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1954-02-16 第19回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十六日(火曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 森 幸太郎君    理事 川崎 秀二君 理事 佐藤觀次郎君    理事 今澄  勇君       相川 勝六君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    尾関 義一君       小林 絹治君    庄司 一郎君       高橋圓三郎君    富田 健治君       中村  清君    羽田武嗣郎君       福田 赳夫君    本間 俊一君       八木 一郎君    山崎  巖君       赤澤 正道君    小山倉之助君       河野 金昇君    中村三之丞君       伊藤 好道君    滝井 義高君       成田 知巳君    松原喜之次君       山花 秀雄君    横路 節雄君       稲富 稜人君    川島 金次君       河野  密君    小平  忠君       堤 ツルヨ君    西村 榮一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君         通商産業大臣  愛知 揆一君         運 輸 大 臣 石井光次郎君         建 設 大 臣 戸塚九一郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (大臣官房長) 石田  正君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         労働政務次官  安井  謙君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 二月十六日  委員櫻内義雄君及び足鹿覺君辞任につき、その  補欠として赤澤正道君及び成田知巳君が議長の  指名で委員に選任された。     —————————————  本日の会議に付した事件   昭和二十九年度一般会計予算   昭和二十九年度特別会計予算   昭和二十九年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  昭和二十九年度一般会計予算外二案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。庄司一郎君。
  3. 庄司一郎

    庄司委員 国土総合開発に関し、また関連して、国土総合開発計画主管大臣である建設大臣並びに経審長官等に対し、また国土総合開発に関する予算関係については大蔵大臣等に簡明なる質問を展開したいと思います。  そもそも国土開発計画は、昭和二十四年四月二十六日、吉田内閣総理大臣が独創的といいましようか、自発的といいましようか、総理みずからが創案され、大綱に関して御計画を立てられたものであることは、本員としては吉田総裁のこの御計画に対して多大なる敬意を払つてつたものであります。  小日本となつたわが日本は、この狭い国土を利用厚生するために、あくまでも積極的な観点から総合開発計画を立て、それに伴うところの予算措置がなければならぬことは、あらためで申し上げるまでもないのであります。国土総合開発こそは私の所属する自由党の大きなスローガンであり、同時に現内閣のしばしば声明されたところの重大なる政綱政策一つであつたと思うのであります。この国土総合開発は、ただいまわれわれに与えられておるこの予算面を通して一体どうなつておるか、きわめてはなばなしくスタートしたところの国土総合開発は一体ただいまどういう段階にあるか。これらの点から、以下三、四の項目にわけてお尋ねをしてみたいと思うのであります。  緊縮財政に伴いまして、昭和二十九年度の公共事業費食糧増産対策費あるいは電源開発あるいは地下資源開発等に関するところの予算、換言するならば、国土総合開発関係経費相当に圧縮されておるようでございますが、かように圧縮されましたる予算措置において、しかも国土総合開発力当初の計画通り推進して行くとするならば、相当なる覚悟と適当なるところの総合的施策が必要であると思うのであります。しかるに大蔵大臣財政演説の中で、このプリントされたものの第五ページにあるように「来年度におきましては、治山治水対策道路事業土地改良等重点を置いて計上し、この際新規計画は一切認めず、さらに一部既定計画の休止を断行するほか、」云々ということを述べられております。そこで国土総合開発に関しましては、御承知のごとく、すでに内閣内にあるところの総合開発審議会において全国三十七箇所の予定地決定し、さらに総合的な計画を樹立され、その三十七箇所のうちより重点的に国土総合開発法第八条によるところの特定地域十九箇所を選定せられ、その十九箇所のうちさらに岩手、宮城両県にまたがるところの北上川総合開発秋田県の阿仁田沢総合開発山形県の最上川地域におけるところの総合開発等々の三地域が、すでに内閣総理大臣の認証を閣議決定の上受け、その他の十六箇所はただいまそれぞれ総合調整計画中であるということを承知しておりますが、二十九年度においては、全国トップ切つて北上川総合開発だけに昨年は約四十億円の予算を計、されたが、幾ばく計上されておるか、これより拝聴したいと思いますが、わずかに三箇所だけが計画に入つた。そこで一方においては政府財政緊縮政策大蔵大臣財政演説において述べられておるように、一切の新規計画はこの際休止すると御明言なされておるのでありますが、さような御演説を通して考えます場合において、国土総合開発の前途にまことに大きな暗影を投じ、各都道府県地方総合計画を立てておらるる全国三十七箇所の地域におきましては、非常な絶望感に襲われておるような現況であります。  そこで今回の財政上の緊縮政策国土総合開発関係は一体どうなつて行くか、どうするつもりであるかということを、財政観点からは大蔵大臣に、事業施行上の見地からは主管大臣である建設大臣経審長官にお伺いしておきたいと思うのであります。
  4. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 国土総合開発の急を要することは申すまでもありません。しかしながら現在の日本の置かれておる財政事情がこれを許しません。従つて新規計画は認めない、こういうことにいたしておるのであります。また既定計画でも、非常に長くかかるというものは、もつと重点的に効率的にやる、こういう方針で臨んでおるのであります。庄司さんも御承知のように、日本の今の財政は、そう至るところへ総花的にやり得るような余地がございません。限られた財源でありますから、それをどういうふうに有効適切に使うか、こういうことになつて参るのであります。従つてここ数年たつ日本財政経済の基礎が確立するまでは、その点はなはだ思うにまかせぬのでございますが、私どもとしてはその間も限られた国費の中で重点的に、効率的にこれを取扱つて、できるだけ所期の目的を達成したい、かように考えておる次第であります。
  5. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 国土総合開発はただいま大蔵大臣からお話がありましたように、必ずしも十分の進捗を見ておるというわけではありませんが、御承知のように国土総合開発計画は、全国総合開発、都府県の総合開発地方総合開発とそれぞれいろいろありますが、今政府として重点を置いておりますのは、ただいまお話のございましたような特定地域総合開発でありまして、これが現在までに、ただいまもお話のありましたように北上最上阿仁田沢の三地域計画決定いたし、その他の十六については審議中のものが利根地域以下十三地域ございます。なおさらに吉野、熊野等の三地域は、今計画を立案中でありますが、三十年度内にこの十三地域については閣議決定を見たい、かように努力をいたしております。そのほか特定地域とはなつておりませんが、東京湾地域以下十地域調査地域と指定いたしまして、総合的な調査を実施中でございます。二十九年度の予算は、調査費特定地域調査地域合せて二千八百九十七万円を計上いたしております。それから計画決定をいたしました三地域に対しては総額約三十六億円、その中で建設省関係では、北上地域が二十億、最上地域一億三千万、阿仁田沢地域四億四千万、計二十五億七千万円、この程度であります。北上には二十数億昨年も予算がついておりますが、事業進行が、御承知のように昨年は予算決定が遅れました関係で、まだ十分に進捗しているとは申し上げかねると思いますが、大体において予定のように進行はいたしておる、かように考えております。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お答えいたします。ただいま大蔵大臣建設大臣からお答えのありましたような事情に現在のところあるわけでございますが、経済審議庁といたしましては、今後こういうふうな事情のもとにおいて、先ほど庄司さんの御指摘のような重要な仕事について、どういう態度でやつて行くかという今後の対策につきましても、寄り寄り研究中でございます。すでに現在までのところの措置は、先ほど答弁がありましたところでございますが、さらに今後の状況によりまして全体の開発計画を総合的に実効あるようにいたしまするためには、予算の上におきましても、治山治水電源開発土地改良といつたような各種事業に対しまする財政資金の配分をこの総合開発計画とより密着して、総合的に効果を発揚するようにいたしたいと考えておるわけでございます。そこで総合開発のうちの特定地域だけをとつて開発計画を見てみましても、たとえば従来公共事業費関係として計算せられましたところだけでも、二十八年度以降十箇年計画で完成するということを目途にいたしました場合におきましても、年平均六百億円以上になる見込みでございまするので、ただいま申しましたようにそれ以外の現在の電源開発でありますとか、国鉄の建設でありますとか、国有林野寺につきましても、これに相当する経費ということになりますと非常に厖大な金になりますので、その間の調整あんばい経済効率を高めるということ、並びに地方財政の強化ということも、将来の問題といたしましてはこれの一翼をになつていただくという関係から、この方でもいろいろのくふうを講じなければなるまいと思つております。これらにつきましては先ほど御指摘がございましたように、現状におきましてはなかなかはなやかに推進することは非常に困難でございまするが、将来長きにわたつての地道な計画というものは、引続き実行して参るように計画を進めて参りたいと考えております。
  7. 庄司一郎

    庄司委員 お三方の御答弁は一応了承しておきますが、ただいま議題なつておる予算の中に、国土総合開発関係調査費が約三千万円ほど減額に相なつておるのであります。国土総合開発法という法律によつて国が各都道府県計画の樹立を命じておらるるのでありますから、特定地域開発は国と地方とが相寄り相助け協力して行うものであることは言うまでもありません。しかしながら、補助の大半が大なたを振われて三千万円ほどが削減された今日においては、あとの足りないところの調査費は、全部都道府県等にこれを負担させるというお考えのもとに、約三千万円を削除されたものであるかどうか、念のためにお伺いしたいのであります。
  8. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 補助が昨年に比して減つておりますが、これも財政緊縮の場合まことにやむを得ないと存じておるのであります。この不足を地方負担させるという考えは持つておりません。これは大体四分の一の補助だと思つておりますが、それ以内でできるだけの調査を進めて参りたい、かように考えております。
  9. 庄司一郎

    庄司委員 国土総合開発法第十三条には、調査計画等経費補助金その他特別の措置を講ずるとうたわれておるのであります。この十三条の特別の措置というのは何でごございましようか、起債という意味でございましようかよくわかりませんが、ただいま建設大臣お答えになつたように、都道府県等には経費負担をかけない方針であるということは正しいお答えであります。また十三条の命ずる精神に合致するのでございますが、現に三千万円が足らないのでありますから、足らない点はどういう手を打たれるのであるか、あるいは府県等に対して平衡交付金その他の中にでも含まれておるのであるかどうか、いま一度念のためにお伺いしておきたいのであります。
  10. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 補助はただいま四分の一と申し上げましたが、三分の一を規定いたしております。特別の措置と申しますと、あるいはもう少し高率に補助をしたらというお考えもおありかと存じますが、これは地方実情等によつて考えてみて、できればさようにいたしたいとも思います。しかし何分にも調査の希望は多いことであるし、金額が十分でありませんので思うようには参りませんが、この範囲内でできるだけのことをいたして参りたい、かように考えます。
  11. 庄司一郎

    庄司委員 大蔵大臣にお伺いいたします。最近特定地域関係調査区域に編入されておる都道府県のうち、わずかに二、三県ではございますけれども一やがてその特定地域内の総合開発費用の一端に充当するため、開発法によるところの地元負担に充当する意味でございましよう、現在はわずか二、三の県ではございますけれども、国土総合開発に協力する意味において、開発資金勤倹貯蓄運動というものが起きておるのであります。たとえば岩手県のごときはそういうことをやつておられる。その他の県にもございます。これは国あるいは地方資金蓄積のためにも、また国土総合開発というものを国民全体あるいは県民全体が正しく認識して、お互いの協力のもとに、国と力を一にしてやつて行くのだ、そのためには零細なる資金といえども、この目的達成のために、よりよき新しい国づくりのために、零細なる郵便貯金でも、簡易生命保険でも、あるいは地方銀行なり金庫なりに対して多少なりともわれわれも奮い立つて、この祖国日本の復興のために、あるいは地方地下資源開発、あるいは運輸交通万般のために、われわれも資金蓄積をして行くのである、こういうまことに尊敬すべき信念の上より、総合開発資金貯蓄運動というものが芽ばえて参りました。これらに対して、何らか大蔵大臣はこれを推進し、あるいは推奨する意図がございませんでしようか。またかようなとうとい資金をよりよく活用させる方法等について、何らかのお考えはないでありましようか、お伺い申し上げておきたいと思います。
  12. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実は初めてその話を伺いました次第で、まつたく篤志なことで感謝にたえませんが、しかしよく一ぺん調査して——私は実は今庄司さんから初めてその話を伺つたのでありますが、よく調査しまして、政府としてはどういうふうにすべきかということを考えたいと思います。
  13. 庄司一郎

    庄司委員 建設大臣にお伺いします。政府治山治水十箇年計画を立てられ、その計画のもとに、この線に沿うておいおい予算措置を講ずるように承つておりますが、二十九年度の予算においては、すでに本計画の実行というものが危険視されている状態にあるやに感ぜられております。このような計画は、ただ単に治山治水計画のみでは不十分である。必ずこれに伴いまして、あるいは電源開発、あるいは食糧増産、あるいは土地改良工業用水あるいは利水計画等もあわせて、多目的予算措置を講じなければ、有効適切ではないと考えられるのであります。国土総合開発観点より適切ではないと、かように考えておるのでございますが、建設大臣の御意向はいかがでございますか。また十箇年計画治山治水の御計画等がもし成案を得ておられるならば、この際この予算総会に御発表を願いたいと考えます。
  14. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 お答え申し上げます。治山治水計画を、かねても申し上げたと思いますが、昨年災害あとを受けて政府において治山治水対策協議会を設けまして、それによつていろいろ研究検討をいたした結果が出ておるのでありますが、これは非常に厖大な、理想といえば理想でありますが、厖大な額になつておるのであります。財政事情等を考慮して、さらにその中でどういうふうな実際の計画を立てて行くべきかということについて、その治山治水対策協議会が、そのうちの財政の面の研究をただいまいたしておるところでございまして、まだその結論までは達しておりません。  なお先ほどちよつとお話がございましたように、総合開発について地方貯蓄なりあるいは協力するというような態勢ができつつあるというお話でございますが、私はそうした機運が地方に多くわき起つて来ることがまことに大切でもあるし、またけつこうなことではないか、かように考えます。ことに治山治水計画を実行して参ります財政上の立て方、考え方財源を得る上の考え方といたしましても、そうした思想がいま少しく地方において勃興して来ることを私は念願をいたし、期待をいたしておるのであります。またただいまお話国土総合開発という点から治山治水を実は考えたわけでございますが、もちろん治山治水は、国土総合開発一環でありまして、国土総合開発道路、あるいは資源開発、あるいは灌漑用水、あるいは工業用水、あるいは飲料水等、いろいろの面を総合して行くべきことは当然でございまして、政府としてはただいま治山治水計画を、特にその総合開発一環として、昨年の災害あとを受けて今後恒久的な対策を十分考えて行かなければならないのではないかということで、研究しておるということを御了承願いたいと思います。
  15. 庄司一郎

    庄司委員 国土総合開発の問題は、党の大いなる政綱政策でもあり、現内閣の一枚看板でもあるのでございますが、緊縮財政に災いされて、はなはだ朝令暮改、朝三暮四的、あるいは羊頭狗肉的結果に陥るの傾向にありますることは遺憾にたえない次第でございます。もとより向う五年や十年でわが国のさしあたり調査地域に編入されておる三十七箇所の全部の総合開発工事施行の完了は望み得ないのであります。今後二十年、三十年の長い将来を見て行かなければならないことは言うまでもありません。しかしながらよりよき国づくりのために、わが国国土の再建のために、積極的にはあるいは地下資源開発のために、政府は当初の意気込みを決して沮喪されないで、たとい緊縮財政でありましても、その緊縮財政予算範囲内において、でき得るだけこの政策の推進のために御努力を願いたいと思うのであります。私与党でありますから、穏健にこの程度にして、国土総合開発の点はこれで打切つておきます。  次にはわが国にただ一つだけ残つておりますいわゆる古い言葉でいう国策会社、それは東北興業株式会社でありましよう、この東北興業株式会社は、いわゆる米内内閣の当時国策として——もつと古いことをいえば、原内閣の時代より、北海道に次ぎ、あるいは北海道と平等に並行して未開発地域開発して行かなければならない、そういう国論のもとに、内閣には東北局が設置され、一方においてはいわゆる半官半民の東北興業、あるいは東北電力会社等々ができ上りましたことは御承知通りであります。幸か不幸かわが国においてただいま残つておる唯一の国策会社でありまする東北興業株式会社、これはオンリーである。しこうしてこの会社監理者といいましようか、血管大臣建設大臣戸塚さん、あなたである。この興業会社の近況は、ただいまどういう状態に相なつておりますか。同会社直営山形県下における木友亜炭鉱業所あるいは福島石灰窒素肥料工場などが相当努力をして生産を上げ、あるいは利潤を上げておるようでありますが、同会社負債だけで一億数千万と相なつておる。その借金のことはしばらくおき、この会社政府は一体どうなさるおつもりであるか。つまりこの会社を更生させて、東北振興のために、未開発地域振興のために保護助長して行かれる御方針であるかどうか。どうも政府態度が微温的であります。私の見るところきわめてなまぬるい態度をとつておる。殺すのであるか、生かすのであるか、その御信念がわからない。というのは、現にこの会社トップは、御承知通り社長というのではなくて、総裁、これは昔の満鉄総裁のように、総裁、副総裁、その下に理事が若干名ということになつておる。ところが総裁も副総裁も現在はいないじやありませんか。総裁は数年前にやめておられる。副総裁は最近でございましようが辞表を出されてやめておられます。ふと残る者は理事が五名、かような状態に相なつておるにかかわらず、この会社総裁の御任命もない、副総裁の御任命もない。一体どういう御心境においてこの会社政府は対処されておるのか。直接の担当者であり、監理者であるところの戸塚建設大臣にお伺いを申し上げるのであります。
  16. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 お答え申し上げます。お話のごとく東北興業株式会社がはなはだ不振であることはお話通りでございます。ことに戦後いろいろの事情があつたと思いますが、経営行き詰まりを生じておつた。それで一昨年以来この改革を断行をいたしておる途中でございます。ただいま会社状況は、お話がございましたように山形木友亜炭鉱業所、それから福島県にあります石灰窒素製造工場、この二つが直営工場なつております。それで経営行き詰まりを打開いたしまして、順次その成績を上げて参つておるのでありますが、幸いにして二十八年度には相当成績を上げまして、従来の穴を埋めるという程度にまで参つております。あるいは本年度の決算においては配当ができるかもしれないというところまで改革をいたして参つております。とは言うものの、これがはなはだ大規模でないという点については、まことにお話通りだと私も考えます。ただ東北興業株式会社がああした特別の事情のもとに成り立つておるところでありますので、私といたしましては今後一層これは積極的に指導監督をいたし、東北地方殖産興業指導の中心となるというふうに仕向けて行きたいものだ、かように考えておる次第でございます。  なお総裁欠員のことでありますが、これはただいまも申し上げましたように、はなはだ不振であつた関係から、あまり多くの費用をそういう方面に使うことは、現在の状況としてはおもしろくないという考えが一面にありますと同時に、また適当な人が見つからないという点も考えあわされまして、総裁欠員のままでおるのでございます。副総裁が一月の中ごろと存じますが、大体今までの自分の念がけておつたところの成績も上つて来ておるから、この際勇退したいという申出がありまして、その後任につきましてはただいま選考中でございますが、至急に決定する運びに相なろうと思います。   〔委員長退席西村(直)委員長代理着席
  17. 庄司一郎

    庄司委員 あたりまえのおざなりの御答弁でございますが、総裁、副総裁の御任命は、これは一日もゆるがせにすべからざるものであります。すみやかにきわめて最近において御任命を要望してやみません。  当会社負債社債において八千二百七十四万余円、短期借入れにおいて一億三千百二十二万円、こういうのはあるいは興業銀行開発銀行、農林中金、仙台の七十七銀行、勧銀支店興銀支店福島の常陽銀行、東邦銀行、秋田秋田銀行、羽後銀行岩手岩手殖産銀行山形の両羽銀行等々よりこまかい借金がある。そこで私はなぜこの一つ会社のために話をしなければならぬかというと、この会社の株主は一方において政府であり、一方においては東北六県の市町村、農業、畜産、養蚕等公共団体、そういう方面の方々が加盟しておりますがゆえに、この会社成績のいかんというものは、地方自治団体に非常に甚大な影響を及ぼすのであります。そこで今申し上げたような意味におけるところの負債等監理官において一括されて、より低利で、より長期なる資金に借りかえさせるというようなごあつせん等も、この会社に対する一種の応援ではなかろうかと思いますが、社債に対する利子の補給、あるいは配当金の一部の補給等までこの会社に対しては元はあつたのでありますが、今はそれがないのであります。私はそれを復活せよと言うのではない。せめても高利の十幾つの地銀から借りているものを、より低利で長期のものに借りかえさせて、この会社に安定を与えさせるというような御善処をはからうことが、監理者として当然ではないか、こんなふうに考えておるのでありますが、御意見はいかがなものでしようか。
  18. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 お話負債が一億五千万円ほどになつておるのでありますが、この償還についてはただいまもお話がありましたような低利のものにして償還させるような方針をとりたいと考えております。なお現在の実情は、先ほど申し上げました福島の石炭窒素工場も、最近においてさらに現在の設備を三倍にまで拡張する計画ができておりまして、この七月末には完成する見込みになつております。幸いにしてこの方面の業績も次第に上つて来ておりますので、安い利子のものをもつてこれを償還しつつ、先ほども申し上げましたように、少しでも配当をするところまで進めて参るという計画でただいま進んでおる次第でございます。前年度の繰越し損失金を差引きまして、なお五百九十万円余りの利益を生じておるのがただい京の実情でございます。それによつて株主の配当もできる、かように考えております。さらに今申し上げましたように、設備が拡大して参りまして、順次従来の負債も償還して行くように見込みは立てている次第でございます。
  19. 庄司一郎

    庄司委員 もつぱら大蔵大臣愛知通産大臣等に御意見を徴したいと思うのであります。それは政府政府みずから遵法精神を確立しなければなりません。政府政府みずから法律を守つて行く。その建前で善処しなければならぬことはあらためて申し上げるまでもないのであります。しかるに最近政府が遵奉しない法律がある。(「そうだそうだ」「憲法を遵奉しない」と呼ぶ者あり)それは何であるかといいますと、政府契約の支払遅延防止等に関する法律、この法律は昭和二十四年法律第二五六号、これは衆議院において終戦後初めて国会議員が——これは岡野清豪君が委員長となられ、議員立法としてのトップの法律であります。不肖私もその委員として御助力申し上げた法律でございますが、この政府契約の支払遅延防止等に関する法律は、大体においてはお守りになつておるのではありましようけれども、地方の出先機関等おいて、あるいは政府のもろもろの機関等においては、どうもこの法律が徹底しておらない。商工業者あるいは建築その他の請負業者等、あるいは運輸省関係、あるいは電電公社等その他各省、またその出先機関において、とかく支払いが遅延している。極端な例を申し上げると、物を納める、あるいは工事が終了して半年たつても、まだ金を渡さぬという実例があるのであります。私は一々その実例をここで申し上げる時間を持つておりません。これは分科会か、あるいは書面で御参考までに提出したいと思つておりますが、政府が今緊縮政策をとつておられる。従いまして金融面においても商工業者、特に中小商工業等は非常な圧迫をこうむつてひどい目にあい、あるいはあわんとしておる、こういうような場合において、せめても当然ちようだいし得るところの料金は、物品の納入に対しては物納代金を、あるいは契約によるところの請負工事等においてその工事費用を、すみやかにちようだいできれば、せめても緊縮財政の中において業者は一息つくことができるのである。しかるに多くの出先機関等においては相かわらず支払いだけはマンマンデーである、とる方はまことに敏捷果敢であります。出させる方だけは租税においても何でも敏捷果敢であるが、払う方は遅延しておる。そこでそういう弊害弊風を除去するために、こういう法律が議員立法の第一号としてでき上つたのでございますが、最近になりましてまたまたこの法律が変化しておる傾向が、きわめて遺憾ながら濃厚でおります。もとより悪意、故意をもつて支払いが遅延しているとのみは断じません。何らかの都合がありましようが、とにもかくにも支払いを敏活に励行してもらわなければ、国民のうちの商工業者あるいは政府契約関係の業者等が非常に困るのであります。この法律の最後に支払いが一定日時遅れれば懲戒がついておりますが、今まで懲罰された官公吏がございますか、これはない。これは大蔵大臣も通産大臣もよく聞いておいていただきたい。業著がお金の請求当を持つて参ります、すると月日を入れないで出しておけ、こうなる。ようございますか、よくこういう裏面のことを御観測願いたい。月日を入れないで出しておけというのは、四十日経過して払わないと懲戒になるのです。それに業者は抵抗できません。何となればあとは物も買つてもらえない、感情を害されるおそれがある。またその反面において早く代金をもらいたいから、何とかかんとかりくつをつけてプレゼントをやる、あるいは麻雀会に招待する、なお今ではその最悪なる望ましからざる情景をも展開して行きます。どうかこういう意味において、この法律の趣旨がよく政府内閣、各省の出先機関にまで周知徹底され——周知徹底はしておるのであるけれども、励行していない。これに対して大蔵大臣も通産大臣もよく責任をもつて、遵法精神が励行されて行くように御善処を願いたい。それにはたとえばきわめて近き将来に次官会議等の場合に、各省が申し合せて再び各地方出店等に通牒を発行することも一つの方法でありましよう。何とかこの法律を尊重させ、業者に迷惑だけはかけないように、そうして望ましからざるところのもろもろの事態等を、業者をして余儀なく発生させないように、この間に腐敗堕落の状態を救済することができるように、何とか御善処を要望してやまないのであります。お答えをお願いいたします。
  20. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 遵法精神のきわめて大切であることは申すまでもありません。私どもは政府契約の支払遅延防止等に関する法律が施行されて以来、御指摘のような事実は政府の支払いに関する限りない、かように考えておるのでありますが、しかし今お話もございましたので、とりあえず財務局等を通じまして調査して、万一さようなことがありますれば、当然官庁に対し必要な指示を与えたいと存じております。  なお官庁等の支払いが、今お話のように万一遅延するような事実がございましたならば、業者の方から、たとえば大蔵省関係なら財務局または財務部に御相談くださいますれば、この法律の指示に従つて処置するように通知してございますから、さように御了承願つて、私どもは今後ともこの法律の趣旨貫徹に努める所存であります。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政府支払いの遅延防止につきまして、ただいま御指摘の法律が議員立法の第一回として制定せられました。その当時の経緯につきましては、私も非常によく承知いたしております。爾来ただいま大蔵大臣が言われましたことく、私は従来成績が上つておつたことと思つておつたのでありますが、御指摘のような実際の事情が十分私にもつまびらかでなかつた点もあろうと思いますので、これは至急取調べまして善処いたしたいと思います。なおこの機会に申し上げておきたいと思いますが、通産省の立場におきましては中小企業を助けて行きたいということから、ひとり政府支払いの遅延のみではございません。大企業から下請あるいは関連産業等への代金も支払いを促進しなければならぬという観点から、公正取引委員会等とも十分に連絡をとりまして措置いたしておるようなわけでありますから、いわんや政府の支払いのような点につきましては、御指摘のような事実があれば、私どもとしてはこれは即刻適切な措置をしなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。
  22. 庄司一郎

    庄司委員 それでは厚生大臣にスピード・アップの質問をしたいと思います。時間が二十一分までしかないということでございますが、厚生大臣に少々お伺い申し上げたいのは、本予算委員会においてもあるいはもちろん厚生常任委員会等々においても、あるいは本会議等においても、われわれの先輩同僚の諸君より社会保障費がきわめて足らない、社会保障費の七百四十何億円でははなはだ乏しいではないか、けしからぬじやないかというような意味、あるいは御好意の上から社会保障経費を漸増せよ、こういうような意味の御質問が多々ありましたことはあなたの御承知通りであります。近代政治において社会保障関係経費が、国の財政の許される範囲において相当ふえることはもとより望ましいことであります。けつこうなことであります。けれども反面において、厚生大臣によくお聞きを願いたい、あるいは労働大臣にもよく御了解を願つておきたいことは、法は法なきを期す、刑は刑なきを期す、この言葉は御承知であると思います。社会保障は社会保障費の必要のない社会をつくることが、根本的のアイデアである、これは御承知通りであります。私は第一線において職業紹介所長も町村長も十幾年勤めた人間でありますから、よくこの実際の運用面において承知しておる人間であります。ただ単に社会保障費が不足である、足らない、これをふやせ。まことにはなやかな御演説であります。社会保障費を増額せよ、ニュージーランドは何パーセント、西ドイツは何パーセント、英国は何パーセント、こう言つている、たいへんこれは耳ざわりのいい演説であります。けれどもたとえば七百四十億の予算でありましても、その予算を有効適切に効率的に運営するという意味において、厚生省あるいは労働省のお力が足らない。というのは、不幸にしてたとえば生活保護法によつて生活補助をちようだいする、生活補助をちようだいしなければ生死の関頭に立つような気の毒の同胞がある、現に二百何十万現在あるといわれておる。けれどもその人は現在より墓場に至るまで残る生涯鉄筋コンクリートのようにこの金をもらわねばならないというりくつは一つもないのです。これはどういう意味であるかといえば、そのためには労働省系統においては職安の出店がある、あるいは町村長、民生委員等々がございます。この生活保護法によつて救護し、生活の保障を与えるということは、なるほど憲法の第二十五条の精神によつて、政府として、国家として当然なさなければならないことであることはよくわかつております。けれどもこの法律によつて生活の保護をする、あるいは医僚の補助をする、あるいはまた葬祭の補助をする、義務教育の補助をする、これはけつこうであるが、年々歳々同じ人——そのうちには死亡する人もありましようが、同じ人をことしも来年も再来年もこの生活保護法によつてお世話して、補助金を上げなければならない理由は一つもないのであります。というのは適材適所、その人に適当なるところの職を与え、たとえば封筒張りでもよろしい、あるいはりんごや、なしを包む袋張りでも何でもよろしい、手のきく人には多少なりとも仕事を与えて、お金をとらせるようなことに努力して行かなければならない。ただ第一線においては、おれの県では要保護者が何万何千人、一箇月に何千万の金が来るというように、数がふえたことがたいへん成績を上げたがごとき錯覚に自己陶酔している傾向がないでもない。すなわち生活保護でありましようが失業救済でありましようが、その根本はその不幸な、どん底にある同胞を再び立ち上らせる、更生させて自主独立の生活が可能な状態に手を引いてあげる、抱いてあげる、うしろの方から推輓して御援助することが根本の理念でなければなりません。私は生活保護法の制定の場合における特別委員長を勤めた関係より、本会議報告の場合においてそのことを特に強調した。毎年々々社会保障費をふやして行けば今の英国の財政のようになるでしよう。なまけものばかり出るでしよう。そういう点は一向見ないで、ただ予算が足りない、予算が足りないと言う。予算のふえることはもとよりけつこうである。けれども、その人に自主独立の人間としての生活を与えるために推輓するというその面に厚生省が迫力を欠いてはなりません。私はそういう観点から地方において十数年の間職業紹介所長をやり、自分の町なんかでは最初三十六人も生活保護法の対象者がおつたけれども、今では半分に減つておる。みんなに職を与えて自活の道を与えておる。そこで私は厚生大臣にお伺いしたい。社会保障関係の根本的な理念、信念は、その人をほんとうに精神的に目ざめさせることにあるのはあなたもおわかりでしよう。多分トルストイの「地主の朝」という小説をお読みになつたでしよう。それは物だけを与えてはならない、金だけを与えてはならない、立ち上る精神、気魄を与えなければならない、古い言葉でございますが精神作興です。その点において手が足りません。愛の手が足りません。社会保障に関するところのあなたの、厚生大臣としての根本的な御信念をこの際承つておく必要があると思います。
  23. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御意見の点、まことにごもつともと存じます。厚生省におきましても、実はただいま御引例になりました生活保護方面におきまして、終戦後の状態から考えて、最初は三五・九%というくらいの高率の扶助対象でございましたが、それがだんだん減つて参りまして、二十六年には二四になり、二十八年、ただいまは二二という点までずつと減つて参つております。これはお話のような趣旨を十分体しまして、その人が一日も早く更生をし、一日も早く十分な活動のできるようにし、また少しでも稼働能力がありまする人には、なるべくそれにふさわしいような仕事を与えて行く、この方向に努力して参りたいと存じておる次第でありますが、今後は一層この点に中心を置きたいと存じます。幸いに民生委員の制度も御承知のように少し改正をいたしまして、一層の協力を得ることになります。昨今はこれらの全国の民生委員の諸君が、一人が一人ずつ一年に更生をさして行く、いわゆる更生運動というのを展開いたして参つております。私どももこの活動を期待している次第であります。
  24. 庄司一郎

    庄司委員 よろしゆうございます。その御信念、御方針で御善処を願いたい。  それから結核対策についても同僚諸君より御質問があつたのでありますが、幸いに結核対策予算がことしは前年度より六億かふえておるようであります。けつこうでありますが、結核は第三期になりましてからは、ストレプトマイシンでもパスでも容易に全快しません。初期のうちに善処しなければならないことは言うまでもない。それには地方の保健所の活動能力、機動力を旺盛ならしめて、初期に結核の早期発見をして善処しなければならないと考えておるのであります。保健所に喜んで勤続するお医者さんがおりますか。ほとんどおらない。三十年も看護婦として勤めたような人が、恩給をとる片手間に入つておる、こういうような状態であります。保健所についても、これは相当再検討をして行かなければならない。こういうことについての御所見を承りたい。  それから日雇い労務者の問題であります。三箇月期間の日雇い労務者の疾病関係の保険はたいへんけつこうであります。それを今度は六箇月まで延長されたことは非常にけつこうなことであります。しかしこういう日雇い労務者は全国に何十万でございましようが、こういう諸君の唯一の資本はかれらの体位、体格、ボディーである。だから年老いた諸君の将来の問題もぜひ御考慮に置いていただいて、日雇い労務者等の養老厚生年金制度といいましようか、そういうことはぜひともひとつお考えを願いたい。日本の自由党が始まつた当時、当時のわが党の党首であつた鳩山総裁がこれを政綱に掲げられまして、これを私はその際において尊敬いたしました。日雇い労務者の養老年金制度までお考えなつて、当時の政策政綱の中にこれが掲げられておるのであります。こういう問題について、やはり日雇い労務者の御諸君にも将来養老の明るい見通しをつけさせる必要がある、希望を持たせることが必要であると考えておるが、あなたのお考えはどうであるか。  もう一つ、最近閣議御決定済みのようでございますが、戦傷病者戦没者遺族等援護法の関係でございます。年末ごろまで約六万七千人ぐらいの未裁定着があられたようであります。しかるにその後だんだんと調査を進められ、御努力の結果減つたようでありますが、きわめて最近における御調査の統計では、現在まだ残つておる。何らのごさたのない、不幸な境遇に沈淪しておる遺族の数がどのくらいあるか、それが一点。それからこの未裁定者の中には、はなはだ気の毒な方がある。たとえば自殺をした安藤利吉大将——私の安城県出身で台湾総督兼最高司令官でしたが、これはその当時の言葉で、彼の信念からいえば、上は天皇陛下に対し、下は多くの部下将兵を殺して申訳ないと言つて割腹した、こういう人は現行恩給法百四条には該当しない。援護法にも該当しない。これはオミットされて、永久に靖国神社にはまつられない神です。けれどもその精神たるや、まことに傾聴に値するものであります。いろいろ内地で死亡したとか外地で死亡したとか、その病が結核であるとか脚気であるとか、二十五種類の病種類に該当しないために残されておる。あるいは軍医や部隊長の証明がないために、いまだに裁定の恩点に浴し得ないという気の毒な同胞もあるのであります。現在の数ははたして何名に相なつておるか、いまだに残つておる不幸なる未裁定者の遺族は何名になつておるか、これらの点に対して御遺族一人当りどのくらいの公債を交付されんとするものであるか、従来の援護法と同様に五万円の公債を付与されんといておるものであるかどうか。あるいは若い諸君より笑われるかもしれませんが、遺族は靖国神社にまつつていただくことを願つておる。そうして天皇皇后両陛下に拝んでいただくことを希望しておるのである。これは現実の問題である。そこで最近における未裁定者の数及びこれからどういう方法で、すみやかにすべての——内地、外地を問わず、戦病死の病気の種類等を問わず、いつごろまでに、大体の御調査の完了をまつて全部に交付することが可能であるか、そういうようなお見通しをもあわせてお伺いしたいのであります。こいねがわくはすべての戦争犠牲者、戦傷病者、軍人軍属あるいは学徒動員その他徴用による者、それらすべての人を一括してわれわれはこの援護の手を延べて行かなければならない、かように考えますので、以上たいへんたくさんあるようでありますが、簡明にお答えを願つておきたいと思います。
  25. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 保健所の問題でございますが、保健所は実は厚生省といたしましても、また政府といたしましても、第一線の保健行政あるいは公衆衛生行政、医療行政の中心にいたして参りたいと存じます。従いましてこれらの組織あるいは機能等も将来発展さして参りたいと思います。  なお、次の日雇い労働者の問題でございますが、ようやく本年から健康保険を実施し、従来の三箇月を六箇月にいたしましたが、この点は実施をいたしまて、さらにだんだんと内容の充実をはかつて参りたいと存じております。  最後に戦傷病者戦没者遺族等援護法によります裁定の状態はどうかという御質問でございましたが、今まで受付けました総件数が百九十二万件でございます。そのうちですでに裁定をいたしまして御本人に証書を送り、裁定決定いたしました分が百八十六万件であります。ただいま手持ちいたしておりますのが六万四千件でございます。寺くそのうちで三万六千件は裁定決定して通知をいたす見込みでございます。最後に二万八千件ほどが残ると存じます。これは身分なりあるいは死因なりその他の資料が至つて不十分であります。これには御本人の方もできるだけ何かの資料がありまするならば御提出をいただき、私どもの方も十分あらゆる方法で調査をいたしておりますが、まことに困難を来しております。お話のすべての当時の人たちに対しまして、何かそれぞれの方法を講ずベきではないかという点でございますが、私ども政府といたしましても、この点を十分検討いたし、また考えておる次第であります。従来、裁定になりまして、そうしてあるいは援護法によつて年金を受け、弔慰金を受ける人以外に却下いたしまして、これらに該当しないと思われまする数がおよそ七万件と推定をいたします。これらの七万件の方々に対しましては、同様に弔慰金等の方法を講じまして、その御遺族に対して弔慰の方法を講じ、お慰めをいたしたいというので、目下関係当局竹十分これらの案を練つております。今国会に提案いたしまして、御審議をいただく予定でございます。金額等につきましても、それらの関係と十分目下検討いたしておりますので、近く提出する運びにいたしたいと思います。
  26. 庄司一郎

    庄司委員 時間でありますから、生活保護法の適用の関係の上においてもう一点だけ。現在はそういう情勢はないと思いますが、生活保護法が日本人でない第三国人等によつて強談、威迫され、集団的な脅迫にあい、地方町村長等が余儀なく生活保護法を発動して、相当なる金額を出しておる傾向がございました。大体地方市町村等においては、対象者の約一割、最小限度五分くらいが、第三国人の脅迫行動によつて略奪的にせしめられておるという傾向があつたのであります。現在の状態において、それがなければけつこうであるが、こういうことについては、よく再検討をして、そういう暴力に屈して生活保護法の適用を誤らないように要望しておきます。  法務大臣に対しては、外務大臣の対外的な会談と相まつて、さような第三国人はすみやかに帰国せしめる、そういう方法をとる方面に御努力を願いたい。  それから運輸大臣に対しては、地方問題のようでありますが、東北本線、常盤線及び陸羽本線等々の電化促進並びに複線化の運動が、きわめて熾烈に台頭しておるのであります。北海道東北六県をつなぐところの本線関係、特に電化の促進あるいは複線化が叫ばれておるのである。輸送の関係において、岩手県の黒沢尻という前の運輸大臣の小澤君の出たところは、一日上り下りが七十七回、単線としては日本一であります。だからそこに働く勤労者諸君などは、もうへとへとになつておる。そこで輸送の円滑化のためにも複線化が叫ばれ、また電化の促進が叫ばれておる。そこで地方的のことをお伺い申し上げるようであるが、先ほどの東北興業株式会社東北地方振興に伴いまして、あるいは只見川の開発あるいは秋田最上川の国土開発等々と相まつて、東北地方における電化の促進の問題及び複線化 東海直線などは複々々線になつておる。東北だけが取残されて単線のオンリーであります。運輸大臣はどういう計画のもとにこれに対処されんとするものであるか、簡単なお答えを望むものであります。
  27. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 第三国人の生活保護の適用の状態でございますが、現在生活保護法によつて適用いたしております全数は、世帯にいたしまして六十八万世帯、人員にいたしまして、百九十三万人程度でございます。このうちで第三国関係におきましては、朝鮮人関係において、世帯にして約二万、人員にいたしまして約八万九千。この朝鮮人の諸君の問題は、実は平和条約の発効前は、日本国氏といたしまして保護をいたしておりました関係もあり、また根本的には日韓会談で解決すべきものであると存じますが、その間の暫定措置といたしまして、生活保護法に準じて取扱つておる次第であります。従いまして集団等による強制というような点はかたくとらざるところであります。十分地方庁その他に対しましても、個々の実情に即するよう取扱うことを厳命いたしておる次第でございます。
  28. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。第三国人の関係の生活保護法による要保護者の中で、今御指摘のように集目的かつ強制的に保護を求めた問題がある、私の方にもさような報告が二、三ございました。これは明らかに違法行為でございますから、厳重に厚生省と連絡の上措置するように指令をしてございます。根本問題といたしまして、御承知でもございましようが、出入国管理令の二十四条に、貧困の者あるいは常に放浪しておる者あるいは身体障害者で国または地方公共団体負担なつているものは、強制的に本邦から出てもらうという規定がございますけれども、今厚生大臣が言われましたように、これは単に国内問題として扱うばかりでは足りないのでありまして、御指摘にもありましたように朝鮮との外交にも属することでございまして、その方と十分バランスをとつて善処いたしたいと思います。私ども入国管理局を監督しておる者といたしましては、もちろんふらちな第三国人もおりますけれども、地理的に縁の深い隣国人に対しましては、ちよつと貧困になつたから、さあ出て行けということは、隣同士の家の関係からしまして慎重にしなければならぬ。多少むだな——むだといえばむだな負担がありましても、そういう大きな見地から、貧困になつた、かたわになつた、放浪している、さあ出て行けという政策はとりたくない、そういう大乗の見地から十分に諸般の事情をしんしやくして取扱いたいと考えております。
  29. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 東北線及び常盤線の電化問題については、ただいまお話のありましたように、非常に熱烈な希望が東北地方にあるのでございまして、ぜひこれは私どももやりたい問題でございますが、二十九年度の予算では東海道線並びに山手貨物線の電化の仕事をずつと進めて行くのがまず第一の問題になつておりますので、本格的に着手することはちよつと来年度はむずかしいのでございます。しかしできるだけ早い機会に仕事にかかりたいということを私どもも熱望いたしておりまして、来年度の終りごろからは何らかの形でこの両線に手をつけるような形に持つて行けるのではないかと思つて、せつかく今研究いたしております。御承知のように常盤線では柿岡の地磁気観測所にとつては非常に電車が大きな影響を持つという問題がございます。これは昨年から特別に委員会をこしらえまして、電化すればどの程度に影響するかという問題について、今実地の試験等もやつておる最中でございます。何とかして私どもは早い機会に着手したいと思つております。  それから東北本線の複線化の問題でございますが、御承知のように現在は品井沼と石越間、これが四十二キロ余りでございますが、これの複線工事に着手いたしておりまして、ずつと引続いてこれの完成に努力いたして行くつもりでございます。全体的に見まして東北線が荷物あるいは旅客を運ぶために非常に手詰まりな状態であることは御承知通りでありまして、一部分にでもネックになつておるところから順次複線化をやつて行くことによつて、東北線全般の電化を推進いたして行きたい、これも今努力いたしておるところであります。
  30. 西村直己

    西村(直)委員長代理 それでは午後本会議の散会後再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかつた