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1954-03-17 第19回国会 衆議院 郵政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十七日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 田中織之進君    理事 小林 絹治君 理事 羽田武嗣郎君    理事 山花 秀雄君 理事 吉田 賢一君       飯塚 定輔君    河原田稼吉君       坂田 英一君    武知 勇記君       三池  信君    櫻内 義雄君       松浦周太郎君    佐藤觀次郎君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (監察局長)  齋藤信一郎君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      長戸 寛美君         専  門  員 稻田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ――――――――――――― 三月十五日  委員片島港君辞任につき、その補欠として佐藤  觀次郎君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員南條徳男辞任につき、その補欠として小  笠原三九郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十三日  関東州における郵便貯金の払戻しに関する陳情  書  (第一七一九号)  占冠郵便局電報配達員増員陳情書  (第一八〇一  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣  提出第五八号)  郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  六〇号)     ―――――――――――――
  2. 田中織之進

    田中委員長 ただいまより郵政委員会を開会いたします。  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括議題とし、審査を進めます。  ただいま、先日要求しました資料提出されておりますので、その内容について説明を求めたいと思います。まず郵便切手類及び印紙売りさばきに面する経費について、郵務局長より説明を求めます。郵務局長
  3. 松井一郎

    松井(一)政府委員 この前の委員会におきまして、私どもが大体今度の手数料をきめるにあたつて、何か算定した資料がないかというようなお話でありましたので、ここに私どもとしてこの法律を立案するにあたりまして、調べました一応の算定に関する資料をお配りしたわけであります。いろいろこの前も私御説明申し上げましたように、大体に毒いて売りさばきに要すス直接的な実費というものを支給するというのが、この法律の従来からの建前になつておるのであります。最初にこの法律をきめましたときにも大体こういうふうなやり方試算に基きまして、現在の五分、三分、一分というとがきめられたのであります。今回も同じような形において、あるいは実際において、売りさばき所の実情についての調査をいたしました結果、一応こういうふうな試算をつくつたわけであります。  ここにあげてありますように、大体一万円以下の売りさばき人というものを一応とつてみますと、その平均買受け月額が最近においては二千八百六十九円である。その二千八百六十九円の人たちが、一体一箇月に何回買いに来るかということになると、大体それは三回というふうになつております。その場合に、一体三回買いに来る買受資金としてはどのくらいいるか、これも実はいろいろ見方もあろうと思います。非常にきびしく言えば、三回で二千八百幾らだから、千円でもいいのじやないかという見方もあるかと思いますが、この辺は若干私どもゆとりをもつて、一応千五百円くらいの資金がいるのではないか、それに対してまず一応八分の利率――法定利率は五分でございますが、自己資金によつて資金コスト幾らに見るか、ということもいろいろ見方もあると思いますが、下の備考に書いてありますが、一般社債等平均利率を一応とつて八分に見たのであります。これはごく短かい間の資金コストとしては少し甘過ぎはしないかという見方もありましよう。しかし私どもとしては一応八分というものをとつてこれをかけてあります。この辺が資金コストの面です。  それから人件費のところに入りますと、実質調査をいたしますと、買受と申しますか、つまり郵便局まで行つて切手買い受けるところを四、五十箇所調査したわけであります。市外地は別でございますが、市内地の場合においては大体二十五分くらいである、それくらい要するということで月三回でかけてある。また切手印紙をいろいろ売りさばきますが、そういうものを調べてみますと、大体一件の所要時間の平均が二十五秒程度になる。件数についても同じく実質調査した平均的のものをとつたわけでありますが、それでもつてかけたのが一応の所要時分、それの人件費というものの基礎的なものは、昭和二十八年十二月現在の労働省告示の軽作業等の職種に対する標準日額というものを平均した一日八時間、二百三十八円七十三銭というものを基本にとつてこれに当てたのが人件費であります。  それから物件費については、直接切手を保管する程度のものはどうしても必要であるというので、それと、外部に切手売りさばき所と標示をする若干の器具というものの調整費、それの減価償却並びにそれの資金コストというものをここに見たわけであります。それからいろいろ買受をやる間において、破いて自己負担に帰するような損害が起きる、そういうものの危険負担というものを一万分の三というふうに見てあります。  これだけを合せたものが直接的な一つ所要経費、それに対してさらに雑費といたしまして、租税その他の公課並びにそういうところにおいてのりを頼まれたとかなんとかいう若干の雑費的なもの、これを五分くらい見込むというようにして、合計二千八百六十九円の平均に対しまして、これを三回やるというこの仕事に対しての直接的にいる金が大体百五十円九十三銭ということになります。それは手数料の率に直しますと五分二厘六毛というような数字になる。それが今度は同じようなやり方をいたしまして、一万円を超える十万円以下の売りさばきの場合につきましては七百十四円七十七銭、それが二分五厘二毛、十万円を超える場合における平均的なものが三十八万九千円である、それと同じような方法でやりますと、これが一千九百四円二十六銭、四厘八毛八糸ということになる。こういうことが今度の率の改正に対する私たち試算的な意味における一つ資料としてとつたわけであります。
  4. 田中織之進

    田中委員長 ただいまの説明に対する質疑を……。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今御説明を伺いましたが、こういう所要経費計算の仕方も一応考えられます。ただしかし私ども感じますることは、いかにも机上計算のような感じが実際いたしますのですが、さりとて何も私はこういうもののお考え方を根本的に否定するというのではございませんが、一応感じたところを述べてみますと、たとえば千円や千五百円とか、七千円というような少額の金を扱う人は、三万、十万扱うよりもはるかに高い金利が必要であるという事実の御認識を願いたい。こういうものは大蔵省銀行局調べ社債利率、そういつたものとはおよそ縁のない種類の金なんです。七千円の金を質屋で借りるとすれば何ぼいるかということを、ひとつ御想像願いたいのであります。しかし七千円の金を銀行で借りるということは不可能な事実であります。こういうことでありますから、こういう計算基礎大蔵省銀行局調べ社債利率、そういつたものとは違う現実の世界から割出していただくということにして来ませんと、生きた数字が出たいで、机上数字に終る危険があると私は思います。たとえば十万円を越える売りさばき人が資金を三万円に回転するということになつて来ますが、ちよつと私もこういうことも想像いたしかねる数字であります。こういうことでありますので、これは一応お考え方として拝聴しておく、こういうことにとどめたいと思うのであります。  それでなおこの改正案についてちよつと伺つておきたいのですが、この間ちよつと伺いました際になおはつきりしなかつたのですが、それを読み返しましても少し納得しにくいのですが、この新法改正法の第七条によりますと、「百万円をこえるものは、百万円とみなす。」ということになつておりますが、この百万円を越えるものは百万円とみなすという趣旨は、五百万円を売りさばいたときもなお百万円と同率手数料である、こういう趣旨に解していいのでしようかどうですか、この点ひとつもう一度はつきりしておきたいと思うのです。
  6. 松井一郎

    松井(一)政府委員 これは現行法の第七条に、「但し、その金額は、一箇月一万千百円をこえてはならない。」という条文がございます。この一万千百円というのは、つまり百万円まで売りさばいた場合の現行法の第七条による手数料というものを積算したものが、一万千百円になるわけでございます。新法においてもその精神はちつともかわらずに、大体手数料というものは百万円のところまで払う。それ以上もちろん売り上げることを禁止するわけではございませんが、手数料の面においてはそれ以上は差上げない。つまり三百万円お売りになつても、百万円までの手数料しか支給しないということを規定したものでございます。これは現行法内容的には何もかわつておりません。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで私は合点が行きかねるのですが、この資料によりますと、やはり買受資金というものが重要な経費算出基礎にされておるのであります。もし今の御説の通りだとすれば、かりに船舶登録をする場合、外航船舶のごときは一ぱいで十億円を越えておるのです。かりに十億円といたしまして、現行法、あれは四厘でありましたか千分の二になりましたか、千分の二といたしますると二百万円売るわけであります。二百万円を売るのには、二百万円という資金を持つて郵便局で買つて来なければ売れない。しかし売ることを禁止しておるわけではない。前におつしやつたごとく、それは郵便局買いに来いと引きつけるべき筋合いじやない。なぜならばこれも一種のサービスですから、百万円を越える場合は郵便局買いに来いというべき筋じやない。そうなりますと二百万円の資金が必要であります。それは切手買主から出すんじやないかということも考えられますけれども、これは建前はそうではない。売主が郵便局から買つて来て買主にこれを売るのですが、その場合に二百万円の資金をもつて買いましても、百万円の売上げと同率従つて同額しか手数料がないということはりくつに合わぬ。これは一体どら解したらいいのか、納得しがたい。
  8. 松井一郎

    松井(一)政府委員 先ほどお手元にお配りいたしました資料でも大体御推察がつくと思いまするが、もちろん百万円を越えるものについても、何がしか金利なり手数料というものが出来るということは、当然あり得ることでございます。おそらくその率は、率にいたしますと三十八万円程度のところで、かりにこの資料によりますと四厘幾らですから、百万円などになりますとその率はあるいは一厘、あるいはうんと少くなるだろうと思いますが、それにしても何がしかのものがあるということは、これはこういう資金コスト手数料計算としては出るものでございます。これを百万円と押えるということは、そういう面ではなく……。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の言うのは、百万円を越えた場合に百万円と同じというのはどういうわけかということです。従つて百万円を越えた場合に、百万円のものよりはよけいとれるということであれば、これはまた別問題です。そういう趣旨なんです。
  10. 松井一郎

    松井(一)政府委員 要するにここに規定したのは、百万円を越えたものは手数料を支給しないということを法律できめてあるわけです。なぜきめたかと申しますと、これは単に資金コスト面からいつて、全然手数料的なものが実費としてないという意味ではなくて、政策的に、百万円以上一つの売りさばき所で売るということは、これはたとえば幾ら売つてもいいとは言いますものの、これを売ることが郵便局にとつても手数の簡略にもならないし、かつまたそういうふうにたくさん売るところにおいては、いろいろ切手の割引とか、おもしろからぬ現象が起りやすい。現在の実情を見ましても、百万円を越えるような売りさばき所というものはごく例外のところで、多くはある登記所内部における共済組合がやつている印紙の売りさばき所であるとか、そういうところだけにとどまるようでありますので、そうした弊害を勘案して一応一箇月百万円まで、それ以上に一厘とか、一毛というものを一々加算して行く必要もないであろうということで、これはここで一応切つてあるわけであります。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それがどうもわからぬのです。売りさばき人には売上額最高限制限はない。そうすると千万円売つてもいい。それで需要がないかというと、百万円というと大金のようでありますが、今私が申しましたように、一ぱいの船を登録するにいたしましても数百万円はいるのであります。数百万円いる場合に、禁止していないから多額の取引が可能でもあるし、実情例外中の例外でしょうけれども、その場合に、手数料を百万円で切つておくということは、今の金利をこういうふうにこまかく出しなさる建前から言つても、資金金利関係から見ても、何らかの対価をお払いしなければならぬ。あなたが今百万円を越えるものは百万円と同額にいたしましたのですとおつしやるだけでは、答弁になつておらぬ。百万円を越えるものには、あなたの方の資料によつては、当然にしかるべき金利もつけないというふうにも考えられるのですが、そこがどうも解明されないのですが、どうなんですか。
  12. 田中織之進

    田中委員長 答弁する前に委員長からも申し上げますが、説明から行くと、百万円以上の場合には百万円までの手数料、いわゆる百分の一と同じ率で行くという意味合いではないと思うのです。それをちょんぎつたということは現実に百万円以上の印紙売買が行われておる現状にそぐわないと思いますが、それであれば、売りさばき所では百万円以上売らないということを明確にしなければ、つじつまが合わないと思うのです。その点納得の行くような説明をひとつ願います。
  13. 松井一郎

    松井(一)政府委員 これは実はここに手数料でもつて規定したということは、その内面から行つては百万円までしか払いませんぞということを言つておるわけでありまして、それ以上売りさばき人が便宜上買つて行かれる分については、私どもはそれを売つてはいけないと言つておるわけではありません。しかし百万円以上のものになりますと、こういう資金コスト計算においても相当事情が違つて来ると思います。先ほど吉田委員からもお話がありましたように、そういう場合においては切手売りさばき人が自己資金で持つて来るということはほとんどありませんで、ほとんど会社人たちが、会社の金をただ自分が使者としてやつて来るというような形態が、大体現実形態であります。従つてこういうふうな資金コストみたような計算とは、また模様もうんと違つて参りますから、そういうことを考慮に入れますと、実際問題としては、これはうんと小さな一毛になりますとか、わずかなものになつてしまう。そういうところになりますと、それを一々法律の上に掲げるということも非常に妙なものでありますし、また切手売りさばき所の性質から見ても、大体一箇所くらいで売つてもらうということは、これはどこまでも郵便局に対する補助的な機関ということになつております建前から見ても、その辺がいいのではないかというので、現行法通りこれはすえ置いたわけであります。ただ条文の書き方が現行法と若干違つておるというだけのものであります。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この手数料というのは、一体だれからとろうとするのですか。今のお説によれば、百万円以上越えるものは、売りさばき人の金でない、会社の使いが金を持つて来るのだということでありますが、趣旨が一貫しない。この手数料一体だれにお払いになろうとするのか。
  15. 松井一郎

    松井(一)政府委員 申すまでもなく、売りさばき人に差上げるものであります。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 売りさばき人に差上げるというのであれば、会社が金を出そうと、造船所が金を出そうと、そういうことは何も郵政省は考える必要はないじやないですか。売りさばき人自身責任なんです。よしんば会社の一社員が、五百万円の船の登録印紙を求めるべく、それを司法書士等に渡したといたしましても、売買についての責任は売りさばき人にあるわけであります。その売りさばき人に対しまして、百万円と限定もせず、それ以上売つてもよろしい、しか手数料は渡しませんぞ。なぜならば、自己資金というものはない、みなそれは裏の需要者が出すのだからというならば、政府事業として手数料制度体系が私はなつておらないと思う。政府事業手数料というものには、もつとそこは筋を通しておかなければいかぬと思う。それはよけい払うことがどうかと思うなら、少くすればいい。いずれにしましても、やはり扱うものは千万円でもかまわぬことになつている。あなた方政府の方で、それはさしつかえないと言つておるのだから――それなら、たとえば飯野海運が三ばいの新造船をつくつた場合、飯野海運としましては、おそらくは数百万円の金をそれだけに投ずるわけです。でありますから、そういうような場合に、代金の授受をして印紙を買つて来てというようなときにも、売りさばき人をつくつてある以上は、何かもつと筋が通らないと、それ以上は何ぼ売つても百万円に切つておきますぞというようなことは、手数料の原則、原理は一体何に置いておるのだろうか。金額に置いておるのじゃなしに、その辺がどうも体系が私は筋が通つておらぬと思います。
  17. 松井一郎

    松井(一)政府委員 私の御説明がどうも不十分で、十分に御納得がいただけないのは残念でございますが、何回も申し上げますごとく、率は少くなつても、金額がたくさんあれば、そこに何がしかのそういうものが一応想定せられるということは、これは当然でございます。従つてわれわれが百万円以上において渡さないということは、別の角度から見て、切手売りさばき所にはそれ以上のものをしいて売つていただきたくないという、むしろ意思がここに間接的に現われているのだろうと思います。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は今おつしやつた二点、一点は、百万円以上越えては何がしかの利益があるだろうと想定する、これはどういう意味かわからぬ。何のことをおさしになつておるか。  それから百万円以上売つてもらいたくないというのは、一体郵政事業はそういうものかどうか。売つてもらいたくないという、そんな筋の通らない考え方は、これは独断です。郵政事業特別会計並びに郵政事業のこの法律というものは、現在の当局によつて二、三に解釈されるべき筋ではないと思います。これは一億円であろうが、何であろうが、物価が騰貴し、貨幣価値が下落すれば、何も百万円以上売つてもらいたくないというようなことを、私は法律の解釈をかつてになさるべきものではないと思うのです。この二点はどうなんですか。
  19. 松井一郎

    松井(一)政府委員 これは私が独断で申し上げているのではなく、現在の法律建前がそういうふうになつているわけであります。結局百万円以上売つた場合においては、切手売さばき所の性格としても、実際上それほどの必要もあまりないと同時に、往々にしてそういう場合には好ましくないリベート関係というようなものが起りやすく、そのために印紙切手を定価で売りさばくことに対する弊害も惹起しやすい。そういうことをおそらく勘案されて現在の法律が国会の審議を経て、一箇月一万一千百円、こういう形をもつてきめられているということで、私ども改正法においてもこの精神は決してかえようとしているわけではございませんで、そのまま現行法においてすえ置く。ただこの一万一千百円というものの内容は、百万円を越えるものは百万円とみなすという意味であるから、一万一千百円というようなものをぽこつと出して来てもおわかりにくいから、その内容的な説明をした、これだけでございます。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら根本の方針といたしまして、百万円以上を売りさばき人がかつて売買するというようなことは、リベートなんかのおそれがあるというような御懸念から出発していると私は感ずるのですが、そういうことでは、企業といいますか、手数料を受取り、それを生活費に充てるというような、そういう面についてあまりにきゆうくつに他を疑うということになるのではないだろうか。そういうことに締めてしまうということは、なるほどあなたの御懸念になる面もあるかもしれませんけれども、同時に、これはあとで質疑したいと思いますが、郵政事業というものはもつと大胆活発に、そうして締めるところは締めて行くというようなことがどうも欠けていると思いますので、これは今あなたと問答してもしかたがないから、これはたつて御意見は求めませんけれども、百万円以上売つてもらいたくない、そういうことをすると、リベートなどの不正が起るおそれがあるという考え方が、どうも郵政事業を通じた非常に固陋な一つ考え方ではないかというふうに私には感じられます。古い法律に一箇月一万一千百円を越えてはならぬという規定がある。それに照応してかえないという趣旨で、第七条のまた改正になつているというのでありますから、この程度でおきますけれどもしかしこれは私のお尋ねに対する解明的な御答弁はできておらぬ。百万円を越えるものには不正が行われるというような危険があるならば、別の角度でその危険をなくすればよい。百万円以上越えるものは、百万円と同率また同額しか手数料は払わぬ。百万円以上売つてもらいたくないのだというようなことは、どうもこれはみずから法律並びに事業、売りさばき人制度、そういうものを追詰めてしまつて、発展的に企業を拡大するというようにさせぬ一つ条文のようで、わくを入れてしまつたような感じがいたしますので、これはまことに残念でありますが、今の御答弁では私は納得できません。きよう大臣がお越しなら伺いたいと思いますけれども、これだけ申し上げておきます。
  21. 田中織之進

    田中委員長 ただいまの吉田委員質問に関連して、小林絹治君より関連質問があるという申出がありますので、これを許します。小林絹治君。
  22. 小林絹治

    小林(絹)委員 印紙の売りさばきのことで、私は詳しいことは知りませんけれども、ずつと昔郵政関係の法案の審議をしたときの記憶なんですが、三等局ですか、印紙の売りさばきをしているものが、競争してたくさん売ろうと思つて会社なんかへ非常に運動に行く。それから場所によつて、そういう会社や何かの多い地域にある郵便局や売りさばき所は、非常にえらい収入になる。従つて印紙売りさばきの目的でもつて、三等局の設置について役人に――賄賂を使いますまいけれども、運動してやるとか何とかいつて、五十万円も百万円も金を使つたということを聞いている。そこでさつき局長の御説明のうちにもリベート等の問題があつてと、ちよつと触れておりましたけれども、私の当時聞いておりましたところでに大ありです。非常に運動して、実に弊害が多い。でありますから、こういう官業の性質から言つても、ある程度まで限度を設けて、それまでは手数料を払うということにすれば――印紙を私の売りさばき所ではあなたの会社には幾らで売りますとか、よそへ行くと幾らとられますが私の方では幾らで売ります、どうか私の方で買つてくれというようなことが起つてはいかぬと思う。そういう点とどういう関係がありましようか。
  23. 松井一郎

    松井(一)政府委員 ただいま小林委員からの御質問の点でございますが、切手印紙売りさばきの沿革を見てみますと、ずつと昔はあまりこういう制限はやらなかつたようでございます。そのころ、先ほど小林委員からのお話のごとく、いろいろな印紙類の売込み争奪、リベートというようなものが頻発して、郵政省としても印紙類の信用維持のために非常に手を焼いて、そうして戦争前からすでにその手数料を払う最高制限というものは、大体きめて参つたのであります。その精神を、貨幣価値の変動を考慮して、終戦後この立法にあたつて一応百万円という形に押えたわけであります。それを今回の法律改正においても、これを無制限に手放しすることは、昔の弊害の実績にかんがみて、やはりおもしろくないというわけでそのままにすえ置いたのであります。
  24. 田中織之進

    田中委員長 この点については、従つて売りさばき人に扱わせる限度を百万円にする。百万円以上に越える場合には郵便局なら郵便局に直接納入するとか、そういうような規定をやはり設けることが妥当ではないかというふうな感じも持つのでありますが、この点についてはさらにひとつ当局の方でも研究してもらいたい。
  25. 松井一郎

    松井(一)政府委員 そういう規定の仕方もあろうと思います。ただ私ども、全然手数料なしで、ただででも買つて行こうというのならば、この点に関する限りリベートの心配はない、かように考えて、そこまで、奉仕的な意味で買つて行かれることまで押える必要はないだろう、こういう形で押えるわけであります。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点は委員長が今お尋ねになつておりましたことに私も同感であります。やはり、もし百万円以上買つてもらいたくないものなら買つてもらいたくたい、あるいは制限するとか禁止するとか何かすべきです。野放しにしては不正があるかもわからぬ。従つて内心買つてもらいたくないけれども、表面は千万円でも何ぼでも買つてもらうというのでは、この法律の形から見ましても、また法律というものは文章を解釈するのでありますから、沿革がどうのこうの言つても、それは特別の場合だけでありますので、やはりそれは国民が遵法すべきように、注意的の意味におきましても適当な方法を考えるべきだと思います。これはしごく同感でありますので、何らか政府に対して申入れをしていただきたいと思います。
  27. 松井一郎

    松井(一)政府委員 その点でございますが、これはいろいろおつしやる点も、私たちのねらつている点を大分御了解願つたと私承知しておりますが、押えるということは、繰返して申しますが、そういういろいろな弊害が起る危険性を避けたいという一点でございますので、それ以上善意でもつて、そういう懸念のない場合に買つて行かれることまで、しいて押えるという必要はないと思います。
  28. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 ただいまのお話中の、郵政の特別会計として積極性がないというふうなお言葉も出ましたし、またこの切手印紙等の売りさばきに関しての委員長からの御発言もありましたが、これらの点につきましては、当局として大臣ともよく相談をいたしまして、将来十分に考えたいと思います。
  29. 田中織之進

    田中委員長 なお前回の委員会で、吉田委員より変造印紙の不正売買事件について、印紙の売りさばき手数料の会計に関する法案に関連して、実情の報告を求められております。これは刑事事件になつておりますので、郵政省としてこれについての監察局からの報告は資料関係で困難だというので、法務省刑事局の刑事課長長戸寛美君が見えまして、この点についての説明をするということでございますから、この際長戸寛美君より変造印紙不正売買事件について説明を求めたいと思います。長戸寛美君。
  30. 長戸寛美

    ○長戸説明員 ただいまお尋ねになりました印紙犯罪の概要、それから公判の審理状況につきまして概略御説明申し上げます。  いわゆる印紙犯罪事件は、警視庁刑事部捜査第三課に対して、全太烈等が薬品を使つて収入印紙の消印を除去しておるというような投書がございました。それに基いて捜査を進めて、昭和二十七年三月二十五日、全太烈外三名の朝鮮人を逮捕しまして取調べた結果、その使用済みの印紙の出所、販売元が判明いたしました、爾後これに関連して広範囲の捜査が開始されたのであります。同事件は東京地方検察庁を初め、横浜、浦和、千葉、水戸、宇都宮、長野、新潟、大阪、神戸、津、岐阜、山口、鹿児島、秋田、札幌、こういうような各地方検察庁において処理して参つたのでございます。検挙者は合計約七百名を越えまして、うち現在までに起訴された者は三百人を越えております。不正印紙の額面総額は五千万円を越えております。これは立証のできたものだけでございますから、実際はもつと多いかと思いますが、この立証は非常に困難でございまして、立証のできたものだけが五千万円を越えております。そのうち実際に登記等に不正使用せられました印紙の額面総額は約三千二百万円に上つております。不正印紙の出所は通商産業省、東京通商産業局、特許庁、農林省及び水産庁がほとんど大部分を占めておりまして、検挙された被疑者を職業別に見ますと、印紙ブローカーと見られる者が約半数近くでございますが、司法書士、法務事務官、それから印紙売りさばき人、この印紙売りさばき人は東京で十名の程度でございますが、ほかの地方でも若干名あろうかと思います。会社登記係、通産事務官及び技官、農林事務官及び同雇、郵政事務官、この郵政事務官は東京地検で扱いました者は七名でございます。その他特定郵便局長等を含めますと約十名程度かと思いますが、はつきりいたしません。それから弁理士等の順位になつております。起訴の罪名は事案の内容によりまして、印紙犯罪処罰法違反、窃盗臓物罪等種々であります。これは役所から持出すというのが多うございまして、結局窃盗になるということであります。印紙犯罪処罰法違反が最も多数に上つております。なお不正印紙の入手使用等に関連いたしまして、贈収賄罪で起訴されておる者が東京地検管内だけで八名ございます。  現在の公判の審理状況につきましては、各地検とも順調に進捗いたしておりますが、特に東京地検におきましては百七十一名起訴を見ておりますが、現在までにすでに四十名について第一審の判決の言い渡しがございまして、そのうち二名を除いて全部有罪の言い渡しがなされております。有罪の言い渡しのあつた者のうち、十三名につきましては、最高懲役四年六箇月から最低懲役八箇月の実刑が言い渡されております。無罪の言い渡しを受けた二名につきましては、判決を慎重に検討した結果、いずれも検察官において控訴を申し立て、現在東京高裁に係属中であります。他の地検において起訴された事件についても、逐次判決の言い渡しがなされておりますが、その刑の最も重いものは懲役四年、最低は四箇月の実刑の言い渡しを受けております。検察庁でも事案の性質にかんがみまして、審理促進について万全の配慮をしておるわけでございますが、東京におきましては、当事件に対する専任の立会い検察官をきめておる、裁判所においても全事件を一つの裁判部で集中して審理をしておるという状況でございます。  こういうふうな印紙犯罪につきましては、非常に不正か行われましたので、法務省におきましても、本事件の発生と同時に、消印の厳格な励行方をあらためて通牒いたしました。引続き各種印紙の見本を全国の各法務局に配付すると同時に、印紙の真偽の鑑別方法についても通達をいたしております。さらに真偽の鑑別機械を若干買いまして、主要の法務局に設置し、監察を強化する等、不正事犯の発生を未然に防止することに努めておるわけでございます。本年になりましてからは、日本橋の法務局等特に主要な法務局、要するに印紙などをたくさん扱う法務局におきまして現金納付の方法、現金を日本銀行に納めて、その領収証をもつて納入する方法を採用して、印紙による犯罪の防遏の助けにいたしておるわけでございます。また御承知のように法的にはこれは大蔵省所管でございますが、昨年の八月一日に登録税法の一部を改正いたしたわけでございますが、第十七条の二を新たに追加して、登記所で登録税を免れるため、偽造、変造または消印除去の印紙を使用したものを発見した場合には、所轄の税務署に通知いたしまして、その通知を受けた税務署長は、その免れた登録税額をただちに現金で徴収すべきことを規定しておる、こういうふうな法的な措置もいたしておるわけでございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明によりますと、立証がよくできているものが五千万円の被害に上つておるということでございますが、これはいずれも印紙を使用したのでありますか。印紙を転用した使用済みの分でありますか。
  32. 長戸寛美

    ○長戸説明員 これは先ほども申し上げましたように、彼らが窃盗したりその他いたしました総額が五千万円でございまして、実際登記に使いましたものはそのうちの三千二百万円、こういうふうな状況であります。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますとこの三千二百万円は登記の手続に使用された。そうするとこれはすでに無効になつ印紙であろうと思いますが、使用済みの印紙でありましようか。そうしますとその登録税の収入はどうなつたのでしようか。国の損が三千二百万円は補填されているのかどうか、これをひとつ……。
  34. 長戸寛美

    ○長戸説明員 この点はちよつと私どもの所管でございませんのでわかりかねます。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題はそのくらいでよろしゆうございますから、私振替貯金で聞きたいのですが……。
  36. 田中織之進

    田中委員長 それでは郵便切手類さばき及び印紙売さばき所に関する法律の一部改正案について、ほかに質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 田中織之進

    田中委員長 この件についての質疑を終了いたします。
  38. 田中織之進

    田中委員長 それでは吉田賢一君。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 郵便振替貯金法の一部を改正する法律案について一、二伺つておきたいのであります。大体まず基礎的に聞いておきたいのですが、われわれは振替貯金と称しておりますが、振替貯金の口座をもつて利用しておるというのはどういう階層に属しますか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。
  40. 小野吉郎

    ○小野政府委員 利用のおもなものを大体お答え申し上げますが、保険会社に対する保険料の払込み、従いまして民間の生命保険会社が相当加入しております。それから書籍その他物品の購入代金としてかなり利用せられておりますので、そういつた書籍店、薬の販売店、こういつたところ並びに最近におきましては株式の配当金の交付、これに相当利用せられております。従いまして株式配当をいたしております各種会社、こういつた方面が主たる利用者でございます。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとこれは振替貯金と称する制度は、通常のあらゆる企業、あらゆる職域に利用されるというふうにはなつておらぬのですか。これはまたどういうことなんでしよう。われわれ一応考えますと、非常に便益が多い制度のように思うのですが、ずつと広く利用されてよかりそうなものだが、今お伺いすれば民間保険、書店、薬屋、株式の配当、どうも非常に限局された利用者のように考えるのですが、これはどういうわけなんでしよう。
  42. 小野吉郎

    ○小野政府委員 先ほど例をあげましたほかに、個人としての利用もございます。これはこの制度の妙味を痛感いたしまして、たとえば子供をほかの地域に勉学のために下宿させておる、そういつた勉学のために必要な経費を送金するために利用しておるような向きもございますが、しかしそれは割合としては非常に少いのでございまして、先ほど申し上げましたようなところが主たる利用の対象でありますが、その点につきましては私どももこの制度が送金と同時に継続送金し得る、と同時にさらに郵便貯金に似たような制度も加味しておりますので、これに加入すればいろいろ送金上に料金も非常に低廉でございますし、また各種の便宜もあり、一般の送金手段よりも便利であります点から、非常に利用を勧奨しておるのでございますが、何しろ同種の目的を達しますためにはひとり振替貯金ばかりでなく、その他いろいろな制度の特質はございましようが、郵便為替あるいは銀行送金、今日では現金書留、そういつたような送金手段が各種にわたつてあるわけであります。利用者はそのうちで最も自分の気に入つたものを利用する、こういう非常に広い選択の自由を持つておるような状況でございます。かりに銀行にある種の預金を持つておりますと、今日銀行はそういつた面におきましては、預金者に対して送金小切手につきまして各種の便宜をはかつておるようでございます。従つてこの制度は非常に便利な制度ではございますが、利用の対象が全般にわたつて非常に多くなるということには、なかなか参りかねるような状態でございます。しかも終戦後振替貯金の各種の取扱いにつきまして、遺憾ながら処理日数が相当延びたわけでございます。そういう面で非常に利用が少かつたわけでございますがこの面は私どもといたしましては処理の短縮をはかりまして、大体戦前の域に今日立ち直つておりますので、漸次振替加入者の数は増加いたしつつあるような状況でございます。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が伺いましたのは、非常に限局された利用者、加入者であるという理由は何かと聞いたのです。まれに学生への送金制度として利用されておるということですが、まれなことは例外ですから聞く必要はないのであります。そこでいかにも便利な制度であるということは、私は感ずるし、局長もそう御説明になり、漸次増加の傾向にあるかのごとく御説明になられたが、しかしこの添付の資料第一表によれば、昭和二十二年には八十万を越えておる。ところが二十六年には六十五万に減り、七年には五十四万、八年にはまた五十五万というふうに、漸増でなしに下つておるということになつておる。この五十万ということはちよつと大きいようでありますけれども、東京の人口が――人口というと何ですが、人口の一割にも足らぬ。全国の戸数から見ましても非常に少い利用者ではないかと思うのでありますが、なぜ一体こういうふうに漸増にあらずして減つて来るのだろうか、この辺の原因はどこにあるか、それをちよつと聞いてみたいと思います。
  44. 小野吉郎

    ○小野政府委員 なるほど表にございますように、終戦後振替貯金の取扱いがかなり能率が低下いたしました時代においても、口座の数といたしましては今日よりも多いような状況になつております。しかしこれはただ口座が名目上あるだけでございまして、実際にこのうちで活動いたしました口座、いわゆる睡眠をいたしております無活動の口座を除きますと、終戦後漸次ふえておるような状況でございます。今日の五十五万の口座は、ほとんど全部が睡眠でなく動いておる、こういうような実情になつております。それと一つには振替の利用が主として……。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 睡眠の原因をひとつ一緒に説明してください。
  46. 小野吉郎

    ○小野政府委員 睡眠の原因といたしましては、この制度がやはり断片的な断続的な利用でなく、継続して送金の必要がある、こういう向きに最も利用に便な制度でございますので、いろいろ物品の販売上商取引が非常に不活発であつた時代、終戦後あたりは特にそうでございますが、そういつた取引関係自体に非常な各般の制約を受けるような状況で、その意味における商取引が非常に消極になりました時代におきましては、かつてこの制度を利用すべく入つて振替口座を持つておりましたものも、自然口座自体が動かない、こういうような状況で睡眠をいたしたような次第でございます。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この睡眠者は、口座の数は多いけれども、大部分が睡眠の状態であつて、今はほとんど利用してないというのだが、大体貯金の口座があつて利用されない睡眠状態というようなことは、これはどこかがだらしないのだと思うのです。どこかたががゆるんだためにそういうことにたる。地方の銀行の支店長たんというものは、あまり出入りのないような預金口座を持つておりましたら、御承知の通り首になります。でありますので、自然に経済現象から睡眠になつたというよりも、むしろこれはあなたの方の事業自体がもつと広く宣伝をすることに欠けておるのではないか。宣伝を欠いておるために、一般に知られなかつたということも大きな原因ではないか、こういうようにも考えるのだが、その点はどうですか。
  48. 小野吉郎

    ○小野政府委員 御指摘のような点は確かに一面はございました。と申しますのは、振替貯金の払込み、払いもどしの処理は、平均いたしまして、三日見当で大体は処理しておつたわけでございますが、終戦後におきましては、いろいろな事情から、かなりその処理の能率が下つております。日数で換算いたしてみますと、大体従前三日ぐらいで処理されたものが十日から、はなはだしい場合には三月ぐらいもかかつた、そういつた不便もございまして、一面にはその制度を利用する最も活用面でありまする取引関係の沈滞、こういつた両面が重なりまして、せつかく口座を持ちながら睡眠をいたす、また新規に口座に加入する人も非常に寥々たるものであるというような状況でございました。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この改正法によりますと、現金の払出しについては、千円以下の場合二十円が三十円になり、次に新たに段階が設けられて、千円を越え五千円以下の場合三十五円が五十円になり、五千円を越え一万円以下の場合には三十五円が七十円になり、一万円を越え十万円以下の場合は五十円が九十円になり、小切手の分も一万円以下の場合十五円が三十円になり、一万円を越えた場合には三十円が五十円になる、こういうことになつているのだが、この手数料などが上げられようとする――この料金はなぜこんなに高くしなければならぬのか、これを御説明願いたい。
  50. 小野吉郎

    ○小野政府委員 小切手の支払いと通常の払込みの関係でございますが、小切手の払込みは制度といたしましては非常に新しい制度でございます。昭和二十三年に初めて、小切手による払いを創設いたしたわけでございます。最初の通常払込み、これは振替貯金本来のものでございまして、これは振替貯金創始と同時に扱つているものでございます。小切手関係についてもいろいろ手数等も相当にかかるわけでありまして、そういつた面から必ずしも通常払込みと同様な金額段階、料金で行き得ない事情がございまして、一応両者を比較いたしてみますと、金額段階も、通常払込みにおきましては千円まで、千円から一万円まで、一万円を越えるものとこういう三段階になつており、料金もまた相当小切手のそれとかわつております。小切手につきましては、一万円以下のものと一万円を越えるものと、こういうように区別いたしておりますが、実際は小切手払いのものはかなり金額が多くて、千円までといつたものはほとんど利用がないので、そういつた点で千円までの段階を設ける必要もございませんし、また料金等も通常払込みの場合から比べまして、小切手の利用の方が少し安目になつております。今日小切手のこの制度を創設いたしましたのは、普通の現金の受払いでなく、小切手払いが非常に便利でありますので、創設いたしたわけであります。そういつた利用を大いに勧奨をいたしたいというよろな気持もありますので、通常払込みの場合より多少低目になつております。と同時に小切手払いにつきましては、ただちに口座を所管いたしておりますところに電報で照会を出すことになつておりまして、それに必要な電報料は別途いただいているわけであります。今回はこの改正の中に電報だけでなく、同一地内におきましては電話照会もございます。現行法におきましては、電話の利用の場合における料金関係については何ら触れておりません。そういつた関係でこの点にも不備がございますので、電報ばかりでなく、電話を利用する場合を開き、同時に電話通話に必要な料金をいただこう、こういうような状況に相なつておるわけであります。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうも計算基礎がはつきりと答弁できておりません。次のページの電信現金払という項につきまして、「通常現金払の料金と電信に関する料金を基準として省令で定める金額との合計額」、こうなつておりますが、この省令といつたものがあるのですか。何をさすのですか。
  52. 小野吉郎

    ○小野政府委員 この省令と申しますのは、郵便振替貯金法の施行細則をきめております郵便振替貯金規則であります。それによりましてこういつた通常現金払いの料金と電信に関する料金を基準といたしておりますが、これは個々の電報料金それだけでなく、需要の大勢から見まして平均何字ぐらいといつたような数字が出て参ります。それを基準にいたしまして、一回の電報につきましては電報料金これくらいというところで、両者を合算いたしまして徴収をいたす、こういう状況になつております。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 理由書によりますと、これを引上げる理由は事業の収支の均衡をはかるためとある。それからさつきの御説明によりまして、別にこれに対する理由がはつきりいたしておりません。そこで資料に収入の見込みというのが出ておるのでありますが、これが現在事実上赤字だからということがこれを引上げる理由になるのですかどうか、その点ひとつ聞いておきたい。
  54. 小野吉郎

    ○小野政府委員 ただいまの御質問通り、今日振替貯金はかなり赤字を覚悟して経宮をいたして参つております。かつて黒字が出たことは終戦後ないわけであります。これは別に郵便の増収その他でカバーして参つたのでございますが、昭和二十九年度におきましては、振替貯金の面で収支計算をいたしますと約四億の赤字を生じます。この四億の赤字は、今日の段階におきまして、他の事業収入でカバーするゆとりが全然ないという現状に立ち至つたわけでございます。従いましてそういつた料金の面から来る収入と支出の採算のちようどとれる限度に料金を上げようというわけでございまして、大体従来の料金の値上げの変遷をごく簡単に申し上げますと、昭和二十三年七月には……。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 発言中失礼ですが、変遷はよろしいです。私がちよつと聞いておきたいと思うのは、今御説明になりました二十九年度四億の赤字というのでありますが、二十八年度のこの振替貯金の事業収入は何ぼ、支出何ぼという計算になつておるのでしようか。そうしてまた二十九年度の赤字四億というものはどういう数字が出ておるのでしようか、その結論の数字だけをちよつと聞きたい。
  56. 小野吉郎

    ○小野政府委員 二十八年度におきましては大体五億六千七百万円の収入でございます。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 支出は何ぼですか。
  58. 小野吉郎

    ○小野政府委員 これに約三億五千万円をプラスしたものがちようど支出になつておりますので、予算面には九億ということになつております。二十九年度におきましては必要な、どうしても採算のとれるまでの歳入を得ますためには、十億の収入を得なければならないわけでございます。ところがこのままで、料金を引上げないで参りますと、二十八年度見込みが五億六千七百万円でございますから、多少の事業増を見ましても、ざつと六億しか収入が得られないのでありまして、その間四億の赤字を生ずるわけであります。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 赤字のおもな原因は何ですか、どういう点に赤字を生ずる原因があるのですか。
  60. 小野吉郎

    ○小野政府委員 この赤字こそ、料金が非常に低過ぎるというところに原因があるわけでございます。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは別の角度から検討して行きたいと思うのです。私ども先ほどあなたの御説明を伺つておりますと、全体の加入者が現在五十五万しがない。三、四年前は八十万あつた。その後ある程度推移しておる。そこで宣伝も十分にできておらぬことをお認めになつておる。もつともつとこれは拡大して利用さるべき非常に便宜な制度のようにわれわれも考えておる。そういうことはあなたも言つておりますが、その通りらしいのであります。結局この郵政事業というものは、これにうんと力を入れたならば百万にも二百万にもなるのではないか。百万にも二百万にもなるということであるならば、今銀行の利用者の数はわかりませんけれども、銀行なりあるいは信用金庫なり、その他地方における元の無尽会社の相互銀行、ああいつたものの利用もずいぶんとあるわけであります。そこで全国に網を持つた振替貯金の制度が、五十万で悟然としているというのはどうも私は理解できない。それでこれは五億円の赤字、四億円の赤字で困るというようなお説だが、四億円、五億円ぐらいの赤字でただちに料金の引上げというような姑息な手段に出るのではなしに、むしろこれは抜本的にこの事業なるものを倍加し、あるいは十倍化するというような目標をもつて、一年ぐらいはやつてごらんなさい。実は先般も私どもの地方の郵便局の局長といろいろ話し合つておるときのことでありましたが、やはりこの振替貯金制度はもつと拡大することを非常に念願しておる人が相当あるわけです。でありますからこれはむしろ政府といたしましては、今ただちに利用者の――それは株式の配当をするような会社負担ということであればさることながら、しかし学生の送金という小さい道もあるらしいので、こういつた利用者の負担によつて収益増をはかるというような姑息なやり方ではなしに、やはりここ一年ぐらいはひとつうんと増加するという大目標をもつて、積極的に、画期的に十倍化運動でもおやりになつて、二百万、三百万というふうにしてみて、それでも引合わない、それでも赤字だということならひとつ御相談に乗ることにして、このたびはやはりそういうことじやなしに、一年間うんと馬力をかけるということに力点を置いて努力をなさつて、それによつて収支のバランスをさらにとつてみることにせられたらいかがかと思いますが、政務次官もおられるのだから一緒に御答弁を願いたいと思います。
  62. 小野吉郎

    ○小野政府委員 ただいまの事業経営の立場からすれば、料金の調整で糊塗するよりも、その事の次第にもよりましょうが、大いに事業の増進に専心努力すべきだ、これは私どもも決してそれをおろそかにいたしておるわけではございません。最近特に振替貯金の取扱い内容も改善いたして参りましたので、大いに勧奨には努めております。まだ十分でない点もありますので、将来その点には大いに努力をいたしたいと思いますが、現在の料金をもつていたしましては、かりにそういつた需要を大いにふやして行くという方法をとりましても、取扱いがふえればふえるほど赤字になるというような現状であります。これは先ほど御指摘に相なりましたようにここ数年前は現在よりも口座数としては非常に多かつた、八十万もあつたわけであります。当時実際に活動いたしておりました口座数は、八十万のうち二十万そこそこであつたのであります。それが活動口座で見れば年々ふえておるのでありますが、赤字の面では、毎年口座がふえても一向に赤字を解消するどころでなく、赤字の額がふえて参るというような状況に相なつておるのでありまして、この面は今の事業陣といたしまして、事業の増進を期すべき点について決して怠つておるわけではないのでありますが、同時に現在の料金の現状をもつていたしましては、いかに取扱いの増加を期しましても、やはり赤字を解消する唯一の策にはなり得ない、こういうことが実情でございます。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら伺いますが、この現金払出しについて、かりに五千円の送金をしようとすれば、一体どのくらいの人間の手数がかかるのでしようか。それから小切手一万円の振出しをしようとすれば、どれぐらい手数がかかるのでしようか。
  64. 小野吉郎

    ○小野政府委員 いろいろ原価計算の面で行きますと、これをはるかに上まわる計算が出ております。ただその原価計算もいろいろやり方によつて違うわけでございますが、少くとも現在の料金は原価計算を非常に下まわつておるというような実情でございます。その面からいたしましても、現行料金をもちましては、いかに事業の取扱量がふえましても、赤字解消に役立たない、こういうような現状でございます。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうも原価計算がここに出ておりませんので、お説によつてはよくわからぬ。五千円の送金をしようというような場合に、どれほどの時間がかかるのか、小切手一万円を振出そうとする場合に、三十円でなければならぬ、十五円では赤字が出る、三十円ならば四億の黒字にたるのだというような考え方は、どうなんでしようか。やはりもし労務に従事せられる方が多忙で困るというほどに仕事が輻湊して来るなら、またそれはそれで考慮すべきだ。一応はまだまだ仕事の拡大の余地があるという場合には、うんと増加して――それで仕事がふえればふえるほど、口数がふえればふえるほど赤字がかさむというのは、どうもちよつと合点が行きかねるのであります。これは精細な資料に基かざるお互いの問答でありますから、抽象論の水かけ論をやつているようなものでありますけれども、どうも私は全体を感じまして、あなた方の御説明では、口座数が二十三年が八十万あつて、ただいま五十五万に減つておるというような下り坂になつておる。ともかく睡眠の整理か何か知らぬけれども、全体から見た成績が落ちておるのですから、こういうときに、ぐつと引上げるということにいましばらく努力なさつてみるということが、ほんとうじやないのだろうか、私はこういうふうに感ぜられまするので、御質問申し上げるのであります。仕事がふえればふえるほど損だということであるならば、今申し上げましたように、これが四倍になつて、二百万の口座ができて、四倍の取扱数になると、ただいまの四億円の赤字というものが、またその四倍の赤字になる、こういうふうな御推算になると思います。どうもこれは少し乱暴なことじやないかと思いますので、私の根本論は、もつと仕事の領域、事業を拡大するということに重点を置いて、しばらくこれを上げない方がよくはないかと思いますので、重ねてこの点について――きようは大臣もおられませんので、次官から何か伺つておきまして、私どものこれに対する態度をきめなければならぬと思います。
  66. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 御説ごもつともの点がございまするが、この振替貯金の料金に関しましては、終戦以来、他の郵便に関する料金の値上げ等をいたしました際にも、振替の方は大体触れずに参つたのでございます。従いましてコストの計算をする場合にも、べース・アツプされたことも実はいろいろ考慮しなければならないのでありますけれども、この振替に関しては、賃金の値上げになつた以後の賃金に関しては、振替に対する料金としては全然触れておらないので、やはり赤字というものが相当ふえて参つておるのでございます。従いましてただいまの御説ごもつともでありますけれども、この際ぜひその点も御考慮くださいまして、本案に対しまして御審議の上、御賛成を願いたいと思うのでございます。
  67. 田中織之進

    田中委員長 ちよつと委員長から伺いますが、吉田委員は料金の引上げを行う以前に、事業量の増加のための努力を払つたらどうか、こういう立場からの質問でありますが、かりに今回の料金引上げに対する賛否の態度は別として、ある程度料金を引上げるといたしましても、問題は、やはり送金の時間の短縮の問題でありますが、先ほどの貯金局長説明によつても、戦前は三日程度で処理できていた。戦後はそうは行かない。従つて戦前の三日程度まで送金の時間を短縮することについての努力を、もちろん一種のサービス改善の点でありますが、料金引上げにこたえるためにもやらなければたらないことだと思うのであります。そろいうサービス改善が行われれば、利用者も従つてふえて来ることになると思うのでありますが、戦前程度の三日間ぐらいで送金が完了するような時間の短縮、もつと広い意味に申し上げれば、サービスの改善の面について、見通しはどうなつておるかということを伺いたいと思います。
  68. 小野吉郎

    ○小野政府委員 お尋ねの点につきましては、ここ二、三年以来鋭意努力、くふうをいたしまして、大体戦前の域に非常に近接いたしております。通常払込みで申しますと、大体短かければ二日長くても――これは地域が非常に離れておる場合でございますが、札幌から鹿児島といつたような離れておる場合におきましても、七日をもつて処理し得るわけでございます。戦前の域にもうほとんど差のないところまで、内容は改善されて参つておるわけでございます。これ以上の改善をはかりますためにに、――当時夜業等もいたしておつたのでございますが、現在振替に従事しております人員が約四千人弱でございますが、これは現在のそういつた昼間の勤務といたしましては、非常にフルに動いておりまして、これ以上夜間勤務等をやるとすれば、相当定員面においても支障を来して参りますし、かたがた今後の事業増がありましても、定員面の増がないと、現在員をもつてさらに大幅の口座数の増加を処理し得る、こういう人員ではないわけでございます。そういつた業務内容、取扱内容の改善と同時に、やはりこれは利用者にも認められまして、漸次活動口座数も年々ふえて参つております。そういつた積極面の仕事は、われわれとしても今後続けて行かなければたらないことは当然でございますが、料金面のそれにつきましては、ただいま政務次官からお答え申し上げました通り昭和二十四年におきまして郵便料金、第一種の郵便物を六割値上げをいたしております。その他三種、四種、五種それぞれ五割ないし六割値上げをいたしておりますが、第二種のはがきはすえおきでございましたが、この場合は振替貯金につきましては、全然値上げをいたしておらないのでございます。さらに昭和二十六年の十一月に郵便料金の大幅な改正がありまして、第一種郵便物が五割、第二種において六割七分から十割程度の引上げになつております。この際振替につきましても多少の値上げをいたしたのでありますが、その率は二割五分にとどめたわけでございます。従いまして今回の料金引上げにつきましては、そういつた過去において料金に手を触れるべきであつたにかかわらず、やはり利用を勧奨いたして事業の増進をはかり、それによつて経営を改善して行こう、こういう一つの意図のもとに料金面に触れなかつたのでありますが、そういつたしわ寄せが実は今回に参りましてまことに相済まないのでございますが、ひとり事業の増進、口座数の増加のみをもちましては……。
  69. 田中織之進

    田中委員長 その点はよくわかりました。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからばもう一つつつ込んで伺いますが、払込みの方は送金者でありますから、口座を持たぬ人も、学生が書籍店へ送金するというような場合もありまするが、こういうようなものは、株式の配当をする会社でもたし、あるいは民法上の経営者、あるいはその支所でもたし、書店自体でもなしということになりますので、そういう口座を持つている人同士の間の送金の仕合いとかいうような場合がずいぶんとあるべきであろうと思いまして、私どもよく推定はできませんけれども、これが非常に事業が拡大されて、宣伝されて利用者が多くなつて来るということにたると、まず大衆の送金利用者というものはずいぶんふえて来るだろうと思うのです。そうなりますと、この改正による値上げも現金、小切手、電信現金払いという三つにおかれているのでありますが、これにたちまち影響して来ると思う。口座の開設料とか払出しの料金とかいつた面は、これはともかく広く大衆の負担になるような、こういうさきに申しましたような払込みの面だけでも、この際一応は事業拡大に集中して、しばらく見送るというような御意思もないわけですか、これもちよつと聞いておきたいと思います。
  71. 小野吉郎

    ○小野政府委員 ただいまの通常払込みの関係でございますが、払込みの面につきましては、口座に加入いたしておりますある一定の薬とか書籍の販売店、これに薬なりあるいは書籍を購入する非常に不特定多数の人が送金する場合、これはやはりだんだんふえて参る傾向でもあり、これをふえるような方向にわれわれといたしましても努力いたさたければならないのでありますが、実はこれはそういつた払込みの全体の中で五八%、約六〇%、六割に相当いたしますものは、送金をいたします本人が料金を支払わないのでございまして、口座に加入いたしております書籍店とか薬品店、こういうところがその料金を受持つわけでございます。これは振替用紙に加入者負担という判を押したものが大部分でございますが、これでやつております。従いまして、その加入いたしております商店の商売がだんだん拡大し、繁盛いたして参りませんと、こういつたものにつきまして、個々の送金者という不特定な方面に働きかけて利用を増加せしめるということは、なかなか困難なわけでございます。しかもこの通常払込みの料金全体が、振替料金の全体の中に占める割合は非常に多いめでありまして、約五〇%近い料金収入は、この通常振替払込みから得ておるわけでございます。従いまして、この点のみを事業増進にまちまして料金値上げにかわる代案といたしますと、利用の増加をわれわれが作為いたします上に非常に困難な問題でありますと同時に、料金としてはここが非常に大きい源泉をなしておりますので、本値上げ案については非常に痛いはめに陥るわけであります。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、振替貯金で送金する場合は、送金者は全然手数料はいらないのでございますか。
  73. 小野吉郎

    ○小野政府委員 先ほど申し上げましたように、利用者の約四割は自分で手数料を払つております。あと六割に相当いたしますものは、口座に加入いたして送金を受ける口座加入者が料金を持つわけでございます。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつとその点はつきりいたしませんのですが、口座に加入しておりませんので……。私自身が本屋へ本代を払う場合、私が手数料を払うのですか、払わないのですか。
  75. 小野吉郎

    ○小野政府委員 加入者負担の場合におきましては、書籍、薬等につきまして販売を非常に勧奨するわけでございます。そしてその代金は振替あるいは為替でも何でもいいから送つてくれという場合は、たいてい振替の送金用紙が封入されているのが実情でございます。その場合は、料金は自分のところで持つから、自分のところで書籍を買つてくれ、あるいは薬を買つてくれ、こういうような勧奨があるわけでございます。それで送金をいたします場合には、ほとんど料金はその商店が支払うということになつております。そういう商店の働きかけでなく、私なら私がある書店に本が買いたい、こういうことで個人的に注文をいたしますと、その料金は私が負担しなければならないというようなことになつております。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点は、受ける方がサービスするしないは、これは送金を受ける方の自由でありますが、広く活用して行くというときには、やはり送金をする人が負担するということに実際はなつて来るだろうと思います。この事業がずつと拡大されて、一般に利用されて来ればそうなる。私はちよつと今そういう立論をしておつたのであります。大体私はこの程度でよろしゆうございます。
  77. 田中織之進

    田中委員長 ただいま議題になつております郵便振替貯金法の一部を改正する法律案について、ほかに質疑はございませんか。――ほかに質疑がございませんでしたら、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案に対する質疑を終了いたします。
  78. 田中織之進

    田中委員長 ここで、先ほど質疑を終了いたしました郵便切手類売さばき所及び印紙売さぱき所に関する法律の一部を改正する法律案を再び議題といたしまして、討論に入ります。吉田賢一君。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこの法律案につきまして、売りさばき人の手数料に関して、百万円以上を月額売りましたものが、法第七条によりまして百万円のものと同額手数料であるということにつきましては、政府委員の御説明趣旨にかんがみましても、十分に納得いたしかねるのであります。いろいろとリベートなどの弊害もおもんぱかつての御趣旨の御説明もあり、また民間の売りさばき人で百万円以上売りさばくことを欲しないという郵政省の御意向の説明もあり、また法律趣旨がそうであるという趣旨説明があつたのでございますけれども、こういうことも、社会情勢の変化、物価の変動等も考慮いたしまして、そうきゆうくつに解することは、法律全体の趣旨にかんがみまして、決してほんとうのあるべき姿ではないと思いまするので、そういうような問題につきましては、今後の運用の面と、それから省令その他の何らかの措置等によつて、さような筋の通らないことが解消せられるような、適切な措置をとつていただきたいのであります。こういう希望を申し述べまして、私は、私の所属する社会党の意見を代表いたしまして、本案に賛成するものであります。
  80. 田中織之進

    田中委員長 ほかにございませんか。  以上をもつて討論は終了いたします。  本案について採決いたしたいと思います。郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案を、原案の通り可決すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 田中織之進

    田中委員長 御異議ないものと認めます。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  82. 田中織之進

    田中委員長 御異議なしと認め、そのようにとりはからいます。  なお先ほど終了いたしました郵便振替貯金法の一部改正法律案につきましては、明日午前の委員会で採決いたしたいと思いますので、各党の態度をおきめ願いたいと思います。  なお実は本委員会に相当件数の請願が出て、専門員の方でそれぞれ整理を願つているわけでありますが、会期末にこれを取上げるのが通例になつておりますが、四月一日から実施の関係等、実施期日に関連のあるものもございますので、一度には参らないと思いますけれども、明日の委員会にできればこの請願を日程に載せたいと委員長の方で考えて準備を進めておりますので、その点もお含み願いたいと思います。  それでは本日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時半より委員会を開会いたします。    午後零時三十八分散会