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1954-08-06 第19回国会 衆議院 法務委員会上訴制度に関する調査小委員会及び違憲訴訟に関する小委員会連合会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月六日(金曜日)     午前十一時三分開議  出席小委員   上訴制度に関する調査小委員会    小委員長 小林かなえ君       鍛冶 良作君    林  信雄君       高橋 禎一君    古屋 貞雄君       井伊 誠一君   違憲訴訟に関する小委員会       押谷 富三君    小林かなえ君       吉田  安君    猪俣 浩三君  小委員外出席者         議     員 神近 市子君         検     事         (大臣官房調査         課長)     位野木益雄君         検     事         (民事局長)  村上 朝一君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         判     事         (最高裁判所事         務総局事務次         長)      石田 和外君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      岸上 康夫君         判     事         (最高裁判所事         務総局民事局         長)      関根 小郷君         判     事         (最高裁判所事         務総局刑事局         長)      江里口清雄君         参  考  人         (弁護士)   長野 国助君         参  考  人         (弁護士)   小林 一郎君         参  考  人         (最高裁判所調         査官)     岩田  誠君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  上訴制度及び違憲訴訟に関する件     ―――――――――――――   〔小林上訴制度に関する調査小委員会委員   長、委員長席に着く〕
  2. 小林錡

    小林委員長 これより上訴制度に関する調査小委員会並びに違憲訴訟に関する小委員会連合会を開会いたします。  本日は法務省民事局長村上朝一君、刑事局長井本台吉君、最高裁判所事務次長石田和外君、刑事局長江里口清雄君、民事局長関根小郷君、経理局長岸上康夫君、調査官岩田誠君、弁護士長野国助君、小林一郎君の各位に御出席を願つております。  本日は暑いところ、また御多忙のところ皆さんありがとうございます。そこで委員諸君にお諮りいたしますが、民事局長刑事局長及び経理局長国会法七十二条により、また岩田調査官弁護士長野国助君及び小林一郎君はそれぞれ参考人として御発言を願うことにいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林錡

    小林委員長 御異議なければさようとりはからいます。  先月と今月にわたりまして、二十三人の参考人方々出席願つたのでありますが、うち二人はやむを得ざるさしつかえのために欠席されましたが、二十一名の方々からは御出席の上に御意見を聞くことができました。そこで委員諸君も、いろいろこれらのものを材料として、大体一人々々についてはある程度まで御意見が固まつて来たのじやないかと私は推測しておるのであります。速記録についていろいろ知つていただいている方もあると思いますが、最高裁判所裁判官増員せよという説もあるし、高等裁判所上告部を設ける説もあるし、また憲法裁判所を設置せよという意見もあります。これらの委員意見については慎重に考慮中でありますが、本日は御出席各位から忌憚のない御意見伺つて、さらにわれわれの意見をまとめる上に参考にしたいと思う次第でありますから、どうかひとつ意見を御忌憚なくお述べを願いたいと思います。そこで、それには一々速記をしておりますとなかなか時間もかかりますし、また御意見を伺う上に不便な点もありますから、主として懇談に入つて意見を伺いたいと思うのであります。  それに先立ちまして、民事局長からはよく御意見伺つておりますが、刑事局長からまだ御意見伺つておりませんし、刑事局意見として書類は出ておるようでありますが、何か御説明していただくことができれば幸いだと思います。
  4. 井本台吉

    井本説明員 私どもといたしましては、現在の制度をそのまま絶対に維持して行かなくてはならないというような考えは毛頭持つていないのでございます。しかしながら法律改正の問題は一箇所改正するということだけで済むものではなくて、一箇所いじりますと全般的にいろいろな影響があるのでございます。たとえば上告制度改正いたしますと、一番、二審これもまたある程度改正して行かなければならぬというようなことになりますし、刑訴改正をいたしますれば、勢い今度は裁判所機構その他の問題も解決して行かなければならないというようなことが問題になつて来るわけでございます。たとえば上告審法律審にいたしますと、二審を現在のような法律審事後審でいいかどうか、もう少し継続審的な立場でなければならないのじやないかというようなことが問題になつて来ると存ずるのでございます。さような意味合いにおきまして、先月の十九日付で主要な問題点として私どもの方から簡単でございますけれども資料を提出したというようなわけでございます。私どもといたしましてはこの刑訴をどのように改正しなければならないかということは、ただいま法制審議会諮問中でありまして、その法制審議会の回答をまちまして最後的な態度をきめたい、かように考えておるので、具体的に今どういうような改革が適当であるかという結論には達していないのであります。その点はただいま申し上げかねるという状況になつていることを御了承願いたいと思います。
  5. 小林錡

    小林委員長 ただいま刑事局長の御意見を聞いておると、どうもすこぶる茫漠たるもので、もとよりわれわれは広い範囲において上訴制度を研究しているので、簡易裁判所の問題も、すべての問題に触れてやつているわけでありまして、もう少しあなたの意見を伺いたいのです。今国会が中心になつて――法務省もやれない、最高裁も簡単には手がつかぬから、国会がやるならばひとつ資料を出そう、意見も述べよう、ということでこの小委員会が設けられておるのでありますから、もう少し責任のあることを述べていただきたいと思うのであります。それができないというならば、あなたの方から出された書類について、それの御説明を簡単にお願いしたいと思います。
  6. 井本台吉

    井本説明員 それではお手元にお配りしてある資料につきまして、これを一応読み上げたいと思いますが……。
  7. 小林錡

    小林委員長 読み上げるだけならけつこうであります。もつと詳細なあなたの意見を伺いたいのですが……。
  8. 井本台吉

    井本説明員 実はこれはいろいろ問題が複雑でございまして……。
  9. 小林錡

    小林委員長 大臣が協力することを誓つておるのに、それを今のような言い方では何も大臣からそういう言質をとつておく必要はない。  それではこの際、最高裁判所の方に何か御意見がありましたならば、簡単に要点だけをひとつ……。
  10. 関根小郷

    関根最高裁判所説明員 それではなるべく簡単に要点だけを申し上げたいと思います。  第一は、最高裁判所裁判の中で、憲法に違反するかどうかという、いわゆる違憲判断をした裁判――違憲と申しますと、語弊がありますが、憲法に反するかどうかということで違憲判断をした意味で申し上げたわけでありますが、その割合が全体の裁判のうちどのくらいの割合になつておるかという表でございます。これは二十三年から四年、五年、六年、七年、八年の六年間の最高裁判所におきまする裁判のうちで、違憲判断をした裁判割合民事刑事にわけまして差上げたものでありますが、まず民事の点で申しますと、一々こまかい点を申し上げますと時間がかかりますので要点だけを申し上げますと、この六年間の総計は、民事裁判は約二千五百件ございます。そのうちで憲法に違反するかどうかという判断を加えました判決の数は約二十件。でありますので、大体千件のうち八件という割合でございます。それでどんな憲法条文が問題になつておるかという点は、お手元に差上げてあります判示事項にこまかく書いてございますので省略いたしますが、たとえば家屋の明渡し請求を受けると、債務者としては憲法の保障する最低限度生活の保障を奪われるというような点など、それから例の最高裁判所裁判官国民審査の問題などもこの中に入つているわけであります。  なお刑事の点につきましても便宜私から簡単に御説明いたしますと、刑事の方は民事よりもやや憲法に違反するかどうかという判断をいたしました裁判の数が多いのであります。この六年間に刑事に関しまして最高裁判所がいたしました裁判総計は相当の数に達しておりまして、二万四千九百八件、約二万五千件まで達しておるわけでありますが、そのうち憲法に違反するかどうかという裁判をいたしました数は三百四十、大体百件のうち一・三件ということになつております。民事よりもその割合が多いわけであります。それから刑事憲法に違反するかどうかということにつきまして、どういう憲法条文が問題になつておるかということにつきましては、やはりお手元に詳しく差上げてございますので、それをごらんいただけばおわかりかと思います。これは一々詳しく申し上げますと時間がかかりますので、もし御疑問がありますればお答えしたいと思います。  その次の表は、最高裁判所が第一審かつ終審、最初で終りといつた事件を取扱つたことがあるかという問題でございます。これは新聞などで御承知だと思いますが、警察予備隊の設置が軍備を否認いたします憲法九条に違反するかどうか、こういつた問題につきまして最高裁判所に直後訴えが起きた事件でございます。これはここに書いてございますように、今まで六件でございまして、いずれも本案の中にまで入らずに訴え却下あるいは必要な印紙を張らないために不適法として訴状を却下された結果となつております。これはすでに新聞等で御承知だと思いますので、省略いたします。  それからこちらの委員会でも問題になつております点でありますが、下級裁判所憲法違反の問題を含んでいる事件最高裁判所が取上げたらどうかといつた問題に関連いたしまして、人身保護法事件で例の戦犯の問題でありますが、人身保護法による釈放請求事件東京地方裁判所から最高裁判所送致命令を発しまして取上げた事件がございますので、その経過を詳しく書いて差上げましたのがその次でございます。これも新聞で御承知だと思いますので省略いたしますが、結局東京地方裁判所で一応事件を受理いたしまして、いわゆる人身保護命令を発しました後に、最高裁判所事件をこちらへよこせという送致命令を出しまして、その後最高裁判所で審理いたしまして、結局結果におきましては請求を棄却した事件でございます。この経過はやはりこまかく書いてございますので、省略いたします。  それからこれは直接関係がないかと思いますが、人身保護事件がやはり人権の保護に非常に影響があるということから、人身保護に関する事件の表を出したらどうかというお話がありましたので、人身保護に関します一般の事件の表を出したわけであります。まず第一が高等裁判所に直接人身保護請求を出した事件の表、その次が地方裁判所人身保護事件訴えを起した表でございます。これも簡単に申し上げますと、両方を通じまして高等裁判所に起しました事件が、二十三年から二十八年まで六年間にわたりまして二十八件、それから地方裁判所に起きましたのが同じ期間内において六十七件、合せて九十五件出ております。九十五件を簡単に申し上げますと、百件近くのものでありますが、そのうち約六十件近いものが刑事の勾留に関する問題であります。その他は私人間の紛争から出て来る人身保護事件でございます。それでこの人身保護事件について請求を立てた事件があるかと申しますと、これが百件近く出ておりますうち三件、地方裁判所事件請求を立てております。これも詳細なことは表をごらんいただけばおわかりかと思いますので、省略いたします。  それから最後に最高裁判所に出て参ります上告事件は、一体最高裁判所平均どのくらい係属しなくちやならないものか。言葉をかえて申し上げますと、どんなに最高裁判所で一生懸命にやつても、ある期間だけは最高裁判所未済事件として残らざるを得ない。その期間の調べでございます。これは民刑両方にわけましてその平均の日数を出しておりますが、上告状を出してから判決いたしますまでの期間であります。これもこまかく申し上げますと時間がかかりますので、要約して申し上げますが、民事につきましては大体四箇月から五箇月、刑事については五箇月から六箇月というふうに、普通の事件として上告状が出てから判決を言い渡しますまではどうしてもそのくらいかかるということの表でございます。これは言葉をかえて申し上げますと、一年間に百件出るといたしますと、そのうちの四箇月あるいは五箇月分だけが残るということになりまして、その数だけは常に未済事件として残るということになるわけでございます。これはすでに差上げてございます表の中で大審院当時の十年間の表を差上げてございますが、大審院当時におきましても、大体四箇月分ぐらいは残つていて、それが未済となつておりました。それと大体において一致するんじやないかと思われるわけであります。  なお詳細な点は、御質問がありますればお答えいたします。以上であります。
  11. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 実は昨日までの経過を十分知らずこの席へ参つたわけでありますが、先刻委員長から最高裁側に何か意見があるかということでありますので、あるいはこの際そういうことを申し上げるのはいかがかと思いますが、念のために申し上げます。いろいろ御議論がございましようが、いわゆる増員論というのがございます。現在の憲法の精神から申しまして、増員ということになると、いろいろな点で運用上むずかしい。最高裁判所側では増員という御議論については、何人も承服いたしかねるということだけ念のために申し上げておきませんと、それを肯定したようになつてはいけませんので、それだけ申し上げておきます。
  12. 猪俣浩三

    猪俣委員 今の発言最高裁判所発言になるわけですか。最高裁判所というのは、判事会議でしようが、そこでそういうふうに決定されているのかどうか。それとも事務局発言ですか。
  13. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 会議で決定されておりませんが、裁判官のこれまでのいろいろの御意見等をあわせて考えましても、そういうことはそんたくできますので、あるいはここでの私の発言事務局としての発言でよろしゆうございますが、事務局だけでなく、裁判官も大体そういう増員という論には、賛成されておる方はないと思います。
  14. 小林錡

    小林委員長 どういうことですか。憲法違反だというのですか、憲法違反だというなら、その法理論を伺いたい。
  15. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 増員憲法違反だということじやありませんが……。
  16. 小林錡

    小林委員長 最高裁できまつておる御意見があるなら、最高裁を代表した御意見なら法理論でもけつこうです。
  17. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 ただこの席へ出まして、意見がないかと言われて何も意見を申し上げませんでは、われわれも増員の論に賛成したかのように誤解を受けますので……。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ある程度理由を述べられたらどうですか。
  19. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 ともかくこれは私だけのこの場だけの理論でございますが、増員ということになりますと、ここでいろいろ反対論が論じ尽されておりますので、これを援用するわけでございますが、特に最高裁判所の性格といたしまして、学識経験のゆたかな者という意味で十五人増員ということになりますと、どうしてもこれは質的な低下を来すということがまず第一点かと思います。  その次に、大法廷増員でありますが、現在十五人でもなかなか意見がまとまりかねて裁判がややもすると遅延しがちになる。それが増員になりますと、とうてい運営がむずかしいのじやないか、それならばあるいは部を設けて、そこから一人ずつ大法廷出席する順番をきめる、あるいは選挙でやる、互選でやるというようなことになりますと、どうしてもその判決が軽くなりはせぬか、今度構成がかわりまして前の意見と違つたものを持つておる構成になりますと、せつかくやつた判決がすぐまたくつがえらなければならぬというので、きわめて安定性を欠きはしないか、それが第二点であります。  それらの点からいたしまして、少くとも憲法最高裁判所裁判官全員が大法廷の合議に加わるということを予定しているのではないか、たとえば国会で本会議をやる際に、議員の方が順番に、あるいは互選で一部の人が本会議へ出て議事をやられることが適当じやないのと同じような意味合いからいたしまして、裁判所におきましても、大法廷意見の形成には全員が参加しなければいけないことは、あたかも国会の本会議のごときものではなかろうかというふうに考えます。それは第三点でございます。これは私だけの意見でございますが、特に申し添えておきたいと思います。
  20. 猪俣浩三

    猪俣委員 今大体石田氏から増員に対する反対の根拠三点をお聞きしましたが、しかしこれは石田個人意見だというわけですが、最高裁判所が大体反対に傾いておるという御意見のようでありますから、最高裁判所反対するには相当の理由があることだろうと思いますので、私ども参考にしたいから、最高裁判所側から増員反対のあらゆる論拠についていわゆる正式な裁判官会議か何かに審議されて当委員会結論をお示し願いたいと思うのですが、それを委員長からひとつ最高裁判所側に要望していただきたい。こういう意見を持つておるわけです。
  21. 小林錡

    小林委員長 石田次長、何かまとめられて書類にしてこちらへ出していただきたいと思います。
  22. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 いずれ研究いたしまして……。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員 今のに関連して。その点もそうですが、それならついでにどうしたらいいかということを話されてはどうですか。最高裁判所改革案というもの。現状維持論なら現状維持論でもいい、現状維持ではなかろうと思う。それについて……。
  24. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 その点につきましては、実はまだ法制審議会等もございますし、ここの御審議がそんなに早く進もうと思つておりませんでしたりいたしまして、必ずしも最高裁判所裁判官意見をまとめるという段階には今はなつておりませんので、申し上げられないわけでございますが、もう少しこの点いろいろ事柄が切迫して参りますと、おのずからはつきりした意見も形成されるのじやないかというふうに考えます。
  25. 吉田安

    吉田(安)委員 それでは最高裁判所も検察庁の方も、機構改革のことについては今法制審議会諮問中だ、だからその答申がないというと何ら意見発表はできないという結果になるようですが、そういうことですか。
  26. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 法務省はあるいはそうかもしれませんが、裁判所法制審議会はただ間接に意見を出しておるという程度でございますから、法制審議会意見を待つてということを申し上げる理由はないのでありますけれども法制審議会でやつておるから何らかの意見が出るし、そこへまた最高裁判所側から委員が出ておりますから、最高裁判所側意見も出す、その経過を見ておる程度でございます。
  27. 吉田安

    吉田(安)委員 それだから結局法務委員会に対しての確たる答弁というか、そういう順序をふんでからでなければちよつとできないわけですね。
  28. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 そうではないと思います。これはそれとは別に、もし意見がまとまればそれは申し上げてもいいだろうと思います。
  29. 吉田安

    吉田(安)委員 こちらの方では、いつかわからぬような法制審議会なんかの答申を待つてつては、こつちが迷惑するわけです。だからその点をひとつお尋ねしたわけです。それは法務省の方も同じことですか。井本さん、どうですか。
  30. 井本台吉

    井本説明員 私どもも全然意見発表ができないというわけではございませんが、はなはだ遅れて恐縮でございますが、実は部内の意見がまだ完全にきまつておりませんので、私個人意見を申し上げても、結局あとでまたかえなければならぬということになりますから、はなはだ恐縮でございますが、差控えさせていただきます。
  31. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、さつき関根さんの問題で、民事書類判事さんの手元にまで行くには百六十何日くらいだというわけですが、実際は二十七年度の上告が最近に判事さんの手元に来たのだということを私調査行つて知つたのです。大体二十六年の暮れころから二十七年のものを今年始めておるのだというようなお話を承つたのですけれども、それはどうして遅れるのでしよう。百五十日くらいで行くならば二十六年、二十七年の上告書類判事さんのところのどこかに行つていなければならないことになる、その点はどういうことになりますか。これは大体原則を言つているので、原則でないものは二年くらいかかるというのがあるでしよう。その点はどうですか。
  32. 関根小郷

    関根最高裁判所説明員 先ほど申し上げましたように、これは平均事件を申し上げております。事件の中には非常に厖大事件がございます。厖大事件になりますと上告状に原判決を見るだけでも数箇月を要するという事件があります。そういつた事件につきましてはかなり延びるということはやむを得ないと思います。これは普通の事件を言つております。むずかしい事件は除外して考えていただかなければならぬと思います。
  33. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますとここに出ております表は、一番早いのがこれだけかかる。一番順調に行つたのがこれだけで、もつと複雑なものはこれより遅れるのだということに承つてよろしいか。これが一つ。  それから私の関係しているのはごく簡単な事件なのです。一審で欠席判決になり、控訴できまつたのですが、これは一審で欠席判決になつて仮執行が行われているわけです。ところが土地の問題ですが、四年間くらいなのですが上告してから三年かかつている。こうなると農民などは生活に困つて食えないのです。こういう問題が実はあるわけです。それでお尋ねしておるわけですが、順調に行つたらこういうことになつて、もつと複雑なのは遅れるということですが、これは平均でなく、一番早いのがこれだけということですか。
  34. 関根小郷

    関根最高裁判所説明員 これは普通の平均とつたのでございまして、今お話のように簡単な事件でしかも長くかかつておるじやないかというお手持ちの事件がおありのようですが、それは事件の内容を拝見しないとわかりませんが、簡単にお考えになつてつても、判事の目から見るならばむずかしいと思う事件があり得るのではないかと思います。これは平均事件を申し上げておるのです。
  35. 猪俣浩三

    猪俣委員 それに関連してお願いいたしたいことは、今古屋君が言つたようなこともあるわけですし、私も簡単な事件で三、四年どうなつたのかさつぱり見当がつかないのもあるわけです。そこでお願いしたいことは最高裁判所が受理してから判決までに二年かかつた事件がどれくらい、三年かかつた事件がどれくらいあるという統計ができないであろうか。実はこれが上訴制度改革の発端になつておることなんです。こういう百五十日とか何日とかですらすら行つたというような表を出されても、われわれには参考にならないのです。それですから、ありのままの受理してから一体どのくらいの年数がかかつておるかということの統計を出していただきたいと思うのでございます。これも委員長にお願いします。
  36. 小林錡

    小林委員長 それでは石田次長にお願いいたします。
  37. 石田和外

    石田最高裁判所説明員 すぐできるかどうかわかりませんが、出します。
  38. 小林錡

    小林委員長 それでは速記をとめて懇談に入ります。      ――――◇―――――   〔午前十一時四十四分懇談会に入る〕   〔午後一時十八分懇談会を終る〕      ――――◇―――――
  39. 小林錡

    小林委員長 皆さんたいへん暑いところ長い時間にわたつて意見を述べてくださつてありがとうございました。  それでは懇談会はこの程度にとどめて、明日午前十時より再開することにし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十九分散会