○林(信)
委員 外国人の
出入国に関する制度は終戦後特にクローズ・アツプされた問題だと思いますが、やや年月は経過したと存じますけれ
ども、なお古い年月の間に練られた来た制度とは言い得ないと思うのであります。従いましていろいろな問題が問題として考えられ、すでに辻さんからいろいろ
意見がありましたが、われわれといたしましていろいろの点があるのであります。特に
外国人の
出入国に関する小
委員会、すなわち本
委員会のできました趣旨は、すでに辻
委員より触れました問題があり、なお
局長におかせられて当初において触れられた問題であり、最後にまた述べられた点である
在留許可に関する問題なんです。この問題が特にこの法務
委員会の関心を呼びまして、この小
委員会ができたことは御
承知のことだと思います。実は率直に申しまして、本日のこの小
委員会の開催も、それらの点が重点として開くに至
つておりますことも御了知願いたいと思うのです。この問題は非常にうるさい問題であるとは存じまするが、内政的にも、事
外交面におきましてもきわめて重要な問題であると存じますので、過去における小
委員会の審議の経過もこの点に次第に重点を置くことにな
つて参りました。さきに小
委員会といたしまして中間報告を試みましたことは、これも国政審議に熱意と関心を持
つておられまする
当局とされましても御
承知の
通りであります。さらにそれを機会といたしまして、先々月七月十四日開催いたしました小
委員会におきましても
全会一致で
在留許可緩和の
基準あるいは
保証関係等について
決議をいたしまして、ことにこの
決議は
当局に対しまして善処方を強く要望申し上げる趣旨でありますので、その
意味の要望を申し上げた次第であるのであります。しかしながらその経過についてまだ詳細に
御存じのない
局長はそれといたしましても、かような審議の経過あるいは要望等については何らかの形式で
当局のお考えを進んで、かような
委員会の開催をまつまでもなくお示しをいただければ、まことに気持のいい話であると思うのでありますが、遺憾ながらそのことはなか
つたようであります。しかしながら本日いろいろと辻さんの
質問の流れを聞いて参りますと、おおむねわれわれの企図いたしておりますような、こういうことは、言われるまでもなくすでに
一つの
基準として考えらるべきものであ
つて、すでにや
つているのだ、言うまでもないことだ。こういうふうな御趣旨であ
つたように存じます。たとえば
局長の御
意見にありましたように、在来
日本人であ
つた者の人国に際し、さらに永住を希望しておる者に対する
処置方を十分配慮しなければならぬとい
つたようなお考え、あるいは
中村警備課長のこれらの
基準以外にも
基準が考えられ、それは具体的事案に対しておのずから違
つて来るけれ
ども、大体はかようなことは当然のことであるというような趣旨に承
つておりまするけれ
ども、実は辻さんも触れましたように、実際問題になりますと、必ずしもそう
行つておらない。これは事情があるのだ。こう言われるのであろうと存じまするけれ
ども、今われわれが考えてもこういう
基準が考えられます。その
基準というものは、一応その他の事情を勘案いたします場合に、相当これは根本的な問題として重要視してもらわなければならないものを、よく言われます不法
入国は波打際から帰すのだ、これは
原則だ、ただ上
つて来たからそこで審議しなければならぬから審議するようなものだが、いわばなるべくなら来たやつは全部帰してしまう。事情はくむとはいいながら、実際上くむことはないのだと考えておられるのじやないかというふうに伺えると、これが問題として実はこの小
委員会も生れ、かように
当局の
意見を伺
つておる次第であるのであります。たとえば七月十四日の
決議におきまして、終戦前に相当期間
日本に居住しておる。戦争末期に強制疎開その他の事情によ
つて朝鮮あるいは
台湾に、疎開その他の事情で
帰つておりました者が、終戦後
日本の旧居住に原状回復をしようとするような場合、これは
局長の触れられた第一のものでありまして、これは問題ない
程度のものが、その
ケースだけでなかなか
受入れられておらないという事情、あるいは箒二として掲げました現に
日本に居住する夫婦、親子、兄弟、姉妹等近親
関係の一方が他方を
朝鮮、
台湾から呼び寄せた、呼び寄せたと言わなくとも米ましたものを
受入れることを承諾したという場合も同断でありましようが、かようなものも、これを重要な事情、重要な条件として取
つておられないのではないかという取扱いの
結論をわれわれ
委員はなまなましく見せつけられておるということなんだ。あるいはその述べました一、二の事情が競合しておるような場合ももちろん多いのであります。
中村課長は、かようなことは
常識上
基準的なものとして一応考えられる、当然だというふうにおつしやいますけれ
ども、今
言つたようなものは、あるいは後に申しまするものについては比較的重視しておられるかもしれませんが、たとえば四に示しておりまする
日韓、日台、日中
関係の事業に従事している者、及び技術、芸能、学問研究を志望している者で相当の実績を収めている場合というようなことで、特殊目的をも
つておるもの等に対するもの等は実際上重要視されておらないのではないか、なかんずくこれらの
基準の条件に関連いたしまして、
本人の人格的なもの、善良な市民であ
つて生活能力も有し、国内における自然犯的な犯罪等を犯したこともない、ことに
日本人の信ずべき、信用のある身元引受けのあるとい
つたような者も、これは実際においてどれだけの価値を認められて審査の
結論を出されておるのか、率直に言
つて、私は多数の
委員諸君が疑いを持
つておるということを申上げたいのです。歯に衣を着せていつまで行きましても、同じことですから、思うだけのことをぶちまけて言いますが、問題はそういうところにあると思うのです。たとえば相当期間
日本に在住してお
つた者が
帰つて参りました事例、しかもその
本人はある県の自動車の運転手として働き、若い者でありましたために、終戦末期において応召しまして戦地に向
つた。当時の
日本を守るべく、外敵のたまの盾にな
つて働いた男なんだ。たまたまそれがそのまますつと
帰つて来ずに、部隊長が、お前はもう第三国人にな
つたから
朝鮮にとどまれというので、たまたま
朝鮮にお
つて、そのままいたという一事で、疎関どころの問題でなく、強制的に送り出された。
日本のしこの御盾とな
つた男が
帰つて来ても、これを帰つちやいけないと締め出している、御
説明は当然のことのように考えられております。そのことが必ずしも
受入れられておらないのであります。あるいはその他の事柄を書いておりましたものに証明が足るとか足らないとかい
つたようなものがあ
つたかもしれませんが、根本の問題は、
日本人であ
つた者が、やむを得ない事情で、しかも
日本国家の要請に基いて
日本を離れた者が、
帰つて来るものを帰さないという、そういうことであ
つて、波打際から帰すのだ
つたら、これはもう
出入国管理令はいらないものだと思う。そこに事情あるものは許さなければならぬ。許すという建前において、特に丁重に、司法制度ではないと存じまするけれ
ども、一審、二審、三審というようなことで、異議の申立てがあれば調べる。それ以外にも特別の事情があれば法務大臣はこれを許すというような適当な
手続がきめられ、適当な制度があるにかかわらず、かような根本的なものがはねられておる。あるいは
子供が
朝鮮にお
つて母親が死んだので、父親を頼
つて来た。ところがそれも帰す
在留許可は許されない。一体そういう
子供は
帰つてはたして生きて行けるのか行けないのか、行ける行けぬは別にして、人心の大道からながめまして、父親を慕
つて来ました者、その父親はかわいい
子供を手元において育てたい。一緒に暮したいという熱意は、国境を越えた問題でありまして、すぐにわかる問題であり、これらのことが七月十四日の
決議として
緩和基準の第二にあげておるのでありまするが、実際の問題についてそれが行われておらぬということになりますと、今お答えになりましたようなことと実際は食い違
つておる。それは事案がいろいろだからと言われるかもしれませんが、この根本の問題以外にどういう事情があるならば、具体的の場合においてやむを得ずこれを不
許可にしておられるのでありましようか。管理令にあげてありますようなたくさんの数がありますが、そういうものは私らの
知つた範囲でないものについて特に不
許可にな
つておるのでありまして、
法律の欠格条項とい
つたようなもの以外に、何か
入国管理局ではお考えにな
つておるところがあるのじやないかと思うのでありますが、あるならばそれをひとつぶちまけていただきたいと思うのです。それが納得すべきことであればわれわれも納得するのでありますけれ
ども、どうも具体的な事例の結果をながめておりますと納得ができないのであります。まず私はこの点をお伺いしたいのであります。