○八藤
政府委員 ただいまの
委員長の御質問の二点につきまして、また
吉田委員の質問に対し、
貯金局長の答弁に補足して御
説明いたしま。
おつしやる
通り今度の
支払いにつきまして、確かに戦地におきまして、
外地におきまして、
日本の
政府機関が
貯金として預か
つたもの、それが通帳によ
つて明確に証明されておりますので、国がその
預金者に対して
はつきり
債務を負うことになるわけであります。第一点といたしましては、その預け入れた金がほとんどというか、一文もというか、海を渡
つて日本に返
つて来ていないという事案、従いまして
終戦後におきまして
為替管理会その他におきまして、かようなものに対する
支払いの限度その他が、
大蔵省から当時の
資金緊急
措置令に基きましたか、あるいは
為替管理法に基きましたか、それによ
つて限度をきめて一応支払えという事案に即応いたしまして、
郵政省におきましても
債務は通帳で承認する、しかし
資金は来ていない、しかしながらやはり支払うべきだというので、芦田内閣のときでございましたか、昭和二十三年に三十二億を限
つて郵政省では一応金は来ていないけれども、こういう
法令に該当するものは支払
つてよろしい。
郵政省にはいろいろな金が入
つて来ております。
貯金ばかりでなく、税金も入
つて来ております。その中から三十二億の限度においては、こういう
外地の
関係は払
つてやれという閣議決定がございました。そこで
郵政省といたしましては、さような
外地関係、軍事
貯金関係の合法的な支払元といたしまして、閣議の承認を得ました三十二億を、
郵便局に集ま
つておりますいろいろな金の中から
大蔵省の
預金部に預託いたしましてその預託した中から合法的な
外地関係及び軍事
貯金を支払
つて行くということをや
つてお
つた次第でございます。ところがやはり限度以上のものは残
つたり、その後続々復員して来たりして、いろいろ残
つたのがただいま御審議を願
つておるこの問題でございます。その三十二億という金は何かといいますと、いわゆる海を渡
つて復員して来た金ではない。国の中において
郵便局の中に集ま
つた金の中から、閣議決定によ
つて一応立てかえる、しかしそれは将来臨軍費の整理が確定したら、そのときにおいて穴埋めを考えるぞというので、
一般に入
つて来た金を一応流用しておる。しかしそれも三十二億と限
つて一応
預金部に預託いたしまして、それを引当てに支払
つてお
つたという
事情であります。
従つて委員長の第一点の質問の最終の
支払いについては、これは明らかに臨軍からもら
つたのではありません。
一般会計から正式にもら
つたのではありません。一応繰替払いをしていいという閣議決定をしたものであります。
それから第二点はおつしやる
通りでございまして、
一般の税金その他の金を押えて
預金部に預けておる。そうして
法律通り払いもどしに応じて払
つてお
つたけれども、最終的には一文なしになる。三十二億の預託した支払元がなくなる。
従つてこれは当然全部
支払いを済ませて、
預金部の預託元が一文もなくなると穴が明く。そうするとどこに持
つて行くかというと、これは臨軍
関係、
一般会計から私どもとしては頂戴するのが筋合いだ、またこれが閣議決定の御
趣旨である、こう了解いたします。そこで
吉田委員のお手元にあります特別会計予算
説明書でありますが、三百四十五ページでありますか、
郵政省の財務諸表がありますが、その中に二十七年度貸借対照表並びに二十七年度の
財産目録があります。それから二十八年、二十九年、二十八年はただいま決算中でありますので予定計算書であります。二十九年度ももちろん予定計算書であります。その対借対照表の借方の方に、未整理預託金というのがあります。そごに五十一億という未整理預託金があります。それがただいま申し上げた閣議決定によ
つて、一応いろいろの種類の入
つて来ておる金を引当てとして
預金部に入れたという金に当るのでありまして、それが二十八年三月三十一日現在において五十一億であります。そのうち三十一億と閣議決定になりましたものの、実績にかんがみて三十八億に
事務的に修正されておりますが、それがそこに残
つておる。その借方に見合うものとして、貸方の方に保管金というのがあります。これはたとえば税金を
郵便局で受入れまして国庫に納める間に、期間的に
事務的に経過がありますので保管しておる金であります。それから電電に支払う金があります。それら全部
支払いが決定するまでの間保管しておる保管金、それが百五十五億ありますが、借方の方の未整理預託金の五十億に見合うものは貸方の方の保管金の中に含まれておる。それは貸借対照表で三月三十一日現在ではそうな
つておる。
財産目録上におきましても、当然それはただいま申しましたところの未整理預託金、これは郵政会計の
資産といたしまして同額があげてございますし、それから
財産目録上の負債といたしましては、今申し上げました百五十何億の保管金、これは当然負債であります。その負債の中に三十八億に見合うものが三十八億円として含まれておる。
財産目録においても貸借対照表においても、
はつきりしております数字でございます。ほかの会計と一緒にな
つておりますから
金額は多くな
つておりますが、その内訳はそれぞれ私どもの手元にこまかく載
つております。また
貯金の方におきましても原簿、現在高も
はつきり持
つておりますし、それに見合うところの債権証書と申しますか、通帳も
はつきり確認して確定いたしております。それで要するに問題は、
換算率のために今度は四億何ぼで済む。そうするとそごに預けた三十八億はいらぬじやないかという問題にな
つて来る。いる、いらぬよりもむしろ支払
つて余りあるならば、当然海を渡
つて帰
つて来た金でなく、一時立てかえたお金でありますから、それは立てかえた元へそれぞれ返して参りますし、全部
支払いが済めが、未整理預託金もゼロになる。保管金の方もそれだけ落ちて行く、決済になる。決済になるときに私どもの方としては
一般会計の方から立てかえた分だけは頂戴いたしたい。それが二十三年の芦田内閣のときの閣議決定の
趣旨であり、また今般この
法律に基きました閣議決定の
趣旨である、かように
承知しております。