○高津正道君 私は、
日本社会党を代表いたしまして、
内閣総理大臣、小笠原
大蔵大臣、石井運輸
大臣、岡崎外務
大臣、木村
国務大臣、犬養法務
大臣、大達文相、保利農相、これらの
諸君に、緊急にして重要なる
質問をいたそうと思うものでございます。(
拍手)各
大臣の御
答弁は、改進党には懇切丁寧に、右派社会党にはやや親切らしく、左派に対しては簡単冷淡であるのを常とするのでありますが、本日は詳細に率直に、諸
大臣より御
答弁をされんことを特にお願いしておきます。(
拍手)休会明けの本国会において、だれか大いに
質問して、何かや
つてくれということが
国民大衆の最も望んでいるところであると私は信ずるからであります。しかし、一人の老記者から、その問題に触れると
政治的生命を断つぞと言
つた者があるという注意があ
つたのでありましたが、私は議員たる者の重き職責にかんがみまして、それらの問題にやはりあえて触れてみようと思います。
今、官界、政界、財界は、大疑獄
事件の続発によ
つて、
国民大衆の目には疑惑の雲に包まれた存在として映じ、そのさまは、詩人の心にはわが
民族の廃頽あるいは衰頽と受取られることでありましよう。いずれにもせよ、この状態は、千八百万の生徒、学童にと
つては教育上悪環境を与えることになります。
上層部の腐敗の及ぼす悪影響が甚大であることは、大達文部
大臣が、これさえあれば大仕事ができると、鬼の首のように喜ばれる山口県の日記の影響に比べるとき、私は冷静な知性をも
つて、それは千倍であると、はつきり、ただちに申し上げたいのであります。(
拍手)
次々と重要問題に入
つて行くのでありますが、初めに文部省について申しますと、
日本全国の宗教団体等を所管しているのは、現在の機構では一宗務課長でありますが、その
責任者たる何某課長は、町の新興宗教、あの赤い羽の浄財をごまかし、
日本円の
下落するときに、昨年のころ
ドル買いまでして今起訴されている霊友会会長の小谷某女からひどく多額の金を収賄し、その金を総
選挙にばらまいたのでありました。ここには、官界の腐敗が宗教の腐敗と結合型で一つの模様を見せておるのであります。
鉄道会館
事件を取扱
つた委員会の議事録には、長崎国鉄総裁がその会社の株を二十何万株持
つておるとか、あるいは切符の売上げが十数億円あるが、それが交通公社から国鉄会計に未払いのままにな
つておるとか、国鉄幹部と国鉄の外廓団体とが結んで、うまいしるを吸
つておるさまが浮彫りにな
つておるのであります。
保安庁の
汚職事件に
至つては、最近人々の目をみはらせた東京練馬
部隊の集団による何十俵という糧食持出し
事件とか、糧食、被服その他物資購入に関する贈収賄
事件とかが次々に新聞に報道され、その
乱脈ぶりは極端に達し、その底は見えないといわれ、
保安庁第一幕僚監部の吉田第一管区総監の辞職まで見たのであります。木村
保安庁長官御自身にさえ、赤い羽の霊友会から国宝の名刀をもら
つたとか、二十五年の十月から二十七年末までに前後数百万円の献金を受けたとか、とに
かく栗田英男代議士から告訴をされたのであります。もつとも、その告訴は、御承知の通り、同代議士がなぜか取下げにしましたけれども、その取下げの裏に三百万円の金が動いたとかいう問題もあ
つたことは、これも
諸君の御存じの通りであります。(
拍手)
さて、一方木村長官は、それなのに、
国民大衆の疑惑に包まれたまま簡単に不起訴と
なつたのであります。木村長官のお気持では、今は陸海空軍の再建のための礎石を置く、いわば創業期であ
つて、その
部隊は士気旺盛、軍律厳正、みずからも身をも
つて率先垂範しようと
考えておられるものと拝察します。それにもかかわらず、今日
保安庁といえば、人々は、厖大な
予算を持
つておるところだ、さぞ乱暴に金が費されておるだろう、木村篤太郎長官の年収は
幾らくらいだろうと見ておるのではないでしようか。端然と
大臣席に座する木村長官の、その突き上げたような、かど張
つた二つの肩の上にかかる
責任たるや、この際きわめて重大であると思われるのであります。
また、数日前
伊藤斗福理事長が逮捕され、目下いわゆる保全旋風が巻き起
つております。これでは、一昨年、昨年と
政治献金が九十余名にばらまかれ、そのうち確認された人はまだ数名でありますけれども、残る約九十名の名前と金額が明るみに出るのは遠いことではないと申されます。もしこれが天下に公表されることになりますと、さきの十月総
選挙のころ、国
会議員あての例の無署名の同文の手紙が参りまして、その中には、当時の
自由党首脳部が、伊藤理事長らの
保全経済会的町の
金融機関の法制化の要請を正式に取上げることを
条件に、多額の
政治献金を伊藤理事長に求めたと書いてあるのでありますが、それらの事実の真偽もそれによ
つて明白にな
つて来ると思います。
保全経済会に出資した全国十五万の人々の中には、発狂した人もあるし、そのために路頭に迷うに至
つた人もあり、自己の事業に破綻を見るなど、実に全国的に数々の悲劇を生んだのでありました。また、十月二十四日、
保全経済会が休業を宣言して以来、出資金総額では実に一千億円と称せられるそれら多くの同種の町の
金融機関が、そのあおりを食
つて次から次へ休業に入り、庶民の
金融逼迫を一層はなはだしくしていること、これも
諸君の御存じの通りであります。
私の見解を申しますと、
伊藤斗福という人物が、四十五億円、最盛時には実に六十億円までも金を集め得たところのその原因は何でありましたでしよう。もちろん彼の金もうけの才能もさることながら、天下の名士が自己の名前を貸せることによ
つて、この半島生れの三十幾才のいわば
青年に背後から大いなる信用を付与してや
つたという事実、これも確かにその原因の一つであります。しかし、またこのような町の
金融機関が
最後に行き詰ま
つて、聞くも哀れな悲劇や莫大な損失を引起すことが識者に予見されていたのに、四年も五年も
保全経済会の活動を黙過したということは、銀行局長、
大蔵大臣、従
つてその期間政権の座にあ
つた内閣全体の一大失態であ
つたといわねばなりません。(
拍手)
政府当局の国会での弁明は、
保全経済会は匿名組合でないとは言えない、それを知
つて加入していたのだから、その結果に対して
政府は関知しないというような、冷静をきわめた意見でありましたが、加入者の受取る配当金に二割の源泉課税をあのように行うようにしたのでありまして、その処置のために、かえ
つて加入者としましては
政府がとの種の配当金のよ
つて来る根拠に対しこれを認めるに至
つたものと解釈して、二割の税を差引かれて、それだけ損ではありながら、
保全経済会に対して一層の安心感を抱くに
至つていたのでありました。私は、この事実から見ましても、現に次々と休業しつつある同種の庶民
金融機関の加入者数十万人あるいは百敷十万人が、自己の不明を反省し、あるいは当該理事長、社長を恨むよりも、むしろ
政府当局や諸名士に対して不信の念や反感を抱くに
至つているその心事に対して、一種の同情を禁じ得ないものであります。(
拍手)それは、元労働
大臣鈴木正文君のごとき天下知名の現役
政治家が顧問をしていられる同種
金融機関も、ごく最近に至り休業したものの一つでありますが、それを信用された人々の心情を思うとき、私たち国会に議席を持つ者全体も一様にある
程度恨まれていやしないかと、そこまで憂えられる次第であります。そうして、さらに最大の痛恨事は、ちまたの大衆が、町のこれら
金融業者が政界、官界にいわゆる
政治献金をばらまいて、その人々の
政治勢力でこの種の営業が多年継続できたのだと解釈しているその事実であります。このとき、われらは何をなすべきか。
思うに、昨年の衆議院の決算委員会は、次から次へ会計検査院から送り込んで来る官庁の経理に見える浪費とか
乱脈、土木事業の不正等々を非常にたくさん扱い、ひどいものは行政監察特別委員会でも取扱
つております。古い話になりますと、五井産業
事件、二重煙突
事件等、これは時間的には近年のできごとでありますけれども、あまりにもわれわれの記憶から薄れてしま
つたほどたくさんの
事件が最近次々と起
つて参
つております。文部省近くの土地は、月の借賃は坪二千円といわれるのに、そこにある相当の広さの国有地が、何人のあつせんによ
つたか、驚くなかれ、これも御存じでしようが、坪五円十銭という安い値段で貸し下げられており、借主は例のフオード自動車の修理、販売、サービスを業とするニユーエンパイヤモータース株式会社でありまして、社長は
日本人何がし、しかるところ、━━━━━━━━━━━━━━━━━代議士が同社から自動車の提供を受けて乗りまわしているという事実が浮んで、(
拍手)これは同社の顧問にな
つていたからだと言い、いや、社長は━━顧問就任の事情を知らなか
つたと言うなど、(「それがどうしたというのだ」と呼ぶ者あり)この種の委員会の速記録はおもしろく読まれるのであります。
私は小笠原蔵相に尋ねるのでありましが、八億円という金を払
つて、そして食糧庁がこんな袋を三百万ほど買い入れたのであります。(袋を示す、
拍手)それは
昭和二十六年の八月、外国米
輸入のために
日本の麻関係の小泉製麻外二社から買い入れたのでありますが、三百万枚を一枚当り二百九十円で購入し、八億七千万円を支払
つたのであります。ところが、タイ米の
輸入については、当然
輸出先の方からこういうものがくつついて来るのでありますから、自然不必要とな
つて、未使用のまま三井倉庫外四社に有料で保管しているのであります。しかるに、二十七年九月までにまた二千五百万円も
支払い——それは保管料金でありますが、今度また五百万袋を購入したのでありまして、その金額は実に驚くべきものであ
つて、みな書類は集ま
つておるのであります。農林
大臣は、食糧庁関係において、こういうむだ、めちやめちやなことが行われておるということは、もちろんよく御存じでありましようが、これらのことに対して、将来どういうような
方策を持
つて行かれるか、承りたいと思うのであります。(
拍手)
また、山田長司君が決算委員会において現在大いに問題にしているのでありますが、緑風会の、前食糧庁長官の片柳眞吉君が、
日本糧穀株式会社なるいわゆるトンネル会社をこしらえておりまして、そこで六億—八億というもうけを一
年間余りの間にや
つているのであります。これは
一体どういうことでありましようか。会計検査院の第三局長である小峰氏が、
政府を代表して、十二月八日に次のように
答弁をしております。二十六
年度に買いました黄変米が九千三百八十七トンであります。買入れ価格が五億二百万円、これを二億九千二百万円でその会社が売り渡したわけであります。差引二億一千万円の損と申しますか、損というのは
政府の側に立つから損と、こう
言つているのです。それから、二十七
年度分は一万三千百七十二トンの黄変米がありまして、そのうち一万三千百六十トンを
政府が売
つておるわけであります。その一万三千百六十トン分について、買入れ価格、売り値を検討いたしますと、この買入れが九億七千三百万円であります。これを三億四千百万円で売りまして、その差が六億三千二百万円、これを前のと合せると八億四千二百万円ということにな
つておるのであります。共産党では秘密党員という
言葉がありますが、緑風会で片柳眞吉氏の立場は何党に属しておるのでありましようか。どういう政党にその資金が流れておるのでありましようか。こういう問題がありながら、ちつともその裁判が進んで来ない。
私は、現
内閣の打倒をなし得る人間が東京に少くとも三人いるという話を聞いたのであります。一人は、おからだにさわるからおやめなさいとお父さんに言えばやめる、そういう立場にある女性であります。(笑声)もう一人は、今収容されておる
伊藤斗福理事長でありまして、あの人がぺらぺらみんなしやべ
つたならば
内閣は打倒されるといわれます。(
拍手)しかし、それよりももつと大事なことは、地検の次検と申します東京地方検察庁の次席検事であります。そこへすべての大きい疑獄
事件は集ま
つて参りますから、担当の人人はその目色、顔色をうかが
つて仕事をいたす。そちらはあまり触れないがいいとその人がせんをすれば、そちらの方が助か
つてしまい、こらちが被害を甚大に受けることになる。そんなことを言えば、現在の最高検察庁の次長検事は、広島高等検察庁からこちらへ栄転された人でありますが、わが県の池田勇人君の大いに奔走せられたところでありまして、(
拍手)東京地方検察庁の次席検事がこちらの方を掘れと言えば、こちらが被害甚大になるというように、ちまたがそう言うのでありますから、確かにその人を握
つておれば
内閣は安全である。掘
つておるとは申しませんけれども、私は、現在このように疑獄が続出する場合に、こういう検察庁当局はきわめて公平でなければならないと思うのであります。
それで元へもどりまして、国有地とか、国有林とか、およそ国有財産の払下げ、貸下げ等には利権が伴いがちでありまして、今日において国有財産を虫に食われないように、有効適切な何らかの
措置を講じておくことは、
国家国民のために絶対的に必要だと存じます。この必要性については、全国有権者のうち九九%まで賛成であろうと存じます。現在の
政府は、かかる明確な主張に対しましてどのような
認識を持ち、どのような反応を示されるか。これを一つの
質問として、小笠原蔵相の御
答弁をいただいておきたいと存じます。
造船疑獄は今を盛りと燃え広がり行くまつ最中でございますが、運輸省の壷井官房長は逮捕され、元運輸省局長、現
経済審議庁今井田審議官は逮捕される今日までの経過でも十二分にわかる通り、贈賄、収賄その他幾多の
汚職的運動の上に、昨
年度も
国家財政の補助で第九次
計画造船割当が行われたであろうと、ちやんとみんなそういうふうに見ておるのであります。中小企業
金融公庫から最も困
つておる人に融資するところの金利が、むろん長期
金融でありますが、一年一割であります。しかるに、この造船方面に出されておる金は五分五厘、それを二分か二分五厘減らして、現在は三分あるいは三分五厘にな
つておるかと存じます。しかるに、第六次造船までさかのぼ
つて、
国家がその引下げた分だけをただでくれてや
つておるのであります。
日本郵船が五億円、大阪商船が四億円、社長、専務、課長連が続々逮捕されつつある山下汽船や、同じく
日本海運などが、それぞれ二億円をもら
つた、そのように記憶いたしますが、
日本郵船の元社長寺井久信氏の最近の著書「潮の満ち干」というのを読んでみますと、その中に、「赤坂の某料亭前から赤坂見附、さては青山通りまで供待の高級車が整列してる。之が毎夜のことだから驚く。しかもこの料亭は海運業者がヒイキにするところであるから更に驚く。」このように書いておるのであります。(
拍手)ところで、造船疑獄中には、
計画造船の各社年々の争い、奪い合いの運動と、昨年の四月
選挙後の国会での利子補給金獲得運動の両方が含まれておるものと思いますが、現
内閣が国会に提出された厖大な
昭和二十九
年度予算書をめく
つて、本年このような船会社に現
政府はどれだけやるつもりであるか、この
数字をく
つてみますと、三十七億五千二百六万二千円ということにな
つております。
大蔵大臣、ここからあなたへの第二の
質問の要点になりますが、この憎むべき造船疑獄の発展がいかような広さ大きさのものとなろうとも、議会外の
国民大衆がいかように受取ろうとも、これだけは船会社に届けてやらなければと、この三十七億五千二百六万二千円を船会社に、例により、ただでお与えになるつもりであるか、それとも、本年この分だけはそうも行くまい、院外大衆の納得する常識、良識兼ね備わる
態度で全額削除でしようか、考慮するとでも答えられるでしようか、鳴りひびくいつもの声で、はつきりお答え願いたい。(
拍手)
次には、トンネル会社
日本糧穀株式会社をつくり、片柳眞吉氏がいかにや
つたかということはさきに触れましたが、とに
かく買い受けた人は、やみ米として、大量にその黄変米——何でもないものも黄変米として買い取り、それを横流ししたために検挙されて、その
事件のその部分のところを取調べ中の検事異動の問題、これを犬養法務相に
質問いたします。担当の東京地検の木村治検事は、昨年六月にこれを調べてお
つて転任になりました。富田検事があとを継いだが九月に転任、そのあとを継いだ吉川検事が、今度はすぐ十一月に転任です。(
拍手)このひんぴんたる転任はどうしたことでしようか。わが党の山田長司君が尋ねると、
政府当局はあくまで、あれは内部的事情との回答でありましたが、
大臣を信ずれば内部的事情、しかし
国民はそうは受取らず、
政治的圧迫がこの
事件に加えられていると解釈するのであります。(
拍手)天に口なし人をして語らしむといいましようか、私がさつき言
つた三人の中で、だれがこの
内閣を早く倒すのでありましようか。
この際、私は
総理大臣に対して、やはり重要なる
質問をいたしたいと思います。私は、
総理大臣はあまりこまかいことに腹を立てられないで、大きな問題、たとえば
日本をめぐるところの中華民国、朝鮮、そうしてロシヤの盛衰興亡の
歴史、しかもそれらの政権が倒れ行くさまを御研究になると、
国家のためにも得るところが少くないかと思うのであります。(
拍手)李太王の夫人で閔妃という女性がございましたが、あの閔妃は非常にダンスなどがすきで、大いにおどり、めちやめちやに腐敗したために、宮中に何百とおる女たちが、まず白衣の、着物のままで高い宮殿から町に飛びおりて、次々と死んでそれに抗議をした。そうして
国民大衆が革命約様相を呈するに至
つたのであります。そのとき
日本などが
行つて国をと
つたようなわけであります。もら
つたようなわけであります。中華民国が倒れた原因は、蒋介石について申しますが、それは、われわれの研究によれば、第一にはおごりであり、そうして
政府高官の腐敗堕落であります。第二は、リヤンピヤオ——リンピヨーと読みましようか、あの林彪将軍がソ連の軍官学校から帰
つて参りまして、それに、
日本軍が満州で武器をとられたのがみな林彪将軍の手に渡
つたので、すぐにその場でもう満州を平定し、一年後には長江の南に進んで
行つたのであります。すなわち、倒れる前には疑獄
事件がいつぱい起る。そうしてぜいたくをするという、こういう、まあ最大公約数が現われて来て——ロシヤの場合も同じようなものであります。専制
政治をや
つて、大衆の苦しみをまるで見ない、そうしてこれらの国の政権は滅びて
行つたのでありますが、眼をつぶ
つて心静かに
考えます場合、私は、
日本の現在の様相は似ているところが相当多いように思うのであります。(
拍手)
私は、短い時間に、まだ吉田首相にもう一点たださなければならぬ。あなたは、いつもいつも一枚看板のように、いわゆる最近は耐乏生活、ずつと前の
言葉で申すならば
綱紀粛正、しかるに今度の
施政方針演説の中にはそれがま
つたくない、ほんの色合いぐらいであります。そうして、そのスローガンを投げると、あなたのぜいたくな生活は何だとい
つて大衆が非常に非難をするものでありますから、これを入れては損だと
考えられて——しかるところ、二十五日の開会式のいわゆるお
言葉、昔で言えば勅語を読んでみると、あらゆる困苦、そうしてもう一つは、耐乏のうちにというスローガンを、天皇お一人に、何と言うのですか、持
つてもらうようなことをしておられるが、臣茂と言われるあなたが、不人気のそのスローガンを——憲法の規定によれば、天皇の行うところの行事はすべて
内閣の——天皇の行為は
内閣の助言と承認を要することにな
つておりますから、それら大事な文句の一々は全部
総理の
責任であ
つて、みずから不人気でもてあましたものを天皇の方に押しや
つているということは、
一体どういう結果を生ずるのでありましようか。これは重大な問題であると思う。私にと
つてではない、あなたにと
つて重大な問題であるから、
総理自身から明快なるその
理由の解明をお願いする次第であります。
大達文部
大臣に御
質問いたしますが、今度の
MSAの池田・ロバートソン会談の中に、
日本は愛国心を涵養すべきであるが、自衛の
精神を持たなければならぬというようなことが一
項目書かれてあるのであります。
アメリカ人はワン・マンでありまして、資源はあるし、資本はあるし、そうして原爆は持
つておるし、自信満々でありますから、そんなことを書き込んで、それを
日本人が読んだ場合にはどういう感じを持つであらうかなど、そういう思いやりは全然ありませんから、ただ書きさえすればよいというので、あの確認書の中に書き込んだのであります。池田さんは
MSAをもらいたい一念でありますから、もちろん気がつかずにそれを書き込んでサインをしてしまう。しかし、われわれ識者から見る場合には……(笑声)これは、われわれや、あるいは一般の尊敬すべき識者が見れば、
日本の教育を
アメリカに担保に入れたものであります。そういう径路から、今度の教員から
政治的自由を剥奪する法案が国会に提出されるように
なつたのでありまして、私は物事の背景を十分見ておく必要があろうと思うのであります。およそ文部
大臣は、教育を愛し、教育を守る当面の第一の
責任者でありますから、
日本の教育が、そういう外国からの、こつそり、忍び足ではなく、堂々と内政干渉が行われておるように見えますので、これを
防衛するのが大達
国務大臣の
責任であろうと思うのでありますが、大達文部
大臣のそれに対する御見解を承りたいと思います。岡崎外務
大臣も、それらの情報を初めにキヤツチされるのでありますから、そういう場合には、文部
大臣と、この問題について、どうして教育をこの
条件からはずそうというような御協議があるべきはずであり、ないならば非常に妙な感覚であると思いますので、御協議があ
つたかなか
つたか、その点をもあわせて岡崎外務
大臣から承りたいと思います。(
拍手)
自由党内閣の文教
政策を見ておりますと、大学生が保守政党には票を入れない、これは実にけしからぬ、大学生の居住地は、学資を送付して来るその親のところが生活の根拠地であ
つて、
選挙権はそこにあるというようなむちやを一言い出されたのでありますが、東京の代議士が二十七名、そのうち十四名は社会党両派がと
つてお
つて、あとの十三名をその他の党派がとるというように、首都の大学生、インテリの票が自分の党に来ないからとい
つて、そういう
選挙法を押しつけることは無理だという輿論が国会でも叫ばれ、現在三箇月を確認する、かえ
つて大学生に有利なる法律案を
政府は提出しなければならないような実情に
なつたのであります。五十万の教職員の中で、四、五万がいわゆる全国高等学校教員組合に出ておりますが、この第二組合が、わが高等学校を優待せよと叫んでおるので、それをわが手に入れようというので、一号俸だけ高等学校の教師に対して待遇の改善をや
つたところが、どういう結果に
なつたかといいますと、その方法が悪か
つたために、高等学校も満足せず、全国の四十数万の小学校、中学校の先生は、われわれの教育をどうするのだ、われわれの待遇はそのままでどうするのだという運動が起きて、反
自由党的空気が非常に高ま
つたのであります。