運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-13 第19回国会 衆議院 本会議 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十三日(木曜日)  議事日程 第四十五号     午後一時開議  第一 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案内閣提出)  第二 特定の公務員の営利企業等への関与の制限に関する法律案中村高一君外十九名提出)  第三 国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  凍霜害緊急対策に関する緊急質問杉村沖治郎提出)  北海道災害対策に関する緊急質問永井勝次郎提出)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  入場譲与税法案内閣提出参議院回付)  土地区画整理法施行法案内閣提出参議院回付)  日程第一 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案内閣提出)     午後四時九分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 荒舩清十郎

    ○荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、杉村沖治郎提出、凍霜害緊急対策に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  凍霜害緊急対策に関する緊急質問を許可いたします。杉村沖治邸君。     〔杉村沖治郎登壇
  6. 杉村沖治郎

    杉村沖治郎君 私は、ただいま議題となりました凍霜害対策につき、日本社会党を代表して、政府に対し質問をいたすものであります。  わが党におきましては、去る五月八日凍霜害対策特別委員会を組織いたしまして、被害府県と目される十六府県中、埼玉、群馬、長野の三県について、五月十日の月曜日に現地調査行つたのであります。全国的の各種農産物について総合調査は未了でありますが、三県についての調査から推定いたしますと、まず桑の被害による繭の減収量は、四月二十一日の被害によるものが約五十万貫で、四月二十八日の被害はそれよりもはるかに大でありまして、五月二日までの被害による減収見込量は百五十万貫以上に及ぶのであります。桑以外の茶、ばれいしよ、果樹等被害は昨年の凍霜害の六割以上と推定され、麦につきましてはいまだ数学的にこれを表明することができませんが、本年の凍霜害は、全体的には昨年よりもその被害面積はやや少いのでありますが、局部的には昨年以上のものがあるのであります。  右の事実について第一に伺いたいのは、政府が今日までにお調べになつた全国各種農産物被害総額であります。  第二は、その被害について政府はいかなる措置をとられるか。農民の血の出るような悲痛なる訴えに基く私の政府に対する要望は、応急処置といたしまして、一、樹勢回復用肥料即時無償交付、二、病虫害防除薬剤無償交付、三、稚蚕児補給施設費補助、四、掃立不能蚕種代助成、五、夏秋蚕種購入費助成、六、蚕業技術指導強化費の増額、七、養蚕団体活動費助成、八、共済金即時概算仮払いの措置、九、農業桑園手形利子補給と延納の措置、十、営農資金の貸出しと返済延期措置、十一、課税減免措置であります。次に、恒久対策といたしましては、一、稚蚕共同飼育所並びに稚蚕共同桑園設置に対する助成、二、桑品種改良に対する助成、三、農業共済制度の改正、四、凍霜害予防資材費に対する助成、五、災害防除研究所設置等であります。  第三は、政府は凍霜害に対していかなる根本的予防対策を持つておるか。昨年あの大凍霜害があつたにもかかわらず、本年農林当局がやつたことは、わずかに気象観測所からの低温度の発表をしたにすぎないのであります。農民は、百年も前から、四月上旬より五月二、三日ごろ、すなわち俗に八十八夜のわかれ霜という時期までの期間というものは、日夜凍霜害の心配をして、明朝は危険だと思う前夜などは、夜通し眠らずに、たき火をしたり、おおいをしたりしてその予防に努め、また桑の種類並びにその仕立て方等を研究して、それを実行しておりますが、何分にも経済の伴うことで、思うようにできないのであります。本年私が調査したところによりますと、埼玉県の花園村の村長が、たき火の煙は上昇してしまつて横に広がることが少いため、資材と手間の割合に効果が上らないので、保安隊が演習のとき煙幕に使用する発煙筒を東京から買つて行つてこれを使用したところ、これによつて被害予防された面積は実に広大であつたのであります。これを使用した後の桑葉が蚕に対してどんな影響を及ぼすかはもとより未知であります。農民被害を防ぎたい一心からの研究結果であります。従つて政府がほんとうに大腰を入れて農民のため国家のためにやろうと思えば、根本的予防方法は決して至難のことではありません。  第四は、政府桑園増設をはかろうとしておるのかどうか。わが国桑園面積昭和十年が五十八万二千三百三十六町歩であつて、同年の生糸輸出量は七千三百二十五万ポンドでありました。しかるに、昭和二十八年の桑園面積はわずかに十七万四千四百九十二町歩で、生糸輸出量は八百五十万ポンドでありまして、その金額は百四十五億一千八百万円であります。これを他の輸出物に比較いたしますと、国内資源による外貨の獲得については、わが国経済に重大なる役割を果しておるのであります。しかしながら、政府の凍霜害に対する根本的予防並びにその救済措置が当を得ない場合は、農民桑園に対する魅力を失い、その増設の意欲は向上いたさないでありましよう。  最後に、私は、凍霜害救済措置について政府農民に対する愛情いかんという点に関して、特に次のことを付言して政府所信を承りたいのであります。私の見るところ、政府農民に対する取扱いはきわめて冷酷無慈悲であると断ぜざるを得ないのであります。日本経済農民の犠牲においてなされておると申し上げても過言ではないのであります。(拍手諸君日本中に、自己の生産物政府に値をきめられて、品物は先にとられ、金はあとから支払われ、これに応じなければ刑罰を受ける、それでもがまんして国家経済に協力しているのけ百姓だけであります。(拍手政府は今年の凍霜害についての対策の閣議を開いたことがありますか。農林大臣はそれを要求なさつたことがありますか。内閣延命工作に没頭するのみであつて、おそらくお開きにはならないと思うのである。(拍手)もしお開きになつたとするならば、その内容並びに結論を伺いたいのであります。  大蔵大臣は昨年の凍霜害について金を出し過ぎたとか申されたそうでありますが、もしそれが真実であるといたしますなれば、はなはだ遺憾千万であると申さなければなりません。大蔵大臣農林大臣も御存じの通りわが国財政経済の紊乱はいかがでありますか。昭和二十七年、農林省がビルマ米購入イラク大麦購入パキスタン米購入、小麦の輸入等に関して、国に与えた損害は八億二千二百二十万円であります。それは食糧庁のでたらめな経理の一部であつて、その全体は実に驚くべきものがあるのであります。ざらに驚くべきことは、政府昭和二十四年以来今日まで国民の血税を船舶会社に貸し与えた総額は実に九百九十二億一千九百万円であります。そのほか、船会社市中銀行から融資を受けた総額は七百億円でありまして、これらに対しいずれも利息すら払つておらないのにもかかわらず、政府は、この船会社の借金の利息支払いについて、昭和二十五年までさかのぼつてその利子補給をしてやるという法律を、昨年の第十六国会で、多数の力によつて、われわれの反対を押し切つてつくつたのであります。しかしながら、諸君天網恢々疎にして漏らさず、(拍手)遂に憲政史上空前の大疑獄を起し、法務大臣は、指揮権を濫用して、身みずから辞職せざるを得なくなつたのであります。かかるわが国財政状態から考察いたしますならば、昨年の凍霜害救済資金のごときは九牛の一毛にたも当らないのであります。(拍手諸君、それでも、その救済を受けるために、わが国に憲政しかれていまだかつて見たことのない、全国農民がむしろ旗を押し立てて上京して政府に陳情をした結果、ようやく与えられたものであつて、わずかの金額であるが、農民は随喜の涙を流して喜んだのであります。しかるに、続いて大水害打撃を受け、次には、悪徳きわまる保全経済会並びにこれに類する金融業者が、利権政治家と連絡のもとに、農民たんす預金から銀行預金に至るまで詐取して支払いをしないために、農民財政は窮乏に瀕しているこの際、この凍霜害を涙なくして見ることはできないのであります。  何とぞ、政府におかれましては、この農民に対して真に愛情を込めた農業政策の見地から、それぞれ所信をお聞かせ願いたいことを申し上げまして、私の質問を終ります。(拍手)     [国務大臣保利茂登壇
  7. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 去る四月二十一日及び二十八日の両日にわたります霜の被害に際しまして、農産物の受けました被害状況はただいま鋭意調査をいたしておりますが、桑におきましては被害面積約四万三千町歩、茶九千八百町歩、麦四万四千町歩、ばれいしよ一万三千町歩、その他合計十二万余町歩の広きにわたつておりますが、全体といたしますれば、昨年の凍霜害に比べまして、被害を受けました度合いは三分の一程度にとどまつているのではないかと察せられますけれども、ただいま詳細調査中でございまして、来週早々にはこの調査の結果が判明いたすように努力をいたしております。調査の結果判明いたしますれば、それぞれ適切な対策を講ずる所存でございます。  さらにまた、終戦わが国農家国家再建の上に果されております貢献は、私ども非常に大きいものがあると感謝をいたしておりますが、同時に、農家経済改善向上の他の部面に劣らざる実績と示していることは御承知通りであります。被害対策につきましては、調査の結果に基きまして善処いたす所存でございます。     〔国務大臣小笠原九郎登壇
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。過日の凍霜害被害状況につきましては、まだその計数の確定を見ておりませんが、大体において、前年度に比較いたしまして被害はさまで激甚でなく、また局地的のように見られておるのであります。被害農民各位に対しましてはまことに御同情にたえない次第でありまするが、被害状況並びにこれが対策につきましては、目下調査中でもありまするので、その結果を見た上で検討をいたしたいと存じます。(拍手)      ————◇—————
  9. 荒舩清十郎

    ○荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、永井勝次郎提出北海道災害対策に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  10. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  北海道災害対策に関する緊急質問を許可いたします。永井勝次郎君。     〔永井勝次郎登壇
  12. 永井勝次郎

    永井勝次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、今回北海道に発生しました暴風雨雪災害対策について、吉田総理ほか各大臣から御所信を承りたいと存ずるのであります。  暴風は、雨雪をまじえまして、去る十日午前一時から同日午後七時までの間にわたり、全道寸土も余さず荒れに荒れまわつたのであります。低気圧は九百六十ミリバール、日本海を横断して、西海岸から上陸し、北海道中心部を東に吹き抜けて、風速は最大の地域で三十六メートル、最小のところでも二十一メートルという強烈さであります。全道の南部三分の一はみぞれとなり、北部の三分の二は雪と化し、後志地区旭川地区は積雪一尺余に及んだのであります。季節はずれのこのような災害は、実に大正二年以来四十年ぶりのものであるということであります。  被害状況は、広汎な地域であり、いまだに通信、交通の十分に回復していない地帯もありまするので、はつきりとはいたしておりませんけれども、今までに判明したものは、人命死傷五十六名、家屋倒壊一万八千三十一戸、被害船及び遭難漁船は五百五十三隻、農業関係を初め橋梁河川港湾等被害概算は三十億円内外に達しておるのであります。さらに、被害とりまとめの見通しから申しまするならば、さらに被害額は拡大の見込みであるということであります。  御承知通り北海道気象は、本州方面に比べましても一箇月以上の遅れであります。山々はようやく青み、桜の花見に陽春をたたえ、半歳にわたる冬ごもりから解放された道民は、すべてはこれからであるという気合いにあふれておつたのであります。まことに北海道はこれから活動期に入るのであります。その出ばなに、どかんとたたきのめされたのが、この災害であります。北海道の憂愁、想像に余りあるものがあるのであります。  この際特に明らかにいたしておきたいと考えますことは、今次の北海道災害における特殊性についてであります。  第一の特徴は、災害規模が大きいということであります。従来の災害は、水害にいたしましても、震災、火災にいたしましても、被災地域はおのずから限界があつたのであります。凶作の場合でも、水稲は悪いけれども畑作はそれほどではないとか、睦は悪いが海は影響がなかつたとか、災害が部分的に済んでおるのでありますが、今回のは海陸とも寸土を余さぬ全地域にわたつておるのであります。  第二の特徴は、時間的に緊急性を持ち、災害的に発展性を持つておるということであります。御承知のように、北海道農業は、春から秋までの期間における非常に制限された期間内で作業をいたすのであります。春のまきつけが少し遅れましても、秋の霜が少し早く降りましても、すぐにそれは収穫影響いたすという関係にあるのであります。一つの型として申し上げまするならば、春から秋の期間が長ければ長いほど豊作であり、その期間の縮まるに比例して減収比率を増し、一定の限界以上に縮まるときには凶作となるのであります。今回の温冷床苗しろの被害は、被害額そのものが問題になるのではなくて、このことによつて生ずる水稲生育期間の縮減をいかにして最小限度に食いとどめ、秋の収穫に善処するかという、時間的措置として重視されなければならないのであります。水産関係も、再建期間に手間どることになりまするならば、北海道の漁期は座視して見送る結果となりまして、生産的にも生活的にも重大化内容を持つておるのであります。  第三の特徴は、年々の災害の累積の上にさらに加重された災害であるということであります。今回の罹災農民は、昨年の凶作に引続き、種もみ応急入手温床障子の再手当など、緊急事態の中で自力で立ち上る余力がないと考えるのであります。水産関係は、十勝沖震災オホーツク災害、さらには連年凶漁からの打撃の中から、はたして自力更生ができるかどうか、明らかであろうと思うのであります。  第四の特徴ね、個人災害比率が非常に高いということであります。道路橋梁河川港湾等公共事業費関係ならば、それぞれ取運ぶ道筋はあるわけでありまするが、人命死傷家屋倒壊生業における損害など、個人災害は、その緊急性深刻性の重大なるにかかわらず、最後はぼかされてしまうおそれが十分にあるのであります。  以上の所見に立ちまして吉田首相出席を求めてあつたのでありますが、御出席でありませんから、緒方総理お尋ねをいたしたいと思うのであります。対策各省に関連いたしますために、緊急を要する案件につきましては、所期するようにスムーズにはかどるとは考えられないのであります。また総合的に一貫して参らなければならぬと考えるのでありまするが、従来の例に見ましても、実際の現状にかんがみましても、その点において難渋するところが非常に出て参るのであろうと考えられるのであります。災害規模の広さと深さとその緊急性にかんがみまして、閣内に中心大臣を御選任していただき、総合的、一貫的に推進する機構を整備するお考えはないかどうか。また、今国会の会期は余すところ幾ばくもないのでありますが、何か特別の立法措置を講ぜられることといたしますならば、非常に急がなければならぬ問題であります。あるいは行政措置の中において足れりといたしますならば、既定予算のどれくらいの規模をもつてこれに充てられるお考えでありますか。災害実情がまだはつきりといたしておりません。大野大臣現地調査はこれからであるという現在の段階において、少しく無理であるかもしれませんけれども、内閣北海道災害に対する基本的な方針というようなものをお示しいただきたいと思うのであります。  次に、大野北海道開発庁長官お尋ねをいたしたいと存じます。大臣は、来る十五日から北海道現地調査にお出かけになられると聞いておるのでありますが、昨年西日本の大災害を処理いたされました体験を生かされ、その効果を期待するわけであります。今回の災害に対してはどのような態度で取組まれるお考えであるか。また、北海道総合開発計画の遂行には相当の影響があつたと考えるのでありますが、開発計画達成についてはいかなる御所見を持つておられるか。この点をお伺いいたしたいと存ずるのであります。  次に、農林大臣お尋ねをいたしたいと存じます。先ほど来申し上げました通りに、冷温床の苗しろの損害は二百四十二万六千坪であります。さしあたつて種もみ入手資材としての紙、ビニール、こういつたものを手入れをいたさねばなりません。畑作地帯におきましては、ビート、亜麻のまき直しをいたさなければなわません。温冷床苗しろにつきましては、水田にまだこれをおろしておりませんので、農業共済の対象にならないのであります。しかも、先ほど来申し上げました通りに、昨年は北海道は非常な冷害であり、種もみ入手につきましても昨年補助をいただいたというような実情からいたしまして、これが対策といたしましては、融資をするということだけでは、これは絵に描いたぼたもちにすぎないのでありまして、どうしても、利子補給であるとか、あるいは温冷床補助措置であるとか、こういつた思い切つた前進した対策の確立を望まなければならないと思うのであります。この点について御所見を伺いたいのであります。  また、水産関係につきましては、漁船損害は、現在なお行方不明が百十一隻あります。沈没、流失したものが二百二十八隻あります。大小破等を含めますならば、合計五百五十三隻の損害を受けております。漁網、漁具等流失損害等を計算いたしますと約五億に及ぶのであります。十勝沖震災オホーツク災害連年凶漁、こういつたものの積み重なりの上に、さらに、本年ようやく出漁の許可をとり、着漁準備も完了して、これからというその出ばなを根底からたたきのめされたのでありますから、一切は新規まき直し状態にあります。連年災害のこの打撃から考えまして、政府からよほどの補助的力を差添えていただかない限りにおきましては、自力では立ち上る力を持つておらないと考えるのでありまして、この点についての農林大臣の御所見を伺いたいのであります。(拍手)  さらに、家屋損害が一万八千何百戸というような多額に達しておるのでありますが、これらに関する応急的な措置といたしまして、農林大臣林野関係から建築資材補給について何らかの措置をとられるお考えがあるかどうか、この点を伺いたいと存じます。  次は厚生大臣でありますが、死傷者が五十六名、遭難漁船が百十一隻まだ行方不明であります。かりに一隻十人の乗組員といたしまするならば、千数百名の人命損害が予定されるのでありまして、北海道における沿岸地区が憂欝な状態に取巻かれておりますことは、想像にかたくないのであります。さらには、家屋倒壊が先ほど申し上げました通り一万八千三十二戸ある、あるいは病院診療所等倒壊も相当にあり、災害救助法の発動をした地域もある、こういう事態の中におきまして、厚生大臣は、死傷者に対する弔慰方法遺家族生業資金に対するつなぎ融資その他の金融的な措置、生産的な努力、こういうものに対してどのようなお考えを持つておられるか。最悪の事態に処する遺家族への対策の万全を期待いたしまして、お尋ねをいたしたいと存ずるのであります。  さらに、診療所病院等災害復旧に対しましては、財政資金の中から、つなぎ融資及び補助方途を講ぜられたい。家屋倒壊の中には引揚者住宅三棟の倒壊があります。御承知通り北海道は、終戦後、樺太、千島等関係からの引揚者を多く受入れておるのでありまして、これらの関係の者が従来軍関係の建物の中に収容されていたのでありますが、これが三棟倒壊いたしております。これらに対する早急の措置を講ぜられるお考えがあるかどうか、これらもあわせてお尋ねをいたしたいのであります。  次は文部大臣でありますが、学校倒壊が現在のところ三十余校あります。これらに対して、起債並びに復旧費補助に対して、あるいはつなぎ融資方途について、あるいは緊急な措置としての臨時の学生、児童の収容の措置に対する経済的な助成についてお尋ねをいたしたいと存ずるのであります。  次は建設大臣でありますが、橋梁道路河川港湾等損害は三億に及んでおります。これが緊急回復に要すべきものに、あるいはつなぎ資金措置災害復旧補助並びに起債特別財政措置考慮等、いろいろなものがあろうと存じますが、とりあえず、現地の実態を正確に把握して、緊急の措置を講ぜられることが望ましいと存ずるのであります。この点についてお尋ねをいたしたいと存じます。  次は通産大臣でありますが、通産大臣は、従来こういろ災害は主として土木関係中心を置かれまして、中小企業あるいはそういつた関係金融措置というものがないがしろにされがちでありますが、北海道における今回の災害個人的災害が非常に多いのでありまして、現地における中小商工業者罹災者との個人的関係に立つものが非常に多かろうと存ずるのでありまして、この点についての金融的な措置中小企業対策について大臣の御答弁を煩わしたいと存じます。  次は大蔵大臣でありますが、農林関係水産関係住宅関係あるいは罹災者救助対策災害土木復旧事業、あるいは道及び市町村の災害復旧事業の促進、学校建築復旧、これらの問題がここに山積しております。しかも、北海道は昨年の冷害凶作あとであります。金融措置、あるいはつなぎ融資、あるいは起債財政補助等にいたしましても、すべては大蔵大臣のさいふのひもの締め方いかんにかかつていると考えるのでありまして、これらの問題に対して、予備費八十億円の中には当年災害分が区分されておらないと考えるのでありますが、従来の特別措置法を適用するのか、行政措置の中においてこれらの問題をお考えになられるのか、この点についてお尋ねをいたしたいと存ずるのであります。  北海道は、たび重なる災害の中から、歯を食いしばつて現在立ち上つております。この道民の立上りに対して、それの呼び水となり、それの激励となる程度政府対策の具体的なお示しをこの際願いまして降壇いたす次第であります。(拍手)     〔国務大臣緒方竹虎登壇
  13. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 今回の北海道方面におきまする災害につきましては、まことに同情にたえないところであります。政府といたしましては、目下関係各省において被害状況調査中であり、調査の結果を待ちまして適切な措置を講ずるつもりでおります。なお、今後とも関係各省の緊密なる協力により、これに対処して参りたいと考えておりまするが、現在のところ特別の機関を設けることは考えておりません。すべては調査の結果にまつつもりでございます。(拍手)     〔国務大臣大野伴睦登壇
  14. 大野伴睦

    国務大臣大野伴睦君) お答えいたします。今回の北海道の風水害被害は、今日午前一時現在におきまして、私の方に参つておりまする被害は約二十八億円程度ということに相なつておりまするが、もとより交通機関並びに通信機関がいまだ杜絶いたしておる箇所も多々ありまするから、漸を追うてふえるものであろうとは考えまするが、いずれにしても、心より道民被害者に対してはお気の毒にたえません。御承知通り、官制上北海道開発庁は直接被害救助の責任官庁ではありませんが、しかし、北海道開発に非常な関係を有することでございまするから、私は、明後十五日朝一番の飛行機で、五日間の予定をもつてこの被害状況を視察いたしまして、つぶさに調査いたして、そうして各官庁と緊密な連絡をとつて善処いたしたいと存じております。(拍手)     〔国務大臣保利茂登壇
  15. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 北海道及び東北地方におきまする今回の災害で最も懸念せられます点は、仕立て後約十日に相なつておりました温冷床苗しろの被害でございますが、この温冷床苗しろの相当面積、約四割と想定せられるのでありますが、被害を受けておるその苗しろが、はたして今後回復をするかどうか、多少の修復をすれば持ち直し得る程度のものであるか、あるいは再仕立て、直播の方法等をとらなければならないかどうかというところが、この被害対策として考えるべき焦点であろうと存じます。これにつきまして、ただいま農林省から係官を現地に派遣いたしまして、実際の調査をいたします。但し、この災害発生直後、温冷床苗しろの資材として用意すべきものは、ただちにできるだけの数量を手配をいたしまして、現地に物は送つております。もみにつきましても、もしさらに手当を要するようであれば、至急手配をいたす所存でございます。  最も懸念せられますのは、根室沖において、さけ、ますの漁業に操業いたしておりました漁船が多数遭難をいたし、いまだ消息の明らかならざるものも相当隻数に上つているようであります。たび重なる災害によりまして、漁業の受けておりまする損害は相当厖大なものが想像せられるわけでございます。水産庁関係からも係官を現に北海道に派遣をいたして、これらをしさいに調査いたしておるわけでございまして、適切な処置をとつて参る所存でございます。     〔国務大臣草葉隆圓君登壇
  16. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) 今回の災害に対しまして、罹災を受けられました方々に対しましては衷心より御同情にたえない次第でございます。従いまして、さつそく災害の最も大きかつた三簡町村に対しまして災害救助法を適用し、その後四箇町村に追加をいたしまして、現在災害救助法を適用いたしております町村は四箇町村でございます。この災害救助法によりまして、これらの処置をいたして参りたいと存じます。  なお、お話の病院診療所等の資金、その他遺家族に対しまする処置等につきましては、今後の実情に即しまして適切なる処置を講じて参りたいと存じております。     [国務大臣大達茂雄君登壇
  17. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 今回の災害による学校被害でありますが、これは、ただいままでのところ、中間報告でありますが、被害枚数が、北海道と岩手県、宮城県、この両県を通じまして四十二校ということになつております。しかしながら、まだその被害程度その他についての詳細は不明であります。これは、すみやかにその実情調査を完了いたしまして、その復旧について、補助とか、あるいはまたつなぎ融資その他適当な措置を講じたいと考えております。     〔政府委員南好雄君登壇
  18. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申し上げます。  建設省関係の公共土木施設の災害につきましては、昨日中に判明いたしました被害は左の通りであります。  北海道庁の工事にかかわりますものが、河川で八十四箇所、経費にいたしまして七千六百五十万円でありまするが、海岸は六箇所で八千万円、道路が十一箇所で約三千八百万円、総計いたしまして百一箇所で約一億九千五百万円に達しております。また市町村工事に属しますものが、河川にいたしまして三箇所で約三百十万円、海岸にいたしまして二箇所で百五十万円、道路が五箇所で六百五十万円、橋梁が三箇所で百九十五万円余になつております。合計いたしまして千三百万円。これらを通算いたしますると、百十四箇所で二億八百万円に達しております。また、家屋につきましても、昨日中に判明いたしましたものは、全壊家屋は七百二十三戸半壊のものが千二百十四戸、小破に至りましては八千百戸以上に上つておるような状態であります。  これらの災害につきましては、目下北海道庁をして調査させておりまするが、詳細被害状況が判明いたしまするのを待ちまして、予備費の支出、家屋等につきましては公営住宅の建設あるいは住宅金融公庫よりの融資等によりまして、適切なる措置を講じたいと考えておりします。     〔国務大臣愛知揆一君登壇
  19. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ただいま御指摘の通り、今回の北海道の風水害によりまして、一般的な商工業関係被害も相当あるようでございます。ただいまその状況調査を早急にいたしておりまするが、昨年の夏の西日本地区の風水害の際にとりました諸般の施策を十分考慮いたしまして、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫等より適切なる融資効果的にいたすことを考えておるわけでございます。なお、直接の被害に対しまする対策の万全を期することによりまして、いわゆる間接被害最小限度にとどめるということを基本的な考え方にいたしたいと思います。(拍手)     〔国務大臣小笠原九郎登壇
  20. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。今次の北海道に発生した災害については、被害状況並びにこれが対策等について目下調査を急いでおる次第でありまするが、政府としては、その結果により、必要な措置を講ずる所存であります。(拍手)      ————◇—————
  21. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) お諮りいたします。参議院から、内閣提出地方税法の一部を改正する法律案地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案入場譲与税法案土地区画整理法施行法案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案を逐次議題とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  地方税法の一部を改正する法律案の参議院阿付案を議題といたします。
  23. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  24. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ————◇—————  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付
  25. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案参議院回付案を議題といたします。     —————————————
  26. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  27. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ————◇—————
  28. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 入場譲与税法案参議院回付案を議題といたします。     —————————————
  29. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  30. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立多数。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ————◇—————
  31. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 土地区画整理法施行法案参議院回付案を議題といたします。     —————————————
  32. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて参議院の修正に同意するに決しました。      ————◇—————
  34. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第一、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長上塚司君。     〔「総理はどうした」「総理を呼べ」と呼び、その他発言する者あり〕     〔上塚司君登壇
  35. 上塚司

    ○上塚司君 ただいま議題となりました日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案につきまして、外務委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、三月二十七日本委員会に付託せられ、同日木村国務大臣より提案理由の説明が行われました。そうして、その後五月十二日に至るまで会議を開くこと前後十回、その間、外務法務連合審査会を開きました。また、新聞、出版、産業及び法曹各界の代表者を参考人として意見の聴取を行う等、慎重に審議を重ねました。  御承知のごとく、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定はすでに国会を通過し、五月一日以来効力を発生いたしておりますが、政府当局の説明によりますれば、同協定の第三条第一項及び附属書Bの規定によりますと、アメリカ合衆国政府から供与される秘密の装備品または情報等については、その秘密の漏泄または漏泄の危険を防止するため必要な措置を講ずる必要があります。かつまた、日本国とアメリカ合衆国との問の船舶貸借協定第七条により、アメリカ合衆国から貸与される船舶についても同様その秘密を保護する必要がありますので、これをあわせて規定して、この法律案提出するに至つた次第であるとのことでありました。  続いて、木村国務大臣、岡崎外務大臣及び政府委員に対し、各委員より活発なる質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ることとし、そのうち最も注目すべきもの二、三をあげますれば、次の通りであります。  MSA協定は秘密保持に関して必ずしも立法措置を義務づけていないではないかとの委員の質疑に対しましては、元来わが国においては、戦後在日米軍の機密を保護するためのいわゆる刑事特別法以外には、防衛上の秘密保持に関する一般的な取締り法令が一つもありませんので、米国から供与ざれる秘密の装備品または情報等について、その秘密を十分に保護することができない状況にあり、政府としては本法律案を制定することを最も必要と信ずるとの答弁でありました。  次に、本法律案は米国側に提示されて立案されたもので、自主的な法律案ではないではないかとの質疑に対しましては、政府としては、日米相互防衛援助協定に基き、秘密保持に関し日米両国政府が合意する措置をとればよいのであつて日本政府は本法律案を最も適当と考えて立案したものであり、米国側はこれに対し合意を与えたもので、本案の内容日本政府が自主的に作成したものであるとの答弁でありました。  次に、本法が実施されると検閲制度が復活するのではないかとの質疑に対しましては、政府としては、検閲制度のごときものは全然考えていないとの答弁でありました。  また、防衛秘密の範囲が広過ぎはしないかとの質疑に対しましては、政府は、米国政府から供与される装備品等に関する事項にのみ限定され、しかも、いまだ公になつていないものというふうに、二重のしぼりをかけてあるから、その範囲は決して広大なものではないとの答弁でありました。  また、不当な方法で防衛秘密を探知しまたは収集した者の処罰規定を設けているが、不当な方法というのは明確を欠き、拡大解釈されやすく、言論、報道の自由を圧迫するおそれはなきやとの質疑に対しましては、政府側は、この不当な方法という用語は、日米行政協定に伴う刑事特別法にもすでに同様な規定を設けており、これが拡大解釈をもつて報道界その他に災いを及ぼすようなことは万ないものと信じており、現に刑事特別法の違反事件はわずかに二件あつたが、いずれも不起訴に終つたという答弁でありました。  また、本法の実施に伴い、秘密裁判が行われ、基本的人権が侵害されるのではないかとの質疑に対しましては、裁判は裁判所において、憲法第八十二条の規定に従つて、原則として公開で行われるものであるとの答弁でありました。  以上、質疑終了の後、本月十二日討論に入りましたところ、改進党並木芳雄君、日本社会党福田昌子君及び日本社会党河野密君から、それぞれの党を代表して反対の意見の開陳があり、また自由党今村忠助君から、同党を代表して賛成の意見が述べられ、続いて採決の結果、十二対十二の可否同数となりましたので、国会法第五十条により、委員長の決をもつて、本案は原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  36. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより討論に入ります。並木芳雄君。     [並木芳雄君登壇
  37. 並木芳雄

    ○並木芳雄君 私は、改進党を代表して、本法案に反対の討論をいたしたいと思います。  わが改進党はMSA本協定に賛成しておりますので、その第三条で約束した秘密保持について何らかの措置をとることに異存はありません。従つて、できれば本法案を成立させたいものと思い、建設的に審議をして参つたのでありますが、結果は、遺憾ながらどうしても賛成できないのであります。反対の理由は二つあります。一つは形式上の理由であり、他の一つは実質上の理由でございます。  第一の形式上の理由として、わが改進党は、日本の防衛体制整備に伴う一般的かつ基本的な機密保持に資するごとき法案に改むべしと主張するものであります。言いかえれば、日本独自の秘密保護法に衣がえをすべしというのであります。本法案は、アメリカから供与される装備品等について、すなわちアメリカの船舶、航空機、武器弾薬その他の装備品及び資材についての秘密を守ろうというのであります。それとアメリカの情報についての秘密を守ろうというのであります。守らるべき法律上の利益は、アメリカの秘密であつて日本の秘密ではございません。しかも、具体的に何が秘密であるかについては、日本政府に決定権がなく、アメリカで定められている秘密保護の等級と同等のものを確保する義務だけを負わされておるにすぎないのであります。アメリカの言いなりほうだいであります。その上、アメリカの事前の同意なくしては、日本政府の職員または委託を受けた者以外の者にその秘密を漏らしてはならないと協定をしておるのでありまして、国権の最高機関たる国会に対してさえ政府は報告または説明をすることができない場合も起り得るのであります。与党自由党の諸君はこれでよいのでありますか。これでは日本に全然自主性がなく、日本政府はただアメリカの代行機関として、アメリカの秘密を取締る番犬たるにすぎないのでありましす。  われわれは、アメリカの兵器でも、一たび日本政府に渡された以上は、その瞬間からそれは日本の軍艦なり飛行機なりになるものであることを確信しております。従つて、その防衛秘密は、自動的に日本自身の防衛秘密にかわつて参るのであります。近く防衛二法案の成立を見んとしておりまして、日本の防衛態勢は画期的な段階に入ろうとしております。そこには当然日本自身の一般的かつ基本的機密保護の必要が出て来るはずでございます。これを放任しておいて、アメリカのものだけについて秘密保護の法案をつくるのは、自主性を欠いておるばかりでなく、まつたく片手落ちであると申さなければなりません。こんなことでは、自衛隊はますます借物軍隊、下請軍隊、アメリカの雇い兵の感を深くするものであります。  私は、アメリカから供与されるものを自家薬籠中のものとして、完全にそれを日本の防衛秘密に消化してしまうべきであると信じます。日本の秘密であるから日本のためにこれを守るべしというのでなければ、どうして秘密保護の気持が国民の間に沸き上つて来るでしようか。すべからく、日本の衣を着た、日本自身の秘密保護法をつくるべきであつて、アメリカの秘密はたまたまそのわくの中に入つて来るという形態を整うべきであります。しかし、これは決してかつての軍機保護法のごとき、広汎かつ悪質の取締り法規をつくれということではありません。何百万という尊い人命の犠牲によつて闘いとつた民衆主義は、われわれのあくまで死守しなければならぬところであり、民主主義の鉄則である言論、出版、集会、結社などの表現の自由は、基本人権として確保しなければなりません。また、検閲制度のごときも絶対に阻止しなければなりません。従つて、軍機保護法のごときものの復活は断じて反対であります。この点、われわれの構想についていささか誤解があるやに聞いておりますので、特にこの際指摘しておく次第であります。このことは、次に述べるように、われわれが本法案の実質的内容について反対している点からもわかつていただけるものと信じます。  すなわち、反対の第二の理由として、わが改進党は、改めらるべき法案は、罪刑法定主義の原則に立つ明確かつ具体的な規定を内容とすべきであると強調するものであります。この法案の内容を検討してみると、不明確な点、抽象的な点があまりに多いのであります。たとえば、防衛秘密の範囲が明確でありません。もつと範囲を狭くして、はつきりさせるべきであります。また、たとえば防衛秘密を不当な方法で探知しまたは収集した者は罰するとありますけれども、この「不当な方法」とは一体何であるか、実に漠然としておるのであります。不法または違法な方法ならばまだしも、「不当な方法」では、あまりに限界があいまいであるため、取締りの官憲または裁判官によつて、いかようにも範囲を広げることができるのであります。これなどは削除すべきであると信じます。さらに、通常不当な方法によらざれば探知しまたは収集できないようなものを他人に漏らした者は罰せられるということになつております。「不当な方法」ということが不当であることは、ただいま申し上げました通りでありますが、その秘密をどんな人に漏らしても罰せられるということは、悪意のない人が悪意のない人に漏らしても罰せられるということになりまして、これはあまりに苛酷であると言わざるを得ないのであります。これでは国民をすべてスパイ視するがごとき結果となるのであつて政府だけが正しくて、国民は怪しいものであるという考え方は、昔ながらの官尊民卑の憎むべき現われであると断ぜざるを得ないのであります。私はこれも訂正する必要があると思います。  もう一つ例をあげれば、「業務により知得し、又は領有した防衛秘密を他人に漏らした者」は罰するとあります。この業務とは一体何をさすのか、どうにでも業務の範囲を広げることができるのであります。報道関係から強い反対が出て来るのも無理はございません。われわれは、「業務」の上に「防衛上の」と入れて、防衛上の業務に携おる者に限定すべきであるとの修正意見を持つておるのであります。そうして、そういう防衛上の業務に携わる者だけを厳重に秘密保持の建前から取締るべきである。それで十分目的を達せられるということ士信じておるのであります。  このほか、なお幾多の例をあげることができますが、時間の関係上これを省きたいと思います。  かかる不明確、抽象的な内容をそのままにしておいては、法の適用において、いたずらに主観に基いて一方に偏した取扱いが行われるおそれがあるのであります。勢いのおもむくところ、基本人権を侵犯する結果になつて来るのでありまして、われわれは最もそれをおそれるのであります。佐藤幹事長の逮捕許諾請求すら押えつけようとする暴挙をあえてした吉田内閣に、このような秘密保護法を持たせたならば、気違いに刃物の文字をそのままに、まつたく危険きわまりない話であると言わざるを得ないと思うのであります。(拍手)私は、よろしく、罪刑法定主義に基いて、具体的に法文に列記し、法文に現われざるものについての処罰をせざるようにすべきであると思います。断じて拡張解釈の余地なからしめるように改むべきであります。以上の見地から、われわれは本法案に反対せざるを得ないのでありますが、与党たる自由党は、このあとの討論で、おそらくMSAに賛成した改進党がこの秘密保護法案に反対するのはおかしいと言うでありましよう。なるほど、われわれは、MSA三条で秘密保持の措置をとることは約束はいたしました。しかし、それは必ずしも法律たることを必要といたしません。現に、フリゲート艦には秘密があるにもかかわらず、立法措置は講じておらないのであります。法律はなくても、行政措置によつて秘密を扱う防衛関係の者を厳重に取締れば、さしあたりは十分間に合うのであります。ゆえに、立法措置を講じなければアメリカから兵器が来ないというのは誤りであつて、その心配は全然ありません。  また、自由党はこう言うかもしれない。すなわち、一昨年制定された刑事特別法に改進党は賛成していて、同じよらな内容を持つた本法案に反対するのは矛盾しているではないか。なるほど、確かに刑事特別法と本法案とは同じような内容を持つておることは事実であります。しかし、刑事特別法は、日米安保条約に基いて行政協定に伴つてつくられた秘密保護の規定であつて、それは純粋にアメリカ軍自身の秘密を対象としておるのであります。今度のように、日本に供与されたものの秘密とは全然対象を異にし、性質を異にするものでありますから、この比較は見当はずれであると言わざるを得ないのであります。  最後に、自由党は、それならばなぜ改進党は修正案を出さなかつたのかと反問するかもしれない。その通り、われわれは社会党と違つて、MSAには賛成なのでありますから、この法案についても修正案を用意しようとしたのであります。しかし、検討して行くに従つて、単なる内容の修正だけでなく、根本的な態度と心構えをかえさせる必要を感じ、本法案の撤回を要求したのであります。そして、三派防衛折衝に移すべきことを主張したのであります。このことは、口がすつぽくなるほど政府に警告を発したのでありますが、政府は何ら反省の色を示さず、遂に原案のまま討論採決に持ち込んだのは、われわれとしてはまことに遺憾千万でございます。この法案が万一通るようなことがありましても、目下別途交渉中の艦艇貸与協定調印を見れば、この新しい協定に基いて秘密保護追加の必要が起り、今国会中にでもたちまち改正案を政府提出しなければならないというような不手ぎわに陥るのであります。もし改正案を出さないでいいなら、今度の艦艇貸与協定で供与される大型駆逐艦四隻には、適用さるべき秘密保護法はないという結果になるのであります。このような一番大きな艦船について、保護法がなくてよいというなら、他のより重要でないもののために本法案が必要であるという政府の主張は、もしこれが偽りでないならば誇張である、こういうふうに言わざるを得ないのでありまして、何ゆえに本法案を急いで通過させようとするのか、われわれはまつたく了解に苦しむものであります。保護法がなければ兵器が供与されないということは、まつたく政府がおどかしに使つておつたという結果になるのでありまして、われわれの主張のごとく、日本の防衛秘密法を一つつくつておけば、アメリカの兵器はひとりでにそのわくに入つて来るのであります。その都度一々改正案を出す必要はございません。一々改正法案を出すことは、防衛秘密ここにありと、政府が一番きらつているところのスパイに教えてやるようなものである、こら言わざるを得ないのであります。かかる矛盾と愚かさだけをとつてみても、われわれは本法案には絶対賛成できないのでありまして、ここに私は、重ねて政府に対し本法案の撤回を求め、わが主張に従うべきことを強く要求して、反対の討論を終るものであります。(拍手
  38. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 佐々木盛雄君。     〔佐々木盛雄君登壇
  39. 佐々木盛雄

    ○佐々木盛雄君 ただいま議題となりました日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法案に対しまして、私は自由党を代表いたしまして賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)  およそ一国の独立を確保し、その平和と安全を全うするためには、その国を外敵の侵略から防衛しなければならないことは申すまでもございません。しかるに、まずこの出発点におきまして、今日この秘密保護法案に反対する人々とわれわれとの間におきましては、その国家意識の根底において、その世界観の認識において、あるいはまたその世界情勢の分析におきまして、まつたく見解を異にいたしておるのであります。(拍手)彼らの祖国をソ連に求めんとする共産党が、日本の国土を共産陣営の侵略にささげんと企てることはもちろんでありましようが、共産党とは一線を画すると主張する社会党が、ソ連並びにその衛星陣営のなまなましい世界侵略の現実にことさらに目をおおい、いたずらに永世中立の観念論にうき身をやつし、日本を無防備の状態に放置せんといたしておりますることは、まことに嘆かわしい限りと言わなければなりません。(拍手)しかしながら、われわれは、祖国防衛をわれらの至上命令と考え、このためには、MSA協定の締結によつて自衛力の増強をはかる以外に今日の段階におきましては道なしと考えるのでありまして、幸いにしてMSA協定が衆参両院において圧倒的多数をもつて可決され、すでに効力発生を見たる今日、MSA協定第三条並びに船舶貸借協定第七条におきまして、アメリカから供与される武器や船舶等についての秘密を日本が守るべきことを確約しておりまする以上、今回の秘密保護法の成立は、国際信義の上からも日本に課せられた条約上の責務であると言わなければなりません。(拍手)  言うまでもなく、民主政治は多数決原理の上に立つものであります。MSA協定に対する両派社会党の反対理由につきましては、国会審議を通じ詳細承つたのでありまするが、すでに衆参両院とも、これらの反対論は少数意見として否決され、MSA協定は絶対多数をもつて承認されたのであります。しかりといたしまするならば、既往の感情や行きがかりを捨てて、MSA協定の義務条項である秘密保護の措置を講ずることに進んで協力することこそが民主政治の本道であろうと考えるものであります。(拍手)いわんや、MSA協定には賛成の一票を投じたその人が、MSA協定の明文によつて義務づけられた本法案に反対の一票を投ずるがごときことは、単に国際信義にもとるのみならず、自家撞着もまたはなはだしき態度と言わなければなりません。(拍手)  一部には、MSA協定第三条は日米両国間で合意する秘密保持の措置をとるべきことを規定したものであつて、必ずしも今回のごとき立法的措置を必要としないと説く向きもあります。なるほど、アメリカとMSA協定を結んでおりまする諸外国は、いずれも既存の軍機保護法を持つておりまするから、MSAのために特別の立法を必要としないのであります。しかし、今日日本におきましては、国家機密を保護するための法律は何ものもないのでありまして、国際スパイは白昼堂々と傍若無人に跳梁し、日本はスパイの楽園とすら呼ばれておる現状であります。これに対しましても、もしもかりに何らの立法措置をも行わずして、単なる政府行政措置のみをもつてしてその目的を果し得ないことは、今日までの幾多のスパイ事件の事実に徴してもきわめて明らかなところでございます。(拍手)しかも、アメリカが自国において軍機保護の厳重なる刑法上の規定を設けて秘密漏洩の防止をはかつておるのにもかかわらず、日本側はアメリカから供与を受ける武器の秘密保持について何らの立法措置を行わぬというがごときことは、まさに理不尽きわまる暴論と言わなければなりません。(拍手)  次に、本法と憲法との関係について、われらの見解を簡単に申し述べたいと存じます。ある者は、憲法第九条戦争放棄の規定に違反すると主張いたしております。しかし、およそ独立国が自存自立いたしまする限り、自衛権が国家固有の権利として認められておりますることは、国際社会の通念であります。従いまして、その自衛力強化のために、アメリカから武器、資材等の供与を受け、その秘密を保持いたしますることは、それが自衛権の範囲内である限り、わが国の防衛に有益でこそあれ、何ら憲法に違反するものではないのであります。  また、ある者は、本法は憲法の保障する言論、出版、表現の自由を圧迫するとの反対論を唱えております。すなわち、本法第三条において、不当な方法によつて防衛秘密を探知したり漏洩した者は処罰されるのでありまするが、主として新聞等の報道関係者が取材上必要とする行為をこの罰則規定における不当なる方法とみなされるおそれがあるから、この不当なる方法という字句を削除すべしとの要望もあるのであります。しかしながら、もしもかりにこの不当なる方法によつて秘密を盗んだ者を取締り得ないといたしまするならば、この罰則規定はまさにあつてなきがごとき死文と化し、防衛秘密の保持はまつたく不可能となるのほかはないのであります。近時、わが国社会の一部には、憲法に保障する基本的人権の自由のみを一方的に主張し、同じく憲法の命ずる公共の福祉をいささかも顧みない風潮がありますることは、まことに慨嘆にたえないところであります。(拍手)防衛秘密の漏洩によつて国の安全が害されるがごとき場合は、まさに公共の福祉に反する典型的な場合でありまして、かかる場合におきましては、基本的人権の自由にも最小限度の制約が加えられますることは、近代文明社会におきましては当然のことと申さなければなりません。(拍手)  そもそも本法にいう防衛秘密の対象となり得るものは、MSA協定並びに船舶協定によつて日本に供与される武器、装備品等のみについて、しかも最小限の範囲に限定されており、さらに当該秘密物件につきましては標記を付し、関係者には事前に通知する等の措置をとることになつておりまするから、いやしくも言論圧迫や人権蹂躪のおそれはないと考えるのでありまするが、しかし政府は、今後本法の運用にあたり、決して条文の拡大解釈をほしいままにするがごときことのないように特に留意し、少くとも本法の国会審議の過程におきまして政府の言明せる点につきましては、将来本法解釈の基礎資料となすべきことを、私はここに強く要望いたしておく次第であります。  最後に、改進党の主張に対して、わが自由党の所信を表明いたしたいと存じます。改進党の主張は、今回の政府提出にかかる本法案は単にMSA並びに船舶協定によつてアメリカから日本に供与される武器についてのみの秘密保護規定であるが、政府は何ゆえ日本独自の一般的防衛秘密保護法案提出しないのかというのであります。なるほど、今日世界のいずれの独立国をながめてみましても、たとえば日本と同じく軍隊を持たない西ドイツにおきましても、あるいはまた永久中立国たるスイスにおきましてすら、独自の軍機保護法を持つておるのでありまして、日本もまた、独立を回復いたしました風上は、日本独自の一般的軍機保護法を持つべきことはもとより当然でありますから、この限りにおきましては、改進党の提案には原則論的には大いに敬意を表する次第であります。しかしながら、このことと本法案とはまつたく別個の問題でありまして、MSA協定がすでに効力発生の今日、とりあえずMSA協定に伴う本法の制定はまさに焦眉の急務と言わなければなりません。  しかも、並木君は、本法の内容が不当に人権を圧迫するとの理由をあげておられまするが、本案の内容は昨年制定されました行政協定に伴う刑事特別法のそれとまつたく同一のものでありまして、刑事特別法に賛成した並木君が本法案に反対するのは、まことに論理の矛盾と言わなければなりません。(拍手)また、もしも真に建設的見地に立つて国事を憂えられまするならば、何ゆえ本案にかわるべき修正案を提出しないのかと反問せざるを得ないのであります。しかるに、今国会の会期もまさに終らんとする今日、しかも保守勢力の大同団結によりまして国難突破に挺身せんといたしておりまする今日、突如として青天の霹靂のごとくに、一般的かつ広汎なる軍機保護法の提出政府に迫り、さなきだにはげしい反対論の前に政府を立たしめんとするがごとき客観条件無視の主張は、およそ事の緩急をわきまえざる無法の論議と言わなければなりません。(拍手)しこうして、もし万一にも本法案の国会通過が遷延しあるいは否決されることになりますれば、MSAによる武器援助が中止されるのはもちろんのこと、秘密を守らない無責任な日本に対し防衛生産や域外買付の発注を期待し得ないことは、火を見るよりも明らかでございます。(拍手)かくては、共産侵略の脅威に直面する日本の防衛計画が重大なる危局に際会するのみならず、国際信用をまつたく失墜し、ひいてわが国経済に重大なる悪影響をもたらす結果となるのでありまして、われわれの断じてとらざるところであります。  われわれは、今や日本の防衛力の画期的増強がMSAの巨大なるパイプを通じてまさに開始されんとしておりますとき、そのパイプのバルブを開くただ一つのかぎが、すなわちこの秘密保護法であると考えまするがゆえに、いやしくも祖国の独立と平和と安全をこいねがう者は進んで本法のすみやかなる成立を期すべきであると、かたく信ずるのであります。  私は、ここに自由党を代表いたしまして、本案に満腔の賛意を表する次第であります。(拍手
  40. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 上林與市郎君。     〔上林與市郎君登壇
  41. 上林與市郎

    ○上林與市郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆる秘密保護法案、すなわち日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案に対しまして、反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)  本法案の本質と立法過程を見まするに、法案の名称それ自体が示すごとく、さきにわれわれが、日本の安全と平和を守るよりも、むしろ逆にこれを阻止し、アメリカへの軍事的従属による火中のくりを拾う危険大なるばかりでなく、まさに憲法違反なりとして、全国民の良心と輿論を代表して断固反対いたしました、いわゆるMSA協定第三条に基くものであります。(拍手)すなわち、MSA協定第三条の「秘密の漏せつ又はその危険を防止するため、両政府の間で合意する秘密保持の措置を執るものとする。」との規定に従い、その合意された秘密保持の措置として、今回アメリカから供与される武器及び装備等でアメリカが秘密としているものを、そのままわが国においても秘密としてこれを保持するための立法であります。従つて、当然、何が秘密であるかの決定も、アメリカの自由意思にゆだねられ、日本には自主的決定権は全然なく、実にこのように、その性格はアメリカの防衛秘密のみを保護する立法であることはあまりにも明らかであつて、これこそ独立国たるの権威を放棄して顧みない屈辱立法であると言わなければならぬと思います。(拍手)  われわれが、本法案に対しまして、まつこうから強く反対せんとする根本的理由の第一は、さきのいわゆるMSA協定と同様に、本法案もまた違憲立法であるという点にあります。第二は、憲法の根本精神である国民の自由と人権を蹂躪するその反動的性格であります。さらに、罪刑法定主義を無視し、権力者の自由な主観的裁量によつていかようにも判断される危険性と、国民をスパイ視することを内容とするところにあります。  申すまでもなく、日本国憲法は、人類の崇高なる理想を掲げ、戦争を放棄し、しこうして民主主義に徹した、少くとも政治上は秘密のない、また秘密を持たない国家であることを憲法で明確にしておるのであります。すなわち、憲法第三十七条においては秘密裁判を禁止し、すべからく裁判は公開であるべきことを明らかにうたい、また第五十七条においては国会審議公開の原則を明文化するとともに、さらに第七十六条において特別裁判所設置禁止を規定し、国民の自由と人権を完全に保障せんとしておるのであります。われわれといえども、本法案の中に直接にしてかつ具体的にこれら憲法の基本原則を真正面から否定し去らんとするところの条文設定があると断定するものではありませんけれども、しかし、本法案が国民の憲法によつて保障された基本的人権を侵害するおそれある内容を多分に包含しておるばかりでなく、法案自体の重要部分について多くの難点を残しておるにもかかわりませず、きびしい世論に抗してもなおかつ提案を余儀なくされておる政治的背量とその条件を考慮に入れまするときに、本法案成立後、近い将来においてかかる憲法の根本方針を無視しないとだれが保証できましようか。(拍手)今日、現に吉田政府は、その与党たる自由党とともに、みずからわが国が法治国家であることを否定するかのごとき手段、方法をもつて、基本法たる憲法をかつてに解釈することによつて、これを歪曲、空文化し、特定国の圧力に屈して、特定国のための再軍備に狂奔しておるではありませんか。従いまして、ただいま審議されておりますところのいわゆる秘密保護法案は、申すまでもなく、さきにすでに成立を見ましたいわゆる破防法、スト規制法並びにMSA協定等、今また全国民の反撃を押切つて強引に成立せしめようとしておる警察法の改正、教育二法案等々は、決して個々別々のものではありません。これは、ことごとくが一貫したる政府の憲法を無視して再軍備を強行せんとする反動諾政策の合法化と、アメリカの合法的内政干渉の道を開くための立法以外の何ものでもありません。(拍手)  しかるに、政府は、これはあくまで今回アメリカから供与される武器の秘密を保持するための最小限度の必要悪であると言つております。しかしてまた、その軍隊は戦力に至らざるものであり、その武器は戦力ではないから、憲法違反にあらずと答弁しておりますが、これは技術論的解釈論を防波堤としてここに逃げ込まんとしておるのでありますけれども、本法が一たび成立を見ますならば、好むと好まざるとにかかわらず、われわれが今から予見し危惧する通りに、日ならずして必ずや必要の限度を越えて拡張解釈がなされ、憲法第二十一条に保障された言論、出版、その他一切の表現の自由及び通信の秘密は蹂躪され、やがては検閲制度、秘密裁判及び憲兵組織の復活を見、ひいては国権の最高機関であります国会においてすら軍事予算の審議禁止に至るであろうことは、過去の経験の教えるところでありまして、われわれは、本法案は究極するところ旧軍機保護法の戦後版であり、治安維持注制定の一里塚になるであろうことを断言して、これに反対するものであります。(拍手)  以上、私は本法案に対するわれわれの基本的反対の理由について述べましたが、次に、その内容の若干を指摘して、さらに反対の論拠を明らかにしておきたいと思います。  本法案を検討いたしまして何人も指締するところのものは、国民の自由と人権を制限し、しかもこれを犯した者に対しては厳重なる刑罰を予定している法案であるにもかかわりませず、その内容があまりにもずさんであり、かつきわめてあいまいなる点であります。これは明らかに罪刑法定主義に反するものであります。  その第一は、第一条の、いわゆるアメリカ合衆国から供与される情報についてであります。政府の答弁によりますれば、それはいわゆるインフオーメーシヨンの意味で、たとえば青写真などがこれに該当すると言つておりますが、もしそうであるならば、なぜ具体的に明記しなかつたのでありましようか、われわれの理解に苦しむところであります。情報という字句は、すこぶる抽象的な表現で、きわめて広い意味を持つ観念でありますから、時の権力者の主観的自由裁量によつていかようにも解釈される危険性を多分に持つものであります。従つて、われわれは、政府が故意にかかる不明確な字句を使用することによつて、来らんとする拡張解釈のときに備えて、その余地を残したものと断ずる以外にないのであります。(拍手)  また、第二条のいわゆる防衛秘密は、立法によらないで、政令で自由に定めることができることになつております。しかも、官報その他の広報機関を通して、国民にこれが秘密であるということを周知徹底せしむる措置はとらないで、ただ単に防衛秘密について標記を付し、関係者に通知するにとどまつているのみである。これでは一般国民大衆が的確に識別することはとうてい不可能であるばかりでなく、秘密であるものを公然と標記することは秘密維持の本質上矛盾するから、むしろ、秘密は秘密だという理由によりまして、標記そのものが秘密にされるのではないかと疑われろのであります。(拍手)こうなりますと、秘密の所在が秘密にされるために、国民大衆は、知るための権利を奪われ、機会を失い、まつたくつんぼさじきに押し込められる結果となり、特に報道関係者はその報道写真に対する刑事上の責任に戦々きようきようとせざるを得ないことになるでありましよう。かくては、たとい不作意が当然には犯罪の対象にならないと規定しようとも、挙証責任は警察側にあるのであつて、被疑者が不作意であることを立証できなかつた場合は懲役十年という重刑が科せられる結果になりますので、元来がスパイを対象としております当然の帰結として、国民は常に日常行動の背後において不法な取調べや官憲による監視にさらされざるを得ないのでありまして、法治国家の法たるやを疑わざるを得ません。  最後に、第三条にいわゆる収集探知罪の、不当な方法で防衛秘密を探知し収集した者のこの不当な方法の限界がいささかも明確になつておらない点であります。しかも、不当という概念は、不法という概念よりもはるかに範囲が拡大されていることは、政府みずから認めているところでありまして、かくては、さきに述べました情報と同様に、いかようにも解釈され、報道、通信、撮影などばかりでなしに、単に観察する行為すらもが制約されることになるでありましよう。  以上、われわれは、本法案が単に条文に記載された兵器の秘密を守るにとどまらず、結局するところ、言論、出版、表現の自由を抑圧する結果となり、ひいては基本的人権を無視し、民主主義を否定し去るものであるという理由から、断じて容認しあたわざるところであります。今日、われわれといえども、率直に申し上げまして、米ソ二大陣営の冷たい対立が解消の段階に達しておるものと判断するものではありませんが、各国の戦争防止への努力と、世界人類の平和への熱願の高まりは、ジユネーヴ会議を見ても明らかなところであります。かかる国際情勢下において、政府みずからが何を好んでマツカーシー主義の荒れ狂うアメリカの世界政策に盲目的に同調し、日本を再軍備して太平洋あるいは東南アジア条約機構、いわば反共軍事同盟に無批判になり、国民の被害感を刺激しつつ、次々と反動立法の制定を急ぐのでありましようか。われわれの最も理解に苦しむところであります。また、政府並びに自由党は、みずから憲法や法律を無視して恥じないのでありますから、もはや国民の自由と人権に関連する重要立法の適格を欠くものと言わなければなりません。さらに、汚職と疑獄で満身創痍のためにみずから天下に解党を声明した自由党は、すでに政権担当の能力を喪失したものであると言わなければなりません。(拍手)政党政治を肯定する限り、政府は基盤のない根なし草になつておりますので、私はこの際、本法案も含めて、他の一切の重要法案と称する反動立法を、民主主義と憲法擁護の名のもとに、これを撤回せんことを強く要求いたしまして、私の反対討論を終ります。(拍手
  42. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 佐竹晴記君。     〔佐竹晴記君登壇
  43. 佐竹晴記

    ○佐竹晴記君 私は、日本社会党を代表して、本法案に反対の意思を表明いたします。  その理由の第一は、本法案は憲法を無視し、その精神を蹂躪するという点であります。わが党は、さきに、日米相互防衛協定に対して、憲法第九条に違反するものとして反対をいたしたのでありますが、今や防衛庁設置法案、自衛隊法案が審議され、何人がいかに弁解いたしましようとも、実際上の再軍備はすでに法制化される段階となり、これに伴う、いわゆるその軍隊に必要なる武器、弾薬、艦船、航空機等の装備品及び情報の秘密を保護しようといたしまして本案を提出するに至つたのでありますから、その憲法違反はさらに一層具体的に明示されたものと言わなければなりません。(拍手)防衛態勢の確立、自衛隊の創設、これに伴う秘密保持の制度樹立等々、まさにこれ政治の一大転換であつて国家の基本法たる憲法の改正なくしてできることではございません。しかるに、吉田内閣は、その根本問題と取組むことを避けて、基幹なき断片的、部分的法制を創設することによつてこれにかえ、あるいは憲法周辺の個々の法律の改廃によつて憲法改正を骨抜きにしようといたしておるのであります。これまつたく国会を愚弄し、国民を欺瞞するもはなはだしく、政府としてあるまじき態度であると言わなければなりません。(拍手)われわれは、かくのごとき憲法を蹂躪する脱法的立法には断じて賛成することができません。  第二には、本法律案は、憲法の他の条章並びに他の法令との間に一貫性を欠き、完全なる法律体系をなさない立法であるという点であります。憲法二十一条では、検閲を禁止し、また通信の秘密はこれを侵してはならないと明記いたしております。また憲法三十七条、八十二条においては裁判の公開を保障し、また同五十七条においては、国会の審議は公開を本則とする旨を明記いたしております。しかし、これらの条章をそのままに遂行いたしますならば、本法案の守ろうといたします秘密は公表されまして、その目的を達成することはできません。元来、わが憲法は、再軍備を予想しないのみか、再軍備に伴うて派生いたしまする一切の軍国的色彩を抹殺いたしますることを使命として立法せられたのでありますから、その憲法下において事実上再軍備を強行し、これに伴うて起きるところの人権の制限、軍国的規律を法制化そうといたしますことは、それ自体無理であります。その間に一貫性を欠き、矛盾撞着いたしまして、運営ははなはだ困難とならざるを得ないのであります。  さらに、ここに重大なる問題を提起せざるを得ない。それは刑事訴訟法との関係であります。すなわち、刑事訴訟法第五十三条においては、「何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。」とございますので、もしこの法案が成立をいたしましたあかつきに違反者を出しますときは、その記録は公然閲覧に供せられ、秘密は公開されることになります。しかも、その記録閲覧は法の認める権利でありますから、これをもつて不当に秘密を探知したものと言うことはできません。従つて、この法案こそ、秘密保護法にあらずして、逆に秘密公開法と化するでございましよう。(拍手)もつとも、同条二項によれば、この公判が公開を禁止されたときは、その記録の閲覧に制限が加えられておりますることはもちろんでありまするが、しかし、憲法八十二条二項但書には、政治犯罪、出版に関する犯罪または憲法第三章に保障する国民の権利が問題となつておる事件の対審は常にこれを公開しなければならぬとございます。しこうして、刑事訴訟法五十三条三項には、憲法八十二条二項但書に掲げた事項については閲覧を禁止することができないとあるのでございます。よつて、本法律案が成立いたしましたときは、その違反事件の大部分が秘密宣伝の役割を演ずるという逆効果を生ずるのでございましよう。まつたく頭隠してしり隠さずの法律とはこれをささざるを得ないのであります。(拍手)かようになりましたゆえんは、前述のごとく、憲法その他の諸法令との間に、趣旨一貫しない、体系をなさないことを露呈した結果であつて、かくのごとき矛盾撞着を含んでおる不合理なる立法には賛成することができません。  第三には、本案は、その自主性を欠き隷属的立法であると同時に、内政干渉の具に供せられるおそれがあるという点であります。本案は、日米相互防衛協定に基く義務法案であつて、アメリカ政府の必要性に重点が置かれて、日本の政治の自主的要求に基くものでないことはきわめて明らかであります。もしも日本の自衛軍独自の必要性に出発をいたしたものといたしますならば、日本自身の秘密もあるはずでありますから、当然これを規定しなければならぬのでありますが、本法案は一切これに触れず、アメリカより供与されたる装備品及び情報のみに限つておるのであります。しかも、何が秘密であるか、まつたくアメリカ側の決定するところであるのみならず、また日本政府は、本法のほかに、アメリカの事前の許諾なくしてはその秘密を関係者に伝達することができない行政的義務を負つておるのであつて日本の自主性はまつたく無視されておるのであります。かくて、日本の自衛隊はアメリカの兵器によつて武装され、自衛隊の報道はすべてアメリカによつて検閲され、本法案の通過を機会として、軍事に関する指揮権はまつたくアメリカにゆだねられることになりましよう。その結果、日本の自衛隊ではなしに、米国の軍隊化し、日本国民の目から遮断されたる秘密軍隊になるに至るでありましよう。(拍手)かくのごとくにいたしまして、防衛秘密の名のもとに重大なる指導権がアメリカの側に与えられる以上、これを通じで内政干渉の行われることは、けだし当然であります。かような、日本の自主性を無視し、隷属ないし内政干渉への道具に使われる本法案には、断じて賛成することができません。  第四には、本法案における防衛秘密は、政府の説明によれば自然秘でありますが、その範囲、限界がきわめて不明瞭であるという点であります。この点については、すでに前論者が、るるこれを申し上げておりますから、省略いたします。  第五には、本案が成立すれば、国民に与えられたる基本的人権の侵害されること大であるという点であります。まず検閲の問題でありますが、政府は検閲をしないと言つておる。しかし、この法律案が通過いたしましたならば、おそらく第一線にありまする警察官は、実際において容赦なくこれを断行するでありましよう。現に、去る十一日、衆議院地方行政委員会において、猪俣議員より斎藤国警長官に対して、警察大学においては、手紙をひそかに開封する法、住居に忍び込む法、金庫を開く法、相手に気づかれぬように写真をとる法などを教育、訓練しておるがどうかとの質問に対し、国警長官は、これを肯定し、かついわく、共産党の情報をとるためにそのような講習を行つている、警察への協力者が問題の封書をこつそり渡してくれた場合、開封した形跡が残つては協力者が立場に困るから、特殊のあけ方をしてその協力者に返すのである、また、かぎが間に合わないときには、金庫やトランクをあける技術も必要である、ただこれは違法にならぬ範囲でやつておる、と答えております。普通ならば知らぬ存ぜぬと逃げるところでありますが、今や堂々と国会でこのような公言をするありさまであります。ある警察首脳部は、首にかけてもこれくらいのことはやらねば警察の任務は勤まりませんと豪語いたしておるのが実情であります。国警長官は違法にならぬ範囲でやつておると言うのでありますが、憲法二十一条には、明確に「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」と明記いたしております。犯罪捜査上、証拠品として押収、開封いたしますならばともかく、共産党の情報を知るためであるといつても、憲法の保障する人権を蹂躪することは断じて許されません。(拍手)これを犯せば明らかに刑法百三十三条に該当し、警察官がやつたからといつても、その罪責を免れ得べき性質のものではないにもかかわらず、国警長官は、平気で、ただこれは違法にならぬ範囲でやつておるとうそぶいておるありさまでありますから、今回の法案が通過いたしまするならば、その秘密保持のために、おそらく右のような国法を犯してまでも検閲するという恐るべき取締りが平然として行われるに至ることは、きわめて顕著なことと言わなければなりません。(拍手)次いで、本法案が通過いたしまするならば、本案の内容限界が不明確のために、また過失を罰することによつて、一般的言論の自由を抑圧し、善良なる国民に不測の災害を及ぼすおそれのありますことはもちろん、言論機関、通信報道陣の活動に重大なる制約を加えるおそれのありますことは、きわめて顕著であると言わなければなりません。  終りに、この際大いに考えなければならないことは、今日の政局と吉田内閣の反動性にかんがみ、この法案成立のあかつきには、どのように濫用されるかわからないという危険であります。(拍手総理大臣よ、お聞きなさい。あなたは、国会で、ばかやろう呼ばわりをあえていたしました。またステツキも振りまわしました。あなたは乱暴者である。(拍手)検察庁が自由党の最高幹部を逮捕しようといたしまするや、神経痛と称して国会へもろくに顔を出さないくせに、そのときばかりは、がばと起きて急遽上京し、法務大臣に何と耳打ちをしたかわからないが、たちまち検察庁法第十四条の強権が発動されて、犯罪容疑者が政権擁護のもとに逮捕を免れるという実情にあり、参議院ではさすがに黙りかねたと見えて、総理大臣、あなたに対して面と向つて参議院議員が言つたでしよう、乱心したのではないかと。(拍手)これはまつたく正常なる姿ではありません。新聞でも雑誌でも、随所に、気違いに刃物という文字が今日繰返して用いられている。今日、政治の実情が、気違いに刃物を持たせるに似たる状態にあることを放置せざるを得ない現状において、さらにここに秘密保護法という刃物一本を追加するということは、いかに大衆を不安ならしむるか、国民の身にもなつて考えを願わなければなりません。(拍手)かような恐怖を感ずる不安法案には絶対反対をいたします。(拍手
  44. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せらんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     [各員投票]
  45. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票漏れはありませんか。投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖  投票を計算いたさせます。     [参事投票を計算〕
  46. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 四百三十一   可とする者(白票) 二百三十一     〔拍手〕   否とする者(青票)    二百     〔拍手
  47. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 右の結果、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)     —————————————     〔参照〕  日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名    相川 勝六君  逢澤  寛君    青木  正君  青柳 一郎君    赤城 宗徳君  秋山 利恭君    淺香 忠雄君  麻生太賀吉君    足立 篤郎君  天野 公義君    荒船清十朗君  有田 二郎君    安藤 正純君  伊藤 郷一君    飯塚 定輔君  生田 宏一君    池田  清君  池田 勇人君    石井光次郎君  石田 博英君    石橋 湛山君  犬養  健君    今村 忠助君  岩川 與助君    宇都宮徳馬君  上塚  司君    植木庚子郎君  内田 信也君    内海 安吉君  江藤 夏雄君    遠藤 三郎君  小笠 公韶君   小笠原九郎君  小川 平二君    小澤佐重喜君  小高 熹郎君    尾崎 末吉君  尾関 義一君    越智  茂君  緒方 竹虎君    大上  司君  大久保武雄君    大西 禎夫君  大野 伴睦君    大橋 武夫君  大橋 忠一君    大平 正芳君  大村 清一君    岡崎 勝男君  岡田 五郎君    岡野 清豪君  岡本 忠雄君   岡村利右衞門君  押谷 富三君    加藤 精三君  加藤 宗平君    加藤常太郎君  加藤鐐五郎君    鍛冶 良作君  金光 庸夫君    川島正次郎君  川村善八郎君    河原田稼吉君  菅家 喜六君    木村 武雄君  木村 俊夫君    木村 文男君  菊池 義郎君    岸  信介君  岸田 正記君    北 れい吉君  久野 忠治君    熊谷 憲一君  倉石 忠雄君    黒金 泰美君  小枝 一雄君    小金 義照君  小坂善太郎君    小平 久雄君  小西 寅松君    小林  鋳君  小林 絹治君    小峯 柳多君  佐々木盛雄君    佐瀕 昌三君  佐藤 榮作君    佐藤善一郎君  佐藤 親弘君    佐藤虎次郎君  佐藤洋之助君    坂田 英一君  坂田 道太君    迫水 久常君  始関 伊平君    塩原時三郎君  篠田 弘作君    島村 一郎君  庄司 一郎君    首藤 新八君  助川 良平君    鈴木 仙八君  鈴木 善幸君    鈴木 正文君  瀬戸山三男君    關内 正一君  關谷 勝利君    田口長治郎君  田子 一民君    田嶋 好文君  田中伊三次君    田中 角榮君  田中  好君    田中 彰治君  田中 龍夫君    田中 萬逸君  田渕 光一君    高木 松吉君  高田 弥市君    高橋 英吉君  高橋圓三郎君    高橋  等君  竹尾  弌君    武田信之助君  武知 勇記君    玉置 信一君  津雲 國利君    塚田十一郎君  塚原 俊郎君    辻  寛一君  土倉 宗明君    綱島 正興君  坪川 信三君    寺島隆太郎君  戸塚九一郎君    徳安 實藏君  苫米地英俊君    富田 健治君  中井 一夫君    中川源一郎君  中川 俊思君    中村  清君  中村 幸八君    中山 マサ君  仲川房次郎君    永田 良吉君  永田 亮一君    長野 長廣君  灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君  南條 徳男君    丹羽喬四郎君  西村 英一君    西村 直己君  西村 久之君    根本龍太郎君  野田 卯一君    羽田武嗣郎君  葉梨新五郎君   馬場 元治君  橋本登美三郎君    橋本 龍伍君  長谷川 峻君    鳩山 一郎君  花村 四郎君    濱田 幸雄君  濱地 文平君    林  讓治君  林  信雄君    原 健三郎君  原田  憲君    平井 義一君  平野 三郎君    福井  勇君  福田 赳夫君    福田 篤泰君  福田  一君    福田 喜東君  福永 健司君    藤枝 泉介君  船越  弘君    船田  中君  降旗 徳弥君    保利  茂君  坊  秀男君    星島 二郎君  堀川 恭平君    本多 市郎君  本間 俊一君    前尾繁三郎君  前田 正男君    牧野 寛索君  益谷 秀次君    増田甲子七君  松井 豊吉君    松岡 俊三君  松崎 朝治君    松田 鐵藏君  松永 佛骨君    松野 頼三君  松山 義雄君    三池  信君  三浦寅之助君    三和 精一君  水田三喜男君    南  好雄君  宮原幸三郎君    村上  勇君  持永 義夫君    森   清君  森 幸太郎君    八木 一郎君  安井 大吉君    山口喜久一郎君 山口 好一君    山口六郎次君  山埼 岩男君    山崎  巖君  山崎  猛君    山田 彌一君  山中 貞則君    山本 勝市君  山本 正一君    山本 友一君  保岡 武久君    吉田  茂君  吉田 重延君    吉武 惠市君  渡邊 良夫君    亘  四郎君  辻  政信君    只野直三郎君  否とする議員の氏名    赤澤 正道君  有田 喜一君    五十嵐吉藏君  井出一太郎君    伊東 岩男君  池田 清志君    稻葉  修君  今井  耕君    臼井 莊一君  小山倉之助君    大麻 叫男君  大高  庸君    加藤 高藏君  金子與重郎君    川崎 秀二君  吉川 久衛君    楠美 省吾君  栗田 英男君    小島 徹三君  河野 金昇君    齋藤 憲三君  櫻内 義雄君    笹本 一雄君  志賀健次郎君    椎熊 三郎君  重光  葵君    白浜 仁吉君  須磨彌吉郎君    園田  直君  高瀬  傳君    高橋 禎一君  舘林三喜男君    床次 徳二君  内藤 友明君    中嶋 太郎君  中曽根康弘君    中村三之丞君  並木 芳雄君    長谷川四郎君  廣瀬 正雄君    藤田 義光君  古井 喜實君    古屋 菊男君  本名  武君    町村 金五君  松浦周太郎君    松村 謙三君  三浦 一雄君    粟山  博君  柳原 三郎君    山下 春江君  山手 滿男君   吉田  安君 早稻田柳右エ門君    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君    足鹿  覺君  飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君  井谷 正吉君    伊藤 好道君  猪俣 浩三君    石村 英雄君  石山 權作君    稻村 順三君  小川 豊明君    加賀田 進君  加藤 清二君    片島  港君  勝間田清一君    上林與市郎君  神近 市子君    木原津與志君  北山 愛郎君    久保田鶴松君  黒澤 幸一君    佐々木更三君  佐藤觀次郎君    齋木 重一君  櫻井 奎夫君    志村 茂治君  柴田 義男君    島上善五郎君  下川儀太郎君    鈴木茂三郎君  田中織之進君    田中 稔男君  多賀谷真稔君    高津 正道君  滝井 義高君    楯 兼次郎君  辻原 弘市君    永井勝次郎君  成田 知巳君    西村 力弥君  野原  覺君    芳賀  貢君  萩元たけ子君    長谷川 保君  原   茂君    福田 昌子君  古屋 貞雄君    帆足  計君  穗積 七郎君    細迫 兼光君  正木  清君    松原喜之次君  三鍋 義三君    武藤運十郎君  森 三樹二君    八百板 正君  安平 鹿一君    柳田 秀一君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山田 長司君    山中日露史君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横路 節雄君    和田 博雄君  淺沼稻次郎君    井伊 誠一君  井上 良二君    井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  池田 禎治君    今澄  勇君  受田 新吉君    大石ヨシエ君  大西 正道君    大矢 省三君  岡  良一君    加藤 勘十君  加藤 鐐造君    春日 一幸君  片山  哲君    川島 金次君  川俣 清音君    河上丈太郎君  木下  郁君    菊川 忠雄君  小平  忠君    小林  進君  河野  密君    佐竹 新市君  佐竹 晴記君    杉村沖治郎君  杉山元治郎君    田中幾三郎君  竹谷源太郎君    長  正路君  辻  文雄君    堤 ツルヨ君  戸叶 田子君    土井 直作君  冨吉 榮二君    中井徳次郎君  中居英太郎君    中崎  敏君  中澤 茂一君    中村 高一君  中村 時雄君    西尾 末廣君  西村 榮一君    日野 吉夫君  平岡忠次郎君    細野三千雄君  松井 政吉君    松平 忠久君  松前 重義君    三宅 正一君  三輪 壽壯君    水谷長三郎君  門司  亮君    矢尾喜三郎君  山口シヅエ君    山下 榮二君  吉川 兼光君    吉田 賢一君  岡田 春夫君    風見  章君  川上 貫一君    黒田 寿男君  館  俊三君    中原 健次君  中村 英男君    安藤  覺君  池田正之輔君    河野 一郎君  中村 梅吉君    松田竹千代君  松永  東君    三木 武吉君  山村新治郎君    有田 八郎君  原   彪君      ————◇—————
  48. 荒舩清十郎

    ○荒舩清十郎君 残余の日程は延期し、明十四日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  49. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十八分散会