○
足鹿委員 もう
一つで終ります。ただいま農林
大臣はMSA小麦は
国際小麦協定
価格に準ずるであろう、こういう御趣意の御答弁がありました。昨年ロンドンにおいて契約をしました
国際小麦協定は、従来に異
つて三箇年の長期契約を
日本政府は結んだ。私
どもはその不当なことを、当時の外務
委員会におきまして追究したのでありますが、大体先刻も述べましたように、過剰生産に陥
つた国際食糧農産物は、漸時暴落の傾向をたど
つておるにもかかわらず、三箇年間の長期契約の
国際小麦協定に入
つておる。しかも
イギリスはいち早くこの四百万トンの大豊作の傾向を見抜いて、
国際小麦協定から脱退しておる。
日本だけこういう三箇年のばかくさい契約にはんこを押して契約しておる。こうい
つた一つの基本に立
つておる
国際小麦協定の
価格で、MSA小麦をいただくなどということは、決して何らの恩恵でもなければなんでもありませんむしろ
アメリカの過剰小麦を、ごみ捨て場として
日本に押しつけられるにひとしいではありませんか。こうい
つた問題については、もう少しよく御検討にな
つてしかるべきだと思うが、私はこれ以上は申し上げません。
最後に大蔵
大臣に、重要な農林金融の基本的な問題について
伺いたい。
政府は
昭和二十九年度
財政投融資資金計画中、民間への
政府資金供給のトータルにおいて、
政府資金は前年度四百二十九億、本年度二百億、差引二百二十九億を減じております。逆に資金運用部の繰入れは前年度七百五十一億、本年度千五十五億、差引三百四億をふやしております。その他を合せまして、総計において前年度、大体千七百九十億に比し、本年度は千四百三十億、差引三百六十億の縮減計画を立てております。すなわちこのことは、一兆
予算の緊縮
予算中、増加する
防衛費等の捻出上、
政府資金を零細な資金運用部資金に肩がわりをしてまかなわんとする意図が、明確に現われていると思う。一例を農林金融公庫について見ると、昨年度二百六十六億、本年度二百二十五億、差引四十一億の減とな
つて、昨年度は金庫創設の初年度であ
つたとは言え、二百六億の
政府出資を本年度においては九十五億に減じ、一方資金運用部よりの繰入れを昨年に比し五十五億を増加して、つじつまを合せているが、この
方針は住宅金融公庫、中小企業金融金庫等にも貫かれておることは
御存じの
通りであります。このことはただちに公庫の資金コストに響き、あるいはいろいろな深刻な
影響をもたらすであろうと存じますが、大蔵
大臣は、中長期の
農村金融機関として昨年ようやく発足した唯一の機関であります農林金融公庫を通じ、中長期資金を十二分にまかない得るような基本的な積極的な御
構想はないのでありますか、これが一点。
また補助金打切りの金融の肩がわり、
災害復旧に伴う資金需要の増、
農業生産力増進のための必要な新規事業の需要増等を
考えました場合に、公庫への
政府資金の増加をもつとはか
つて、他産業に比し、労働の生産性が低く、引合わない
農業投資として、一般金融機関からは見離されておる農林業の中長期資金に対して、特別の
措置として、償還期限の延長、金利の引下げ、貸付範囲の拡大、貸付の簡易化等等を断行して、いわゆる
日本における中堅農家を真に金融の面から救
つて行かなければならないと思う。これらについて基本的にはどういうふうに
考えて
おいでになりますか。いわゆる資金コストが非常に高くつく。
政府資金の場合は、いわゆる何ら利息がつきませんが、資金運用部資金を受けた場合には六分五厘の金利がつく、その資金が供給面において非常に多く引込まれておる。
従つてこれが資金コストに響かないはずがない。勢いいろいろな面に
影響いたしまして、今述べました金利の引下げや貸付の簡易化や、貸付範囲の拡大化とはおよそ異
なつた、逆な方向に向
つて行くのではないかということを心配いたすのでありますが、その点について承りたい。これが第二点。
第三点は、最近保守党方面や
政府の一部に、農地担保金融
制度が
考えられておるようであります。
政府もこれについては検討しつつあると言われておりますが、大蔵
大臣の
方針はどうでありましようか。これに関連して、農地
改革の成果維持の
基本方針について、大蔵、農林両
大臣の御
所見をこの際承
つておきたい。元来農地
改革は
農民解放指令の
中心題目であ
つて、先年
政府は農地
関係の
法律を整理して農地法を制定し、現在に至
つておるのでありますが、最近の
農村事情の推移は、これだけでは農地
改革の成果を維持することは困難であります。いわんや農地担保金融
制度が容認せられるがごときことがありますならば、農地
改革の成果の維持どころか、崩壊に拍車を加える結果になろうと思うのであります。その理由は、農地
改革によ
つて農民に解放された農地は、農地の公共性に基いて、働く
農民への永久耕作権を保証したものと解すべきだろうと思う。これは
一つの財産権を
農民に分与したのでは私はないと思う。また一面においては、農地
改革は
農村の封建制を打破し、
農村民主化のための基本的な任務を与えられたものであると私は
考えるのであります。今もし農地担保金融制を認めんとするならば、この大原則がくずれて参ります。農地は
農民の財産権であるとの建前を認めることになりますならば、税金の面でも、いろいろな面に響く点も大きくな
つて来、さらに最近全国に展開されておりますところの、農地
改革によ
つて取上げられた農地をとりもどそうとし、あるいは農地法によ
つて生じた
犠牲に対して、正当な損害の要求の
運動が起きております。また不当に買収された土地の返還、買収代金の追払いというような
各種一連の旧地主の擡頭がありますが、これらの
運動に拍車をかけて行く結果になりはしないのでありますか。農地
改革の成果維持が、強調されなければならない。音を立てて農地
改革がくずれ行かんとする――最近の農地の移動あるいは農地
価格の高騰、小作料の上昇というように、事実農地
改革の成果は
農村の窮乏と相ま
つて、音を立ててくずれんというときに、もしいわゆる質ぐさがないという立場からのみ、農地担保金融
制度というものを制定いたしましたときには、今言
つた政治的な
運動と相からんで、重大な事態を私は惹起すると
考えるのでありますが、この点を第三点の質問として大蔵
大臣の御
所見を承りたいのであります。