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1954-03-11 第19回国会 衆議院 郵政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十一日(木曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 田中織之進君    理事 大上  司君 理事 小林 絹治君    理事 羽田武嗣郎君 理事 船越  弘君    理事 大高  康君 理事 山花 秀雄君       飯塚 定輔君    坂田 英一君       櫻内 義雄君    松浦周太郎君       井手 以誠君    土井 直作君       松前 重義君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君  委員外出席者         議     員 片島  港君         郵 政 技 官         (簡易保険局次         長)      中村喜代嗣君         専  門  員 稲田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ――――――――――――― 三月十日  折原村に無集配郵便局設置請願松崎朝治君  紹介)(第三二〇九号)  簡易生命保険契約額引上げに関する請願外二件  (只野直三郎紹介)(第三二一号)  同外一件(只野直三郎紹介)(第三二九二  号)  林の上に特定集配郵便局設置請願(關内正  一君紹介)(第三三三三号)  地方郵政局監察部設置請願本名武君紹  介)(第三三三四号) の審査を本委員会に付託された。 同月十日  学術、文化団体刊行物郵便料金に関する陳  情書  (第一六四一  号)  行政改革に伴う特定郵便局職員減員反対の陳  情書  (第一六七三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  簡易生命保険法の一部を政正する法律案内閣  提出第八四号)  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣  提出第五八号)  郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出  第五九号)  郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  六〇号)  郵政行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中織之進

    田中委員長 これより郵政委員会を開会いたします。  郵政行政について調査を進めたいと思います。目下外務委員会審査中の、日本国アメリカ合衆国との間の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件は、本委員会としてもその所管事項とも密接な関連がありますので、その内容について政府当局より説明を聴取いたしたいと思います。なお本件につきましては、外務委員長の方より連絡がございまして、連合審査寺本委員会からの希望があればということで、目下外務委員会審査質疑を続行してくださつておるわけでありますが、本日説明伺つた後にもし疑義の点がありますれば、連合審査会という形にいたしますか、あるいは委員外外務委員会質疑をするということにいたしますか、また本委員会でただいまから承ります説明に基いて質疑を行いまして、その旨外務委員会連絡するか、いずれかの処置をとりたいと委員長としては考えております。政府側説明を求めます。小野貯金局長
  3. 小野吉郎

    小野政府委員 お答え申し上げます。日米間の郵便為替条約は、現在の条約明治十八年の締結にかかつております。その後事情変遷に伴いまして三回ばかり、条約改正という形ではございませんが、定款に基きまして現行に即せない部分を修正して参つたわけであります。太平洋戦争勃発とともに、この条約効力を停止いたしまして、爾来ずつと効力を停止中であつたのでございますが、昨年の四月二十二日に、サンフランシスコで調印せられました平和条約第七条の条項により、条約効力を復活するということに通告を受けまして、昨年七月二十二日から明治十八年締結条約そのもの効力を発生いたして参つております。しかしただいま申し上げましたような非常に古い時期の締結にかかつておる条約でありまして、その後事情変遷等によりまして、必ずしも現在の為替交換業務実情に即せない部分が多々あるのでございます。そういつた点を現行にマッチいたしますように改正する必要を痛感いたしまして、日本側からアメリカ郵政当局に対して条約改正方を交渉いたしたのでありますが、先方でもその必要を認めまして改正に応じようということで、いろいろ両当局間で話合いを進めました結果、やつと両者の意見の一致を見まして、日本側におきましては昨年十月外務大臣郵政大臣署名のもとに条約署名を了しております。アメリカ側は十二月に郵政長官署名が終りまして、ここにいつでもこの条約改正を運び得る段階に至つたわけであります。日本国内法によりますと、そういう条約は国会の承認を求めなければなりませんので、ただいま承認を得るべく手続をとりつつある次第でありますが、今回の条約改正の主要な点につきまして概略を御説明申し上げますと、当初、最初に申し上げました通り条約が非常に現下の実情に即せないという点がありますので、この点を現状に即するように改正いたすわけでありまして、従いまして改正の諸点はきわめて技術的な問題にすぎないのでございます。そのおもな点といたしましては、大体四項目ぐらいに集約できるのであります。  まず第一点といたしましては、現行約定両国間におきます自由為替相場変動があることを前提といたしまして規定を立てております。そういう自由為替相場変動前提とする規定、及び金貨またはこれと同等の価値を有する貨幣を為替の受払いに使用する規定を設けておるのでありますが、これはいずれも両国通貨制度の上から見ましても、また為替交換実情から見ましても、現行制度とははなはだしく相違いたしておりますので、こういつた点を改正するわけであります。  第二の点は、米国における交換局は、現行条約によりましては、サンフランシスコのみとなつておりますが、これは以前からサンフランシスコのほかにシャトル及びホノルルの二局が指定されておるのであります。こういつた点で条約にはつきりとシャトル並びにホノルル交換局であるということを追加明記いたすわけであります。  第三点といたしましては、計算書決算をいたします前に、この決算は大体四半期ごと決済をいたしておりまして、貸し方の国から借越しの国に対して、その貸越高決済を受けるということに相なつておるわけでありますが、そういつた四半期ごと決済以前に、一方の当時国が他方に内払いをいたすべき借越し差額の限度を、現行条約は五千ドルとなつております。五千ドルを越えたときにその越えた部分について、内払いの形における決済を要求し得るわけでありますが、この五千ドルが今日の段階から見まして、金額としてあまりに低きに過ぎますので、これを五万ドルに引上げるわけであります。大体今日の五万ドルと申しますと、日米間の為替条約現状で見ますと、日本為替の非常な統制をいたしておりますので、日本からアメリカに向けて為替を振り出すものは非常に少いのでありますが、アメリカにおきましては別段そういつた為替の管理をいたしておりません。自由に為替が送れるわけであります。そういつた点で、アメリカから日本に向けられる為替は非常に量が多いのでありまして日本振出しのものと、アメリカから日本にあてられるものとの比率をとりますと、日本からアメリカに振り出しますものは、アメリカから日本に到着いたしますものの〇・二%ぐらいにしかなつておりません。非常な片為替状況になつております。従つて常に日本が貸越しの立場につ立ておるのでありますが、この五万ドルが今回改正しようとする限度であります。これをもつていたしましても、今日約十日たちますともう五万ドルに達するわけであります。一方この決済関係におきましては、あまり頻繁に決済をいたしますことも、手数その他の関係で非常に煩瑣でございます。と同時に非常な額に上る決済をそのままにいたしますことも、払渡し事務その他におきまして問題もあるわけでありますので、大体十日ぐらいで五万ドルに達するものなら、限度を、現在五千ドルになつておりますが、五万ドルに引上げますと、月に三回ずつそういつた決済をいたすことができるように相なるのであります。この程度であれば、事務煩瑣の点もさほど問題に相ならぬだろうと思いますし、従つて現在の五千ドルを五万ドルに引上げようとするものであります。  第四点につきましては、為替目録並びに計算書の作成及び取扱い手続を、現在幾多の国において実施せられている慣行に合致いたしますように、関係規定及び付属書を改訂しようとするものであります。  大体以上の四点が、今回の改正の主要な点でございます。
  4. 田中織之進

    田中委員長 ただいまの小野貯金局長の、日本国アメリカ合衆国との間の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件についての説明に対して、御質疑はございませんか。——別に御質疑がなければ、先ほど申し上げました通り本件外務委員会にかかつているのでございますが、本委員会として連合審査等を申し出ることは、この際とりやめたいと思います。もし本日出席でない委員等質疑希望がございますれば、明日外務委員会が開かれますので、委員外質問を認められることに、外務委員長との間に連絡がついておりますから、その点お含みおきを願いたいと思います。     —————————————
  5. 田中織之進

    田中委員長 次に簡易生命保険法の一部を改正する法律案並びに郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便為替法の一部を改正する法律案郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題として、前会に引続き質疑を行います。船越弘君。
  6. 船越弘

    船越委員 簡保の問題について、ちよつと保険局長にお尋ねしたいのでございますが、二十九年度の予算によりますと、歳入が七百十億円、それから歳出の方で保険金が四十三億二千万円というような数字が計上されておりますが、これは簡保保険金額引上げ予定なさつて組んでおられるかどうか、その点をお伺いしたい。
  7. 白根玉喜

    白根政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問になりました予算案の中には、簡保引上げを含まない前提予算を組んでいるわけでございます。
  8. 船越弘

    船越委員 そういたしますと、当委員会において、政府原案によるところの十三万円に引上げた場合の保険料増額分は、どういうような状況になりましようか。あるいはまたこれを十五万円ないし二十万円に引上げた場合の予算上の数字は、どういうふうになつて来るのでしようか、その点お伺いしたい。
  9. 白根玉喜

    白根政府委員 新規募集といたしまして、この予算では毎月十五億の六箇月を予定しておるわけであります。十三万円にいたしますと、十七億程度になるのではないかと考えられるわけであります。その結果、予算面といたしましては、手当の増額予定されるわけでございます。ところが二十八年度におきましては予備費が三億ございましたが、二十九年度におきましてはそれを増額いたしまして、五億の予備費があるわけであります。御承知通りこの予備費予定よりも募集がふえた際に、予備費解除でやるわけでございます。十三万円程度でございますれば、二十九年度は五億で、前年度に比較いたしまして二億もふえておるわけでありますから、予算上現在予備費解除でまかないがつく、かように存じておる次第であります。
  10. 船越弘

    船越委員 十五万円に引上げた場合と、二十万円に引上げた場合とは、どういうふうになりますか。
  11. 白根玉喜

    白根政府委員 十三万円のときは、先ほど申し上げましたように十七億を予定しておりますが、十五万円にいたしますと十九億程度予定しておるわけであります。従いまして提出しました予算では、毎月十五億を予定しております。十五億程度でございますれば、予備費解除を一部はするかもしれませんが、大体それでまかない得ると思うわけでございます。従いまして十五万円の際におきまして、十九億程度でございますれば、二十九年度は予備費が五億で、前年度に比較いたしまして二億の増でございますので、大体それで予算上支障はありません。二十万円になりますと、大体毎月二十二億を予定しております。そこまで行きますと、予算上特別の措置があるいはいるのではなかろうか、かように存じておる次第であります。
  12. 船越弘

    船越委員 そういたしますと、予算書によるところの予算措置は、十五億程度ならば、予備費五億があるから大体まかない得る、こういうことでありますか。
  13. 白根玉喜

    白根政府委員 その通りでございます。
  14. 船越弘

    船越委員 このたびの簡保引上げにつきまして、いろいろ当委員会において審議がなされましたが、われわれといたしましては、さきに理事会申合せのように、大体二十万円程度が至当ではないかという申合せをしたのであります。それは物価指数、そのほか社会情勢労災保険、あるいは税制上の見地等、いろいろな角度からそういう申合せをいたしたのでありますが、結局二十万円ということになると、民保との競合範囲が広くなつて、いわゆる民保を圧迫するものであるという批判も生れて来るのであります。本日ここへ参りますと、生命保険協会からもいろいろ反対理由意見書が出ておるようでありますが、われわれといたしましては、この反対意見に対して、郵政当局がどういうふうなお考えを持つておられるか、これを明らかにしていただきたいと思うのであります。今まで同僚議員からあいろいろ質問もありまして、私たちは大体わかつたような気がいたしますけれども、なお数点についてお尋ねしておきたいと思います。その第一点はいろいろ批判が下されております。官営事業については一切の税金なりあるいは広告費、そのほか損失がある場合には国家補償をするのだ、そういうような官営事業民営を圧迫するということは、民営に対する官営の不当な介入である、こういうような意見が出ておりますが、それに対して郵政当局はどういうふうなお考えを持つておられますか。
  15. 白根玉喜

    白根政府委員 私の方にも民間方方から陳情書が参つておるわけでございます。その点につきましてお答えを申し上げますと、官営につきましてはいろいろの特権がある、従つて特権がある官営事業民間と同じような考え方引上げをされては困る、こういう御意見であると存ずるわけでございます。まず御指摘の税金の面でございますが、税金の面といたしましては、簡易保険は御承知のように国営でございます。従いまして法人税固定資産税印紙税、その他の税金がかかつていないわけでございます。もしこの税金官営にもかかるといたしますと、約五億四千万円程度で、この税金が免税になつておるわけであります。しかし一面投資の面におきまして、民間投資につきましてはいろいろ制約はありとはいいながら、投資利回りは大体一割二分八厘程度ではないかと思うわけでございます。ところが簡易保険は、運用にあたりまして最高六分五厘でございます。それらの利子関係を勘案いたしますと、総資産が千三百五十億円でございます。それに対しての利益の差が百五億程度になつております。税金では四億数千万円でございますが、一面投資の面におきまして、国家的見地から、事業にふさわしい考え方からいたしまして、低利にいたしておるわけでございます。そういうような面も御考慮お願いしたいのが一点でございます。  もう一つは、簡易保険損失については国家補償ができるのではないか。なるほど法律には国家補償という条文があります。ありますが、今までの実績から申しますと、簡易保険独立採算で行きたい。その意味ですべて事業の収支をやつておるわけでございます。経過から申し上げましても、大正五年に事業を創設いたしました。その際に事務費の一部を補償していただいたことはございます。それ以外は実はなかつたわけでございますが、戦争中に軍人、軍属に対しまして無審査保険がございました。従つて相当数事業的観点を越えて加入奨励をいたしたわけでございます。その際におきまして、六億程度補償を受けたのでございますが、この点につきましては民間におきましても戦後におきましてある程度補償を受けております。これは民間の方はお返しになるような計画になつておりますが、しかし補償の面は民間も実はやつてつたわけでありまして、従いまして補償の問題といたしましても、独立採算建前からいたしまして、保険にふさわしい程度積立金を十分とつて、そうしてふさわしい保険料を払い、利益配当をして、なおかつ国家補償なくして、独立採算に行くような建前をとつておるわけであります。また一面、簡易保険郵便官署を利用するではないか、これは一つ特権ではないかというお話もございます。そもそも簡易保険が、民間零細階級に普及させる意味郵便官署を利用するのが建前でございまして、これはもう大正五年の創設当時からいたしましてそういう建前でやつておるわけでございます。その点はある程度簡易保険としてもあると思います。従いまして引上げの際におきましても、民間が三十万といつてもそこまで行くのは行き過ぎではないだろうか、ここに民業に対する考え方がある程度入らなければならぬのではないかと思うのであります。なお郵便局の利用に対して、非常に安い金を払つて簡易保険を運営しておるのではないかという民間方方の御意見もございます。これはまつたく誤解でございまして、予算の際にも御審議をいただいたように、私の方といたしましては郵政会計簡易保険事業上必要な経費につきましては分担しておるのでございます。その分担につきましては、簡易保険事業が他の事業に依存するような建前予算編成は、絶対にやつてないのでございます。そういう事情でございます。御了承をお願いいたします。
  16. 船越弘

    船越委員 それから昨日も同僚委員からの質問がございましたが、民保に比較いたしまして簡保保険料が非常に高い、見方によつて民保の倍以上に保険料がかかつておるじやないか、そういうような批判も生れて来ておりますが、これは結局資金運用利回り簡保の方が低いために、そういうふうになつておるように話が出ましたが、大体この簡保はいわゆる中産階級以下の大衆を相手にした保険でございますので、この保険料をできるだけ低くするための手段を何かお考えになつておるかどうか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  17. 白根玉喜

    白根政府委員 簡易保険保険料が現在民間と比較いたしまして、ある程度高いのは事実でございます。しかし倍になるということはございません。ただその点については御承知のように、民間事業におきましては大体都市中心でございます。都市中心であつて、一部月払いの保険をやつておる業者もございますが、大体においては年払いでございます。ところが簡易保険におきましては、都会だけでなくて、いなかの方の資金吸収に力点を置いておるのであります。しかも月掛でございます。従いまして民間保険料に比較いたしましてコストがある程度高いということは、事業形態から見れば肯定していただけるのではないかと思うわけであります。しかしながら現在に比較いたしまして、現在程度がいいかという問題になりますと、少しこちらが高過ぎるという面があるかと思うのであります。これをどうするかという問題でございます。ただ資金の面から申しましても、昭和二十七年度は黒が大体六億程度でございます。それから二十八年度は十六億程度でございます。そこへ事業が生きるか死ぬかという境のときに、五年払込みの十年満期、五年払込みの十五年満期という両種を認めておる。これは最近は押えて参つておりますが、これは二十三年から創設したわけでございます。資金を早く吸収しないと事業が立ち直らない、現金がないというような危機の時代でございまして、それをやつたためにその影響が参りまして、来年度におきましては、歳入の面で三十四億程度歳入減になるわけであります。それからさ来年度になると少し落ちまして三十億程度になつております。それらの関係もある程度考慮に入れますと同時に、物価関係見通し考えなければならないわけでございます。この前のベース・アップの際におきましても、簡易保険といたしましては十八億程度歳出増になつておるわけでございます。従いまして一面最高制限額引上げをお願いいたしまして、資金増をし、その上で将来の見通しがつけば、ある程度いま少しく民間に接起するような保険料に引下げて行く必要があるのではないか。しかしこれは今すぐ来年度やるというところまで行くか行かぬかにつきましては、引上げの度合いなりあるいは資金の伸びぐあいなりを見て行かなければならないと思いますが、とにもかくにも少し高過ぎる程度のところを、事業の好転によつて緩和いたしたいという気持でただいまのところは一ぱいであるわけであります。
  18. 船越弘

    船越委員 御提出をいただきましたあなたの方の資料によつて見ても、民保に比較して簡保の方が保険料が高いばかりでなくて、剰余金配分も少い、それから事業比率民保よりは簡保の方が低い、こういうような数字が現われておりますが、今後この最高制限額引上げによりましてそういうところを十分改良できるかどうか、お伺いいたします。
  19. 白根玉喜

    白根政府委員 仰せの通り保険料だけでなくて、利益配当の面におきましても私の方が配当率が低いわけでございます。一面事業比率民間に比較いたしまして、こちらの方が低くなつております。しかし低いとはいいながら、この事業比率で実はいいわけではないので、まだまだ事業比率を落して、一日も早く加入者に対しての利益になるように還元したいと思うわけであります。そういう観点からいたしますと、簡易保険最高制限額引上げをお願いいたしまして、幸いに御了承をいただければ、その点に対して大きなプラスになると存ずる次第であります。
  20. 船越弘

    船越委員 最後にひとつお考えを聞きたいのですが、最高制限額引上げを本委員会で決定いたしまして——それはどういうふうになるかわかりませんけれども、先ほど言いましたように、事業比率はそれによつてまたうんと下つて行く、それから剰余金配分をふやすことが可能である、それから保険料金はいま少しく低くする可能性が生れて来る。それはただちに二十九年度、三十年度ということではなくして、少くとも数箇年の間にはそういうところを大いに改善することができる、こういうふうにお考えでございますか。
  21. 白根玉喜

    白根政府委員 来年度すぐということは、まだ見通しがつきませんが、少くとも引上げによりまして、その時期が早くなるということは事実でございまして、そういう時期が来ますればわれわれといたしましては、可能性がある限りにおきましてなるべく早くやりたい。見通しはおつしやる通りでございます。
  22. 大上司

    大上委員 私は郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案について、当該所管局長に簡単にお尋ねいたしたいのでございますが、全国に郵便切手及び印紙の売りさばき所が何箇所あるのか。その中に特に法人格を持つて売りさばき所となつておるものと、それから個人格のものとがあるはずです。その軒数がどの程度になつておるか、まずそこからお尋ねをいたします。
  23. 松井一郎

    松井(一)政府委員 お手元にお配りしてある資料の八ページのところに、大体売りさばき人の現在の数というものがございます。七万一千二百三十三軒、大体こういうことになつております。そのうちで法人でやつておるものは資料をここに持つておりませんが、大体法人でやつておるものは数としてはずつと少い数字だと思います。後ほどまた調べましてお答えいたします。
  24. 大上司

    大上委員 そこで私のお尋ねしたい点は、そこから波及いたしまして、特にその中で、いわゆる切手印紙類を売りさばいておるのを生業というか、準専業というか、専業にしておる軒数は何軒ありますか。
  25. 松井一郎

    松井(一)政府委員 どの程度専業と申しまするか、いろいろ見方はあると思いますが、大体今日の印紙切手類の売りさばきの手数料の総額というものは、月一万二千円くらいにしかなりません。法律でその限度に押えられておる関係もありますので、これをおつしやるような意味において専業にしてやるということは、そういう観点からもおそらく不可能な問題だろうと思います。
  26. 大上司

    大上委員 その手数料の一万二千円は大体了承したのですが、お尋ねしたいキー・ポイントは、たとえばタバコ、塩等を売りさばいておるところ、または本議題になつております郵便切手類を扱つておるところは、国税調査の場合において、これは事業税でもそうでございますが、税の把握の面から見まして、こんりんざいがつちりとられてしまう。そこでほかの企業者がこれによつて恩恵をこうむつておるわけではないのだが、比較的調査がしやすい対象科目になつておるわけでございます。そこでこれを取扱つたがために、当然次年度へ繰越して決算すべきものが、本年度へ入れなければならないというような悲劇すら二、三耳にしております。そこでこういうふうなものを取扱うについては特別な保護規定というものがあるか、あるいは保護してやる必要はありますか、ありませんか。
  27. 松井一郎

    松井(一)政府委員 印紙切手類売りさばきというものが、大体公共の必要性に応じて、郵便局の補助的な役割をやつておるというような性格から見ましても、でき得べくんばそれに税法上の特別な措置が望ましいと私ども考えておりまして、そうした希望を大蔵関係当局には申し出ております。残念ながら今日までのところそれが実現しておりません。
  28. 田中織之進

    田中委員長 簡易保険法の一部を改正する法律案についての質疑に集中して、できればすみやかに質疑を終了したいと思いますので、集中して御質問を願いたいと思います。
  29. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 それでは最後にお尋ねをいたしますが、今までの八万円のわくで集まつた金で、本年度の長期資金または短期資金として、どういうような施設にそれが投資されておるかという問題について、従来の実績をお尋ねをしておきます。
  30. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、なお詳細な資料等につきましては担当当局から、あるいはさらに詳細な点につきましては資料をもつて御報告申し上げますけれども、二十八年度からの運用再開におきまして二百億の長期資金に振り向けております。ただこの二百億と申しましても、一ぺんにこれを長期資金として出すのでありませんので、その間積み立てておりまする資金を短期融資に使つておるのであります。これは総額において昨年度末までに大体百二十億を短期資金として出しておるのであります。この中には御承知のような風水害に対して十一億二千万円の融資をしておるのでございますが、長期融資におきましてはその運用の項目を申し上げますと、教育施設、これは国立、県立、市町村のいわゆる公立学校の融資に振り向けておることと、保健衛生施設といたしましては下水道であるとか、清掃施設であるとか、小規模の診療機関等に対しての融資、あるいは普通土木、これは都市計画、公営住宅等に振り向ける融資でございます。また病院に対してもこの積立金を融資しておるのでございますが、また耕地整理等における農業土木、さらに消防等に対しても融資をしておるのでございます。かつては、戦争前でありますけれども、農業関係としては当時の国策に沿つて、自作農の創設維持等に対する経費もこの積立金運用しておつたのでございますが、将来もさらに皆さんの御指示に従いまして、もつと運用の範囲を広めたいという考えを持つておるのでございます。
  31. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 今度わくが広げられて十五万円というようなことになれば、結局この間からの御説明だと五百億円くらいに達すると思うのです。政務次官から御説明のような項目に、従前通りに融資をすることはもちろんであります。そうしてそのために町村なんかがこのおかげをこうむり、地方民が非常にこの簡易保険の融資については感謝をいたしておるのでありますが、なおまだこれだけの項目では足りないじやないか、もう少し他の公益事業についてもつと広く運用をする必要がある。私は実は町村長から、たとえば簡易水道をつくる場合において、つなぎとしては借りられますけれども、長期融資としてお借りができないかというようなことで、郵政局長やあるいはそういう関係の方にも陳情をしたのでありますが、今までは一定の制限された運用しかできないということであります。私は、この際制限金額を上げる以上は、もつと他の方面にも融資をする必要があるのじやないか。たとえば簡易水道、あるいは上水道というような面にも使わしてもらいたいし、それから交通機関、すなわち都電とか市電とかいうような電車、あるいは公営バス、こういうような交通機関方面にも融資を願いたい、また魚の市場とか、野菜市場、こういうものの建設についても融資を願いたいし、さらに公益質屋、あるいはまた公営の浴場等についても、大衆生活の衛生面といたしまして融資を願いたい、こう思うのであります。なお農村の電化という問題がぼつぼつ計画されておるようでありますが、現在は農林中金の融資によつてのみまかなつておるような現状でありまして、なかなかそれもわくが制限をされて、十分に金が借りられないということで、計画もなかなか進まないとい現状にかんがみまして、農村電化方面にもこの資金を融資ができるようにしてもらうというように、融資の項目を拡大するということをぜひともこの際に考えていただいて、そうしてほんとうに地方の公共団体や地方の大衆とこの簡易保険とが一体となつて行くように運用を期して行くことが、簡易保険の生命をますます強化するゆえんであり、同時に地方にただちに還元する資金として、ますます重要性を増して来るゆえんではないか。愛さるる保険事業となつて来るのではないか、こう思うのでありまして、こういう面に、ひとつ特段の力をもつて拡大する方針をとつていただきたいと思うのであります。当局の御意見を承つておきたいと思います。
  32. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 ただいまのお説ごもつとものことと存じます。ただいまのお話の中に浴場であるとか、市場であるとか、公営の質屋であるとか、そういうお話が出ましたが、戦争前にはこれらの方面に対して相当な融資を実際に行つてつたのであります。これが戦争によつて最初の方針通りにできなくなつて、中断されておるようなかつこうでありますから、これらの面につきましては十分考えて御期待に沿うようにいたしたいと存じております。また交通機関の問題につきましても、われわれといたしましてはいろいろ当局において協議をしておる実情でございます。また上水道につきましても、現在は保健衛生施設として下水道に関しては実行いたしておりますが、上水道に関しましても、お説のごとく当局としては相当研究中でございます。また発電所あるいは天然ガス等につきましても、地方からいろいろと御注文がございます。しかし発電所等に関しましては、規模が相当大きいのでありますから、これに向つては相当な問題もあると思いますが、ただいまの農村の自家発電は、規模のあまり大きくないものに対しては必ず実行したいとわれわれも考えておるのでございます。この簡易保険の制度は、社会保障という強い精神と申しますか、それが含まれておるのでありますから、ただいまのお説のごとく公共の施設に対しては、国民の要望に従つて地方にこの資金を還元して、利用される方から、よかつたというような気持で十分に御利用していただくように、郵政当局としては、将来とも十分に努力をする考えでございます。
  33. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 その場合に運用の面を拡大するためには、行政手続的にはどういう処置をおやりになるか。つまり大蔵省とか自治庁に交渉するとか、いろいろな問題が起つて来ると思いますが、その点を大体どういうふうにしたらば拡大されるかを、ちよつと承つておきたいと思います。
  34. 白根玉喜

    白根政府委員 ただいま羽田先生のおつしやられた項目の大部分は、自治庁の起債方針で大部分解決できるわけでございます。ただそのうちで、たとえば簡易水道を町なら町が単独でやる場合は、これは起債方針でできるわけであります。しかしながら簡易水道でございますので、村とか町とかにこだわらないで引入れ口が問題でございます。そうしますと甲の村の部落と、乙の村の部落とだけが共同する場合がございます。これをどうするかという問題が残るのでございます。これは地域団体として、たとえば土地改良区とか、ああいう地域団体的な結成のできる方法ができますれば、その方法によつて運用できるのでございますが、その点がちよつと残つております。あとはすべて起債方針の際に、そこへウェートをかけて行くか行かぬかの問題でございます。御承知のように市町村に対する貸付原資は、実は来年度少しきゆうくつになつております。従いまして公益質屋まで行くか行かぬかという問題は、自治庁ともよく話合いをいたしまして、そこまで行く給源があるかないかという問題もございますが、先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように、郵政省といたしましは、加入者に接着する部分をなるべく広い範囲に拡大する気持は持つておるわけでございます。
  35. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 ただいまの御答弁にもございましたように、どうかひとつ大いに力を入れまして、ほんとうに地方の民衆のために、地方の公共団体のために、ますますこの簡易保険事業というものが着実なる地歩を占められんことを希望いたしまして、質問を終ります。
  36. 田中織之進

    田中委員長 この際委員外の議員片島港君より発言を求められておりますので、これを許したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 田中織之進

    田中委員長 御異議なければそのようにとりはからいます。片島港君。
  38. 片島港

    ○片島港君 一、二お伺いしておきたいのでありますが、簡易保険募集目標額といいますか、当該年度において各郵政局あたりに割当をする目標額というものは、何を根拠にして毎年決定しておられますか、お伺いいたします。
  39. 白根玉喜

    白根政府委員 簡易保険募集につきましては、ある程度の目標額をきめまして推進いたしておるわけでございますが、目標額の設定に対する標準といたしましては、人口、経済力、従来の実績等を勘案いたしております。またその標準につきましては、一面事業に携わつている郵政局の部長、課長等も集めまして御相談すると同時に、また従業員の組合の方々につきましても、本年度はこれで大体了承できるかということを十分御相談の上決定するわけでございます。これが中央の決定でございますが、各郵政局に割当てた目標を達成する際におきましては、指導面の方々、それから従業員の階層の方々とよく打合せをいたしまして、公平なる配分をいたしておる次第であります。
  40. 片島港

    ○片島港君 いろいろと意見を聞いてきめるという御答弁でございますが、実は毎年々々新規募集の額は相当な数字に上つておるのであります。保険最高額が上る上らぬにかかわらず、毎年毎年相当額が上つておりまして、私の調査いたしましたところでは、大体この程度はやらなければいかぬというので天くだり的に相当の額の割当を受ける。その結果は結局末端におきましては、この前の委員会でも申し上げましたように、超過契約をするとか、あるいは主人だけではどうしてもとれないものだから、家族の名前まで使つて契約を無理にする、こうしてその責任額を果しておるというような状況であります。私が最高制限額についてお尋ねいたしましたときに、大臣からは、民間保険に対する影響が非常に大きいというお話でございまして、その点私も了とするのでございますが、しかしたとい最高額が少くても、中央における募集目標額の割当が多かつたならば、超過契約とか、あるいは家族などに広げて行くとか、口数をふやすとか、そういうような形において民間保険の方にそれだけ食い入つて行くわけであります。もしこの民間保険の方を幾らかでも食い入らないようにするためには、最高制限額の問題を特に重要視するというのでなくして、中央での募集目標額を制限する。すなわち五百億にしようとしたものを四百億にし、三百億にするならば、何も民間保険には影響はありません。またたとい十三万、十万でありましても、一千億をどうでもこうでも達成せよといつて無理やりにしりをはたくということになれば、相当違法なことをやつたり、また民間保険の方に食い入るような結果になつて来るのであります。でありますから、私はこの最高限度を決定することが民間保険に及ぼす影響よりも、むしろ募集目標額を決定することの方が、民間保険に対する影響がさらに大きいのじやないか、こう私は考えるのであります。この点について簡易保険局長の御意見を承りたい。
  41. 白根玉喜

    白根政府委員 お説ごもつともでございます。今までの募集方針といたしましては、お説のような気持で中央で目標額を設定しておるわけでございます。ただ二十四年時代におきましては、実は二十億という目標を設定したわけでございます。あのときは生きるか死ぬかの境でございまして、しかもこの際は少額契約の乗りかえもしなければならぬというわけで、二十四年では二十億でございましたが、二十五年では十五億、それから二十六年では十億、二十七年では十億、二十八年度では一応十億といたしまして、募集条件が改善されたときには十二億という目標を設定しておるわけでございます。私どもといたしましても、契約の維持の面の目標については、相当軽い目標を与えて御無理をお願いしても、一たびできた契約を継続する面からいたしまして、相当軽い目標を設定するわけでございますが、募集面におきまして、あまり軽い目標を立てますと、実は短期の契約に移行するおそれもあるわけでございます。契約の内容の良質契約を獲得する面からいたしましても、中央の目標額を大きくすることは、事業経営の面からいつてもいいことではないのでございます。従いまして部分的には片島先生のおつしやつたような形があるといたしましても、総体的からいたしますと低めに出しておるわけでございまして、現に二十六年以後は目標額に大体二割ないし三割増の実績を見ておるわけでございます。目標を突破しないとかいうようなことではなくて、目標額が軽過ぎて目標に足らないということではなくて、むしろ目標額を低目にいたしまして、実績といたしましては二割ないし三割増の実績を見ておるわけでございます。部分的にはあるいはそういうところもあるかと存じますが、全体的におきましてはお説のように目標をあまり高くしない、堅実なる契約、良質なる契約を獲得したい。従つて実績の面から行けば、目標額より以上にいつでも上るような方向に持つて行きたい、かように存じておる次第であります。
  42. 片島港

    ○片島港君 募集をするということと、現在の契約を維持するということは裏表の問題でありまして、結局募集が大きな責任額を負わせるということになりますれば、何とかしてその募集額を達成したい、あるいはそれ以上に達成したいという考え方から、非常に不安定な契約がふえて参るのは当然であります。従つてそういう無理なことをやればやるほど維持が困難になつて来る。維持というのは、契約をしておるものをさらに維持して行くために相当な経費を使つておる。これはむだなことであつて、やはり契約をする場合に、維持の方にはそう力こぶを注がぬでいいような方法を、募集の場合に検討しておかなければならぬのは申すまでもないわけであります。そういたしますと、やはり募集しやすいような一つの方法を確立する。それがやはり保険最高額の一つの制限というものを高めておく。そうするとそのゆとりの範囲内において、すなわち最高額を上に上げたから、すなわち募集の総額が必ずふえる、そういうことをしなくてもいいのです。やはり最高額は上に上げたけれども、募集の目標は維持に困難を来さない程度の目標額というものを決定して、その程度はやはり楽にとれるということになれば、運営面における経費も非常にむだな金が省けて行くようになつて来るし、さらにまた総体の額がそういうことになりますれば、民間保険等に対する影響も非常に楽になつて参る、こういうふうに私は考えるわけであります。この点についてさらに私は局長の御意見を伺いたいと思います。
  43. 白根玉喜

    白根政府委員 考え方といたしましてはまつたく同感でございます。最高制限額引上げによりまして、募集しいい環境になることは事実でございます。従つて片島先生と逆な考え方をもしかりに持つとすれば、今まできめた募集目標を上げる考え方に持つて行かれると思うのでありますが、私どもといたしましては、一面最高制限額引上げによりまして募集しいい環境に持つて行くと同時に、それに照応して目標を上げるというような考えを持たないで、やはりある程度割当の目標は低めにしておきまして、良質契約をとつていただいて、維持の際に四苦八苦するような悪質契約をとらないようにして持つて行きたいという考え方でございまして、最高制限額引上げによつても、そういう考え方を持つ限りにおきましては、民間に対する影響もそう大きくならないで、しかも簡易保険も良質契約をかかえて参つて行くといういい結果になると存ずるのでございまして、まつたく片島先生のおつしやる通り考えております。
  44. 田中織之進

    田中委員長 簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、ほかに御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 田中織之進

    田中委員長 別にないようでございますので、本案についての質疑は終了いたしたいと思います。  実は民間生命保険協会の方から、昨日の理事会にもちよつと御相談申し上げたのでありますが、簡易保険最高制限額引上げてもらわない方がいいということについての意見を述べさせてもらいたいという申出が、委員長の手元まで出ております。この点については、最高引上げ反対意見をもし委員会として聞くということになれば、勢い均衡上積極的に引上げてもらいたいという、たとえば全逓労働組合等の意向も聞かなければならぬことになろうかと思います。なおこの点については文書等で、民間保険側の意見等も各委員の皆さん方も十分取入れられて、委員長の見るところでは事前審査及び本案が提案されまして以来の委員会質疑で、十分その点は委員の皆さんの質疑の中からもうかがわれるので、この際質疑終了にあたりましては、参考意見は十分皆さん方の方でおくみとりの上態度を決定せられることと思いますので、これはひとつ遠慮していただくようにしていただきたいと思います。
  46. 大上司

    大上委員 ただいま委員長から重大なる発言がございましたが、本件につきましては委員長の仰せられる通りであります。従つて私も委員会理事会の議を経まして、先般われわれ自由党の政務調査会等におきまして大蔵部会と話をした場合に、われわれがまじめに職責を履行し、なお審議資料にしたいと思いまして、特に理事会等の議決を得まして大阪に参りまして、住友生命、それから日本生命等のお方と、近畿財務局の所管の課長並びに部長立会いの上で、十分念査しております。従つていまさらわれわれがこの期に及んで幾多の御意見を聞く必要はさらにないと思いますので、特に発言をしておきます。
  47. 田中織之進

    田中委員長 ただいま大上委員よりの発言もございますが、参考意見聴取の件については、委員長のとりはからいを御了承願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 田中織之進

    田中委員長 なお最後に、これは民間保険側から提供された資料の中にあるのでありますが、非常に重要な資料だと思いますので、一点簡易保険局長に委員長から伺つておきたいのでありますが、それは簡易保険局事業概況による、出所はそうなつておるのでありますが、昭和二十八年十一月の簡易保険の新契約保険金額別の分布比率についてのパーセンテージが出ておるのでありますが、それによりますと、これはもちろん現行の八万円に引上げられてからのことでございますが、八万円の最高額が件数で二二・二%、七万円が一・八%、六万円が二・五%で、もとの最高限の五万円の契約件数が五四%になつておる。これは二十八年十一月でありますが、引上げ実施以来一年余を経過した後においても、八万円の最高額の契約件数が二二・二%で、前の五万円が五四%を占めるということは、いたずらに最高限を引上げても、なかなか最高限までの額には到達しないのではないか、こういう論拠に立つてこの資料提出されておるのでありますが、この点については簡易保険局としてどういうように見ておられますか、御説明を兼ねて御答弁を伺つておきたいと思います。
  49. 白根玉喜

    白根政府委員 最高限の引上げと平均保険料の問題でございますが、最高限を引上げてもそこですぐ必ず平均保険金額が上るのではないのでありまして、従来は最高制限額の約三%ないし四%程度が安定した時代でございました。従いましてただいまは八万円が五万円になりまして、五割以上の率になつておるということは、最高限が非常に低過ぎるという結果であると思うわけでございます。これが一点。一面、実を申しますと、やはり保険的に見ますと五万円刻みでないと食いつきぐあいが悪いのであります。六万円、七万円、八万円というよりも、五万円刻みの方に加入者の方々は食いつくのでございます。従いましてただいま委員長のおつしやいました件数は事実でございますが、実は半端な数字という影響も受けておるわけであります。なお五万円が多過ぎるということは、加入者といたしましては五万円の刻みが食いつきよいという数字に相なつておる、こう存ずる次第であります。
  50. 田中織之進

    田中委員長 それでは以上をもちまして、簡易生命保険法の一部を改正する法律案についての質疑を終了いたします。  ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  51. 田中織之進

    田中委員長 それでは速記を始めてください。  ただいま改進党の大高康君より簡易生命保険法の一部を改正する法律案につきまして、自由党、改進党、両社会党の四派共同提案にかかる修正案が委員長の手元に提出せられましたので、その説明を求めます。大高康君。
  52. 大高康

    ○大高委員 私は自由党、改進党、社会党両派を代表して、次の共同修正動議を提出いたします。  すなわち、改正法の「第十七条第一項中「八万円」を「十三万円」に改める。」とありますが、そのうちの十三万円を十五万円に修正するの動議であります。  なおこの際附帯決議をしておきたいと存じますが、御賛成を願いたいと存じます。すなわち、   附帯決議  一、保険制限額は最近の経済事情を勘案ずれば低位に過ぎるので機会を見て更に考慮すること。  二、保険料率並びに利益配分率は少くとも民間保険程度までに考慮すること。  三、国家資金の性格に鑑み、資金運用の範囲を拡大し、各種公益事業施設改善に融資するよう一段の努力を払うこと。  なおこれは地方郵便局舎等の改善も含んでおりますので、御了解願いたいと存じます。以上、附帯決議を御賛成願わんとするものであります。(拍手)
  53. 田中織之進

    田中委員長 次に本案について討論を省略して、ただちに採決に入りたいと思います。  ただいま大高康君より説明のありました修正案についてまず採決いたします。大高康君の修正案の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 田中織之進

    田中委員長 御異議なきものと認めまして、さよう決しました。  次にただいま議決されました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  55. 田中織之進

    田中委員長 起立総員。よつて修正部分を除く原案は可決いたしました。従つて簡易生命保険法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。  次に大高康君より提案のありました附帯決議につき採決いたします。本附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  56. 田中織之進

    田中委員長 起立総員。よつて本案はただいまの附帯決議を付することに決定をいたしました。  なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 田中織之進

    田中委員長 御異議なしと認めまして、さようとりはからいます。  郵政大臣より発言を求められておりますのでこれを許します。塚田郵政大臣。
  58. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 非常に大事な法案をきわめて短時日に御審議を終了していただきまして、まことにありがとうございました。なお附帯決議の条項を伺いましたので、今後とも御趣旨に沿うて鋭意努力いたしたいと存じます。
  59. 田中織之進

    田中委員長 それでは先ほども申し述べましたように、本委員会に付託されておるあとの三案につきましては、大体質疑も終つているように思いますので、次回の委員会質疑を終了して、委員会として採決をいたしたいと思いますので、各党それぞれ態度を次会までにおきめ願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十一分散会