○森(幸)
委員 われわれは永遠に
日本国民を養
つて行かなければならぬのであるから、だれが内閣をとろうが、かれが内閣をとろうが、
日本はこういう事情であるという一貫した食糧
政策を立てなければならぬ。それがおろそかにされておる。そうして一年でも二年でも延ばして行けば何とかなるだろう、こういう気持ちでおられるのがいけない。総理
大臣以下閣僚が
協力して、この狭い国土の食糧のない
ところで、どうしてこのインフレ
国民を養うかということを考えなければならぬ。これについて今日まで閣僚の諸君がはなはだ不熱心であることを私は残念に思うのであります。それについてはまず第一に、
国民の食
生活の習慣を是正しなければならぬ。それには学校の給食から始めなければならぬ。学校の給食をして、偏食に陥らないように、貧富の懸隔なしに同じものを食わして、どんなものでも食わす。そうしてそれがほんとうに栄養価値のある食糧であ
つたら、それでいいのだ。そういう習性を子供のときからつけて行かなければ、
日本の食
生活の改善はできない。
大蔵大臣はアメリカへ行かれまして帰
つて来られたときに、新聞であなたの
お話を見ました。どうも
日本の食
生活はぜいたくだ、アメリカでは一さらでけつこう栄養をとる食糧をや
つておる。
日本のように七さらも九さらも食いもせぬものを出すようなぜいたくなことはいけない。今後は食
生活を一さら主義に改めなければならないということをあなたがおつしや
つたかおつしやらないか知らないが新聞に出た。その
通りだ。実際
日本の食
生活はぜいたくだ。私はこの点について、厚生
大臣はおられないが、厚生
大臣、文部
大臣はどういうようなことを考えておるか聞きたい。
農林
大臣といたしましては、この食糧増産には一生懸命にな
つておられる。まことにそのお骨折りは私は察しますが、いくらや
つたつて、いくら骨折
つたつて、
国民を全部養う食糧は
日本にはできません。われわれがもつと食
生活をかえて、澱粉
生活をやるなら穀物はそうなくてもいい。
ところが
日本の食
生活もだんだんぜいたくにな
つて来て、もういもを食わない。私はいもが食
生活に最もいいのだというので、さつまいも、じやがいもを奨励いたしましたが、今はぜいたくにな
つていもを食わない。一反歩の土地から澱粉のカロリーをとるのはいもよりほかない。
ところがそのいもはお粗末にな
つている。そうして米じや米じやと言
つて米がなくな
つたら米に形が似たようなうどん粉のかたまりをつく
つて食わす。これは言語道断断だ。昨年の不作はまことに残念でございましたが、これを機会としてこの粒食から粉食に切りかえて行かなければならぬ。
ところが粉食とすればパンかうどんになりましよう。うどんは燃料
関係で困る。パン食が一番いいのでありますが、パン食に対してはバターがない。バターを輸入すると
日本の酪農を圧迫する、こういうことになりますので、もつと酪農を奨励することに力を入れて、そうして
日本人は腹をふくらすのではない、われわれに必要な食糧をとるのだということに観念づけなければならぬと私は思うのであります。
厚生
大臣は今お見えになりましたが、
日本人は非常に体化が向上しまして、今まで五十四歳か五歳の寿命が六十何歳に延びたそうであります。これは厚生省があらゆる面からいろいろ衛生施設を研究された結果であり、また
国民も自覚した結果と思いますが、
日本人の体位というものはまだまだ諸
外国の
国民の体位に劣
つております。それはこういうふうな食糧をと
つておるから、それで
日本の
国民の体位が諸
外国の
国民の体位に劣
つている、私はかように考えるのでありますが、厚生
大臣として、今後
国民の食
生活改善にどういうお考えを持
つておられるか。農林
大臣は今後食糧増産に対してどういうお考えを持
つておられるか。また文部
大臣はおりませんが、この学校給食に対して今後どういう手を打たんとしておるか。今のようなあんな申訳的な学校給食であ
つては徹底いたしません。
大蔵大臣に思い切
つて予算を出させて、そうして小中学校の生徒に給食せしめるというくらいなことまで
努力せられなければなりません。われわれは食
生活の改善が
日本再建の第一のことと考えておるのであります。こういうことによ
つて外国からの食糧の輸入は減
つて来る。五億
ドルが三億
ドルになり、二億五千万
ドルにな
つて、それだけ原料資材の方に入
つて来ると私は思うのでありますが、厚生
大臣、農林
大臣はこういうふうな施策に対して、どういうふうな決意をお持ちにな
つておるか。また海外貿易の
関係でありますが、絹糸の輸出に対して
大蔵大臣はどういうお考えを持
つておるか。今日蚕糸業は非常に衰退いたしております。これは戦争当時の食糧
政策の犠牲にな
つたわけでありますが、絹糸は今でも京だ海外において非常に嘱望されておるから、
やり方一つによ
つて、うまくやれば
戦前のように輸出できるのであります。ことに、申し上げるまでもなく、スフ、人絹、化学繊維と同じように絹糸は一〇〇%の外貨獲得率であります。綿花のように買うは買
つて来たが、これを輸出するときは
国内消費に七割もとられてしま
つて、外貨獲得率が六〇%というような貧弱なものでなく、一〇〇%の輸出能力を持
つておる
ところの絹糸を、もつと輸出する
方針をお考えにな
つたらどうか。これはむだな金じやない。
大蔵大臣は思い切
つてこの方面に命を出して外貨獲得をや
つてもらいたい。戦争前蚕糸業はわが国の輸出の大宗だと申しましたが、そこで復興する
余地はしやくしやくたるものがあると私は思うのであります。ただいま農林省で考えております
ところの臨時
措置法によりまして、いかにしたら輸出が盛んになるかということを研究されておるようでありますが、あまりに農林省は
外国人のきげんをとろうというのでおびえておりはしないかと思います。と申しますことは、
外国は絹糸が二十四万円だから負わぬ、二十五万円は戸過ぎると言うのではないのであります。二十四万円でも二十五万円でもいい、それが動かず、ずつとある期間続いてくれば
企業原料として使えると言うのであります。
政府は二十四万円を最高限度として、二十三万円で輸出しなければ絹糸が
外国外売れないような誤
つた考えをお持ちにな
つておるのでないか。アメリカの今日の
消費生活から見まして、二十四万円、二十五万円の絹糸は高いものではありません。この八月からニューヨークで二十八万の取引をやるではありませんか。ただ価格がたえず変動することが輸出の妨害にな
つておるのであります。これは農林省として、農林
大臣として十分考えなければならない。ただ目先の取引上の問題なんかに眩惑されて、変な
措置をされたらたいへんなことになります。今日絹糸の最高、最低が十八万から二十三万にな
つて、もしそれが不適当なら二十万から二十六万に上げなさ
つてもよろしい。この法律が履行されないのに新しく臨時
措置をお出しになりましても、決して法の執行はおぼつかない、かように考えるのであります。この点について農林
大臣はどういう所信をお持ちにな
つておるか。また
大蔵大臣は絹糸の輸出に対してどういうお考えをお持ちにな
つておるか。
この食
生活改善に対しましては、か
つて前国会において決議案が満場一致可決されております。あのときの決議案は食
生活改善に関する決議案であ
つた。
ところが食
生活改善だけでは何だか。パンやうどんを奨励するようであ
つて、米や麦やそういう主食をおろそかにするような誤解を受けるというので、食糧増産をあわせた決議案にな
つたことは御
承知の
通りであります。その決議案に対して
政府は、責任をも
つてその趣旨に沿うということをお答えにな
つておるのでありますが、食
生活改善は国定運動を起さなければいけません。厚生省だけじやない、文部省だけでない、農林省だけでない、内閣の大きな仕事としてやらなければならぬと思うのでありますが、緒方副総理はどういうお考えをお持ちにな
つておるか。
また
通産大臣がおりませんから
大蔵大臣にお願いしておきますが、
日本は外囲から物を入れないのが能じやない、
日本も
外国に売りたいものがありますから、自分のものは買うてくれ、お前のものは買わぬというような、そんなことでは貿易はできません。それはいやなものもしかたがなく買うてやらなければならぬ場合もありましよう。けれ
ども耐乏生活をおつしや
つておる内閣が、バナナなどというぜいたくなものを輸入することはお考えにな
つたらどうか。私はこれを、
通産大臣がおられませんから
大蔵大臣に申し上げておくのであります。
耐乏生活を
政府がやるならば、
耐乏生活に相当するような品物が市場に現われて来なければいけない。戦後あまりにアメリカのお世話にな
つたために、
生活がぜいたくにな
つている、こういうことを痛感するのでありますが、この点についてのお考えを承りたいのであります。どうか緒方副総理は、ぜひともこの食
生活改悪に対して大きな力を今から入れてもらいたい。これは山へ木を植えるのと一緒である。この
効果が現われるのは、二十年先かもしれません、三十年先かもしれませんけれ
ども、今から手をつけなければ、なかなか体位の向上、食糧の自給度を高めるまでには行かないのであります。私は一日も早く食
生活を改善しまして、
国民体位の向上と、そうして食糧で
外国へ金を払うというようなことをできるだけ少くして行きたい。もちろん土地改良であるとか、
国内における
ところの食糧自給度を高めることは申すまでもないことでありまするが、それで追つつかぬ将来の国柄を考えましたときに、この点について今の内閣の方々の所信をただしたいと思うのであります。