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1954-04-22 第19回国会 衆議院 本会議 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十二日(木曜日)  議事日程 第三十七号     午後一時開議  第一 北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案南條徳男君外二十一名提出)  第二 運輸省関係法令整理に関する法律案内閣提出)  第三 金融機関再建整備法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 旧日本占領地域本店を有する会社本邦内にある財産整理に関する政令の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案南條徳男君外二十一名提出)  日程第二 運輸省関係法令整理に関する法律案内閣提出)  日程第三 金融機関再建整備法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 旧日本占領地域本店を有する会社本邦内にある財産整理に関する政令の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出)  通商に関する日本国カナダとの間の協定批准について承認を求めるの件  厚生年金保険法案内閣提出)  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  建設機械抵当法案内閣提出)     午後四時二十三分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。     〔「総理を呼べ」と呼び、その他発言するもの多く、議場騒然〕      ————◇—————
  3. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 ……。     〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) よく聞えませんから、もう一度お願い申し上げます。
  5. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議を……。     〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  6. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 静粛に願います。  ただいまの荒船君の動議は「議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、猪俣浩三提出佐藤榮作逮捕請求に対する法務大臣の指揮権発動に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。」とのことであります。……。     〔「総理を呼べ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) ただいまの動議提出者から撤回されましたので、議長日程従つて議事を進めます。(拍手)      ————◇—————
  8. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第一、北海道開発のためたする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案日程第二、運輸省関係法令整理に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長關丙正一君。     〔關内正一君登壇
  9. 關内正一

    關内正一君 ただいま議題となりました北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案及び運輸省関係法令整理に関する法律案について、運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、従来予算措置として行われております港湾施設用地建設改良に要する費用に対する国の負担率法律上明確にいたしますとともに、港湾施設を、公用のため必要なものを除き、港湾管理者にその負担範囲内で無償譲渡し、その他は管理を委託することにいたそうとするのであります。  本法案は、四月十九日本委員会に付託され、翌二十日提出者代表南條徳男君より提案理由説明を聴取し、二十一日質疑が行われましたが、内容会議録に譲ることといたします。  同日、討論を省略し、ただちに採決の結果、本法案起立総員をもつて原案通り可決すべきものと議決いたしました。  次に、運輸省関係法令整理に関する法律案について申し上げます。  本法案は、運輸省関係法令のうち、法令目的を達しまして、すでにその存続の意義を失いました太政官布告二件及び法律二十一件を廃止いたそうとするのであります。  本法案は四月十九日本委員会に付託され、翌二十日政府より提案理由説明を聴取し、二十一日質疑討論を省略し採決の結果、本法案起立総員をもつて原案通り可決すべきものと議決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  10. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  12. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第三、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案日程第四、旧日本占領地域本店を有する会社本邦内にある財産整理に関する政令の一部を改正する法律案日程第五、閉鎖機関令の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事黒金泰美君。     〔黒金泰美登壇
  13. 黒金泰美

    黒金泰美君 ただいま議題となりました金融機関再建整備法の一部を改正する法律案外二法律案につき、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案は、金融機関調整勘定処理を一層促進するとともに、これまで未処理のままとなつていた在外店舗にかかる資産及び負債についても、すみやかにその処理を促進しようとするものであります。すなわち、金融機関は、新たに在外資産負債処理勘定を設けまして、当該金融機関への帰属が確定した在外資産調整勘定利益金残額等を同勘定資産の部に計上し、これら資産範囲内で、本邦住所を有する者、閉鎖機関または在外会社に対し未払い送金為替外地預金等在外債務を支払うこととし、特に未払い送金為替につきまして一件の金額五万円までの部分は優先的に支払うこととし、その不足する支払い資金調整勘定から借り入れることができることといたしております。  次に、旧日本占領地域本店を有する会社本邦内にある財産整理に関する政令の一部を改正する法律案について申し上げます。  この本案は、金融機関である在外会社につきまして、在外店舗にかかる債権債務のうち、未払い送金為替在外預金等にかかる債務特殊整理対象に組み入れ、本邦内に住所を有する個人法人及びその他の閉鎖機関在外会社に対して、現在残存している国内資産範囲内で小額債務を優先して支払うこととし、その場合受領人に対して有する反対債権を相殺することができることといたそうとするものであります。なお、これらの債権債務の中には現地通貨による表示のものもありますので、これらを本邦円貨額に換算するための所要規定をも設けております。  次に、閉鎖機関令の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案——閉鎖機関につきまして、これまで未処理のままとなつていた在外店舗にかかる債権債務のうち、未払い送金為替外地預金等については、本邦内に住所を有する個人法人及びその他の閉鎖機関在外会社に対して、現在残存している国内資産の限度内で支払いを行い得ることとし、その場合受領人に対して有する反対債権を相殺できることとしようとするものであります。なお、これら債権債務のうち、現地通貨建ないし外貨建のものについて、その額の本邦通貨額への換算につきまして所要規定を設けております。  次に、閉鎖機関外地にある財産についても、特殊清算人は、大蔵大臣承認を得て、管理処分等の職務を行い得るものとし、また、閉鎖機関債務のうち小額のものについて、これを信託または供託して弁済を免れ得る等の規定を設けております。  以上三法案につきましては、本委員会に付託されて以来慎重審議の後、昨二十一日質疑を打切り、討論に入りましたところ、内藤委員より、閉鎖機関令の一部を改正する法律案について次のような附帯決議が提案されました。すなわち   政府は、旧横浜正金銀行等についても速かに未払送金為替及び在外預金の支払ができる措置を講ずるとともに、特殊清算人債権者のために弁済すべき財産を信託する場合には主たる利益代表者に信託することとする等、引揚者の利益をうも考慮して、本改正法運用に遺憾なきを期せられたい。というのであります。  次に、三法案を一括して採決いたしましたところ、三法案並びに附帯決議はともに起立総員をもつて可決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  14. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 三案を一括して採決いたします。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  16. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、通商に関する日本国カナダとの間の協定批准について承認を求めるの件を議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  17. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  通商に関する日本国カナダとの間の協定批准について承認を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員長上塚司君。     〔上塚司登壇
  19. 上塚司

    上塚司君 ただいま議題となりました通商に関する日本国カナダとの間の協定批准について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  本件は、四月九日内閣から国会に提出、本委員会に付託されましたので、十日、二十日及び二十二日の三回におたり会議を開き、審議を重ねました。  まず本協定署名を見るに至りました経緯を申し述べますれば、日加両国間の通商関係は、戦前におきましては旧日英通商航海条約によつて規律されておりましたが、この条約昭和十七年に失効いたしました結果、わが国からカナダ輸出される産品は同国の最高関税率である一般関税率を適用されることになりました。このため、わが対カナダ輸出は著しく阻害され、昨年のごときは輸出千五百万ドルに対し輸入一億四百万ドル、差引八千九百万ドルの輸入超過という片貿易を示している実情であります。よつて政府は、相互最恵国税率を与える協定を締結する目的をもつて、一昨年十一月、オタワにおいてカナダ政府との間に交渉を開始いたしました。その後、昨年十月ジユネーヴで開催されました関税及び貿易に関する一般協定、すなわちガツト会議において、カナダは他の英連邦諸国とまつたく態度を異にして、日本の同協定に仮加入することに同意いたしました結果、これを契機としてこの協定締結交渉は著しく促進され、去る三月三十一日、オタワにおいて、両国代表の間でこの協定署名を見るに至りました。  この協定内容は、前文、本文七箇条及び末文からなり、このほかに三つの付属交換書簡があります。この協定において注目すべき諸点を列挙いたしますれば、第一、両国関税事項に関し相互最恵国待遇を与えること、第二、両国原則として相互貿易制限に関する非差別的待遇及び外国為替制限に関する最恵国待遇を与えるが、国際収支擁護のために必要な差別的制限を行い得ること、第三、国家企業または特権を有する企業貿易が非差別的待遇原則に基くべきこと、第四、この協定は一年間の効力存続期間を有し、その後は三箇月間の予告をもつて協定を終了させることを得ることを定め、さらに、交換書簡において、一、沖縄に対して与えられている利益についてはこの協定最恵国待遇規定が適用されないこと、二、カナダ政府が、国内産業に重大な損害を与える産品輸入に対し、その損害を防止しまたは救済するために必要な関税評価を行うことができること、但し、その場合においては、他国から輸入される同様の産品の価格を考慮に入れるべきこと、及び事前に日本国に通告して協議すべきこと、三、日本国政府が、両国間で別に合意される例外を除き、小麦、大麦、木材パルプ亜麻仁種子銅地金鉛地金亜鉛地金合成樹脂及び粉乳に対して無条件の非差別的待遇を与えること等であります。  委員会においては、本件に関する政府当局説明を聴取いたしました後、質疑が行われましたが、これらについては委員会議録により御了承を願います。  続いて討論に入り、自由党福田篤泰君、改進党並木芳雄君、日本社会党穗積七郎君並びに日本社会党戸叶里子君から、それぞれ党を代表して賛成の意が表明され、採決の結果、本件は本日全会一致をもつてこれを承認すべきものと議決いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  20. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。本件委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本件委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————
  22. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出厚生年金保険法案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  23. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  厚生年金保険法案議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員会理事青柳一郎君。
  25. 青柳一郎

    青柳一郎君 ただいま議題と相なりました厚生年金保険法案審査経過並びにその結果の大要を御報告申し上げます。  勤労者恩給制度として戦時中に制定せられました現行厚生年金保険法は、終戦後の情勢下において各種の不合理な点を生じて参つたほか、特にインフレによる混乱により、長期保険として勤労者生活安定をはかる本来の使命達成の成否を疑わしめるような著しい困難に陥つたのであります。これが対策として数次にわたり法律改正が行われておるのでありまして、寡婦年金遺児年金等を新設するとともに、いまだ支給期に到達していなかつた養老年金年額千二百円程度まで圧縮し、それによつて保険料率を引下げる等の措置が講ぜられておるのでありますが、これらはいずれも臨時応急的のものたるにとどまり、その当時から、ある程度経済が安定したあかつきにはその全面的改正が予期されておつた次第であります。その後わが国経済が急速なる立直りを示すとともに、他面、勤労者生活保障のための社会保障制度拡充整備はますます必要の度を加えて参つたのみならず、本年からは坑内夫に対し養老年金支給が開始される関係もありますので、この際、被保険者総数現在七百五十万人に及ぶこの厚生年金保険制度の全般にわたつて再検討を加え、保険給付内容を改善し、かつその将来にわたつての恒久的な財政計画を樹立することによつて長期保険としての基礎を確立しようとするのが、政府の本法律案提出理由であります。  そのおもな点について申し上げますれば、第一に、標準報酬については、できるだけ被保険者の賃金の実態に合うようにするとともに、労使の負担増を考慮しながら若干の引上げを行うこととし、その最高現行の八千円から一万八千円と改めております。  第二に、すべての年金給付老齢年金給付内容中心として均衡を保つような体系を考慮いたしておりますが、現行遺族年金寡婦年金鰥夫年金及び遺児年金はこれを一つの総合的な体系に統一して、新しい遺族年金制度を設けることとしておるのであります。  第三に、年金給付の額については、定額報酬比例額を加えたものとし、さらに、被保険者によつて扶養される者の数によつて加給年金支給し、生活実態に沿い得るようなものといたしておるのでありますが、現行法において年額わずかに千二百円となつている老齢年金の額の最低を二万一千六百円とし、標準報酬の額に応じてさらに増額することとし、また障害給付については、障害程度を合理的に区分するとともに、障害程度増悪軽減に応じて給付額を増減し得るように改めております。なお、従来支給していた年金のうち低額なものは一定額まで引上げるよう特別の措置を講ずることといたしておるのであります。  第四に、脱退手当金制度を合理化いたしております。  第五に、坑内夫以外の一般保険者年金についての国庫負担割合を一割から一割五分に引上げることといたしております。  第六に、労資負担を勘案しつつ、財政均衡を将来にわたつて保ち得るようにするために、保険料率を調節するとともに、少くとも五年ごとに再計算することとしたこと等であります。  本法案は、三月二十九日付託、同三十日厚生大臣より提案理由説明を聴取した後、連続十数回にわたり、きわめて熱心なる質疑応答が行われたのであります。  その質疑につきまして少しく申し上げますれば、現行厚生年金船員保険等年金制度公務員恩給制度を含めて全被用者を対象とした総合的年金制度を設け、将来はこれに一定自営業者等をも加えた国民年金制度を設ける意思はないかとの質問に対しては、国民年金制度は、社会保障制度審議会の勧告の次第もあり、それを将来の理想として、今回の改正もこれが実現への第一歩を踏み出したものである、但し、各種年金制度にはそれぞれの沿革、特徴もあり、また利害を異にしておるから、今ただちにこれを実施することは困難であるが、厚生年金をも将来における年金制度中心とする構想を持つているとの答弁がありました。  次に、厚生年金制度によつていまだ救われていない多数の労働者のための適用範囲を常時五人未満従業員を使用する事業所等にも拡張する意思はないかとの質問に対しては、現在常時従業員五人未満のような中小企業の労務の実態が把握されていない上に、中小企業並びに保険財政への影響、事務従事職員大幅増員等の問題も起つて来るので、なお十分研究の上措置したいとの答弁がありました。  次に、老齢年金年金額定額部分報酬比例部分を加味することによつて構成し、その定額部分を月千五百円としているが、これでは生活保護法による生活扶助額にも達しないから改正すべきであるとの質問に対しては、厚生年金定額部分生活保護法生活扶助基準額の二級地男子六十才以上とほぼ見合うものであるが、これに報酬比例部分を加えれば、最低額のものでも月千人百円となつており・二人世帯以上の場合に理論的には生活扶助額を下まわることもあり得るが、事実問題としてはかかる例はあまり多くないと思われる、但し資力調査をせね建前の年金資力調査を行う生活保護とを金額のみについて比較することは適当ではないとの答弁がありました。  次に、現行公務員に対する恩給制度民間勤労者に対する厚生年金制度との問には、その給付金額並びにこれに対する国庫負担割合においてはなはだしい不均衡があるが、これを是正する意思はないかとの質問に対しては、民間企業においては退職金制度が相当程度普及しており、これと厚生年金とをあわせてみる場合には、ほぼ均衡を得ているとの答弁がありました。  次に、現在大蔵省資金運用部管理運用している厚生年金積立金は二十九年度末において約千百億円余の巨額に達する見込みであるが、労資双方よりの強制的醵出金である性格にかんがみ、これが運用については民主的、効率的方法を講じ、被保険者及び使用者意思を反映して還元融資に努力すべきではないかとの質問に対しては、積立金運用については、年金の将来の財源として特に安全確実ということが最も大切であり、巨額積立金を確実有利に運用するためには、それ相当の機構とスタツフをそろえてかかる必要があるので、今後慎重に検討する意向であるとの答弁がありました。  以上のほか、標準報酬保険金額内容保険料率等の詰問題に関しても熱心なる質疑が行われたのでありますが、その詳細は会議録について御承知願いたいと存じます。  なお、本法案重要性にかんがみ、四月九日公聴会を開き、早稲田大学教授主局信氏外六名の公述人から意見を聴取し、また同十七日には労働委員会との連合審査会を開いたのでありますが、これらの詳細についても会議録について御承知願いたいと思います。  かくて、昨二十一日質疑を終了し、本日各派共同提案になる修正案提出せられ、自由党青柳より趣旨の説明を聴取したのであります。  本修正案の要旨は、一、基本年金額定額部分を一万八千円から二万四千円に引上げること、二、遺族年金の子または孫に関する受給資格要件たる年齢を十六才未満から十八才未満引上げること、三、加給金対象となる子の年齢を十六才未満から十人才未満引上げること、四、従前遺族年金寡婦年金遺児年金の例による保険給付に関しても、子または孫の年齢を十六才未満より十八才未満引上げること、五、従前障害年金の例によつて支給する保険給付の額の最低額を二万一千六百円から二万七千六百円に引上げ、また従前遺族年金寡婦年金鰥夫年金または遺児年金の例によつて支給する保険給付最低額を一万八百円から一万三千八百円に引上げること等であります。  次いで、修正案修正部分を除く他の原案を一括して討論に入りましたところ、改進党を代表して山下委員日本社会党を代表して萩元委員、同じく日本社会党を代表して杉山委員よりそれぞれ希望を述べて賛成意見の開陳があつたのであります。  討論を終了し、まず修正案について採決いたしましたところ、全会一致可決すべきものと決し、次いで修正部分を除く他の原案について採決いたしましたところ、これまた全会一致可決すべきものと決したのであります。よつて、本法案は修正可決すべきものと議決した次第であります。(拍手)  なお、自由党青柳より各派共同提案による次の附帯決議案提出せられたのであります。朗読いたします。    附帯決議案   今回提案せられた厚生年金保険法案を見るに、将来勤労者のための年金制度中核体となるべきものとしては、未だ不満とする点が少くないが、政府は次回の改正期までの間に可及的速かに適用範囲従業員五人未満事業所へ拡大し、又標準報酬については、健康保険法等と同様その最高額を三万六千円まで引き上げる等、これが内容充実を図るとともに、進んで国民年金制度樹立への基礎として、まず現行各種年金制度について綜合的見地より根本的改正を行うことに最善の努力を払うべきである。   なお本法案の運営に関しては、政府は速かに次の諸施策の実現方に酒進すべきことを要望する。  一、巨額に上る厚生年金保険積立金管理運用については、効率的民主的措置を講じ、特に醵出者意向を反映し得るよう工夫すること。  二、老人ホーム等収容施設及び療養施設を増設して年金受給者年金により老後生活を営み得る方途を講ずること。  三、年金受給権を担保とする金融の途を講ずること。右決議する。  以上であります。しかして、全会一致附帯決議を付すべきものと決した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  26. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより討論に入ります。長谷川保君。     〔長谷川保登壇
  27. 長谷川保

    長谷川保君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました厚生年金保険法案修正案並び修正部分を除く原案に対しまして、なお多くの点について不満がありまするが、賛成の意を表せんとするものであります。  第一に、わが国における社会保障制度の確立は焦眉の急を要するものでありますが、この厚生年金保険こそは将来のわが国社会保障制度の根幹となるべきものであります。さればこそ、本法は俗に労働者恩給とも言われ、今回の改正にあたりましては、社会保障制度審議会を初め各方面から、これを機会に、今日わが国に行われておりまする各種年金恩給社会保険共済組合制度統合等を意図しての改正並びに適用範囲の拡充が強く要望せられたのであります。しかるに、本法案には何らその意図すら示されず、問題をそのまま将来に残したのであります。  第二に、本法案は、常時五人未満労働者を使用する全国百三十万事業所と、その三百三十万の労働者にこれを適用しないことにいたしたのであります。農民や漁民や一般自営業者をも全部除外いたしました。政府答弁によりますれば、これらの国民を適用者とすれば、保険料徴収等の事務費がかさむこと、保険財政が苦しくなること等の理由から、これは将来に譲るというのであります。一体社会保障制度とは何でありますか。個人の尊重と社会連帯の精神から、いわゆる所得の再配分をして貧富の差を少くし、すべての人に人たるに値する生活をさせるというのではありませんか。劣悪な条件で働いている人々にこそこれを適用すべきではありませんか。事務費がかさむ、保険財政が弱体になるとの言いのがれをする前に、なぜ国家がこの生活不安定の人々を守る、すなわち国庫負担を増額することを考えないのでありましようか。造船の利子補給をして茶屋遊びをする金は国から出すが、報いられること少くして、毎日営々として社会の基盤でありまする生産にいそしむこれらの人々に出す余地が国にないというのは、筋の通らない、ふかしぎ千万な話であります。(拍手)  第三に、給付年金額があまりにみじめな少額であることであります。すなわち、政府案によりますれば、坑内夫諸君の老齢年金におきましては、家族構成二・六人といたしまして一箇月わずか二千六百七十一円、修正案によりましても三千百七十一円であります。これが炭坑内で十数年働き、苦しい中から毎月賃金の千分の百二十三を保険料として強制積立てさせられた労働者の一箇月分の老齢年金の額であります。どうしてこれで親子夫婦が生活して行けますか。この給付額は、あの生活扶助費よりも少いのであります。これを国家公務員諸君の恩給に比べてみますと、厚生年金におきまして、初任給三千円の労働者が毎月給料の総収入の千分の十五を保険料として二十年間かけて、月給、手当を含めて一箇月一万八千円とるようになつて退職して、年齢が六十才になると、一箇月につき二千九百五十円を給付せられるようになる。国家公務員恩給では毎月本俸の千分の二十を納めた者が十七年勤めて、退職時月給八千百二十円となると、この両方の人々が同じ二千九百五十円を恩給として給付されるのであります。しかも、恩給は四十五才から給付が始まる。厚生年金保険におきましては六十才から給付されるのであります。遺族年金でも、遺族二人として一箇月一万八千円の総収入の労働者年金と、月俸八千五百円の公務員の扶助料が同額の月千九百円であります。傷痍、廃疾者のための障害年金に至りましては、もはや言うに忍びない大きな開きがあります。私は公務員恩給が多過ぎると言うのではありません。労働者厚生年金があまりに少な過ぎると言うのであります。そうして、恩給には無制限に国庫が負担をする。厚生年金には国が一割五分ないし二割しか金を出さない。諸君、これで日本国民が公平に扱われていると言えるのでありましようか。(拍手)  第四に、積立金の問題であります。労働者の血の出るような賃金の百分の三の保険料の積立金が、二十九年度末で千百六十余億円になります。将来これが実に全国の銀行の総預金に匹敵する二兆六百億円になると計算されております。この積立金は今日まで政府の一方的な意図のもとに大蔵省資金運用部資金に繰入れられ、年三分五厘ないし五分五厘で運用されております。この積立金こそは資金運用部の原資中で最も長期かつ安定した資金で、専門家は当然年九分にまわると申しております。もし二十九年度積立金一千百億円を年九分にまわせば、少くとも現在より年四十億円多くの利子を得ることができます。二十九年度の厚生年金べの国庫補助はわずか八億八千万円であります。従つて厚生年金保険では、国庫補助どころか、事実は逆に労働者が一年間に国によつて三十数億の損をさせられているという計算になります。(拍手)この金があれば、年金給付政府定額千五百円を二倍の三千円にしても、一年に十七億ふえるだけだから、十分まかなえますし、五人未満事業所へ適用することも何でもありません。保険料を下げることもできるのであります。  しかも、さらに奇怪なことは、この厚生年金積立金をかくのごとく低利で強制利用している資金運用部資金会計の二十八年度余剰金三億数千万円が一般会計に繰入れられ、また本国会においてこの余剰金は今後郵便貯金勘定に繰入れられることにきめられたのであります。諸君、強制保険として血の出るような保険料を支払わせられ、この自分らの積立金をかくも低い利息で、使われ、一言の発言権も許されないで、かつてに使用されて、かくも無残に少額の年金しか与えられない労働者は、他面月一割の高利や質屋通いでその日の生活をしているのだということを、われわれは絶対に忘れてはなりません。(拍手)このゆえに、労働組合を初め、学識経験者や日経連まで、この積立金は現に共済組合がやつているように、被保険者使用者、学識経験者、政府関係者をもつてする民主的運営機関に移して、これを保険関係者の住宅、福紙対策、金融等に用い、利子をもつて保険料の引下げをすべしと主張しているのでありますが、本法案には何らその企図がありませんのはまことに遺憾のきわみであります。  以上のほか、わが党は、第三種被保険者に、坑内夫のほか、塵芥、有毒ガス、有害放射線、高熱、高圧その他の不健康業務及び重労働者を含めること、標準報酬を船員保険同様最低四千円より最高三万六千円までに引上げること、また被保険者を将来起り得べきインフレーシヨンより守るために、物価の変動により年金給付の額を一割以上増減する必要のあるときには、社会保険審議会は厚生大臣に適当な勧告をし、厚生大臣はこの勧告に従い必要な措置を講じなければならないこと、また年金額定額三万六千円に最終五箇年の平均標準報酬を基準とする報酬比例額を加えたものとすること、老齢年金を免税とすること、また年金受給資格の期間並びに年齢を、それぞれ坑内夫等については十二年と五十才に、一般については十五年と五十才にし、また障害手当金の額を基本年金額の百分の二百に、遺族年金額を老齢年金額の五分の三にし、さらにまた、遺族一時金の制度を復活するよう、すみやかに再改正すべきであると考えるのであります。さらに障害年金の等級を合理化し、また年金給付に対する国庫負担を三分の一とするほか、各党共同の附帯決議をすみやかに実現するよう切望するものであります。  以上の討論によりすでに明らかなことく、わが党は本法案並びに修正案に対してなお押えがたき大いなる不満を持つものであるが、すでに昨年十一月より開始されに老齢年金が、保険料を月百二十円かけて年金わずか百円の給付を受けるという恐るべき現状にありますので、さしあたつて労働者諸君とその遺族を守らんために、やがて来るであろう社会党政権下における本年金法の全面的改正を深く心に期しつつ、韓信のまたくぐりの心情をもつて修正案並びに残りの原案に対し賛成するものであります。(拍手
  28. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 岡良一君。     〔岡良一君登壇
  29. 岡良一

    ○岡良一君 私は、ただいまの厚生年金保険法案につきまして、日本社会党の立場から、具体的な数字に即しての分析、希望はるる長谷川君より申されましたので、簡潔に原則的な点についての希望を強調いたしたいと思うのであります。(拍手)  今日、各党がお互いに競つて社会保障制度実現を主張いたしておりまするが、しかし、現在のわが国社会保障制度体系の中で、今日行われている年金制度ほど各個ばらばらであつて不統一きわまるものはないのであります。その関係上、社会保障制度審議会もすでに三回にわたつてこれが整備と統一を勧告いたして参つたことは、諸君も御承知の通りであります。公務員恩給といい、地方公共団体の共済組合年金制度といい、公共企業従業員のそれといい、また民間産業労働者厚生年金といい、私学教職員の年金制度といい、実にこれらはまつたく無関係制度化され、多年にわたつて放任されて参りました結果として、年金を受ける資格においても、これが支給を開始する年齢においても、受取る額においても、年金給付に対する国庫の補助率におきましても、まつたく各個ばらばらであつて、従つて厚生年金保険法の今度の改正では、このように不完全、不統一な年金制度を一本にとりまとめようという大きな理想があつてしかるべきであつたと思うのである。しかるに、今回政府提出いたしましたこの年金保険法案は、なるほどその一条一条はぬかりなく整えられてはおりますけれども、ただそれは立法上の技術的な巧妙さにとどまり、われわれの期待する現行年金制度の統一、進んでは全国民を対象とする国民年金制度の実施に対しての何らの意欲も示されておらないことは、まことに遺憾千万と申さねばならないのであります。(拍手)  すでに憲法二十五条の理念によつて明らかに国の責任において国民の最低生活を保障されていなければならないにもかかわらず、公務員の普通恩給が六万円になんなんとするとき、労働者年金年額わずかに千二百円に捨ておかれておる。本改正をもつてしても、本年から支給される坑内夫年金は四万円にも満たないのであつて、これでは法の前に平等であるべき国民の生活権がまだまだきわめて不平等な状態に放任されておるばかりではなくて、古色蒼然たる明治時代の遺物、官尊民卑、官僚独善の思想が現在の年金制度に強く温存されておる。(拍手)このような事実は、国民を主権者とする今日の民主主義の原則とは絶対に相いれないものと言わなければならないのである。(拍手)  特に現在の経済事情から見ましても、また世相から見ましても、日本の老人たちはほんとうに不安な気の毒な立場に立つておる。甘えの新聞を見ても、老人夫婦の自殺がしばしば伝えられておる。従つて、私どもは、今日わが国において、社会保障制度の中でも特に国民の老後の生活に対しては、いち早く責任ある保障の道を講じ、日本の老人たちをいたわることを急がねばならないのであつて、これは政府の当然の第一義的な社会保障制度の課題であろうと思うのである。  現に英国においては、六十才を越えたおじいさん、六十五才を越えたおばあさんについては一週間に千三百五十円の養老年金支給され、しかも有料老人ホームが至るところにつくられ、その一週間の支払いは千五十円、二百五十円の小づかい。しかも、英国の老人たちは、養老院の門をくぐるときにも、堂々と自己の生活権に対する自覚を持つて老人ホームに入つておる。日本のように、肩身狭い思いで、民生委員のお世話になつて養老院に入つておるのとは事かわつておる。このような老人ホームにおいて子供の遊び場がある。一体老人ホームに子供の遊び場があるのはと私が管理者に尋ねたところが、日曜日などになると、かわいい孫たちがこのホームにやつて来て、おじいさんやおばあさんと遊ぶのであると答えたのである。これは英国社会保障制度の一点景ではありますけれども、しかし、ここにこそ人間の生活の権利と社会の国民に奉仕すべき義務とがまつたく渾然として溶け合つた新しい民主主義の家族制度の姿があるのである。  すなわち、われわれは、今ただちに実施し得ないとしても、当然に五入以下の事業所においてもできるだけすみやかにこの年金法の適用を急ぐべきであり、これを通じて将来における全国民、自営者にもこの適用範囲を拡大すべきであろうと信ずるのである。このような状態にある労働者が三百三十万、百三十万の事業所という実に大きな部分を占めておることは、すでに長谷川君も指摘された通りである。  年金額について見ても、本年はいよいよこの改正によつて三万一千円平均、さらに引上げられる修正案によつて三万七、八千円ではありますが、日本の基幹産業たる炭鉱労務者、なかんずく重要なところの坑内労務者が、十数年の間営々として働きながら、しかもその労働によつて生産の能力を失つたときの年金額が、個人の過失に基く生活困窮者に支給される生活保護法に基く生活扶助額よりも低いということは、保険理論の上からも絶対に納得することはできないのである。(拍手)  あるいは年金支給年齢にしても、恩給法によつて官吏は若年停止ではあるが四十五才から始まる。しかも、本案により民間労働者は六十才にしなければならないという理由は、いずこにも見出すことができない。政府は、五十五才における雇用率は相当の高度に達しておるから六十才でさしつかえがないと言つておられますが、それならば、当然恩給法もそのレベルにレベル・ダウンをするのがほんとうである。こういうところにも、いまだに残存する官僚独善の弊風を明らかに見て取ることができる。  標準報酬についてもそうである。健康保険は三千円から刻んで三万六千円、船員保険は四千円から三万六千円、本法は一万八千円に押えておるが、社会保険審議会の審議過程を見ても、政府が日経連の主張に完全に屈服したことを物語つておる。その結果保険料の収入が低くなり、その結果は労働者に与える年金支給額が低くなるという悪循環を来しておるということは、明らかに政府が、日経連の代弁者となつて労働者の保険ではなく、経営者の利益をはかつておるものと言われても、これまた過言ではないと私は思うのである。われわれの主張する三万六千円とするならば、年間保険支出額は十五億であるが、標準報酬を三千円から三万六千円とするならば、その収入増は二十三億であつて、優にわれわれの主張する年金額は払い得るのである。  また、積立金方式の変更、数十年後には二兆億にも達せんとする積立金の効率的運用、国庫補助の増額なぜ北ついては、すでに長谷川君より指摘されたので私は申し上げません。  とにもかくにも、今日社会保障制度実現は世界政治の骨格となつておるのである。各国の政府が社会保障の予算については逐次軍事費と対等の形においてこれを重大に取扱つておることは、数字が明らかに示しておる。いわんや、今日政府が国民に耐乏生活を訴えんとするならば、政府みずから犠牲負担均衡をはかるべきであり、このためには当然に生活安定を骨子とする社会保障制度の拡充と実現を急がなければならないはずである。しかるにもかかわらず、政府はMSAの受諾に伴い防衛費の義務的支出を千三百億、社会保障制度費を八百八十億に押えておる。このようにして、国民の生活安定を軍事的な冒険政策の犠牲に供せんとしておる。  かつて、孔子の高弟であつた子貢は、師の孔子に対して、まつりごとの要諦は何であるかと聞いたところが、兵を足し、食を足し、民これを信ず、と答えておる。国防のことをはかり、国民生活を安定して、そうして政府を国民が信頼することであると答えておる。この三つに対して二つしかできないならば何をすべきかと聞いたところが、孔子は静かに、それならば、兵を足すことはやめても国民生活の安定をはかり、政府を国民が信頼することであると答えておる。しかるに、今日吉田政府は、打続く汚職と疑獄の中で、まつたく民これを信ずるどころか、ほうはいたる国民の輿論は、吉田内閣の退陣を要求して立ち上つておるのである。この吉田政府は、MSAの義務的防衛支出によつて国民生活の安定を破壊せんとする、言葉をかえて言うならば、兵を足さんとするがためには食を足すことを犠牲にしておるのである。春秋の筆法ならずとも、死せる孔子とともに生ける八千四百万の国民は吉田内閣をして永遠に走らせることを、私はこの機会に強調いたしまして、私の討論にかえる次第であります。
  30. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
  32. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案建設機械抵当法案、右両案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  33. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案建設機械抵当法案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。建設委員長久野忠治君。     〔久野忠治君登壇
  35. 久野忠治

    ○久野忠治君 ただいま議題となりました建設機械抵当法案及び公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案の両案につきまして、建設委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  両法案は、ともにわが国建設工事の機械化を促進することを目的として提案されたものでありますが、まず建設機械抵当法案について申し上げます。  近時、電源開発事業の樹立を初め、治山治水対策事業、災害復旧事業、その他各種国土総合開発事業等の推進によりまして、建設工事の量はとみに増加するとともに、工事の規模も非常に拡大して参つておるのでありますが、これらの諸工事を機械化して能率的施行をはかることは、わが国経済再建のため緊急不可欠のことであります。しかして、これらの工事に要する建設機械につきましては、大部分は建設業者がみずから購入するのを例とし、これに要する資金は莫大な額に上つております。しかるに、わが国の建設業者の自己資本はいまだ貧弱でありまして、とうてい建設機械の購入資金をまかなうことは困難で、その大部分金融機関からの短期借入金にまたなければならない現状であります。これは事業の経営に大きな負担となつておるのであります。従いまして、工事の機械化を促進するためには、どうしても長期資金を確保しなければならないのであります。今般新たにかかる建設機械について動産抵当制度を確立し、金融機関からの長期融資を容易ならしめ、これにより建設工事の機械化を促進せんとするのが、この法律案の趣旨であります。  次に、公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、公共工事前払金保証事業に関する法律によつて設立せられております建設業保証事業会社をして、従来の業務のほかに、新たに政府及び地方公共団体が建設機械の製造代金の前渡しをいたします際における、その保証をなし得ることとするとともに、建設業者が建設機械購入のための資金の融通を受ける際に、その債務の保証をなし得る道を開き、もつて建設業の機械化促進に寄与せしめんとするものであります。  以上が両法案の要旨でありますが、両法案は、本委員会に付託されて以来、数回にわたり慎重に審査いたしました。なお、両法案に関する質疑の詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  かくて、討論を省略して、ただちに採決に入りましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  36. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。     〔「総理を呼べ」「散会々々」と呼び、その他発言する者多し〕
  38. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 議事日程は終りましたので、このままいつまでも待つておられませんから、やむなく本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十四分散会