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犬養国務大臣 できるだけ促進をいたす覚悟でや
つておりますから、今御指摘の、
お忙しい委員でも年中忙しいわけではないので、この次の会にはもつと早く出られるという場合には、何も二週間置く必要はちつともございませんから、その点は私も厳格に当局と打合せをしたいと
思つております。私のところには、どうも不敏にしてまだ業者の訪問の栄を受けておりませんが、今の法務当局が業者の影響を受けるというような感じの顔ぶれはございません。もちろん業者にも、今現実に業をや
つておる人の跡始末とか、いろいろな問題がありますから、十分御
意見を伺わなければならぬと思いますが、いわゆる
神近さんの言われる顰蹙すべき裏の運動というものは、少くとも私
どもの方では一度も体験いたしておりません。この点は御了承願いたいと思います。今申し上げましたように、問題を集中してや
つております。最もむずかしいのは、おそらく
日本に貨幣制度ができますと同時に、
売春を金でも
つてするということが行われた、これは何百年と行われておるのでありますから、
国会に
売春禁止に関する
法律を出したら、あくる日から
日本中に
売春婦がいなくなるかというと、そうではないのであ
つて、その場合のことも
考えなければならない。一番潔癖にやれば、往来を二人で歩いておる者を、少し疑わしければどんどんほうり込む、あとでそれがいいなずけとわかつたら当局があやまるというやり方が一番早いのでありますが、これはまた人権蹂躪問題も起りますので、実際どういうふうにやるかということで、
売春はいけないと
思つても、その点については非常に熱心な御
議論があつたわけであります。すでに
売春というものがよくないということは、各
委員の決定的な表現でしよう。私はその席におりませんでしたから存じませんが、ほとんど全員と存じます。それだけでも
昭和二十一年の
次官会議の通牒というものはここでくつがえされるわけであります。これだけでも相当意義が深いと思います。それから
売春をした人をただ罰したらよいのじやなくて、もつとよい職業で一生行けるように職業補導する。あるいはまた前のボスが誘惑するとかいうようないろいろな問題がありますから、
保護観察というようなこともありますし、そういう問題は前回の
委員会で相当周密に実際的に論じられたわけであります。残る問題は
集娼というものをどう扱うか、これが実際問題としてはなかなか
議論が出ると思います。そういうふうに問題を集中して行
つております。私こういうことを非常に心にかけていて、一部ではやぼつたいように言われますけれ
ども、私の一番懸念しておりますのは、昔も
売春婦はおりましたけれ
ども、大体大都会や中都会の片すみで運命を大いに嘆きながら、生きる道がなくて控え目にしていた。今はりつぱな女学校を出たような人が、いい洋服を着て堂々といい洋服をつくる手段はここにあるという顔をして歩いておる。この純潔観の喪失というものを、
日本民族のために私は心から嘆いておるわけであります。また植民地化すような風景が、かえ
つて外国との良好な親善
関係を害しておる、こう思うのであります。そういう若い年代に必ず一度持たなければならぬ純潔観というものを、
日本人の誇りのためにとりもどしたい、これが私の念願なんでありましてそのためにはできるだけこの問題は真剣に取組もう、これは
民族の問題になりますから……。あとは実際問題でありまして、つまりかりに
集娼というものを否定した場合、病毒を持つた人がどういうところに散るかというような実際問題も当局としては
考えなければなりません。
法律ができたら一人もいなくなるとは私は
思つておりませんが、この
法律をも
つてしても残る
社会の裏側のこういう下商売を、実際的にどう扱
つて行くか、これは実際問題として真剣に論じなければならぬと思います。またきびしくして、ただ若い男と女が歩いていたら
売春婦だと思えというのも、実にこれはまた人権尊重の足りない国になりますので、その辺の中庸を得たことと
考えますと、問題の早急な解決を心から願いますが、私はよほど真剣に
考えるべき問題ではないかと思う。ことに街頭で外国人と歩いておると、すぐお前は
売春婦だろうというわけにも行きません。また男女がネオンのけばけばしいところへ入
つて行つたらすぐ
売春だというわけに行かず、そこへ警察官がそのまま入
つて行くということもまた人権尊重の上から参りません。ですから
根本方針はありましても、実際の
措置となりますと、十分の
議論をしないとかえ
つてあとで問題が起るのではないか、私はこう
考えております。しかしさりとて漫談的にただ時を過す
審議会には断じてしたくない。
従つて先ほど申し上げましたように、その都度
審議会の主要点というものを限定して論じていただく、こういうふうにいたしておるわけでございます。