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1954-02-19 第19回国会 衆議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十九日(金曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 川崎 秀二君    理事 佐藤觀次郎君 理事 今澄  勇君       相川 勝六君    岡田 五郎君       尾関 義一君    小林 絹治君       迫水 久常君    庄司 一郎君       高橋圓三郎君    富田 健治君       中村  清君    羽田武嗣郎君       葉梨新五郎君    原 健三郎君       福田 赳夫君    船越  弘君       本間 俊一君    八木 一郎君       山崎  巖君    山本 勝市君       小山倉之助君    吉川 久衛君       河野 金昇君    河本 敏夫君       中村三之丞君    足鹿  覺君       伊藤 好道君    滝井 義高君       松原喜之次君    山花 秀雄君       横路 節雄君    岡  良一君       川島 金次君    河野  密君       佐竹 新市君    堤 ツルヨ君       西村 榮一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         文 部 大 臣 大達 茂雄君         通商産業大臣  愛知 揆一君         運 輸 大 臣 石井光次郎君         労 働 大 臣 小坂善太郎君         建 設 大 臣 戸塚九一郎君         国 務 大 臣 加藤鐐五郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 二月十九日  委員小平忠君辞任につき、その補欠として佐竹  新市君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十九年度一般会計予算  昭和二十九年度特別会計予算  昭和二十九年度政府関係機関予算     ―――――――――――――
  2. 西村直己

    西村(直)委員長代理 これより会議を開きます。  昭和二十九年度一般会計予算外二案を一括議題として質疑を継続いたします。西村榮一君。
  3. 西村榮一

    西村(榮)委員 現下の重要問題は、何と申しましても政局不安と緊縮財政から招来される日本経済変化国民生活あり方であります。おそらく予算案は、政府原案をそのまま通すあるいは修正するにかかわらず、現下状況から行きまして、本予算案は成立せしめなければならないと存ずるのでありますが、しかしながらその予算案から招来する日本経済変化並びに国民生活あり方というものにつきましては、国民は重大なる関心と不安を持つておるのであります。従つて私は以下その二点について現閣僚に御質問申し上げたいと思うのであります。閣員各位におかれても、この重要なる問題については率直なる所見を述べていただきたい。私はつらつらこの議会を見てみますると、これほどうその多い、詭弁をもつて我意を通さんとする議会は見受けられないのでありまして、かくして議会政治の権威と信用を失墜することははなはだしいと思うのであります。私は閣員各位が率直なる御所見を述べられるならば、決して片言隻語をとらえてあげ足をとるようなことはいたしません。従つて現下二つの重大なる問題について、閣員各位におかれては率直なる所信を述べていただきたい、こう思うのであります。  まず第一に、大蔵大臣おいでになりませんから経審長官にお尋ねしたいのであります。政府は二十九年度の国民所得を五兆九千八百億円と推定されたのでありますが、私はどうもこの国民所得の見積りというものはふに落ちないのであります。時間も乏しいのでありますから愛知経審長官からひとつ率直に簡潔にお答え願いたいのであります。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お答え申し上げます。二十九年度の国民所得算定は、大体次のように基本的に考えておるわけでございます。第一が産業活動でございますが、これは二十九年度の上半期につきましては大体二十八年度の第四・四半期の水準を維持すると考えておるわけでございますが、下半期におきましては消費財関係産業を中心にいたしまして、生産上昇の停滞ないしは縮小が起るものと予想されますから、全体を通じて先般来申し上げておりますように、二十八年度程度水準は、二十九年度においても維持するであろう。指数で申し上げますならば鉱工業の生産指数ならば一五二が維持されるであろう、こういうふうに考えます。それから次に農業生産におきましては平年作が確保されるといたしますならば、農業生産昭和二十八年度に比較いたしまして、一一五・七%程度生産上昇となります。それから林業生産につきましては二十八年度と大体同様の程度が維持できると考えます。また水産業生産活動につきましては、二十八年度におけるような海洋異変がないということで一〇六・二%程度水準と考えております。それから物価につきましては、先般来累次申し上げておりますように、生産財については大体年度を通じて六ないし七%、消費者物価におきましては大体主ないし四%程度というふうな開きがあると考えられる、これらを総合いたしまして国民所得計算いたしますと、先ほど御指摘のありました通り五兆九千八百億ということに勘定をいたしております。
  5. 西村榮一

    西村(榮)委員 ただいまの御答弁は大体新聞雑誌で了承いたしておつたのでありますが、昨年の十二月八日、参議院の予算委員会において大蔵大臣は、来年度の国民所得は六%ふえて六兆二千億円になると言明されたのであります。その六兆二千億円を国民所得と推定される根拠と、今日あなたがお述べになつ国民所得算定根拠とは何らかわつていないのでありまして、従つて大体において国民所得大蔵大臣の昨年の十二月八日、すなわち二十九年度の予算の編成後において、原案をつくられた後において見積られた額が私は正しいのではないか、今かりにあなたがおつしやるように、国民所得がこの程度のものであるとするならば、デフレ緊縮財政というものが政府目的通り達成せられるならば、国民所得というものはもつと減少しているはずです。たとえば経審の発表された中で見ても、一千億円の財政投資が減れば、三千億円の国民所得が減るという計算を立てておられる。そうすると財政出投資が五百八十四億円減つておりますから、国民所得は一千七百億円減少するはずでありますが、前年度とかわらない国民所得という計算というものは、私どもは了解に苦しむのであります。結局国民は昨年度の所得よりも六%ふえて六兆二千億円の国民所得という大蔵大臣説明は大体常識的ではないか、しかもそれをなぜ今のように五兆九千億円に圧縮されたか、これは一兆円予算をつくらんがために、その角度から圧縮されたのであつて、これは結局次の追加予算を編成するための経審並びに大蔵大臣の深謀遠慮なりと考えておるのでありますが、しかし時間がございません。これは私はあえてあなたの答弁を求めません。しかしこの点はもつと明確に御説明なさつておかなければ、頭隠してしり隠さずということになります。  そこで私は、大蔵大臣がお見えになつておりませんから、緒方さんでもけつこうであります、次にお尋ねしたいと思いますことは、二十九年度政府がお示しになつ緊縮財政であります。私はこのデフレ政策というものは、過去五年にわたつてインフレ政策自由党一大方向転換だと思うのでありまして、これは大蔵大臣も率直に過去の政策が誤つてつたのだ、新しく再出発しなければならないのだという弁明をなさつたのでありますから、私はあえて追究いたしません。しかしながらデフレ政策をとらんとするならば、単に財政規模を圧縮するだけではなしに、それに伴う金融生産、貿易、物価並びに国民生活との関連性を持たねばならぬのでありますが、ここにどこにも関連性を持つていない。ただ財政規模を一兆円以内に圧縮したというだけでは、デフレ目的というものが達せられないのと同時に、私がまずこの計画性を現内閣に問わんとするのはどこにあるかといえば、緊縮政策によつて生ずるものは、まず第一期はその財政政策方向転換から来る経済界並びに国民生活混乱であります。第二期は中間安定期である、第三期において初めてデフレ政策というものの効果を現わして来るのでありまして、なかなか初期においては困難であります。従つて第一期の混乱期に一体どう対処するか、次に中間安定期に対してどういう見通しを持つているか、その中間安定期を通じて発展方向に向つてデフレ緊縮財政の大きなる効果を一体どこに上げるのであるか、この年次計画総合計画がまずなければ、財政方向転換というものは、いたずらにこれは世人を惑わすものだと私は懸念するのでありますが、緒方副総理はこれに対して内閣を代表して総合的な御答弁を願いたい。こまかいことは大蔵大臣にお尋ねいたします。
  6. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 お答えをいたします。今度の経済政策の趣旨は、今後の企業及び国民生活質的充実を主としてわが国経済の将来の発展を期しておるのでありまして、ただいま御質問のこの政策国民生活かつすべての面に相伴つて行き渡らなければ、この効果は上げられないということはまことにごもつともであります。政府としましても企業健全化をはかり、国力不相応な消費が相当行われておるように思われますので、その抑制というようなものに対しまして国民全体の自覚を要請いたしまして、それによつて順次引締めて、デフレ政策実効の上るように逐次手を打つて参りたいと考えております。
  7. 西村榮一

    西村(榮)委員 あなたにこまかいことをお尋ねするのは無理だと思いますから、今の御所論はやがて機会をあらためて大蔵大臣にお尋ねいたしますが、しからば内閣全体として構想されておる緊縮財政の一環とする物価切下げの問題であります。この物価切下げの問題は、政府は大体一割を目途としておられる。私がここに問わんとするところは、五%ないし七%、終局の目的は一〇%の物価切下げというものは、一体いつごろ実現するのであるか。同時にその下げるべき諸政策は、いかなる具体的な方策によつて立てられるのであるか。すなわち物価を一割下げるという時期と、同時にその具体的な諸政策という問題についてお答えを願いたい。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お答えいたします。物価引下げについての一番基本的な問題としては、いわゆる過剰な投資需要と申しますか、これを切つて行くことにあると考えますから、たとえば予算の上におきましても、財政投融資は、先ほど御指摘通り、相当額減少いたしておるのであります。そうしてこれは前にもお話申し上げましたが、生産財消費財にわけて考えてみましても、需要供給の原則から申しまして、たとえば生産財についていえば、供給が大体同じである。それに対して需要が減少して来る。それから消費財について言えば、供給が増大して、需要が大体かわらない。こういう関係から申しまして、今回の基本的な財政金融政策は、全体としての物価低落の傾向を見通されることは、私は明らかであると思います。そこで具体的のそれに照応した政策というものが必要でありますことは御指摘通りでございます。たとえば基幹産業等につきましては、各業種別につきましても従来からいろいろ考えられておるところの措置がございますことは御承知通りでございますが、さらに税制上の配慮くふうをする、それから財政投融資重点的配分をするというようなこと、あるいは基本的物資については、適正な需給度の測定ということからいつて一つ生産目標というものを妥当なところに置くということによりまして、各般の企業努力というものが総合的計画的に実行できることになる、こういうふうに考える次第でございます。
  9. 西村榮一

    西村(榮)委員 これは緒方さんから、大局でよろしいからお伺いしたいのでありますが、ただいま経審長官の御答弁によりますと、財政投融資を節減して行く、そして物価を切り下げるというお話でありました。そうすると、日本産業近代化生産コスト切下げというものが一応そこにストップされる現象が生じて来るのであります。今疑獄事件とかいろいろなことも言われておりますが、財政投融資目的というものは、戦後において民間資本蓄積が乏しいから、政府財政資金をもつて国際競争に耐えるような生産コスト切下げ合理化を行うというところにあるのであります。その途中においてこれをぶち切るということでありますならば、生産コスト切下げというものは、ここに不可能になつて国際競争に耐えられなくなり、同時に日本物価が――ただいまその時期を愛知君は明示されなかつたのでありますが、かりに今抽象的に言われるように、下半期においてデフレ政策効果が現われると仮定いたしまして、現在の状況から申しますならば、世界各国生産過剰の段階であります。従つて日本は一割の物価切下げ目的通り達しても、現在の世界各国生産過剰状況から申しまして、日本が一割下げたときには、各国は一割五分から二割下げておるのであります。こういうふうなときで、私は時期をお尋ねしておるのであります。従つてその時期並びにこの世界経済の動向から考えてみて、日本緊縮財政というものが間に合うのか間に合わないのか。ということは、ここでは国際収支が問題になつて来ておる。そこで私は今緒方さんから大まかでよろしい、あなたは専門家でないから、私はあなたのあげ足はとりませんが、大まかに所信のほどを披瀝していただきたい。一割物価切下げの時期、一体これをどういうふうにするかということを政治的角度から御答弁願いたい。
  10. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 財政投融資の出発いたしました意味は、今お話通りであります。緊縮予算の手前、政府としては政府所見によりまして財政投融資を多少引締めましたが、しかし政府の見るところによりまして、これだけはぜひとも財政投融資をしなければならないと思うものには、できるだけの投融資をしておるのであります。その意味におきまして今年の財政事情からはやむを得なかつたと考えております。この結果がどういうふうに現われるかということにつきましては、先ほど経審長官からお話した通りでありますが、このデフレ政策が逐次効果を上げて参りまして、輸出振興も次いで行われ、コスト引下げ輸出振興が相伴いまして物価の方にも影響して参ると思いますが、今国際的にそれでは手遅れになるのではないかということにつきましても、政府はできるだけの努力払つて、そういうことのないようにして参りたいと考えております。
  11. 西村榮一

    西村(榮)委員 ただいま緒方さんの御答弁にありましたけれども、五百八十四億円の財政出投資を削つても、日本産業近代化はさしつかえないのだというお答えでありました。そうすると今までは五百八十四億というものはよけいに前年度出しておつた。こういうことになる。今の御答弁は少し私はおかしいと思うのだけれども、しかし私はそのことには深く触れません。同時に愛知君の先ほどの御答弁の中にも私は将来そういう答弁をしない方がよいと思うのは、物価切下げ消費節減によるというのでありますが、経審の調査によると、消費水準は三%上げておる。従つてここにもまた矛盾があるが、私は追究いたしません。ただ政府の方針の中に矛盾があつて、このデフレ予算というもの、緊縮予算というものは、どうも政府の腹の底に入つていないのじやないかということだけが感ぜられるのである。同時に物価の値下げにしても、今電力、鉄道、ガスの値上げの申請があります。同時に米価は一二%すでに上つておる。このときに私は一連の緊縮財政関連性を求めるというのはこの点であるのでありますが、しかしそれは時間がございませんので、私は深く入りません。  そこで次の問題として、大蔵大臣がお留守でありますから、大綱だけお尋ねいたします。金融政策でありますが、デフレ政策に付随するには金融政策というものが両々相伴わなければならぬが、今の緊縮財政は一兆円にこれを縮めたけれども金融政策というものは相伴つていない。そこでくだくだしいりくつは省略いたしますが、緒方さんにお尋ねするのは、今問題になつておるオーバーローンというものの解消の問題が自由党並びに閣議で問題になつて日銀との協議の結果、一応たな上げされたように見えますけれども、しかしこのオーバーローン解消するにあたつて、一応オーバーローン解消したが、現行の金融政策で行きますならば、民間銀行の貸出し能力というものがふえて、再びオーバーローンに逆転する。日本経済の本質がそうなつている。資本蓄積が乏しいのでありますから、やはり貸出しがふえて行くということになると、オーバーローン解消とともにどうしても提示しなければならぬものは金融政策です。従つて、現内閣緊縮財政とともに、金融三法を同時にお出しになる御意思があるかどうか、緒方さんにお尋ねしたい。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 かわつて答弁いたします。オーバーローン解消構想金融政策でございますが、オーバーローン解消構想をとりまとめて具体的にできまする場合には、当然今後における金融政策とにらみ合せて健全な金融政策、あるいは金融引締め政策というものが同時並行的に行われなければならぬものと考えます。  それからいわゆる金融三法につきましては、大蔵大臣から御答弁いたすべきでありますが、ただいまのところこれを提出する用意はまだいたしておりません。
  13. 西村榮一

    西村(榮)委員 時間を食うから、今の愛知君の御所論に対して、別なあれは差控えましよう。  そこで問題になるのは、緊縮財政をとるには、金融がその裏づけにならなければならぬ、こう申したのであります。極力経済を圧縮して、国民貯蓄を求めて、その貯蓄された資本生産方面に向ける、あるいは一般金融にしても、不生産的な不急不要な投資よりも、日本再建に役立つ、再生産方面に向けなければならぬ。乏しき信用力、乏しき通貨の中から有効に使わなければならぬということになりまするならば、ここに不急不要にして、かつ不生産的な資金投資を抑制して、生産方面にこれを有効に活用するという金融政策裏づけがなければ、緊縮財政実効は上らないのであります。従つて私は、そういうふうな意味において、金融統制を何らかの方法において加える御意思がないかどうかということを、幸いに大蔵大臣おいでなつたからお尋ねいたします。
  14. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちよつと途中から参つて金融統制のことだけ伺つたのでありましたが……。
  15. 西村榮一

    西村(榮)委員 途中からだつたら、緒方さんでも簡単に答えてください。
  16. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 金融統制する意思があるかというお話に伺いましたが……。
  17. 西村榮一

    西村(榮)委員 いや、それだけではない。
  18. 西村直己

    西村(直)委員長代理 では簡単に、質問をもう一回。
  19. 西村榮一

    西村(榮)委員 おる閣僚から答えたらよいでしよう。――私は、緊縮財政裏づけとして金融政策が伴わなければならぬと先ほど来述べておる。金融三法の問題も出ました。そこで次の段階に入つて来て、乏しい通貨発行量の中から、信用力の中から、これを有効に使うためには、不急不安の事業並びに不生産的事業への資金の流出を禁止して、これを有効に再生産的方向に活用せねばならぬ。そうしないと、緊縮財政実効が上らないと同時に、国民耐乏生活を求めたけれども、その耐乏の結果、国民に幾らかでも貯蓄ができるとするならば、その民間で増大された資本蓄積力国家再建のためにどこに活用するのであるか。この大目標国民に与えなければ、金融業者一般産業人の、国民の、緊縮政策についての日本再建への協力もおぼつかないじやないか。そこでそういうふうな問題についての金融政策あるいは金融統制というものを、政府は用意しておられるかどうか、こういう点なのです。
  20. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 いや、よくわかりました。仰せのごとくに、予算緊縮ということは、それのみで所期目的を達するものではございません。なかんずく、金融引締めの強化ということは特に必要であります。従いまして、これに対する諸般の政策を今立てており、また銀行協力を求めておるのでありますが、ただ私どもは、銀行協力を求めて自発的に銀行から、仰せになりましたような国の要求しているような方面に、資金を出してもらうということを希望しておるのであります。私もそういうことを機会あるごとに話しておりまして、銀行協力してくれることと思いますが、もし遺憾の点がございますれば、どうしても所期目的を達するために、ある程度資金統制も考えざるを得ないであろう。しかし今日はまだなお、自主的に銀行が国に協力するという態勢をとつてくれるように努めてその協力を求むべき段階だ、私どもはかように考えている次第でございます。
  21. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると、あなたの御意見は、金融統制というものは、民間市中銀行の自主的な判断に一応まかせる。しかしそれが不可能な場合においてはやむを得ない、こういう御意見ですね。そう承つてよろしいですね。
  22. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 そうです。
  23. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると、先ほど愛知君への質問のときに申し上げたのでありますが、オーバーローンを解相する場合においては、このオーバーローン解消するとともに、金融統制、新しい金融政策というものがなければ、国家資金をもつてオーバーローン解消したが、再びオーバーローンを繰返すことになるではないかと質問したのです。あなたは留守だつた。私はその点から、現在の緊縮財政――日本財政規模を引締めて、将来再生産方面に向わなければならぬという緊縮財政には賛成しているのです。しかしそれは金融の面から破綻して来るではないか。従つて今言うように、銀行の貸出しは、何と申しましても金利の高い、そして回収率の早い方面に流れることはもうあたりまえなのです。これをとがめることはできない。しかし国家百年の大計から考えるならば、目前には利益不利益があつても、国際競争力並びに日本国際的地位を高めるためには、国家大局的立場に立つて金融操作をなさなければならぬ。そこに金融統制というものが二つ目的から生れて来るのではないか、こういうのですが、もう一ぺん重ねて、くどいようですけれども緊縮財政実効を上げるために、そうのんきに、あなたのように、実効が上らなかつたときにということよりも、緊縮財政裏づけとして金融統制というものをお考えになつたらどうか。
  24. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私どもとして、は、仰せになりますように、緊縮財政裏づけ一つとして金融の、いわゆる引締の強化を考えておるのであります。しかしながら、まだただちに金融統制まで持つて参る段階ではない、かように考えておるのであります。  なおオーバーローンの問題につきましては、過日も御質問お答え申し上げましたが、目下われわれ日銀との関係がありますので、日銀政策委員等意見もいろいろ徴しておるのであります。一応政府大蔵省案として日銀政策委員等に見せ致したものは、どういうことが主になつておるかと申しますと、御承知のごとくに、開発銀行その他を通じて預託をすることによつて、その預託担保を入れさせ、期限を付してこれを返させる。市中銀行では現実担保を入なければならぬ、現実に金を返さなければならぬということで、西村さん御承知のように、そういう点から今度は反対しておるのでありますが、一挙にオーバーローンを解決することは現在の日本では許されない。そういう事情のもとにございませんので、漸を期してそういう方に持つて参る、こういう考え方で臨んでおるのでありますが、これもいわば金融の引締め強化一つの方法としてやる。私どもこういう考え方であるのでありまして、それがだれかが言われたように、おやじのところからおじさんのところへ借りを移しただけで同じことになつて、おやじの手元がすいたように児えるから金融がかえつて楽になるような印象をかりそめにも与えることになれば、これはお話と違うことになりますから、さような措置はとらないという考えでおります。ただ西村さんはそういうことじやなく、自分が言うのは金の質的統制をやる必要があるのじやないか、今日はもうその段階ではないか、こういうことだろうと思います。これは私ども質的の融資方面に対する考え方を、各銀行に自主的にかえてもらいたいと思つております。それに対して協力を求める。これは私もこの間うち数回銀行協会の会合に出まして、また金融業者の会合に出まして申しております。しかしこれがさらに数箇月たつて協力を得られなかつたときは――西村さんの考え方では、少し手ぬるいじやないかと仰せられるかもしれぬが、尽すべき手を尽してその次にそういうことを考えるべきであろう、こう私どもは考えておるのであります。
  25. 西村榮一

    西村(榮)委員 現職の大蔵大臣としては今の御答弁よりしかたがないでしよう。しかしながら私はくどく言うけれども緊縮予算裏づけとしては、金融統制は古今東西の財政家のとるべきものだ。その御答弁は今のあなたの立場からやむを得ないが、これは今から自主的に用意しておかれなければならない。そこで私が思うのは、財政を圧縮する、それから資金信用のわくを圧縮する。同時にそこで考えなければならぬことは、信用のわくは圧縮するけれども日本経済再建に要する建設費は圧縮してはならぬ。この矛盾を解決するためには、新しい日本緊縮財政という画期的な方向をとる場合においては、通貨の性格を考慮する必要があるのじやないか。一例をいえば、普通の通貨生産通貨をわける、これはなかなか技術的に困難も伴います。先ほどあなたが留守のときに緒方さんにいろいろお尋ねした目的はそこにあつた。緊縮財政は第一期は混乱期で、第二期は中間安定期で、第三期に初めて効果が現われる。そこでその効果を現わすためには、何というても生産の再開と発展的な方向がなければならぬ。通貨緊縮するけれども生産はとめないという立場からいえば、ここに新しい生産計画を立てて、その生産計画に従つて特殊な公債、建設公債あるいは建設手形とかいうものが一応考慮されてもいいのじやないか。そうしないと緊縮心々で産業界が萎縮してしまい、雇用量も減退するし、そこに失業あるいは社会不安が起きて来る。むだなものは極力圧縮する、しかし生産は圧縮しないで人間はどんどん働いてもらうということで、それに要するところの資金は、生産方面にひもつきの建設公債と建設手形の発行をする、これも考慮すべきものではないか。緊縮政策は極力やるという反面に、そういう発展方向を考える必要があるのじやないか、こう思うのですが、あなたはどうです。
  26. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 大体御同感の点が多いのでありますが、御承知のごとくに、今の日本の置かれておる内外の経済事情を見ますると、何といつて日本物価は国際的に割高でありますから、そこで日本物価をある程度国際水準に近づけしめる処置をとる。このことのためには、やはり日本経済の基調をだんだんと国際経済基調に近づけて参る必要がある。そこでこの一両年なすべきことは、その国際基調に近づける処置をとるべきであつて、その近づいたときに、次に行わるべきものが、あなたが言われるような日本の建設的な各種のことを――もつともこれは前から考えて行つて行くのでありますが、特に積極的にやるべきであろう、私は実はこう考えておる。もちろん仰せられるまでもなく、これは緊縮目的でもなく、物価を下げることが目的でもありません。これは日本国際競争力を高めて国際基調に持つて行くための一つの方法なのでありまして、目的とするところはあくまで日本経済の繁栄にあることは申すまでもありませんから、そのことはもうちよつと先へ行つて考えるべき問題だ、私はこう思うのであります。
  27. 西村榮一

    西村(榮)委員 私が先ほど言うたのは、政府目的通り物価が一割下つても、今日の世界の生産状況からいつて日本物価が一割下つたときは世界各国物価は一割充分ないし二割下つておる段階である、従つて一割値下りの時期は一体いつか。そこでその目的を逸するためには急速なる施策が必要じやないかというのは先ほど御質問したけれども、これは重複するから避けましよう。  そこであなたにお尋ねしておきたいのは、あなたが先般お述べになつた現在の為替レート三百六十円を堅持して行くという御方針は私は賛成なのです。ところがこの目的を堅持する具体的な施策というものがどこに伴つておるのだ。あなたのお述べになつたこの希望は、どこに裏づけされる具体策があるかということについて世人が非常に不安に思つておる。そこで簡単でいいですから要点だけ、ひとつあなたの三百六十円為替レート堅持の具体策をお述べ願いたい。
  28. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは過日来申しましたごとくに、私どもは一方で財政緊縮をやり、他方で金融の引締めの強化をやつて日本通貨の健全性を強めて参る。それから一方で、私どもの処置し得るものは税制その他の面もありますから、そういう方面からできるだけ資本の蓄積と輸出増進に役立つ措置をとる。さらに外貨の面がやはり大蔵省に関係する面でありますから、外貨の操作をやる。なかんずくこのごろ輸入について非常に思惑的行為が行われておりますから、これを厳重にとどめる措置をとる。また物価を下げないために滞貨金融をやつておりますが、こういうこともやめる。つまり一つでこれなら三百六十円為替レートの堅持をすぐやれますぞという名案を私は持つておりませんが、そういうようなあらゆる施策を総合して参れば、これで今年すぐに実費三百六十円堅持ということは私は言い切れませんけれども、一両年のうちにはここへ持つて参れる、こう考えておる次第であります。
  29. 西村榮一

    西村(榮)委員 犬養法務大臣はまだ出席されませんか。
  30. 西村直己

    西村(直)委員長代理 間もなく参る予定であります。
  31. 西村榮一

    西村(榮)委員 それでは為替レートの問題については今抽象的にお尋ねをいたしました。しかし大蔵大臣、世人の不安に思つておるのはここにあるのです。たとえば三百六十円の為替レートが制定された二十四年四月を基準として、日銀の統計による物価指数から見ると、今日においては五百円を突破している。日米両国の購買力の平均価格は四百六十四円です。同時に世人の最も神経をとがらしたことは、今度は日英の協定によつて為替レートが一セント変更されたことです。これははなはだ小さいことであるけれども、将来これが突破口になつて三百六十円の為替レートの堅持が困難ではないか。しかもこれは実勢価格がくずれておるということと、同時に政府の施策が三百六十円の為替レートを堅持するの裏づけがないというところにある。そこで今のあなたの御説明を承りましたが、私はあなたと議論をしておる時間がございませんから、はなはだ失礼でありますけれども、現在の政局の動向から考えてみて、ことしの秋まであなたが大蔵大臣おいでになるかどうかということはなかなか疑問であります。しかしこれを政治的にくずさないとしても、三百六十円の為替レートは客観的にはくずれざるを得ないというのである。そこで問題は九月になると、これは変更の時期が来る、一割だけ日本の自主的に変更される。そういう時期になつて一割変更する。物価は一割下る。為替レートは一割は変更するだけの自由なる権限は日本は持つておる。そうすると二割、これでなければ国際貿易で太刀打ちできないのじやないかというのが、今の世人の予想です。懸念するところです。この懸念がないとするならば、懸念がないというところを明確にお示しを願うと同時に、それが破れたときに政治的責任は一体どこにあるか。私に現在のこの為替レートの変更というものは、円の切下げに重大なる影響を持ちまするがゆえに、重ねてひとつお尋ねいたしたいと思います。
  32. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 政府として為替レートを変更する意思なきことは、たびたび申し上げた通りであります。ただ今お話になりました二十四年の一ドル三百六十円ときめました当時からの物価の数字から見ると、大体御指摘通りのようなことがあつたと考えられますが、そこで私ども日本物価をまず下げることが、この施策の最も必要な方面であるということで、それを目標に掲げて国際収支の均衡へ早く持つて参るようにしよう、こうしたのはその点からなのであります。それで今お話になりましたポンドの点ですが、ポンドはちようど日英交渉のときに、向うとの話で、これは前からきまつておりまして、二ドル七十八セントと八十二セントとの間に――向うで公定相場がいろいろあります、その公定相場に基いて、やるということになつておりましたが、最近ポンドが非常に強くなつて、たしか二ドル八十一セントちよつと強、十六分の三くらいまで上つたかと思いますが、その二ドル八十一セントというところにやるということに話合がついたものですから、二ドル八十一セントとした次第で、これはかれこれ申すほどの大きな数字でないことは御承知通りであります。下りませんが、かりにポンドが下りますならば、二ドル七十八セントないし二ドル八十二セント以内と考えますが、その間での動きについて措置するということについて、向うと約束いたしておる次第であります。
  33. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると物価の実勢力は狂つてはおるけれども、三百六十円の為替レートを堅持するというあなたの御方針は、こういうことになりますか。現在綿糸は一ポンド当り十一・五セント、薄鋼板はトン当り七ドル、硫安は四・五ドル、セメントは三ドル五十セントの二重価格制を持つておる。そこで問題になるのは物価の実勢力はすでにくずれておるのにかかわらず、三百六十円の為替レートを堅持するということは、この二重価格制というものをなおかつ堅持して行くという御方針ですか。
  34. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは輸入輸出関係から見まして、為替の上の操作もありますから、それで二重価格というふうにも見えるかもしれません。この二重価格というのは実は国際的に禁ぜられておる。ことにIMFでは禁じておる。従いまして私の口から二重価格についての答弁は、西村さんせつかくのことながら、遠慮いたしますが、輸入輸出とのかみ合せといいますかによつての操作もありますので、私どもはやはり三百六十円をあくまで堅持するという以外にお答えはいたしかねるのであります。   〔西村(直)委員長代理退席、小峯委員長代理着席〕
  35. 西村榮一

    西村(榮)委員 法務大臣はどうしたのですか。
  36. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 今見えているようです。
  37. 西村榮一

    西村(榮)委員 そこで大蔵大臣、あなたに私は二重価格制をなお持続するのかどうかということの御答弁は求めませんが、しかし二重価格制度を堅持しながら、なおかつ利潤を上げ、高率配当を続けているのは少数の企業です。独占企業体に近い企業です。従つてこれらは国内価格との間に大きな開きがある。そこで私はこの二重価格制を縮める方法は、独占企業体の利潤に向つて相当のメスを入れる必要があるのじやないかと思うのです。しかしこれは、私は法務大臣がおいでになりましたから、あとの機会に、いずれ月末、総理大臣を前にして、総括質問で最後の御所見を承ることにいたします。   〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕  なお経済の問題について二点だけ、あなたと緒方さんにお尋ねしておきたい。一点は今の輸出貿易について一二%ふえる、これは国際収支の面から行くとかなり甘い考え方じやないか。どこにもこういう公算がない。そこで変な話ですが、外貨の流出をとめて、日本輸出を増大するという方法について何ら現在の政府当局は考慮を払われていない。たとえていうと、私は石油の問題が取上げられると思うのです。石油に対する外貨は、本年は大体一億六千万ドルいる。しかるにイラン等中東方面から、石油は余り過ぎているから買つてくれ、この代金は綿布あるいは薬品、船、タンカーで払つてくれればいいじやないか、というような申入れがあるのにかかわらず、政府はこの商談に応じようとしない。みすみす米英石油トラストのために、一億六、七千万ドルの貴重な外貨を払うとしておる。ここに国際収支の改善について現内閣においては何らの苦心がない、こういうところを苦心してもらいたいということが一つ。  それから緒方さんにお尋ねしておきたいことは、少くとも緊縮財政というものをとる上からは、国民協力を求めねばならぬ。国民協力なくして新しい財政方向転換はあり得ません。松方財政は、西南戦争並びに維新革命における膨脹した財政を極力圧縮いたしましたけれども、新しい日本再建のために一つ発展的な方向をとつておる。しかもその当時、明治革命直後における強力なる政治力と国民的支持があつたからこそ、あの緊縮財政というものがとり得た。しかるに井上財政方向も示さず、政治力なくして失敗した。これは私は好個の例だと思う。そこで私は緒方さんにお尋ねするのでありますが、今の政府緊縮財政国民協力を一体どこに求めるのであるか。私は率直に申しますならば、今日財政出投資の問題を中心として疑獄事件が起きておる。国民は一体金がどう使われておるのかという不安がある。同時に政府耐乏生活を要求されるが、耐乏の結果蓄積された資本力というものは一体どこに活用されるのであるかという明確な方針がない。これで一体国民緊縮財政に対する協力を求めることができましようか。私はあなたの政治的な立場における所信をお伺いしたい。
  38. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 政府としましては、今回の一兆円予算に払いました努力、この予算編成が、同家の御議論を通しまして、国会の質疑応答または審議を通しまして、当然に国民協力を要請しつつあると考えております。またこの予算の実施によつてできる何がしかの資本蓄積、それをどこに向けてするか、私はこの予算によつて企図しました国際収支の改善というようなことは、なかなか一年度の予算では容易にできない、これはやはり主として国際競争力強化に注いで参りたい、さように考えております。
  39. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 さつきイランのお話がございましたのでちよつとお答えを申し上げます。  イランの石油が入つて参りますれば、これは非常に安いので、大体年間にすれば五千万ドルぐらい違うのではないかと概算考えております。のみならず、今お話なつたように、イランへの輸出は相当あるので、向うの要望しているのは、現金ではなくして品物ですから、非常に日本の市場としては望ましいのでありますが、昨年の暮れに今までよりも多少有利に日英会談を進めた、またイランとイギリスとの関係に考えてみると、日本の立場があまりりくつ通りにもちよつと行きかねる点がありますので、こういうことも私もよく承知いたしておりますから、いろいろと外交方面の折衝にお願いいたしておる次第で、漸を追うてそういうふうに持つて参りたいと考えております。
  40. 西村榮一

    西村(榮)委員 今のそういうふうなイギリスと日本との関係等も考慮しなければならぬことも事実でありますが、これは商売で、日本の立場において考えてよい。向うは油の代金のかわりに、繊維だとか薬品だとか、あるいはタンカーだとかそういうものを求めておる。もちろんイギリスとの関係もありましよう、これは岡崎君の所管でありますが、岡崎君の能力と対米媚態外交でできるかどうか、これははなはだ失礼でありますが、その点については、将来私は防衛問題とともに今回り予算においてあなたが折衝された防衛支出金の問題等についてはいずれ所見を承りたい、こう思うのでありまして、それはこの月の末か来月の上旬において、私は本格的な現内閣との間におけるけじめをつけたいと思つておるのです。  そこで、犬養法務大臣がおいでになりましたから、私は法務大臣にお尋ねしたい。あなたは近来なかなか各方面において御心労の体でありますから、私はしちめんどくさいこと、そうしてあなたのあまり不愉快になるようなことはお尋ねしないつもりです。ただあなたは、昨日の同僚雇員の質問に対して、法務大臣としては法令の条章に従つて、法令の判断に従つて答弁するのだということをお答えになりました。そこで私はあなたにお尋ねしておきたいことは、昭和十二年に行われた粛正選挙のことであります、この粛正選挙のときに饗応、買収というものがやかましく言われたのでありますが、そのときの判決例による饗応の概念、並びに判例というものは、大体今日でもやはり一般の選挙違反においては踏襲されているように思うのでありますが、そう考えてさしつかえございませんか。
  41. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。御趣旨をもう一度伺いますが、昭和十二年の総選挙のときの公職選挙法違反になるべき饗応というようなものが今日でも通念になつて、かわらないでおるか……。
  42. 西村榮一

    西村(榮)委員 いや、私の言うのは、昭和十二年に非常に粛正選挙をやりましたね、あれ以来、あの粛正選挙を機会として饗応買収の判例と概念というものが確立されて、今日まで踏襲されて、その意味において戦後も処罰を受けておる、こう思うのですが、どうでしようか。
  43. 犬養健

    犬養国務大臣 詳しい法律上の解釈になりますと、ただちにここでお答えできかねる向きもございますが、常識としてはさように承知いたしております。
  44. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると当時の判例を――私は法律は専門外でありますから何ですが、饗応の概念というものは、有権者並びに投票を媒介する人が、投票を集め得る能力を持つ者が選挙事務所あるいは他の場所において会談したときに、食事と茶菓子を出す場合においては饗応にはならぬが……。
  45. 原健三郎

    ○原(健)委員 「茶菓子はいけない」と呼ぶ)君は違反でよく知つているが、(笑声)酒を出し、かつおぜんを運ぶ程度以外に、その場の空気を享楽的にせしめるがごとき芸者並びに仲居と名づくる者がその席にはべつたときには、これは饗応になるという判例があるのでありますが、これはどうでしようか。
  46. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます、私も質問者たる西村さんよりもつと詳しく存じませんので、まことに恥を申し上げるようでありますが、後刻調べて正確なことは申し上げますが、大体常識としてよからぬことの範囲には入るだろうと思つております。
  47. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はその判例があると思うのです。念のために政府委員から御答弁願います。
  48. 井本臺吉

    ○井本政府委員 社交上の儀礼の程度かどうかという点で犯罪性のある饗応かどうか……。
  49. 西村榮一

    西村(榮)委員 いや社交上ではなしに、選挙の……。
  50. 井本臺吉

    ○井本政府委員 選挙の場合におきましても、その饗応が社交上の儀礼の程度であるかどうかということで判断の資料にいたします。
  51. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はそういう抽象論を聞いておるのではない。判決例を聞いておる。私どもはしよつちゆう選挙をやつておるが、ここに原君が私に注意してくれて、菓子もひつかかる彼は体験者だから何だが、(笑声)菓子までひつかかるから、これは問題になる。そこで私はこの選挙違反の判決例というものは、昭和十二年以来一貫して今日まで現存して生きている、こう思つておる。生きておる立場において、私どもはなるべく選挙違反にひつかからないように、注意して参りました。そこで大体においてあなたが常識論としてそのことは御承認なすつたのでありますが、次にお尋ねいたしたいのは、これは投票の目的を持ち、ないしは投票を得るの媒介人を饗応した場合にはこの処罰に該当するのでありますが、しからばここに問題になるのは、特定の業者、業界の利益に重要な影響を及ぼす行政並びに立法に参画する人々もこの概念に当てはまるのかということをお尋ねいたしたいと思います。
  52. 犬養健

    犬養国務大臣 よく御趣旨がわかりませんが、それは選挙ではないのですか。
  53. 西村榮一

    西村(榮)委員 今選挙の違反事項が――選手違反というものは、特定の利益を求めるための饗応でしよう、これが処罰されているのです。そこで今度は、選挙と違つて、立法並びに行政上の取扱いによつて、特殊の業者が重大なる利益を受けるというときに、やはり選挙違反と同じような、芸者、仲居がはべるような歓楽的な空気をつくる饗応は、選挙違反と同様なる罰則を受けるのではないか、私は常識からいえばそうだと思います。従来の判決例からいつてもそうだと思いますが、法務大臣に一応念を押しておきます。
  54. 犬養健

    犬養国務大臣 これは選挙運動、選挙違反という特定のわくとはいささか違いまして、そういう人たちと飯を食つたり酒が出たりした場合に、社交上のことであるか、あるいは特定の利益を頼む会話があつたか、それについて個々の場合において検討しなければ御返答願し上げかねると思います。
  55. 西村榮一

    西村(榮)委員 まあそんな程度でいいでしよう。(笑声)そこで私は、犬養さんにお尋ねいたしますが、国家の機密の漏洩の問題であります。国家公務員法百条によつて、職員は業務上知ることのできる機密を漏らしてはならない、その職をしりぞいた後もしかり、これに違反する者は一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処する、こういうことになつておりますが、あなたは法務大臣として、この国家公務員法百条、百九条を御存じでございますか。
  56. 犬養健

    犬養国務大臣 何条ということは暗記しておりませんが、おつしやる趣旨はその通りと心得ております。
  57. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると、これははなはだ失礼でありますが、検事総長が法務大臣に報告した事項を、法務大臣がかりそめにも第三者にそれを漏らし、それを暗示するがごとき言動をなしたときには、やはりこの法律は該当しますな。
  58. 犬養健

    犬養国務大臣 その通りに心得ております。
  59. 西村榮一

    西村(榮)委員 私の質問はなお残つておりますけれども、いずれ総括質問のときに最後の私の結論を申し上げることにし今日はこれで終ります。
  60. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 西村君の質疑につきまして、佐藤觀次郎君より関連質問を求められておりますから、この際これを許します。簡単に願います。
  61. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 この際犬養法務大臣に、関連いたしましてお尋ねしたいと思います。  政府国民に秘密保持をやかましく言つておられまして、そのために保安庁の軍機保護とか、あるいは教育破壊法をお出しになつて国民の言論を抑圧するようにやつておられます。ところが犬養法務大臣は、去る十五日午後五時ごろ自由党の院内役員室におきまして、党三役、緒方副総理、大野国務大臣、倉石、塚原両委員長同席のもとに、警察法の説明と称して、有田二郎君の逮捕のことにつきまして事前に漏らされております。法務大臣は検事総長からその事件を聞いて、その通り役員室で報告されたといわれておりますが、その真相はいかがでございますか、お尋ねしたい。
  62. 犬養健

    犬養国務大臣 有田二郎議員の逮捕請求が行われるということを知りましたのは、十六日の本会議において、警察法の問題で大臣席にすわつておりましたときに、ここにおります岡崎秘書課長が紙を持つて参りました。なお、これはほんとうかと言つて問い合せて、清原次官が、やはりほんとうでありましたという罫紙に書いた報告を持つて来て、初めて知つたのであります。従つて御心配の点は事実無根というふうに御承知願いたいと思います。
  63. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 この際委員長から発言をいたしますが、ただいま佐藤觀次郎君のお読みになりました事実については、私はさようなところに参加いたしておりません。
  64. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大体大臣の言われることはわかりますが、現在犬養法務大臣は、党内からは非常に情報がのろいということをいわれております。しかし国民からは、自由党の党籍がある関係上、もし真相をどんどんやつたならば、内閣の大物がひつかかつて、あるいは内閣が瓦解するのではないかというような疑惑を持たれております。こういう点について、政党出身の大臣として、汚職事件国民に納得させるために、ぜひこの際糾明しなければならぬと思いますが、どういう御処置をとられるのでございますか、第二点にお尋ねしたいと思います。
  65. 犬養健

    犬養国務大臣 御指摘のように、ほかのある委員会では、法務大臣はロボットだとか何も知らないじやないかという御質問を受けたばかりでありまして、今度は反対の御忠告がありました。大体こういう地位におりますと、世の中というものはそういうものだと思いますが、これを決して笑つたり何かしないで、ますます公平にまじめにやりたい、こういう決意であります。
  66. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 法務大臣は昨日の議運においても、なかなかその態度がりつぱだといわれておりまして、まことに慶賀なことでございますが、しかしこの造船疑獄の問題につきましては、政界、官界、財界にわたりましての非常に重大な事件でございます。この点につきましては、昨日も横路委員からいろいろと問題を残されておりますが、ただわれわれこの際申し上げたいのは、犬養法務大臣はかつて白樺派の文人であり、現在の大臣の中ではインテリジエンスの高い人だといわれております。この際、こういう重大な問題でございますので、党籍を離脱されてひとつ徹底的にやる御意思があるかどうか、これを最後にお尋ねしたいと思います。
  67. 犬養健

    犬養国務大臣 よく議長が党籍を離れるという問題にもいろいろそういう御議論があります。先日の私の欠席のときにそういう御質疑がありましたが、まじめに考えて、党籍を離脱したら、もうえこひいきの疑いがかからないかというと、やはり私が生きている限りはかかるのであります。結局私がだれもいないところでも人の前でも、同じように法務大臣という職務を厳粛に考えるか考えないか、こういう問題でありまして、この際毀誉褒貶は一切世間におまかせしたいと考えております。
  68. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ぜひともそういう決心で最後までやつていただきたいと思います。
  69. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 それでは午後一時五十分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十八分開議
  70. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。羽田武嗣郎君。
  71. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 最初にまず愛知通産大臣に御質問をいたしたいのであります。今回の一兆予算のねらいとするところの重点の一つは、低物価政策を推進し、輸出振興をはかるにあると存ずるのであります。この低物価政策を推進するためには、各種工業部門における生産コスト切下げに力を入れなければならないと思うのであります。しかるに世間があまり気づかずにおる問題で、しかもこのコスト切下げに重大なる関係を持つておるものに不良電力の問題があることを指摘し、通産大臣並びに公益事業局の電力会社に対する監督権の発動を促したと思うのであります。すなわち各電力会社は、各需用に良質なる電力を供給する義務を負つているのでございます。良質なる電力とは、正確なる所定の電圧と周波数を送電していることでなければならないのであります。しかるに、悲しいかなわが国の現状は、まず電圧について見ましても、暗かつたり、明るかつたり、その日々で文字通り千変万化、われわれしろうとの肉眼でも正しからざる電圧と断ぜざるを得ないのでございます。次に周波数についてであります。この問題こそ、私が通産大臣の重大なる注意を喚起するためにここに質問を試みんとするゆえんでございます。御承知のごとく、わが国の電力会社の周波数は、大体において東日本は五十サイクルであります。西日本は大体が六十サイクルになつておるのでございます。動力として電力を利用する全国大小一切の工場は、この五十サイクルまたは六十サイクルの周波数に適応するモーターに、正確、良質なる五十サイクルの送電がなされた場合においては、この動力によつて回転する末端の機械は、四極で一分間に一千五百回転するのでございます。また関西のごとく六十サイクルの場合においては、四極で一千八百回転するはずでございます。しかるに現実の電力会社の送電する周波数は、五十の場合において四十六ないし四十八に下ることもありまして、しかもその時々で違つた、でたらめな周波数を送つておるのが現状でございます。発電所から発電する不正確なる周波数が末端の機械の回転にいかに影響するかを例をとつて見まするに、国会等で使つておりまする電気時計は、これは直流電気を使つておりますから正確に時を示しておるのでございますが、一般の電気時計は、直流でなく交流電気を使つておるのでございます。従いまして、発電所の送電するサイクル通りにまわるのでございまして、大体一日に一時間以上が遅れるのでございます。一時間とすれば、一年間には三百六十五時間でございます。すなわちこれを日にちに直せば、年に実に十五日間、半日分だけ完全に停電をいたしておることにたるのでございます。この理で推して参りますると、一般工場のモーターも十五日間分の被害を受けておることになるわけでございまして、それだけ仕上量が上りませんし、また製品はこの分だけコスト高になつておるのでございます。工場主は一定量の仕事をせねばならぬのでございまするから、やむを得ずまたもう一台の機械を備えつけてやる、またもう一台を備えつけてやるとかいうように増設しなければなりません。かくいたしまして、多額の設備費を要し、コストはますますはね上つて行くのでございます。かくして目に見えない全工業界の損害は、年々数行億に上るのではないかと考えられるのでございます。しかも電力料金はどうかというに、これだけの被害をこうむつておるにもかかわらず、電力会社は規定通りの料金を要求いたし、また工場の方も気づかずにそのまま支払つておるのが現状でございます。まことにこつけい千万といわなければならないのでございます。以上申し述べましたような厳粛な事実を見のがして産業振興をとなえましても、一事が万事でございまして、はげしい世界の経済競争に打勝つて行くということはなかなかできるものではございません。まず第一に各電力会社には周波数記録計、すなわちサイクロメーターが備えつけられてございます。このメーターのテープにその時その時のサイクルの数がレコードされているはずでございます。公益事業局はこの記録を絶えず査察されまして、性格なる良質の電力を送電するように電力会社に対して厳重に指導監督してもらいたいのでございます。また第二といたしましては、電力会社としても、電気料金の値上げに血眼になつている前に、まずみずからの職域である良質なる電力を供給するように、みずからの責任を果してもらいたいと思うのでございます。その他電力会社としては、二〇%以上にも上る送電のロスの解消の問題、あるいはまた火力発電における石炭消化率の向上の問題等、経営の合理化に真剣なる検討と努力払つてもらつて、そうして祖国の経済振興に真剣に立ち上つてもらいたいと思うのでございます。これらの問題につきまして、監督者たる通産大臣の御所見を承りたいと存ずる次第でございます。
  72. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことに適切な御質疑でございまして、申すまでもなく電圧、それからサイクルの低下ということは、モーターを初め、回転機器に対しましてその正常な機能の発揮を妨げ、工場生産に好ましからざる影響を与えますることは、私どもも十分承知しなければならないところでございます。そこで、これは実は申すまでもなく、根本におきましてはやはり電力全体としての供給力の増加か、あるいは需要の制限という以外に根本的な手はないと思いますが、その点につきましては、電力量の増加ということにつきまして、政府が五箇年計画によりまして根本対策を推進しておりますことは御承知通りでございます。さしあたりの問題といたしまして、サイクロメーターに対しまする公益事業局の指導監督はぜひ実行して参りたいと思います。それから電力会社がいたずらに値上げ問題を云々するというお話でございますが、この点もごもつともでございますので、今後とも電力会社の自主的な協力を求めたいと考えます。なお火力発電の場合の石炭の使用の問題その他につきましても、まつたくごもつともでございますので、従来政府においてもいろいろの具体的措置を講じて参つたつもりでありますが、さらに一層努力を新たにいたしたいと考えます。
  73. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 通産大臣のお答えで満足します。どうかひとつよろしく御督励をいただきたいということを重ねて要望いたしまして、通産大臣に対する質問を終ります。  次に小笠原大蔵大臣に対して御質問を申し上げたいと存ずるのでございます。今回の超均衡予算の遂行は、日本経済を破綻から救い出すためにやむを得ざるものでありますが、この遂行に伴いまして、中小企業者に対して金融的に相当深刻なる影響が今後現われて来るのではないかということを、今ひそかに心配をいたしておるような次第でございます。この救済のためには、昨年の第十六回国会を通過いたしました中小企業金融公庫の活動に大いに期待をいたしておるのでございます。御承知のごとくに同公庫は、市中銀行、地方銀行、相互銀行、信託銀行、商工中金、信用金庫等の本店四百六を代理店といたしまして、その支店、出張所五千七百ぐらいを窓口にいたしておりまするために、開業早々から比較的順調に活動ができておるのでございます。すなわち同公庫は、昨年の九月の十一日に開店をいたしまして、昨年末までに一万二千件、二百六十億の需要に対しまして、三千件、六十一億が融資されておるのでございまして、申込みに対して融資された額は、二割二、三分の貸出率を示しておるのでございます。大体月平均十五億円くらいの貸出しの割合に相なつております。本予算案におきましても、政府財政投融資は二十八年度同様に百三十億でございまして、低かに本年度に六十億の回収が予定されておりますので、合せて百九十億になるのでありまするが、うち二十億は開発銀行に返還をされなければならないのでございまするから、結局貸出し能力は百七十億でございまして、月に平均十五億弱の勘定になつております。私は、一兆円予算で縛られて、政府財政融資は昨年同様の百三十億円しかまわすことができなかつたことは、事情やむを得なかつたことを認めます。欲を言いますれば、せめて月々二十億くらいの貸出し能力を与えるように措置することができたらばと思うのでございますが、一兆円予算でやむを得ないと存ずるのでございます。  以上が本公庫の昨秋開店以来の実績と二十九年度の展望でありますが、法律をつくるばかりが国会の使命ではなく、私は本公庫の運営が、はたして金融難にあえぐところの現下の中小商工業者のためにうまく行つているかどうか、改善すべきものはどういう点か、ちまたの声を率直に申し述べて、監督者たる大蔵大臣並びに当事者の注意を喚起いたしまして、運営の改善に資したいと考えまして、この質問をいたす次第でございます。  そこでまず第一に取上げるべき問題といたしましては、昨年同公庫法が国会を通過いたしましたときには、来る日も手形を落とすために、身のやせる思いをしておりました中小企業者は、国家のお金で、五箇年の長期で、年一割の利子というような、夢にも思わなかつた有利な条件の本公庫の誕生を、まさに砂漠の中にオアシスを発見した思いで歓迎をいたし、心をおどらせたのでございます。しかるにいざ開業としてみますと、これらの五千七百の窓口の人たちは氷のごとく冷たいものがあつたのでございます。本公庫法の第一条には、法の目的といたしまして、明らかに「中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業振興に必要な長期資金であつて一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」と規定してあります。つまり一般銀行では貸さないようなところに貸すんだということが、この法律の第一条の一番最初の目的のところに明記されているにもかかわらず、窓口の銀行は、従来取引のある者ではないと、新規の者にはけんもほろろで貸してくれないのでございます。これは完全に法律を侵していると私は考えるのでございます。また五千七百も窓口が行き渡つていることはいいのでありまするが、そのために、一つの窓口に対する融資割当のわくが非常に小さくなつてしまいまして、多数の需要に応じ切れない場合が多いのでございます。なお窓口によつては、貸出し方法や手続等がさつぱりわかつておらないような係員もおりまして、せつない気持でかけつけた需要者をすつかり憤慨させ、深刻な落胆の気分に陥れている実例は枚挙にいとまがないのでございます。大蔵省は公庫の幹部を督励しまして、本公庫の立法の精神を第一線の銀行諸君に徹底するようにしていただきたいと私は希望いたすのでございます。また重点的、かつ効率的に貸出し業務をやらせるためには、五千七百というたくさんの窓口ではなかなか徹底しない。むしろこれを少くいたしまして、少数なところに、この貸出しを要求する人たちの相談に応ずるような専門的な人を配置するようにして、できるだけ親切にしてやることが必要ではないかと考えるのでございます。  第二に、いざ受付の人が話に乗つてくれる段になりますと、申込書が非常に複雑でございます。どうせ普通の銀行とは取引のないような人でございまするから、経理の能力もございませんし、事務的な能力もございません。そういうような人たちには、この複雑な申込書はまつたくその煩にたえないという非難が非常に大きいということを御留意願いたいのでございます。次には、担保について非常にやかましく申します。また保証人のことについても厳重をきわめております。かくのごとくして、せつかく話が始まりましても、なかなかすらすら事が運びません。必要なるときに金が間にあつて価値があるのでございますが、こうして一月も二月も三月もかかつて最後に金が借りられないという場合には、これらの悩める人たちを、まさにどん底に突き落すような立場に陥ることを考えなければならぬのでございます。  第三に、かくしてようやく現金を貸してもらう段になると、相当な歩積みる要求されるのでございます。中小企業者の救済を目的とする本公庫の使命にかんがみましても、この歩積みを要求するということは、その立法の精神に合わないと存ずるのでございます。  以上のぐあいでありますから、本公庫設立の精神を生かすために、代理店の人間を教育し、その考え方やお客様の扱い方を改めさせるようにすることが最も緊要なことであると存ずるのでございます。  次に法的の欠点を指摘いたしますと、まず第一に、法律においては貸出し対象の業種を政令に譲つてありますが、政令では十七業種を指定してあります。国民生活に必要なクニーニング業とか、理髪業とかのサービス業は、その選に漏れているのでございます。彼らが公益衛生を完全にするための設備の改善をいたしたいとか、新規に開業資金か借りたいという場合に、これらの者はそれが許されないのでございます。この際むしろ大蔵省において政令を改正されまして、奢侈遊興の業務を除いた以外は、もつと弾力性あるものにして、中小企業者の切なる要望にこたえるべきではないかと考えるのでございます。  第二に、国会の委員会において本法を通過させまする際に附帯決議をつけました。その附帯決議によりますと、単なる旧債の肩がわりはいけない旨のことが申されておりまするが、それは親切な立場から申されたのでありますけれども、実際今まで銀行から短期で借りておりました諸君に対して、本資金によつて長期に借りかえることは、むしろ利用者の欲するところではないかと存ずるのでございます。こういう点も運用上改善をすべきことではないかと存じておる次第でございます。なお今後は設備資金に並行いたしまして、長期運転資金の貸出しにもつと力を入れて行くべきではないかと考えるのでございます。  最後に、大蔵大臣は先日一万田日銀総裁と会われまして、オーバーローン解消につき御相談になつたようでありますが、大企業に対するオーバーローン開発銀行に肩がわりさせると同様に、中小企業に対するものも本公庫に政府資金預託いたしまして、漸次オーバーローン解消に進めて行くことがよいのではないかと考えるものでございます。  以上の諸点につきまして、総合的に大蔵大臣の御所見を承りたいと存ずるのであります。
  74. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 中小企業金融公庫に対する御意見、たいへんごもつともに承りました。実は中小企業金融公庫は、代理店以外に各所の支店をそれぞれ取扱店にしておるのですが、その窓口が仰せのごとくに五千以上にも達しておるのでございます。従つて一店に対する割当金額が自然少額になる。そういう点から今のような御意見が出て来るのでありますが、御承知のようにこれをつくつたときには、どうも各所とも代理店の希望が多くて、一定の資格を持つたところ――どの地方というふうに限るわけに行きませんでしたので、全般的にいわば総花的に多少なつた傾向があることはいなめないのでありますが、今後いろいろ借入れの申込み等の状況にかんがみまして、多少整理して参るということも必要かと考えておる次第でしあります。  その次に申込書をもつと簡素化せよ、これは実はこの前この公庫のできるときにも、そういうお話がございまして、できるだけ手続の簡素化については話をしておるのでありますが、そういう今お示しのような煩瑣な手続がありますれば、これはまことに遺憾でございますので、十分勧告することにいたします。  それから担保とか保証人のむずかしい点でございますが、これは御承知のごとく、中小企業金融公庫というものは、比較的長期の金を貸すというふうになつておりまするので、自然そういうような点が、あるいはやかましくなつておるかと思いまするが、しかしまた代理店ですと、代理店が八割これを保証するという建前をとつておりますので、その点からもこういうことが来ておるのではないかと思いまするが、あまり程度を越してそういうことをやられたのでは、機能発揮をしませんことはもとよりでありますから、これもひとつ十分当局に注意することにいたしたいと思います。  その次に歩積みの問題等のお話がありましたが、実は中小企業金融公庫自体は預金を預かるところではございませんので、歩積みの問題は一切ないわけで、これを扱つておる代理店が銀行あるいは相互銀行その他でございますので、おそらくそこの預金をふやす意味で、実は歩積みをやつているのではあるまいかと思いまするが、歩積みの問題は、中小企業金融公庫の本旨にもそむきますから、この点においてよくひとつ代理店にも実情を調査させまして、取調べることにいたしたいと思います。  なお代理店等の取扱いについて、もう少し事務に練達するようにいろいろ教育したらどうか。これは銀行によりまして、それぞれ、たとえば中央に、東京に一、二箇月ずつ自分の全国のそれぞれの支店から行員などを寄せて教養しておるところもございます。これも中小企業金融公庫は、できてからすぐ働けるようにということを主眼にいたしましたので、従つて自分の支店その他を持たないで、みな各既設の機関を利用しておる次第でございますから、こういう点につきましても、ひとつ当局によく相談をいたして参りたいと思います。  それから業務の範囲についてお話がありまして、貸付の対象としてクリーニングとか理髪業等は省かれておるのではないか。これは省いておるのでありますが、実はこの方は国民金融公庫の貸出し対象になつてつて国民金融公庫から相当借りられるわけであります。これは私どもも実例として知つておりますが、相当借り入れております。従つて大体この中小企業金融公庫は、商工中金とか国民金融公庫と違つて、比較的長期の、そして設備その他の改良をする資金というようなことが主になつておるものですから、これが除いてあるのでありますが、これがもし国民金融公庫の融資対象だけで非常に不自由だというようなことがありますれば、さらに考えてみますが、現在は国民金融公庫の中に入れておりまするから、それでひとつ御了承願いたいと思います。  それから国債の借りかえはいかぬといいましたのは、まあ当初できた当時の出発のときは、どこでもそういうふうになつております。限られた資金の点がございますので、この点は、すぐにどうも旧債の借りかえについてもどうこうというわけに参らぬと思いまするが、今後は漸次そういう方面に営業範囲を拡張して参る、こういうようにしたいと思います。それから設備資金に並行して長期運転資金を出すように、これはそういうふうになつておりますので、これは現実の実際の運用面の問題でありまするから、中小企業金融公庫の当局者にお話をすることにいたします。  最後にお話になりましたオーバーローンの問題でありますが、実はオーバーローンの直接の対象は、市中銀行日本銀行から借りておるそのオーバーローン解消するということを主として考えて相談したわけでありますので、現在のところ中小企業金融公庫それ自体は、何も日銀から借りておるということはございませんので、対象としては除きましたが、羽田さんの御趣意は、ああいう長期のものをやはり長期の機関へ持つて参ることがいいのじやないか、こういう御趣意であろうと思いまするから、その御趣意は今後十分考えて参りたいと思います。要するに私どもは、中小企業金融公庫は国民金融公庫、あるいはまた商工中金等と相並んで、中小企業者に対する金融の相当大きな役割をいたさなければなりません。けれどもこれは、大体どの銀行でもそそうですが、設備あるいは施設が整わぬうちに貸出しをしますと、あまり貸出しを急激にやりますと、多少放漫なきらい等ないこともございませんので、昨年が大体百三十億でしたから、本年の貸出額を一応百三十億と、回収しておる六十億とで、百九十億にした次第であります。もつとも、お話のごとく開発銀行から引継ぐようなものもございまするので、それは返済することに相なつておりますが、今後実情に応じてこの資金を増加して参つて、こういった中小企業の設備、あるいは施設の改善に対する長期資金供給には、遺憾なきを期したいと考えておる次第でございます。
  75. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ただいまの大臣の御親切な御答弁、恐縮でありがたく存じますが、お話の中で、一、二の点についてでございますか、最初の第一の点は、クリーニング等の問題でございます。商工中金の力は同業組合に貸すのでございまして、個人には貸さないのでございます。そういう意味合において、今回のこの公庫の力は、個人並びに組合に貸すのでありますから、個人が独自の見地で借りるときに、クリーニング業に商工中金では借りられないのでありまして、どうしてもこの公庫によつて借りることが必要ではないかと思うのであります。  それから歩積みの問題は、大臣のお話のようでございまして、もちろんこの公庫自身窓口はございませんので、その代理店がやつておりまするから、従いまして代理店において百万円借りたうち、三十万円くらいをやはり代理店の口座に歩積みをさせるというようなふうに実際に行われておるのでございまして、これは大臣も御指摘のごとく、この公電の精神に反するのでありますから、なおとくと御鞭撻をいただきたいと願う次第でございます。  それからオーバーローンの問題でございますが、いわゆる中小企業者が市中銀行から借りておる。市中銀行日銀からまた融資を受けておる。これを開発銀行というような大口の企業者でなく、中小企業者の分を公庫の力にしていただくようお願いをしたい、こういうことの意味でございます。大蔵大臣に対する質問はこれで終ります。  最後に一つ別な問題をお尋ねいたしたいのであります。まず小坂労働大臣にお尋ねをいたしますが、工場、会社等に勤めておるところの労働者に対する賃金の支払い方法について、労働基準法その他、法律的に何か制限といいますか、方法を指示しておる条文がございましたら、私どもしろうとでありますから、その条文をお示しいただき、なおその法の趣旨を御説明願えればまことに幸いだと思うのであります。
  76. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。賃金に関しましては労働基準法第十一条に賃金の定義が書いてあります。賃金の定義といたしまして、十一条には「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と書いてございます。なお基準法の二十四条に「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。但し、法令若しくは労働協約に別段の定がある場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定がある場合若しくは当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」こういうことがございます。この二十四条の趣旨といたしますところは、書面で協約ができております場合は、賃金の一部を控除してもよろしい。但し賃金というものはすべて通貨で直接労働者に労働の報酬として支払わなければならないという規定になつておる次第であります。
  77. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ありがとうございました。そうすると労働者に対する賃金というものは直接労働者に支払う、ちやんとこれだけのものは源泉で差引くという協定が、しかも書面であつたような場合においてのみ、直接その源泉から控除することができる、こういう意味お話を承つたのでございます。これはちよつと私調べて参りましたが、人事院規則にも同様九――三に給与の差引という項がありまして、「何人も、法律若しくはその委任に基く政令又は規則によつて特に認められた場合を除き、職員の給与からその職員が支払うべき金額を差し引き又は差し引かせてはならない。」という規定が、人事院規則の給与の差引というヘツデイングの中にあるのであります。それからなお九――四に給与の直接支払という項がございます。これによりますと「職員の給与は、法律又はその委任に基く政令によつて特に認められた場合を除き、直接その職員に支払わなければならない。」という人事院規則があるのでございます。つまり所得税の源泉課税をするというような法律で定めた場合にのみ、給料を支払うときに黙つて頭をはねるといいますか、ちやんと源泉で差引いて、そしてそれを袋に明示して給与を払うというぐあいになつておるのでございます。ただいま労働大臣の御説明によると、労働基準法第二十四条も大体この趣旨で、協約が労働者との間に結ばれない場合においては、頭から源泉的にいろいろな会費とかいうものを差引いてはならないということを規定しておるように承つたのであります。そこで問題としてここに提起いたしたいのは、全国の小学校、中学校の先生はちようど五十万人ございますが、この間私のところに学校の先生が見えまして、毎月百円ずつ給与から天ばねされておる。自分は日教組とも関係ないし、どういうわけか知らぬが、天ばねされておるという話がありました。それでは何か協定をするとか、一札入れるとか何かしたことがあるのかと聞いたところが、全然そういうことはないのだというお話を承つたのであります。私がただいま労働大臣に伺つたのもこのゆえんであります。   〔小峯委員長代理退席、西村(久)委員長代理着席〕  日教組とか、あるいは各府県の教員組合が、学校の先生の月給袋から黙つて教員組合の会費を差引くということは労働基準法の違反であり、あるいは人事院規則に抵触をいたす性格のものであると考えるのでありますが、この点についてできれば労働大臣の御感想を承りたいのであります。
  78. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 今お話がありました人事院規則におきましても、そこにあります法律というのは基準法を言うのでありまして、当然その定めに従うわけであります。なお地方公務員法の第五十八条におきまして、やはり地方公務員の場合も労働基準法に従いまして、今お話のようなことがなさるべきでないという解釈が確立いたしております。
  79. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 そこで今の御解釈のような次第であれば、予めちやんと教員組合なら組合と本人の承諾を得るような方法をとつた上で会費を徴収すべきである。今後そういうふうにやつて行くべきではないかということを、強く学校の先生たちにも注意を文部大臣から喚起していただきたいと思うのでございます。  そこで全国の中学校、小学校の先生はちようど五十万人ございます。今回の学童のふえることによりまして三万人ばかりふえますから、また会費がよけいになるのでございます。とにかく百川ずつとりましても月にちようど五千万円の金が組合に入つて来るのでございます。そうすると年にちようど六億の金が入る勘定にたるのでございます。各府県の組合では自分の力で八十円だけはとつて、二十円だけ日教組の遠慮をいたします。
  80. 西村久之

    西村(久)委員長代理 わかりました。この際ただいまの関係について関連質問の要求が原君からありまするから、ごく短かい時間お許しいたします。原健三郎君。
  81. 原健三郎

    ○原(健)委員 ただいま羽田君から質問がありまして、その中に、いわゆる日教組から国会闘争費などというような名称をもつて、左派社会党の議員に対して多額の金が渡されておるということを、ここに発表されました。それでこの際私は犬養法務大臣にお願したいのでありますが、ぜひこれを調査して、この予算委員会においてその結果を発表されんことを要求するものであります。
  82. 西村久之

    西村(久)委員長代理 この際川島金次君より、昨日の法務大臣に対する保留質疑について、発言を求められております。
  83. 川島金次

    ○川島(金)委員 時間の制限を受けておりますので、簡単に犬養法務大臣にこの際二、三お伺いいたしたいと思います。  まず第一にお伺いいたしたいことは、現在問題になつておりまするいわゆる造船疑獄の一つの中心の問題でありまする、造船会社が海運業者に払いもどしておるという世にいう――これは商慣習だといわれておりますが、このリベートは御承知通り、大半がわれわれの血税による財政資金であります。しかもそのリベートの額は、世上伝えられるところによりますると、数千万円に及ぶものもあるといわれております。このリベートがはたして単なる商慣習として了承されるものであるかどうか。私の承知しておるところによりますれば、検察庁当局においては、このリベートは犯罪を構成するものなりとの見解に近いように決定をいたしたというふうに聞いておりまするが、この際法務大臣としてのこれに対する見解を明らかに伺つておきたいと思います。
  84. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。お尋ねのいわゆるリベートにつきましては、それがただちに犯罪を構成するかどうか、またそれがいかなる犯罪を構成するかどうかについて、その実態と法律関係を現在調査中であることは事実でございます。ただリベートの名目のもとに授受せられましたお金が、その使途に関連しまして会社に入金されませんでしたり、あるいはまた会社の常業目的以外の面に不正に使用された場合等には、業務上横領または背任等の犯罪が構成される場合も考えられるのでありまして、現にかかる案件について特別背任容疑として捜査を続けている事例もあるわけでございます。
  85. 川島金次

    ○川島(金)委員 法律上の最終的な決定については、まだ研究中というのでありますから、これはやむを得ぬといたしましても、政治的に見ました場合には、これはきわめて重大なる事柄ではないか、かりそめにも造船会社から発注者に払いもどされたところのこのリベートが、しかも少い金ならいざ知らず、相当巨額なものに達しておる。しかもその巨額なものに達した金額の大半がわれわれの税金の結集であるところの財政資金である、こういう問題を考えた場合に――しかもいわゆる利子補給というものは船価を安くしたい、そして国際競争力に耐えたい、こういう大方針のもとに立てられたのが利子補給、その利子補給の大部分を持つた資金の一部が造船会社から発注者に払いもどしされるということは、かりにそれが払いもどしを受けた会社の帳簿に記載されないでも、それは明らかに政治的には重大な問題であろうと私は思いますが、その政治的な問題についての御見解はいかがでありますか。
  86. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。このリベートについては、古来から国際的な商習慣であるとはいえ、今御指摘になりましたような事情もございますので、道徳的に思わしくない場合が少からずあると思います。しかし御承知のように、法務省は結局法律に照して違法であるかどうかということを調べることを務めとしておりますので、個々のリベートの場合を調査いたしまして、それが犯罪を構成するかどうか、違法であるかどうかは個々の場合について判断をいたしたいと考えております。
  87. 川島金次

    ○川島(金)委員 それでは法務大臣に吉田内閣閣僚としてお伺いいたしますが、こうした政治的にも法律的にもきわめて重大な疑義を持つておりますリベートは、今後断じてさせないという措置をとることの考えがおありかどうか、その点を閣僚の一人としてお伺いしておきたいと思います。
  88. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。世論にかんがみまして、こういうことが無軌道に行われるということは、確かに思わしくないと存じますが、法務大臣としては、たびたび申し上げますように、違法であるかどうか、違法に当るような事態が日本国において繰返されないような措置は考えなければならぬと考えます。
  89. 川島金次

    ○川島(金)委員 第二にお伺いいたしたいのは、昨日わが常の国会対策委員長加藤勘十氏外四名の同僚が、検事総長並びに次長検事を訪問されたことは、法務大臣もあるいは御承知のことかと思います。その席上においてわれわれにとりましてはきわめて重大なる意見が表明されたのであります。その問題は、今朝の新聞に一斉に報道されておりますので、法務大臣もおそらく読んでおられると思うのでありますが、保全経済会の例の問題に関しての顧問は、その時期はいずれといたしましても、遠からずこれをことごとく招致いたしまして、取調べをするであろうということが言明されたと伝えられておるのでございます。この言明はあらかじめ法務大臣が了承されておることであるか、あるいは法務大臣としては関知しないで、寝耳に水できようの新聞をごらんになつたかどうか、その点はいかがでございましようか。
  90. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。たびたび当委員会でも申し上げましたように、保全経済会は勤労階級、中産階級の零細な資金を集めておりまして、申し上げたように取込み詐欺の容疑もありますので、断固としてこの追究はゆるめないということをたびたび申し上げておるのでございます。お尋ねの検事総長並びに次長検事を訪問せられました有志の議員の方々に対するお答えは、まだ正式に受取つておりません。従つて寝耳に水というのは表現がどういうふうに考えたらよろしゆうございましようか。このごろは忙しいものだからいきなり役所に行かずにここに参りますから、大体夕方固めて報告を受けております。委員長の御訪問を受ければ、おつつけそういう御報告を受けるのではないかと思つております。
  91. 川島金次

    ○川島(金)委員 私は検察当局が断固たる決意をもつてこれら問題の剔抉に当るということは、国民的立場で強力に支持をする立場のものでございます。ただ私どもが若干疑問といたしますことは、このような重大な事柄をあらかじめ法務大臣とは何らの打合せ、連絡なしに、一国民の相手方に言明できる、そういう立場のものであるかどうか。本来であれば法務大臣と打合せの上でそういう事柄は世間に発表すべき性質のものではないか。私は法律屋ではございませんので、専門的な見解がわかりませんので、ちよつと疑問がありますのでこの点をお伺いいたしたのでありますが、その点はいかがでありますか。
  92. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。私も新聞で読んだのでありますが、実際のお答えの――何といいますか、ニュアンスがどういうものであるか、もしも事情を聴取する、どうしても一度は事情を聴取するというならば、あれだけの大問題を起した類似金融団体の顧問を正式にしておられる方に対しては、事情を聴取するのは当然なことでありまして、私が新聞を読んでこれは意外なことだ、こういうことは一応言つてくれなければ困るという感想は今わいておりません。
  93. 川島金次

    ○川島(金)委員 それならばよろしいです。そこで次に、時間がありませんから急いでお伺いいたしますが、今日の保全経済会問題あるいは造船疑獄等の問題に当面いたしまして、最も今日いであつて、違法ではないということを望み、また違法である場合は容赦なくこれを検挙いたしたいと存じております。
  94. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 川島君、お約束の時間が来ておりますから、簡潔に願います。
  95. 川島金次

    ○川島(金)委員 たまたま大蔵大臣がおりますから、今の問題について大蔵大臣所見を伺つておきたい。
  96. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は法の定めるところになつて、公正に取扱います。
  97. 川島金次

    ○川島(金)委員 公正に扱うという問題ではなしに、こういう事態でありますから、できるだけ事態を解明し、いわゆる正しいきれいな姿になつたときに初めてこういう問題の処理に当つた方が国民の疑惑を招かない、こういうふうに私は考えておる。その立場で、どうぞ今後の利子補給の問題は、三月の末には契約をするということになつておるけれども、これを見合せたらどうか、やめろというのではなくて、見合わせる方法をとつたらどうか、こういうことを私は言つておるのでありますが、どうでありましようか、重ねて伺つておきたい。
  98. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は今申し上げました通り、法の定めるところによつて公正に取扱います。それ以上私は大蔵大臣として、法のあるものを曲げることもどうすることもできませんから、あくまで公正にこれを取扱います。
  99. 川島金次

    ○川島(金)委員 けつこうです。
  100. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 次は吉田君の御質疑を願う予定でありましたが、必要な大臣の都合もありますので、本日はこれにて散会いたします。  明日は午前十時、定刻より開会いたします。    午後三時四十九分散会いであつて、違法ではないということを望み、また違法である場合は容赦なくこれを検挙いたしたいと存じております。
  101. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 川島君、お約束の時間が来ておりますから、簡潔に願います。
  102. 川島金次

    ○川島(金)委員 たまたま大蔵大臣がおりますから、今の問題について大蔵大臣所見を伺つておきたい。
  103. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は法の定めるところになつて、公正に取扱います。
  104. 川島金次

    ○川島(金)委員 公正に扱うという問題ではなしに、こういう事態でありますから、できるだけ事態を解明し、いわゆる正しいきれいな姿になつたときに初めてこういう問題の処理に当つた方が国民の疑惑を招かない、こういうふうに私は考えておる。その立場で、どうぞ今後の利子補給の問題は、三月の末には契約をするということになつておるけれども、これを見合せたらどうか、やめろというのではなくて、見合わせる方法をとつたらどうか、こういうことを私は言つておるのでありますが、どうでありましようか、重ねて伺つておきたい。
  105. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は今申し上げました通り、法の定めるところによつて公正に取扱います。それ以上私は大蔵大臣として、法のあるものを曲げることもどうすることもできませんから、あくまで公正にこれを取扱います。
  106. 川島金次

    ○川島(金)委員 けつこうです。
  107. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 次は吉田君の御質疑を願う予定でありましたが、必要な大臣の都合もありますので、本日はこれにて散会いたします。  明日は午前十時、定刻より開会いたします。    午後三時四十九分散会