から申しまして、現在いわゆるフリー・コンヴアーテイビリテイーではありませんから、いろいろと為替相場をかえないでくふうをする余地のある点は、相当あると思います。そういう点につきましては、今後とも十分各方面の知恵を集めて研究をいたし、また実行いたしたいと思います。  それから第二におあげになりましたつり竿、おもちやというようなものでございますが、これもまことにごもつともでございまして、先般もこういうようなお話も伺いましたので、通産省といたしましてもその実地を見せていただきまして、また役所としてお手伝いのできるようなことがあれば、こういうようなものをさらにエンカレージするような努力を大いにいたしたいと考えております。  それから奢侈品の問題は、どうも私も御答弁に苦しむわけなんでありますが、私どもとして考えましたのは、今いろいろの言葉をあげられましたが、大体今日の普通の日常生活で大多数の、たとえば勤労者とか市井の人々が、まあこの一、二年間しいて買わぬでも、使わぬでもがまんができるという程度のものを、私どもは奢侈と言つておるつもりなんであります。従つてこれを法律文で申しますと、繊維品で申せば奢侈繊維品というものが——今回の法律案の第一条に課税範囲が出ておりますが、ここにあげられたようなものが、奢侈品であると言えば奢侈品である、こう考えておりますので、これはなかなかむずかしい論議だと思いますが、私としてはそういうように考えておるわけであります。
  147. 山本勝市

    山本(勝)委員 これは私決してじようだんに尋ねておるのではないので、よく真剣に尋ねておるのですけれども、昔から奢侈とかぜいたくという言葉はあるのです。大体昔は分という言葉があつて、分に過ぎしたものを奢侈という。それから分内のことならば、これはやはり奢侈ではなくて分内である。しかもあまりに節約するのは吝嗇という。ほんとうの質素とか節約とかいうことと、吝嗇の差別ですが、これはやはり分という概念が入つて来る。分というのはその人によつて違うわけです。だから吉田さんがあれだけの車に乗つて歩いても、これは総理大臣として奢侈ではない。しかしそれを私が乗つて歩いたら奢侈になる、こういうことである。ですから今度の繊維消費税なんかを見てみますと、値の高いものは貧乏人の手が届かない。そこで値の高いものは、貧乏人の手が届かぬから、大衆が買えないから奢侈だというふうに、高価品の代名詞のように使えば、まずあの解釈としては正しいと思うのです。しかし通産省としてむずかしい問題になるのですけれども、たとえばハンドバツグならハンドバツグというものは、皮でつくつておるのは丈夫でいい。レザーなんかでつくるとすぐ破れて、かえつて不経済なんです。しかし金を使つたり銀を使つたりというようなことは、ハンドバツグの用途から見て必要のないものである。しかしハンドバツグそのものは、男は使つていないからわからぬですが、女自身に聞いてみると、洋服の女としてはポケツトというものはほとんどないものですから、昔なら帯の間やたもとに入れたものを、ふろしきにも包めないから、結局こまかいものをハンドバツグに入れて、衛生道具まで入れているのです。ですから便所へ入つても何しても、寝るときまで離せぬようなもので、ハンドバツグは絶対必要品だというのです。金を使つたり銀を使つていることが奢侈になるので、ハンドバツグは奢侈じやない。ところが物品税の問題のときに、私も大蔵省の生計局長にも会つたのですが、カバンの方は実用品であつて男の使うもの、ハンドバツグは奢侈品だと、こういうふうな考えでした。ところが女に聞いてみますと、カバンはまだふろしきで包めるようなものまで入つているのだ。ハンドバツグは奢侈品か奢侈品でないか、女でなければわからぬという。男は使いもしないのだから推測だけだというのですね。なるほどそう聞いてみると近藤鶴代代議士に聞いても、進駐軍の婦人将校に聞いても、全部ハンドバツグは必要品だ。ですから簡単に奢侈品だというので税なんかかけると、これはたいへんな問題なんです。きようの向うの委員会でも問題になりましたが、政府は節約、むだを省くといつて、奢侈を節約するというけれども、郵政省は年賀はがきを、去年はこれだけ売れた、ことしはこれだけ売れた、来年はまたこれだけというふうにして、競つて各郵便局にうんと売れというので、競争で売らしておる。はたして年賀状が今の奢侈か、奢侈でないかというと、これはなかなか一律的にはきまらない。きまらないから、現に政府自身が節約政策で耐乏生活を要求しておるにかかわらず、なおかつ年賀状をたくさん売るために郵政省が大いに努力しておる、こういうふうな実情である。ことに時計の場合などを見ますと、時計は物品税の免税点を五千円にしよう、こういうことになつて今時計屋などがやかましく言つて来ております。なるほど私ども最初聞いたときに、五千円以上のものは大衆は買えないのだ。こういうことで無理もないと思つたのですけれども、しかしよく考えてみますと、こういうことも通産省としては考えなければならぬ。いくさに負けて国土が小さくなつて、原料がきわめて欠乏しておる日本が、今後の産業政策としていかなる見地に立つかというと、私はやはりスイスのような政策をまねて行かなければならぬと思う。それはどういうことかというと、値段はきわめて高いが品質はきわめていいというものをつくる。それを由来日本の商品というものは安かろう、悪かろうというので、値もきわめて安いが、品質が粗悪であるというのが、世界における日本の品物の評判であります。これでは日本は将来とうてい伸びないです。ですからどうしたつて値は高くても品質をよくするということをねらつて行かなければならぬ。こういうことを考えますと、外国から入つて来る時計を防ぎ、外国と競争するような時計が、日本でいつまでたつてもできないということは、産業政策の根本問題として、やはり考えておかなければならぬと思う。今そういう大衆の嫉妬心というか、大衆があんなものはぜいたくだという、つまりその感情にアダプトして、追随して、税源としても大したことはないそういうものにかけることによつて、日本の時計がいつまでたつてもいいのができないということは、これは将来に累を残す、こういうことになると思うのです。それからたとえば洋服の場合でも、現にラシヤは相当たくさんの輸出、つまり有望な輸出品として一年に飛躍的にふえて来ておる。ところがやはり日本の品物は輸出に向けるということになりますと、イギリス品は値は高いが質はいい、だから日本のものが五年で悪くなるものなら、イギリスの品物は大事にすれば二十年も三十年も持つ。貧乏人は金がないからしかたがない、それを買わぬだけの話で、金さえあればいいものを買う。ですから日本の品物は悪いという評判よりも、値は高いが質もいいというふうに私は持つて行くべきだと思う。ですからちよつとした税をかけるときに、ただ大衆の金持ちに対する一つの嫉妬心、そういうものも無視してはいけません。しかしそういうことのために産業政策を誤らぬようにしてほしい。先般厚生省が食糧対策の一つとして、ねずみ々殺す薬品の関係の予算を提出したということが新聞に載つておりました。何しろ風水害、冷害で米ができなかつた。そこで米を食うねずみを殺すことが大事だ、こういうことで毎日新聞の硯滴欄のところに、一年間に家ねずみの食う量がたしか四百二十万石、それにどぶねずみとか野ねずみを加えると、さらに倍くらいになる、こういうことで厚生省がそのねずみとりの予算を請求しておるということが載つておりました。その二、三日したときに、皮屋さんだというのが読者の声というところへ投書しておりました。それはどういうことを書いておるかというと、厚生省はそういう予算を請求したというが、そういうことをしたならばねずみが死ぬばかりでなくて、うつかりすると犬も死ぬ、ねこも死ぬ。そういうことよりねずみの皮に対する物品税をやめなさいと書いてある。野ねずみというものは——これは家ねずみもそうかもしれませんが、その人は野ねずみと書いておりましたが——戦争中は何十万といつたものであります。自分は皮をなめす商売だが、あれをなめして毛皮のコートなどつくると外国人は非常にこれを好むので輸出に向けられるのだ。ところがこれに二割の物品税がかかつておる。この物品税を早くはずす方が早道だ。そうすればねずみが走つておれば金が走つておるようなものだから見つけ次第とる。これは少し誇張したように思ますけれども、しかしそういうところに実は大きな影響を持つ。あるいはその税をかけるために税務所の徴税費なんというものは問題でありません。税務署の徴税費はこれだけだというのは、それは表面に現われた、予算に出た徴税費であつて、一つの税についてかりにトラブルが多い税であつた場合は、隠れた経費というか、とられる方の側でのそれに対処するための人件費とか、あるいは心配費とか弁護士の費用とか、そういうものを勘定しますと何十倍にもなる。国民経済全体の消長を考える通産省の立場としては、大蔵省とは違うのですから、そういうことで隠れたる経費、つまり国民の負担がどれだけ増すかというようなことをひとつ愛知さん、よく飲み込んでおいてもらいたい。これはここで私との一片の話で終らずに、物品税——今度の税などは一種の物品税でありますが、それをただ奢侈だとかぜいたくだとかいうふうなことで、簡単に扱わぬように、通産省の立場からひとつ強力に発言してほしい。中小企業者というものの興廃と運命をになつておられる立場において、十分に研究して強力に発言してもらいたい、これをお願い申し上げておきますが、御感想があれば伺いますし、なければそれでけつこうです。
  148. 愛知揆一

    愛知国務大臣 るる御意見を承りまして、私といたしましてもまことに裨益するところ多大でございました。ことに税金の問題はほんのちよつとしたことでも、これが納税者の心理に非常に影響する。経済活動について金にはかえられないほどの阻害になる場合も非常に多いというような点につきましては、今度私が通産省の方に参りまして痛感しておるところでございます。これらの点につきましては、ひとつ十分に研究をいたしまして、あらためて努力をさせていただきたいと思います。
  149. 西村直己

    西村主査 他に御質疑はないようでありますから、経済審議庁並びに通産省所管につきましての質疑は、一応終了いたします。  本日はこの程度にとどめまして、次会は明二十六日午後一時半より開会し、農林省所等についての質疑に入ることにいたします。  これにて散会いたします。    午後六時二分散会