○山口(喜)政府
委員 私からお答え申し上げますが、
猪俣委員の御
質問に対して二、三事実を明らかにいたしておきたいと思います。
第一点は、
警察大学で講義をしておるという
お話でございますが、
警察大学の課程といたしまして、こういうことはいたしておりません。警備
関係の者について別に講習会をやる場合がございますが、ほかに場所もございません
関係で、大学の中のある教室を借りて行
つておりますが、講義その他には大学の
関係者は一切
関係をいたしておりません。大学の構内においてそういう講習会をいたしたことはございます。講習会の内容につきましては後ほど申し上げます。
それであのときの御
質問は、手紙を開封したり金庫のかぎをあけたり住居に侵入する方法を教えておるということを聞いておるがどうかという御
質問であ
つたと思うのであります。これに対しまして長官は、封をしてあるものをあける方法は場合によ
つて必要がありますので教えておりますということは言われたと思います。その封をしたものをあける必要がある場合というのはどういう場合かと申し上げますと、長官も
はつきり言
つておられますように、手紙の封をあけるということを言
つておられるのでは絶対にないのであります。御
承知のように革命勢力が地下活動といたしまして、いろいろの文献等をごく秘密で、ごく限られた者の範囲内におきましていろいろと動かしておる、あるいはまた保管をいたしておるわけであります。
暴力革命を否定せず、あくまでもこれ、認めて行くというやり方をと
つておる以上は、その団体の動きを、
治安の
責任を持
つておる
当局といたしましてはやはり知
つておらなければならない
立場に立つわけであります。そこで、それはどういうようにして知るかと申し上げますと、いろいろ情報覇といたしまして普通の方法で情報を得る場合もありますが、場合によ
つては私
どもは
協力者を求めるのであります。この
協力者を求めるについてもいろいろむずかしい点もございます。どういうようにすれば
協力者をうまく手に入れることができるか、またこれに対してどういうようにして接触をして行かなければならないかということは、これは情報を収集する専門家に対しましては教えておるのであります。その場合におきまして、普通の場合には
協力者がそういう秘密の文献あるいは文書というようなものは私
どもの方に手渡してくれるのでありますが、間々その者が保管をしております極秘の文献、文書等につきましては、封をしたままその者が保管しておる場合があり得るのであります。その場合に、連絡を受けました
警察側の者がこれに対してどういう措置をとればよいかということは教えております。その場合には、保管をしております本人がもちろん
協力行動の一つとしてこれをわれわれの方に提供をいたすのでありますが、後日、本人が
協力しておるということがわかりますれば、本人は規律違反として非常な懲罰というかリンチを受けるという場合も
考えられる、その場合に、本人の迷惑にならないようにし、しかも事実をうまく知るためにはどうするか、その場合に初めてこれをわからないように封を解くという技術を知
つておく必要が出て参る。そういう場合における方法として講習をいたしておることはございますが、御
質問の冒頭にありましたように、手紙を開封するというようなことは絶対にいたしておりません。これは
憲法あるいはその他の法律に触れることでもあります。
警察官が法律に触れるような行動を行うということは、厳に慎まなければならぬことは申すまでもないわけであります。従いまして、たとえば住居侵入の方法を教えるというようなことは絶対にございません。また金庫のかぎというところにつきまして誤解がありますから申し上げますが、先ほど申し上げましたような
協力を得る場合におきまして、場合によりましては、たとえばあるトランクにかぎがかか
つてお
つて、その保管を命ぜられておる。これはどうも中がピストルらしいという場合が相当あるのであります。はたしてそれがピストルであるかどうか、これはやはりわれわれ
治安の
責任を持
つております者といたしましては中を知る必要がある、本人はまたこれをひとつや
つてもら
つてもよろしいというので提供する場合があるわけであります。従
つてそういう場合におきまして、金庫の合かぎをどこかで求めて来るということもできませんし、そういう場合にどうすればあけ得るかということで、そういうごく限られた場合に行うべき旨を厳重に申し渡しました上で教育をや
つておることはございます。金庫のかぎをあけるとおつしやいましたが、そういうごく限られた場合においてトランクをあける方法は、場合によ
つて必要でありますから、講習をいたしております。その場合と申しますのは、たとえば本人の保管しておりますトランクの中にピストルが入
つておるというような場合、あるいはきわめて秘密の
程度の高い暗号表が人
つておるというような場合もあり得るわけであります。そういう事情でございまして、手紙を開封する、あるいは金庫のかぎをあける、あるいはまた住居侵入と、ぱつと申されますと非常にわれわれといたしまして、何と申しますか実際と相違いたしておりますので、以上長々と御
説明を申し上げた次第であります。