○林(信)
委員 公序良俗に反するという
趣旨で問題の場合が処理できないこともないでしよう。しかしながら、先刻も申し上げましたように、他の立法において処罰
規定まで設けて厳然たるものがあります以上、その
裁判の実際において、その複雑性といいますか、何かめんどうさのありますようなことで実際の
裁判が行われますよりも、この場合は、他の立法があるのだから、別に定められる
金融のための
法律における
制限を越えるものはまた別であるとかいうようなことにはつきり建前としてや
つても、いな、そうすることがほんとうじやないかと思うのですが、絶対に違法だとい
つているものを、そういう抽象的な
法律解釈からこれを取扱わなければならぬというようなめんどうさよりは、これはきめてもさしつかえがないんじやないかと私には思われるのであります。それ以上にお答えがなければそれまででありますけれども、私にはそういうふうに思われてたらぬのです。元来この一条二項の規律は、すでに
利息制限をしながら、それ以上払
つたものを、今までの
解釈といたしましては、不法
原因の給付だからというような
解釈で、これは本質的な
解釈ですから、
法案の
解釈とはまた別でありましようが、
法案は明らかにしておるのであります。その
解釈の言葉であるのですけれども、不法
原因の給付とい
つたようなことで考えなければならないほど、それほどあいまいとでも申しますか、結論はわかるのですけれども、考え方としては私はかなり無理な
解釈でこういう
規定がなされているように思うのです。不法
原因の給付と言うと、何だかすでに違法性のあるものの給付のように考えられますが、元来借りたものを払
つた、約束のものを払
つたのですから、それ
自体を不法というのもおかしいし、とい
つて、そこに一定の
限度をきめました
法律があります以上、それを越えて払いたくはないのでしようけれども、これは払わなければ何度も
請求もされましようし、あるいは
金融の実際としては、あとまた貸してくれないということもありましようし、何だかだで余儀なく
支払わさせられている。
債務者側では法を犯してまで払う、いわゆる不法の認識をも
つて利息を払うなんというようなことは、これは心理的には全然考えられない。それが不法
原因の給付とい
つたような
説明で言わなければならないほど、この
規定自体の本質には私はかなりの問題があると思うのです。しかしながら
裁判上あまりにこれらの
関係、取引に立ち入り過ぎないということも、すでに一応そごにおちついており、ある
限度を納得の上のことでありますから、そこまで立ち入ることもどうかというねらいではないかと思うのであります。さような
意味で理論的、観念的にはどこで線を引くかは、従来はやや不明確であ
つたかと思うのです。繰返すようでありますが、今回はその他の立法においてその
最高限が明らかに示されて、しかもそれを越えるものは処罰
規定があると出て来た。こういう業者の間の消費貸借
関係においては、この
裁判上の取扱いにおきましても、これはあまりにその額の多いものにつきましては、やはり
裁判上問題にして、これを適当に扱
つてや
つてよろしいのではないか。従いましてその旨の
規定がなされてよろしいのではないか、こう考えるわけであります。もしこの点について重ねて御意見が承れれば仕合せだと思います。