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小野政府委員 軍事郵便貯金、旧
外地の
郵便貯金、また旧
外地から内地にあてまして組まれました
外地の
郵便為替並びに
軍事郵便為替等につきましては、今までのところある
一定の
制限のもとに
支払いをいたしておる
ような
状況でございます。と申しますのは、この種の事柄がすべて
終戦当時に打切られてあれば問題ないのでありますが、
終戦後におきましても、これは
各地いろいろの
事情を異にいたして取扱われて参
つたのであります。そうい
つた点に
占領地下におきまして、いろいろ問題もございまして、私
どもといたしましてはできるだけ早く、こうい
つた問題の
処理を
解決すべく
努力をいたしたのでありますが、いろいろな
事情がありまして、現在全面的な
解決まで至
つておりません。ある
一定の条件をつけまして、その
制限下に
支払いをいたしておる
ような次第であります。その
制限と申しますのは、
日本の
戦線各地に配置せられておりました
野戦郵便局に
預入せられましたいわゆる
軍事郵便貯金につきましては、
終戦時八月十五日の以前に
預入されたものは
全額支払いをいたしております。八月十六日以降のものにつきましては、当初一人千円を
限つて支払いをいたしてお
つたのでありますが、何分にも
引揚げて参ります復員の
軍人軍属等の
生活困窮の
状況もありまして、できるだけ大幅な
解決をはかる
努力をいたしたのでありますが、その
限度は当時の千円を千五百円に
——これは
昭和二十三年にそうい
つた措置をと
つたのでありますが、
終戦の年、八月十六日以降の
預入のものにつきましては、一人千五百円を
限つて支払いをいたしておる
ような
状況でございます。従いまして千五百円を越える
預入額につきましては、現在払い渡しできない
状況に相
なつて今日に及んでおるわけであります。旧
外地の
郵便貯金につきましては、樺太、朝鮮、台湾、関東州等におきまして、その
地所在の
郵便局に
預入せられた
郵便貯金を旧
外地郵便貯金と称しておりますが、この点につきましても、
終戦後
各地それぞれ
事情は異にいたしますが、それぞれ
郵便貯金を
扱つてお
つたような実情でございます。その
預入額につきましては、九月の三十月を区切りといたしまして、
昭和二十年九日三十日までに
通帳に記入してあるものは、
全額支払いをしておる次第でございます。十月一日以降の
預入にかかりますものは、
全額支払いをストツプいたしております。
軍事郵便為替につきましては、
昭和二十年九月二十三日に
為替証書が
日本に到着いたしておりますものにつきましては
支払いをいたしましておりますが、それ以後のものにつきましては全然
支払いをいたしておりません。か
ような
状況で、まだ現在
為替の
証書の
額面、
軍事郵便貯金並びに
在外郵便貯金の
通帳に記入された
額面のみで申しますと、今日まで
制限外に属しておりまして、
支払いが不可能であります額が二十五、六億に上
つておるわけでございます。この点につきましては、もうすでに
日本も独立いたしまして漸次時日もた
つて参りますし、できるだけ早く
解決をいたすべくいろいろ
努力をいたしたのでありますが、厖大な
在外財産等の
関係もございまして、一挙に
解決が不可能であ
つた状況でございます。最近そうい
つた在外財産問題の
処理につきまして、できるだけ早く
処理の促進をし得る方向におきまして、
内閣に
在外財産等調査会が設けられておりまして、次々と問題が取上げられて
解決に向いつつあるわけでございます。先般旧
日銀券の持ち帰りの分、これは当時
引揚げまして
所在の
税関等に預けておるものでありますが、これにつきましても
一定の
限度におきまして、現在流通しております
日本の円にかえるという
ような
措置がとられましたし、また旧
外地関係にありました
銀行預金等につきましても、
在外財産等調査会の
答申案も出まして、その
答申の
趣旨に
従つて現在
法律案が
提出せられ、
解決に向いつつある
ような
状況でございます。そうい
つた関係からいたしまして、
郵便貯金につきましてもここで全面的な
解決をはかる必要も感じましたので、
関係省といろいろ協議を進めて参
つたのでありますが、数回にわたりまして
在外財産等調査会におきましてもこの問題を、
銀行預金との
権衡の問題、その他の
在外財産との
権衡の
問題等をもしんしやくいたしつつ、
郵便貯金の特質に従いまして、この点が
解決の妥当な線であろう、こうい
つたいわゆる
答申案なるものが実質的には、内容的に去る十四日に初めて固ま
つたような次第でございます。その
答申案に基きまして
関係大蔵省、
郵政省といろいろ協議いたしました結果、どうやらこの
解決の
見通しも立て得る
段階になりましたので、
目下法制局の
審議を今朝終了いたしまして、来週の火曜日の
関議には
提出し得る
見通しがついたわけであります。
国会の
会期も余すととろ幾ばくもないのでありますが、そうい
つた時期に
法案を御
提出申さなければならないことになりましたことは、私
どもとして非常に相済まないと思うのでありますが、何分
法案が
提出になりましたら御
審議願い、
郵便貯金の長年の懸案が
解決し得ます
ようにお願いをいたす次第でございます。
この機会に
郵便貯金につきまして、そういった全面的払いもどしの
解決をいたします概要を申し上げますと、銀行等につきましては、預貯金すべて全然
支払いをいたされておらないのであります。そして今日に至っておりますが、過般出ました
在外財産等調査会の
答申案に基いて
作成されました
法律案によりまして支払われるわけでありますが、これはここ二年ばかり前でありましたでございまし
ようか、在外公館等借入金の返済が行われました。その際にいろいろ
各地域ごとの貨幣価値に比例いたしまして、
一定の換算
措置をとったわけであります。そういった換算率で銀行預貯金は支払われることに
法案の内容は相なっておるのでありますが、
郵便貯金につきましては・この貯金が大衆の貯金の手段でありますし、また一件々々が
金額も零細な金でございますので、
銀行預金が全面的に
支払いをストップをいたしておりましたにかかわらず、先ほど申しました
ような
制限だけはありますが、一部
支払いをいたして今日まで参ったわけであります。今後の
措置につきましては、いわゆる
支払いをストップいたしております
金額の
支払いにつきましては、これはまた銀行等との
関係もございますし、いかに
郵便貯金の特質をもっていたしましても、これを
通帳記載面のそのままの
額面で
支払いますことは非常に
権衡を失するであろう。特に
軍事郵便貯金等について見ますと、北支、中支、南支・この方面の
預入にかかりますものが、全体の九十二、三パーセントに相なっております。特に中支方面の儲備券の
終戦後における価値は非常に下落をいたしておりますので、かたがた
郵便貯金は
日本円建になっております。銀行等はそうではないのでありまして、現地の通貨建になっておりますが、
郵便貯金はすべて
終戦後の扱いも円建になっております。中支の儲備券に例をとりますと、
終戦ぎりぎり当時まで儲備券百元イコール
日本円八円、こういうレートを維持し続けて参ったのでありますが、こういうレートが
終戦後相当後の取扱いまでそのレートで行っておるわけでありますQその点に非常に無理もありますので、その辺のレートはやはり適当な修正をしなければならないであろう。他面には郵便郵金が非常に庶民の貯蓄手段でありますし、また一人頭の貯金の額も零細でありますので、その面の零細貯金の保護、こうい
つた面も考えなければなりません。そこで
銀行預金等につきましては、全面的にそういった換算率を全額について
適用するのでありますが、
郵便貯金につきましては、その当時最高の
預入限度がちょうど五千円であったわけであります。今日は十万円に相なってありますが、五千円が
郵便貯金の預け得る最高
限度となっておったわけであります。従いまして、この五千円までに達するものにつきましては、
郵便貯金が大衆貯金であり、
しかも零細な貯金である、こうい
つた面の保護を加えまして、換算率等も在外公館借入金のあの返済率にはよっておらないのであります。五千円を越えるものにつきましては、これは五千円と申しましても
通帳に記入してある
金額の五千円に符合するのではなく、手取りが五千円になるまでは有利な
支払いをし
よう、手取り五千円を越える分野につきましては、これはいかにいたしましても在外公館借入金の例、また今後
法案が通過いたしますると、
支払いが開始されます
銀行預金の
支払いの条件に区別を設ける理由が見当りませんので、
しかも当時の
預入の
限度を越えるものでありますので、
郵便貯金の零細かつ大衆貯金だ、こういう特質をそのまま全面的に考えるわけにも行かない
ような
事情もございまして、手取り五千円を越えますものにつきましては、今回の
銀行預金がこれから支払われ
ようとする・その貨幣の換算率を
適用する、こういう
ようなことに内容は実は相なるわけでございます。先ほど申しました
通り、いろいろ諸般の
準備を進めて参りまして、来週火曜日には
閣議の決定を見て、早急に御
審議を煩わす
段階に相なったことを御報告申し上げますo