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関根最高裁判所説明員 それではなるべく簡単に
要点だけを申し上げたいと思います。
第一は、
最高裁判所の
裁判の中で、
憲法に違反するかどうかという、いわゆる
違憲の
判断をした
裁判――
違憲と申しますと、語弊がありますが、
憲法に反するかどうかということで
違憲の
判断をした
意味で申し上げたわけでありますが、その
割合が全体の
裁判のうちどのくらいの
割合にな
つておるかという表でございます。これは二十三年から四年、五年、六年、七年、八年の六年間の
最高裁判所におきまする
裁判のうちで、
違憲の
判断をした
裁判の
割合を
民事、
刑事にわけまして差上げたものでありますが、まず
民事の点で申しますと、一々こまかい点を申し上げますと時間がかかりますので
要点だけを申し上げますと、この六年間の
総計は、
民事の
裁判は約二千五百件ございます。そのうちで
憲法に違反するかどうかという
判断を加えました
判決の数は約二十件。でありますので、大体千件のうち八件という
割合でございます。それでどんな
憲法の
条文が問題にな
つておるかという点は、お
手元に差上げてあります
判示事項にこまかく書いてございますので省略いたしますが、たとえば家屋の
明渡しの
請求を受けると、
債務者としては
憲法の保障する
最低限度の
生活の保障を奪われるというような点など、それから例の
最高裁判所裁判官の
国民審査の問題な
どもこの中に入
つているわけであります。
なお
刑事の点につきましても便宜私から簡単に御
説明いたしますと、
刑事の方は
民事よりもやや
憲法に違反するかどうかという
判断をいたしました
裁判の数が多いのであります。この六年間に
刑事に関しまして
最高裁判所がいたしました
裁判の
総計は相当の数に達しておりまして、二万四千九百八件、約二万五千件まで達しておるわけでありますが、そのうち
憲法に違反するかどうかという
裁判をいたしました数は三百四十、大体百件のうち一・三件ということにな
つております。
民事よりもその
割合が多いわけであります。それから
刑事の
憲法に違反するかどうかということにつきまして、どういう
憲法の
条文が問題にな
つておるかということにつきましては、やはりお
手元に詳しく差上げてございますので、それをごらんいただけばおわかりかと思います。これは一々詳しく申し上げますと時間がかかりますので、もし御疑問がありますればお答えしたいと思います。
その次の表は、
最高裁判所が第一審かつ終審、最初で終りとい
つた事件を取扱
つたことがあるかという問題でございます。これは
新聞などで御
承知だと思いますが、
警察予備隊の設置が軍備を否認いたします
憲法九条に違反するかどうか、こうい
つた問題につきまして
最高裁判所に直後
訴えが起きた
事件でございます。これはここに書いてございますように、今まで六件でございまして、いずれも本案の中にまで入らずに
訴え却下あるいは必要な印紙を張らないために不適法として訴状を却下された結果とな
つております。これはすでに
新聞等で御
承知だと思いますので、省略いたします。
それからこちらの
委員会でも問題にな
つております点でありますが、
下級裁判所で
憲法違反の問題を含んでいる
事件を
最高裁判所が取上げたらどうかとい
つた問題に関連いたしまして、
人身保護法の
事件で例の戦犯の問題でありますが、
人身保護法による
釈放請求事件を
東京地方裁判所から
最高裁判所に
送致命令を発しまして取上げた
事件がございますので、その
経過を詳しく書いて差上げましたのがその次でございます。これも
新聞で御
承知だと思いますので省略いたしますが、結局
東京地方裁判所で一応
事件を受理いたしまして、いわゆる
人身保護命令を発しました後に、
最高裁判所で
事件をこちらへよこせという
送致命令を出しまして、その後
最高裁判所で審理いたしまして、結局結果におきましては
請求を棄却した
事件でございます。この
経過はやはりこまかく書いてございますので、省略いたします。
それからこれは直接関係がないかと思いますが、
人身保護事件がやはり人権の
保護に非常に
影響があるということから、
人身保護に関する
事件の表を出したらどうかという
お話がありましたので、
人身保護に関します一般の
事件の表を出したわけであります。まず第一が
高等裁判所に直接
人身保護の
請求を出した
事件の表、その次が
地方裁判所に
人身保護の
事件の
訴えを起した表でございます。これも簡単に申し上げますと、
両方を通じまして
高等裁判所に起しました
事件が、二十三年から二十八年まで六年間にわたりまして二十八件、それから
地方裁判所に起きましたのが同じ
期間内において六十七件、合せて九十五件出ております。九十五件を簡単に申し上げますと、百件近くのものでありますが、そのうち約六十件近いものが
刑事の勾留に関する問題であります。その他は私人間の紛争から出て来る
人身保護の
事件でございます。それでこの
人身保護事件について
請求を立てた
事件があるかと申しますと、これが百件近く出ておりますうち三件、
地方裁判所の
事件で
請求を立てております。これも詳細なことは表をごらんいただけばおわかりかと思いますので、省略いたします。
それから最後に
最高裁判所に出て参ります
上告事件は、一体
最高裁判所に
平均どのくらい係属しなくちやならないものか。
言葉をかえて申し上げますと、どんなに
最高裁判所で一生懸命にや
つても、ある
期間だけは
最高裁判所に
未済事件として残らざるを得ない。その
期間の調べでございます。これは
民刑両方にわけましてその
平均の日数を出しておりますが、
上告状を出してから
判決いたしますまでの
期間であります。これもこまかく申し上げますと時間がかかりますので、要約して申し上げますが、
民事につきましては大体四箇月から五箇月、
刑事については五箇月から六箇月というふうに、普通の
事件として
上告状が出てから
判決を言い渡しますまではどうしてもそのくらいかかるということの表でございます。これは
言葉をかえて申し上げますと、一年間に百件出るといたしますと、そのうちの四箇月あるいは五箇月分だけが残るということになりまして、その数だけは常に
未済事件として残るということになるわけでございます。これはすでに差上げてございます表の中で
大審院当時の十年間の表を差上げてございますが、
大審院当時におきましても、大体四箇月分ぐらいは残
つていて、それが
未済とな
つておりました。それと大体において一致するんじやないかと思われるわけであります。
なお詳細な点は、御質問がありますればお答えいたします。以上であります。