○
下牧説明員 その点は、この
法案の性質について誤解があるのじやないかと存じます。と申しますのは
即決裁判――これは
言葉が悪いかもしれませんが、
即決裁判手続、こういいますと、それがあたかもその日違反を起したらすぐ
裁判所へ持
つて行かれてぽかんとやられる、こういう誤解を招いておるのではないかと思います。しかし私
どもが
考えておる
即決裁判手続というのは、そういうものではありません。自動車の違反を発見いたします。そうすると巡査がそこへ行きまして、こういう違反をしたが、大体いつごろ出て来れるか――大体非番の日が一日置きくらいに自動車の運転手としてもございます。そういう
都合のいい日を聞いて、そうして二日後あるいは三日後にここへ出て来るようにというのでその日を指定して、そのかわり免許証を預か
つて保管証を渡す。出て来るまではその保管証で運転もできれば、営業してもさしつかえない。そうして出頭いたしますれば、そこで今度は
警察で訓戒にするものは訓戒にし、それから検察官に送るものは送致して行く。そうしてそれを受けて、今度検察官の方で調べて
裁判所の方にまわして行くという形になるわけでございます。そういう形で
裁判所へ行きまして、その日のうちにとにかくすべてが片づいてしまうということになりますので、
検察庁、
裁判所に行
つてから後が
スピード化されるという形にな
つておるわけでございます。で、ございますから何でもかんでも今までのやつをかえて、こまかいものまで全部送
つて行くというのではありません。
それからもう一つどの
程度の
事件を
検察庁に送らせるかということは、これは
検察庁の方できめるべき事項でございます。それでこの
法案の
手続が
実施されるということになりますれば、この送致の基準を定める場合におきましても、検察官がある
程度具体的な指示をいたしまして、
警察の方に対してもあまりつまらない
事件を送らせないように
措置することになるかと存じます。そういうような面においてもある
程度警察の動きをチエツクすることができることになります。
それからもう一点御
了解願
つておきたいことは、交通
警察の重点は、
警察当局におきましても、先ほど申し上げました
通り、検挙主義というものよりも、やはり予防指導という
方面に
努力を払う、これが重点であるということで、各職員を指導しておるのでございます。この面においても、今度の
手続が
実施されたからとい
つてすぐさま従来のやり方がかわ
つて、今まで二回、三回の注意で治ま
つていたものがすぐ送られて処罰されるというようなことは万々なかろうかと存じます。その点に何か誤解があるように感ずる。と申し上げますのは、先般参議院でやはり公述人の意見をお聞きたなりましたが、そのときに組合の代表として出て来た公述人の意見によりますと、その公述人は組合の全体を代表して申し上げるということでの意見でございますが、その際の
言葉に、なるほどこの
法案は――逐条解説を見られたのだと思いますが、何だか運転手の方に、お前の方のためにもなるからというようなことで、おためごかしのような形でこの
法案をつくられたということについては、これはどうも腹にすえかねる、しかしながらこの
手続の運営というものが高飛車に取調べをするとかいうような威圧的な運営をせずに、思うことを運転手が言えるような状況においてその運営がなされるのであれば、これに反対するものではない、こういうふうに私
どもは聞いております。その点も十分衆議院におかれましても御審議願えれば幸いかと存じます。