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降旗委員 ただいまお答えにありましたマーガリン、バターの問題でありますが、これは私
数字を
はつきりと記憶しておりませんが、現在年間三万トンのバター、マーガリンができる、しかも
国内における施設は十五万トンの施設がある。しかもこれらの問題について、
政府の施策、
政府の意図というものが、まだ業者にも徹底していない、こういう事実もあるのであります。どうかこれらの問題につきましては、特に
政府が熱意を持ち、積極性を持
つてこの
国民食の改善の問題に御努力ありたい、このことを希望しておきます。先ほど緒方副
総理に御
答弁を求めましたが、このことについて緒方副
総理からも御
答弁を願いたいと思いますが、引続きまして、私は第四に、人口問題及び移民
政策についてただしたいのでありますが、ここでは都合上移民
政策についてのみ承りたいと思うのであります。
終戦後わが
国民全体は日常の生活に追われ、かつ連合国のわが国に対する感情は険悪でありまして、移民問題はしばらく沈黙せざるを得なか
つたのであります。しかるに、平和条約の締結、
朝鮮事変の勃発等相次いで起るに及びまして、内外の情勢は大きく転換して参りまして、今や南米諸国におきましては、
日本人移民歓迎の機運が急速に高ま
つて来たのであります。
思うに、過去におけるわが国の
戦争責任につきましては、深く反省する点もあるでありましようが、その
戦争勃発の原因が、激増する人口の圧力による内外情勢の激突にあ
つたことは、否定することのできぬ事実であります。日清、日露の両役、満洲事変、
世界戦争中に費やされた戦費と人命は、けだし莫大なものであ
つたのでありますが、この鉄血の犠牲によ
つてわが国はその版図を拡張し、国威を宣揚したのであります。しかるに、弟二次
世界大戦によ
つて、あわれむべし、か
つて得たるものことごとく失わざるを得なか
つたのであります。
日本人はこの
戦争を通じて、
戦争の罪悪を痛感せざるを得なか
つた。しかるに、わが国の人口は戦前よりも、終戦当時よりもかえ
つて激増し、さらに将来に向
つてその増殖の歩調をとめないのであります。
国内においては、産業
経済上の苦悩はいよいよ深刻になり、
国民生活はますます困窮して、遂に道義の頽廃と、権力への追随のとうとうたる弊風を生ずるに至
つた。しかるに、幸いなことには南米
各国においては、近代工業化運動の
ために、その国みずからの食糧自給ができなくなりまして、
日本農民を大いに歓迎する機運を醸成するに至
つたのであります。申し上げるまでもなく、ブラジルはその領土がソ連、北米、カナダなどに次ぐ
世界第四位の大国であります。わが国の総面積の二十倍以上でおる。人口は五千万、耕地は全国の一%、異人種に対する悪感情を有せず、文化の
程度もよく、邦人の移民は成功し、洋々たる前途を持
つているのであります。ボリヴイア、パラグアイ、アルゼンチン等々、大小の差はありましても、いずれもブラジルと同様、移民の
ためには進んで好条件を提示しているのであります。か
つてわれわれは
戦争により国連を賭して民族の進路を獲得したのでありますが、今やわれわれは平和の手段によ
つて、民族の進路を開拓することができる。か
つて戦争によ
つて獲得した領土の何十倍の土地は、人類の平和と自由を確立する
ために、わが民族の協力を求めているのでありまして、この道を進むことこそ、現代
日本人が歴史の上に輝かしい足跡を残す大なる機会なりといわなければならないのであります。しかるに、移民
政策の上に計上された
予算は一体どれだけであるか。一兆円の
予算総額に対し、また二千億円の自衛、保安
予算に対して、わずかに数億円であります。南米
各国における食糧需給
対策は、今後十一数年の間にその
計画を完了するものと思われます。その後の情勢は今日これを予断しがたいのであります。鉄は熱したるときにこそ打つべきである。今や移民の問題は、わが国重要国策中の重要国策と申すべきでありまして、強力にこの
政策を推進せざるがごときは、むしろ政治の怠慢を暴露するものといわなければならなぬのであります。この点につきまして、特に緒方副
総理の御
答弁を煩わしたいと思います。