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河野(一)
委員 私は明年度食糧の価格の引上げをしないということはわか
つております。わか
つておりますが、そういうふうに物価の引下げをやり、労働賃金がだんだん減
つて来るだろうというようなときに、引上げをしないでは済まない。ほかのものに対しては下げるような施策をとるのだと言いながら、自分でやるものはそのままにしておくのだということは、逆にいえば上
つているのと同じことだと私は思うのです。
政府は物価の引下げを意図するのだというのなら、自分でやるものからまず始めて行くということが必要だと思うのです。そうすれば一般民間はそれにつれて下
つて行くが、自分でやるものはそのままにしておいて、人にばかり下げることを要望するということは正しくないと思う。ことに今申し上げるように、米を上げようとしておりませんとかなんとか言うが、これはただそこでつじつまを合わすということをしておるだけである。そして上げないために今のように外麦の安く入
つて来るものを置きかえをして数字を合せているじやないか。安いものが入
つて来るなら、安いものを安く食わしたらいいじやないか。前回の
委員会の際にも私が申し上げた通り、
外国の労働者諸君が食べる食糧というものはどんどん下
つて行きます。現に下
つて来た、もつと下ります。
外国の労働者諸君の食うものはどんどん下るが、
日本の労働者諸君は、その安いものを買
つて来て、高く上げて食わされておる、それで
外国と同じバランスに持
つて行こうとしても無理じやないか。そういう点において
政府はほんとうの施策がなければいけないじやないか。
総理大臣そういうことについてはつきりした臣ことを承りたい。さらに申せば
政府は昨年の暮れに現在の食糧管理制度がよろしくない、こういう管理制度をや
つてお
つてはいけないからということで、
予算通過の際に三党の申合せによ
つて、
政府から今の食管制度については格木的に改めましようという
お話だつた。改められるのかと思えば、今ごろ
委員会をつく
つてふらふら研究をして、そして今年の秋までにやればよかろうというようなことを言う。一体いつまで
内閣をや
つておいでになるつもりなのか。当面の問題にお困りになるじやありませんか。今の食管制度を根本からかえるということをなさらなければ、大蔵
大臣が
予算を組むのに一番お困りになると思う。たとえばこれはほかの諸君からは反対されるかもしれませんが、
総理が先般九州で、知事の民選はよろしくないということをおつしやつた。これには私は大賛成であります。現在の食糧管理制度を持続する限りにおいては、知事の公選では絶対にいけません。知事の公選を支持されるならば、食糧管理制度に放擲されなければいけない。この両者択一でなければ運営できません。できないという現実の事実として今年の割当はどうでありますか。昨年の暮れから今年にかけて、
政府は供出米の割当をした。この割当のいかにずさんであり、いかにでたらめであり、いかに国費を濫費したかという現実の事実は、各地に統計として現われておる。これに対して何ら知事が恥じるでもなければ、うまく
政府をだましてや
つて得をしたというような
態度をと
つておる。また
政府もだまされて、みずからの
責任を負おうとする人もない。しかしこれをすみやかにかえなければ
国家の財政は持たぬと思う。にもかかわらずこれに対しては全然積極的に推進しようという熱意がない。であるから私はこの問題を特に取上げて、
総理から確固たる信念を承りたいと思う。この問題を持ち出したのはこのゆえんであります。東北のある県では割当をするときには米がないないと言
つて、割当を受けて持
つて帰つたら、割当の倍も供出をしておる、そういうでたらめなことをや
つておる。そうして国費を濫費せしめておる。こういうばかなことをそのまま
政府はだまされてや
つてお
つて、それでよろしいとお
考えになるのか、一体このままでどういうことになるとあなた方はお
考えにな
つておるのか。ただその場その場でその日が過ぎて行けばよいのだということよりほかには何らお
考えにな
つてはおらないのじやないかとさえ思う。時間がありませんから、この問題は全部まとめて申し上げておく。
さらに外米、外麦の輸入についてもそうだ。三十も四十もの輸入商社を依然として整理もしなければ、銀行に多大の負債を持ち、基礎もなければ根拠もないような輸入会社に、実績割当だとかなんとかいうことでは、
日本の大蔵
大臣がいかに貿易を振興なさろうとしても、現在のような基礎薄弱な貿易業者が市中にうろうろしてお
つて、これがあらゆる権力者とつがりを持
つてや
つておつたのでは、断じて正常な貿易はできぬと私は思う。その一番大きなものは何だといえば、外米、外麦の輸入なんだ。これを
政府が断固として処置されて、少くとも五社ないし十社の輸入業者に整理されれば、これによ
つて日本の貿易は正常に発達して行くと思う。こういう点についても何で時局に即応するような施策をとらぬか。そういうことをうろうろしておるから
疑獄が起り、不正事件が起
つて来るのだ。ほんとうに
国民に
耐乏生活を迫り、庶政を一新してやろうとするならば、まずみずからのできる
範囲のことを全部整える必要がある。自分でやることは何にもやらぬでおいて、ただその日暮しで、
総理が
施政方針演説で述べたことを、ここでも
つてあらためて詳細に所見を述べろと言つたならば、所管
大臣に述べさせる。積極的に機会を与えても、自分で一言でも述べるといつた熱意もない。そういうことでほんとうのことができるとお
考えになるのかと私は思う。この機会に
総理が言われれば
総理から伺いたいが、
総理にはまたあとで聞くことがありますから、この問題については大蔵
大臣から所見をただしておきたいと思う。