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1954-06-03 第19回国会 衆議院 予算委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月三日(木曜日)     午後二時三十二分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 西村 直己君 理事 西村 久之君    理事 森 幸太郎君 理事 川崎 秀二君    理事 佐藤觀次郎君       岡田 五郎君    尾関 義一君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    灘尾 弘吉君       羽田武嗣郎君    葉梨新五郎君       福田 赳夫君    船越  弘君       山崎  巖君    稻葉  修君       河本 敏夫君    竹山祐太郎君       中曽根康弘君    足鹿  覺君       伊藤 好道君    滝井 義高君       松原喜之次君    山花 秀雄君       稲富 稜人君    岡  良一君       小平  忠君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 六月三日  委員川島金次君辞任につき、その補欠として岡  良一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  予算施行状況に関する件     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  予算実施状況に関する件を議題といたします。質疑を継続いたします。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 まず大蔵大臣にお尋ねいたします。昨日同僚の川崎委員から御質問がありましたが、明日出発される吉田首相旅費の三百六十八万円という内訳は、この総理府予算のどういうところでおとりになつておるのか、まず大蔵大臣から答弁をお願いしたいと思います。
  4. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この総理府予算のうちに外国旅費が六千四百九十万四千円あるのです。そのうちに田中官房長官等の分について見ますと、総理府の所管に国際会議共他諸費の外国旅費というのがありまして、そのうちから出すのであります。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 あらかじめ総理が外遊されるという立場から、そういうことをお考えになつてつたかどうか、その点をひとつ大蔵大臣からこの際御返答を願いたい。
  6. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 予算編成当時においては、そういうことを予想したわけではございませんが、いろいろな会合等に行く費用としては、いろいろなことを在来の例によつて計上してございます。ですから昨日ちよつと川崎委員からもお話があつたように、あるいはその分が若干きゆうくつになるということは免れません。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 国費を使われることでありますから、そういうことについては国民からいろいろ意見が出ておりますし、総理大臣は今日まで出発のことについて述べておられませんから、これは非常に人を食つた話だと思いますが、まあその問題は別といたしまして、実はこの予算が編成されましてから三月ばかりの間でございますけれども経済的な事情が非常にかわりまして、いろいろ税制の問題かあるいは税収入に対しまして相当なかわり方がある。これは大蔵大臣が言われたように、デフレ政策によつて物価値下りが出て来たわけでありますが、一体政府自然増収をどのくらい見積つておられるのか、今年度の自然増収についてまずお伺いしたいと思います。
  8. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 在来のしきたりと言つてはおかしいのですが、在来の見方によりますと、これは相当自然増収かあるのが普通であります。ところが本年は一切自然増収を見ておりません。それは今度の緊縮財政金融の引締め等、一連のいわゆるデイスインフレ政策によりまして、財界が多少これらの整理整頓の時期に入るということを予想しましたので、従つて本年度予算には自然増収は一切計上しておりません。これが同時にまた二十九年度の予算一つの特色でもございます。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そういうことになりますと、結局繊維消費税というものが不成立になつたということ、いろいろ二党協定によりまして予備費を大分とつたというような問題もありますので、政府みずから二百億の節約をやるというようなお話もありますが、こういう点が、まだ国会が終らないのに、政府方針と大分違つて来たのではないかというような疑惑があるのですが、この点はどういうふうに処置をされるのか、大蔵大臣所見をお述べ願いたいと思います。
  10. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この点は佐藤さんも御承知のように、さきに三党協定によりまして百三十億の予備費のうち五十億をそれぞれの費用に向けた点もございまして、当初から若干のいわゆる実行上の予算をつくる必要があろうと行えておつたのでありますが、ただいまのところ、見通しといたしまして繊維消費税が大体八十五億、これはちよつと収入の方で見込まれません。それがらこの間の国会修正で税率を若干変更された向き等がありまして、それとでまあ百億ちよつとぐらい、この八十五億を合せましてそれぐらい収入減少になるかと思うのであります。それから一方支出の増加する分がございます。たとえて言えばそれぞれ実行する時期について遅れておる分が出て来ておりますものとかそんなことで、これらを合せますとかれこれ数十億になり、今の予備費で弁じました五十億を合しますると二百億ほどになりますので、約二百億ほどの節約実行予算の面でやりたいと思つておりますが、ただいまのところ決定はいたしておりません。一応の考え方を率直に申し上げておる次第であります。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そうしますと問題は、このデレフによりましてある程度よで予算節約ができるはずでございますが、そういう点についてどういうように見積つておられるのか。最初大蔵大臣が演説されたときには、〇・五くらいは今年度の予算の中では値上げになる予定であるということを言つておられましたから、そういう意味で勘定されておるのか。おそらくデフレになれば物価が下つて来るのだからそれだけ節約されると思いますが、そういう点についてはどんなような見込みであるか、その点をひとつお答え順いたい。
  12. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 予算を編成いたしますときには、大体予算編成当時の価格で物を見たわけでございます。これはいつもそういうことになつておりまして、それで見ましたわけですが、その後佐藤さんも御承知通り、大体卸売物価で四〇%以上下つて参りました。それから小売物価——私はここに岡崎商工会議所で発表したものを持つておりますが、それによると自由価格の分は約一割も小売価格で下つております。あなたの名古屋でもこれはよくおわかりでしようが、もう一割下つておるものもありましよう。ここにこまかい数字もありますが、岡崎商工会議所の方で発表した報告によりますと、約一割下つております。そういうぐあいでありまして、この調弁価格その他に相当経費の節減をし得る余地があるのではないか。従つてどもは、この予算を実施する場合にあたりまして、できるだけ保安庁その他の調弁価格も安くする、すべての注文品を安くして、そうして物価引下げにも役立つことですから、それを見込みますと、いわば物件費施設費等で五分ないし一割ぐらい減少し得るものが相当出て参ります。それらを一応実行予算で見ようと思つておりますが、しかしそういうふうに見にくいものもあります。こまかく言いますと、たとえば病院の費用というものはいくら下つて来たつて減するわけに行きません。従つてそういうようなこともありますので、こまかく今いろいろ検討いたしておりますが、大体物価値下りを五分ないし一割と私ども見込んでおりましたが、年度内にはまさにそれくらいの値下りが確実に見込まれる情勢になつて来ましたので、従つて物件施設費等相当実行予算の面では節約をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 初めの予定は、デフレ的な考えを持つておられた関係上、その結果七、八月ごろには相当倒産者が出るのではないか。現に私どもの選挙区にも繊維工業者が倒れまして非常に困つておるわけでありまして、おそらく大蔵大臣も御承知かと思います。が、こういうような倒産者に対して、どういう処置——ただいまデフレ予算しわ寄せが結局中小工業者に行くということは、これはわれわれが本委員会におきまして、たびたび大蔵大臣に質問したところでありますが、そういう点についてどういうお考えを持つておられるのか、その点を伺いたいと思います。
  14. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 本年度のいわゆる財政緊縮とそれから金融の引締め、その他一連政策はよく佐藤さんの御承知のごとくに、国際収支改善をはかる。従つて物価をを五分ないし一割下げよう、こういう考え方のもとに進んでおるのでありまして、従つてこの政策がだんだん浸透するにつれまして、諸物価卸売物価では四分以上下つており、小売価格でも漸次下りつつあるということは御承知通りであります。従つてそういう影響を受けられる方が出て来ることは、お気の毒ではあるが、やむを得ぬ事情にあると思いますが、中小企業者の方へこれをしわ寄せするということは、中小企業日本における立場からいつて、極力私ども避けたいのであります。従いまして当初計画を立てておりました指定市会などの引揚げというものも、六、七というようなところは、引揚げを大体四箇月くらい延ばして参ろう、こういうふうに考えております。それからまたこの間、これは春日一幸さんなどから御注文もありまして、今大体やつておりますのが中小企業に対する銀行の貸出しのあの貸倒準備金、これは御承知の普通の企業では一割見ておるのでありますが、それを一五%見ようということで、それで金融の方が仕出しをしやすい幾らかの措置になろうかとも考えております。但しはつきりと目標がきまつておりませんので、私ども物価が今申し上げた通り下つて国際収支改善という大きい元に役立つまでは、やはりこの政策を一貫して参らなければならぬと思つておりますが、しわ寄せの点につきましては、極力中小企業者に及ばないよう措置するとか、これは私も十分な配慮をいたしたいと考えておる次第でございます。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今金融引締めが非常にひどいので、実は私たちが想像している以上に相当窮迫している事態になつているわけであります。そこで金融引締めということは、これは政策でなくてただそういうことをやるということで、実際はそれによつて非常に悪い傾向が出て来たということは、これは口に言わないけれども相当深刻な状態があるわけであります。そういう点でこれを救済する道として、政府中小企業金融公庫や国民金融公庫の預託の引延ばしなどもつておられますが、こういうことだけでは救いがたいのではないか。まあ中小企業者の悪い者は倒れてもやむを得ないではないかと言われれば別でありますけれども、しかし現在の日本中小企業者の悲惨な状況は、想像以上だということを私たちは知つておるわけであります。そういう点についてどういう手を打たれるのか。私たちはこういうことについて臨時議会を開く御意思があるのかどうかということも考えておるわけでありますが、大蔵大臣所見を伺つておきます。
  16. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいま申し上げました通り、私どもといたしましては国際収支改善の目的を達するまでは、やはり今までのいわゆるデイスインフレ政策浸透をはかつて参らなければならぬと考えております。しかしながら御懸念の中小企業者に波及することは、極力避けたいと考えておりますので、さしあたり措置したことは今のようでございますが、今後どうしてもさらに措置する必要が起つて参りますれば、これはあらためて十分の検討をしたいと思います。しかし私どもはこの一日と二日と地方財務局長会議を開きまして、地方実情相当報告を受けまして、いろいろ検討をしおるのでありますが、少しところによつては行き過ぎの影響が出て、健全なところでも多少の不自由を感じておるようでありますが、大体今まで少しだらだらやつて来たというようなところにその影響が多く出て来ているようで、健全なところはそんなに影響が出ておるとは、まだ私どこの局からもそういう報告に接しておりません。しかし今後は情勢に応じて——これは政治というものは情勢に応じていろいろな施策をするのが当然でありますから、それは考えます。しかし問題は何としても国際収支という元ができなければ、どうしたつて日本経済というものは健全になることができないのでありますから、その元を貫くためには少々皆さんの中に御不自由な方があつても、ごしんぼういただくほかはない、かように考えている次第であります。但しできますだけの措置政府としては講ずる考えを持つております。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いろいろ尋ねたいことはありますが、実は今度一番大きな問題になりますのは、失業対策が相当大きな問題になつて来ると思います。おそらく中小企業者の崩壊から中小企業が非常に大きな被害をうけることは予想されます、それから九月には米価審議会米価の改訂という問題が出て来ます。それから先日の北海道を初めとして全国的な災害の問題もありますので、当然これは補正予算を組まなければならぬのではないかと思うのでありますが、大蔵大臣はこの中小企業の救済のため、あるいは二重市米価の問題等いろいろな問題につきまして、補正予算をこの秋に組まれる御予定があるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  18. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまのところ、私ども実は補正予算を組まねばならぬという事態ではない、かように考えております。これは佐藤さん、ちよつと誤解のないように申し上げておきますが、物価引下げは五分ないし一割で、さらに言葉をかえて言いますと、昭和二十七年の下期のところに持つて行こうというのが私ども政策でありますから、決して急激なものではなく、従つてどもは本年多少のことを見込みまして失業保険とか、あるいは失業対策等に五分の増加を見て、それだけの予算措置をとつてあることは、予算面で御承知通りであります。しかしさらにその後の実情がもつとひどくなつて来れば、これはもちろん失業者を見殺しにするわけには行きません。従つてそういう対策が出て来ることは当然でございますが、今のところは五分のところを見ているのと、その点私どもは急激に下けることは考えておりません。繰返すようでありますが、五分ないし一割、昭和二十七年の下期のところに持つて行こうというだけのことで、それをあくまでデフレ政策をやつて行くとか、あるいは井上準之助氏の時分の金解禁をやるといつたこととは全然事情が違いますし、また世界経済情勢がそんなにひどくかわつておらぬことも佐藤さん御承知通りでありますので、まだ速急に補正予算を組まなければならぬ事態ではないのではないかというように考えているわけであります。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 まあいろいろ先のことを約束すると、この次に大蔵大臣とつちめることになりますので、なかなか上手な答弁でございますが、吉田さんが外遊することにつきまして、御承知のように外貨が今不足していろいろむずかしい問題がありまして、為替レートをかえるために——向井大蔵大臣安定資金を得るために、そういう使命を持つて行かれたのではないかというようなうわさがあるわけでありますが、そういう点について大蔵省はどういうようにお考えになつておるのか、お漏らしを願いたいと思います。
  20. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 過日ある新聞為替安定資金のことがちよつと書かれておりましたり、またその後ちらほらそんな話も聞きましたので、一体どこにそんな話があるのかと思つて、実は私もいろいろ探つたのでもりますが、あまり根拠のある、根底のある話ではないようであります。もちろん私どもといたしましては、三月末で八億二百万ドルのものを持ち、四月は昨日申し上げましたように、減少額がきわめて少くなつて参つております。国際収支は漸次改善を見つつある状況でございますので、いわゆる為替レート堅持という方針はあくまでこれを貫きますが、今ただちに為替資金を必要とするというような事情には置かれておりません。しかし念のため申し上げておきますと、八億二百万ドル、その後若干四、五百万ドル減つておると思いますが、そのうちにはインドネシア、朝鮮等に対するこげつきの分もありますけれども、本年のように輸入貿易二十億というふうに考えますれば、正常なる貿易をやつて行くのになお余りがあるくらいであります。しかし余りあるうちから考えて行かなければいけませんので、二十八年度の為替国際収支現状等から、こういう比較的きついと言われる政策を行うのも、やむを得ぬということになつておるのでございますが、ただいまのところ、為替資金不足で不自由するというようなことはないと見込んでおります。なお昨日も川崎委員にお答えした通り、二十九年度大体一億ドルという見込みをしておりますが、あるいはもう少し以内にとどめたい、こういうふうに私ども考えております。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点、これは小さい問題でありますけれども、児童の教科書を国が二億円補助するという点について、参議院でも法案が通過したそうでありますが、そういう点について大蔵大臣は何とかめんどうを見てやつていただく御意思であるかどうか、一点お伺いしたいと思います。
  22. 森永貞一郎

    森永政府委員 教科書関係は、補助金整理法の本文にそのまま入つておるわけであります。従いまして、ことしは大蔵省教科書無償配付はやめるという方針にはかわりがないわけであります。但し遡及適用するのも法律上の観点からいかがであろうかというようなところでございまして、遡及適用の規定だけは除かれまして、その間もし事実上無償で交付するというような措置をとつておるものがある場合には、例外的に別に認めるというような、法律上の一貫した思想に基く若干の修正が行われましたけれども根本精神は何らかわつていないわけであります。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 愛知通産大臣にお伺いしますが、先ほども大蔵大臣からいろいろと説明を承りましたが、中小企業者倒産が非常にはげしくなつて来まして、おそらく七、八月旧盆から新盆ごろに相当倒産者が出るように予想されておるのでありますが、通産大臣としてはこれに対するどういう対策をお持ちになつておるのか。中小企業者はほとんど希望を失つております。国会が終りになりますので、われわれも地方へ帰りますので、そういう点に対して簡単でけつこうでございますが、通産大臣はどういう政策でこの著しい中小企業者を救うかという具体案がありましたならば、ひとつ簡単に御答弁を願いたいと思います。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 中小企業対策につきましては、前々から申し上げておりますように、一つで、これで特効薬となるというような対策はございませんので、また同時に斬新奇抜な方策というものもなかなかないように思いますが、考え得るあらゆる点につきまして、具体的な措置を今後とも進めて参りたいと思つております。きわめて簡単に申し上げますが、先般衆参両院の本会議でも御決議がありまして、その中にも具体的な国会としての御意思が明らかになつておるのであります。たとえば国庫預託金の期限が参りましたものの引揚げを延期する。それから金融機関中小金融に対する貸倒準備金の税法上の優遇措置を広げる。あるいはまた、大企業の不当なる中小企業に対する支払い遅延について、公正取引委員会とかねがね十分打合せしておつたのでありますが、御承知のように認定基準という一種の法規的な基準をつくりまして、これに基きまして実情を調査して、これに違反すると申しますか、趣旨に反するものについては処断をして行く。あるいはまた輸出振興策一助といたしまして、加工貿易についての外貨の割当を大幅に広げ、同町に保税工場の利用を中小企業に対しても、簡易に利用し得るような方法をとつて参る。まあ考え得るいろいろな措置について具体的にこの上とも一段の努力をして参りたいと思います。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 きようの新聞を見ましても、繊維の大暴落を来しております。このままで行きますと、おそらく日本の重要な産業である繊維工業は、ほとんど全滅するのじやないかというような、非常に悲惨な状態を予想されておるわけでありますが、これに対する確たる信念がなければ、これはもう弱い者いじめでだんだん倒れてしまうわけであります。そういう点についての政府所見と、もう一つ、昨日も川崎委員からここで発言がございましたが、私は先日予算分科会において、日米合弁石綿会社につきまして非常に疑問を持つたので、政府答弁を求めたのであります。もう三月ばかり前になつておりまして、そのままになつておりますが、御承知のように日本では中小企業者が非常に困つておる。特にセメントの材料などはあつて、しかもスレートなどは大体需要を満たしておるばかりではなく、現在四割くらいは操短をやつておるというような状態であるわけであります。こういう日本中小企業者を倒すような外資導入は、避くべきではないかというようなことを考えておりますが、通産大臣はこういうような問題に対してどういうようにお考えになつておるのか。こういうことにつきましては、あなた方の与党の議員で反対しておられる人もあるので、われわれ野党としてはどうも納得が行かない。何か不明朗なことがあると思うわけでありますが、そういう点について通産大臣はどういうようにお考えになつておるのか、ひとつ答弁を願います。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 外資導入それから外国機械輸入技術の提携という問題につきましては、従来よく内地でやつておりました業者その他との間にいろいろ意見の全い違いが出て来ることは、ある程度はやむを得ない事情があるように思いますが、私は明朗不明朗ということではなくて、合理的に処理をして参りたいと考えております。原則論といたしまして、日本でなかなか得られないような優秀なものであるならば、これは大所高所から、こういうものを入れて、合理化一助に資するという考え方が正しいと思うのでありますが、これははたしてそういう技術が優秀であるかどうかということを技術的に調べることも必要であり、またたとえばさような特殊のものを入れました場合に、輸出振興に限定してこれを使わせるというような条件を考えるとか、こういうような点でできるだけ広い視野から、あらゆる観点から総合して合理的な結論を導くべきもの、こういうふうにわれわれはかねがね考えております。従つてただいま御指摘の問題につきましても、非常に長い間の懸案でありますが、外資審議会等におきまして非常に熱心にあらゆる角度から検討をしていただいておるものでございまして、そのうちにすみやかに結論が出ることと考えております。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 りくつ上は非常にりつぱでありますけれども日本ではどうにか生きて行かれるような中小企業者が非常に多いために、一個の大きな会社は都合はいいけれども日本全体の立場からいいますと倒産者が出る、それも日本ではセメントに関連して瓦のような、あるいはスレートのような、すでに飽和点に達しておる事業を、わざわざ外資導入してまでやらせるというところに、私たちが納得行かない点があるわけであります。そういう点については実は今の愛知通産大臣の御意見には賛成しがたい点がありますが、一体どういう意味でそういうようなことをやらなければならぬのか、その御真意をひとつ承りたいと思います。
  28. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは具体的な問題でございますし、ただいま申しましたように、外資審議会でも、政府側考えておりました以外に、こういう点もさらに慎重に検討したらよかろうというようないろいろな御意見も出ておりますので、それらの点を十分勘考いたしまして結論を出したい。原則的なものの考え方といたしましては、先ほど申しましたように優秀な技術は入れたい、しかし同時に入れ方の程度なり規模、方向なりについては十分考えなければならないという点については、一般論といたしましても十分配意いたしたいと思つております。関連しまして、川崎秀二君より発言を求められております。この際これを許します。川崎秀二君。
  29. 川崎秀二

    川崎委員 ただいまの質疑応答を聞いておりますと、フレツクスボードの製造は日本ではできないということでありますが、フレツクスボードだけでも日本でもできる業者は、私はあると思う。ところがフレツクスボードというものは、それだけ日本に需要量があるのか、むしろ普通の石綿スレートといいますか、これに進出することの目的で、今まで日本にあまりなかつたフレツクスボードというものを一つの足がかりにして外資導入ををしよう、進出をしようということが、今度の日米石綿社設立趣旨のようにわれわれは考えられてならない。そのことが結局普通の石綿スレートの製造に非常な打撃を与えることになつて中小企業者が苦しみを受けるというので、昨日来の当委員会で問題になつているわけです。この点に対する明快なる御答弁を煩わしたいと思います。
  30. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは今佐藤委員の御質問にお答えいたしましたように、確定的な意見をまだきめておりませんので、さらに十分慎重に研究いたした上で態度をきめたいと思つております。
  31. 川崎秀二

    川崎委員 すると、まだ許可をしようという段取りにはなつておらないのですか。
  32. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは当初工業技術院その他の技術陣なども動員して相当慎重に研究をいたしまして、さらにこれがたとえば輸出に貢献するものであるとか、あるいはフレツクスボードなるものに限定して取上げるものであるというようなこと、そのほかいろいろの条件を勘考して、こういうふうな条件であるならば、しいて拒否しなくてもいいではないかという意見政府部内では有力でございます。しかしながら先ほど申しましたように、いろいろの観点から慎重に考慮しなければなりませんから、外資審議会の審議とも見比べまして、さらに一層慎重な態度で善処いたしたいと思うのであります。
  33. 川崎秀二

    川崎委員 フレツクスボードのみに限らず、その他のものをも包含して許可をしようという意見政府部内で有力なのですか。
  34. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そこまではまだきめておりません。
  35. 川崎秀二

    川崎委員 何が有力でしたか。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたのは、このフレツクスボードなるものが——ただいまの御意見とは多少違うかもしれませんが、技術的に検討してみれば、なるほど優秀なものであるということには結論が出ております。ので、それに限定して、そして一方中小企業者あるいは具体的にはこれを輸入しようという計画を持つている会社以外の会社は、これに対して非常な批判を打つておりますので、その批判が具体的な問題について出ておる点は十分考慮して、心配のないように解決でき るかどうかという点を中心にして、た だいまさらに慎重に検討しておるわけであます。
  37. 川崎秀二

    川崎委員 そうするとフレツクス ボードの製造のみでなしに、その他の 部面の関係等も顧慮してきめるということになりますと、自然に現在セメント関係の中心会社であるスレート製造 のみやつておる業者が生産しておる品 物が、日本で大体需要供給の関係のバランスがとられておる、それにそれだけの石綿が入つて来るとすれば、日本では非常な生産過剰ということが予想されるので、そのことによつて中小企業が倒壊するのじやないかということが、今日一番憂えられている問題なのです。従つて、もし入れられるとすれば、当然フレツクスボードのみの製造ということになるのでしようけれども、それではまた日本ではそれだけフレツクスボードを使つてつくるような高級な建築様式は、発達しておらないのじやないかということが問題になつて来る。それなのにかかわらず、全体の資本金が百三十万ドルですか、そういうような多額のものであつて、そしてその中の二五%をジヨン・スマンヴイルというのが持ち、さらにこれとまつたくタイアツプしたような形でそれの出先機関のような東京興業貿易というものが二七%持ち、つまり全体の五二%を持つということになると、まつたく外国例の支配に属するような会社ができて、それが従来の日本中小企業を圧迫することになりはしないか、これが私の聞かんとする根拠なのです。そういうことに対して通産大臣はどう いうふうにお考えでありますか。
  38. 愛知揆一

    愛知国務大臣 でありますから、先 ほど申し上げたような考え方で、これを具体的に処理をいたします場合に は、外国側の会社日本側の会社との間の具体的ないろいろのネゴシエーシヨンが必要だと思います。さらにそれを政府側が側面的に、あるいは援助しあるいは注意を喚起するということも必要なのであります。それで、先ほど来くどく申し上げておりますように、いろいろ考えるべき要素がありまして、相当の日にちをとつておりますが、さらに慎重に検討して、できるだけ早く結論を出したい、こういうふうに考えております。
  39. 川崎秀二

    川崎委員 この問題について非常に熱心なのは通産省並びに大蔵省だというふうに聞いておるけれども、これを四、五日前に外資審議会で協議をした際におきましての、その審議会の経過はどうなつておりますか。私の聞いておるところでは、民間側は全部反対で、官庁側の内部においても反対があつた、つまり三対六ですか、九人の委員の構成においてそういうような数字まで出しておるということは、相当通産当局も反省をしなければならぬのじやないかと考えられるのですが、いかがでしよう。
  40. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は、三対六であつたかどうかは私聞いておりませんが、先ほど来申しておりますように、これは具体的に正式議題になつてからでも、四月の末以来相当の日数かかつております。何べんかこの審議会の議題にもなつておりますが、六月一日の審議会でも結論は得られなかつた。それから、非常にこまかいことは私も報告を聞いておりませんが、数点について、出席の委員側から、こういう点についてさらに掘り下げて検討したらどうだろうかという御意見が出たようでありまして、それらの点について研究の結果は報告を受けることにいたしております。
  41. 川崎秀二

    川崎委員 通産当局あたりあるいはこれを推進しようとしておる側の意見は、この日米石綿社というもののもくろみ書に、その製品の四〇%を東南アジア地域に輸出する、そのことによつて日本国際収支改善に資するから、一挙両得であるという考え方日本の国内における建物の改造にもなるし、同時に東南アジア地域へ輸出するということになれば、非常にいいのではないかという、もくろみ書を一つ基準にしておられるように聞いておるのでありますが、私の聞き間違いかもしらぬ、あるいは材料の集め方が間違つておるかもしれません。しかしこれは公正に考えております。私は質問をしておるからといつて決してただ反対ではないのです。そこで聞きたいのは、そういうことが一つの基礎となれば、日本よりも経済水準の低い東南アジア——どうせビルマかタイ、あるいはその他の地域でしよう。反共地域だと思うのです。それらのアジアの反共地域で、それほどの受入れ態勢というものかあり得るのかどうか。受入れ態勢があり得るものならば、一つのおもしろい考え方でもあろうと思うのです。ところがどうもそういうことの根拠が、非常に薄いのではないかというふうに私には考えられるのだけれども、そういうようなことについての通産大臣の御見解を承つておきたいと思う。
  42. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は確かにもくろみ書にもあつたようでありますし、それから出願者、申請者側でもかなり大きなポイントにしている点であります。それから同時に、それのみではなくて、もしかりに日本がこれを受入れなかつた場合においては、東南アジアの諸国においてこれを受入れて工業化するおそれもある、こういう話題も出ているくらいでありますから、これは確かに研究の一つの課題であると思います。
  43. 川崎秀二

    川崎委員 それは私が今申し上げているように、日本で製造して、そうして東南アジア地域へ輸出するということではなしに、日本が受入れなかつたならば東南アジア地域だけでも工場を興してやるという意味ですか。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そういう話も出ておるくらいであるので、はたしてその製品の四割が、言うがごとくはけるものであるかどうかというような点についても、おそらくきのうの審議会でも一つ出ました具体的な問題だろうと思いますが、それらについてもいま少し情報を集めて研究する必要があろうと思つております。
  45. 川崎秀二

    川崎委員 大体通産大臣のきようの御答弁でけつこうでありますが、私はこれはどちらへきまつてもいいと思つておる。実情をまだ双方とも調べたわけではない。ただもしこれが輸入をされた結果、わが国の中小企業に非常な危機が到来する。その結果は何ら得るところはない。ただ優秀なるフレツクスボードの製品を輸人するだけであつて、そのことが決して日本経済に対してプラスにならぬというような態勢が考えられたときには、これはお取消しになつてしかるべきではないかというふうにも考えます。現にフレツクスボードは製品化しておらぬが、日本にもこれ以上のものができるというイグザミネーシヨンもあつたというようにわれわれも聞いておるので、そうなるとこれらの問題はさらに複雑になつて来はしないか、その意味通産大臣の御善処を願いたい、かように考えておる次第であります。
  46. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御趣旨はよくわかつておるつもりであります。大体私もそういう考え方で慎重に、しかしできるだけ早く結論を導きたい。しかし先ほど佐藤さんにお答えいたしましたように、私は合理的に解決いたしたいと考えております。  それからもう一つこれにつけ加えて申し上げておきたいと思いますのは、えてしてこういう問題については——これをさして言うわけではございませんが、非常に心配をし過ぎる向きもございますので、たとえばこれは非常に悪いたとえになるかもしれませんが、電燈が新しく発見されて使われるという場合に、昔はろうそくを使つてつた。そのろうそくの関係の人たちが非常に心配するが、しかしやつてみれば文明の利器を使つた方が、全体の日本産業合理化になり、また全体としての利益にもなる、こういうような考え方も一方においては忘れられないことだと思います。これは今の問題について特に申し上げるわけではございませんが、私の気持を率直に申し上げたのであります。
  47. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 総理大臣もおられないし、副総理も忙しくて出られないそうでありますから、私たちの質問する焦点が多少くずれて行くと思いますが、ちようど外務大臣がおられますので、岡崎さんに二、三の点についてお伺いをいたしたいのであります。実はビキニ島の犠牲というものは、日本では戦争が終つてから今日まで一番大きな犠牲であるわけです。そこで吉田首相は明日御出発になるそうでありますが、その点についてどういうふうな補償を講ぜられるのか、また外務大臣は吉田さんとは表裏一体の方でありまして、いろいろと左右される点もありますが、この点についてわれわれはこれ以上モルモツトになるのは困る。こういう空気で、御承知のように雨が降つても、このごろビキニの放射能で心配するというような非常に不安な状態であるわけでありますが、そういう点について吉田首相は、アメリカとどういう交渉をされて来るのか、あの犠牲の補償はどういうふうにされるのかということについての御見解を、岡崎外務大臣から承りたいと思うのであります。
  48. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ビキニ島のいろいろの被害につきましては今正確な判定をしてアメリカ側と話を一部し、今後数字が出て来るたびにする予定でありますが、これは当然数字に基くものでありまして、総理大臣に行つて交渉してもらう種類の性質のものでは決してない、こう考えております。
  49. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 総理大臣はそういう意思がないかもしれませんけれども、いろいろ随員とかその他の関係でこういう問題が懸案になつておりますから、その点ははつきりと、アメリカに行かれるのでありますから、ひとつおみやげに持つて来ていただきたいと思うのであります、  それから対日援助資金の問題でありますが、これは日本の今後の経済関係におきまして非常に重大な問題でありまして、私は先日ドイツに行きましたけれども、ドイツの状況とは非常に違つておりまして、もしこの対日援助資金の問題について間違つたことをすると、日本は水久に立ち上れないような非常な苦境に陥るわけでありますが、こういう点についての外交交渉なり、あるいは岡崎外務大臣の所見を承りたい。  もう一つは、先日のいわゆるフイリピンの賠償問題につきましても、いまなお解決されない問題がありますが、こういう点についてもフイリピンはアメリカとの関係も深いわけでありますので、そういう点についての何らかの打開策があるかどうかということにつきまして、この際総理の外遊の前にお伺いしたいと思うのでありますが、外務大臣の答弁をお願いします。
  50. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 対日援助資金につきましては、われわれも慎重に検討しなければならぬと思つております。しかしドイツのあの支払い協定を結びました当時の状況を調べてみますと、今はドイツの状況はたいへんいいのでありますが、あの協定ができた当時の状況を見てみますと、必ずしもそんなに国内の経済状態はよかつたわけではありません。従つて今のドイツの状況を見て、これと比較して言うのでなくて、あの支払い条項をつくつたときのドイツの状況を見ての上ならば、これはまたいろいろ考えもあるかと思います。要するにドイツとの協定ができましたときは、その当時のドイツの経済状況等を調べて米独間に合理的な解決の措置ができた、こう思うのであります。そこでそのドイツと結んだ協定のやり方、つまり三分の二割引とか、二分五厘の利子にするとか、五年間すえ置きにするとか、それをそのまま日本に持つて来てすぐ当てはまるかどうか、日本経済状況を見て適当な措置考えるべぎであつて、ドイツの先例もあるからすぐこれを日本に持つて来ていいか、おつしやるようにドイツと日本とは、その当時のドイツと今まの日本では、状況が違いますので、やはり日本実情に合うような方法を考えなければならぬ、これはまつたく御同感であります。それでそういう点も十分考えまして、慎重に、また日本の支払い能力等を十分考慮しまして、これは外務省だけでもできませんから、大蔵省、通産省、経済審議庁、いろいろな方面と相談して今後慎重にきめるつもりでおります。それからフイリピンの賠償の問題でありますが、先方でもとにかく今日本の支払い能力を調べるための視察団が来ておりまして、もうまようあすに仕事が終りまして帰りますけれども、その結果を大統領がどういうふうに判断するかということに今のところはまず主眼点が置かれておりますので、これをしばらく見てみたいと思つております。ただこれに関連しまして、アメリカも日本と非常に密接であり、アイリピンとも密接でありますけれども、これは平和条約にもありますように、日本とフイリピンの間で片づける問題でありますので、できる限り両国間の話合いで解決いたしたい、こう考えております。
  51. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後にお伺いしたいのでありますが、今度首相は五十余日間世界各国へおいでになるそうでありますが、私が非常におそれておりますのは、吉田さんという方は非常に自我の強い人でありまして、自分がやらなければ日本はうまく行かぬように思つておられまして、東条さんと同じように自信が強過ぎて、あるいは失敗をするのではないかということを心配しているわけであります。吉田さん自身が失敗することは吉田さんのかつてでありますけれども、八千五百万の人間がこのために犠牲になつては因る。今度はアメリカへ行かれたり、あるいはイギリスへ行かれたり、またインドのネール首相に会われるようなときでも——きよう議会に初めて自分の所見を発表されるそうでありますが、われわれの想像するところでは、自分の思つたことが一番正しいと思つておられまして、とんでもない契約をして来るのではないかという心配が国民にあるわけであります。そういう点について、これは茫漠たる質問でございますけれども、少くともわが日本の国民外交として行かれる場合には、やはり国民の輿論や国民の帰趨を十分に考えてやつていただきたい、こういうように思つておるわけでございます。そして吉田さんの五箇年間の長い政治生活の中においては、御承知のようにかつては人気がありましたけれども、この間の輿論調査を見ましても、四八%が二三%に下つたというように日本でも非常に人気がない。サンフランシスコにおいても、きようの新聞を見るとあまり集まらぬというようなまことに気の毒なことでありますけれども、そういう情勢になつて来た。こういうような場合において、少くとも外交の立場からわれわれは将来の日本の大きな桎梏にならぬように、この際特に御注意を願いたいと思うのでありますが、いつも吉田さんと表裏一体にある岡崎さんは、どういうようなお考えを持つて吉田さんを送られるのか、この際吉田さんに開きたいのでありますが、おられませんので重ねて岡崎外務大臣にお伺いしたいと思います。
  52. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 総理のやり方についてはいろいろ御批判もあるかもわかりませんが、事国際関係につきましては、長年の経験もありまして、非常に慎重な態度で処理しておられまして、私はその点について、少くとも日本の不利になるような結果が生ずるとはとうてい信ぜられません。もつとも大きなおみやげが来るということはありますまいけれども、少くとも日本立場を明らかにすることにおいては、何人よりも適任であろうと考えております。
  53. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 時間がありませんから私はこれで終ります。
  54. 倉石忠雄

    倉石委員長 佐藤觀次郎君の御発言に関連しまして、稻葉修君より発言を求められております。これを許します。稻葉修君。
  55. 稻葉修

    ○稻葉委員 この前の予算修正のときに、原子炉築造のための基礎調査研究費として二億三千五百万円を計上いたしたわけでありますが、その後新聞紙筆で承るところによれば、副総理委員長とする原子力の平和的利用に関する審議会なるものが設置されたと聞きますが、それらの構成及びその意図するところは、予算の使用方法を研究するのであるか、それとも一般にもつと積極的に将来原子力の平和的利用全般について計画審議する委員会であるのか承りたい。
  56. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題は実は二段構えに考えております。先般閣議の決定を求めまして原子力の平和的利用の方法論、取上げ方について、小委員会等をつくる準備会をつくることにいたしました。これは平和的利用という観点、それからたとえばその会合をつくる中身の問題として、具体的には私は話しておりませんけれども、たとえば将来原子力研究所の問題をどういうように取上げるべきか、そういうような問題を広く取上げるための準備の機関として考えたつもりでございます。  それから一方原子炉築造を念頭におきながら考えておるところの二億数千万円の予算につきましては、大体が工業技術院の所管の調査研究になりますので、工業技術院を中心にいたしまして、閣議等の決定を求めるまでもなく、事実上各省あるいは各界の御協力を求めて、御趣旨が生きるように、どういうところに予算を配賦するのがよろしかろうか、こういうことを協議をすることにいたしております。従つてそこで話題に出たようなことは、問題になれば一方の原子力平和利用の全般的な準備協議会にも、もちろん話題になつて提起されることはあることと思います。いわゆる二段構えに、慎重を期していたしたいつもりでございます。
  57. 稻葉修

    ○稻葉委員 その工業技術院の関係のものは、実際仕事を始めてどの程度予算を使つたのですか。
  58. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まだ予算の配賦はいたしておりません。従つて執行しておりません。従来の工業技術院の予算と人員の範囲内で、着々準備的な研究は進めております。
  59. 稻葉修

    ○稻葉委員 あのときに非常に問題になつたことは、原子核研究の方にその費用をまわしてくれという学界の強い要望があつたのだけれども、核の研究については相当程度日本でも進んでおるし、こつちの方は全然手がついていないのだから、とりあえずこつちの方へということで、厳格にそういうことを条件として計上した予算であるから、その辺のところは流用されないようにしてほしい。われわれ修正した責任者として、そうしなければならぬと思うが、その点は大丈夫でしようか。
  60. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は非常にはつきりしておりますし、かりに私が流用しようといたしましても、大蔵大臣がこれを許しませんから、大丈夫です。
  61. 稻葉修

    ○稻葉委員 もう一つ、あの予算修正のときに、この緊縮予算では、非常に経済上危険な状態が来るということから、われわれは三つの柱の一つとして資産再評価に関する法律をつくれ、法的強制をしたらどうかということで法案が出て参つた従つてこの法案は相当厳格に規定さるべきであつたのだが、われわれの主張した資本蓄積のための配当制限一割五分というところは、政府原案でもそうなつてつた。ところか聞くところによると、自由党政調会の修正でもつて、遂にこれを二割に引上げる。こういうことではわれわれの意図した資産再評価による企業の健全化、コストの引下げ、輸出の増大という日本経済自立への目標は、非常に弱まつて来るわけであります。そういう点は一体どういう理由で配当制限一割五分を二割に上げるというようなことに承服したのか。あなたは与党の圧力に抑されたようであるが、どういう事情によるのか。
  62. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 大蔵大臣からお答えいたします。これは一割五分に最後の決定を見ました次第で、衆議院におきましてもそういうことに決定いたしました。今稻葉さんの御懸念の二割は、一割五分になつておりまして、政府原案の通りになつております。
  63. 倉石忠雄

    倉石委員長 小平忠君。
  64. 小平忠

    ○小平(忠)委員 明日出発されるといいまする吉田総理大臣の外遊に関しましては、総理御自身にこの委員会に出席を願いまして、その所信を承りたいと思つてつたのでありますが、いまだに総理の出席を願えないのであります。そこで私は総理の外遊に関しましてまず外務大臣に、特に外交問題についてお伺いいたしたいと思うのであります。  総理の外遊については内外ともに大きな関心を寄せ、また国会においても本日総理が本会議の議場においてその所信を明らかにされることと思います。これについて外務大臣としましては、特に外交上の問題で総理にいろいろ御注文をされたことがあると思うのであります。重要な点だけでけつこうでございますから、総理に御注文された事項、あるいは注文はいたさないにいたしましても、外務省として御相談され、特に総理が持つて行かれるような問題について外務大臣の御所見を承りたいと思います。
  65. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は今の外務省でやつております外交上の懸案を総理に依頼して解決してもらおうという意向は持つておりません。従いまして総理に特に依頼する問題はないのであります。こういうときにわれわれの一番期待いたしますのは、日本の大使等も外国におりますけれども、そうゆつくりと、アイゼンハウアー大統領なりあるいはチヤーチル首相なりとひざを交えて話すという機会は、大使といえどもないのであります。この点は総理が行かれれば、そういう機会が当然あるのであつて、そのとき彼我の理解を深めるということは、将来の外交上の基盤としては非常に有効である。期待といえば私どもはそういう点を期待いたしております。
  66. 小平忠

    ○小平(忠)委員 特に外務大臣としては、総理大臣注文というか、やつていただきたいというようなことはないということになりますと——ただいまの外務大臣の御答弁を聞いておると、まさに国民は、総理は一体何のために外遊するのか、儀礼的に一まわりして来るのかというような批判を持つだろうと思うのです。少くとも今度の総理の外遊については、特に外交上の問題で解決をして行きたい、あるいは前進をしたいという点があるからこそ、貴重な国費を使つて米欧に旅行されると私は思うのであります。あえてそういう問題で外務大臣がお隠しにならぬでもいいのじやなかろうかと思うのであります。  そこで総理はまずアメリカを初めといたしまして欧州から東南アジア地域もまわつて来られるのでありますが、やはり日本の現状としまして、昨日からのこの委員会でも問題になつておりますのは、何といつて経済不況対策、あるは東南アジアの防衛対策で、こういつた点からきわめて大きな問題として取上げられなければならぬと思うのでありますが、一体外務大臣は、東南アジア防衛機構というものに対しまして、どういうふうにお考えになつているか、これに参加するお考えかどうか、これはやはり総理の今回の外遊とも大きな関連ある問題だと思うのですが、お聞かせいただきたいと思います。
  67. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 初めの点につきましては、先ほどから申しておりますように、総理が実際に相手国の実情を見、また相手国の考え方を知り、そうして日本実情をよく話すということは、彼我の理解を深めるのみならず、将来の日本政策を立てる上に非常に重要なことである。しかし一々の、よく言われるような何千万ドルの借款をもらつて来るとか、あるいはそのほかにいろいろだ懸案を解決する。それは日本の大使が常駐しておりまして、そういうことで一々総理を煩わす必要もなければ、またそういうことは国際的な慣例にもなつておりません。従つてそういう種類の具体的なおみやげは私はないだろうと思つております。しかしそれでは何にも役に立たぬかといえば、将来の施策の上の大きな基礎になるものが期待できる、こう考えておるのであります。  東南アジアの防御機構というのは、これは新聞等にもしばしば伝えられておりますけれども、どの報道を見ましても、具体的にこういう機構をつくるのだという報道は一つもないのであります。またわれわれも注意して外国から情報をとつておりますが、いまだにそういう考えがまとまつておらないようであります。従つて、何らかの安全保障措置を講ずるような統一行動をとるとか、あるいは何らか集団安全保障的な機関をつくらなければいかぬというようなことは、まさしく各地でもつて言われておりますけれども、こういうものをつくるのだという具体的な機構の内容はないのであります。ところがその内容によりましては、日本としても協力できる場合もあれば、加入できる場合もあり、また内容いかんによつては加入できない場合もあるのでありますから、抽象論でただこういう機構には入ることがいいか悪いかと言われても、それはお答えができないのであります。具体的な問題でこういう条件で入るのであるが、これでどうだということでないと——それが中心でありまして、ただ抽象的な防衛機構というようなことではお答えができないのであります。実際上声はあがつておりますが、具体的なものはまだ一つもないという状況でありますので、ちよつと原則論以外には御返事はしようがない。原則論としては、国連の憲章のもとにおける地域的安全保障措置であれば、それはけつこうなものである、日本としても賛成であるが、ただ具体的にそれに日本が参加できるかどうか、あるいは参加することがいいか悪いかということは、実際上の組織を見てみなければ御返事ができない、こういうことになります。
  68. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと、いろいろ検討しなければならないけれども、東南アジアの防衛機構に関しましては参加の用意があるのだ、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  69. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 今申す通り、内容いかんによつては、入りたくても参加できない。従つて内容を示されない限り、入るかどうかはお答えできないのであります。
  70. 小平忠

    ○小平(忠)委員 時間があれば、もつと掘り下げてお伺いしたいのでありますが、制限されておりますから、きわめて簡単にお伺いします。今度総理がアメリカに行つて、まず非常に歓待されるか、あるいは歓待されないか、これはいろいろな見方がある思うのでありますが、その中で一番大きな問題は、結局東南アジアと極東に対する極東政策において、現にアメリカとイギリスの食い違いがある。これはもう先般の外相会議においても明らかに出ておる。しかしアメリカは強引に極東に対しましては反共政策を打出そうとしておる。英国は現にこの考え方は違うのでありましよう。しかし最後は英国もアメリカに屈服するというような見方をわれわれはとつておるのでありますが、現にフランスの場合においてもアメリカに同調している。そうなつて来た場合に、アメリカは一体極東に対して反共政策をとる場合に、アメリカの現在極東における力というものはやはり空軍力、海軍力、陸軍においてはまさに日本の現在再軍備を強行しつつある保安隊から防衛隊に切りかえられたこの陸上兵力を、極力第一線に出動するような構想がわれわれにはうかがわれる。これは総理が先般のサンフランシスコ講和会議において私は確かに再軍備を約束して来ていると思う。そういうような観点から大きな問題としてぶつかる問題は、やはり太平洋軍事同盟ではなかろうか。現に総理がアメリカに行つて、この太平洋軍事同盟参加を要請されたという場合に、総理はいかなる答弁をされるか、いかなる用意をもつて行かれるか。もちろん外務大臣とも十分打合せてあられると思う。この問題について現にアメリカがとつております、今後とろうとする極東政策に対して、どうお考えになつておりますかお伺いしたい。
  71. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 アメリカの極東政策についてはいろいろお答えのしようがありますが、今おつしやつた軍事同盟とかなんとかいうようなことは——よく杞憂という言葉があります。空がおつこちて来ることを心配しているようなもので、私にはとうてい想像のできないことであります。
  72. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大臣は一笑に付しているようでありますが、それは私はきわめて重要な問題であろうと思います。現に先ほど申し上げました東南アジアの防衛機構の問題につきましても、大臣は具体的な内容を検討し、とこうおつしやつた。しからば検討してこの条件ならばよろしいということでありますから、しからばどういう条件、どういう内容のものであるならば参加してよろしいとおつしやるのか、これは非常にアメリカの極東政策と関連いたしましてきわめて重要な問題であります。所信を承りたい。
  73. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ないものを一体私の方から想像してはちよつと困るのであります。ただ私の考えておりますのは、その目的が正しいものであれば、たとえばこの前の国際連盟のときでもルクセンブルグという国は、その国の要塞をこぼち、その国の軍隊を持たないということを条約できめておりましたが、しかしそれでも国際連盟に対しては金融的な措置その他協力の措置がとられるというので加入した例があります。従いまして加入の方法、加入の条件等はいろいろあるのであつて、われわれとして憲法に反しない、国内の輿論に合うような方法でその組織の目的が正しいものであれば加入できる場合もある。またどうしてもできない場合もある。これ以上の原則論以上は今のところお答えのしようがないのであります。   〔委員長退席、西村(久)委員長代    理着席〕
  74. 小平忠

    ○小平(忠)委員 外務大臣に最後にお伺いいたしますが、きわめて外交上の問題で、十分考え方では持つておられるのでしようが、結局遠慮されておる。ただ今度の国会におきましてMSA協定の批准がありまして、非常に具体的に軍事援助の形が現われて来ておる。先般も艦艇の貨与協定が成立した。今回総理の訪米によりましてMSA軍事援助に伴い、あるいは関連して、武器の援助について、今度さらに強化されるようなお考えがあるかどうか、最後に承りまして外務大臣に対する質問は終ります。
  75. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはもし保安隊においてさような計画があり、さような希望がありますれば、総理を煩わせずして東京におきましてあるいはワシントンにおいて十分話し合う筋道はつくつております。従いましてそういう必要がありますればアメリカ側と話し合いますけれども、これは総理を煩わす問題ではないとかたく信じております。
  76. 小平忠

    ○小平(忠)委員 総理を煩わす問題なければ、総理を煩わさなくても、ただいまの問題について外務大臣はどのように現在お考えでありますか。
  77. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 日本におきまして防衛力をさらに増強するという計画ができまして、それに見合う予算なり人員なりができますれば今度それに見合う武器等の援助は必ず受けることができるとかたく信じております。
  78. 小平忠

    ○小平(忠)委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、外務大臣同様の質問をして恐縮でありますけれども、今度の総理の外遊につきまして、大蔵大臣が現にMSA経済援助その他外資導入等々の問題で具体的に御相談をされ、また考えておられます点がきわめて多々あろうと思うのでありますが、その中できわめて重要な問題だけについてのみお伺いしたいと思います。
  79. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 外貨導入等の問題につきましては、これも外務大臣の答弁がありました通り、現に大蔵省から渡辺公使が行つておりますし、大使館を通じてすべて話をすれば足りることでありますが、またそれが順当でございますが、しかしちようど行かれるときでありますので、資料については出しましたが、何ら総理にこういうことを願いたいと頼んだことはございません。ただ向うで話が出たときに随員等、たとえば向井顧問等が説明される場合の資料は準備をして差出してあります。何も頼むことにつきまししては、外交の、そういう外資導入にしましてもMSAの関係にしましても、これはすべて大使館を通じての話になりますので、私の方から何分御依頼を申し上げておるということはございません。ただ繰返し申すようでありますが、資料の点だけは、話が出たときに随員等の人がこういう資料があるということの説明はできるようにはいたしております。
  80. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その資料の提出の中で、たびたび新聞等にも載つておりまりすが、大蔵大臣の地元の例の愛知川あるいは北海道の石狩泥炭地開発の問題、これらについて世界銀行から相当の外資導入をしたいという構想のようであるかのごとく承つたのでありますが、これは方法論はいろいろ意見もありましよう。しかしこれは日本の資源開発というような面からきわめて重要な点でありますが、この点についてどの程度進められ、またどの程度準備されたか、見通し等についてお聞かせいただければ幸いであります。
  81. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 世界銀行としましては、特に日本の食糧の不足している事情、平年でも二割くらい輸入しなければならぬような事情等から、日本に食料増産が非常に必要であるということを認めておりまして、この点について世界銀行としても相当できれば相談に乗りたいという考えを持つておるようでございます。従つて食料増産について——よく私の郷里だといわれますが私の郷里ではございません。選挙区でもございませんから誤解のないように言つておきます。名前が愛知でありますから何か私のところのように思われますがそういうことではありません。愛知用水はさきにこちらに来たドール氏一行が調べたことがありますので、その名前が出ておるような事情であります。また石狩の泥炭地等もいろいろ調べてありますが、あの一行が調べたかどうか存じませんが、そういうもの、あるいは八郎潟あるいは九州の有明の埋立地等についてもありまして、今後これを実行に移します場合には、いずれ向うの方からそういうエキスパートがこちらに来まして調査した上で、日本政府財政措置、言いかえますと向うから貸し出してくれる資金だけではもちろん足らないことは申すまでもございません。従いまして日本における財政措置等とからみ合せまして、それで最後の決定がきまる。従つてまだどの地点をどうするということはきまつておりませんし、きまるのは相当の時日を要することと考えております。
  82. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は向井さんが出発される前にこの問題についていろいろ具体的に大蔵大臣も相談され、またその促進方について言われたことについて承つております。従つて大臣はあつちこつちどこにも関心を持たさせる、あるいは不公平のないように発言を広くされたのでありましようが、やはり重点的な考え方を持つて行かなければ不可能だと思うのでありまして、現にこの問題が地域はどこということについては、なかなかその決定をするわけには行かないのでありましようが、ただ昨年来問題になつておる外資導入ということについて日本の資源開発、食糧増産というような見地から、大蔵大臣はどの程度本腰を入れてやろうという考えか。今は単に計画を承つたのですが、今後の推進とかあるいは大蔵大臣としての決意のほどを承ることができれば幸いであります。
  83. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 外資直入についていろいろ言われておりますが、ただいま申しましたのは食糧増産の点だけであります。そのほかにも鉄、石炭等についても言われており、それから電源開発等の問題についても若干のことが言われておるのであります。あるいは工作機械等の問題についても触れられておるのであります。それで今食糧増産だけについて申しますと、どれくらい実際それについて金を出してくれるか。またその出す金によつて——どもはやはり重点的にものをやらないと、ばらばらにこれを行うと、いつまでも効果が上らないのではないかというように考えますので、よく農林省ともこの点については緊密なる連絡をとりますが、それよりも先にこういう方法、計画でやるのがいいのではないかというように金を出すものの考えがきまりませんと、こちらとしては予算措置等が講ぜられない。小平さんのお尋ねの点は多分そこにあると思うのですが、日本を現在の食糧不足の状態のままに置いていいということは毛頭考えておりませんし、できるだけ早く増産したいと思いますので、この点については食糧増産計画を向うのものが来ましたときによく相談いたしまして、実行しやすく、効果が上るようにしてもらうよう努めたいと考えておる次第であります。
  84. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの問題は、一応この程度にいたしまして、これは予算の今後の補正あるいは執行等にも重大な関係を持つ点でありますので、この際承つておきますが、過日人事院総裁から地域給の改訂の勧告が行われたのであります。これは昨年の改訂の際当然やらなければならない問題でもあつたし、今官公労の強い要望でもあります。従いましてこれはすみやかに実施されるものと思うのであります。これにつきましては予算上の措置等もあり、あるいは予算補正の問題も起きて来ると思うのであります。この官公労の公務員の強い要請に対しましては、政府といたしましては、すみやかに実施の腹構えなりあるいは準備があつてこそ人事院総裁も勧告の挙に出たと思うのであります。この勧告に対しまして、いつごろから実施されるお考えか、大蔵大臣の御所信を承りたいと思います。
  85. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 人事院の関係につきましては、御承知のごとく担当の国務大臣もありますので、私から直接お話を申し上げることはいかがと思います。またこれはまだ何ら閣議にも上つておりません。ただこれを予算化するかどうかという問題になりますと、これは閣議の決定をまつまでもなく、現在の日本財政緊縮状況からみますと、予算化することは困難ではないかと私は見ております。
  86. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それと関通いたしまして、経済不況に拍車をかけられて最近の勤労者の生活打開のために、われわれはすみやかにこの要求にこたえてやらなければならないと思つておるのですが、夏季手当について大蔵大臣はどう処理されようとしておられるか、伺いたいと思います。
  87. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 夏季手当の問題については、先日の閣議で相談いたしましたが、これは今日の実情から見まして、日本財政実情から見まして、どうもこれを予算化しかねる、こういうことに決定いたしました。なおそのときできない理由と申しますか、そういうものが出ましたことを一、二申しますと、たとえばことしの一月からベース・アップをしておるではないか。また昨年〇・七五に上げたことでもあるし、また今は財政緊縮をいたしておるほかに、だんだんと物価等を下落さす方法をとつておるし、実質賃金も漸次増加しておるのではないか、あるいはまた世の中がこういうふうにだんだんとデイスインフレが強化されるに伴いまして、そこらに不渡り手形が出たり、失業者が出たりする際であるから、この際は予算化するということは困難な点もある。そういう点も考慮してもらつて、この際は官公吏の方は忍んでいただこう、こういうことになつた次第であります。
  88. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大蔵大臣の発言はきわめて重大な発言であろうと思うのであります。今日の経済不況はまさに吉田内閣の永年にわたる暴政、失政のしわ寄せがこうなつておる。これを食うやわずの形にしておいて、さらに総理は外遊をする、あるいは予算がないからといつてただいま言われたようなことを強行する、これは国民生活を無視した政治である。特にただいまの夏季手当については、今日のこの給与ベースにおいてはとうてい生活はして行けないということからの切実な要望であろうと思う。政府としてこの勤労者の要求にこたえるのは当然であるという見地から私は善処を願いたいと思うのであります。  次に先般北海道地方を襲いました暴風雨雪害はきわあて深刻な被害を与えております。特に先般の災害は全道的な被害を受けておりまして、人命死傷は死者が四百名を突破する。さらに住宅の倒壊等においても全壊、半壊等を加えて、その合計が一万六千、この被害の総額はすでに大蔵大臣承知のように五千億を突破しておるという現状であります。これにつきましては特に閣議におきましても先般大野専任大臣が北海道の災害状況を調査されて報告され、またさらに陛下にもこのことを報告されまして、政府は具体的な措置を講じておることについては、われわれ感謝いたしております。しかし地元の要請として超党派的に盛り上げて参りました立法的な措置の中で、現に政府提案あるいは議員提案の形で進めれております問題については、了承できるのでありますが、中に公立学校の倒壊、すなわち学校の災害復旧の問題、さらに住宅の問題については、今日立法措置をとる段階に至つておりません。これについて政府はいかなる財政的なあるいは金融的な措置を講じて、この災害対策の万全を期せようとお考えになつておるか、この点大蔵大臣からお伺いしたい。
  89. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 先般北海道に発生しました災害に対しましては、まことに御同情申し上げる次第でございます。農業関係につきましては、もうすでにいろいろな方法をとりましたから小平さん御承知でございましようが、念のためちよつと申し上げておきますと、苗代被害につきましては、第一に所要の補助金を計上いたしました。それから開拓地、魚田開発地区の住宅被害につきましては、従来の災害の例にならいまして、二分の一の補助を行いました。それからサイロ、畜舎等農業用施設の被害につきましては、農林漁業金融公庫から貸付を行うことを予定しております。それから今の苗代、開拓地、漁田開発地区の住宅被害等の関係、そういうものは農林省の現地査定が済み次第予備金から支出する考えでございます。漁民の災害につきましては、漁船、漁具の復旧につきまして融資措置を講ずることといたしまして、さきに所要法案の御審議を願つたことはさつきお話通りであります。今学校その他はどうかというお話でございますが、これは日ド協議中でございまして、成案を得次第適当の処置をとりたいと思つております。特に法案をつくらない場合には先例によつてやりたいと考えておる次第であります。
  90. 西村久之

    西村(久)委員長代理 小平君、時間の関係がありますから、どうぞ……。
  91. 小平忠

    ○小平(忠)委員 簡単であります。  きわめて御懇切なる御答弁をいただきまして、災害地の関係者は非常に喜んでおると思うのでありますが、ただ、超党派的に出されました農林水産業施設災害が復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案が、前後三回本会議の日程に上程せられて、いよいよきようの本会議でひとつこれを上程しよう——ところが承りますれは、この法律の一部改正は、大蔵大臣が非常に反対をされておるということを実は聞いたのであります。しかしこの法の改正というものは、御承知のように昨年の大災害の結果制定されました臨時立法の内容と全然かわつておりません。補助率の十分の九もかわつていないのであります。北海道の異常な災害についてこれを適用するという一部改正でありまして、これについて大蔵大臣が、大蔵省当局が反対をされるということはどうも理解に苦しむのでありますが、その点は事実かどうか。さらに北海道は今度の災害で十四筒町村に災害救助法を発動いたしておりますが、地方財政窮乏の段階において、なかなか具体的な措置を講ずることができないというような観点から、これに関連いたしまして、この災害救助に関するさらに進んだ金融措置財政措置その他厚生等の措置について、いかようにお考えになつているかあわせてお伺いしたいと思います。
  92. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実は北海道におきます暴風雨雪害による被害の農地、農業用施設——開拓地住宅、サイロ、畜舎等の農業用の個人施設並びに共同施設について九割の補助を出せ、これはちようど昨年の相次ぐ風水害にならつたことは今小平君のお話通りであります。実は九割を出さなければならぬということは、まつたく国庫の負担割合が高過ぎるのでありまして、大蔵省から見ますと、ほかの災害対策とバランスを失すると思われます。今回の災害は、ほかの一般の例によつて処理すべきものだという考え方から、つまり全体を見まして、こういう高率を適用するほどの災害ではない、こういうふうに考えて、一般災害の例によつて処理したい、こういうことを大蔵省で申しておるのでございます。なおサイロとか畜舎とかいつたものにつきましては、これは農林漁業金融公庫から貸付を行う方が適当でありまして、こういうのについて国が補助することは適当でない、かように実は考えておる次第でございます。大体におきまして、よく言われました、いろいろ補助金等についてこまかいものが来て、先の方へ行つて困るというような御意見等もありまして、今回補助金等を整理する法案を出して御協賛を得た分もございます。もつとも御意見等もあつて、農業委員等についてはその後修正されまして、それで三億数千万予算がふえることになりましたが、大体におきまして、あまり補助金のみに依頼するということでなくして、特に被害の種類によつてはその点お気の毒にたえぬけれども基準については農業共済制度もあり、また営農資金の貸付等もあり、その他他にいろいろ方法等もございますので、この際は、国庫負担の非常に多い際でもあるので忍んでいただこう、こういうことから、私どもその意味を申し上げている次第でございます。
  93. 小平忠

    ○小平(忠)委員 時間が参りましたから、最後に一点で終りにいたします。ただいまの大臣の御説明は、理解できるところもありますけれども、災害そのものの取扱いについて、その考え方について、特に一般的災害の取扱いをするということはわれわれ承服できないので、さらに善処を願いたいと思うのであります。  そこで、本年もまた日本の置かれておる立場から、異常災害等が発生しまして、相当国庫負担を要する問題、あるいは先般の繊維税の関係において予算に食違いが来ておる、さらにまた、本日昨今の参議院における警察法案の審議の状態を見ると、本日をもつて一応会期が満了でありますから、この警察法案がもし不成立に終つたというような場合には、結局二百億に近い厖大な予算の食違いがそこに出て来るというようなことから、私は単に警察法の問題を云々するだけでなく、今日の経済不況打開策、あるいは災害問題、そういつた観点から、当然早急に臨時国会を召集いたしまして予算の補正をやらなければならぬのではなかろうか、こう考えます。これについて、先ほど同僚佐藤委員の質問にはきわめて抽象的にお答えになりましたが、これは現実の問題でありますので、この機会にひとつ大蔵大臣の率直な御意見を承りまして、私の質問を終りたいと思います。
  94. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 繊維消費税等が不成立に終り、あるいはまたそのほかのいろいろな法案等が流されるということが起つて来るについては、特に私の方で、先ほど申したように物件、施設費等実行予算節約をはかつて参りますので補正予算を必要としないかと存じますが、万一にも警察法案等が通過しない場合には、お示しのごとく、他に方法がつくかつかぬかちよつと判定に苦しむほどの重大な問題でございます。従つて、さような場合には補正予算もまた考えざるを得ないことが起つて来るであろう、こういうふうに私は思います。
  95. 西村久之

    西村(久)委員長代理 それでは、これにて暫時休憩いたします。    午後四時八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかつた