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竹谷委員 今承りますと、これは財団法人であ
つて、全逓信の部内の生活物資の廉価販売、その他退職者等の職業のあつせんという、郵政職員の福利増進を目的とするものの
ようでありますが、最近私聞くところによりますと、たのしみ貯金というもので、いろいろな物資を廉価販売をする、こういう
ようなことを郵政弘済会が五月から始めたということを聞いておるのであります。その印刷物の中に、たのしみ貯金のしおり、これは発行者の名前が郵政弘済会、昭和二十九年四月発行とございますが、これは五万部ほど出ておると聞いておるのでありますが、これによりますと、アメリカの文化生活を営むに必要な冷蔵庫とか、あるいは電気の機械とか、自転車とか自動車とか、それら文化生活をするに必要な物資を安価で簡便に、貯金をしながら、貯金の利子ももらいながら、いろいろな文化生活の物資を買うことを、この郵政弘済会が始めた
ようであります。
郵便局の通常貯金を利用する方途でも
つて販売をする。こういう
ような
要旨である
ようであります。しこうしてその販売する品物は、ミシンとか自転車、写真機という
ようなものでありますが、これによりますると、従来ミシンの
ようなものは相当高い値段で、月賦販売で売られておる。これを一割か二割も安く、そしてよい品物を、名の売れたメーカーの製品を売る貯金をして、その貯金なら貯金が値段の八割に達したときに物品を交付される。残りの二割は相かわらず貯金の方法によ
つて完済をする。こういう
ような簡便な方法であるという宣伝でございます。これはどうも印刷物を見てみますと、単に郵政職員部内の人々の利便のみならず、
一般の人に向
つてもこういう働きかけがあるのではないかと疑われる。そうしますると、ミシンの業者には非常な打撃でございます。しかもここに掲げられたミシンの種類はリズムミシン、パイソミシン、ブラザーミシンの三つでございます。リズムミシンは富士精密工業、昔の中島飛行
機会社の変身でございまして、取締役会長がブリツジストンタイヤの社長である石橋正二郎氏、社長は団伊能氏、またパイソミシンというのは、日本製鋼所の第二会社であるパイソミシン製造所、それからブラザーミシンというのは、名古屋で昔から名の知られたブラザーミシン製造株式会社でございます。この三大メーカーは、日本におけるミシン生産高のおよそ六、七割、あるいはそれ以上を占めるか、確かな数字は私存じませんが、非常な大メーカーでございます。これが全面的に郵政職員を利用して、全国津々浦々まで販売するということになりますると、他の中小企業のミシンというものはもう販売不可能になる。またこういうミシンその他の商品の販売に携わ
つておるところの卸商なり、あるいは小売商なりという人々の生業を奪うという、重大な社会問題を引起しはしないかということを心配いたします。それで鉄道弘済会なり、あるいは電電
公社弘済会なり、そういう財団法人が、それそれぞれの職員の福利増進のためにいろいろな努力をするということは、非常にけつこうなことでございますけれ
ども、これが広く
一般の消費者、需要家に向
つて働きかけるということになりますると、これはさなきだに日本の中小企業というものは非常に困難な
状況に追い込まれており、その上に最近のデフレ政策によ
つてますます倒産、破産のうき目を見つつあるときに、こういうのが公務員を利用して行われるということになりまするならば、これは非常な社会問題になる危険性もあるのでございまするが、幸いにしてこれは財団法人である郵政弘済会が一私団体として自分だけの範囲でや
つているなら格別、これが私先ほどあなたからこの組織について職員が当然弘済会の会員にな
つておるか承りませんでしたが、多分そうな
つておるだろうと思う。そうなりますと、公務余暇もしくは公務執行中において、こういうものの募集に当るということになることは、これは公務員として国家公務員法に抵触しはしないかという疑問もございます。鉄道あたりでは日本交通
公社の宣伝、あるいは団体旅行者の募集等を、駅員が駅長から言われてや
つているという
ような事実があ
つて、これは相当問題にな
つております。しかしながらこれは他をあまり害しないので問題は少いと思う。ところが部内以外の人々、
一般の人に対して、こうした販売業務について職員が弘済会に協力するということになりますると、これは鉄道職員が日本交通
公社の団体旅行の募集を手伝うということとは、非常にわけが違
つたような問題が起きて来はしないか。こういうことを非常に心配するのでありますが、この点はいか
ようにな
つておりまするか、ひとつ御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。