○
足鹿委員 そのお
考えで進んで行かれるならば、あまり大きな問題は起きぬはずでありますが、ところが実際はそうではないようであります。現に
補助金等の
整理要綱をおつくりに
なつた際は、
大蔵省は非常に重大決意をも
つて臨まれたようでありますが、なかなか輿論はそう簡単にこれを通さないというので、いろいろな折衡経て今日に至
つたものであろうと思います。農林
関係としては、
農業改良助長法に対するところの
改正が
中心にな
つているようでありますが、事実最近の
政府の
政策を最も端的に現わしております昭和二十九
年度の
予算を見ますと、
食糧の
輸入補給金の三百億を九十億にお削りに
なつた、米を少くし麦に依存をする、さらにMSAによ
つてアメリカの過剰小麦を
輸入して粉食に国民生活を切りかえる、なお米の配給基準を削
つて国庫の負担を少なめにして行く、こういう一連の
方針によ
つて貫かれておるようでありまして、その
一つの関連した問題として、
補助金整理法案というものが
農業の場合には重視されて来ると思います。今
大蔵省のお
考えにな
つておることは、国内の
食糧依存を外国
食糧に切りかえて行く、国内でつく
つたもので足らないその不足分を外国から求めると一応
言つております。大蔵大臣は始終そういうことを繰返しておりますが、
政府のと
つておる施策を見ますと、実際上においては、外国
食糧に依存をして行く
傾向が大きく出て来ておる。しかも安いものでさえあれば外国から買
つたらいいじやないか、高い米はやめて麦にする、——麦もMSA小麦が実際に到着してみなければわかりませんし、コマーシヤル・ベースのものよりも安いか高いかわかりませんが、これまたMSA小麦によ
つてアメリカから購入する、こういうふうに漸次国内
食糧依存
政策をおやめにな
つて、外国
食糧に依存をして行く
方向に方策を大きく転換しておいでになるように私
どもは見受けるのであります。これは大きな間違いだと思いますが、事実
大蔵省の
考え方はそういう
考え方にかわ
つておる。昨年吉田内閣ができた後において、緒方さんはそういう
意味の重大な発言をや
つておりますが、そういうことはともかくとして、これに対する基本
認識の問題です。いま
一つは、私が先刻述べましたように、
農業は私企業である、その者の生産費に
補助することはおもしろくないというので、農薬の
補助の打切りや、その他直接生産費に関連のあるものについては思い切
つて削
つておられる。たとえば、
補助金の
整理の結果、うんかに対する農薬の
補助を打切るとか、麦に対する農薬の
補助を打切るとか、米の
増産の基礎であるところの温床紙の
補助を打切るとかいうふうに、ここに一連の関連が出て来ておるのではないかと私
どもは思うのであります。
そういうような点で、私
どもは
農業改良助長法の
改正ということについて非常に重視するわけであります。何となれば、
議論めいて恐縮でありますが、お聞き取り願いたいのは、ことしの
予算で優遇を受けたものが一、二あります。
一つは試験研究費が
相当ふえておる、いま
一つは
農業機械化で、他の
補助金がまくらを並べて討死にしておる際に、
農業機械化だけが
一つ取上げられておる。これは
大蔵省の趣味といいますか、また御研究の結果、そういうことに対して科学性と合理性を追求され、
農業生産力をそういう面から発展させようというお
考えかもしれませんが、とにかく特殊な事例が二、三あることは事実であります。そういう試験研究機関を重視されることは私
どもももちろんけつこうだと思いますが、そういうところで研究をされたものを一体だれが実際において普及するのでありますか。その研究の結果が温床紙の実際問題となり、あるいはうんかの薬剤防除の指導になり、あるいは麦に対するところの薬剤の散布によ
つて減収の防除になるのではありませんか。やはりそこに一連の関連というものが出て来ると私は思うのでありますが、そういう点について、
金額は少いようでありますが、特にうんかに対するところの
補助を全額削る、あるいはまた麦の薬剤の
補助を全部切
つておられる。これは法案と直接
関係はありませんが、結果として出て来ておる。そういうような点で、一面においては研究あるいは
農業機械化に対しては
補助を
増額し、あるいは国の施策の
予算的
措置をふやしておいて、それが末端に浸透して行く重大な点についてはこれを切
つて行く、そういう相矛盾した
政策をおとりになるということは、
日本の
農業の実態というものをはたしてよく御
認識にな
つておるのであるかどうか。私
どもはそういう点で非常に疑問に
考えておるものであります。
一度下
つた生産態勢というものを今度立て直すということはなかなかできませんよ。一ぺんくずれた
制度を今度再び盛り上げて行くということはできません。特に
農業改良普及員の
制度は、旧農会の
制度があ
つたからよく御研究にな
つておると思いますが、農会の
技術員が国庫
補助の問題でさんざん苦しんだ前例がある。続いて
農業会になりました。そうして今度は戦後においてはモデル農家の指導員とな
つて採用された。そして今度
改良普及員制度に
なつた。そしてこれがまた
地方職員に切りかえられ、その若干の
経費が
府県に移譲をされている。こういう形で私
どもは覚えている。ここ十五、六年の間に
制度の変改を受けること四回であります。そうして、一人前の勉強をし、
相当の学校を終えまして、そして経験を持
つて、百姓に接すれば接するほど地位が下
つて行く。一方普通の行政官に
なつた者は、同じ中学校、同じ高等学校を出て、一方は農科へ行き一方は法科を出た、ただその瞬間だけで、一方は国の政治を左右するようになり、一方は
自分で雑巾がけをし、
自分で茶をくまなければならないような試験場で一生涯を暮して行くような運命をたど
つておる。そういう
人たちを気の毒だと思いませんか。こういうことをいつまでもや
つておりましたならば、ほんとうに行政があまりにも優位過ぎる。もつと
技術というものに対して
大蔵省はあたたかい
認識を持たるべきだと私は思う。そういう点をよくお
考えに
なつたならば、これくらい気の毒な
農業技術に尽しておる人々が、また今度その地位や身分が不安定になるような
財政的な
措置を講ぜられて行くということは、私は非常に遺憾に思う。そういう点はもつとこの際よくお
考えにならなければならない問題だと思う。そういう点についてはあえて私はこれ以上申し上げませんが、
技術というものがもつと尊重されるような政治、そういう行政が行われて行かない限りは、ほんとうの生産力の増強も、それに基くところの
食糧の国内
自給ということも、私は言うべくしてなかなか実行困難だと思う。じみな仕事をや
つておる連中というものは政治力がない。陳情
一つするすべもよく知
つておりません。そういう点もよく
考えてもらいたい。弱いところへ水がたまるような
補助金整理であ
つてはならないということを特に御反省を願いたい。
そこで、私
どもはそういう
考え方を常に持
つておるものでありますから、特に今後の
農業改良普及事業というものの心配をいたすのでございますが、先般
農林委員会におきまして自治庁当局に来ていただきまして、昭和二十九
年度から
地方財政計画に組み入れられる、譲与税に繰入れられて行く
金額なり種目は何であるかということをお尋ねをし、その資料を
要求いたしましたところが、私精読してみましたけれ
ども、これではわけがわかりません。一月二十五日付で私はもら
つておりますが、——
委員長、自治庁の人はいますか。