○林(信)
委員 ただいまも
制度に関する問題がいろいろ出て来たようですが、私も今まで
制度に関する質問を試み、なお伺
つてみたい点が残
つておるのです。
この
制度については十分
考えなければならぬことは当然であります。また数が多いのですが、
ちよつと
考えましても、いやしくも
裁判の名を持ち、
法案によりましても公開の法廷でやるというようないわゆる通常の
裁判手続を思わせるものがあるかと思いますと、検事は特に立ち会わなくてもよろしい、弁護人も選任しなければしなくてもいい、また選任することを告知しなくてもよろしい、あるいは出てお
つても出て来なくても、あるいは意見を述べなくてもよろしいということで、形の上で通常の
裁判らしいものを持
つておるかと思えば、またそういう面ではそうでないことにな
つております。当局はこれは
公判前のもので通常の
裁判とは全然違うのだ、こう言われておるのであります。しかるにこれだけのことをやればやはり相当の人を要し、費用を要するのだと
言つておられまして、なかなか困
つてもおるが、やりたい、しかし
制度からいえば憲法
違反ではない、憲法
違反という言葉を用いるのなら、
略式手続は憲法に
違反するのじやないかという議論もあ
つたが、これはそれよりももつとまがいの
手続にな
つておりますから、はたしてそういうまがいの
手続が、憲法の趣旨から参りまして、憲法の本旨とするところに照して容認し得るかどうかという問題もあるかと思うのですが、それでも押してやろうとする実益を思いますれば、これは私は必ずしも反対はいたしませんけれ
ども、そこでおよそ
裁判所として関与する限界をどの
程度に置くか、
略式で行けるようなものは
略式でやるといいますけれ
ども、
略式でなくてこれでやることも必ずしも悪くないようなものはや
つたらどうかということは、先刻私も意見を申し述べてみたのですが、そういうように
裁判所が非常に重荷を血
つて何もかにもやらなければならぬというようなことを
考えずに、これも他の
委員からの牽連質問で出ましたように、もつと簡単なものは簡単なところで取扱
つたらどうか。この道路交通法による刑事罰としての罰則の中には、行政罰に持
つて行
つてしま
つて足るものがあるのじやないか。そういう方も
考えて、そつちの方を整理しちや
つて、そつちの方から除外をしますと、大分負担が軽くな
つて来るのじやないか。しかしこれはアメリカの実例等も言われて、なかなか弊害もありましよう。非常な弊害のあるものはまた別にしなければならぬが、少くともまあまあと思うようなものは行政罰でやることが適当じやないか。ことに道路交通
関係は、その制裁を受けることは
罰金刑
程度のものが多くて、その受ける刑罰的な気持から参りますと大したものじやない。むしろその処罰を受けることによ
つて運転免許証の停止あるいは取消しというような、行政的な別の面の影響を及ぼし、あるいはただもにその処分をされるということが、大きな刑罰価値を伴
つて来ることが多いと思う。そういたしますと、直接の処罰はむしろある
程度行政罰にまかせてしまう。
警察官がただちに現金の授受まではできないでしようが、そこである
程度の申渡しをして、それを承認するならばこれを
警察署へ納めるというような方法で足るものが、ある
程度あるのじやないか。そういうものをのけて参りますと、御懸念のような
裁判所の負担も軽くな
つて参りまして、
裁判の本質的なものに触れる面も少くな
つて来ると思うのです。
これに牽連いたしまして、
即決裁判という名称、これは今鍛冶君から座談的に意見があ
つて私もそう思うのですが、初めて出て来る名前である。簡易
手続とい
つたようなものは刑訴法等にもありますし、その
程度の言葉はよろしいとしましても、
即決裁判とまで言わずに、特別
裁判という
程度で表現したらどうであろうか。先刻江里口さんのお話によりますと、これはスピード
裁判として一件十分ぐらいと言われた。おそらく
裁判官はそれに拘束されることはないと思いますけれ
ども、そういう気持でや
つておりますと、いやしくも
裁判と名のつきますものが、きわめて軽くな
つて来やしないか。これは他の
委員からも同様な発言がありましたが、私もそう思われる。どうも適当でないように思う。
裁判官の御苦心もいろいろあると思いますが、
裁判官は、
即決裁判というのは、通常の
手続の刑事
裁判では、なかなかお好みにならない。これはいやなことだそうです。はやり時間を置いて――通常一週間ぐらいですが、大
事件は別ですけれ
ども……。即日その場でというやつは、どうもあとで
考えるとあつということが間々あるという経験談を開くのです。私は
裁判のことをや
つた経験は全然持ちませんが、そういうことを思うと、即決ということ自体もうすでに問題であると思うのです。そういうことが真理があるとしますと、そういうことで
裁判を受けることは、訴訟
関係人の決して敬服することではないだろう。そこのところは十分で、その場でというようなことでなくて、
書類をつくらぬというよりは、やはり
即決裁判は特別
裁判と直して、
審判書でも何でもそういうものの要領を書いて、理由までは除いても、ある点までそういうものを書いて、あとから送
つてや
つてもいいんじやないか。何だか聞いたばかりではたよりなくて、間違
つていやしないかという杞憂がある。書いたものは何かたよりになるのです。そこで言い渡すまでには若干の日時時間を置いて結論を出されて、それを
書面で送る。これも
審理が済んでしま
つてそこから先だ
つたら、このために延びる日にちは限られたものです。そのために訴訟遅延とまでは言えない。これはひ
とつ考えなければならぬことじやないかと思うのですが、そういうことをお
考えに
なつたことはありますか。なお今日の御心境を伺いたい。
これについて行政罰をも
つて行きます場合に関連いたしますから、この際
国警の警邏交通
関係の方がお見えですから、お伺いいたします。最も多いのは
速度違反だと思います。実数的にはもちろん私はわかりませんが、
ちよつと見ておりますと、ストツプ・ウオツチかなんかで追つかけて行
つてとめておいて、ごたごたや
つて、そこで認められた方にや
つているようです。そこで認めればいいですが、認めない場合はどうされているのですか。ストップ・ウオツチが証拠で、それを持
つて検事さんのところへ行
つて調書をと
つてもらえば、それで
事件は進んで行くものなんでしようか。あるいはスピード
違反ですから、本
法案は対象にしておらぬかもしれませんが、ひき逃げをしてしま
つたというような場合に、
自動車のナンバーだけを覚えているだけで足りるのか。何か
写真版でこういうものをとるような的確な方法が行われておりますか。これはこういう
手続の起る前の一種の検挙の際の問題なんですが、牽連して
国警関係の方にお尋ねいたします。以上
制度に関する問題についてお伺いいたします。