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犬養国務大臣
お答えを申し上げます。司法権の威厳のために、御迷惑でごさいましようが、詳細に
お答えを申し上げたいと思います。最初の黄変米の刑事事件でございますが、和歌山地検におきまして、これを捜査を遂げまして、現在公判係属中であるということは申し上げたと存じます。そのほかに横浜に二件起
つております。このことを御報告申し上げておきます。というのは横浜市警あるいは横浜地検におきましても、黄変米の横流し事件を捜査中でありまして、これが御
質問にあります他県にも及んでいるということの中の
一つだと思います。これはどういう事件かと申しますと、横浜地検において、昨年の十二月七日以降現在までに、横浜市警本部から館良太郎という男外七名に対する食糧管理法違反被疑事件として扱
つておるのであります。というのは、詳細に申し上げて恐縮でありますが、神奈川県の餅類工業協同組合の
理事長の吉沢始という男が、昨年の八月の中旬にもちをつくる原料として払下げを受けました黄変米等約二百トンを宇田川俊春という男を介しまして、米穀小売商青木喜七外二名に横流しした事件、もう
一つは神奈川の米菓業協同組合
理事長の小宮四九という男が、やはり同じ月の中旬ごろに、お米を使う菓子の原料として払下げを受けた黄変米約百九十九トンのうち、五十トンほどを横流しした、こういう事件でありまして、これは今捜査中でございます。ほかに二、三件あるというお話を漏れ承りましたが、至急調査しておりますが、現在この横浜の二件以外には手元に報告が来ておりません。
それから検事の異動でたびたび御
質問を受けて恐縮でございますが、たいへんよい折でございますから、これも御迷惑かと存じますが、詳細に申し上げたいと思います。当初木村検事が取扱
つて捜査を進めてお
つたのでありますが、御指摘のようにいかにも富田、吉川両検事がこれと引継いで捜査をいたしたものでございます。木村検事は
昭和二十七年の一月一日から東京地検の特捜部に属しておりまして、この捜査をや
つてお
つたのでありますが、地検の方針いな全検察庁の方針としまして、木村君のようなちようど中堅に当る検事というのはいろいろな方面で実学問をさせているのが人事異動のときの方針でございまして、木村君はまだ公判部の経験がありませんので、あの年ごろに一ぺん公判部の苦労をさした方がいいというので、特捜部に行
つてからちようど一年三箇月後に、定期異動によ
つて配置がえをいたしたわけでございます。これはいつもや
つていることでありますし、特に申し上げたいのは、法務大臣がか
つてにやるという習慣をと
つておりません。大きい異動のときには約一箇月以上、二十回ぐらいにわた
つて部内のいろいろな
意見を聞きまして、最後に
結論を出すのでありまして、独断的な人事は一度もや
つたことはございません。それから富田検事でございますがこれは二十八年四月六日から特捜部に属しておりました。富田検事がそのあとで捜査をや
つてお
つたのでありますが、二十八年の十一月九日御
承知のように大異動をやりまして、そのときに法務研修所から懇望されまして教官に移
つたのであります。それはなぜかと申しますと、よく新聞雑誌に名前の出ます出射検事が名古屋高等検察庁の次席検事に栄転いたしまして、教官陣が少し手薄になりました。富田君はそういう方面の才能がありますので、懇望されてその教官に転じたものでございます。そのあとを吉川検事がや
つているというわけで、別に黄変米もしくはただいま申し上げた金銭の使い込み事件に都合が悪いから、臭いものにふたをしたいというようなことでや
つたあとは寸毫もございません。また御
承知だと思いますが、東京地検の各検事一人当りの事件担当の数は、年間七百件ぐらいあるのであります。一々さしさわりがあるからとい
つてどけていた日には、とてもおつつかないようなわけでございます。またもう
一つの角度から申しまして、これらの中堅検事はそのまま置いたら
政府に都合が悪いというようなことは、
一つもないわけなのでありまして、どこから見ましてもわざとかえるという理由はま
つたくございませんから、なお十分に御調査の上、御教示を願いたいと思
つております。