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岡田(修)
政府委員 海運市況がいつよくなるかということですが、これは私
どもも
ちよつと予測のできないことでありまして、どこかに大きな戦乱でも勃発する、あるいは飢饉が起るというような不幸が起らないと、海造というものはよくならないのであります。これがどこに起るかといことは、
ちよつと申しかねる次第であります。しかし、その間において、
海運市況というものは一張一弛があるのでありまして、最近では
ちよつと運賃がよくな
つておる。たとえば北米太平洋岸の日本向け小麦が一時は六ドル半くらいまで下
つておりましたが、今は八ドルぐらいにな
つておるという
状況でありまして、不況の中にもそういう多少の高低がある。その多少の高低が
海運においては
相当大きいので、
ちよつと一割違いましても非常に大きくなるわけであります。
従つて、そういう
状態でずつと横ばいしておると、日本の
海運というものは経営的に行き詰ま
つてしまうのじやないかという懸念があるわけであります。この点は非常にむずかしい問題でございますが、とにかく私
どもとしては、今の
助成策で
海運業者がどこまでや
つて行けるか、とにかくぎりぎりのところまで努力してやらして行く、そして行き詰ま
つたときにはまたそこで手を
考えるよりしようがないのじやないかという
考え方であります。もつとも、その間において経営の合理化、それから日本船同士の無用な競争の排除、こういうものによ
つて収入の確保に務めるということはもちろん努力いたします。
それから日本中心に
考えた場合に船腹は十分ではないかということでありますが、これは
考えようでございまして、何も今日本でつくらなくても、
外国からどんどん安い船が来るからよいじやないかといえばそれまででありますが、
外国ではどんどんいい船をつく
つておる。今でも
建造中のものが六百万総トン近くある。手持ちの総量もそれくらいある。そういうふうにどんどんつくられる。ところが、日本の方では、これからつくらないと、現在
相当数の戦標船、それに
外国から買
つた古船を持
つておる、そういうものがだんだん脱落して行くということになりますと、現状よりもだんだん押し込められるわけです。一方日本中心の輸送量を見ましても、輸入物資の四五%程度しか運べない。輸出物資は三五%、戦前では輸入物資は六〇%、輸出物資は七〇%ぐらい運んでおる。そういうふうな点を
考えますと、私
どもはもつと船をつくるべきだと思います。なるほど採算の面から申しますと、非常に悪うございますが、荷物は確実にある。
従つて外貨の獲得という点におきましてはこれは間違いがない。他の輸出
産業をいろいろ
助成されましても、相手国の輸入制限とかその他で伸びに
限度があると思います。ところが
海運においてはその障害が全然ないわけであります。第三国間輸送におきましても、戦前は運賃収入の二五%を第三国間でと
つておる。現在では一五ぐらいしかと
つてない。第三国間輸送も十分伸び得る余地があるというふうな点を
考えますと、みな
船会社の採算だけを見て船はつくるべからずという議論を立てられるのですが、もう
一つ大きく日本の経済という観点から、なるほど私企業的には採算がとれないが、
海運というものは伸ばすべきであるという見解が成り立ち得るのではないか。そうした場合に、それでは
海運の経営にどういう
助成策をと
つたらよいかということを
考えていただくべきじやないか、かように
考えるわけであります。