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1954-05-29 第19回国会 衆議院 郵政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十九日(土曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 田中織之進君    理事 小林 絹治君 理事 羽田武嗣郎君    理事 濱地 文平君 理事 船越  弘君    理事 大高  康君 理事 山花 秀雄君    理事 吉田 賢一君       坂田 英一君    武知 勇記君       佐藤觀次郎君    竹谷源太郎君       土井 直作君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官   斎藤信一郎君  委員外出席者         議     員 井手 以誠君         議     員 丹羽喬四郎君         郵政事務官         (郵政局次長) 渡辺 秀一君         郵政事務官   島沢喜久蔵君         専  門  員 稲田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ――――――――――――― 五月十一日  委員大上司辞任につき、その補欠として岡崎  勝男君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員櫻内義雄辞任につき、その補欠として喜  多壯一郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員喜多壯一郎辞任につき、その補欠として  櫻内義雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員大高康辞任につき、その補欠として粟山  博君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員粟山博辞任につき、その補欠として、大  高康君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員片山哲辞任につき、その補欠として竹谷  源太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  理事大上司君の補欠として濱地文平君が理事に  当選した。  大高康君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 五月二十日  大館郵便局舎新築請願石山權作君紹介)(  第四九四四号)  永野田集配郵便局鹿屋郵便局集配区域下に  変更請願永田良吉紹介)(第四九六四  号) 同月二十五日  彦部村に郵便局設置請願田子一民紹介)  (第四九九九号)  古河郵便局区内に無集配特定郵便局設置請願  (丹羽喬四郎紹介)(第五〇〇九号) 同月二十七日  秦野町に特定郵便局設置請願(小金義照君紹  介)(第五一一三号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  閉会審査に関する件  委員派遣に関する件  郵政行政に関する件  請願   一 大館郵便局舎新築請願石山權作君紹    介)(第四九四四号)   二 永野田集配郵便局鹿屋郵便局集配区    域下変更請願永田良吉紹介)(第    四九六四号)   三 彦部村に郵便局設置請願田子一民君    紹介)(第四九九九号)   四 古河郵便局区内に無集配特定郵便局設置    の請願丹羽喬四郎紹介)(第五〇〇九    号)   五 秦野町に特定郵便局設置請願(小金義    照君紹介)(第五一一三号)     ―――――――――――――
  2. 田中織之進

    田中委員長 これより郵政委員会を開会いたします。  まず本日の公報に掲載されました請願五件を一括議題として審査に入ります。紹介議員のお見えの部分から進めることにいたします。なお紹介議員のお見えにならない分については、便宜上専門員より請願趣旨説明させることにいたしたいと思いますから、御了承を願います。  まず請願日程第四、古河郵便局区内に無集配特定郵便局設置請願丹羽喬四郎紹介、第五〇〇九号を議題として、紹介議員説明を求めます。
  3. 丹羽喬四郎

    丹羽喬四郎君 ただいま議題になりました古河郵便局区内に無集配特定郵便局新設請願でございますが、茨城県の古河市は上野駅から汽車で一時間余りのところでございまして、最近はことに東京の衛星都市として非常に人口が激増して参りました。ここに古河市の地図もございますが、発展地域は、西部の方は利根川でさえぎられておりまして、発展する場所はございませんので、ただいま東部の方に発展して参りました。大体人口の半分以上を東部で占め、最近におきましては――東北本線におきまして両側に乗降車口がございますのは古河だけでございますが、古河は特に東側にも乗車口を国鉄で設けたような次第でございます。そこにまだ郵便局が一つもございませんので、とりあえず無集配特定郵便局を新設していただきたい、こういうお願いでございます。はなはだ簡単ではございますが、古河市の東側品特定郵便局設置をお願いしている側が非常に人口が増加して参りました。約一万五、六千の人口になつて参つたよう現状でございますので、特に御採択あらんことをお願いする次第でございます。
  4. 田中織之進

    田中委員長 本件について政府側所見を求めます。
  5. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 ただいまの御請願の御趣旨はよく当局においてもわかつております。設置予定地古河市の石山町一丁目とするときは設置標準にも達しておりますし、かつ地元より見ましてもその必要が認められるのでございます。しかし現在の定員その他の予算上から考えまして、早急に実現することは困難な状態にございます。なお御質疑があれば担当官からお答え申し上げます。
  6. 丹羽喬四郎

    丹羽喬四郎君 予算その他から早急に実現は困難という政務次官からのお話でございますが、私の方は非常にこれは急いでおりますので、できるだけひとつ予算のやりくりをつけていただいて、順位を変更してでもひとつぜひお願いしたい、こういう強い意見でありますので、その点をお含みの上、御善処を願いたいと思います。
  7. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 ただいまの御意見に対して、省当局といたしましても、できるだけ御期待に沿うよう事務当局と相談いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  8. 田中織之進

    田中委員長 本件採否については、他の請願日程と一括して後ほどきめたいと思います。     ―――――――――――――
  9. 田中織之進

    田中委員長 次に請願日程第一、大館郵便局舎新築請願石山權作君紹介、第四九四四号を議題として説明を求めます。
  10. 山戸利生

    山戸専門員 本請願要旨は、秋田県大館郵便局舎は昨年四月類焼したので、郵便課貯金課は市役所の一隅に、庶務会計課保険課はそれより一キロ離れた川原の堤防ぎわに仮局舎を設け、罹災業務の復旧と日常業務の運営に努力しているが、分割されている不自由、仮局舎の狭隘、施設の不備等はもとより、公衆は不便を訴え、市当局も建物の明渡しを要求している状況にある。ついては、大館郵便局舎新築を促進されたいというのであります、
  11. 田中織之進

    田中委員長 本件について郵政政務次官所見を求めます。
  12. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 大館郵便局舎の新堂につきましては、当委員会におきましても先般特に委員長からこの問題を取上げられまして、御質疑があつたのでございます。その際にも申し上げておきましたが、現在の予算の事情のもにおきましては、なかなか実現が困難な状態にあるのでございますが、概局舎現状にかんがみ早急新営の要が十分認められますので、なるべく早い機会実現するように努力しておる次第でございます。
  13. 田中織之進

    田中委員長 次に請願日程第二、永野田集配郵便局鹿屋郵便局集配反城下に変更請願永田良吉紹介、第四九六四号を議題としてその説明を求めます。
  14. 山戸利生

    山戸専門員 本請願要旨は、鹿児島県鹿屋永野田郵便局は無集配局で、現在大姶良郵便局集配下にあるため、郵便の遅配による同局管轄下の住民の不利不便は実に大である。ついては永野田集配郵便局鹿屋郵便局集配区域下変更されたいというのであります。
  15. 田中織之進

    田中委員長 本件について政府側所見を求めます。
  16. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 ただいまの御請願趣旨は、永野田郵便局の所在地である鹿屋永野田町を鹿屋局郵便区に組みかえることと思われますが、この場合は郵便物速達上多少効果がございますので、付近局郵便区調整をもあわせ考えまして、将来適当なる機会にこれを考慮したいと思つております。
  17. 田中織之進

    田中委員長 次に請願日程第三、彦部村に郵便局設置請願田子一民紹介、第四九九九号について説明を願います。
  18. 山戸利生

    山戸専門員 本請願要旨は、彦部村には既設の郵便局がなく、また隣接町村の長岡村、新堀村にも郵便局がないのであります。そしてこの村内には戸数四百九十二戸あり、うち農家三百九十四戸、商家十八戸、その他七十九戸ありますが、村内には金融機関の確実なものなく、農民は不便を痛感している次第であります。よつて彦部村に郵便局を新設されたいというのであります。
  19. 田中織之進

    田中委員長 本件に対する政府側所見を求めます。
  20. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 設置予定地彦部大字大巻第九地割とするときは、利用予定戸数が少いため、設置標準に達しておりませんし、現下の情勢にかんがみまして実現は困難と思われますが、窓口機関利用上の御不便はあると思われますので、簡易郵便局設置ならば考慮いたしたいと存じます。     ―――――――――――――
  21. 田中織之進

    田中委員長 次に請願日程第五、秦野町に特定郵便局設置請願、小金義照紹介、五一一二号について説明を願います。山戸専門員
  22. 山戸利生

    山戸専門員 当秦野町は人口約一万六千人、周辺の隣接町村を合計するときは、実に五万人になんなんとするいわゆる秦野盆地の中心であつて、諸官庁、学校、公社金融機関はもちろん、公共団体、諸工場商店等を集結した繁華街を形成し、郵便局もこの例に漏れず、従前はほぼ町の中心に近い旧場所に位して、よくその機能を発揮し、感謝されておつたが、先年南秦野町大秦野駅かたわらに新築移転になりました。今当町の現況を考察するとき、町民分布状況は、大体町の中央部四つかどを直角に交叉する平塚街道御殿場街道の両街道を境に、四地域にほぼ均等に分布されており、大半の町民は諸官庁公社金融機関その他諸工場、大商店等の櫛比するこの界隈に何かと依存すること多く、一分も早く一歩も近く所用を便ずることを念願するとき、郵便局四つかど地点に設置せられるときは、町民の約七割近い一万人くらい、東秦野村、北秦野村の約半数五千人、合計一万五千人前後の人々の利便が多いと思料する。およそ近代的生活様式の理想とする時間的、距離的制約自他とも合理化能率化に相通ずるものとかたく信じ、当所に郵便局設置方を要望する次第である。何とぞ特別の詮議にあずかりたく、右申請いたす次第であります。
  23. 田中織之進

    田中委員長 本件に対する政府側所見を願います。
  24. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 本請願はかつて第十国会においても御申請がありましたが、申請の地に無集配特定局設置するときは、もより局に近いために設置標準に達しておりませんので、早急の実現は困難と思われる次第でございます。
  25. 田中織之進

    田中委員長 ただいま審査いたしました各請願について採否の決定をいたしたいと思います。  日程第一ないし第四の各請願につきましては、いずれもその趣旨妥当なるものと認められますので、議院会議に付し、採択の上内閣に送付すべきものと決したいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 田中織之進

    田中委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  ただいま議決いたしました各請願報告書に関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 田中織之進

    田中委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。     ―――――――――――――
  28. 田中織之進

    田中委員長 次に閉会審査申出についてお諮りいたしたいと思います。本会期中本委員会におきましては国政調査事件について種々検討して参りましたが、いまだ郵政事業の諸問題は相当残つております。さらに問題の緊急性から見ましても、閉会中もなお引続き調査検討する必要ありと思います案件が相当ございますので、委員会閉会審査をいたしますには、国会法第四十七条第二項の規定に基いて審査ようとする案件につきまして、特に議院の議決によつて付託を求めなければなりません。従いまして本委員会といたしましては、閉会中の国政調査事項として一、審査する事項郵政事業並びに監察制度に関する事項、二、審査の目的、郵政事業合理化並びに監察制度法律的運用をはかるため、以上の審査事項につきまして、閉会審査申出議長あてにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 田中織之進

    田中委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     ―――――――――――――
  30. 田中織之進

    田中委員長 さらに委員派遣承認申請についてお諮りいたしておきたいと思います。閉会審査事件が院議をもつて付託され、これに伴う実地調査等をいたす必要が認められました場合には、再び委員会を開会いたす煩を避けるために、委員長において適宜委員派遣申請手続をとることにいたしたいと存じますので、派遣委員の氏名、派遣の期間、派遣地名等については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 田中織之進

    田中委員長 御異議なきものと認め、さようとりはからいます。     ―――――――――――――
  32. 田中織之進

    田中委員長 次に郵政行政に関する件についての調査に入りますが、最近における郵便物調査事件について、まず郵政省当局より説明を聴取いたしたいと思います。斎藤監察局長
  33. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先般の長野県上田市におきまする郵便物に関する街頭における調査事件にかんがみまして、下部機関に対し今後このよう事例を起さないようにという注意通達とともに、最近起きました事例を徴しましたところ、お手元に配付いたしました一覧表ように、郵便局数におきまして約八箇所におきまして、昨年九月以来同様の事例が起きて参つております。大体その概略をここに書いてございますので、御了解いただけるのではないかと存じまするが、なおこのよう事例が今後におきましても再び起きる可能性がなきにしもあらずと存ぜられますので、先般郵政事務次官名をもちまして、国警長官自治体警察連合会会長並びに公安調査庁長官あてに、このような不祥なことが今後起きないようにということで申入れをいたしておる次第でございます。大体そのような経過でございます。
  34. 田中織之進

    田中委員長 本件につきましては、先般参議院郵政委員会においても取上げられました。その節斎藤国警長官委員会委員質問に対して答弁した問題をめぐつて、相当大きな社会問題化せんとしておる傾向にあるのでありますが、本件に対する公安調査庁所見は先般本委員会としても求めたのでありますが、最近の調査事件について主として国警関係のことで国警当局より所見を求めたいと思います。
  35. 山口喜雄

    山口(喜)政府委員 ただいま委員長からお話がございましたように、全国におきまして数箇所の局で警察官が、本人の意図はいかようでありましたにいたしましても、通信秘密を侵すおそれのありますよう行動がありましたことはまことに遺憾であり、申訳ない次第であると存じております。私どもといたしましては、通信秘密という問題につきましては十分に注意をいたして参つておるのであります。今後そのようなことが再び繰返されませんように前々から注意をいたしておきましたが、特に国会の御審議の状況も考えまして、先般郵政省の方から御連絡をいただきましたと同時に、その写しも添えまして厳重に第一線の方には、今後かような問題の起らないよう注意をいたした次第であります。
  36. 田中織之進

    田中委員長 お手元に最近における郵便物調査事件一覧表という郵政省側からの資料を配つてあるわけでありますが、ただいま郵政省側及び国警側からこれについてお聞きの通りの一応の御説明を伺つたわけでございます。  ただいまの説明に対する質疑に入りたいと思います。国警長官斎藤氏も見えましたが、参議院地方行政委員会関係もありまして、長官をできるだけ早くそちらの方に返さなければならぬ約束でありますので、そのつもりで長官に対する質疑をお願いしたいと思います。山花君。
  37. 山花秀雄

    山花委員 この問題について長官お尋ねをしたいと思います。過般の参議院委員会であつたと思いますが、犯意がなければ別にかまわないというよう趣旨の御意見を開陳されたようでございます。私どもはその意見を聞いてまことに驚いておるのでありますが、さよう趣旨の御意見を開陳されたかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
  38. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま山花委員から御質問の点は、私もあるいは言葉が十分でなかつたせいでありますか、相当誤つて新聞等に伝えられておりまして、非常に残念に思つてつたのでございます。この点を明瞭にできる機会をお与えくださいましたことを感謝いたします。あの際の質問要旨信書でない、通信文でないという認識のもとに立つて中をあけてみた、中から通信文あるいは信書というものが出て来た場合に、これは犯罪になるではないかというお尋ねであつたのであります。私は信書ではないという客観的な認識間違つていなければ、これは罪を犯す意なき行為でありますから犯罪にはなりません、さように申し上げたので、ございます。刑法総則のたしか三十八条でありますか、「罪ヲ犯ス意ナキ行為ハヲ罰セス」、しかし過失を罰する場合には各本条の規定によるとありまして、刑法秘密を侵す罪、いわゆるゆえなく封緘せられた信書を開披した者はこれこれの罰に処する、これには過失を犯してとありません。従いまして客観的な情勢からだれが見ても信書でない、たとえばこれは菓子箱であると思うてあけてみたところが信書であつた、これは犯意がないから処罰の対象にはなりません、かように申し上げたのであります。それが誤まり伝えられたのでありまして、非常に残念に思つてつたのであります。ただ私どもは、犯罪にさえならなければどんなことをやつてもよろしいという意味では毛頭ございません。先般来特に郵便物につきまして、いろいろ誤解を受けるよう事柄地方の一、二の警察官がいたした。たとえばアカハタがこのごろ郵送せられているかどうか、あるいは神奈川でありましたよう指名手配中の男に非常に似た男が投函をした、その差出人あるいはあて先を知りたいというので郵便局にそれを聞いたというようなことは、ことに後者の場合は、厳格に言えば郵便法違反すると私は思うのであります。前者のような場合は、これは郵便法にも違反しないと思いますが、しかし郵便法違反をいたしませんでも、何かゆえなく人の秘密を探るのじやないかというような印象を与える行為は厳に慎むべきである、かように考えまして、そういつた誤解を起すよう行動をいたさないように十分の注意を加えるべく、中央からも指令を発したような次第でございます。ただ神奈川県のような場合は、一般にいわれておりまするよう思想調査とか何とかいうよう事柄とは全然関係なく、単に犯罪捜査現実手段として、指名手配になつている人間と非常に似た人間投函をしたという聞込みを得た場合に、かよう行為警察官が出ましたことにつきましては、あるいは従来からもそういつたようなことが無意識のうちに行われておつたのじやないか。しかしかよう事柄は、確かに郵便法違反でありますので、現実犯罪捜査手段といたしましても、刑事訴訟法による手続をとらないでかようなことをいたすことはよろしくないのでありますから、厳重にこういうことのないよう注意を加えた次第でございます。
  39. 山花秀雄

    山花委員 ただいまの説明を聞いておりますと、信書でない、かりに菓子箱ようなものをあけたら中に信書が出て来た、そういうような例を引かれましたが、具体的な問題になりましたのは、たとえば新聞、雑誌というような、一般郵便物で開封といわれておるようなものでも、何か調査をされたのかどうか。あるいは今長官のおつしやつたように、菓子箱ようなものを調査したら中から信書が出て来た、こういう具体的な事例があつたのかどうかということをお尋ねしたい。
  40. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さような例はございません。参議院委員会におきまして、私ども信書秘密を侵すようなことは絶対にいたさせないように十分留意させております、かように申し上げたのであります。そこで御質問趣旨として、それはまあわかる、しかし信書でないと思つてあけて信書が出て来たら、これは犯罪になるのじやないか、そういう仮定の御質問がありましたから、おつしやる通りであればそれは犯罪になりません。しかし信書でないと思うについて客観的な妥当性がなければいけません、ただ言訳に信書でないと思うてあけましたというようなことは理由になりませんけれども、客観的な妥当性をもつて信書でない、そう認識したということであるならそれは罪になりませんと、法律論お尋ねでありましたから法律論でお答えをいたしたのであります。菓子箱だと思つてあけたら中から信書が出て来たという例があつたということは、私は聞いてはおりません。
  41. 山花秀雄

    山花委員 そういたしますと、参議院における議員長官との質疑応答は、一応こうした場合という仮定のことを中心質疑応答されたのかどうか。
  42. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さようでございます。あのときは、まつた法律論お尋ねであつたのです。そのときに、それはおかしいじやないか、善意でさえあれば犯罪にならないのか、人を殺しても善意でさえあれば犯罪にならないのかというようなことをおつしやつておられました。ただ善意ということと犯意があるということ、これをどういうふうに御解釈になつたか存じませんが、たとえば人間でない、くまだと思つて猟銃で撃つた、それが人であつたという場合、これは犯意がないわけです。しかしこれは過失を罰しておりますから、過失傷害致死罪になる。過失を罰しておるからそうなりますけれども過失を罰していないものについては犯罰は構成いたしませんという法律論言つたのであります。しかし私は、さらに正しい法律論、あるいは、もしこれに御疑問があるならば、法務省の刑事局長にでもお確かめになる方がなお権威がありましようということを申し上げたのであります。
  43. 山花秀雄

    山花委員 直接参議院質疑応答を私は聞いておりませんので、ただいまの斎藤長官からの御説明を信用する以外にないと思いますが、そういたしますと、国警関係において信書を開封して見たというような、そういう事例は全然ないというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  44. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さように御了解をいただきたいと存じます。
  45. 山花秀雄

    山花委員 この問題に関しては、他の議員からも質疑があろうと思いますので、私の質問はこれで終ります。
  46. 田中織之進

  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は国警長官警察行政の根本的な御方針といいますか、そういう面について、ただいま議題となつている問題をめぐつて少し伺つてみたいと思います。やはりこういう点はひとつ前提に御了解を願つておかなければならぬと思いますが、国民警察官行動につきましては、少しでも行き過ぎがござございすと、警察官側においてはさほどに感じない場合でも、受ける国民の感じというものは非常に大きな場合がしばしばございます。従つてどもは、警察官行政上の行為というものは、原則的に厳に法律によつて制限せられる範囲内にとどまるべきであつて、いささかも積極的に逸脱するようなことは厳に戒めねばならぬものである、こういうような考え方を持つているのですが、これに対する御所見伺つてみたい。
  48. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 吉田委員の御所見にはまつたく同感でございまして、警察官法律を守るための職責でありずから、特に法律は厳に守らなければならないことはもちろんであります。御指摘のように、ただ単に法律を守るということはもちろんのこと、法律に触れませんでも、警察官に対しましてはいろいろと誤解を招くような場合があるわけでありますから、たとえば先般も全逓の方が見えましてお話になりまして、私はなるほどごもつともだと思つたのでありますが、警察官が制服で歩いている。たまたま郵便配達夫に道で会う。そこで何か話をする。郵便物のことについての話では全然なくても、新聞等で、あるいはアカハタのあて先を聞いているのではないかというようなことが記事に載つている際、何らさようなことに触れないことでも、善意でありましても、だれか第三者が見た場合に、何か郵便都達の方が警察官郵便物に触れるような話をしているのではないかと誤解されるというようなことまで、やはり心を配つて、そういうようなことのないようにせられたいという話がございました。これはまことにごもつともだと思いまして、そういうような点をさらに注意したような次第でありまして、常人ならば何とも思われないことを、警察官なるがゆえにいろいろ臆測されて、そうしてそのために相手の方に非常な御迷惑をかけるというような場合もあるわけでありますから、そういつた社会の情勢、四囲の情勢をよく考えながら、御迷惑のかからないようにいたさなければならないものだという心構えをさらに通達したような次第でありまして、御趣旨の点はまつたく同感でございます。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは申し上げるまでもないことでありますが、警察法の前文にも「個人の権利と自由を保護するために、国民に属する民主的権威の組織を確立する目的を以て、ここにこの警察法を制定する。」というように、警察法制定の基本的な一つの方針がここに掲げられてあります。総則の第一条第二項にも「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、いやしくも日本国憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等のその権能を濫用することとなつてはならない。」というように戒めております。これは今の質疑趣旨並びに御答弁の趣旨をさらに明確に警察法の劈頭に打出したものと思うのであります。そこで郵便との関連において少しお尋ねしなければならぬのでございますが、通信秘密は、申すまでもなく憲法二十一条の二項によつて保障されておりまして、これは国民の自由、権利の最も重要なものにせられておるわけであります。またこの通信秘密なる字句が従来の旧憲法の規定よりもさらに広汎になりまして、学説あるいは説明等に徴してみましても、旧憲法の法律の範囲内におきまして信書秘密が保護せられたよりも、その趣旨、精神、概念はさらに広げられまして、信書よりももつと広い通信ということになつておることと、それから法律によつて保護するというその法律の字句も取除いております。こういうように根本のこの考え方が非常に広げられて憲法に保障せられておることになつておりますが、そういたしますと、通信の業務に従事しております郵政職員の立場は、憲法の国民の権利を守るという立場におきましても、きわめて重大な責任を負わされておるものと思うのであります。そうしますと警察行政の職員が、郵政行政の職員の国民通信秘密を守らなければならぬという義務と責任と職責に協力するという一面が、私はなければならぬと思うのであります。そこで今事例として一、二指摘せられておりますが、これが全部か一部かよくわかりませんのと、それがらこれについての御説明はさきにあつたようでございますけれども、私途中で参りましたので詳しく聞いておらぬのでありますが、かなり警察官が職尋問というのですか、少くとも郵便の配達をさるる職員の事務に干渉しておるということは私は言い得ると思うのです。これがさらに非常に職権を濫用せられておるのかどうかということは別の問題でありますけれども、少くとも他人の秘密を守るべき職責を憲法と郵便法によつて命ぜられております郵政職員の業務が、警察官によつて干渉せられておるということはどうもいなみがたいと思うのであります。これをたとえば質問に対しまして拒絶したり、あるいは回答をしなかつたというようなことでありますが、これはその回答すべき人のみずからの判断によつて行為であると思いますけれども、少くとも警察官の干渉があつたということは私はいなみがたいと思うのでありますが、この事実に対しまして警察官の干渉という行為長官はお認めになりましようか、いかがでございましようか。
  50. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ちよつとよけいなことでございますが、警察の責務の中に、現行法では国民の生命、身体、財産の保護というようにございますが、今度の警察法案では自由の保護というものを私ども立案にあたつて特に入れたのでございます。その趣旨はただいまおつしやいますこととまつたく同じ考えに立ちまして、ただ身体、財産という有形のものだけのように考えられてはいけないので、新憲法下においては自由の保護ということが非常に大事であるということから、特に配意をして入れたほどでございまして、私どもといたしましては国民の人権の保護ということは、国民の自由権の保護であるということを特に徹底させる必要がある、明記する必要があるというので入れたような次第でございいます。従つて通信の自由を守るということは、単に通信職員のみならず、警察官はもちろん、あらゆる人たちによつてこの自由は守らなければならないと深く考えております。お尋ねのいろいろな事例につきましては、警察官がきわめて不用意に、あるいはふだんからの親しさとか、あるいは職務熱心の余り何気なしに聞いたというよう事例があるわけでございます。さよう事柄は、郵便法の精神を十分理解していなかつたことから発するものだ、かように考えまして、再度にわたつて十分な注意を加えたのでございます。もちろん警察官が職権をもつて尋問した、職権をかさに着てさよう事柄を聞き出そうとしたというようなことは、万々ないと信じておるのであります。しかし前にも申しましたように、さような職権的な態度でなくても、不用意のうちにそういうようなことを知らず知らず犯すというようなことがあつては相なりませんので、厳重に注意を加えたわけであります。さような場合に、通信職員の方々からもさようなことはいけないことだということを巡査等に知らしていただきますこともまことにけつこうなことであり、かようなところでお取上げいただきまして、さらにわれわれの注意を喚起くださることも、一般の末端警察官にまで徹底をさせるのにまことにいい機会だと感謝しているような次第であります。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この事例では、高知県の場合はアカハタの配達先等々になつておりますので、おそらくこれは破壊活動防止の対象といつたような面に対する考え方が織り込まれているようにも思います。そこであなたたちがはつきりしておかなければならぬことは、国の最高の政策を実行するとか、政治上の問題として扱うとかいうような考慮は、現場の警察官の職務執行の上においてはむしろいらざる考慮――といつては少し言い過ぎかもわかりませんけれども、そこは厳格に区別をしなければならぬのではないかと私どもは考えているのでございます。政治的ないろいろな考慮から行動するということになりますと、法律を厳に守り、また他人の秘密を守る職務に従事している人の仕事に介入することはあり得ることでありますので、警察官としては、もし法律が不備であれば直せばいい。みずからは法律従つて最も良心的に行動すればいいのじやないか。もつともそれ以前に高い道徳的なものの考え方があるということはなお残された問題でありますけれども、少くとも今私が読み上げました警察法の精神によつてみても、また警察官等職務執行法の第二条にいわゆる質問権が規定されておりますけれども、これとても異常な挙動とか、何らかの犯罪を犯しているであろうとかいうことを合理的に判断せしめるような客観的事実があつた場合に限定しております。こういうわけで、やはり法律を守つて行くという限界を出たら、警察官行為は他の国家の業務に干渉し、また国民の生活行為に圧迫を加えることは必然であると思います。そこで政治的考慮が払われるということは、やはり行き過ぎになる最も大きな原因でないだろうか。通覧してみますと、今御説明になつておりましたように職務に熱心だとか、郵便法に対する無知とか、下用意とか、悪意なし害意でとか、いろいろお話もございますけれども法律の範囲内でこれを執行する立場において、良識をもつて行為をするべき警察官の立場は、政治的考慮がいろいろと雑念として入つて来たとすれば、こういうことになつて来るのではないかと思いますので、そこは厳に截然と線を画して、誤りのないように期せねばならぬ。こういう点に対する混同がこういう事態の一つの原因をなしております。無知であればなおさらであります。下田意であればなおさらであります。職務熱心といえども、熱心というのはやはり良識をもつて用意周到に、みずからなすべき仕事を滞りなく、間然するところなくなすということで、やたらに馬車馬のように馬力をかけてもらつては、まことに国家も国民も困るのであります。特に警察官の立場というものは、劈頭御答弁もあつたごとくに、国民に影響を与え、ときには恐怖感を巻き起すので、よほど慎まなければならぬ。政治的考慮があるというようなことで、かえつて法を無視するのである。法を守ることに最善の努力をせられることが、ほんとうの意味において公務員として職務に忠実である。公務員法に規定している職務を忠実に実行するということは、私はそういう趣旨であろうと思う。いかがでしようか。
  52. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まつたく御所見  の通りでございまして無知のあまりあるいは職務熱心のあまりといえども、そういつたことが許さるべきではないことはもちろん、ましてや法律を侵すことを知りながら、政治的考慮からそういうことをやるに至つてはまつたく論外であります。吉田委員の御所見、百パーセント御同意を申し上げたいと思います。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではこの問題につきましても、かなり御反省になつているものと私は一応了解するのでありますが、しからば今後郵政職員が安んじて他人の秘密を守る職務を完遂することに積極的に協力しなければならぬ国民全体に責任もあり、義務もあり、また公務員としての警察官行動も当然そうあるべきだと思うのですが、どうすることによつて郵政職員の、特にここに事例としてあげたのは配達事務のようでありますが、こういう職員が安心して職務を忠実に行い得るか、こういうことに対するあなたのお考え、特にかよう国会において質疑が行われることになりました以上は、国民の総意が一応この問題を取上げて批判を加えつつあるのでありますから、これに対して警察の責任者といたしましては、どうすることによつてこの種の問題を絶滅せしめ、全国の数万のこの種の職員をして安んじて仕事を完遂せしむることができるか。これに対する御覚悟、御方針、ないしは今日までありましたことに対する御処置、この三点を聞いておきたいと思います。
  54. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 まず何と申しましても、根本的には郵便法の精神をよく理解せしめる。精神のみならず、各条項をよく理解せしめる。開封のものであつても、そのあて名、差出人は郵便法第九条でいう秘密であるというような各条項を具体的によく理解をさせまして、あやまちなきを期することが最も肝要だと思います。そうでございませんと、心なくやつたんだからあれは大目に見てもしようがないじやないかということに地方の幹部がなつてもいけない。また末端の第一線の巡査がそういうことを全然知らずに、世間話として聞いたのだから、聞くぐらいはいいだろうと思うて犯すということに相なつてはいけませんので、根本的には郵便法の精神、各条項を十分徹底して理解させる。そして監督を誤らない、十分理解させるために地方の幹部等が努力をしたにもかかわらず、なお不用意なものがあれば、行政上のしかるべき処分を加えて行くことによつて、初めてただいまの御趣旨を徹底させることができるのじやないかと思います。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 お話の途中ですが、一般概念的にはそういう御了解のもとにおられることはわかりますけれども、しからば国警としては今後この種の問題を絶滅するということの方針は具体的にどうするか、その点についてひとつ御方針を伺いたいと思います。
  56. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいま私が申し上げました事柄を通牒にいたしまして、すでに厳達をいたしております。これが十分守られるかどうか、われわれの方もこの通牒を各府県警察官に守らせるべく、今後は実際面において努力をいたしたい、かように考えております。
  57. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 斎藤国警長官お尋ねしますが、御承知のように今衆参両院において信書秘密に対する警察官行為が問題にされております。日本は警察国家であることのために滅びたといわれるほど、戦争前には警察の行き過ぎが非常にありました。ただいま斎藤長官は職権をもつてつたのじやないということを言つておりますが、職権でなければ人の信書を開くわけはないのであつて警察官はやはり職権があるからこそ、こういうようにいろいろと尋問をしたりなどするわけであります。そういう点で、先ほど吉田委員からも質問がありましたが――戦争前は警察と見ればみんなふるえ上つたものでありますが、戦後は幾分か警察官もわれわれ国民の一部だという感じか出て来ました。ところがまた最近になりまして、政府が秘密保護法とか弾圧法案をたくさんつくつておりますが、これと関連して、監察局からの発表にありましたように、最近こんなにたくさんの事例があるわけでありますが、実際はこれ以外にもたくさんあるのではないかと思う。これは表に出たのだが、表に出ない事件がたくさんあるのではないかということをわれわれは想像するのであります。それで一体国警長官はこの今までに起つた事件をどういうふうに処罰されるのか、また今後これを絶滅するために具体的にどういう手を打つてつて行かれる確信があるかどうか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  58. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私もこれだけが全部だと申し切る確信はございません。われわれの気づかないところで、不用意にこういうことがあり得るのじやないかという心配を持つておるわけであります。先ほども申し上げましたように、神奈川県の西秦野における具体的な事例、これはあるいはほかにもこんなことはあり得たかもしれないということを考えます。たとえば先般吉田首相のところに爆弾が送り届けられました。これと相前後して氏名不明の電報が配達された。その電報には差出人名が書いてない。これは爆弾を送つた者と同一の人間ではないだろうかという判断に立ちまして、その電報の発信局に行つて頼信紙を見せてもらう。そうすればそこに発信人の名前があるかもしれない。しかし発信人のほんとうの名前は書いていないかもしれないけれども、筆跡がわかるかもしれない。爆弾の中に封じ込まれてあつた建白書と同一な筆跡であるかどうかということを捜査上見たいという場合に、不用意に郵便局へ参りましてその頼信紙を見せてくださいと言つて行くのじやないか、かように考えますし、その場合にも判事の押収令書を持つて行かなければいけないぞというように私は注意をいたしたのであります。あるいはそういう注意を加えないと、ちよつと見せてください、こう言つてつたかもしれないと思うのです。だからこの秦野の場合もそういう場合であつたろうと私は思うのです。そこで先ほど吉田委員にお答えをいたしましたように、その精神と具体的の事柄を詳しく書きまして、そしてこの法律に触れなくても、そういつた疑いを受けるよう行為は厳に慎まなければならぬ。これを徹底さして、これに違反するようなことをやつた者は厳重に処分をするようにという通達を先般出したのでございますから、今後は各位の御協力あるいは全逓職員の方々の御協力によりまして、こういつた事柄は今後一掃せられるであろう、かように考えております。
  59. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 戦争に敗れましてからわれわれが得たものは、人権の尊重と、それから――これは外国に行くと非常によくわかるのですが、個人の秘密とか電話でも電報でも、そういうことについては、人のことはまつたく干渉しないということが西欧諸国の模範とするところであります。ところが日本は昔から官僚国家でありまして、人の電話まで聞くというようなことが戦記まではちよいちよいありました。そういうことで言論の自由と信書秘密ということは、憲法で保障された国民の重要な権利であります。ところが講和条約が発効して占領政治がなくなると、こういうふうなことが出て来るということは、戦争前の日本の警察のやり方が習い性となつているのではないかということを非常におそれるのであります。そういう点で今度のような事案があつたならば、国警長官は厳罰をして、今後こういうことを絶滅するということでなければ、警察官というものはなかなか心臓が強いので直らない。それでそういうようなことについて国警長官はどういう処分をされ、どういうふうな伝達の仕方をされるのか、その点をお尋ねいたします。
  60. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先ほど申しました通達の中にも、事案に対応して厳重に処分をするようにということを申しておるのであります。やつた本人はもちろん、その監督者に対しましても十分監督責任を問わなければならないと考えております。
  61. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これに関連して郵便省の監察局長にお尋ねいたしますが、今日われわれから見ますと想像もできないようなことが行われておるわけでありますが、一体郵政職員に対して、こういうよう警察官の不当な尋問に対してこうせよというような指示を出しておられるかどうか、簡単でけつこうですから御説明を願いたい。
  62. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 郵便従事員といたしまして通信秘密を守らなければならないということは、すでに戦前と申しますよりも、むしろ郵便事業が始まつて以来からの重要な精神でございまして、これらのことにつきましては、本省からもしばしば通牒あるいは訓育資料というようなものを下部に流しておりますので、下部機関におきましても、機会あるごとに現場の従事員に対して、この趣旨を徹底させておるのであります。またさらに各現業におきましても、従事員の訓練等の機会においては、こういう点について注意を与え、あるいは業務法規研究会というよう機会におきましても、そういうことの徹底をはかるとか、従来この点につきましてはあらゆる機会をつかまえてその趣旨を徹底をして参つておるのでございます。最近このよう事例が起きましたのにかんがみまして、先般四月二日付でございましたか、あらためてこの趣旨を十分に下部に徹底するよう通達を流しまして、かりそめにもこういつたよう間違いの起きるような挙に出てはならぬということを、厳重通産をいたした次第でございます。
  63. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後に斎藤国警長官にもう一度お尋ねいたしますが、先ほど職務熱心のあまり不用意にやつたというような御説明がございましたが、これは長官といたしましては部下をかばう意味において、その心はわかります。しかしこの事例を見ましても、われわれがこれを善意に解釈できないよう事例がたくさんあるわけでございます。そういう点について、先ほど吉田委員からもいろいろ質問がありましたが、私たちはこういうよう事例がたくさんあることも想像できますし、同時に職務熱心だからこういうことをやつてもよいということは非常に間違いでありまして、そういう点について、これは末端まで国警長官が全部監督するわけではないし、現実の問題として自治警察とかいろいろな警察行政も種々雑多になつておりますから、そういうこまかいことまで私たちは斎藤長官に詰問しませんけれども、しかしある程度までは、やはり原則的にこういうことは不用意の間に行われたとか、あるいは職権をもつてやらなかつたというようなりくつでなくて、根本的にこの信書の自由を侵すという問題については、私たちは今後絶滅を期する意味においてこの決心を促したいと思いますが、その点についての御決意のほどをひとつお示し願いたいと思います。
  64. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先ほども申しておりまするように、職務熱心のあまりといつてもこれは許されないことでございます。従いまして先ほどの通達の、刑事の方の関係の部局の刑事部長、警備の方の関係の部局の警備部長、また警察官一般の監督をする警務部長、この三者の連名をもちまして、職務を遂行する場合に誤りのないことを期すると同様に、教養にも力を入れ、そしてそれを監察をし、もしその教養あるいは徹底方に不熱心であつた結果起れば、その幹部も責任を追究をする、やつた者はもちろん責任を追求するという意味から、監察をやつております警務部長の名前をもつても出した次第であります。ただ第一線のこういつた警察官を責めることはもちろんでありますが、それのみならず今後注意不行き届きでこういうものが出て米たという場合には、その幹部がいかに熱心に指導をやつたか、熱心が足りなければその責任を追究する、かような態度に出ておる次第であります。
  65. 山花秀雄

    山花委員 一点だけ先ほど質問を落しましたのでお尋ねしたいと思いますが、長官は、最後に新書の開封はなかつたのであるし、一応仮定の議論として参議院委員会意見を述べた、こういうようなご説明でございました。今後信書の開封というようなことは私はあり得ないと思いますが、方針としてはやらないという方針でやつて行かれるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  66. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 開封は今後どころではございません。今までもそういうことはあり得ない。それは誤解のないように願います。こういう問題が起つたから警察では方針を変更して、今後信書を開封しなくなつたというのではございません。今までも信書の開封は厳に禁じております。
  67. 山花秀雄

    山花委員 あり得ないことをあり得るような教育をやつているというよう伺つております。警察大学において信書の開封方法を教授しているということについて、きのうの参議院地方行政委員会で、警察法に関連して参考人の警察官の方からお話がございましたが、警察大学において、そういう教授をしておるというふうにわれわれは承つておるのでございますが、これはいかがでございましようか。
  68. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは非常に誤り伝えられておるのでございまして、いずれ衆議院あるいは参議院のそれぞれの委員会においても明瞭にしてくださることだろうと存じております。決して信書を開封することを教えるというようなことはいたしておらぬのであります。ただ共産党のいわゆる地下の軍事活動、機密の機関誌であるとか、あるいは場合によつて秘密党員の名簿というようなものを協力者が持つて来てくれた場合に、これをどうして見るか。その場合にそれがのりつけしてあつた場合に、そののりづけをとるということも事実問題としては心得えておらなければならぬということを話しておるだけでありまして、それがたとい協力者が持つて来たものでありましても、信書ということが客観的にわかる場合には絶対禁じております。
  69. 山花秀雄

    山花委員 どうもただいまの答弁はちよつと理解しにくいのですが、地下活動をやつておる、そういう点に関して協力者が持つて来た場合にのりづけしてあつた。それをというような御答弁でありましたが、率直に申し上げまして、その答弁は何かこじつけのような感じがするのであります。要は警察大学において、のりづけしてあるのを開封するような、そういう技術の教授が行われておるかどうかという、この一点だけを明らかにしていただきたいと思います。
  70. 田中織之進

    田中委員長 委員長から申し上げますが、そのために参議院において、某委員会においては秘密会等で事情聴取をしたというようなことが報道されておりますし、先ほど来本委員会理事の間でも、できれば秘密会等においてその点を明確にしたらどうかという議も起つておりますので、山花委員質疑に対して、長官のお答えになることがもし公開をはばかるようであるならば、委員長において秘密会の取扱いをしてもよいのでありますが、その点はいかがでしようか。あわせてお答え願えればけつこうです。
  71. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 別に秘密会で申し上げなければならないよう事柄はないと考えますから、むしろ公開でけつこうだと思います。のりづけされたものを技術的にわからないようにのりをはがすということは、講習で教えたことはございます。どういう場合にそれが必要あるかということは、先ほど申したような次第であります。たとえば御了解をいただける例として申し上げます。先般問題になりました関三次郎なる者が、樺太からある無電の暗号表を札幌の郊外にしるしをつけていけておいたという指令を得て、それを持つて来た。あの際にはこれをただちに事件にしてしまうというので、それをそのまま没収してしまつたのでありますが、場合によりましては、その暗号表を見まして、また指定されたところにそれをそのまま埋めさせておいて、あとの捜査を続けるということも必要な場合があるわけであります。この場合に暗号表はハトロン紙に包まれて埋蔵されておりますから、これが開封されたことがわかりますと、この暗号表はただちにかえられて使用しなくなりますから、開封されたということがわからないようにしておかなければ目的を達しません。さような場合に、そのハトロン紙で包まれた暗号表をあけてみるということが必要な場合がわれわれに起るのであります。さような場合の用意にそういう場合にはどういうようにすればそのハトロン紙があけられるかということを技術的に教えたことがあるのであります。
  72. 山花秀雄

    山花委員 どうも聞いておりましても、非常に特異な、めつたにない、まれな問題を提示されて、こういう場合に必要だというような御答弁でございますが、私どもの常識からいたしますと、やはり協力者が持つて来たか何かわかりませんが、一般封書を開封する手段を教授しておるように感ずるのであります。将来、親書を開封しないというあたりまえの常識が警察行政として確立されておる以上は、警察大学においてさような教授をする必要はないと思いますが、遺憾なことには、そういう教授をするということになりますと、やはり封書を開封する、その封書とは何かということになりますと、一般郵便物とわれわれの常識からすれば連想するより以外にないのであります。特に昨日の参議院地方行政委員会で、警察法に関連して警察に職のある人からの意見の開陳においても、こういう点が秘密警察、国家警察の一環として行われておる。何か日本の警察制度が国民に対して非常に恐怖と暗い観念を与えるようなことを、警察大学の教授として行つていいかどうかという点に、われわれは非常に疑問を持つというよりも、行うべきでないと考えておるのであります。私ももつと詳しい具体的な資料を集めましてさらにお伺いをしたいと思いますが、私の質問はこれで終りたいと思います。
  73. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 一言申し上げておきますが、警察大学において、一般警察官の授業としてやつておるよう誤解になつておられるかと思いますが、決してさようではございません。警備の講習といたしまして、特にそういつた事柄に従事する、そうして法律の精神を十分体得し、間違つてこれを濫用するおそれのない特定のものだけに行いました講習でありまして、大学で、一般的に広くこれをやつておるということは絶対にないのであります。ての点は誤解のないようにお願いいたしたいと存じます。
  74. 田中織之進

    田中委員長 ただいま一番最後の点が、最近問題になつております郵便物調査事案の問題と結びついた形で、ともすれば大きな社会不安の原因になろうかと思いますので、長官が本委員会において今後この種の疑惑を招くよう行動は一切とらせないように、厳重に下部に伝達をするという言明をされたことについて、ぜひとも実行に移していただきたいことを委員長として希望を申し上げておきます。     ―――――――――――――
  75. 田中織之進

    田中委員長 次に竹谷源太郎君から郵政行政の他の問題についての質疑がありますから、竹谷君に発言を許します。竹谷君。
  76. 竹谷源太郎

    竹谷委員 郵政省の外郭団体として郵政弘済会というものが昨年か一昨年めたり発足をしたように聞いておるのでありますが、この郵政弘済会の発足の時期、組織、そして現在いかような仕事をやつておりますか、簡明に御説門をお願いいたしたいと思います。
  77. 田中織之進

    田中委員長 人事部の厚生課長補佐島沢喜代蔵君より実情を説明願います。
  78. 島沢喜久蔵

    ○島沢説明員 それでは私から簡単に御説明申し上げます。実は本日突然お話を承りましたので資料等も不備でございまして、十分御納得の行く御答弁ができるかどうか危ぶむものでございますが、一応手元にございます資料で御答弁申し上げます。財団法人郵政弘済会は、昭和二十七年三月の大量の行政整理のございましたときに、それを機会に発足いたしまた郵政職員の福祉増進と、郵政職員に対する利便供与ということを事業目的の大宗といたしまして組織いたしました財団法人でございます。そして四月十八日にたしか設立認可になつたはずであります。これの監督官庁といたしまして郵政大臣がなつております。これの基礎となりました財産は、当時の郵政大臣佐藤榮作氏と、全逓信従業員組合委員長永岡光治氏の両者の共同の名義によりまして、寄付行為をいたしました約一千三百万円が基金となつております。そのうち七百万円を基本財産といたしまして、先ほど申し上げましたごとく、昭和二十七年四月発足いたした次第でございます。事業といたしましては、部内職員に対します厚生物資、すなわち生活必需物資の廉価供給ということが一つ、それに現在行つておりませんが、将来事業の進展に伴いまして子弟の育英とか、生業の補導とか、職業のあつせん、そういうようなことにまで事業を伸ばして行くという意図をもちまして発足した次第でございます。現在の活動状況といたしましては、二十八年度の決算がまだわかつておりませんので、もしお許しがいただけますならば、後刻書類を整えまして委員のお手元に差し上げたいと存じます。
  79. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今承りますと、これは財団法人であつて、全逓信の部内の生活物資の廉価販売、その他退職者等の職業のあつせんという、郵政職員の福利増進を目的とするもののようでありますが、最近私聞くところによりますと、たのしみ貯金というもので、いろいろな物資を廉価販売をする、こういうようなことを郵政弘済会が五月から始めたということを聞いておるのであります。その印刷物の中に、たのしみ貯金のしおり、これは発行者の名前が郵政弘済会、昭和二十九年四月発行とございますが、これは五万部ほど出ておると聞いておるのでありますが、これによりますと、アメリカの文化生活を営むに必要な冷蔵庫とか、あるいは電気の機械とか、自転車とか自動車とか、それら文化生活をするに必要な物資を安価で簡便に、貯金をしながら、貯金の利子ももらいながら、いろいろな文化生活の物資を買うことを、この郵政弘済会が始めたようであります。郵便局の通常貯金を利用する方途でもつて販売をする。こういうよう要旨であるようであります。しこうしてその販売する品物は、ミシンとか自転車、写真機というようなものでありますが、これによりますると、従来ミシンのようなものは相当高い値段で、月賦販売で売られておる。これを一割か二割も安く、そしてよい品物を、名の売れたメーカーの製品を売る貯金をして、その貯金なら貯金が値段の八割に達したときに物品を交付される。残りの二割は相かわらず貯金の方法によつて完済をする。こういうような簡便な方法であるという宣伝でございます。これはどうも印刷物を見てみますと、単に郵政職員部内の人々の利便のみならず、一般の人に向つてもこういう働きかけがあるのではないかと疑われる。そうしますると、ミシンの業者には非常な打撃でございます。しかもここに掲げられたミシンの種類はリズムミシン、パイソミシン、ブラザーミシンの三つでございます。リズムミシンは富士精密工業、昔の中島飛行機会社の変身でございまして、取締役会長がブリツジストンタイヤの社長である石橋正二郎氏、社長は団伊能氏、またパイソミシンというのは、日本製鋼所の第二会社であるパイソミシン製造所、それからブラザーミシンというのは、名古屋で昔から名の知られたブラザーミシン製造株式会社でございます。この三大メーカーは、日本におけるミシン生産高のおよそ六、七割、あるいはそれ以上を占めるか、確かな数字は私存じませんが、非常な大メーカーでございます。これが全面的に郵政職員を利用して、全国津々浦々まで販売するということになりますると、他の中小企業のミシンというものはもう販売不可能になる。またこういうミシンその他の商品の販売に携わつておるところの卸商なり、あるいは小売商なりという人々の生業を奪うという、重大な社会問題を引起しはしないかということを心配いたします。それで鉄道弘済会なり、あるいは電電公社弘済会なり、そういう財団法人が、それそれぞれの職員の福利増進のためにいろいろな努力をするということは、非常にけつこうなことでございますけれども、これが広く一般の消費者、需要家に向つて働きかけるということになりますると、これはさなきだに日本の中小企業というものは非常に困難な状況に追い込まれており、その上に最近のデフレ政策によつてますます倒産、破産のうき目を見つつあるときに、こういうのが公務員を利用して行われるということになりまするならば、これは非常な社会問題になる危険性もあるのでございまするが、幸いにしてこれは財団法人である郵政弘済会が一私団体として自分だけの範囲でやつているなら格別、これが私先ほどあなたからこの組織について職員が当然弘済会の会員になつておるか承りませんでしたが、多分そうなつておるだろうと思う。そうなりますと、公務余暇もしくは公務執行中において、こういうものの募集に当るということになることは、これは公務員として国家公務員法に抵触しはしないかという疑問もございます。鉄道あたりでは日本交通公社の宣伝、あるいは団体旅行者の募集等を、駅員が駅長から言われてやつているというような事実があつて、これは相当問題になつております。しかしながらこれは他をあまり害しないので問題は少いと思う。ところが部内以外の人々、一般の人に対して、こうした販売業務について職員が弘済会に協力するということになりますると、これは鉄道職員が日本交通公社の団体旅行の募集を手伝うということとは、非常にわけが違つたような問題が起きて来はしないか。こういうことを非常に心配するのでありますが、この点はいかようになつておりまするか、ひとつ御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  80. 島沢喜久蔵

    ○島沢説明員 お答えいたします。ただいま御質問のたのしみ貯金制度の問題でありますが、私の方が一応弘済会の事業に対する監督の窓口ということになつておりまするが、現在まで私の方にその事業の執行の可否につきまして、正式に申出もございませんし、内容の説明もございませんので、事務的には十分なお答えができないわけでありますが、一方郵便貯金との関連におきまして、何か国の機関とか国の組織とその事業がからみ合うような面もあるやに見受けられるという意味の、お語通りの事態がございます関係と思いますが、上局におきまして非常に慎重に目下検討中であるよう事務当局としては聞いております。そしてまだ監省の窓口機関に対しましては、正式の事業開始の申出もございませんし、制度上の説明もございません。今そこにパンフレットをお持ちのようで、そういう行き過ぎがあることにつきましては、私の方としては一応警告はしておりますが、まだ発足の段階にも至つておりませんので、御心配のような事態も現在においては起つていないということでございます。
  81. 竹谷源太郎

    竹谷委員 なお御参考までに申し上げておきますが、ここにパイン・ニユースというのがある。これはパインミシン製造株式会社のニユース内容ですが、これに「おたのしみ預金に御協力を」と書いて、次に見出しとして「郵政省による予約販売の新機軸」とある郵政省がミシンの予約販売をやつておるということは事実全然ない、だからそれはやるとすれば郵政弘済会であるとおつしやるかもしれない。しかし業者がこういうふうにしてやれば、――実は日本のミシンというものは中小業者が刻苦精励何十年かかつて、今日日本の機械工業では最大の輸出商品となつておる。これらの中小零細なる業者か、今日の日本のミシン工業最大の功労者である。今はこういう大会社が大なる生産をやつておりますけれども、こうした人々が商品販売網を相当持つておる。こういうのが郵政省による予約販売組織ということになると、値段は別としても、とうてい太刀打ちならぬのであります。これについては今郵政省の幹部において検討中だということであるが、これはすみやかに方針を決定して明らかにしてもらいたい。われわれの意見は差控えますが、とにかくこういう事態が起つているようでありますから、追つてひとつ郵政省の態度をすみやかに決定して発表してもらいたい。これは単にミシンだけでなしに、将来いろいろなものに及んで来るであろうというので、中小企業者が非常な脅威を一般的に感じておるのでもります。なお機会を得て質問することを留保いたしまして、これで打切ります。
  82. 田中織之進

    田中委員長 委員長の方でも、竹谷委員のただいまの質疑は、郵政行政と関連してきわめて重要な問題だと思うのでありますが、政務次官の方で本件について十分実情を御承知ならば、ここで何らかのお答えを願いたいと思いますが、所見を明確にしていただきたい。
  83. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 実はただいま委員長からの御指摘の点は、私としては初めてのニユースと申しますか、この問題につきましては、初めて耳にしたのでございます。当局といたしましては、先ほど島沢説明員から申し上げましたように、それぞれ注意はしておるようでありますけれども、ただいまの御質問に対してお答えするのに十分な資料もそろつておりませんし、またおたのしみ貯金ということになりますと、貯金に関する責任者からお答えしなければならないこととなりますから、これは省内において十分資料をとりそろえた上で、もし委員長のおはからいでできますならば、次の機会にお答えすることといたしたいと存じておりますが、いかがでございましよう
  84. 田中織之進

    田中委員長 すみやかに郵政省内部の本件に対する意見をとりまとめて、次会の委員会で十分説明のできるように御準備を願いたいと思います。
  85. 田中織之進

    田中委員長 それでは次に小林絹治君。
  86. 小林絹治

    ○小林(絹)委員 私は記念切手のことをお尋ねしたい。記念切手はどういうふうに発行しておられるか。また広く記念切手を宣伝して使わせるようにするためには、どういう方法をとつておられるか。記念切手は非常にいいと思う。これは外国でもみんなやつておるので、外国のまねをしたのか、向うがこつちのまねをしたのかそれはわかりませんが、いいことはまねした方がいい。悪いことはやめたらいい。まずさしあたり記念切手について、詳しいことはいりませんけれども、一応お話願いたい。
  87. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 今まで記念切手は、国家的な行事あるいは歴史的な行事等に際しまして発行いたしております。なお、たとえば特殊の宗教といいますか、神社といいますか、そういうふうな特殊なものだけの宣伝になるようなことは、いたさないように努める方針で今まで発行して参つております。
  88. 小林絹治

    ○小林(絹)委員 なるほど、そういう行事に際して発行することは至当と考えますが、名所とか旧跡とか、そういうようなものについても、どんどんやつたらいいと思います。そこで私最近考えておつたのは、簡易保険の問題で、何でも銀行局長から申入れがあつたそうで、私一度聞いてみたいと思つておりましたが、まだその機会がありませんでしたが、銀行局の局長が、政治全体のことを考えてかれこれ言うべきものじやない。自分の仕事さえ一生懸命やつたらいい。また郵政省の人は、別に他省の局長に頭を下げたり、遠慮したりする必要はない。自分の職務を遠慮なくやつたらいいと思います。そこで記念切手の発行等は、郵政省国民一般に対していろいろ珍しい、あるいは国民の共鳴するようなものをどんどん出してくれるということで、多くの人たちに人気がいいわけです。他の省は、どこもそうとは言いませんけれども、ある省の仕事の中では、広く零細な国民を相手というのでなくて、むしろ業者というようなものに偏重したように見られる仕事も相当あるのですが、郵政省は常に国民全体を相手にしているという点から、われわれは郵便行政に対しては非常な期待をかけているのでありますが、そこでこの記念切手につきましても、率直に言いますと、たとえばことしナイチンゲールの記念切手を出した。日本は各国に比べまして、社会福祉に関する予算が非常に少い。これははずかしいことであるのみならず、国民に対しても相済まぬことで、もつと政府は厚生事業等に対して予算を多く出さなくちやならぬと私は思つているのです。そこで一例をあげますと。日本の子供でも、ナイチンゲールを知らぬ子供はないのですが、こういう人の記念日に記念切手のようなものを発行して、そうしてそれについては厚生関係あるいは看護婦の協会などに十分働きかけて、これに広く売らせて手数料も十分やる。そうすれば、政府の方の収入もふえるし、国民も喜ぶ。詳しく言えばいろいろありましようが、非常に利点の多い仕事である、こう思つているのですが、そういう点はどういうようにお考えでしようか。
  89. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 記念切手をどしどし発行して、政府の収入もあげ、あるいは国民にも、その記念切手発行の対象になつたものの認識を深めるようにしたらどうかというお尋ねでありますが、もつともなお話と存じますけれども、ただ現在郵政事業として所管しております立場から申し上げますと、特にその記念切手の発行によつて、収入をあげるという目的で発行することにつきましては、今ここで私はつきりした御返事を申し上げかねます。
  90. 小林絹治

    ○小林(絹)委員 私の言葉が足りなかつたかもしないけれども、それだけの意味じやなしに、バイプロダクシヨンとして収入もふえるという意味です。そこで一般国民に広く共鳴を得るようなことを、どしどしおやりになつたらどうか。ことに社会一般の福祉に関するようなことにも、従来の名所古跡とかいうようなことだけにとらわれないで、広く視野を開いておやりになつたら、非常によいというのが私の希望で、それだけを申し上げておけばいい。それに対してどうする、こうするという御返事がなくてもよろしいのです。
  91. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 小林委員御指摘の記念切手に関しましては、われわれも同じよう意見を持つているものであります。先年私ヨーロツパに参りましたときに、海外で日本の記念切手に対するいろいろな御注意を受けて参つたのでありますが、ただいま小林さんのお話ようなことも十分耳にして参つたのでありますから、その点は将来とも十分に検討の上、御期待に沿うようにいたしたいと思います。     ―――――――――――――
  92. 田中織之進

    田中委員長 委員外の井手以誠君より、市町村合併に伴います郵便局の統合等の問題について発言を求められておりますので、これを許したいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 田中織之進

    田中委員長 御異議なきものと認め、井手君に発言を許します。井手以誠君。
  94. 井手以誠

    ○井手以誠君 町村合併に伴う郵便局設置の問題につきまして、簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  御承知の通り町村合併促進法によりまして、各地で町村合併が促進され、また全国には百幾つかの新しい市ができたのであります。この合併によりまして郵便局を統合するという話が各地に起つておりまして、地元では非常に恐慌を来しておるのであります。たとえば熊本郵政局においては一市町村、一行政区画、一郵便局、一集配局という建前から、合併された町村の集配局を無集配局に格下げして、集配局を一ないし二くらいに、ところにもよりましようけれども、減少するという方針が示され、そのために関係町村においては非常に心配をいたしまして、こういう事情であるならば、なぜ町村合併をしたろう、なぜ市をつくつたろうか、昔にもどりたいという気持さえ起きておりまして、もしこのままそういう方針が現実に生かされるということになりますと、あるいはそういう憂慮すべき事態になるかもしれないのであります。町村合併やあるいは新しい市が生れたために、ただちに交通機関が発達し、山が平地になるとは私どもは全然考えないのでありまして、今までは自分の村に投函すればその日に届く郵便物も、一日置かねば届かないという不便も生じて来るのでありまして、おそらくそういうことは郵政省においては考えていないだろうと存じておりますが、現にそういう通達、話が進められて、関係当局において非常に心配をいたしておりますので、この際本省の明確な御方針を承りまして、町村合併に支障のないことをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  95. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 お答えいたします。まず町村合併の結果、同一行政区域内に二つ以上の郵便局ができました場合に、今先生のおつしやつたような方針を出しているかどうかというお話でございますが、これは簡単に申し上げまして、実は最近の町村合併の促進に伴いまして、同一行政区域内に二つ以上の集配郵便局ができた区域がたくさんございます。かような場合におきましては、実は郵便物の――これは若干専門語になるのでありますが、区分配達といいまして、それぞれの同じ行政区域内で二つ以上郵便局がありますと、ただ何市何町何番地と書いてあります場合に、いずれの郵便局にやつていいかよくわからないというような事態がしばしば起るのであります。そういたしますと、結局郵便物の遅達を来すおそれが多分に生じます。さような点を考えまして私どもといたしましては、町村合併の推進本部あるいは自治庁あるいは地方のそれらの関係機関に対しまして、町村合併促進法を制定いたします前後から、その方面におきましてかよう状態が起るから、もし町村合併をされる場合には、なるべくならば郵便区と行政区を一致させるような方針でやつてほしいということと、それからもしそう行かない場合におきましては、旧町村名あるいは大字名を新しい町名に冠称してほしい、かよう申出をいしたのであります。それで中にはこの申入れに応じまして、あるいは応じただけでなく、地方民の方々の御発議によつたのかもしれませんが、私どもの申入れに沿うて、町村合併あるいは特に旧町名あるいは大字名を冠称した町の名をつけていただいたところが相当あるのでございます。そうしていただきますと今までの区分規程といいますか、結局今まで何町の何町、あるいは何市の何町はそれぞれどこの郵便局の配達区域に属しておるということがよくわかつておりますので、それが新しい町名の方についておりますと、同一行政区域内に二つ以上の局ができましても、何町はどこの郵便局の区内だということがはつきりわかるのであります。ところが新しい町名だけになりますと……。
  96. 井手以誠

    ○井手以誠君 御発言の途中ですが、そんなことをお聞きしているのではないのです。
  97. 田中織之進

    田中委員長 町村合併の問題と郵便局の統合ということ、特に熊本の郵政局からそういう通達が出ているということは、本省の方針であるかどうかという点です。
  98. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 それでは簡単に申し上げますが、郵便物の遅達を来すおそれがありますので、さような場合には原則的に同一行政区に対しては一集配局にする。もつともこれは地勢あるいはその行政区の広さ、その他の事情によりまして、原則通り行かないものがたくさんあることは承知いたしております。しかしできるものはそういうふうにしたいという方針は示しております。
  99. 井手以誠

    ○井手以誠君 そういたしますと、町村合併の結果、あるいは市が生れた結果、かえつて郵便物の遅配を来すという場合には統合を考えておる。しかし関係町村民が、不便を感じたり、あるいは郵便物が遅配するという場合には統合はしない、こういう、御方針でございますか。その点ひとつ明確に御答弁を願います。
  100. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 さようでございます。町村合併の結果、今私が申しましたような同一行政区域内に二つ以上の郵便局ができましたような場合に、その結果といたしまして、結局郵便物の遅配を来すおそれがあるような場合に、原則として同一行政区、同一郵便区にするという方針を示しております。なおつけ加えて申しますが、従来から大体原則的な方針といたしましては、一行政区に一集配局という方針はとつて参つております。これは郵便物の速達上の関係でございます。
  101. 井手以誠

    ○井手以誠君 原則的には一市町村、一集配局という原則をとつておる。しかし町村合併の結果、一行政区、一集配局というわけではない。合併のためにかえつて不便を来す場合にだけ集配局を統合する。町村民が迷惑し、遅配を来すような場合には統合しない、こういう御方針でございますか。
  102. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 さようでございます。結局町村合併の結果、従来よりも郵便物の配達、送達が遅れるおそれが生ずるような場合について、そういう方針を示しております。
  103. 井手以誠

    ○井手以誠君 そういたしますと、熊本郵政局がとつております方針は、本省の方針とは逆でございます。町村合併の結果これを統合する、こういう天くだりのやり方でございます。ここに資料も持つております。私先般市長選挙のために佐賀県の鳥栖市にも、同じ佐賀県の伊万里市にも参りました。その他各町をまわつたのでございますが、どの町村においても、私どもの村には今度郵便局がなくなるそうだ、井手さんそれじや非常に困る、こういう事情であるならば、私どもは合併はやめましようというお話でございました。それから見ますと、町村民は不便を感じておるわけです。自分の村に郵便局があつたために、その日に投函すればその日に配達されるところがあるのに、わざわざ半里も先の郵便局に持つて行われて配達されるということでは、不便を来すことは当然であります。  それでお尋ねいたしますが、そういう方針をとつておる熊本郵便局に対して、それは違う、取消せ、こういう通達をなされる御用意がおありでございますか、お尋ねいたします。
  104. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 今お話を具体的に承りまして、若干事情がわかつたのでありますが、もちろん集配郵便局を統合いたしますと、特定の地域の方々の中には、部分的には従来よりも若干遅達を来すおそれのある場合を生ずるかもしれません。しかし私が今申し上げましたのは、全体としてその区域内は――全体というか、大部分と考えてけつこうでありますが、さような大部分のものの郵便物が、二つ郵便局があるために遅達を来すおそれのある場合に、統合することを原則として示しておるのでございます。なお井手先生のお話の点につきましては、具体的に承りますれば、それについて検討して参りまして、私どもの方針に逆行しておるような指導をもし熊本郵便局がいたしておりますれば、それは訂正させることにいたしたいと思います。
  105. 井手以誠

    ○井手以誠君 時間がありませんのでなるべく早く終りますが、はつきりいたしませんので、重ねてお尋ねいたします。郵便局が多いとおそくなる、こういうことはあり得ないと思う。町村合併のよしあしは別ですけれども、郡の半分ぐらいは、町を中心として合併されたというところが非常に多いのであります。その場合に、合併すれば不便になることははつきりしておる。一つでなくては不便だというあなたの今の半分の仮定、半分の話はあり得ないことだと思う。そういうことをおつしやるから、地方郵政局において間違つた指導をなさる場合が出て来るのであります。明確にしてもらいたいと思う。そういう町村合併によつて市の区域ができた場合には、原則として不便を来すような統合はしないという方針をはつきり示してもらわなければ、誤解を生ずると存じます。先刻の信書の問題でありませんけれども、あの場合はこうだ、この場合はこうだというようなわけ方では、誤解を生じます。統合したために便利になるとは、おそらく考えられないのであります。電話その他においては便利な場合も出て来るでありましようけれども郵便物についてはさような場合は予想されない。私はくどくは申しませんが、町村合併によつて天くだり的統合はしない、間違つた指導に対しては是正させるという方針を、はつきり言明願いたいと思います。
  106. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 先ほど私が若干くどく申し上げかけましたのは、その事情を御説明申し上げよう思つてお話したのであります。具体的に一例をとつて申し上げますと、ある鉄道沿線の付近を含めて大きい市ができたとします。この中には、ひどいところになりますと、従来七つも八つも集配局があつたような場合があります。そしてこの甲、乙、丙という郵便局に対してよそから郵便物が参ります場合に、甲の郵便局に落す郵便物、乙の郵便局に落す郵便物、丙の郵便局に落す郵便物は、それぞれ大体行政区と一致しております。一致していない場合でも、それぞれ字かその他によつて、従来の私どもの鉄道郵便に乗つておるものはちやんと区分規程がありまして、どこに落すものはどこの郵便物だということがはつきりわかつております。そして各郵便局に落して行つてつたのでありますが、これが新しい市になつて、旧町村名の大字名をつけないで、何市何町という新しく生れたものが非常にたくさんあります。まつたく新しい町名がたくさんできれば、これは元どこの郵便局の区内であつたかということは全然わからない。そうすると、今言つた甲の郵便局に落すべき郵便物を、次の乙あるいは丙、丁の郵便局に落すかもしれません。そういうことになりますと、たとえば甲の郵便局に落すべきものが隣の乙あるいは丙の郵便局に落ちた場合にはどうなるかといいますと、次の便で――下りだつた場合にはまた上りに持つて行かなければなりません。そうしますと、少なくとも半日あるいは一日は遅達を来すおそれが生ずるわけであります。そうかといつて、わからなかつたらその市の一番大きい郵便局に落したらどうかということも考えられないわけではありませんけれども、そうしますとやはり逆に、今度はその一番大きい郵便局の区域内だけはよろしいのでありますが、そのほかのものはまたその郵便局で区分して、隣の郵便局あるいはその隣の郵便局に送達しなければならない。そのよう状態が起りますので、原則的には郵便局を統合して、そういうふうなことのないようにしたいということと、それから統合といいましても、実際に説明はなかなか簡単にできないのでありますが、自分のところは何局の配達区域であるということを利用者に分つていただいて、自分の出す郵便物については何局の区内だということを書いていただくと、この心配はございませんので、そういう場合にはしいて統合する必要はないのであります。そういう方針をとつております。
  107. 田中織之進

    田中委員長 委員長から郵務局次長に申し上げますが、郵政省だけの事務的な、また技術的な取扱いの点からそういう統合をされるということは、これは私は不都合だと思う。従つてその点については、本日もそうでありますけれども、従来の請願審査の過程から見ましても、定員の方の関係であるとかいうようなことで、郵政省はなかなか国民の声を聞かない。今回の市町村合併は国の要請に従つて法律をもつてつておるのですから、ただ単に郵政省の都合だけでそういうことを処理するということは、適当でないと思うのです。どうも郵務局次長の答弁を伺つておると、そういうきらいがあるわけなのです。今度の町村合併は一つの国の方針としてやつている以上、その区域内にある郵便集配関係に関して業務上の不便を与えないように、現状を維持するか、あるいはここに一行政区画、一集配局という方針で行くならば、少くとも集配人員の増強等の関係によりまして、遅配等の支障を来さないような事態が講ぜられれば、井手委員もあえて集配局を一行政区、一局ということに統合することには反対でないと思うのです。その基本的な方針が明確でないから、重ねての質疑でないかと思うのですが、いかがですか。
  108. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 その点ちよつと釈明させていただきますが、私が今申し上げましたのは、ただわれわれ郵便事業の取扱い上そうした方がいいのだというのではありません。われわれ郵便行政を行う上におきましては、常に利用者の方々の御便利になるようにということを考えてやつております。それで今申しましたように、現在の段階においては郵便利用者の最も便利になる方法といたしましては、今われわれが立てました方針が一番便利であろう、速達上も一番よろしいであろう、かように考えてやつているのであります。  それから委員長さんの言葉じりをつかまえるようで恐縮でありますが、実は今言いました甲の局に落ちるのが乙の局に落ちた場合には、集配員を増員いたしましても、それでは解決できない問題なのであります。従いまして先ほど申し上げましたように、もしやり方が納得行かぬ場合がありましたならば、具体的な例をお示しくだされば、検討いたしまして、悪いものがあればこれを納得させるように連絡いたしたいと思うのであります。
  109. 井手以誠

    ○井手以誠君 どうも答弁になつていないような気がいたすのであります。肩書不十分のために迷惑する場合が多い、それでは困るから、そういう利便のためにまとめたい、何市とあれば一局にまとめると早く着く、こういうお話であります。それでは肩書さえ十分であれば、そういうことは起らないはずでしよう。あなたの方でそういう宣伝なり指導を十分なさつておるならば、肩章券ということはだんだん減つて来るはずであります。あなた方の指導によつて、幸いにどの市においても――全部とは申しませんけれども、何々市の下には、元の町村名を冠しておるのがほとんどでございます。何々市何々町というのは、元の町村名を言つております。そういたしますと、ほかの駅で積みおろすという心配は起らないと思う。そういうことになりますと、あなたのおつしやつておる統合するという根拠はなくなるわけであります。町村合併による郵便局集配局の統合という理由にはならないはずであります。だから私は肩書のためにどうこうというのではなくして、町村合併によつて郵便局を統合する方針だという一般の不安を、この際解消してもらいたいと同時に、私がお願いしたいのは、民衆の声を聞くためには、あなたの方が肩書がどうだからというので天くだり的にされるのではなくてだれが便不便をきめるか、地元民があげて不安だと言つておるのに、あなたの方は肩書不十分で積みおろしが間違うと困るから統合するというようなことでは納得できません。あなたにその点答弁できなければ、次官か何かにお答え願つてもかまいませんが、それでは答弁になりません。
  110. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 お話の点でございますが、多少私ども説明の仕方もあるいは悪かつたとも存じますが、私どもといたしましては、先ほど申しましたように利用者の便利のために、かような考え方で行つておりますので、御注意の点につきましてはなおよく局長が帰りましたら検討いたしまして、できるだけ――結局問題は市町村合併のために郵便物が遅れるようなことのないようにといつたお話だろうと思いますので、さような方針でやつて行きたいと思つております。
  111. 井手以誠

    ○井手以誠君 最後にもう一点、それでに地元が統合に反対であればおやりになりませんか、それだけ聞けばよろしゆうございます。
  112. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 ただ地元が反対すれば、これはそう簡単に私からお答えいたしかねるのでありますが、地元の方もたとえば部分的にお話になる場合もありますし、特定の地域の方があげて御反対になる場合もあると思いますが、反対される理由が納得できますれば、その部分については私どもの方針を撤回するに決してやぶさかでございません。
  113. 井手以誠

    ○井手以誠君 いろいろもつとはつきりしておきたいと思うのですが、それ以上は御答弁できないような気がいたしますので、私この程度で打切りますが、地方では最近非常に先刻申し上げますような不安を来しておりますので、その点の間違いがないように十分の御指導、方針の確立を願いたいと存します。とともに、最後におつしやいました統合の決定の方法については、やはりその市長なりあるいは地元の町州民代表なりの声を十分聞いて、あなたの方はそういう希望であつたけれども、ほかの方はそうでなかつたとか、かつてな主観を中心にした決定をなさらぬように特に私はお願いいたしまして、質問を打切ります。
  114. 田中織之進

    田中委員長 ただいま井手君より質問をされた事項は、最近たくさんの新しい市ができておる関係から、全国各地で利用者の立場から問題が起つておるようであります。それらの実情を十分調査せられまして、郵政省が持つておられる基本的な原則と、実際の便不便というような点も勘案されて、実情に即した処置をとつていただくように希望しておきます。     ―――――――――――――
  115. 田中織之進

    田中委員長 去る三月十二日理事大上司君、去る五月二十日理事大高康君がいずれも委員辞任されましたので、理事が二名欠員になつておりますが、その補欠選任は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 田中織之進

    田中委員長 御異議なきものと認めまして、濱地文平君及び大高康君を理事指名いたします。  会期は明後三十一日をもつて終了することになつておるのでございますが、本委員会といたしましては請願審査も終了をいたしておりますし、さらに閉会中の調査案件等も本日御決定を願いましたので、できればこれをもつてこの会期中の委員会の最後といたしたいという委員長の心組みでございましたが、先ほど竹谷委員から質問のありました点について、郵政省本省側の統一した方針がまだ明確になつておりません関係もありますので、会期中にもう一度委員会を開くことにいたしてはどうかと思いますが、その日時につきましては公報をもつてお知らせをすることにいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。    午後一時二十六分散会      ――――◇―――――