○小野
政府委員 大蔵省からの申入れにつきましては、いろいろ新聞等におきまして少し大げさに取扱われているように思うのでありますが、内容といたしましては概略申し上げますと、まず最近の
郵便貯金が非常に増加いたしておりますことにつきまして感謝の意を述べ、続いて
郵便貯金といたしまして
郵便貯金以外の各種の
金融機関の活動とも関連いたしまして、多少行き過ぎのある点につきまして、何とか是正方を依頼するというような形のものであります。
行き過ぎの点としてあげられております点は、
郵便貯金関係につきましてつくりました宣伝広告文等におきまして、いろいろ他の
金融機関に無を受けるような表現のものがあるので、そういつた面はかげんをしていただけないかというような種類のものであります。まず第一には
郵便貯金の安全でありますことを強調することはいいのでありますが、それを強調するあまり、民間の
金融機関の信用度がきわめて怪しいものだというような誤解を招くように見られる宣伝文言を、かげんをしてもらえないかということであります。第二点といたしましては、
郵便貯金の有利でありますことを
説明いたしますために、
郵便貯金の利率と民間の
金融機関の利率の比較を行います際に、きわめて有利な部分のみを取上げてこれを強調いたし、あるいは適当でない比較表を示すようなもの、これは
郵便貯金の利子と銀行預金の利子の
関係には、計算方法がいろいろ異
なつておるのでありますが、そういつた点を無視した比較、また積立ての一定の期間を示さないで、特に有利な利回りのみを掲げるような点は、きわめて民間の銀行の預金吸収活動に支障を来すので、そういう点について再考を願いたい。また
郵便貯金は現在無税と
なつておりますが、これは
郵便貯金としていろいろ宣伝はいたしておりますが、この
郵便貯金の無税の点は、ひとり
郵便貯金のみに限らないのでありまして、銀行預金等につきましても、ある種のものにつきましては無税措置がとられております。そういつた点を
郵便貯金の無税を強調するあまり、これがひとり
郵便貯金のみが無税で他は無税でない。従
つて有利でないのだといつたようなことを宣伝いたしたり、あるいは貯金の秘密を保持いたしますことを強調するあまり、民間銀行の預金がきわめて秘密性がないというように裏から解釈されるような表現を再考願いたい。また
郵便貯金の預入限度あるいは通帳の冊数等につきまして、法律に一定の制限があるわけでありますが、この制限を無視した文言を使うこと、こういう点を再考願えないか、こういつた
関係のものでございます。
こういう点につきましては、いろいろ従来発行いたしました宣伝文等につきまして、いろいろ検討いたしてみたのでありますが、そういつた誤解を受けるもとになるものといたしましては、まず第一点の
郵便貯金の安全性を強調するために、国が預かるのでどこよりも安心であるといつたような表現のものがあるが、これは多少行き過ぎのきらいがあるといつたようなことをあげられておるわけでありますが、郵政省として発行したものの中で、その該当のものを拾
つてみますと、国が預かるので、どこよりも確かだという表現は確かにあるわけであります。こういつた点がいかにも民間の銀行の預金が不確かであるといつたような印象を一般に与えて、銀行の預金吸収活動に非常に支障を来すというように
考えられたわけであります。またあなたのお金を国がお預かりするのであるから絶対安全だ、こういつたようなちらしもつくつたことがあるのでありますが、こういつた点も国が預かりますので絶対安全、これは間違いないことでありますが、裏から行けば民営の
金融機関の預金はこれよりも安全性がない、こういうように
考えられるので、その辺の再考を求めておるわけであります。またほかの
金融機関の預貯金との間におきまして有利な点を強調する点に該当するものといたしましては、これは一般にそういつた宣伝文を撒布いたしておらないのでありまして、部内職員の指導用として出すパンフレットでありますが、その中に各種の
金融機関の利子の比較表が載
つております。これはただ単に
郵便貯金がどこよりも有利だ、こういうことを表現したものではないのでありまして、銀行預金の利子はこのように
なつておる、信用組合の利子はこう
なつておる、投資信託ではどうなる、
郵便貯金ではどうだ、こういう表を一覧に出しておるわけでありまして、別段に
郵便貯金が銀行よりも明らかに有利だ、こういうことを示したものではないわけでありますが、そういう点が民間の
方面に与える影響といたしましては、やはり非常に痛い、こういうような点を指摘されたものであります。また秘密性の
関係につきましても、郵政省といたしましてこういつた点を部外に配布したものはないのでありますが、こういつた面は各現場におきましては強調いたしておる事例はあるやに見受けられます。こういつた点がやはり民間の金融活動に非常に痛手であるというような点から、そういつた表現を多少考慮してもらえないかといつた
趣旨のものでありまして、同時にこの文書には民間の
郵便貯金以外の金融活動で、そういつた行き過ぎの宣伝文面を使つたものについては、大蔵省といたしてこれは善処させるということも付記しております。こういつた事例は今日
郵便貯金といい銀行預金こいい、またその他の
金融機関の資金吸収活動といい、終局するところ目的は一つでありまして、日本の経済の自立に役立つための共通の目的に
なつておるわけであります。とはいえ、それぞれそういう高い使命を持
つておりますだけに、年度の活動に期待されるところは
郵便貯金につきましても、銀行預金におきましても、その他の
金融機関におきましても、吸収する金額の目標は非常に高いわけでありまして、そういう困難な仕事をお互いにや
つておりますので、終局の目的は帰一するところ一つでありますけれども、実際の貯金の吸収面におきましてはかなり競争的な立場に立つことは、これは偽り得ない
現状であります。そういつた面から従来もいろいろ末端におきましては、銀行の
方面から
郵便貯金のあり方について批判もいたしますし、またわれわれの従業員の
方面からも銀行
方面その他の宣伝文について相当神経をとがらすような事例もありまして、そういつた事例につきましては私どもの方からも、文書ではありませんが、その都度大蔵省
方面に
郵便貯金のあまり有利でない点を非常に強調しつつ、しかもそれが事実であると痛感しておるものにつきましては再考方を、われわれの方から申し入れておるような状況であります。最近の情勢を
考えますに、ここ一年、昭和二十八年度の
郵便貯金の成績は、予定通り非常に伸びたと思いますが、銀行
方面は、いろいろな状況に左右されまして、成績はあまり芳ばしくなかつたのであります。そういう環境の中で、他の
金融機関の
方面から見ますと、非常にこまかく神経を使
つておることは事実であります。ところが、今日日本の預貯金の総額が、大体三兆五千億から六千億と見込まれるのであります。
郵便貯金の現在高は三千五百億にまだ少し足りない、ざつと三千五百億であります。銀行預金は約二兆三、四千億に
なつておりますので、そういつた
関係から見れば、必ずしもある種のものが成績がよければそれでいいわけではなく、やはり目的を共通にいたしております
関係上、どの預貯金も伸びなければ、当面の日本経済の要請する点に沿わないわけであります。そういつた面から、お互いに相協力し合わなければならない点は十分認められますので、われわれといたしましても、申入れの中で再考し得るものにつきましては再考いたし、またあまりに無用に神経をとがらし過ぎた問題で、かえ
つてそういうことをすることが
郵便貯金の増強、ひいては国家当面の資金吸収の要請に沿い得ないようなものにつきましては、これを曲げるわけに行かない、かように
考えておる次第でございます。