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古屋貞雄君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、ただいま
議題とな
つております
犬養法務大臣の
不信任案に対しまして
賛成討論をなさんとするものであります。(
拍手)
国民は、今や
捜査過程にあります今回の
疑獄事件に対しましては、非常な関心を持
つてこの結末を見守
つておるのであります。しかも、この
事件が、捜査をすればするほど拡大いたして参りまして、今やまさに
政界、財界、官界に拡大いたしまして、その問題の帰するところがわからないほど増大いたしております。特に今後、
政界に振りまかれました多額の金の問題の捜査につきましては、いかに発展するか想像が及ばない状態に置かれておるのであります。(
拍手)しかも、これらの
疑獄事件は、
政治権力と財力と官僚とがかたく結びつきまして、
国民の血税でございますところの国家の財産を計画的に盗み取
つておるという、近来まれに見る特異な重大
事件であるのでございます。(
拍手)しかして、かかる歴史的な
疑獄事件は占領政策の落し子でございまして、すなわち、賄賂主義、宴会政策に基因することもいなみがたい事実ではございまするけれども、その直接の原因は、利益のためには
国民生活はおろか民族の発展を犠牲にするもあえて顧みない資本主義政策を一枚看板とする
吉田内閣の積年の悪政の結果であると考えます。(
拍手)すなわち、アメリカの国際資本主義と、これに協力する買弁資本家と、その代弁者である吉田
自由党内閣の末期の醜状そのものであると断ぜざるを得ないのであります。(
拍手)わが国の勤労大衆は苛斂誅求に苦しみ、数百万の戦争犠牲者と失業者等は、
耐乏生活どころかその日の生活に窮し、名状すべからざる悲惨な状態に追い込まれておるのであります。しかるときに、数百億円に上る血税を、
政治家と資本家と官僚とが結託して盗み取り、これを山わけをいたしまして、きようは築地に、あしたは
赤坂にと、酒池肉林の間に湯水のごとく浪費する状態は、断じて許すぺからざるところであ
つて、その罪はまさに万死に値するものがあると言わざるを得ないのであります。(
拍手)
今や、八千万
国民は、これら
汚職事件を徹底的に爬羅剔抉いたしまして、
国民に
事件の真相が究明せられ、各界が根本的に粛正せられんことを強く要望し、公憤をも
つてその結果を見守
つておるのであります。係
検事に対しましては、全国から、あるいは激励の手紙、あるいは金までも入れて、いたいけな少女が為替までもこれを同封して激励をいたしておる姿は、これすなわち、今回の
事件を徹底的に爬羅剔抉してもらいたいという
国民輿論の現われでなくて何でありましようか。(
拍手)従いまして、この
汚職事件の糾明が不徹底に終つたり、ざこばかりがひつかか
つて、大きい魚が逃げてその
責任をのがれ、正直者がばかを見、まじめな者が損をするが、ごとき結果に立ち至りまするならば、
国民の憤激は税金不納同盟運動となり、また政党に対する反撃あるいは不信が強力に推し進められることは、まことに火を見るよりも明らかでございます。ひいては議会制度否認の
思想が全国内を風靡するでありましよう。その結果暴力革命が推進せられ、はては
国民憤激の爆発となり、遂には、か
つてその惨劇が行なわれましたかの二・二六
事件のごとき問題が、すなわち流血をも
つて国会の殿堂が塗りつぶされるがごとき不祥事が発生するやもはかりがたいのでありまして、われわれは、かかる暴力革命を心より憂えるものであります。われわれは、民主主義
政治の理想的運用に努め、暴力革命とその残虐より
国民を守り抜かねばならない。議会制度を通じまして、
国民生活の安定と民族の限りなき幸福をはからねばならぬのであります。これがためには、政党政派を超越いたしまして、国家的
立場からみずから進んで
政界の粛正を実行し、役人は公僕といたしまして公僕
精神に徹し、
国民の要望でありまするところの各界の粛正を断行しなければならないのであります。もしそれ、国政の運用を指導いたしまする
立場にあるところの政党が、
党利党略のために、
政界の粛正はもちろん、
疑獄事件の捜査に協力せず、かえ
つて妨害をなすがごとき行為をあえてなすことあらんか、これ天下の公党にあらずして徒党の集団なりと断ぜざるを得ないのであります。(
拍手)
なかんずく最も緊要なことは、
司法権の独立とその公正なる運用でなければなりません。すなわち、目下捜査中の一切の
汚職事件に対して、
事件の核心に深くメスを差入れまして、事の真相を徹底的に究明し、
責任の所在を明確にして、今後かかる不祥
事件の再び起らんことを防止するとともに、
国民をして
司法に対する絶大なる
信頼を高からしめなければならない。従
つて、今回の
事件のかぎは今や
司法部の手中にゆだねられておると言うても過言ではございません。
国民はあげて厳正公平な
司法部の活躍に
信頼をし、絶大なる期待を持
つておるのであります。ところが、
政界等の一部にありましては、いたずらにその処罰を免れんことにこれ努め、はては、権力と財力等を利用いたしまして、これが捜査にあらゆる妨害を加えんとしておるのであります。よ
つて、
司法部の
最高責任者である
犬養法務大臣は、身を持すること謹厳にしてかつ公正、下僚の
信頼を高め、職員また上下不離一体となりましてその機能を十二分に発揮し、いかなる妨害も圧迫もこれを排除いたしまして、全力をあげて
事件の糾明に当らなければならないと存ずるのであります。しかるに、
犬養法務大臣は、下僚
検察官があらゆる捜査の妨害に抗しまして、あらゆる悪条件を克服いたし甘して、涙ぐましい真剣さをも
つて、広汎にして複雑な
事件と取組み、身を挺して捜査に従事しておるにかかわらず、特に藤井
検事のごときは劇務のために生命を失うがごとき悲痛な実情にあるとき、その苦しみをよそに、ひとり
法務大臣のみは、天下の
待合であるところの
中川にしけ込んで、多数の芸者をあげて豪遊するがごとき、無
責任もはなはだしい行為であると言わなければならぬのであります。(
拍手)しかも、その
料亭において遊興いたしました主人役が、当時すでに家宅捜査を受け、その
会社の
重役が二人までも
逮捕されておる
山下汽船の会長であるに至
つては、ただただ驚くのほかありません。(
拍手)しかのみならず、その翌日社長の横田氏が
逮捕せられ、
造船汚職事件の捜査の中心をなした横田
メモ、吉田
メモが同
会社より発見せられた事実に至
つては、まことに言語道断の限りであると断ぜざるを得ないのであります。(
拍手)そればかりではありません。
犬養法相が御自分から認められているように、昨年の四月選挙の際に、この
山下汽船の社長であり、すでに起訴せられておる
山下会長より……
〔
発言する者多し〕