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1954-03-22 第19回国会 衆議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十二日(月曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 葉梨新五郎君   理事 岡村利右衞門君 理事 川村善八郎君    理事 羽田武嗣郎君 理事 松岡 俊三君    理事 吉川 久衛君 理事 井手 以誠君    理事 杉山元治郎君       生田 宏一君    小枝 一雄君       鈴木 善幸君    福田 赳夫君       松田 鐵藏君    山本 友一君       山中日露史君    川俣 清音君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         法制局次長   林  修三君         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      佐藤 一郎君         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君         運輸事務官         (大臣官房長) 山内 公猷君  委員貝外出席者         農 林 技 官         (畜産局衛生課         長)      近斎 弘義君     ————————————— 三月二十二日  委員永井勝次郎君辞任につき、その補欠として  山中日露史君が議長の指名で委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  補助金等臨時特例等に関する法律案内閣提  出第四九号)     —————————————
  2. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事諸君とも協議の上、去る十五日の松田鐵藏君の発言中に不穏当な部分がありますれば、委員長において適当に処置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 川俣清音

    川俣委員 議員の言論に関する問題だけに、おそらく松田鐵藏君も責任を持つて発言せられておることと存じます。一応松田鐵藏君に意思を確められてから決定せられる方が適当じやないかと思いますので、この決定は松田委員の心境を確かめられた上に処置せられんことを望みます。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  4. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 川俣君の御発言の趣旨もありますので、委員長においても松田鐵臓君御自身とも協議をして処置したいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  6. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 補助金等臨時特例等に関する法律案議題といたします。  前会井手委員より議事進行についての発議がございました。その際、大蔵大臣意思を確かめて、しかる後に審議を進めたいとの要求でありました。この際この問題を議題に供したいと思います。井手君から順序といたしまして要点をお述べ願いたいと思います。
  7. 井手以誠

    井手委員 大蔵大臣お忙しいところをまことに恐縮に存じます。あなたに来てもらわなくてはどうしても議事進行がいたしかねましたので、お願いを申し上げた次第でございます。事柄は簡単ですけれども内容は非常に重要に私存じておりますので、その内容を概略申し上げまして、大臣の所信を承つておきたいと存じます。  それは、この臨時特例等に関する法律審議中に、たまたま次のことが当局説明中に発見されたのであります。それは、国有鉄道法の一部改正について、その第五十八条を削除するとございまするが、その五十八条によりますると、国庫共済組合事務費の全額を負担することがはつきりと明記されておるのであります。これを整理して二十九年度から停止するということにつきましてはただいま審議中でございますけれども、その丘十八条によつて国庫が当然負担しなくてはならない義務があるところの共済組合事務費について、二十八年度には名目的にも一銭の負担もなされておらない。ところが一方運輸省の方からは三千百方円の要求を再三されたそうでありまするけれども、ほかの公社との均衡上これを出さなかつた、こういう御答弁でございました。均衡の点はわからぬではございませんけれども、しかし現に法律があります以上は、これを出さなくちやならない義務が私はあると信じております。二十九年度からそういう均衡のために停止するということにつきましては私どもわかりますけれども、現にはつきりと負担しなくちやならない義務規定があるにもかかわらず、一銭も負担しない。これが名目的にも存置されておれば話はわかりますけれども、一銭も計上されていないということは明らかに法律違反であると私は考えます。これは調べればほかにも多く出て来るかと思います。おそらく今の疑獄汚職と同様に、当然出さねばならばいものを出していないということ、この五十八条はおそらく氷山の一角であろうと考えておりまするけれども、たまたま見つかりましたのでお尋ねするわけであります。  そこで、こういう場合に政府はいかなる処置をとるべきかについて、かねて佐藤法制局長官意見を承つておりました。それは、去る二月十九日の農林委員会において、佐藤法制局長官は、私並びに川俣委員質問に対しまして次の二とく答弁をされておるの、あります。「国会の御審議中にそれがわかれば、国会として御発見になれば、おそらくその矛盾を解決される措置をおとりになる——予算修正なされるか、法律修正されるか、この措置がとられると思いますが、その後に発見された場合、あるいは政府から御提案を申し上げるなり、特別な機会によつて予算を直す、あるいは法律の方を直す、どちらかの措置が必要になると考えております。」さらに続いて「国会でなさるとすれば、予算修正権がありますからして修正をなさる、あるいはまた政府としては予算提案権を持つておりますから、予算提案によつて手当を申し上げる、この二つであると思います。」以上のよう政府方針を明確になさつておるのであります。私どもは、おそらくこいうこともあろうかと考えて、あらかじめ法制局長官意向を承つておいたのであります。幸いにまだ二十八年度はあと十日間ございまして、政府から補正予算を出される時間はあるわけであります。私が申し上げるまでもなく、法律を忠実に執行することは政府の第一の義務であることは申し上げる、この二つございません、あるいは一兆億を守つておられる政府としては小さな問題かもしれませんけれども法律を忠実に執行するという面からいきますると、決して軽視すべきものではございません。私はこの機会に、大臣から、二十八年度予算についてこの共済組合に対す国庫負担金補正予算を出される御用意があるかどうか、この点をはつきり承つておきたいと存ずる次第でございます。ただ、念のため申し上げておきますが均衡の問題ということは、これはもういろいろとりくつはございましようけれども法律の忠実なる執行とは別でございますので、あらかじめ申し添えておきたいと存じます。
  8. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 井戸さんの仰せなつた点、まことにごもっともの点があると存じます。今ここで私も読んでみましたが、確かに第五十八条にそういうよう費用負担する規定があるのでありますが、しかし、現実の問題を今おつしやつたように、公社になつて以来ずつと予算を計上してはおらないのであります。これにつきましては、実は今の国家公務員共済組合法規定のありますことは井出さんの御指摘通りでございますか、これについて、従来も、大蔵省としては多少解釈に無理があるかもしれぬけれども、しかしほかの公社との——この点はこういうことではいかぬと井出さんはおつしやいましたけれども、その次にこれも日本専売公社とか、日本電信電話公社とか、そういうような他の公社の関係もありまして、これは予算を零といたしておる。この点に少し無理があるように思われますか、国費の点でこういうふうにいたしたものと私は考えておるのであります。もつとも、運輸省におきましても、二十四年度から申しますと、二十六度と今年の、二十九年度には御要求がありましたが、それ以外にはこれに対する御要求が二十六年度以降にはなかつたようでありります。二十九年度御要求がありましたが、この御要求に対しましては、今度こういうようぐあいに補助金等臨時特例等に関する法律でこれを直していたたく、こういうことになつたもんですから、こういうふうにしたのでございますが、確かにどうも解釈上少し無理な点があると思いますが、しかし過去のことでもありますし、また二十八年については運輸省の方から御要求もなかつたのであります。もう実は財源も二十八年はございませんし、またこれがために補正予算を組むことは避けたい、こういうふうに考えております。  なるほど、つり合いという点を考えちやいかんじやないかと井出さんが言われるのは、まことに法律論としてその通りと考えるのでありますが、しかしまた行政上の立場から言いますと、電信電話公社にどうだ、専売公社にどうだというような場合が出て参ります点もあるので、はやりある程度つり合いを考えるということもやむを得ぬことにも思います。今後こういうことは、法律はもちろん誠実に守つて行かなければいけません。これは、仰せ通り金額にはよらぬと今井出さんもおつしやつたように、幾らでもいいじやないか、なぜ盛つておかなかつたかという御議論に対しては、まことにこれは実にごもつともな御議論だと率直に言つて思います。しかし国の予算だから出さないで済むものなら出したくないということが、ほかとのつり合いの上から強く働いて今度のようなことになつておる。いわんや原局で出していないものですから、なおさらそんなことになつた。二十九年度予算については原局から出ておりますが、今度こういうふうにかえるからこうしたのでありまして、その辺でひとつ井出さん御了承願いたいと思います。
  9. 井手以誠

    井手委員 大臣の御心中察せぬでもございません。しかしこの際私は人情論ではいけないと存じております。補助金等臨時特例に関する補助金原則論については私はいろいろ意見を持つておりますか、要は法律はあつて大蔵官僚の頭次第で補助金をきめたものを出さない、押えて行くという考えに対しまして、私はこの際はつきりとしておきたいと考えております。そういう意味から、いかに金額は小さくとも、国家がこれを負担する義務があるのを負担していない。しかも一年に限らず何箇年もしていないというこの点に関しましては、いかにおつしやいましても私は妥協しかねるのでございます。なるほど予算も少いとおつしやいます。それは私も普通の場合ならば少少のことはがまんをいたしますけれども、この際は私はどうしてもがまんはできません。やはり法律に明記してある以上、どうしても私は補正予算を出してもらわなければ承知いたしません。もしお出しにならぬというなら、法律を無視して違反してもいいかということをお聞きしたい。その点については、ただいまも申しますように、法制局長官は、明らかに、政府予算権を持つておるから補正予算を出すべきだということをおつしやつております。そういうはつきりした政府方針にのつとつて、すみやかに補正予算を出されるよう要求をいたします。私はこの点について大臣には申しかねますけれども、小さいながらもどうしても私は承知できませんので、すみやかに出されるよう確約を願いたい。その確約がなければ、私はこれ以上この法律案審議には応じかねるのであります。予算委員会あるいは本会議等機会もございますから、その際に申し上げるつもりでありますけれども、できるならばこの委員会において解決をして行きたいと考えております。私はあくまで強い意思をもつて要求をいたしますので、そのつもりで大臣も御答弁を願いたいと存じます。
  10. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これもちよつと過去のいきさつを聞いてみますと、司令部のおります時分からこういうことについての費用を全部削つてつて、それが二十六年にはそういう要求があつたが、その以外には原局から要求がなかつたものですから、そのままにしておいたというのでありまして、二十九年度には今仰せよう要求があつたわけであります。けれども、今度はこれをかえますからということで、これを予算に計上しなかつたのでありますか、この際私としては法律論はどうも井出さんの仰せ通りような気がします。しかしどうもいまさらこれでどうこうするのも困るから、こかんべん願いたいというのが私の率直なる言葉です。
  11. 井手以誠

    井手委員 私は先日の委員会大蔵省官房長ですか、三千百万円を要求したということをはつきりと承つております。何でしたらここにまたお呼びを願いたいと存じます。しかし、いずれにしても、そこに強い要求があつたとかなかつたという問題ではないのであります。私は委員長にこの際申し上げておきますが、そういうふうにはつきり法律に違反した事実が指摘された以上は、やはり国会としては断固たる方針をもつて臨まなければならぬ。おそらく委員長も同感だろうと考えておりますので、私は政府が第四次の補正予算を出さない限り、その言質をとらない限り、この審議は進めにくいと存じますので、委員長においておとりはからい願います。
  12. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 井手委員に申し上げますが、先般の委員会におきまして三千数百万円の要求かあつたというのは、一十九年度予算のことであります。二十八年度予算については、原局つまり運輸省から要求がなかつたということか明らかにせられておつたようであります。従いまして、二十八年度の補正予算を組む組まぬということになりますと、これは原局から要泉が出なければ大蔵省としては答弁ができないことたろうと思う。(井手委員「それなら運輸省から答えてください」と呼ぶ)その辺を勘案されて……。
  13. 山内公猷

    山内政府委員 先般楯委員の御質問に対して私のあげました数字は、二十九年度に要求いたしました数字でございます。ただいま大蔵省から御説明のありましたように、この法律に基く事務補助費は二十五年から始まるわけでございますが、二十六年と二十九年、この二箇年しか要求いたしておりません。
  14. 井手以誠

    井手委員 二十六年と二十九年の二箇年だけ要求して、ほかの年には全然その必要を認めなかつたのでございますか、また大蔵省にも全然そういう希望を申されなかつたのでありますか。
  15. 山内公猷

    山内政府委員 その点大分いろいろ責任者がかわつておりますので、調べてみましたが、十分つまびらかにすることができないのでございます。いろいろ諸情勢を総合いたしまして、従来の経緯を調べてみますと、二十五年に要求をしなかつたということは、当時専売公社が盛らないということをはつきりいたしましたので、とうてい見込みがないということで要求がなかつたらしいのでございます。その後二十六年になりまして、法律改正をすベきであるけれども国有鉄道といたしましては、非常に財政状態が苦しいので、国庫で見てもらえるよう状態があれは見てもらいたいということで、二十六年に御要求をいたしたのでございますが、大蔵省は他の公社との振り合いでとうとうお認めにならなかつたということで、あるいは御説明にならないかもわかりませんのですが、その後は出してもとてもだめであるということで、あきらめていたと言いますと語弊がありますが、強く御要請をいたさなかつたわけでございます。二十九年度出しました分につきましては、当時私も間接でありましたが、法律事項であるから、認められる認められないにかかわらず、これは出すべきであるということで出した次第であります。
  16. 井手以誠

    井手委員 その点ははつきりしたわけです。法律事項だからいずれにしても出さなければならぬというので、二十九年度は三千幾らですか要求された。その前においても全然出さなかつたのじやなくて、国家財政とかそういうことで強く要請しなかつた、こういうわけであります。法律ができる時分は、おそらくいつの時代でも、国庫がゆたかでどんどん金をばらまく時代はなかろうと考えております。私の経験では——そう長い経験ではありませんけれども、いつの場合でも国庫が楽でどんどん補助金なり国庫負担ができる時代はないのであります。そういう時代にもかかわらず、どうしても国庫負担しなければならないという理由が発生したから、そういう法律をつくつたのであります。従つて国庫は少々無理しても幾ばくかの予算を計上しなければならないことは申すまでもございません。かりに原局が強い要求をいたさない場合でも、予算範囲内において幾ばくかの負担金を計上することは私は当然であると言わなければならぬと思う。それを全然計上しないということはけしからぬと思う。しかし、二十七年度までは申しませんけれども、まだ二十八年度は十日間の日にちかありますので、予算編成の作業が困難であるとは考えておりませんので、どうしても私は出していただきたい。あくまでも私は予算補正要求いたします。
  17. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 二十八年度につきましては、日にちはありますが、今まで原局から予算提出要求のないものを盛らないというのは、今お話のごとく法律の正面から見てそういう解釈もありましようが、要するに適当か不適当かという問題だと思う。これは法制局に開いてみないとわかりませんが、あるいは不適当というおしかりがあるにしても、しかしいまさらここで二十八年度予算補正を組むということは私どもは避けたい。またそういうことをいたしたくないと思います。  なお、二十九年度に関する問題は、今申し上げた通り、この補助金等臨時特例等に関する法律案ですべて御審議願つて、おる次第でございますので、適当、不適当あるいは妥当、不妥当という問題についての御意見はよく承つてども何しますが、二十八年度の盛つていないやつをここへいまさら盛るということは実は避けたいと思います。そう願いたいと思います。
  18. 川俣清音

    川俣委員 大臣はただいま井手委員質問に対して適当か不適当かという問題だ、こういう御答弁があつた。これは政治的に適当か不適当かということは議論があると思う。ところが憲法七十三条に基きまして、法律を誠実に執行する義務政府は負つておるわけです。この面からいうと、適当、不適当ということは、法律が適当である、不適当であるということになりますれば——そういう意味大臣発言されたとすればこれは重大なことであります。あの法律が不適当なんだから罪を犯してもいいということから、今日の疑獄事件が起きている。あの法律が悪いのだというよう考え方であえて犯すということになりましたら、これは重大なことです。  もう一点は、行政官からの予算に対する、要求がなかつたから予算編成はしないということも、これもあやまちです。内閣は、一般行政事務のほかに、別に予算編成して国会に出す義務を負つておるわけです。予算提出権行政じやない建前をとつております。行政当局から要求があろうとなかろうと、政府責任を持つて予算国会提出されているはずであります。だから、法律を誠実に執行して、そうして予算提出しなければならないはずだ。均衡予算ということを言われるならば、これは法律範囲内においての均衡予算、もしもそういう考え方をしなければ——補助金助成金がいろいろ不正に使われておるのは、法律に基いて執行して行くという考え方がないから、会計検査院からあれだけ大きな指摘がされているのじやないですか。大蔵省みずからが均衡予算をもつてこの国会に臨まれている以上、末端まで正確に法律に基いて予算が施行されることを期待しなければならぬ。大臣は、予算の実行にあたつて法律通り予算が執行されないでも、政治論としてそういうようなことがあり得るのだというように黙認される御意向があるのですか、この点をあわせて伺いたい。
  19. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 法律が適当か、不適当かというようなことを申し上げておるのじやないのです。私の申した意味は、これを予算に計上しなかつたことが適当か不適当かということについての何はあろう、こういう意味で申したので、法律そのものに対してこれは適当か不適当か、そういう意味ではございません。なお実は二十八年度予算というものは計上のないままで国会で御決議になつておるのだから、いわば予算をああいうふうに多少ともこの前修正をされていろいろされた場合でも、御修正もなくてそのままに行つたんだから、これは言葉が悪いかもしれぬけれども国会と一種の共同責任ようなもので、既定事実となつておるのだから、いまさらこれをむし返してどうこうということをせずして、既定事実として認めていただく。二十九年度は、今からこの法律を改めることであるから、これは法律によつて改める、そう願う以外に私としては申し上げようもなく、また実は答弁の方法もありません。
  20. 福田赳夫

    福田(赳)委員 関連してちよつとお伺いしたいのです。先ほど大蔵大臣が申されておることを伺つていると、法律に違反するおそれがあるというようなお賃葉であつたよう伺つたのです。そうすると、予算に計上しないというようなことになると、これは問題になつて来るのじやないかといりふうに思うのです。しかし、考えてみますと、補助金には無条件に法律従つて出す補助金と、もう一つは予算の定めるところに従つて予算制約下において出す補助金二つ類型があるはずです。この補助金はどつちの方類型に属するのか、これをはつきり伺いたい。
  21. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私どもは、解釈としては少し妥当を欠いておる点があるかもしれないか、法律に違反しておるとは実は全然思つておりません。ただ政府ようなぐあいに解釈することもできると思つておるのでありまして、またこの問題については実は予算制約下にあるものと解釈をしておる次第百でございます。
  22. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私今伺つたのは、予算の定むるとこるによるという、予算の制約がちやんとついておる類型のものじやないかと思うのです。その場合においてもやはり国会予算に関する意思というものが非常に強く働くのでございまして、予算がどういうふうにきまるかということによつて、この補助金の運命がきまつて来る性質のものであろうと思うのです。でありますから、先ほど大臣が言われましたが、これは予算に組まないのかどうかという議論はあろうと思いますけれども、これに対する法律上適当でないというにおいのすることは、先ほど大蔵大臣の御意見を承つておりますとないのじやないか、ちよつと疑義をさしはさみましたものですから、念のためにお伺いをしたわけであります。
  23. 井手以誠

    井手委員 ただいま福田委員から当局援護ような御発言がございましたが、私はこの際はつきり申し上げておきます。日本国有鉄道法第五十八条には「国庫は、日本国有鉄道に設けられた共済組合に対し、国家公務員共済組合法第六十九条第一項第三号に掲げる費用負担する。」ということをはつきりと書いてあるのであります。これは行政府に一任されている予算範囲内でというようなこととは別であることを、この際申し上げておきたいのであります。これは、法制局に聞きましても、衆参両院法制局に聞き合せましても、どこに聞いても当然幾ばくかの国庫負担を計上しなくちやならぬということをはつきりと申しております。また重ねて申し上げますが、先般、農林委員会において、佐藤法制局長官予算手当をする義務があるということをはつきりお答えになつております。偶然かどか知りませんが、この部屋でございました。今になつておつしやいますけれども、私はどうしても大臣の御答弁では納得行きません。明らかに法律違反でございます。もう国会もお認めになつておりますからという御答弁がございました。たるほど私どもの方にも手落ちがありましよう。しかし、一旦これが発見された以上は、やはり法律を忠実に執行する政府立場義務からして、予算修正を行うことが正しい行き方であると思う。従つてこれを是正すべき義務があると私は信じております。大臣は非常に忙しくて腰がうきうきされておりますか、私はあくまでこれを追究いたします。どうしても向うの予算委員会の都合があれば、これ以上この法律案審議をやることはできません。一旦法律違反はつきりした以上は、これを明確にしない以上進めないのであります。これは国会の運営の議事進行上必要であるから、国会の権威のために委員長は断固たる方針でお進みになるよう特にお願い申し上げます。
  24. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 さつき井出さんの仰せなつ法制局長官の話は、一般的な話であつて、一般的に法律を誠実に執行するのは当然のことでございますが、私としては、この件についての法律論としては、必ずしも政府解釈——多少穏当を欠いているようなことはありましよけれども、こういう解釈が不可能だとは考えておりません。それじやなぜ削除を提案したかと申しますと、多少とも解釈上の疑問があるような問題は、はつきりしておいた方かいい、疑義をまつたくなくするという意味提案している次第でございます、なお、法律上の専門のことは、私は一切責任はとりますけれども法制局長官なりその他の方で答弁を願いたいと思います。私は、いくらおつしやつても、これ以上のことは申し上げられません。
  25. 林修三

    ○林政府委員 法制局の方から一応お答えいたしたいと存じます。実は、この問題については、すでに大蔵当局から法律解釈についてお答えいたしているかとも存じますが、今問題になつた点を考えてみますと、国有鉄道法では共済組合法六十九条項三号の経費を負担することになつております。その限りにおいては、当然国庫共済組合事務費負担する建前になつているようでございますが、この六十九条項三号を見ますと、「組合の事務に要する費用の全額」ということになつております。もう一つその第二項に「前項第三号に規定する組合の事務に要する費用は、毎年度予算をもつてこれを定める。」ということが書いてあるわけでございます。多少法律を狭く解釈いたしますと、共済組合法第六十九条第二項の「前項第三号に規定する組合の事務に要する費用は、毎年度予算をもつてこれを定める。」というのは、国家公務員共済組合だけにしか適用がないようにも見えますけれども、これはやはり国有鉄道にある共済組合国家公務員共済組合と同性格のものでございまして、その意味から申せば、第六十九条二項はやはり国鉄の場合にもその費用の全額に対してかぶつているものと見なければならないと存じます。これは当然そう解釈すべき筋合いのものであろうと存じます、しからば、この第二項には費用は毎年度予算をもつて定めると書いてございます。従いまして、この規定を読めば、予算幾ら幾ら金額ということがなければ、結局これは出せないものじやなかろうか、さように考えるわけであります。先ほど大蔵大臣仰せられました通りに、これを一文も計上しなかつたということかどうかという問題はありましようけれども予算がさような経緯できまつて、一文も計上していないという以上は、これはどうしても政府としては出せない、また出す義務もない、この法律解釈としてはさように考えざるを得ないじやないだろうか、かように考えるのであります。
  26. 川俣清音

    川俣委員 そういう解釈になりますと、何ら疑義なくそう解釈してよろしい、こういうことですか。
  27. 林修三

    ○林政府委員 先ほど申しました通りに、そもそも、二十八度予算案を編成いたしまして国会に御審議を経るときに、これを計上しなかつたことがいいか悪いかという問題は、あるいは政治的にはあろうと思います、法律的に見ますれば、それがきまつたあとにおきましての状態、(「まだきまつていない」と呼ぶ者あり)ただいまは、二十八年度のきまつたあとの状態であります。現状のもとにおいては、補正予算を出すとか出さないとか……。(「法制局がきまつたとは何事だ。」と呼ぶ者あり)二十八年度予算について申し上げているのであります。(「二十八年度予算はどこできまつた。参議院に今かかつている。」と呼ぶ者あり)それは二十九年度予算です。今の御質問は二十八年度予算の御質問でございます。(「補正予算はきまつていないじやないか。」と呼ぶ者あり)当初予算について申し上げているのです。二十八年度当初予算には載つていないのです。   〔「法制局がそんなでたらめなことを言うな。予算がきまつたかきまらないか、国会のことじやないか。」と呼ぶ者あり〕
  28. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 静粛に願います。
  29. 林修三

    ○林政府委員 今まで申し上げました通りに、予算をもつて定めるということでございますから、予算をもつてきまつていない今の状況でございます。これは予算が成立し、(「まだ成立していない。」と呼ぶ者あり)しかもただいま成立した予算ではきまつていないという状況であります。従いまして、政治論は別といたしまして、法律論で申せば、ただいまの状態においては、これを出すことはできない、また出す義務もない、かように考えるわけでございます。
  30. 井手以誠

    井手委員 予算では出されぬでしよう予算がないから出されぬとは当然なことです。しかし、私どもが尋ぬておりします、とは、こういう法律の明文がある以上は、法律を忠実に執行する義務から当然予算を組むべきであるという建前に立つているのであります、あなたは国家公務員共済組合法の第六十九条一項の第三号、これは第二項に毎年度予算をもつて定めるとあるから、予算がないからそれでよるしいというようなお考えであります。しかしこれは、前提としては、日本国有鉄道法の第五十八条によつて国家がこれを負担するということが前提でなくてはなりません、五十八条には、第二項のことは書いてありません。「第一項第三号に掲げる費用負担する。」とはつきり書いてある。それをさてどうするかという内輪の問題になつて、それは毎年度予算にこれを定めるということについてどうするかという細目の問題であつて、大前提はあくまでも国家がこれを負担するということでなくちやならぬ毎年度予算においてこれを定めるというのであるから、この前提に従つて五十八条によつて予算に計上することか絶対的であると私は考える。今になつて、この六十九条の第三項がこうあるから、予算がないからこうだという、そういうよう法律解釈はないと考える。いやしくも日本国の法制局であるならば、法律はかくあるべきだというはつきりした解釈を出すべきである。今の自由党内閣の考えをそんたくして、ああだこうだとひねくりまわすうような御答弁であつてはならぬと思う。どうも最近はそういう傾向が強い。あなたばかりではない。法制局次長にまずそういう考えがあるそんな議論がどこにあるか。私も大分研究して参りました。法制局にも聞いて参りました。第六十九条の二項のものは、当然国庫負担なければならぬ、そういう場合にどうするかという細目のとりきめであつて、あくまでも国庫はその組合の費用負担せねばならぬというのが建前である、絶対であるということをみんな申しております。それを法律でどうするかという場合には予算できめる予算になければ——あるいは国会においても——それは申したかもしれませんけれども、年度内にこれを発見した以上は、これをすみやかに補正予算をもつて審議を仰ぐことか私は正しい、いや絶対の行き方であると考えておる。もう一度法制局意見を聞きたい。しかし私は、この際に申し上げたいのは、ひとつ長官を呼んでもらいたい。そういうあいまいな解釈で法治国がどうして立つて行きますか。
  31. 林修三

    ○林政府委員 私のお答えではあるいは御満足できないかもわからないと存ずるのでございますが、今申しましたのは、実は現在の状態におきまして、この法律解釈をきわめて冷やかに解釈いたしますれば、結局現状においては、予算をもつで定めると書いてある条文から考えれば、現状においてはこれは出しようがないということを申し上げた次第でございます。政治的の妥当下妥当論は私は申し上げておりません。その点は御了解を願いたいと思います。
  32. 川俣清音

    川俣委員 林局長の答弁の中に非常に不穏当な言葉があると思うのです。たとえば、当初予算がきまつたから補正予算は出せないのだというふうに解釈できる面も出て在る。十分速記録な調べまして適当な処置をお願いいたしたいと思います。
  33. 林修三

    ○林政府委員 私は補正予算が出せないと申し上げたのではございません。今予算がきまつておるので、今の状態における法律解釈を申し上げたわけでありまして、それ以上のことを申し上げたわけではございません。
  34. 井手以誠

    井手委員 ただいままで法制局に承つておりますのは、国庫がこれを負担するという場合にはどうすべきかということをお尋ねしておるわけであります。予算があるとかないとかいうことではございません。法制局にお尋ねしたいのは、法律はつきりと書いてある以上は、補正予算をもつて計上すべきではないか、この私の質問に対して政府はどう考えておるかということを開いておるわけでありまして、予算がないから出せないとか そういう実際論を聞いておるのではございません。
  35. 林修三

    ○林政府委員 この共済組合法の趣旨は、事務費をある程度国庫負担するという越前のものであろうと私は存じますけれども、六十九条の二項におきましては、その金額予算をもつてこれを定めるとはつきり書いてあります。従いまして、予算を一文も計上しないということが妥当か不妥当かの問題であろうと思うのでありまして、もちろんこの法律の建前からいえば、こういう法律がある以上は、幾ばくかの金額を計上するのがもともとの趣旨であろうと私は存じますが、この法律規定をきわめて冷やかに読めは、予算をもつて定めるというふうに書いてありまして、現状においてはこれをもつて違法なりというまでは言えないであろうというふうに私どもは考えております。
  36. 井手以誠

    井手委員 冷やかにとおつしやいますけれども、いかに冷やかに考えましても私はますます法律違反の嫌疑が明確になりつつあると思う。あなたは、ここに大臣がいらつしやるので、もし妙な答弁をすれば問題が大きくなるということをお考えになつての御答弁であろうと思います。また佐藤法制局長官は、あなたとは異なつ意見をこの部屋で申されております。お聞きになつたかどうか知りませんが、重ねて申し上げませんけれども、私はこの際法制局長官を呼んでいただきたいと思います。
  37. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 今呼んでおります。それから井手君に御相談申し上げますか、参議院の予算委員会からしきりに大蔵大臣を貸してくれ、質疑が済んだらすぐお返ししますからと言うて来ておるのですが、どうでしよう
  38. 井手以誠

    井手委員 私はその点については譲歩いたします。私はそう無理なことは申しません。但し委員長に申し上げておきたいのは、先刻申しましたように、この大事な問題について政府方針が明確にならぬとこの特例法の審議は進められんということを特に念を押して申し上げておきます。
  39. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 あなたの御意見は御意見として伺つておきます。  それでは大蔵大臣、よろしゆうございます。あちらが済みましたらまた来ていただきたいと思います。  ちよつと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  40. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ————◇—————    午後零時十六分開議
  41. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。  法制局長官がお見えになりましたから質疑を継続いたすごとといたします。井手以誠君。
  42. 井手以誠

    井手委員 法制局長官に若干お尋ねをいたしたいと存じます。それは、長官も御存じのように、当委員会補助金等の整備に関する臨時措置について憲法論議がありまして、その後各条にわたつて審議を進めておりましたところ、たまたま日本国有鉄道法の一部改正について法律違反と考えられる事項が発見されたのであります。それは国有鉄道法第五十八条によりしますると国庫国家公務員共済組合法規定する組合の事務に要する費用の全額を負担するとはつきり規定されておるのであります。従つて、いかなる理由があるにしろ、幾ばくかの適正なる費用は、当然法律を忠実に執行する行政府の建前として、政府予算を組まねばならないと私は考えておるのであります。その点につきましてここ数日論議をいたして参りましたし先刻は大蔵大臣の出席を求めまして、この二十八年度はなお十日間を余しておりますので、五十八条の規定によつて補正予算提出すべきではないかという質問をいたしました。ところが、大臣は、なるほど法律によれば組まねばなりません、しかしすでに日にちもないし、財政上も非常に窮迫いたしておりまするし、さらに他の公社との均衡もありまするので、この際ひとつごかんべんを願いたい、こういう御答弁があつたのであります。大臣の心中はわかりまするけれども、事法律の違反ということになりますると、情状論とか人情論では済ませないのでありまして、あくまでも私ども法律規定従つて補正予算を組むべきであるという強い主張をいたしまして、大臣とは一見対立のまま大臣予算委員会に出向かれて、あとで法制局との見解についての質疑になつたのであります。林次長からいろいろと御答弁を承りましたけれども、どうもそれは末梢的な見解でございます。大臣をそばにおいてあるいはいろいろなことをそんたくされてか、当然明確な方針かあらねばならない法律解釈についてきわめてあいまいでありましたしその上に、先般くしくもこの十一委員室で開かれた農林委員会における長官の答弁と相当食い建つております。二月十九日当室における長官の答弁は、すでにそこに長官も御用意なさつておりますので、多くは申し上げませんが、その答弁の中に、私並びに川俣委員質問に対しまして、大体要約いたしますと次のよう答弁かあつたのです。特別な方法によつて予算を直す、あるいは法律の方を直す、どちらかの措置が必要になると考えております。さらに言葉をついで、国会予算修正権かありますからして修正をなさる、あるいはまた政府としては予算提出権を持つておりますから、予算提案によつて手当を申し上げる、この二つであると思います。こういう御答弁をなさるし、進んで予算の方の手当をする義務かあるとか、あるいは法律の執行ができないようなことになれば、これは今の憲法上の義務に反しますから、何とかしなければならぬわけですという答弁を私どもはいただいております。それはすなわち、もし法律はつきり規定してあるものを予算に組んでないということを発見すれば、予算提出権を持つておる政府は、ただちに予算補正をしなければらぬ、修正をしなければならぬという御答弁であると、私ども解釈いたしておるのであります。おそらくそれ以外にはなかろうと考えております。そういう今までの質疑のいきさつなり、私どもの質疑の内容でございますので、この際長官の明確な御見解を承つておきたい。ただいまも申しますように、いろいろな政治的のことには拘泥する必要はないと私どもは考えております。いかに現内閣のもとにある法制局といえども、いやしくも国家法律解釈する上において、また行政府か忠実に法律を執行しなければならない義務を持つておるという建前からいたしますならば、この際明確な御答弁を承つておかなければならない。これが解明できなければ国会の権威にも関することでありますので、私どもはあくまでもその点を追究して行きたいという気持を持つておることをあわせて申し上げまして、御答弁を願いたいと存じます。
  43. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御趣旨はよくわかりました。最初に弁明を申し上げておきますが、ただいま御指摘農林委員会のお話、その速記録は私もここに持つてつております。ただ私がその節に申し上げました趣旨は、法的に見て法律予算との関係に食い違いがあつた場合、この場合は先ほどのお言葉にありましたような処置をとらなければならぬことは、これはまた法律的に見て当然のことであるという頭で申し上げておるのであります。  そこで今御指摘国有鉄道関係の問題がその見地から見てどうなるかというお尋ねでありますが、御疑念は非常にごもつともだと思いますが、私どもの今の法的の立場からこれを見ますならは、要するに国鉄法の五十八条で書いておりますこの国家公務員共済組合法の六十九条の費用、これを負担する、これが国の予算の関係でどうあるへきかという問題になるのでありますか、国家公務員共済組合法の六十九条を見ますと三項目上つてございまして、六十九条の第二項といたしまして、「前項第三号に規定する組合の事務に要する費用は、毎年度予算をもつてこれを定める。」と書いてあるわけであります。そこで国鉄法の方では当然これを受けておると思うのでありますが、問題は、「毎年度予算をもつてこれを定める。」というのがどういう意味であるかということに尽きると思います。私どもは、この予算をもつて定めるという用語例は、実はあまり存じませんが、普通は御承知の通り予算範囲内というよう言葉を使つておるわけであります。その場合と比べて、この言葉を考えますと、要するに予算をもつて現実の支出というものはきまる。それは予算にまかされておるというふうに、この言葉使いからは認めざるを得ないと思います。従いまして予算に組まなければならぬという拘束は、ここからは出て来ない。組むか組まないかすらも予算にまかされておる。それが予算をもつて定めるという表現であろうというふうに考えるのであります。従いまして、ただいま現実の予算というお言葉がございましたか、これは、法律論を離れて、予算に組む方がいいか悪いかという問題は、私どもは、先ほどのお言葉にもありましたように、これは政治の問題でございますから触れませんが、組まなくても法律違反にならないということは申し上げ得ると思います。御承知かと思いますけれども、実は昭和二十五年度でありましたか、そのころ以来実は組まずに今日に及んでおるわけであります。その解釈の根拠も、今申し上げましたような根拠に基いて、そういう措置をとつておるということに尽きるわけであります。
  44. 井手以誠

    井手委員 どうも先般の農林委員会における答弁とは違つた感じがいたしまして納得が行きません。五十八条に、国庫はこれを負担するとはつきり規定しておるのに、予算を計上してないことは、これは必ずしも法律違反ではないというお言葉でございますが、そういうふうな解釈かできるものかどうか。国庫はこれを負担すると明確に義務規定を課しておる。義務を課しておるのにこれを犯しても違反でないといりのは、どうも私は納得できないのであります。金額のいかんは問いません。適正な金額であれば少額であつてもさしつかえありませんが、幾らかは計上しなくては、この法律の条項に違反すると考えております。お話になりました第六十九条の第二項、これはなるほど毎年度予算をもつて定めるとありますが、しかし前提はあくまでも国有鉄道法第五十八条でなくてはならぬと考えます。それを受けた第六十九条第一項第三号の「組合の事務に要する費用の全額」とありますのは、全額だけではわからないから、その全額を補足的に説明する意味において、毎年度予算においてこれを定めるというふうに第二項、に書いてあるのでありまして、国有鉄道法の五十八条では、もしそのように毎年度予算で定めるというのが重要なことでありますならば、国有鉄道法第、五十八条に、第六十九条第一項第三号並びに第一項の規定によるというふうに書くのが正しいと思う。ところが、第五十八条には第二項のことには全然触れておりません。従つて、これを正面から解釈いたしますならば、あくまでも事務に要する費用の全額を負担するということだけでありまして、全額だけではわかりませんから、備考的にこれを毒年度予算において定めると書いたものと解釈するのが正しいと思う。私だけじやありません。私も各方面の学者あるいは衆議院の法制局あたりの意見も聞いて参りましたが、すべてそういう意見でございます。もし毎年度予算をもつて定めるとある、予算で定めてないからどうもしようがないというならば、そういうことのために補正予算というものがございますので、法律が課した国庫負担義務からいたしますれば、補正予算を作成して国会審議を仰ぐことが必要だと考えております。当初予算においてそれが漏れておつたことを発見いたしますれば、すみやかに補正をして、そして法律の条項に従うことが私は政府義務であると考えております。そういう意味から私は先般来質問を申し上げておるわけでありまして、どうも長官の解釈はふに落ちません。私がただいま申しました論拠に対して、さらにお答えを願いたいと存じます。
  45. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この六十九条の第二項が国有鉄道の場合に当然働きますことは、国有鉄道法においてこれを準用しておる点からも明らかであろうと存じます。先ほどのお話に、また今のお話にもありますが、第二項にいう「毎年度予算をもつてこれを定める」。というのは、必ず予算でもつて何らかの額はきめなければならぬのじやないか、こういう御疑問に尽きると思います。そこで、私どもは、先ほども触れましたように、予算範囲内においてというよう言葉使いが他にもございますし、それらの形と明らかに違つた表現をもつて、ここで予算で定めることとしておるのは、定めるかいなかということ自体を予算にここで一任しておるというふうに読みませんと、その他の場合との区別がつかないと私は思いますから、これは予算をもつて定めようという義務づけまでの内容は持つておらないという結論にどうも達せざるを得ないのであります。ただ、今お言葉にございましたように、まだ本年度は残つておるから補正予算を組んだらいいじやないか、また来年度についての手当をしたらいいじやないか、これは全然政治論範囲の問題でございますから、私としてはとやかくは申し上げません。
  46. 川俣清音

    川俣委員 今の長官の答弁を承つておりますと、今の大蔵大臣考え方、または大蔵省考え方と大分違つておるようです。大体政治論的に見て、他の公社と不均衡であるからある程度是正しなければならないという考え方を大蔵当局は持つておられるようです。それは、何らかの形において、不均衡であるということ自体が義務づけられておるという観念を持つておるから、不均衡だという考え方が出て来る。長官のよう解釈をするなら、何ら不均衡じやないわけです。出したくないときには出さないという考え方をするならば、何ら不均衡の余地は出て来ない。不均衡であるから何とか是正しなければならないということ、並びにこの法案を出された趣旨からいつて義務づけられておるからしてこれを削除しなければ予算編成上ぐあいが悪い、こういう考え方た。提案理由の中にも予算編成法律改正の必要か生じたと明らかにしてある。あなたが政治論をやられるなら別問題ですよ。政府予算説明についてあなたに御意見をお伺いしたのです。一体法律案を先に出すべきか予算を先に出すべきかという議論をしたはずです。私はここで繰返しませんよ。一歩譲歩いたしましても、予算編成法律改正が必要だというのが本法改正政府提案理由なんです。ところがこれは予算編成に関係ない部分まで出して来たのじやないか。予算に関係の部分だけ提出したのである、それに便乗して法律の訂正などは考えておりませんというのが政府の全体の答弁なんです。そうするとおかしいじやないですか。予算に関係のある部分だけの法律改正提案だと説明していながら、あなたの説明は、予算に関係のない部分まで提案したのだということに解釈してよろしいのですか。あなたの説明によりますれば、これは予算に関係ないのです。今年度予算編成する上から法律改正の必要か生じてこの改正案を出したというのが説明です。あまり詭弁を弄するといろいろな方面からつつかれて来ます
  47. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいま最初にお言葉がありましたが、予算を出さなければならぬことになつているからこそ、他の公社との不均衡ということを考えて措置したのだろうということをおつしやいますが、(「そういう答弁だ」と呼ぶ者あり)答弁かもしれませんか、私どもはそれはその通りだと思います。その通りだと申しますのは、よく聞いていただきたいのは、現在の建前では、予算をもつて、とにかく出さなければならぬとは書いてないにしても、出し得るようになつておるわけです。予算を組んで国庫から出してもちつとも違法ではない、そういう建前になつておりますから、あるいは国鉄の方ではぜひこれを国の方から出してくれというような折衝はあり得るわけです。それがほかの公社と比べて違うわけで、ほかの公社には全然そういう道さえないのであります。その不均衡は厳然としてそこに存するわけで、これをむしろ公平の原則、平等の原則から、独立にしようという趣旨であるわけであります。(「それは確かに政治論だ」と呼ぶ者あり)それは半分政治論半分法律論と申し上げてもよろしいかと思います。  なお、最後にお言葉のありましく今年度予算会々という問題は、少くとも今後にはつきりとこの片をつけておく必要かあるから、おそらくこれに加えてこの条文をつけて出したのだと思いますけれども、これは厳格な意味で今年度予算に関係があるかないか、——これはただ国鉄側から要求があつた、それをけつて組んで出しておるわけです。消極的の意味において関係があるということを申し上げ得ると思います。
  48. 川俣清音

    川俣委員 この国鉄法は二十三年の法律であつて、今まで五箇年間実行されてないのです。実行されてないところから見て、長官がそういう解釈をされたということも一つはうなずけるのです。一度も予算措置を講じてないのたから、そういう解釈が成り立つということも言えると思う。一歩譲歩してそうだとする。しかし、そうすると政治論としては実行上何らの不均衡はないことになる。問題は政治論として不均衡があるということが重大なる社会的影響のあることなんです。しかも二十九年度予算編成にあたつて編成上障害になるところの法律改正を行うというのですから、編成の障害にならなければ何も改正する必要はなかつたのじやないか。私はこのときあなたにお尋ねしているのです。また政府にも大蔵大臣にもお尋ねしているわけです。政府予算編成上その障害になるべきものだけを区切つて提案したのであるという説明です。そのあなたの説明だと、何も予算編成上障害にならないじやないですか。義務づけられておるとすれば障害になるでしよう義務づけられてない、予算範囲内だということになれば、何らの障害もない、あなたの解釈では、予算編成の上に障害になるという部分はないのじやないですか。
  49. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 政治論として、運用によつて同じ結果になりはせぬかというお言葉でございますか、それはごもつともだと思います。しかし、制度は制度としてやはり潔癖に貫いておかなければならぬものだと思います。どうせ実行上権利は与えないから制度上権利を与える形にしておこうとか、どうせふん縛らないのだから罰則はつつておけということは、政治論として潔癖性に乏しいということは、法律論として十分御納得できると思います。私どもはすべて法相的に考えておりますから、少くともその潔癖性を貫いて行きたいという気持でございます。従いまして、法律的にやはり不均衡を正したいということであります。  そこで、今年度の問題については先ほどもすでに申し上げた通りでありますけれども、今申しましたように、国鉄当局としては、やはりこういうもとが残つておりますと、要求を厳にしておりますし、また将来もする可能性があるわけであります。今の不均衡是正の意味から、法律的にはつきりけじめをつけておきたいという趣旨で、今年度も大いに関係があるということになるわけであります。
  50. 川俣清音

    川俣委員 あなたの今までの答弁のうちでただ一つ信頼できるのは、法律の潔癖性を尊重すべきであるという点だけです。それ以外は何らの価値がない御答弁です。だから、法律の潔癖性を尊重されるならは、やはりこれを遵法させるという考え方が、法制局として最も潔癖性ある解釈だろうと私は信頼いたします。しかしみずから潔癖性を破られたと解釈をするならば、もう質問する必要もないし、潔癖性がないものと判断するほかはないから、私の質問もこの程度にしておきます。
  51. 山中日露史

    ○山中(日)委員 法律問題が大分問題になつているようですが、この五十八条に言う「国庫は、日本国有鉄道に設けられた共済組合に対し、国家公務員共済組合法第六十九条第一項第三号に掲げる費用負担する。」この規定の趣旨は、当然この費用国庫負担しなければならぬという義務をまず国庫に与えておるわけです。そこでこれを受けての六十九条の第一項第二号の、この費用は「毎年度予算をもつてこれを定める。」この規定は、ただいまの御答弁によりますと、予算に盛る盛らないは自由なんだ、このことを意味するものだという御解釈でありますけれども、これは非常に間違つていると思うのです。つまりこの第五十八条で隅がその費用負担すると義務づけたのは、結局予算外の支出といつたようなことでこの金を負担してはいかぬのだ、必ずそれは予算に組んでこれを負担しなければならぬという趣旨をここで明確にしておるのであつて予算で組む組まないは自由なんだという意味ではないと私は思う。そういうふうに私ども解釈しているのですが、その点の見解はどうですか。
  52. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど来申しましたことに尽きると思いますけれども、これは結局読み方の問題でございます、私どもは、先ほども申しました趣旨で、昭和三十五年度以来ずつとさように読み続けて今日に至つておるわけであります。その間別段問題なしに済んでおつたということでありますから、決して読み方としても無理な読み方であるとは考えておりません。
  53. 井手以誠

    井手委員 今まで長官いろいろいろ所信を承りましたが、法律解釈なさる法制局の最高責任者としてのお言葉とはどうしても受取れません。五十八条の国庫がこれを負担するというのか、予算範囲内でこれを負担することかできるというのと同じよう解釈でございますが、この負担するという義務規定負担しなくてもいい、予算でどうにでもなるというものでございますか。これは一般論になりますが、大きな問題だと思うのです。国庫がこれを負担すると明記されておるものを、予算に組まなければ負担しなくてもいい、そういうことはあり得ないと思う。もしそういう今おつしやるよう法制局長官の見解が通用するものならば、国会も何もいりません。法律も何もいりません。予算だけでどうにでもできるわけです。私はここで、くどいようですけれどもつておきたいのは、国庫がこれを負担すると明記してあるのは義務規定だと思うのです。予算で組まなければどうでもいいというものではないと思うのですが、その点を明確にしていたたきたい。
  54. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御疑問はよくわかりました。要するに第五十八条の書き方が、国庫共済組合の事務に要する費用の全額を負担するとこうかりに書いてあつたとすれば、これはもうおつしやる通りであります。その場合には負担をしないというよう予算は組めません。ところが、この国有鉄道法を見ますと、今の国家公務員共済組合法弟六十九条第一項第三号に掲げる費用負担するという形で、要するに共済組合法に載つておるわけです。そしてその他の点においても共済組合法を準用しておるわけであります。従つて、話は、国家公務員共済組合法第六十九条を見ねばならぬということになるわけでありまして、そこで先ほどの第二項かくつついて出て来る。そこに第二項の読み方の問題が出て参りまして勝負のつきどころは、要するに「毎年度予算をもつてこれを定める。」ということの意味に尽きるわけでございまして、従いまして、このお示しの五十八条そのものから私は先ほど来のような結論を申し述へてお石わけではございませんからその点ははつきり御了承を願つておきたいと存じます。
  55. 井手以誠

    井手委員 そこで大分問題が明確になつて参りました。明らかにこれは政府がその費用負担しなければならぬのであります。従つて毎年度予算でこれを定める。定めねばならないものを定めていないことが発見されましたならば、先日長官がおつしやいましたように、政府が、予算提出権に基いて、法律を忠実に執行する義務土から、すみやかに補正予算提出すべきではないかと私は聞いておるのであります。予算になると、これは政治論だ、こういうふうにお逃げになるが、それこそ政治論なのでありまして、ぐあいの悪いところは政治論だとおつしやいましたけれども、やはり法律予算との関係を明確にすることが、法制局の重要な任務の一つであると私は考えております。だから、大分話が進んで参りましたが、毎年度予算でこれを定めなければならぬ。ところが十八年度の予算で定めていないので、この法律を忠実に執行するためには補正予算提出すべきではないか、そうい、質問を私は申し上げておる次第であります。先般もここであなたがおつしやられましたが、当然そうすべきであると思いますから、あらためて長官の御所信を承りたいのであります。
  56. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほどのお答えの続きで、要するにこれは国家公務員共済組合法の第六十九条第二項の読み方の問題になるということでございますが、「毎年度予算をもつてこれを定める。」というのは、毎年度予算に必ず何がしかの金を計上しなければならないという趣旨であるとするならば、これはおつしやる通りに思います。ところが、私どもはそうは考えておりませんものですから、予算に計上する義務づけの意味はここからは出て来ない。しかし、予算に計上して悪いということももちろん出て来ませんから、それを補正予算なり何なりとして考えるということは、財政なり経済なりの政策の問題として、われわれとしてくちばしをいれるべき筋合いではございませんということになるわけであります。
  57. 井手以誠

    井手委員 くどいようですけれども、先日あなたは法律はつきり国庫支出の義務規定があればすみやかに予算を直さなければならぬ、もし悪ければ法律を直さなければならぬ、こういうことをおつしやいました。そういうことから行きますれは、これはおつしやるよう政治論になるかもしれませんけれども、毎年予算で定める、それが定めていないならば、五十八条もそういいかげんなものではございません。苦しい国家の財政の折からでも、どうしてもこれだけはしなくちやならぬという意味で、これを負担するという規定がありますので、当然私は補正予算を組むべきだと思います。組むべきだという考えに対しまして法制局はどういうふうにお考えになつておるか。今も大体それに似たような御答弁はありましたけれども、それたけでは御答弁にならぬと思うのです。
  58. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この間他の委員会で申し上げました趣旨は、要するに法的に見て、法律予算との間に食い違いかあつた場合には、かようかくかくの次第になりますということを申し上げたわけであります。そこで今回の御指摘の問題につきまして、法的に見ての食い違いがあるかどうかというところから見ますと、先ほど来のお答えにも申しましたように、「毎年度予算をもつてこれを定める。」ということは、予算をもつて定めよとの義務づけの規定ではありませんから、ここで法的の食い違いというものはないとわれわれは考えて来ているわけであります。
  59. 山中日露史

    ○山中(日)委員 ただいまのよう法制局長官の御答弁でいいとするならば、たとえば人事院の勧告に対して、政府は必ずしもそれをのまなくてもいい。それは財政上、予算上の都合によつてのまなくてもいい。こういう場合には、明らかに法律に、たとい勧告があつても、つまり財政上、予算上の都合でそれに従わなくてもいい、予算に組まなくてもいいという積極的な規定がなくてはならないと思うのです。ところが、こういう場合はそうではなしに、先ほども何回も言う通り、前にすでに法律でもつて組め、つまり国庫負担にせよということを規定しておつて、そうしてその金はではどこから出すか、すなわち予算外の支出とかなんとかそういうものでなしに、必ず予算で出せよということをきめておるのです。だから、どうしてもやはり予算に組まなければならないという義務は当然起つて来ると思うのです。もしも組まなくてもいいというのなら、人事院勧告などの場合のように、財政上あるいは予算上組まなくてもいいという積極的な規定がなければならないと思うのです。それがない限りにおいては、当然これは義務づけられているものと私ども解釈している。人事院勧告などの場合のように、積極的に断つた規定がある場合とこの場合とは、どういうふうに考えているのですか。
  60. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お言葉ではございますけれども、人事院の勧告の場合は、勧告という文字そのものが現わしておりますように、強い形で法律的には意見を述べて来るたけのことでありまして、勧告ということ自身が政府に対する拘速力を持つ言葉ではございません。従つて今仮定的におつしやいましたこれに拘束されなくてもいいという趣旨の、財政上、予算上の都合によつては拘束されなくてもいいというような趣旨の明文はございません。私どもとしては、勧告という言葉自身の意味がそれを現わしていると考えて参つているわけであります。ただいまの場合が明瞭に法律論であることは率直に申し上げます。ただ、その法律論の見解として、六十九条の第二項の読み方の問題が、お尋ねとわれわれのお答えが多少違つているということに帰するわけでございます。
  61. 山中日露史

    ○山中(日)委員 そうすると、人事院の勧告の場合は単なる勧告で、何も政府を拘束するものでない。拘束するものでないのにかかわらず、こういうふうに積極的に組まなくてもいいんだという規定があるわけなんです。これは単なる勧告じやなしに、もつと進んで法律的に義務づけられているわけです。勧告よりずつとこつちの方が強いが、それに対してそういう積極的な規定がないわけ、です今勧告の例を出しましたけれども、勧告のような何ら政府を拘束するものでもないのに、それを特に積極局に財政上、予算上の都合で組まなくてもいいというよう規定を設けたというのは、その趣旨とこれとを比較して考えてみれば、当然これは法律義務づけられており、その義務を果すには、つまり予算に組んで出せ、こういうふうに解釈しなければ、六十九条の意味は五十八条の趣旨をまつたく没却してしまう、私はそう考えるのです。その勧告のような、法律でない、政府を拘束しないようなものですら、積極的に財政上、予算上の都合で組まなくてもいいという規定を設けているくらいですから、それを裏返して考えてみれば、そういう勧告でない強い義務法律で負わしている場合においては、そういう積極的な規定がない限りにおいては、当然予算に組まなければならぬ、こう考えるのですが、この点についてはいかがですか。
  62. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 国家公務員法の人事院勧告の場合におきましては、先ほど申しましたような趣旨からして、公務員法自体にもそれに基く予算を組まなくてもいいという条文は置いてありません。これは勧告自体の性格からはつきりするものとして、法律としては何ら規定を置いてありません。ただ、御承知の公労法では、仲裁裁定があつた場合には、その裁定そのものは協定と同じ効力を持つて当事者が拘束されるという条文がはつきりあります。その関係から、財政上あるいは資金上支出不可能な場合には拘束されないという条文が置いてあるわけであります。といいますのは、今申しましたように、一方において協定と同じ効力を持つて当事者を拘束されるということを強くうたつておりますから、それに対する調整として今のような条文を置いて、財政上、資金上の場合はよろしいということを置いているわけであります。今度の場合は初めから予算をもつて定めると言いつぱなしになつておりますから、先ほど申し上げたように、この言葉自体の解釈として必ずしも定めよという趣旨は出て来ないということになるわけでございます。
  63. 井手以誠

    井手委員 どうも、何回聞いても政府方針というものはわかりません。一方では義務を課している、一方では毎年度予算をもつて定めている。百歩を譲つてかりに対等の立場であるにいたしましても、片一方では法律義務を課している。一方においては政府提案権を持つている予算でこれを定めるということになつている。そういたしますと、かりに対等の立場といたしましても、片一方では義務を課す。片一方は政府予算をもつて定める。そういたしますと、政府の考えで予算を定めなければ、法律国庫がこれを負担するという義務規定を履行しなくてもいい、こういうことにもなるのであります。法律はいかに厳格な規定をやつてつても、予算に組まなければ、法律を実行しようがどうしようが、解釈の相違でやつて行けるということになると思う、そんなあいまいな法律解釈は許されぬと私は考えております。これだけはつきり五十八条に明記され、国家公務員共済組合法においても毎年度予算をもつてこれを定めると規定されている。定めるということは義務規定である。ともに義務を課しているのに、定める定めないのは政府の考えだ、こういうことでは私は解釈ができないと思う。もしそういうふうなあなたのお考えであるならば、拡大解釈すれば、法律幾らつて予算で組まなければどうでもいいということなんでしよう。そういう危険な拡大解釈は許されぬと思うのです。せつかく片方で義務規定を課しているのに、予算で定めるとあるから、予算で定めなければそれでもいいというようなことは、私は言うべきことじやないと思う。いやしくも国の法律解釈する場合に、その解釈の方法が二つ二つもあるようなことではいけないと考えるのですが、どうですか。
  64. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私どもはたいへんな危険思想を抱いておりますように誤解されますとたいへんなことでございますから、よく弁明を申し上げておきます。先ほども申し上げましたように、国鉄法の五十八条がこんなふうに共済組合法などの力を借りないで、そういうものを援用しないで、簡単明瞭にこの組合の事務費の全額を負担すると書いてある場合、私どもが、いやこれは予算の方できめようときめまいといいんですというお答えを申し上げたら、これはたいへんな危険思想でけしからぬというお叱りを甘んじて受けるべきことであると思いますが、これが国家公務員共済組合法をひつぱつて来ておりますから、共済組合法をながめなければならぬ。共済組合法をながめてみますと、予算にそのきめるかきめないかということを一任した条文がありますから、そこを根拠に申し上げているのでありまして、そういう条文がない場合には、決して私どもそんな牽強附会の弁を弄するようなことはいたしません。
  65. 井手以誠

    井手委員 第六十九条の第二項にすべてを一任している、こういうふうにおつしやいますが、これは逆だと思うのです。全額を負担するということが基本でなければならぬ。その全額とは、ただ全額とだけ書いちや困るから、その金額は毎年度予算で定めるという従の立場、政令と申しますか、下級のものだと私は考えるのであります。基本はあくまでも全額を国庫負担する。それが費用の全額である。全額だけではいけない、そんな弱いことではいけないから、さらに強めてこれを予算できちつと打出している、こういう意味だと私どもは考えるのであります。もしそれほどに第二項が重要なものである、一切をあげて第二項に一任しているというようなものであるならば、国有鉄道法第五十八条には「第六十九条第一項第三号に掲げる」だけではなくして、「並びに第二項に掲げる」と書かねばならぬと思う。それほどあなたがおつしやるように重要であるならば、第一項と第二項と並列してここに掲げなければならぬ。それを落してある。落してあるという意味は、あくまでも全額を国庫負担するというのか基本である。しかし全額だけではわからないから、毎年度予算で定めるというふうに、親切に解釈的なものとして第二項があると私は考えるのであります。法律解釈する場合にどちらが主であるか、どちらが従であるか。もしあなたのおつしやるように一任された第二項が主のようになりますと、法律なんてこんな義務規定はいらないことになる。その点をもう少し明確にしていただきたい。
  66. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 第六十九条第一項第三号に掲げる費用ということから、当然この第二項もかぶつてのものであるということが説明できると思いますけれども、それよりももつとはつきりしておりますのは、この国鉄法五十七条の最初の部分に、国家公務員共済組合法を全面的に準用しているわけでありますから、当然六十九条の第二項は準用されることは、どこから見ても明らかであるという見地から、先ほど来のお答えをしておるわけであります。
  67. 山中日露史

    ○山中(日)委員 この六十九条の解釈は非常にむずかしい問題でありますが、そこでこの解釈をわれわれがはつきりさせる意味において、一点お尋ねしたいと思うのですが、先ほど長官はこの国鉄裁定の例とそれから公労法との関係をお出しになつたのですが、国鉄の裁定があつた場合に、もしかりに公労法に財政上、資金上の都合によつて政府予算に組まなくてもいいという規定がなかつたとした場合に、政府はこの国鉄の裁定があつたような場合においては、予算を組む義務があるのかないのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  68. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほどよけいなことを申しましたために話が深く入つて参りましたが、簡明に申しますと、その条文がなければ当事者は当然裁定に拘束されますから、予算上の措置をきめなければならないということに当然なると思います。ただ問題は、精密に言いますと、国有鉄道そのものは当事者でありまして、予算措置に関与する政府というものは、もう一つ上の段階でありますから、ちよつと複雑な問題が出ますけれども、簡単に言えば拘束されると申し上げてよいと存じます。
  69. 山中日露史

    ○山中(日)委員 もしそうだとすれば、やはり法律の立法の趣旨いうものは、そういう点非常に重大だと思うのです。つまり国鉄裁定というような仲裁機関が決定したことに当事者が拘束される、そういう場合において政府はやはり予算を組まなければならないという解釈だとすれば、これはそういつた裁定機関じやなしに、法律でもつて国にそれだけの義務を負わしておるのですから、もしも政府予算を組まなくてもいいというならば、ちようど公労法の上に積極的に、たとい法律できめてあつても、政府は財政上あるいは資金上の都合によつて予算を組まなくてもいいという、あれと同様な積極的な規定を設けなければならぬものだと思うのです。ただ、先ほどから何回も申したように、六十九条というものは、そういう予算に組んでも組まなくてもいいものだ、いくら法律できめてあつてもよいというのではなしに、その金は予算で出せよという意味だ、そういうふうに解釈すれば、先ほどお話のように、裁定のような場合に、組む組まないをきめる場合には積極的な規定が必要だ、積極的な規定がなければ当然組まなければならぬものなんです。それらの趣旨から見ても、積極的な規定がなければ、当然この六十九条の文字は予算に組まなければならないのだという義務を負うものだと私は思う。予算外の支出としてそういう形で金を出してはいけない、必ず予算で出せよ、こういう意味だと解釈をしなければ、ああいつた積極的規定を設けた場合とない場合と、つまり法律解釈といいますか、そういう点の法律解釈均衡かとれないのではないかとこう考えるのですが、その点いかかですか。
  70. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 結局公労法の場合におきましては、その今の十六条でありますか、その条文以外の点におきまして、仲裁裁定が下れは原則として協定と同じ拘束力を持つという条文がはつきりあるわけであります。それがありますからこそ、黙つておればみな縛られてしまいますから、どうしても困る場合の除外例を十六条に置いたというのか建前であると思います。ところが、六十九条の場合は、予算に一任という形をとつておりますから、そこに非常にゆとりのある建前になつておる、われわれはそこに根拠があると申し上げておるわけです。これを予算をもつて定めるという例は私はあまり他にたくさん知りませんけれども、別に法律をもつて定めるという立法例は二、三私は存じております。たとえば刑事訴訟法の司法警察職員の懲罰関係のことを検察官の方から申し立てる手続がありまして、それについては別に法律で定めるという各条文があつて、実はこれはその法律に一任されておる、従つてその法律が今まで全然なしで来ておつたわけですから、今度の国会に初めて御提案申し上げたわけです。もう一つは、私ははつきり記憶しておりませんけれども国会議員の皆様の恩給と申しますか、退職金のことであります。何かそれは前の法律ですでに別に法律をもつて定めることになつておりながら、その法律かまだ出ておらんのじやございませんでしようか、理論上はそれと同じことになるわけであるというふうに考えておるわけであります。
  71. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私は議事進行に関して申し上げたいと思いますが、ただいままでの法制局のお答えを承つておりますと、ただいま問題になつていた点だけからいたしましても、相当問題か残されております。しかも、他の問題に影響するところが相当ございますので、本日午後連合審査もありますので、この問題はあとに譲つて、本日の午前中はこの程度でひとつやめていただきたいと思います。動議を出します。
  72. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 古川君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それでは午前の会議はこの程度にいたしまして暫時休憩いたします。  なお、午後は農林委員会との連合審査会を開会いたしますので、御出席を願います。    午後一時六分休憩      ————◇—————    午後七時三分開議
  74. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。川俣清音
  75. 川俣清音

    川俣委員 法制局にお尋ねいたします本委員会に対して今までに御答弁のあつた農業改良助長法の制定当時の審議の模様が、法律解釈の上に重要な意義を持つものであることは、私が申し上げるまでもないことです。長官並びに次長は当時の記録を幾分でもお読みになつておられますかどうか、あるいは記憶が薄らいでいるならば別ですが、そういうものを検討されての御答弁であるかどうか、まだそこまで検討しないで、ただここへ来て、その場限りの法文上の解釈であるのかどうか、そあ点をお尋ねしておきます。
  76. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 たいていの速記録はその当時私は少くとも目を通しているつもりでありますけれども、最近の機会においては実は目を通しておりません。従つて、御推察の通りに、ただいま記憶はよほど薄らいでいることは率直に申し上げます。
  77. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 この際林法制局次長より発言を求められております。これを許可いたします。
  78. 林修三

    ○林政府委員 午前中日本国有鉄道法解釈につきまして私からお答えいたしました点で、私の言いまわし方が非常に下手でございましたために、あるいは多少私の意図したところと違うような御印象を与えたようなところがあるかもわかりませんので、この際一言その点をはつきりさせておきたいと存ずるわけでございます。  先ほどお尋ねのございました点で、日本国有鉄道法共済組合国庫負担金のことでございます。本年度においては予算がきまつたから出せないんだといりようなとを申し上げたやに伺つたわけでございますが、私が申しました真意はそういうことではございませんで、一応日本国有鉄道法では共済組合費用国庫負担するということになつている。予算が一応きまつている現状を見れば、現在の状態で行けは、予算がなくては国庫負担金の支出はできないということを申し上げたのでありまして、今後まだ期間があるのに補正予算を出せるとか出せないとかいうことを申し上げたつもりではなく、現状をお話申し上げたつもりであつたわけであります。その点御了解を願えれば幸いであると存じます。
  79. 川俣清音

    川俣委員 ただいまの次長の御答弁は、速記録を十分見てから取消しまたは釈明を求めたいと思いますので、今のところは今日の弁明だと承つておきたいと思います。  質問を続行いたします。立法当時の政府説明並びに法案の説明は、提案をした政府の意図が十分盛られているものと思うのです。従いまして、法律解釈——当時政府提案することのよしあしは別にして、提案理由にのつとつてこの法文ができていると解釈するのが妥当だと思う。また委員会における質疑応答から見まして、その質疑に対する答弁を参酌して法律解釈すべきものと思うのであります。これは、厳密な意味において、できた成文の解釈をそのまま法文上の解釈とするという説をなすものがありますけれども国会における論議は、少くとも唯一の立法機関という建前から見まして、立法上の責任を持つている国会審議の経過を十分尊重しなければならないと私は考えますけれども法制局長官はこの点についていかような見解を持つておられますか。
  80. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 政治的な意味も含めて、大体論としてはおつしやる趣旨に同感であります。ただ今のお言葉に触れて申し上げますが、お言葉にありましたように、法律解釈のオーソドックスな建前というところは、申し上げるまでもなく法文に即して考えなければならない。その法文によつて示すところの文理上の解釈、それから次に法文の示す条理上の解釈ということが主であることは釈迦に説法であろうと思います。ただ、それらを補う手段として立法の際の説明というようなものが出て来る、こういう筋合いのものと考えます。
  81. 川俣清音

    川俣委員 それだけの説明を承つておいて、次に私の本論を申し上げたいと思うのですが、これは改良局長並びに大蔵省の総務課長にお尋ねいたします。立法当時の政府説明また井上委員長の本会議の報告によりますと、当時改良普及事業の専門指導員を「さしあたり本年度は二級官または三級宮約五千人、その他千五百名、合計六千五百名が予定され」云々とある。しかも「専門指導員の任務はすこぶる重大でございますので程度の相当高い人物が要求され、学歴経験を考慮して試験によつて採用されますが、」云々とある。問題は、立法当時、この改良助長法を提案いたしました政府並びに国会審議の模様を見ますと、相当程度の高い専門技術員を予定して予算が組まれておる。従いまして、三分の二の補助ということもこういう点から出て来ておりますることが、委員会の質疑の中に明らかに出て来ております。今私速記録がありますが これをもつて詳しくは申し上げませんけれども、本会議における委員長の報告だけを見ましても、このように明らかであります。従いまして、最初のころは元の二級官といいますと、技術官においても相当高いのです。今で申しまするとこれを今人事院に聞いてみますると当時の二級官は今少くとも最低八級または十一級、十二級まで上るということでございます。ところが、あなたの方の基準なるものを見ますると、非常に低いところに押えておられる。これは法律解釈じやないのです。先ほども総務課長に私がるる述べましたように、質の向上が必要じやないかということも申し上げて、大体同意を示された。ところが、今は大体六級、五級を基準として三分の三だというようなことをやつておられる。これをまだ三分の二にいたしましても、これを今の八級から十二級までを基準にしなければならないのが当時の立法の趣旨であつたのです。そういう程度の高いものを選ばなければならないという趣旨でできおる。それをだんだん下げて行つて五級、六級にして行く、あるいは四級三級にして行くということになりましたならば、三分の二であろうと二分一のであろうと同じことになつてしまう。実質上は十一級の十分の一とか、五分の一とかいうことになる。従いまして、ことに研究員なんかになりますると、専門員は現に一万三千円前後とつておるのに、普及員は一万四千円くらいを基準としておるようであります。専門員は大体万三千円前後か実際でありますが、これですら立法当時の趣旨からいうと低過ぎるのじやないか。総務課長は、立法当時のこの三分の二と決定した、しかも資格をやかましくせなければならないという趣旨でこの立法かできたということを御勉強になつておられますかどうか。
  82. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 私から一応総務課長の前にお答えいたしますと、ただいまの御質問の点は、法律の立法当時の考え方もおつしやる通りだと存じます。試験等については、相当厳格な、県における課長クラスの人でないと受からないくらいな試験で専門技術員はやつておるよう状態で、程度も現実には非常に高い状態であります。二級、三級等がありました当時は、現実の人間は大体七百五十名余りが二級、それから三級は七千二百名、雇員程度のものか二千六百名程度、こういう状態でございまして、お話にありましたような専門技術員の数千五百名とかいうふうな点はかなり減りまして、一般の普及員の方が数はずつと多いという比率になつておりまするか、その待遇、資格その他については、おつしやる通り状態で大体現在に来ておるようなわけでございます。
  83. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 私から御答弁申し上げます。ただいま川俣さんからお話のございました点は、審議の経過等に照しまして、できるだけそういう御趣意に沿つてつて行くのか望ましいことと考えております。ただ、御承知のように、補助職員と申しますのは、農業改良普及の関係の職員以外に全国に相当ございます。それで、その間の彼此権衡がなかなかやかましゆうございまして、一方だけ上げますと、片一方の方も必ず上げろと、こういう御注文が出て参りますので、かねがね、主計局としましても、大蔵省としましても、非常に悩んでおる問題でございます。そのために、実際問題といたしましては、相当高級の職員がおる実情であるようでありますが、私どもといたしましては、一定の低い基準を設けまして、それによつて計算をいたしておる。これかまた一号、二号上りますと相当に大きな金額になります。そういう財政上の状況等もございまして、実際の状況から見るとやや低めに感ぜられるという点もごもつともだと思いますか、そういうような一律の補助職員に対する給与の基準を設けておるのが実情でございます。
  84. 川俣清音

    川俣委員 私先ほど申し上げた中に、ちよつと誤解があるといけませんが、普及員の場合は、大蔵省の査定は六級五号で一万一千二百四十七円、実際給与額がかなり上つておりまして大体一万三千円、調べによりますと七級三号くらいあるいはこれより少し上つておると私は思いまするけれども、七級二号にいたしましても三万二千六百十三円、これは今日いろいろな統合が行われました結果のものでありますから、一応は相当の開きはあると思います。ところが専門技術負の場合におきましては、相当高度の人を今も採用しておられるのです。これは立法の趣旨からいつて、当時級官というのが建前です。政府説明がそうですよ。当時の二級官というと今の十二級くらいにはなるのです。もう級というと勅任技師ですから、今で言うと十二級、十三級でしよう。こういう程度の高いものを考えての法律上の制約なんですね。従いまして、そういう高いものであるから、地方に押しつけることは困難だというところで三分の二になつているのですよ。当時の政府説明によればそうなつて、いるのですそこで、専門技術員を見ますると、現在大蔵省の査定は——一体二の査定というのはおかしいと思うのです、法律解釈からいつて予算範囲内ということも何もないのです、今度あらためて改正ようとするのでしよう。それなのに、いつの間にか大蔵省の査定というものができて、法律解釈が査定で解釈されておる。法律解釈でたく実施は法律を逸脱して査定をされておるということになる。その査定によりますと、六級五号だと万二千百五円だ。実際はというと二万五千百六十三円、十級の三号ぐらいが平均だということになつておる。これは大きな開きですよ。これはいわゆる試験研究というようなものを——元は試験研究所を中心にできておつたのを、今度はあらためて改良普及事業の中にこれらの試験研究を実行に移すために、相当程度の高い者を採用いたしまして、国の試験、地方の試験を実地に普及徹底しようという考え方からして、専門技術員という表現を用いとまして、説明にありますように相当高い人物が要求せられ、学歴経験を考慮して試験によつて採用されます。こういうふうに予算が組まれその必要を法文に表わしておるのであります。そうして参りますと、二万五千円が実際の状態であるなら、一万二千円というとこれは半額ですよ。三分の二の補助ではないのです。こういうことが可能だとすれば、あえて法律改正する必要はないじやないですか。これは二分の一になつておるじやないですか。こういうふうに三分の二で半分にできるとなると、二分の一ということになれば結局四分の一になるかもしれません。予算上の措置からこうなると、法律の権威というものは何もなくなつて、しまう。立法の趣旨がまつたく没却されておるということになるじやないですか。法制局長官はこのことに対していかような見解をお持ちか。現実において立法の趣旨がまつたくくつがえされておる。法律解釈は別ですよ。このことを好ましいことだというふうに法制局長官はお考えになるかどうか。この点を法制局長官にお伺いし、また実際を取扱つておる総務課長に、それらに対する見解を伺つておきたい。
  85. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 法律問題ではないというお言葉でございますから安心して申し上げますが、それはたつぷり行けば行くほどいいことでありまして、たつぷり行かぬということは、いいことの反対であろうという気持はもう当然抱いておるわけであります。それについてどういう事情があつたかということは、これは法律的にお尋ねがあれは、またある程度法律的にお答えできると思いますけれども、ただいまのお尋ねに対してはその程度で御了承願います。
  86. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 御趣旨こもつともだと思います。従来からこの関係の職員につきましてはただいまのような基準を使つておるわけでございます。確かに法律自身が期待しておるところからいいますと、私どもも決して十分なものとは考えられないわけでありますが、先ほども申し上げましたように、この補助職員の単価という問題はなかなか年々やかましい問題でございます。これにつきましては、実情から見てぜひ上げてくれという要望も相当熾烈なのが実際でございます。私どもといたしましては、ちよつと上げますと財政にも相当影響するというような観点から、各省とも話合いをして、多少不満ではありましようが、現在までのところこういうような基準を一律に使って来たわけであります。このほかにも、ものによりましてはなお実情から見て非常に低いということもあろうと思います。先ほどお話のございましたいわゆる普及負と専門技術員は一律に扱つておる点が、法律的に見て穏当ではないというお話でありまして、確かにごもつともの点がございます。普及員につきましてはまだよろしいというお話でありましたが、全体といたしまして普及員が一万人でありますか、一万一千人でありますか、専門技術員が七百三十人、総体において実はこめて考えておつたわけでありまして、この法律の本来の趣旨から行くと、そういう考え方は適当でないというお話につきましては、私もなるほどと考えるのでありますが、これで従来からずつと計上して参つておるわけであります。今後この問題につきましては、なお全般に補助職員の単価問題というのはやかましゆうございますし、それで全体の財政のわくの中でどの程度盛れるものか、できるだけ各省の御希望等も考えなければならないわけでありますか、財政緊縮の折から、二十九年度の予算においては、従来と同じような程度のものを盛らざるを得なかつたのが実情でありまして、この点についても今後われわれも十分検討して参りたい、こう思つております。
  87. 川俣清音

    川俣委員 私の質問のうちで誤解を受けておるようですから、それを先に訂正してまた質問に移りたいと思います。  普及員の方は大した問題ではないというふうに申し上げたので、その点で誤解をされておるようですが、私は、あなたの言うよう意味で、普及員の方は問題でないというふうに申し上げたのではない。この普及員はかなり程度の差があるために、平均か一体どのくらいになるか、一万一千円になるのか、一万二千円になるのかという点について、私は確信がないという意味で申し上げたのです。ところが、専門技術員の方は、二十三年にこの法律ができた当時、相当高給な人々が二級官として採用されて来ておるのです。現にその当時からの人がいるのですよ。そうすると、この予算を削減されますと、その人の基本的人権、給料が、法律によらないで下げられたという結果になる。それがいやならばやめろという姿なら別ですよ。法制局長官がちやんと長官としての俸給を受けていながら、予算削減だというので全般的に削減されるならば問題はないでしようけれども、ひとり法制局だけ予算を削減されて、それでも不服は言わないという立場ではおそらくないと思う。個人としてはがまんするけれども法制局長官としてはがまんできないとおそらく言うだろうと思う。これは常識ですよ。これは、私個人としてはがまんするけれども、長官としてはがまんできないというのと同じですよ。当時高く採用せられて、しかも試験を受けて二級官として募集せられて、それが昇給しないなら別ですか、予算削減のために基本的人権を無視せられたということになりますと、これは重大なことじやないですか。そういうところまで法律を曲げて予算編成ができるということは、あり得ないはずじやないかということを前から申し上げておる。現に採用されてから、補助金がないためにがまんしなければならない人か起きておるじやありませんか。これは基本的人権に対する大きな侵害ですよ。何らの法律的処置もない。財政上の処置だけでしよう。その点いかがですか。
  88. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おつしやる通りまことに同感であります。私の俸給は今でさえも非常にもの足りなく思つておるくらいでありますから、身にしみて感ずるわけでございますが、ただ、今のお話は、私から説明するのはあるいは筋違いかもしれませんけれども、横から承つておりまして、なるほどおつしやることはわかりますけれども、大量観察で、やはり高い者もおれば低い者もおるわけでありますから、その点は一人々々というお名ざしでなしに、込みで考えていただくたけの余地はあるだろうとい気持はいたします。  それからもう一つは、それが基本的人権に響くかと申しますと、りくつを申し上げてたいへん恐縮でございますけれども、たとえば都道府県で雇つておる者につきましては、一応都道府県とい、ものが間にクツシヨンに入つておりますから、その何分の一を国庫で補助するという考え方でございますから、結局直接的には基本的なつながりはないようにも考えられるわけであります。
  89. 川俣清音

    川俣委員 これは重大なことですよ。そこで問題になつて来るのは、この法律ができたとき、国庫負担するということが義務づけられておる。安心してこの法律に基いて採用されておるのです。そうでしよう予算範囲内というようなことはないのです。三分の二という厳格な法律上の規定があるのだから、それで安心して採用されているのじやないですか。これはいつかわるかもしれぬ、三分の二が二分の一になるかもしれぬというようなことで採用されたのではないでしよう。常識的にそうですよ。予算範囲内ということはないのです。この改良普及事業は、明らかにそうした優秀な者を採用するために、わざわざ予算範囲内というよう規定を入れないで、安心して応募のできるように基礎づけられたというふうに私どもは見ておる。三分の二を負担するということは、法律上明らかになつておる。しかも予算範囲内ということもないので、安心しておられるのじやないですか。今後予算範囲内ということになる、不安定になることを了解の上で採用されるのならば別問題です。あなたは基本的人権に関係ありますよ。その法律を信頼して採用されておる。あなただつて法制局長官なら法律を信頼しておそらく長宮になつておるのでしよう内閣がかわつて長官をやめるということは意識しているかもしれませんけれども内閣がかわらぬ間は、大した落度がなければかわらないのだ、そういう法律の擁護があるという見解の上に立つて御勉強になつておるのだと思う。これは行政官としての常識ですよ。それを、予算編成上基準をきめられて、法律以外のところから制約を受けるということは、基本的人権に関係しないか、こういうお問いを申し上げておるのです。この点どうですか。
  90. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 よけいなことに深入りいたしまして、そのために私の真意をいろいろお疑いになつて恐縮するわけでありますか、要するに先ほど触れましたように、結局これは事実の問題でございまして、法律論としては、この合理的な一定の基準というものを立てて考えて行かなければ話がつながらないわけであります。その基準の中でのやりくりの問題ということは、私は間接の問題になると思いましたから、ちよつと言葉が過ぎたかもしれませんが、しかし法律的にはそういうものであつて、あとはそのときどきの予算の出し方の問題、予算の御審議内容ということにあるいは理論上はなつて来るのかもしれぬと思います。
  91. 川俣清音

    川俣委員 これは、御承知の通り、発足の当時は一級官または三級官で採用せられておるはずです。それから異動はあるでしよう。しかし採用されてから三年間はこの予算で組まれておる。この基準でやられておる。それがいつの間にかだんだん基準が下つて来たわけです。ベースアップが行われなければならぬのに実際はだんだん下つて来た。昇給がとまるとか、高級者がなくなるとか、やめさせるとか、あるいは年齢によつてやめるのは別問題です。普通に順序で行けばだんだん昇給して上つて行かなければならぬ。そうじやないですか。これは法律解釈でないけれども、当時採用されておつたのは二級官、三級官で五千人です。その他いわゆる臨時といいますか、当時の技手以下の者で千五百人、こういう形になつておる。ですから末端の改良普及員には相当な差があります。それはわかります。今採用された者と相当古い者がありますから、平均がどこになるかということばあなたのお説の通りだと思う。ところが、専門技術員になりますと、これは元の技師ですよ。技師でも、もう一年も経てば勅任官になり得るような相当の技師です。そういう高い程度の人を採用しておつて、平均が、査定があつたのでやむを得ないというあなたの解釈の仕方は少し無理なんじやないかと思います。私は法律論をやつておるのじやないから、あなたに対する質問はこれで終りまして、総務課長どうですか。
  92. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 私の考えといたしましては、実は一番当初から積極的に下つたかどうかという経緯はちよつと私今わかりませんので、後刻調べたいと思います。今般に関する限りは特に単価を下げるという趣旨ではございません。予算に定めるということからあるいは御心灘になつておられるのだろと思いますが、全般として私どもとしてはこれを下げるとい気はただいまのところありません。ただ増額の要求が、これ以外にも補助職員全体について非常に多いものでございますから、どういうふうにしたら今後解決できるかという点で頭を悩ましておるという実情であります。ただ、先ほどもお話がございましたが、大部分が普及改良員の系統の予算でありまして、いわゆる専門技術員というものは比較的員数が少いのでございますから、もちろんこれを受けました府県は総体的に運用することは可能だろうと思います。でありますから今のところ極端に技術員を押えておくという気持よりも、従来から基準の立て方を一率に考えてやつておつた、こういう点が適当でなかつたかもしれませんが、そういうようなことでありまして、ある特定の職種の者をねらいまして、その職員の給与を特に当然あるべき地位よりも引下げることを意図した、いわゆる人権蹂躪というような気持でやつてないことだけは御了解願いたいと思います。実情を伺いましても、それに相当したものは結局地方の財源からこれを補給しておる、いわば地方の一般財源というものにまわすことと同じ考えでありますが、現実においては般財源から相当出て、これらの人を維持しておるようであります。これはある程度地方々々によつて実情も違うと思います。相当高級の技術員を雇つておるところもありますし、そうでないところもございます。それからほんとうに理想的な意味の専門的な技術員を要求するということになりますと、現在いわゆる農業技術に関する高等技術者というものは必ずしも供給が多うございませんから、これは県によつて一概には言えないと思います。私の方としては、全体の基準ということのために、多少理想よりも低目になつたかもしれませんけれども、そういうような考えで、さらにその上前は地方の財源で見ていただかざるを得ない、こういうような結果になつております。
  93. 川俣清音

    川俣委員 やや了解するところもあるのですよ。了解するところというより、あとの説明だけだと了解するよなところもある。ところが問題はその前にある。最初は専門技術員が非常に多かつたか、あなたの方で実際この予算を削減して行くものたから、だんだん専門技術員が詰まつてつて普及員の方がだんだん多くなる、いわゆる給料の安い者がだんだん多くなつてつて、高い者が減つて来たといことが、予算削減の結果起つて来た現象なんです。自然にそうなつたのじやなくて、予算削減からそういうことが生れて来ざるを得ない結果になつて来ておる。問題はそこにあるのですよ。それで専門技術員は地方によつて異なるということも言われますけれども、だんだんそういうことで整理されて来ておる。そこに問題があるのですよ。質的向上をはからなければならないというときに、質の低下がだんだんできて来る、逆に高度な者が減つて来て、程度の低い者が多くなつて来た。これが質の低下なんです。今後を期待される普及員といえども——最近採用された人で将来性のある人はもちろんありますよ。それを私は決していなむ者ではありませんが、しかしながら、それらの人々も相当の高度の人から訓練を受け指導を受けなければならないという立場にあると思うのです。従つて、その点についての普及員の基準が、農林省の調べとあなた方の調べとの間において千四、五百円の開きがありますけれども、これでははつきりしないということを私はさつきから申し上げておるのです。ところが、専門技術員になりますと、この県は安いから安い専門技術員を選ぶなんということは、そうできるものじやない。やはりその地方の実情に即した指導員でなければ指導力を持つておりません。またこれは普及員の専門的な指導監督をもいたしておる。中には一人や二人未経験な人が新しくその地方に行かれる場合もあり得るでしよう。しかし、その地方の農業事情というものを理解しなければ、とうていその指導力にはなり得ないでしよう。そういう点からいつて、相当高度な人が現在残つているということを見のがしてはならないのです。また予算編成の上から行きましても、改良局の中で明らかに専門技術員と普及員とにわけて、あなた方は予算要求していいはずです。それをごつちやにしなければならないという理由はないでしよう。このことは法律的にも明らかに区分のあるものである。予算の便宜のために一本にしておるという考え方それ自体が間違つておるのです。明らかに区別されておるのです。改良局はどうしてそういう説明を十分にされなかつたのですか。専門技術員と普及員とは違うという大蔵省に対する説明か足りなかつたよな印象を受けるのですが、改良局長はどの程度この点について説明されたか、その点を伺いたい。
  94. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点は従来も説明しておつたかもしれませんが、私も、考え方としては、レベルの高い技術者を置くということが非常に能率に関係いたしますので、その問題は今年の予算折衝のときもかなり強調はしたのでございますが、従来からのものがずつと引続き惰性的にきまつておりますのので、はなはだかえにくい、こういう状態にあつたわけです。
  95. 川俣清音

    川俣委員 塩見局長は従来からと、言われますけれども、二十四年、二十五年、二十六年は、大体この立法当時の趣旨を尊重してできておるようです。ただ年々この専門技術員が減つて来て、改良普及員の方が多くなつて来たということは、統計上明らかです。最初は相当専門技術員を重要視しておつたことも、この法律に伴つて明らかであります。前からの行きがかりでなかなか主張できなかつたというが、前からの行きがかりからいうと、もつとふやして行かなければならぬはずです。数ももちろんですか、程度ももつと高いところに求めなければならぬはずです。この点総務課長どうですか。局長はるるあなたのところに説明したと言うが、あなたは説明はあまりよく聞いてなかつたというわけですか。
  96. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 私も直接改良局長から御説明を承る立場でなかつたものですから、御説は承つておりませんでした。そういう関係で、必ずしも具体的にこの話について詳しく存じておらなかつた。この問題につきましては、結局各省は、もちろんその立場がありますから、私の方にもいろいろ御注文がありますが、私どももまた、この普及員関係ばかりでなく、補助職員各省にわたる全部のものから一応御要求を承る立場にあるわけです。そういうわけで、一つあげますと、なかなか今の大蔵省の微力をもつてしてはほかの方を押えられないというわけでありまして、従来予算の際には、とかく画一的な基準を使つてあります。これは、私どもの方としましても、ほんとうは非常にこまかくニュアンスを持つた予算を計上し得るような余裕と力が出て来るようになればいいと思うのでありますが、なかなかこの理想に遠い実情であります。給与につきましては、実は技術員の問題でお説のような点が確かにあつただろうと思いますが、一面給与を考えますときには、いわゆるその所在地というものをとかく頭に置くわけであります。それで、私どもといたしましては、県庁の所在地に住む職員、それから市町村に住む職員というふうにある程度多少の色わけをして、県庁の所在地に住む職員の方がやや高い単価に恵まれるということがあるわけであります。そういうわけで、この法律要求しておるニユアンスが従来やや出ておらなかつたということは、この法律の趣旨から見て必ずしも適当であつたとは思いませんか、二十九年度の予算につきましては、特にこれについては問題がなく計上いたしたわけです。もちろんこういう問題を内包していただろうと思いますが、従来の経過等もありまして、特に削減をいたす方針もありませんし、そういうふうなことで組んで参つた次第であります。
  97. 川俣清音

    川俣委員 大分理解が深まつて参りましたので質問の趣旨が徹底して参つたと思います。従来のいきさつということを言われますならば、やはり立法当時にさかのぼらなければ、従来のいきさつにならないと思います。従来というのは、常識的にいつてやはり法律のできた当初からというのが従来だと思います。ここ二、三年をもつて従来の行きがかりというようなことを言われるのは慎んでいただかなければならぬと思います。  それから、もう一点は、確かに補助職員についてのあなた方のお考えは無理がない点があると思います。ところが、この法律は、予算範囲内にということで改正ようとされておる。あなたの今までの態度は、予算範囲内という規定があろうとなかろうと、同じ取扱いをしなければならなかつたという立場だつた、立場はよくわかりますけれども、そういう公平な立場を補助職員についてとられますと、こういう法律予算範囲内というものがあろうとなかろうと、同じようなことをやつて来られたということを白状されたようなものです。そうすると、あえて改正しないでも従来通りつて行けないこともないはずだ。専門技術員はそう多くはないのです。場違いから人づて来ることは好ましくないことで、また人か非常に少くて、五千人の採用については篤農家からも専門技術員を採用したような場合もあつたようです。今日専門技術員ということになれば、相当高度の技術員です。普及員の上にあるところの技術指導員でありますから、その人々は農家側々あるいは村全体を指導するということよりも、むしろ普及員の指導に当るというのが現状です。たとえば、農業の講演等については、専門技術員が部落まで入つて参りますけれども、実際は普及員に対して、普及指導についての助言をしたり、指導するということが主なる任務になつておる。それだけ高度のものなのだ。普及員は篤農家よりももう一歩高いところにおいて普及指導しなければならぬ立場にある。これらの点等から見まして、今度の冷害等に対する普及員の功績は非常に著しかつた。この点は改良局長も十分御存じだと思う。平野農林政務次官も、まだ政務次官にならない前に、普及員がどの程度冷害対策のために活躍したかということは十分御承知の通りなんだ。これは否定できない。そのかわり、反面において、普及員の中にその素質がなかつた者もある二とは認めなければならぬ。程度が低くて普及員としてどうかというような者もおりますけれども、それと高い者とをごつちやにして基準をつくるなんていうようなことでは、ほんとうの改良普及事業に対する理解が足らない。農林省が大蔵省に対して理解を深めさせることに努力をしなかつたためだ。単に補助金をとるんだというようなことはかりやつてつて、ほんとうの理解をせしめなかつたところにある。政務次官も大いに責任があると思いますが、政務次官はどうですか。
  98. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話の通り、農業改良普及員の活躍は近年目ざましいものがあり、特に今回の冷害対策においてその功績が顕著に現われたということは、まつたく認めるところでございます。これは、川俣委員の御指摘通り、特にわれわれ農林関係の者としては、今度の冷害においてひとしおこの点を痛感いたしたわけで、そういう意味から、今回行政整理ということをやりましても、この農業改良普及員には一切手をつけない、むしろ増員するという政府の意図を明らかにしており、今回の予算修正にあたりましても、これは生活改善普及員の方でありますが、現実に増員ということが現われたようなわけで、その点につきましては、政府としては十分認識をいたしておるつもりでございます。
  99. 川俣清音

    川俣委員 努力をしておるということになりますと、何も質問はできなくなります。平野政務次官は増員だけで満足されるが、われわれからいう質の向上が必要なんだ。量もまた必要でありますけれども、それ以上に質的向上が必要なんです。そこで大蔵省が実際の給与よりも基準を下げて行きますと、質の低下を来し、だんだんいい人がいなくなるような結果になりはせぬか、これを憂えておるのです。だから、人をふやすことも必要だけれども、やはり給与の基準を上げて行つて、だんだん質の淘汰を行うことがむしろ先決じやないかというふうに考えているけれども、数を否決するものではないのです。改良普及員等は、どうしても家庭をまわるために人手不足でありますから、増員も考えなければなりません。しかしながら、専門技術員になると、これは増員でなくて質の向上なんです。この点を十分考えられまして、何らかの処置をとらなければならないと思いますけれども、大体大蔵省の総務課長はきよう初めてわかられたようですから、何らかの処置をとられることを期待いたしまして、この点は打切りたいと思いますが、実際どうですか。専門技術員の実際の給与と大蔵省の査定との間において非常な開きがあるというふうに、改良局長はお毒えになつておりませんか。
  100. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 その点は、数字の示すところによつてお答えしますれば、実際の給与の半分というふうな状態です。ですから、三分の二の補助というのは、専門技術員に対しては実際は三分の一の補助という実情でございます。
  101. 川俣清音

    川俣委員 大蔵当局、今改良局長も説明されたよう状態です。これはやはり法律を遵奉するという建前から申し上げて、ここにわざわざ法制局長官を煩わせておりますのは、現実において法律解釈をよほど厳密に純粋に解釈しておりませんと、こういう結果が出て来ることをまのあたり法制局長官に見せたいということで、あなたの御出席を願つておるのです、純粋に解釈してもなおこういう結果が生れて来るのです。これが逆に法律を蹂躪し、補助金を騙取しようというような動きすら現に出て参りまして、会計検査院から指摘されておる点も多々あるのです。そういう不当な支出は厳に懲戒しなければならないと同様に、政府みずからも範をたれなければならないと思うのです。そういう意味で、総務課長は、予算の配分ばかりではなくして、将来法律に基いた予算の消化が十分監視できるためにも、大蔵省自身が法律に対して十分な遵法精神をもつて国会の立法当時の意思を十分尊重して行かなければ、官僚独善に陥るおそれがあると思う。もしも予算上必要になつて参りますならば、法律改正する等の当然な手段をもつてかえらるべきであつたと思うのです。従来からのやり方から行つてこれでやつて参りましたというようなことでは、本法の精神を十分理解しないという批判を受けなければならないと思う。この点について総務課長の御意見を承つておきたい。
  102. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 この法律制度の当初からよく御存じの川俣さんでありますから、おつしやることは一々ごもつともでありまして、この法律の理想を完全に貫くということでありますれば、おつしやる通りだと思います。なかなか一挙に理想の境地まで到達し得ないような状況にあるのは、私どもも決して満足した気持ではございません。るる申し上げましたように、財政上の都合等もありまして、本来でありますならば、もつと問い給与水準で予算を積算して行きたいところでありますが、何分にもこういう職員については影響が大きいので、比較的低い水準で今日まで実は積算をして参つておるような次第であります。今後、この問題につきましては、なお大蔵省としましても十分研究いたしたいと思います。
  103. 川俣清音

    川俣委員 改良事業に関する限りにおいてはこれで打切りたいと思うのですが、もう一つお尋ねいたしたいのは、十三国会で財政法の改正の必要があるということで改正をいたしておりますが、それは継続費ですね。十三国会において、参議院の大蔵委員会において、財政法に継続費を認めることは国会予算権を蹂躪することになりはしないかということが、大分議論が行われておつたようであります。それに対する大蔵省の見解並びに法制局あるいは会計検査院の弁明によりますると、継続費を認めないことによつてかえつて予算の不正不当な支出が行われて、その弊害が非常に大きくなつて来たので、財政法上に継続費を認めることにいたしたいというのが、改正提案理由であつたようであります。その中に含まれる問題でありますが、試験場の試験研究というようなものは一定の計画のもとに研究助成をして参らなければならないものでありますことは、私が申し上げるまでもないことです。たとえば青森県の藤坂五号にいたしましても、当時予算を打切られましたために十分普及徹底することができないで、青森県のごく一部に限られておつたというような結果に終つております。そのために福島県あるいは山形県において藤坂五号を無条件で受入れましたために、ことしの冷害からこうむる病虫害のいもち病等の発生の原因にもなつている。藤坂五号の説明によりますと、これは病虫害に強いという表現だけをいたしておりますが、地方の事情を十分参酌した地方的な試験を行わないために、かえつて失敗をいたしたのが今年の冷害に現われて来ております。このように、途中で予算を打切られますために、せつかくの試験研究が十分行き届かなかつたための弊害というものも大きい。挺案理由によりますと、試験研究というようなじみなものは一定の計画のもとに研究助成をいたす方針のもとにこの法案を提出いたしたというように、あたかも継続費を認め提案したごとき説明をなされております。これは継続費として年々出されておるわけでありませんけれども、やはり継続費的な考え方で試験研究というものは行われなければ効果がないことは、私が申し上げるまでもないことなんです。従つて、試験研究に対しましては全部または一部を負担をすることになつておりますが、改正によりますと予算範囲内ということになり、予算範囲内ということになると、全部または一部というのだから、何も出さないこともあり得るということになる。これは、法制局長官説明によりますと、さつき井手委員質問に対して、予算範囲内ということでなかつたが、予算の定めるところに従うという解釈はゼロであつてもいいということである。そうすると、予算範囲であるということになると、同様解釈してゼロであつてもいいということになる。詭弁を罪すると、こういうふうにひつかかつて来るのであります。が、予算の定めるところというのと、予算範囲内ということと大した違いはないでしよう。違うなら違う説明をしてもらいたい。これからひとつお尋ねしておきます。
  104. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど口下手で徹底いたしませんでしたかも存じませんけれども井手委員に対するお答えは、予算範囲内においてとあれば別ですけれども、そうでなくて、予算をもつて定める、こういうふうな別な表現がしてありますから、これは必ずしも予算に組まなければならぬという拘束を持つ言葉ではございませんということを申し上げたのでありまして、予算範囲内においてという意味については、これは全然別のことで、これは、初めのこの委員会で、私はあるいは林政府委員からお答えしたと思いますが、その通りに行かない、これは別のものと考えております。
  105. 川俣清音

    川俣委員 今予算範囲内と予算の定むるところによるということとは、慣例から見れば予算範囲内というのが適当な言葉だと思うけれども、これは予算の定むるところによるという別な表現がしてあるので云々というふうにあなたは説明されておる。大体同一語に近いのだけれども、違う表現だというのがあなたの説明であつたと思うのです。今弁解せられておりますから弁解は一応聞いて、おきましよう。しかしそれは弁解にならないと思うのです。この問題を聞けば別な答弁をする、別なことを聞けば別な答弁をするということは、法制局としてだらしがなさ過ぎるのだけれども、今だらしがないということを追究する時間がありません、この予算範囲内という表現がなくても、現に予算範囲内において従来は実施して来たというのが総務局長の答弁です。法制局長官予算範囲内があるのとないのとでは大分違うと言うけれども、従来は予算範囲内という言葉がなくてもあつて均衡上同じ取扱いをして来た。取扱い上はそうなんです。この取扱いは聞違いだつたのですか。法制局長官どうですか。あつてもなくても同じ取扱いをして行かなければならなかつたのですか。大蔵省が補助職員の均衡の上から大体同じ取扱いをしなければならなかつたという苦衷はよくわかるのです。取扱いは従来そうなつて来た。そうすると、あつてもなくても同じ取扱いをしたということはさしつかえないかどうか、法制局長官の御答弁を願いたい。法律論ですよ。
  106. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 あつてもなくても同じにはどうしても思えませんので、先ほど来の当局表の説明を聞いておりますと、それはむしろ給与の問題でいえば、給与の関係の基準の問題ということであるように聞いております。従つて予算範囲内そのものに結びつく問題ではどうもないように考えておつたわけであります。
  107. 川俣清音

    川俣委員 基準なんというのは法律用語に一つもありませんよ。府県の負担する経費、その三分の二とあるのです。基準などというのは一つも出ておりません。大蔵省の取扱いは基準ですよ。法律的には何も基準はない。要する経費と基準とは本質的に違いますよ。そのくらいのことは今の大学の入学試験に出してもわかりますよ。政府の定めの基準に基いてその基準の三分の二というならば、これはまた別問題です。またはその要する経費を政令に基くとか政令に委任しておれば、これは別問題です。何も委任していないですよ。要する経費とありますれば、要する経費の義務を負つておると見るのが至当じやないか。それは従来の取扱いが基準でやつておつたことは認めますよ。私があなたに聞いているのは取扱いじやないのです。この解釈をお聞きしておる。要する経費というのは一定の基準があつていい、そういう解釈じやない。これは明らかじやないですか。
  108. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いやこれは、私はその要する経費そのものを見るについての基準のつもりでおつたわけです。たくさんおる技術員の一人々々をつかまえて、すべて個人別に計算することは不可能であることは申すまでもないことであります。そこで大量観察として基準というものが出て来るということで、むしろ要する経費の問題であろうと思います。三分の二の方の問題は、三分の二を今度二分の一に法律はつきりかえるわけでありますから、これはもう問題外であります。
  109. 川俣清音

    川俣委員 その要する経費の二分の一以下ということになると初めて基準が出て来ると思うのです。私はそういうふうに解釈すべきじやないかと思います。二分の一以下でどこで押えるかという問題から、基準というものが出て来ると思うのです。三分の二とか三分の一とか二分の一というものは、明らかに数字上限定しておるのです。ある一定のものを義務づけた二分の一なんです。負担を負うべきものの二分の一なんです。二分の一以下とか二分の一以下とか三分の二以下とかいうことになると、すべて予算の上からどの程度の基準をもつて支払うかという問題が当然起つて来ると思うのです。三分の一というのは義務づけられておるものである。要する経費の三分の二ですよ。あなたのは内容的には二分の一だということと同じじやないですか。あなたの解釈からは二分の一も三分の二も同じ結果になるじやないですか。法律の文理解釈からいつて、二分の一も三分の一も同じ結果になるようなことか文理解釈上できますか。そんな解釈はないですよ。文理上から出て来ないじやないですか。実際上は三分の二と二分の一と同じ結果が出て来るかもしれませんが、それは文理解釈じやない。どうです。
  110. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それはもうおつしやる通りでありまして、二分の一と三分の二とははつきり違うことは、私といえどもわかつておるつもりであります。但し今私の申し上げるのは、要するに経費ということが、たとえば、出資額という言葉を使つた立法例もございますが、こういう言葉を使つておれば別でございますが、そうでなしに、要するという客観的に包括的な言葉を使つておりますから、そこで基準という話が出て来る、そういう意味で申し上げたわけであります、それの二分の一であり三分の二であるということになるわけであります。
  111. 川俣清音

    川俣委員 大蔵当局の基準ということは、他の補助職員との均衡から基準というものが出ておる。こういう御説明なんです。私は当然だと思うのです。予算を、公平に組む上からいつて、一つの基準というものかできるのは当然だと思うのですけれども、この法律からはでて来ないということを私は言つておる。大蔵省のはそうじやないのです。こういう法律かあろうとなかろうと、補助職員については一定の基準を持つておるというのです。要する経費てあろうと——要しない経費ということはないでしようけれども、経費であろうと、二分の一であろうと、三分の一であろうと、一定の基準を持つ、こういうのです。予算範囲内という標準が要するあろうとなかろうと、そういう標準を持たなければ、補助職員についてはいろいろな問題が起きて、なかなか大蔵省においてそれを配分する上に非常に苦労するわけです。なかなかそれだけの力かないというのです。こういう説明があつたのです。あなたの言われる基準と大分違うのです。大蔵省予算を分配する上に必要な考え方としての基準なんです。これは予算の分配じやないのです。法律義務を負つておるところから生れて来るものなんです。そこで、要する経費というものは、あなたの解釈大蔵省解釈が違うのです。そうあろうとなかろうと、均衡上そうせざるを得ないという苦衷を訴えられておる。それは私はわかるのですよ。そこで私は、その苦衷はよくわかるけれども法律解釈上はどうだと聞いておるのに、あろうとなかろうと同じだということはないでしよう大蔵省はあつてもなくてもそうやらざるを得ないという説明をしておられるのを聞いておられるでしよう。だけれども解釈としては違うんじやないか。私はどこまでも責めるのじやない。解釈解釈として明らかにして、やむを得なかつたことはやむを得ないとして一応認めて、今後再出発しなさいということを言つておる。強弁をするとかえつてこんがらがりますよ。
  112. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 何も強弁をするつもりはないので、むしろお教えをいただきたいつもりで申し上げておるわけであります。けれども、ただ私の申しますのは、これは予算編成技術であるとかそういうことは私としては実はうといものでありますから、ただ法律を正直に読んで、この文言の示すところを私の感じに従つて申し上げますと、この基準という言葉があるいは大蔵当局の言う基準とは違うかもしれませんが、ここに要する経費というのが、都道府県が研究員の設置について現実に支出したあるいは支出を的確に予想されている実支出というようなものをつかまえての表現でありますならば、これははつきり、だれか、神様かだれか知りませんが、計算すればわかるわけです。しかし私の言うのは、そういう形じやなくて、要するという客観的な一般的な表現をしておりますから、その要するというものについての計算上の根拠として何か共通の基準というものがなければはじけまいという、素朴な頭で申し上げておる。そこではじき出した要する経費というものが出て来て、それに二分の一とか二分の一をかけるとかいう算術の問題が出て来るというのが、私がすなおに考えての気持であます。
  113. 川俣清音

    川俣委員 実際においては、実際の支払い額が経費の、しかも人件費だけから見て、その他の経費を見ないでおつても、半分たというようなことが起つて来ているでしよう、現に。これは明らかです。それじや三分の二ということも二分の一ということも実際においては同じじやないか。法律では明らかに文理解釈は違うといつても、結果においては同じような結果になることか、文理解釈から生れて来るかというのです。あなたは今人件費の問題を言うが、これが試験研究たつたらどうします。試験に要する経費というものがあるでしよう、そうすると、かなり詳しく試験に要する経費を持つて来られて、また基準だというようなことになりますか。試験とい、ものはみんな違いますよ。総務課長は、そうではない。明らかに補助職員ということで、補助職員については各省とも均衡的な立場をとらなくちやならないと言う。その点はよくわかります。あなたの説明によると、試験研究の経費まで基準をきめてやられるというようなことの拡大解釈をして来る。これはたいへんなことになりますよ総務課長の言うことはよくわかるのです。補助職員と明らかに指定されている。あなたはそれを、尻馬に乗つて——まつたく尻馬というわけじやたいだろうけれども、それを何か擁護してやらなければならないというよう立場から弁護されるから、試験研究はどうだと言われても答弁できなくなつてしまう。あなたの解釈によると、これは試験研究まで入るのですよ。たいへんな問題が起きて来ますよ。試験研究だつて基準をきめられる——基準がきめられた試験研究なんかできるものですか。稲の試験研究、麦の試験研究、試験研究はみな違いますよ。そんなものの基準なんか出せるものでもないし、また出したところで、試験研究の障害にこそなれ、そういう拡大解釈をするとそういうところにつまずくのですよ。たから法制局が無理な擁護をするとそういう結果になるから、やはり厳格な解釈をして、その実行を行政官に示すということが必要になつて来るんじやないかということをるる述べている。もうあなたに聞いたつてこれはむだだからやめます。実際総務課長はこれだけあれしたのだからよく理解できたと思うのですが、総務課長の苦しい立場はよくわかるけれども、やはり立法権を持つ国会が立法的な処置をとりましたその真意に沿うて予算編成をしてもらいたいというところから、るる述べたのでありますから、将来予算編成の上に——予算提案権を総務課長は持つておるわけじやはいでしようけれども、その原案の原案をおつくりになるのでありましようから、十分そういうような意を体してひとつ御努力願いたいと思うということを申し上げて、私の農業改良助長法についての質問は一応終つておきたいと思います。  漁業畜産関係について質問いたしたいのでありますが、局長が見えないで衛生課長が来ている。これは説明員であるからだめです。
  114. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 担当の衛生課長です。
  115. 川俣清音

    川俣委員 説明を聞きたいときには説明を聞きます、私は政府委員の出席を求めている。政府委員が出席しなければ私は質問いたしません。
  116. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 先ほど農林省の畜産局長の出席を委員長要求いたしたのでありますが、畜産局長の行方がわからぬというようなことで、政府委員としましては国会の開会中は少くも行方は明らかにしておくということの必要かあるのではないか。これは責任政府委員ともあろう者はさようにしておかるべきでありまして、幸い平野政務次官がおられますから、どうか畜産局長にはそのことをよく御連絡願いまして、向後行方がわからぬといようなことのないようにしていただきたい。  本日はこの程度にいたしまして、次会は明二十三日午前十時より開会いたすことといたしまして、残余の保留をせられておる運輸、通産、自治、文部、厚生の質疑を行いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時十八分散会