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1954-03-19 第19回国会 衆議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十九日(金曜日)     午後二時五十九分開議  出席委員    委員長 葉梨新五郎君   理事 岡村利右衞門君 理事 川村善八郎君    理事 羽田武嗣郎君 理事 吉川 久衛君    理事 井手 以誠君 理事 杉山元治郎君       生田 宏一君    小枝 一雄君       鈴木 善幸君    田嶋 好文君       福田 赳夫君    小島 徹三君       内藤 友明君    柳原 三郎君       楯 兼次郎君    永井勝次郎君       長谷川 保君    川俣 清音君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      佐藤 一郎君         厚正政務次官  中山 マサ君         通商産業政務次         官       古池 信三君         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (大臣官房長) 山内 公猷君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君  委員外出席者         通商産業事務官         (重工業局次         長)      斎藤 正年君     ————————————— 三月十九日  委員山下春江君及び赤路友藏君辞任につき、そ  の補欠として小島徹三永井勝次郎君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会に関する件  補助金等臨時特例等に関する法律案内閣提  出第四九号)     —————————————
  2. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それではこれより会議を開きます。  補助金等臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  この際お諮りいたします。本案について農林委員会より連合審査会を開きたい旨の申出がありますが、農林委員会連合審査会を開くことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 御異議ないと認めます。よつて農林委員会連合審査会を開くことに決しました。  なお、連合審査会は来る三十二日月曜日午後一時より開会いたします。  本日は運輸省通産省関係及び文部省、厚生省関係につきまして質疑を継続いたします。質疑通告順にこれを許可いたします。楯兼次郎君。
  4. 楯兼次郎

    楯委員 運輸省関係について御質問をいたしたいと思うのであります。まず、この法案の第十九条でございますが、これを見ますると、何を削除されようとしておるのか。資料としていただきましたこの予算関係を見ますると、十九条関係はゼロになつております。どういう項目をどういうふうに変更されるのか、まず第一にお伺いしたいと思います。
  5. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 御説明申し上げます。運輸省関係を概括的に申し上げますと、運輸省関係におきましては、日本国有鉄道法関係で、いわゆる共済組合事務費について国庫負担するという規定が従来ございますが、その規定を削除いたしたい、こう思つております。これは、他の専売あるいは電電公社等におきましても国庫負担を行つておりませんので、それとのバランスからいいましても、従来から多少問題になつておりまして、この際に削りたい、こう思つております。
  6. 楯兼次郎

    楯委員 まず第一にお伺いしたいことは金額でありますが、前年度はどのくらい補助をしておつたか。この運輸省から出されました資料によりますと金額がない。二十八年度も載つておらないし、今度の改正しようとする二十九年度もゼロになつておるのです。ここがわからないからお聞きしたわけですが、金額が幾らであるかということをまず第一にお伺いしたいと思います。
  7. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これは、前年度におきましても、すでに予算計上をいたしておりません。
  8. 楯兼次郎

    楯委員 前年度においても予算計上がないということになりますと、今度あらためてこの法案が出て来て、当然補助される金額も、私の方には金が余つておるからいらない、こういうことでもらつておらなかつたのか、どういう関係でもらつておらなかつたのか、はつきりしていただきたいと思います。
  9. 山内公猷

    山内政府委員 お答えいたします。この件につきましては、国鉄当局といたしましては三千百八十五万七千円と一応計算をいたしまして予算要求をいたしたわけでありますが、ただいま大蔵省の方から御説明のありましたように、他の公社におきましては国鉄共済組合事務費に相当するものの補助をもらつておらないわけです。電電公社あるいは専売公社それぞれの会計で持つておられるわけです。その関係で、大蔵省の方で予算を落されたということになつております。
  10. 楯兼次郎

    楯委員 どうも私は法律的な関係の知識がないのかふしぎに感ずるわけでありますが、当然これだけの三千百八十万という金額鉄道の方としては必要である。しかもそれを支出するところの法律がある。それを全然支出しておらない。これは、考えようによつては、大蔵省の方が法律の違反をやつておるのではないかというふうに考えるわけですが、この点について大蔵省の見解を承りたいと思います。どういう根拠に基いてそういう措置をされたか。
  11. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ごもつともな御議論でございます。大蔵省といいますか、政府全体といたしまして、従来どうして予算計上をしておらなかつたかという問題でございます。これは、御承知のように、その根拠日本国有鉄道法の五十八条にございまして、その五十八条には「国庫は、日本国有鉄道に設けられた共済組合に対し、国家公務員共済組合法第六十九条第一項第三号に掲げる費用負担する。」こういう規定がございます。なるほど、この条文が引用いたしておりますところの国家公務員共済組合法六十九条一項三号というのはどういうのかと申しますと、「組合事務に要する費用全額、」こういうふうになつております。それにつきましては、さらに国有鉄道法の第五十七条、五十八条の前の条文で読みかえをいたしておりまして、国家公務員共済組合法国庫といつておるのは国有鉄道のことであり、各省各庁の長といつておるのは日本国有鉄道の長であるということに読みかえをいたしております。従つて、普通のいわゆる給付費負担につきましては断然国鉄公社自体負担をする、こういうことになつておりまして、ただその際の読みかえの規定の中で事務費だけを特に除いております。ところが、その事務費を除きまして、しかる後ただいま申し上げました次の五十八条で、国庫費用負担する、こういう条文になつておりますが、この引用されました元の六十九条の二項に、「前項第三号に規定する組合事務に要する費用は、毎年度予算をもつてこれを定める。」、こういうふうに書いてございます。これも議論のございますところと思いますが、一応予算でもつて定めるという規定にもなつておるから、そういう関係でもつて従来からこれを削つております。その削つております実質的な理由は、先ほども申し上げましたように、いわゆる他の二公社すなわち専売公社電電公社においても全然国庫負担を見ておりません。元来が政府機関一つである公社でございますので、いわば国家会計の延長というような観念も成り立ち得る点がございます。それで、これは立法の当初から多少問題があつたらしくて、結局アンバランスのままに、他の二公社負担をしないということで、国鉄だけがこの規定がいつの間にか入つてしまつたようでありますが、従来から、大蔵省としましては、ほかの公社国鉄別扱いにするということはバランスからいつても適当でないというような意味で、今まで申し上げたような種々の理由から、実質的にはこれは国庫負担する必要がない、こういう考えでおりました。ただ、こういう規定がございまして、その点においては多少はつきりしない点がありましたが、六十九条でやはり「予算をもつてこれを定める。」、こうございますものですから、それによつてつたわけであります。しかし、解釈上疑義を残してはいけないという建前から、今回のこの整理の際に従来の方針を明らかにした方がいいだろうというので、二十九年度予算を編成いたします際に、従来通りそれについての負担計上いたしませんと同時に、この法律におきましてこの関係規定を改めよう、こういうふうに考えたわけでございます。
  12. 楯兼次郎

    楯委員 今非常にむずかしい御回答があつたわけでありますが、そういう関連については私ども気、づかなくて今あなたの説明によつて今後研究をしなければわからないと思いますけれども、しかし、現実にこれだけの法律があつて、当然全額補助をして行かなければならないということになつておるということは事実だと思います。それから、もしあなたのような解釈で行きますならば、あえて十九条の改正を出す必要はないと思います。それを、やはり、あなたの方はそうは弁解はしておりますけれども、何とかしなければいけないというので、現実は実行をしておつて現実に合せるという詭弁的な上に立つてこの法案改正を出して来たというようにしか、私は常識から考えても考えられません。それから、専売公社あるいは電電公社国鉄と同一である、だからこちらが出しておらないから国鉄の方も出す必要がない、こういうようなことを言つておられますが、なるほどこれは常識的に考えてそうだとは思いまするけれども、全部の法律というものが同じであるならばこの論も通るわけでありますが、やはり違つた法律によつて現在まで運用されている以上、あなたの言う、一方にはむずかしい方法論を展開され、また一方においては常識的な弁解というものは私は通らないと思います。そこで、今度私は運輸省といいますか、国有鉄道といいますか、関係担当者にお伺いをいたしますが、今御説明のあつた事柄でいいのかどうか、あなたの方の解釈としてはただいまの説明で支障はないのかという点をひとつお伺いしたい。
  13. 山内公猷

    山内政府委員 ただいま大蔵省の御説明があつたわけでございますが、国鉄といたしましては一応従来そういう予算要求はしておりました。しかし、予算の審議の過程におきまして、大蔵省のただいまの御答弁にありましたように、他の公社共済組合におきましては、その事務費はそれぞれの会計負担しておるということで、何とかそれは公社で持つようにということで現在まで来たわけでございます。そうしますと、こういう法律がありますために国鉄といたしましても毎年そういう要求をしておりますので、その法律を何とかしなければならないということが常識上起るわけでございますが、それにつきましては、ただいままでそういう機会がなかつたということも言えますし、ちようどこういう機会大蔵省からそういう話がありますので、事情やむを得ないので、今回今までのそういうあれをはつきりしようということで御賛成申し上げたという経過でございます。
  14. 井手以誠

    井手委員 議事進行について。委員長も先刻の大蔵省側答弁でおそらく奇異な感を抱かれたであろうと考えております。それは、法律はつきり国庫はこれを負担すると明記しておりますものを実施しない。これは明らかに行政府責任である法律を忠実に執行するということに違反しております。もし他との均衡が必要である、均衡考えなければならないというのならば、法律改正して後やればよい。現に法律はつきり存在して忠実に執行しなければならないのに、これを実行していない。しかも、ただいま運輸省答弁を聞いておりますと、毎年要求している、それを大蔵省がかつてに実行していないというのは非常にけしからぬ話だと思う。私は、この際総務課長に言うのは少し無理のように考えますので、この機会にぜひ大蔵大臣あるいは政務次官がこの席に出席されて責任ある答弁をなされますように、委員長からとりはからいを願いたいと存じます。
  15. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 了承いたしました。とりはからうことにいたします。それまで楯君の質疑を継続願います。
  16. 楯兼次郎

    楯委員 今の井手委員の発言について私もまつたくその通りだと思います。あとでその点については各委員から追究があると思いますが、ただ本委員会が開催されます当初、いろいろこの法律案取扱いについての憲法との関係国会法との関係論議が繰返されました。私は今その問題の是非をここで繰返して申し上げようとは思いませんけれども、特に、この間本年度予算がすでに衆議院を通過して行つたあとにこの法案ということはけしからぬではないかというのが、要約する結論であつたと思います。ところが、今説明を聞いてみますと、本年度どころの騒ぎじやない。もう昨年からこれは金を出しておらない。とにかくそういう説明があつたわけでありますが、この点についてはどうしても私どもは納得することかできないと思います。しかも、この法律に基いて、運輸省の方としては当然必要である、こう言つてとにかく要求をされておる。それを、担当者の意向を無視して、当然支出すべき法律があるにもかかわらず出さない。これを引込める運輸省が非常に骨かないといえばそれまででありまするが、私どもはただいま説明を聞きまして納得が行かないと思いますので、大蔵省の方にお伺いしたいと思います。いまだにあなたはそういう取扱いか正当である、決して間違いがない、そういうふうに現在でもお考えになつておるかどうかということを、再度念を押してお伺い申し上げたいと思います。
  17. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 今楯さんのお話はまことに痛いところを言われたわけであります。もともと、先ほどちよつとお話がございましたけれども、もし従来の解釈がそんなにいいものなら、別にあらためてこういう提案をせぬでもいいじやないか、こういうお話でありまして、私ももつともだと思うのであります。従来いろいろな行きがかりがございまして、この予算は他の公社に響くという関係からして、予算の査定の際にこれを削りたい、しかし、二の際の根拠としては、ここに毎年度予算をもつて定めるということになつておるから、この予算でもつて定めないということによつて解釈しようじやないかという、私ども考えますと、多少無理だと思います。が、従来そういう解釈で来ただろうと思います。しかし、そういう無理な解釈は好まくございませんので、それで私どもとしてはこの際事態を明らかにしたい、こういう気持でこの法案を御提案申し上げたわけでございます。
  18. 楯兼次郎

    楯委員 この点についてはあとでまた論があると思いますので保留いたしますが、電電公社、それから専売公社はどういうような根拠によつて取扱いをやつておられるか、国鉄と全然違いのか、その点を簡単に御答弁を願います。
  19. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これはつまりこの関係規定がございません。それ情で、ほかの場合には読みかえ規定のときに事務費負担だけを除くという措置をとつておらないわけです。
  20. 楯兼次郎

    楯委員 それでは外航船舶についてお伺いしたいと思います。外航船舶利子補給につきましては、過日来いろいろな疑惑が投げかけられ論議が闘わされておりまして、国会の業界に対する関心が非常に深いわけでありますが、この建造利子補給金額をまず第一にお伺いしたいと思います。私どもはつきり数字は甘えておりませんが、利子補給金は本年度大体三十七億のように記憶いたしております。あなたの方の出されました資料によりますと、それには、なしになつているわけですが、この玉十七億に及ぶ金額はどういうふうに分配されるのか、まず第一にそれをお伺いしておきます。
  21. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 二十九年度外航船舶酒造に対する利子補給金三十七億は、市中銀行から海運会社に融資した分に対する補給額でございます。開発銀行に対し出しては、二十九年度は補給いたしません。開発銀行自体金利の引下げあるいは猶予措置を講ずる、こういうことになつておりまして、その方については予算計上されておりません。
  22. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、三十七億は市中銀行に対するものであつて開発銀行利子補給はするけれども、新たに、政府といいますか、あなたの方から予算としては盛らない、市中銀行の金によつて利子補給の形をとる、こういうことですか。
  23. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 そうじやありませんで、市中銀行から融資したものにつきましては大体六分見当の利子補給をする、開発銀行から融資しておりますものにつきましては、開発銀行自体金利がこの三月一日から六分五厘になる、実際船会社は今経理内容が悪うございますから、その中の三分五厘を開発銀行取立てる、あとの三分は船会社経理状況がよくなつて返済し得る時期まで待つてやろう、こういう措置をとるわけでありまして、その分については利子補給はしないのであります。
  24. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、今説明を聞きますと、結論的には利子補給をする、こういう形に私はなると思うのでありますが、どうでしようか、ただ金の出所は違うとは思いますけれども。この法案常識的に読みますと、当分適用しないということで、利子補給はやらないというふうにとれるわけです。ところが、今海運局長説明を聞きますと、開発銀行へ金の補助はやらないけれども開発銀行自体で二月一日から六分五厘の金利を三分五厘にして行く、あとの三分については開発銀行自体でまかなつて行く、こういうようにとれるわけですが、実際は利子補給とかわらない、こういうふうに解釈してよろしいかどうか。
  25. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 実際は差額の三分は取立て猶予でございまして、開発銀行経理面では未徴収利息としてずつと残つて行く、船会社経理面では未払い利息として残つて行くわけであります。
  26. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、形をかえた利子補給であつて、実体は私はかわらないと思いますが、未払いで残つて行くということは、これはどういうことになるわけですか。これは一定期間一定金額、そういうものが当然なければならぬと思うのですが、そういう取扱いについてひとつ御説明願いたい。
  27. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 開発銀行一つ金融機関でございますから、その貸している先から金利取立てられなければ、その取立て得ない分について猶予するというような、これはほかの面についても行われているのだろうと思いますが、それを同じような形でやろう、こういうわけであります。
  28. 楯兼次郎

    楯委員 ほかと同じような形においてやろうとおつしやいますが、どうも私ははつきりわからぬのですが、六分五厘の金利で当然やつて行く。そうすると、結局一定期間猶予はするけれども、六分五厘の金利をとるということですか。
  29. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 さようでございます。究極は六分五厘の金利をとる、しかし三分の金利は、その船会社がその期限が来ても払えないという場合に、これは半年ずつ延ばすなり、一年ずつ延ばすなり、これは今開発銀行の方で御研究中のようで、まだ私どもの方へ通知がありませんが、とにかく、かりに半年とすれば、半年ずつその措置を延ばして行く、こういう措置をとります。
  30. 楯兼次郎

    楯委員 これは、あなたと私とは、運輸委員会等でも、この問題について他の問題との関連でいろいろお聞きしたわけですが、この前の委員会でも申し上げましたが、やはりはつきりしない。そういう徴収の契約といいますか、方法がきまつてからやらないと、今非常に疑惑を持つておりますこの利子補給について、さらに痛くもない腹を探られる、こういうように私はなるのではないかと思うのでありますが、担当者として、そういう形が、大蔵省でやつているからはつきりわからないということでは、これは私はちよつとどうかと思うのです。実際三分の金利についての徴収方法は、あなたは御存じないのですか。そういうことがわからぬということでは、この法案を実行して行く責任者として怠慢ということになるのではないですか。
  31. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 端的に運輸省立場を申しますと、運輸省は六分五厘と三分五厘の差額の三分の利子補給ということをしてほしかつたわけです。しかし国家財政上それができない。従つて、今申し上げましたように、金利は六分五厘。しかし六分五厘をそのままとるというのでは日本海運はつぶれてしまう。従つて、その海運会社の景気の悪い間はその三分のものだけ取立て猶予してやる。しかし、これはくれてやるのでなく、海運会社が払えるようになつたらそれをとるのだ。こういう当初の私どもの希望、あるいは昨年夏の三党協定できめられまして、法律まで出しました線から、非常に後退した線におちついたわけです。しかし、国家財政上そういうところまで後退せざるを得ないということなものでございますから、やむを得ざるものとしてそこまで下つている次第でございます。そうして、こまかい点につきまして、これは私ども考え開発銀行並びに大蔵省の方と、なおいろいろの立場がございますので、折衝中でございます。
  32. 楯兼次郎

    楯委員 この問題はいろいろなリベートの問題であるとかその他の問題があるのですが、その大きな疑惑一つとして、たとえば第一次から第四次の融資額返済については、あなたは、この前も、私の方ははつきりわからない、そういうようなことをおつしやつてつたのです。当然割当をして行く実施の担当者であるあなたが、そうこまかい点は私はお聞きしたいとは思いませんけれども、大体こうなつてこういうふうになるんだ、こういうふうで回収されるのだから、これは心配はありません、安全である、これだけの答弁ができなければ私はうそだと思う。それを、今度の三分の猶予についても、どうして回収するのか私はわからないというようなことでは、私どもとしては、たといこれが正当に使われて行くものであると仮定しても、この法案について賛成をすることはできぬ。あなたじや答えられぬのですか。
  33. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほどから御答弁申し上げますように、これはあくまでも未払金利子として海運会社考えている。従いまして、海運会社経理状況がよくなりまして、一切の損失をカバーし得るというふうな場合には、その金利開発銀行に支払う、こういう建前でやつておるわけでございます。  それから、ただいまお話のありました一次から四次までの借入金がわかつてないじやないかということですが、これはあの当時資料を持つておらなかつたからお答えできなかつたのでございまして、もし御必要でしたら、ただいまお答え申し上げてもよろしゆうございます。
  34. 楯兼次郎

    楯委員 とるんだ、とるんだ、会社がもうかつたときには回収をするんだからいいんじやないか、こういうお話ですが、そういたしますと、十五年以内に一割以上も配当があつた場合に返済をして行くという、あの項が当てはまるのかどうか、それをお伺いしたい。
  35. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 それよりももつと厳格な支払い方法考える、こういうことであります。あれは資本金に対して一割の利益が出た場合に、国から受けた利子補給金を国に返すということでございますが、そんな生ぬるい方法じやなしに、もつと厳重に、一応船会社がずつとやりまして、損金がありますね。その損金をずつと埋めまして、そしてなお余力ができた場合には、猶予利子開発銀行に返すというふうなことでございまして、前の利子補給の場合よりは、海運会社としては非常に分が悪くなつた国立場から言うと非常に有利になつたこういうことが言えます。
  36. 楯兼次郎

    楯委員 海運局長は、十五年以内一割以上ということにより、非常に業者にとつては苦しくなつたということをにこにこしてお答えになりますが、一体その条件は何か、お答えにならぬじやないですか。われわれは、そうであるけれども、こうこうこういうぐあいに具体的になつているということをあなたがお答えにならなければ、ただ辛い辛いと言われても、どこが辛いのかさつぱりわからない。その全貌をひとつ明らかにしてもらいたい。
  37. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 楯さんは、海運事業というものを、私鉄やあるいは電気のように、ずつと先の採算というものがある程度確実性をもつて見通しがつくもの、こういうふうにお考えであるから、それがいつ返るということを言われるか、海運というものは先の見通しが立たない、それかいつ返るというようなことはここで具体的に申し上げることはできないわけでありまして、抽象的に申しますと、先ほどつたように、船会社損金をカバーして余裕が出た場合に、これは必ず猶予された利子を優先的に返す、こういう原則です。そういう場合に個々の会社が当てはまつた場合に、開発銀行金利取立てというものについて、これは事例がありますが、非常に厳格なのであります。取立てを見のがされるということは絶対にありません。現在においては、市中銀行金利開発銀行金利が競合する場合は、むしろ開発銀行の方がきついことになるのであります。船会社は従来のなじみがありますから、待つてくださいといつて開発銀行に先に払つておる。従つて開発銀行については滞りというものはない。つまり猶予利子について、開発銀行は厳重にお取立てになるだろうと私ども考えております。むしろ厳重過ぎることになるのじやないかといふことを私ども心配をしておるわけであります。
  38. 楯兼次郎

    楯委員 私はしろうとでありますが、厳重に取立てるということは了解しましよう。しかし、それにはしろうとのわかるような根拠がなければいけないと思います。たとえば、ここに契約をしてこういうふうになるのだ、あるいは一定のもうけがある、もうけがあるといつても、いつまで行つてももうからない場合はどうするのか、何らかのそごに条件がなければいけないと思います。それが私たちにはわからない。私はしろうとでありますから、あなたはわかるのだと言われても、何らか条件なり契約なりかなければ、その三分の金利というものの取扱いが実際の面に移されて行かないのじやないか。それさえはつきりおつしやつていただきますれば、いつでも同感いたします。あなたは抽象的にそういうことを言つておられるだけであつて、具体的な説明がないから、いつまでたつても私らは納得が行かない。具体的にわれわれの安心のできる御回答を願いたい。
  39. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 どうも同じことを繰返すことになりますが、やはり海運の事業がよくなりまして、船会社がほかの損金をカバーして余裕が出たとき、そのときに猶予された利子をお払いする。これ以外に申し上げる何はないのでありまして、それではいつよくなるのかということは、これは世界の荷動きと船腹の関係でございまして、日本、存、われわれの頭だけでは判断できないのであります。これが非常に皆様方から御了解していただくことか困難な点かと存じます。
  40. 楯兼次郎

    楯委員 私はそういうことを聞いておるのじやない。一体お前はいつ景気がよくなるのだといつても、これは無理だと思うのであります。当然この契約をする場合には、開発銀行と業者と何らかの協定なり、あるいはこれに対して政府が認可をするというか、承認するとかいう何らかの具体的なとりかわしというものがなければならぬと思います。それか明示されない。たとえは今あなたのおつしやつたことがこの当事者の契約文の中にうたわれておるというようなことならば、私どもは了解いたします。こうこうこういうふうに文書によつて書かれるのだ。それならなるほどと思うか、あなたかそうおつしやるだけで、具体的に事実というものをお示しにならぬから私どもは了解できない。具体的な事実をあなたはわかり過ぎておるはずだ。
  41. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 今申し上げましたそういう点は、なおいろいろ研究する点がございますので、大蔵省開発銀行との間、私ども大蔵省との間で打合せをしておりまして、まだそういうような、今申し上げたような契約については結んでないわけでありますが、そういう方法で今その点を固めて、それからさかのぼつて結ぶわけであります。
  42. 楯兼次郎

    楯委員 初めからこの法律に基いて実施されて行く場合には、こういう点を勘案して関係者が集まつてそういう規定なり契約をやつて行く。その方から先に言われますれば、長い間こんな質問はしない。それは大体いつごろでき上りますか。  〔委員長退席、川村委員長代理着席〕
  43. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 そう長い時間を要しないと思います。少くとも今月中にははつきりすると思います。
  44. 楯兼次郎

    楯委員 それでは次にお伺いいたします。この二十一条を出して来たという根拠でありますが、当初から今あなたがおつしやつたような方式によつて利子補給をやつて行かれようとされたのか、あるいは、今日国会において、造船疑獄をめぐつて非常に内外の疑惑が高まつて来たから、こういうふうに変更をされたのか、この点についてお伺いしたい。
  45. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 二十一条に規定してありますように、開発銀行に対する利子補給規定を当分適用しないという条文は、疑獄事件が起つたから出したのではありませんので、二十八年度予算が決定されます場合に、ただいま私が申し上げましたような措置を開銀についてはとろう、従つて利子補給はしない。それで、この外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法におきましては、これは利子補給をしなければならないという規定ではございまんで、利子補給をすることができるしいう規定であります。従いまして、何もそういう規定があつて利子補給片しないでもいいわけです。別に法律違反するというわけではないのです。しかし、実際上利子補給をしないのにそういう条文が生きておつたのでは目ざわりだということで、これは一応適用を停止した、こういう趣旨でございます。この点につきましては大蔵省からあるいはもつと間違いのない御説明を願つた方がいいかと思います。
  46. 井手以誠

    井手委員 ただいまの楯委員に対する改正の方針についての御答弁は、これはむしろ政務次官からお答えなつた方がいいのではないかと思います。なるほどいろいろりくつはつくしようけれども、朝令暮改式ない言い方については、政策に関しますので、政務次官の方からお答え願いたい。あとで私もお尋ねいたします。  そこで、大蔵省の方から政務次官もお見えになつたようでありますので、この機会にお尋ねをいたしたいと思います。お忙しい中をお呼びいたしまして恐縮に存じます。  かねてこの委員会で憲法違反、法律違反の問題がいろいろ論議されております。その論議されておる中で審議を進めておりますが、たまたま隣の楯委員から国有鉄道法の一部改正ををめぐりまして指摘をされました事柄でございますが、総務課長答弁によりますると、国有鉄道法によりまして国庫共済組合事務に要する費用金額負担するということを、はつきり法律は明記いたしておるのであります。これをほかの公社関係との均衡があるのでやめたいという御説明ではございましたが、この御説明の中に、現に負担しなければならない現行法のもとにあつて、二十七年も二十八年も、運輸省から相当額の要求が出ておるにかかわらず、全然負担してないということがたまたま判明いたしたのであります。もちろん法律改正ということは、これはあり得ることでありまして、均衡負担することが思わしくないということで法律改正ないしは停止されることは、われわれは何とも思いません。しかし法律は忠実に執行されなければならない。これに、憲法にはつきり書いてありまするように、そういう義務を持つておる行政府が、要求があつたにもかかわらずこれを停止しておる、そうして負担していないということは、明らかに私は法律違反であると考えるのであります。この点について、総務課長から一応の答弁は聞きましたけれども、こういう壮大な法律を何とも思うないような、はつきりと負担するという義務かあるにかかわらず負担していない政治的責任については、どうしても大臣あるいは政務次官責任ある御答弁を聞くなくては私どもは了承できませんので、お呼びを申し上げた次第であります。こういう負担の義務があるにかかわらず、また運輸省からもそういう要求があつたにもかかわらず、なぜ負担なさらなかつたか、その事情を詳しくこの際お聞きいたしたいのであります。
  47. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。国有鉄道法の五十八条にありまするただいま御指摘になりました費用負担のこの条項につきまして、当然国が負担する義務があるにかかわらず、実際上二十七年度も二十八年度計上しなかつたのには非常な手落ちがありはしないかという御質問であります。この条文は、国家公務員の共済組合法の第六十九条第一項第三号に、なるほど今御指摘の法律でさしておるところの条項があります。ところが、この条項におきましては、その次にいわゆる六十九条第二項がありまして、「前項第三号に規定する組合事務に要する費用は、毎年度予算をもつてこれを定める。」、こういう規定かありますが、従来の解釈といたし出しては、すなわち予算でこの費用金額を定めるのだ、こういう建前になつておるのを奇貨としてと言うと、はなはだ言葉は行き過ぎかと思いますが、実際の取扱いといたしましては、専売公社その他の共済組合との関係から、どうも国鉄についてのみこの法律の条項があつて、そうしてこれを国家負担するということは、権衡を失しはしないかという予算的の権衡論から、この第二項をいろいろ考えた結果、予算で定めるということになつているのだから、予算でそれが例になるということは、言いかえれば国で負担してやるべきその金融か例にないのだ、だから実際土予算に乗せなくてもいいじやないかというような解釈でやつて来ておるようであります。しかし、それがはたして妥当な解釈であるか、どうかにつきましては、私今なるほど御指摘を受けまして研究してみても、また考えてみましても、少しどうかと思う点がないではないと思います。明瞭に基本の国有鉄道法において「負担する」とありながら、その負担金額が、たとえば費用全額負担であるけれども、その費用のうち特定の費用については、これは国の負担すべき事務費ではないのだというような解釈から、ある部分がはずれるということがあり得るのは、これは普通考え得ることだと思いますが、ここで従来とつた解釈のごとく、前項で規定するその費用予算で定めるとあつたから、予算が例になつておれば、それでやはり負担するという本来の条文の精神を生かしているのだというふうな考え方はどうも少し無理がありはせぬかということは、私も同感いたします。そこで、今回のこの法律改正といたしましては、他の公社との権衡もあつて、今後もひとつ従来通り国庫負担をなくして行きたい、こういう趣旨があるものですから、実際は適用しなかつた条文ともいえますし、あるいは適用しておつたのだが、そういう無理な解釈でゼロにしたとも言えますが、そういうあいまいな状態に置くことかよろしくないという考えから、この法条の廃止をお願いしておる次第であります。
  48. 楯兼次郎

    楯委員 この問題について私からも一言お聞きしたいのであります。なるほど公社とのバランスをとる意味において云々という一つ理由がございます。しかし、全部が全部公社がすべて統一をされて運営されているとは思つておりません。ほかにも異なる場合があると思います。特に先はど大蔵省の方の御回答を得まして不可解に感じましたのは、本年度からそういう取扱いをするということならば、これはこの委員会ができました当初、憲法だとか国会法関係でいろいろ疑義がございましたが、それは一歩譲るといたしましても、一応納得が行くわけです。ところがすでに前年度も適用しておらない。しかも実際必要に基いて予算というものを運輸省要求しておるわけです。いわゆる取扱者が必要を感じて三千百八十五万円だけというので要求しておるわけです。それをあなたの方でこれを削つてしまつたという点に私は疑義がある。これは本年度じやない、二十八年度においてもすでにそういうやり方をやつている。(井手委員「違反だよ」と呼ぶ)これは井手委員ではありませんか、私はこれは明らかに違反だと思う。この点について次官の御回答を願います。
  49. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 重ねてお答え申し上げますが、私といたしましては、この法条の取扱いについて、必ずしも理想的に行つてつたとか非常によく行つてつたとは考えませんが、しかしながら、従来の政府の二十七年度、八年度予算において、この法条を解釈しておつた。その解釈にも全部排斥すべき点ばかりでもないのじやないかというふうに考えます。言いかえれば、一万で負担するという国有鉄道法条文がなるほどありますが、他の共済組合法の当該六十九条におきまして、第二項で、その前項の国の負担すべき費用というものは予算で定める。こうあるのでありますから、だからその予算がかりに各目的に一円なら一円と上つてつても、それはこれでいいということになる。それがゼロになつておるということに解釈すれば、ゼロということになることもあります。しかしこれは苦しいけれどもそれで認めてやつてもしかたがないのじやないかというふうにも思えるのでございます。
  50. 井手以誠

    井手委員 政務次官の御答弁は、当初非常に良心的であると思つて傾聴しておつたのでありますが、今ごろになつてやや違つてつた予算で定めていないからというようなことですが、はつきりと、国庫は第三号に掲げる費用負担すると書いてある。それか大前提である。もつと前提になるものは、法律を忠実に執行することが憲法に書いてある。負担するというものを、ほかとの均衡とかなんとかおつしやつても、それはこの機会にはりくつになりません。不均衡の点もありましようけれども法律で定めたように忠実に執行することが当局の務めであつて、今ごろになつて均衡はどうのなんといつて答弁になりません。さらに、予算でもつてこれを定めるというのは、全額といつてもわからないからその内訳を書いたわけであります。これを予算をもつて云々で、前項の本条の費用負担するというものを排除するものではないのであります。やはり何といつて根本は国庫がこれを負担するということが基本でなければならぬ。全額といつてはぼうつとしてわからないから、これは予算をもつて定めるというふうになつておるのであります。負担することが基本でございます。いろいろと私は申し上げません。法律従つて予算を補正し、二十八年度国庫負担される意思があるかどうかをお尋ねいたします。
  51. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 仰せになります意味は十分わかるのでありますが、二十八年度の問題についてどうするかという御質問に対しましては、十分研究にいたしますが、この際予算を補正するとかいう問題も伴わざるを得なくなりますし、十分まず研究を遂げた上でないとお答え申し上げかねる次第でございます。
  52. 井手以誠

    井手委員 よく世間では過ちを改めるに何とかと言いわれておりますが、何もそう遠慮なさることはいらないのであります。とにかく政府はお示しになつたこの法律を忠実に執行なさることだけでございます。第五十八条の国庫はこれを負担するというのをひとつ執行してもらいたい。これを私はあくまで要求いたします。そうでなくては、現在の法律を執行することなくして、私ども改正の審議ということには立ち入れない。現在法律を執行していない、法律違反を行つておるものに対して、これを改正しようなどということは、これは前提か違うのであります。もしあなたかお答えできないならば、はなはだお気の毒でございますけれども、大臣と御交代なさつてお答え願いたいと思います。
  53. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答えを申し上げます。私か先ほどからお答え申し上げている点は、先ほど佐藤政府委員も答えたそうでありますが、その解釈も全然成り立たない余地もあるまい、こういうふうな趣旨で申し上げておるのでありまして、しかし私の個人的見解を聞かれるならばあまり穏当ではあるまい、また佐藤政府委員もおそらく申し上げておると思いますが、こうした法条がありながら、他との権衡とか予算上の措置から実除上負担しておらなかつたことはよろしくないから、それをはつきりと法律の上でそうした条文を廃止にして行きたい、こういうことで改正をお願いしておる、こういうわけであります。
  54. 井手以誠

    井手委員 事は共済組合事務に関する費用の問題でございまして、金額そのものは大したことではございません。あるいは場合によつては載せぬでもいいくらいに私は考えております。弁解上はそういう場合もあり得ると思う。しかし底に流れる考え方というものは、唯一の立法機関である国会を無視した、軽視した考えが流れておる。これは私は無視できない。軽視できないと思う。これは看過できません。この特例の法律を出された趣旨と同一であります。私は出された以上慎重にこれを審議して行きたいとは考えておりますが、現に法律違反をされているものについて、それを知りつつこれ以上審議を進めるわけには参りません。今次官は違反でないとも一部は言えるという非常に苦しい御答弁、御心中は察しますけれども、しかしいやしくも国の法律解釈するのにあいまいであつてはならないのであります。国家がこれを負担すると明記されたものをあいまいに解釈するわけには参りません。もしこれをいいかげんにするならば、法律はいらないのも同然であります。私は、大蔵省はこの際補正予算は組まない、共済組合に対して国家がこれを負担しないのか、するかしないか明確な態度をもつて答弁願いたい。もしなんならば大臣と御協議を願つて答弁を願いたいと思う。このままでは審議は進められません。  委員長もお聞き及びでしようけれども、重大な問題だと思う。政府は確固たる信念をもつて、いずれにするか、法律を侵してまでこの通りつて行かれようとするのか、あるいは過ちを改めて補正予算を組もうとするのか、態度をきめてこの委員会に臨まれるようにとりはからいを願いたいと思います。
  55. 川村善八郎

    ○川村委員長代理 了承いたしました。
  56. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 第一段のお話の二十八年度措置について何らか考えるかどうか確答をしろいう御発言でございますが、この点については今ただちにお答え申し上げかねますから、しばらく御猶予を願いまして、よく研究いたしましてあらためて御答弁申し上げます。  次に、もう一点申し上げたいと存しますのは、はなはだお言葉に対して恐縮には存じますが、なるほどかりに今この法律に対して違反の疑いがあるとして仮定して、これを是正するという努力は非常に大事なことだと思いますが、しかし今ここでお願いをしております点は、二十九年度以降にわたつてなおその過ちを犯さないようにして行こう、こういう趣旨がはつきり出ておるのでございますから、まことに恐縮でございますが、ぜひひとつこの改正を、いい悪いということについての御議論は別途の問題とお考え願えぬか、かように思うのであります。二十八年度までの過去の問題については、また適切なる御批判なりおしかりを受けることはやむを得ませんし、それに対していかに善処するかは研究いたしますが、ぜひその点はお願い申し上げたいと思います。
  57. 井手以誠

    井手委員 政務次官の御答弁の後段のことについては、せつかくのお話でございますのでやや了承いたします。しかし、すでに委員の方もほとんど退席されております。時刻も遅いので、本日はこのくらいで審議を切り上げていただきたいということを要望いたします。
  58. 川村善八郎

    ○川村委員長代理 ちよつと速記をとめて。   〔速記中止〕   〔川村委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 速記を始めてください。小島徹三君。
  60. 小島徹三

    小島委員 私は大蔵省の方にお聞きしたいのですが、この予算の元の原案においては、社会保障関係の経費は非常に削られていたと思う。金額が少いということだけなら私たちも納得いたしますけれども、その補助金まで削つたということは、一体どういう気持で削つたのか。ただ金がなくて削つたのか、それともこういうものには補助すべきではないという建前で削つたのか、そういう根本的なお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  61. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 お答え申し上げます。  実は当初にこの委員会でも申し上げたのですが、今回、二十九年度予算を編成いたします際に、補助金の整理という一つの方針を立てたわけでございます。そのときの方針の立て方といたしましては、地方公共団体に対する補助と、それから民間もしくは個人に対する補助と二つに大わけいたしまして、地方公共団体に対する補助につきましては、そのうちで、たとえば職員の給与であるとか、経営的な運営の事務費、維持費というようなものは、大体身分そのものがすでに地方の吏員でございますから、御承知のように中央地方の財政調整で今回交付税その他各般の措置を講じております。それで、地方制度調査会の答申等の意見も参酌いたしまして、一般的な財源として地方に交付してしかるべきものと思われるものは、これはまわしてもよいじやないか。そういうものとはどういうものかと言いますと、今申し上げた職員の給与であるとか、普通の経営的な運営の費用でありますが、こういうものはさしつかえあるまい。事業要求そのものには私の方では手をつけませんでしたが、そういうような経費は極力地方まわしにいたしたわけであります。従いまして、この関係法律で三十三億ばかり整理してございますが、そのうちの約十億が府県関係のものであります。いわゆる厚生省関係のものはその十億に入ります。保健所だけは修正によつて復活いたしましたが、精神衛生であるとか、性病予防であるとか、みな一連のものでございますが、こらのものはそういう負担率、補助率を引下げて、減額になりましたものと同額を地方財政計画に織り込んだわけであります。そういう地方の一般財源として織り込むことは、いわゆるひもつきの傾向か薄れるから、それだけふえるのだという御議論は確かに承つたのでありますが、ただいま申し上げたように、大きなラインとして、また中央地方の調整ということも考える必要があるというような大きな方針から、このたびの方法をとりました。それから、民間に対する補助につきましては、これは個別的にも審査をいたしました。いわゆる一兆予算でできるだけ緊縮をいたすということで、ほかの補助金その他のバランスというものも考えて、その事柄に応じてできるだけ削るという結論が出ました。そうしてここに御提案申し上げた次第でございます。
  62. 小島徹三

    小島委員 そうしますと、まことに皮肉な質問をして恐縮でございますけれども、正式に予算案が議会に提出されるまでに、相当程度社会保障費関係というものは原案から見ると復活しておると思うのでございますが、その復活の理由は、単に運動あるいは輿論によつて修正したのか、それとも、大蔵省としては、当然確保しなければならぬという、社会保障の根本理念というものを納得して了解した上で復活したのか、その点をお聞きしてみたい。
  63. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これは、大蔵省といたしまして、一兆円予算を組むに際しましていろいろ苦心をいたしました。それで、事柄によつては必要ではあるけれども、この際がまんしていただきたいということで、社会保障関係でも事実削つてもらつたものもございます。もちろん、私どもの態度といたしましては、いわゆる運動したものが勝つというようなことでは、予算編成の責任は当然背負えませんし、不公平になりますから、できるだけバランスをとりたい、こういう気持で一貫して参つたつもりであります。ところが、御承知のように、私どもが当初につくりましたのは事務局案でありまして、その後いわゆる党の御意見等いろいろな関係で最後に閣議できまりましたものが、今回御提案申し上げたようなものになつたわけであります。
  64. 小島徹三

    小島委員 私はそのお答えについてこれ以上追究する意思はございません。ただお願いしておきたいことは、社会保障の費用というものは、大体国家責任として、義務として出すべき金であつて、金持が貧乏人に恵んでやるという気持で出すべきものではないと思いますから、財政の苦しいことはよくわかつておりますので、私も大いにいろいろな点で復活してもらいたいというものもございますけれども、しいて復活要求をいたすものではございませんが、常に予算編成にあたつてはその点を十分知つておいてもらいたい。とにかくほかは多少倹約しても、社会保障関係は優先的に国家の義務として出して行くというような考えのもとに予算の編成をしていただきたい。これだけ質問をして私の質問を終ります。
  65. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 川俣清音君。
  66. 川俣清音

    ○川俣委員 私この際大蔵当局にお伺いしておきたいのでありますが、今の小島委員答弁に対して、民間の補助金等に対しても削減をしたということでありますが、一つ見落しておられる点があるのではないかと思うのです。大蔵政務次官もおられるからお尋ねしますが、米価の中で消費米価を決定する要素として、ちようど補助に当るような形式において東京穀物検定協会に対して約一億ほどの補助を出している形になつております。しかも検定員が五百三十名、それが二十九年度は二十八年度よりもさらにふえる予定だそうです。これに要する費用先ほど申したように約一億です。しかも日通がトン当り四十円、それから卸売業者は六十三円義務的に負担する。義務的に負担すると同時に、これまたコストの中に見て政府支出をいたしておる。日通の経費として当然支払うべき経費四十円と見て、その四十円が検定協会の補助になつております。これは今までの補助の性質から言えば同じような性質のものであります。しかも人員は、米の検査員は今度の行政整理によつて整理されようとしておる一方、この検定員が年々ふえて行くというような傾向、それに対して年々米価の値上りに応じてこれらの補助金がふえて行く傾向を持つておる。これはあなた方の今までの説明ちよつと違うのではないでしようか。この点大蔵政務次官はどういうふうに考えておられますか。あなたは米価審議会の委員だから、たいてい御承知だと思いますが、この際明らかにしていただきたい。
  67. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 米の検定関係補助金該当のものを出しているではないか、それか年々ふえて行くじやないかという御質問のようでございます。私案は米価委員をやつておりましたが、それほど詳しいことは存じませんでした。なるほどそういうものはあつたような記憶かあります。その分についてなぜ補助金整理の対象にしなかつたかということは、おそらく、大蔵事務当局の考えておりますところは、現在米麦に対する統制を引続いてやつて行かなければならぬというこの食糧事情、こういう状況にかんがみまして、この点についてはやむを得ずしばらく大目に見ておこうということになつたんだろうと考える次第でございます。
  68. 川俣清音

    ○川俣委員 大蔵次官、それは説明になりません。同じ米の生産に対して、検査の事務費も人件費も相当削減しようとしておられる。また一般の補助金も相当削減しようという意図をもつて今度予算を組んでおられる。ところが、一方において、何ら法的根拠がないのに一億も出しておる。消費者が法律に基いて当然負担しなければならぬものなら別です。法律上何らの根拠もないものに対して無条件で補助的支出をされ、これに対しては何らの削減も加えない。国会の議決した法律に基いた義務にすらそれを削減しようとするときに、法律根拠のないものから先に手をつけるというならわかりますが、法的根拠の何もないものに補助金を出さなければならぬという理由がどこにあるか。一体国の支出を法律に基かないで支出することが可能なのかどうか。おそらく法律根拠を持たないで補助金類似のものを出すことはできないはずだと私は思います。これは、今までの説明によると、大きな見落しになるのではないかと思いますが、いかがでしようか。
  69. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ちよつと私その検定の関係補助の内訳並びに今二十九年度予算でどうなつておりますか、資料を持つておりませんのですぐお答えいたしかねますが、もし何でしたら、ひとつ農林省の関係者を呼んでいただいて御質問願いたいと思います。
  70. 川俣清音

    ○川俣委員 農林省を呼んで質問しても意味をなさない。大蔵省はどういうふうにお考えになるかという点なんです。これは、先ほど申し上げた通り、日通に対してトン当り四十円、卸売業者に対して同じく六十三円の補助を与えている。補助といいますか、日通と食糧庁の間の契約に基いて、それだけ多く経費として見てある、こういうことで支出しておる。しかし経費といいましても純然たる経費でない。行先は検定協会の補助になつている経費なんです。ですから、これは、消費者のために必要な経費でありますならば、消費者が負担するということも必要でありましよう。これは厳密な意味におけるコストというからには、消費者が当然利益をこうむるための経費でなければならない。消費者が特別利益を受けるものでもないし、生産者である農民も特別利益を受けるものでもない。ただ検定協会という補助機関をつくつてそれに検定員を置いてある。これは去年の十一月現在で五百三十人おります。現在五百四十何人かにふえつつあるそうです。十数人ふえておる。十数人というと約二分です。おかしいじやないですか。一方行政整理をしなければならないというときに、一方ふえている。これは米価の値上りだけふえて行くのだそうです。米の取扱い数量がふえたからというならわかるが、米価が上つてつたら経費が多くなつて来る、これはどうしても納得が行かないのです。あなたはそういうことを納得して承認を与えておられるかどうか。大分食管特別会計の中に織り込まれている。農林省関係の場合においてあらためてこれは明らかにしますけれども、あなた方は一生懸命補助を削る削ると言いながら、一方ふえているじやないかということです。
  71. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 食糧庁予算は非常に厖大なものでございまして、なかなかその執行についてもむずかしい問題があると思いますが、ただいまのお話を承りますと、形式上は普通の経費として支出されておるようであります。従つて形式上の問題としてはあるいは問題がないのではないかと思いますが、はたしてそれが予算の執行上経費の性質から見まして適当であるかどうか、これは農林省からも一ぺん事情た伺いまして、よく調べて善処したいと思います。
  72. 川俣清音

    ○川俣委員 食管会計の中では取扱い業者に対する経費になつておるのです。しかしその行先は補助という形で松定協会に出ておる。これは明らかです。しかも金額も明らかです。一方あなた方は、行政費の節約だとか補助の節約だとかいつて、かなり小さいところまで克明に拾つて、最も弱いところの面を責め立てておりながら、日通の問題とかこういう大きい問題になぜ手を触れないのか。大きいところに触れてその上に小さい問題に触れるなら別として、総額一億に上る大きな額について触れないで、わずかな問題に対して大削減を加えている。趣旨が一貫しないじやないかという点です。
  73. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 御質問の具体的内容をはつきり承知いたしかねますので、十分研究の上でお答えすることにいたしたいと思います。
  74. 川俣清音

    ○川俣委員 私はこれと類似したような問題がまだあると思う。たとえば、今通産委員会で問題になつておるようでけれども、石油開発のために一億三千万円考慮されておる。これは新鉱開発のために一面必要な経費とも考えられます。あながち不当だとも思いません。しかしながら、帝石は日本の採油業の約八割七、八分を占めておる。しかも国の投資が、昔五億円の時代は三億三千万円ですか、約四割以上持つてつた。倍額増資になりまして比率は少くなりましたけれども、今でも一億三千万円の株を持つておるわけです。こういう補助金のあり方について私は検討されなければならぬはずだと思うのです。むしろ、帝石など国策会社として国が認めるということになりますと、株で持つ、国の責任で出資をするという形の方が妥当ではないか、補助金で行くべきものでないのじやないかという検討が行われたかどうかという点なんです。どうも大蔵省は小さいところばかりをほじくつておりますけれども、こういう大きい点について検討を加えられないで、小さな問題だけを持つて来て、法律をあえて改正してまで行おうという決意であるならば、こういう点について、法律はやはり必要ではありますが、こういう根本問題には触れないで、さまつな問題を論じさせようとするところに、この法案の提出の無理があるのではないかと私は指摘したいのですが、議論は別にいたしまして、帝石あたりに対する補助金のあり方について検討されたかどうか。これは出資で行くべきものかどうか。これは愛知君がまだ大蔵次官当時にたしか検討されたはずだと思うのです。出資で行くべきじやないかという考えを持つておられたはずだと私は思うが、検討されたかどうか、大蔵省にお伺いしたい。
  75. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 石油関係補助金につきましては、毎年度予算編成のときに通産省の要望も強うございますし、われわれとしましても十分にその都度検討をいたしておるつもりでございます。今回は、いわゆる経済力増強の見地に沿いまして、通産省側の御要求にもできるだけ沿い得るようにという気持でもつてやりました。帝石に出す出さぬというような具体的問題につきましても、たとえば、かつて帝石が補助から落したというような例も多分御存じだと思いますが、そういうような状況で、関心は常に持つて、できるだけ検討いたしております。これは、石油の採掘とか、試掘ということは、やはり何といつても、一つの国策の目標でございますので、そういう観点から入れておるわけであります。
  76. 川俣清音

    ○川俣委員 燃料国策という建前をとりまして何らかの施策を講じなければならぬという点については、私は異議言つているのではない。補助金でやるべきか、あるいは融資でやるべきか、あるいは政府が株を持つという形における融資の方が適当かということを検討せられたかどうか。補助金の問題ですよ。補助金ということが適当か、融資ということが適当かということを検討されたかどうか大蔵大臣はどうでしよう、あまり検討されていないようじやないですか。こういう大きな問題を検討しないで、ただ補助金をどれだけ削るという、その考え方を私は是正したいと思つて聞いているのですよ。
  77. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 出資の問題につきましては帝石は昔は国策会社であつたわけでありますが、そういう昔の国策会社にまた復帰することが適当かどうかということについて、そういう見地からまた疑問を持つております。ただいまのところは、実はそういうような投資の形でもつて国家がさらにその中に参与して行くという方針を、いわば根本方針として現在とつておりませんのですからして、この際特に具体的に帝石について出資すべきかどうかという点について、今回は特別の検討をしておらないですが、帝石のあり方あるいはそれに対する補助、いずれにしても国か国庫からそういう民間会社に出すということについては、できるだけ遺漏のないように検討はいたしております。
  78. 川俣清音

    ○川俣委員 どうも私の質問を十分把握できないようです。実際一億三千万のうちのおそらく九割以上は帝石へ流れて行くものです。これだけ流れて行く。それが悪いとは思いません。しかしそういう補助金のあり方がいいのか、あるいは投資の形の方がよろしいのか、補助金の整理について当然考慮されなければならなかつたであろう。補助金の問題が起つていなければ別である。在来の方針を踏襲して行くのだ、その上において五億が必要か、一億が必要かという検討はなされたと思いますけれども、そういう補助金のあり方について、全体的に補助金の問題を今あなたたちが整理されようとするならば、当然これらの問題も検討されなければならぬはずだ。こういう総合的に検討された結果、この法案を提出に至つたのであるとは私には思われない。ただ目先にちらつくものだけを持つて来て、今の日通の問題を取り上げ、帝石の問題を取上げておる。もう少し真剣に補助金の問題については全体的に検討されて、しかる上にこういう法案を提出されなければならぬという理由が生れて来なければならぬ。どうも大きい額の方は軽卒じやないか。これは一億三千万円くらいで済むでしようけれども、多いときには十億とか十五億というようなものが通産省から出ているはずだ。そういう莫大な補助金というものについては、根本についての検討がないのです。ただ予算上一億三千万円がいいのか五億がいいか、三億がいいか、そういう検討はされたようだけれども一体投資で行くのがほんとうにいいのか、あるいは補助金で行くのがいいのか。なかなか補助金でやつて行くのか。帝石の幹部、重役の中に株の操作をやつておる人があるのではいか。非常に株の浮動する人が重役の中におるではないか。帝石というような資源を開発する会社が、株の操作をやるような人を重役にしておることが大体間違いですよ。株の操作で利益を上げて行こうという会社補助金はやれないはずだ。こういう点も検討しければいかぬ。検討が足りないのじやないかということです。将来検討されるならされるで、その点を明らかにしてもらいたい。
  79. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 具体的な答弁が不十分で申訳ないのですが、これはいわば予算の編成全体の問題になるの下すが、もちろん、個々の経費につきましては、できるだけ検討をいたしておるつもりでございます。そしてまた原則といたしましては、大蔵省としては、各省の御要求があり益して、その御要求の線に沿つてその是否を検討するという建前になつておるわけであります。帝石の、ただいまお話なつたような形における問題の取上げ方については、これは今、私寡聞ですが、まだそういう要求には接しておりませんが、しかし、現在の大きな方針としまして、当分補助金によつてつて行く。それから別に財政投資によつて石油等について将来考えれば考えるという問題は残つておると思いますが、具体的に帝石の問題について、増資なら増資、政府の持株をさらにふやして行くという方針をとるかどうかということについては、いわば現在問題として全然取上げておりませんものですから、その点に関する限りは検討したということは申し上げかねるかと思います。詳しいことは通産省の方がおいででございますから、そちらの方からお聞き願いたいと思います。
  80. 川俣清音

    ○川俣委員 私は通産省から聞きたいと思うのじやないのですよ。大蔵省がこの法案を出された根拠について、まだ検討が足りなかつたのじやないか、こういうことなんです。一々その帝石へ出したことがいいとか悪いとか、今一億三千万円が多過ぎたとか、あるいは足りなかつたとか、そういう点を問題にしようというのじやない。またこれは別な機会があろうと思いますけれども、そういうことじやない。たとえば、農林予算について言うと、補助金は減つたけれども融資の方で見てやろう、融資の方で見るからこの補助金は切ろうじやないかというあなた方は相談をかけられておるでしよう。それと同じような申込みがもしもなかつたら、補助金は切るけれども、融資の方で見てやろうということが当然あなた方の協議に上つているはずなんです。だから、帝石もまたそういう協議に上つてしかるべきはずなんだ。五億と出て来たから一億三千万円に削つた、これでは十分じやないと思うのです。これは去年まではそれでいいでしよう。あえて昨年ようやくできた法律改正してまで削減をしようとあなた方の態度がきまつたからには——法律があるなら別です。ないところにおいてもやるからには、同様な考え方をお持ちにならないはずだと思う。この点どうです、政務次官。まだたくさんあるのですがみんな出してもいいのですよ。
  81. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。実は、私自身といたしましては、途中から政務次官を拝命いたしましたので、自分が直接にその仕事をやつておりませんから、はつきりお答えができにくくて困つておるのですが、おそらく大蔵当局、すなわち主計局当局としては、通産省から補助金の要求があつた場合に、お説のごとく、これを出資してやる方がいいか、あるいは他の融資による方法がいいかという問題については十分研究しておると思います。そういう想像をいたしますのは、私の過去の経験からいたしまして、そういう点については十分研究をいたしておるのであります。ただ、今回の帝石の問題については——帝石と申しますよりは、石油試掘費の補助の問題につきましては、一体これを政府の資本だけでやつて行けるかどうかということを考えますと、試掘のためには非常にたくさんの経費がいる。そうしてその試掘によつてだんだん石油が出て来るならいいのですが、日本の地下資源の状況から参りますと、なかなかそうは参りません。従つて、将来たまたまうまいぐあいに出てくれた生産物に対して、どんどんかけて行けるという状態のものでありますれば、これはやはり資本参加でやつてつてもやれぬこともないと思うのであります。しかしながら、日本の石油地下資源の状況その他から考えて、これはやはり補助金で政府がめんどうを見て、そうして会社として、将来生産物に対してコストとしてかけて行くことをしなくともいいというような状態までしてやらなければ資源開発ができない、おそらくこういう見地からやつたものだろうと私は想像するわけであります。実は私直接その仕事に参加いたしておりませんので、はなはだ恐縮でありますが、さようにお答え申し上げておきます。なお、今度の補助金の整理に際しまして全般的に十二分に研究を尽したかとおつしやられますと、これは事務当局として、あるいは大蔵当局として十全の、できる限りの努力をしたものと私は信じております。しかしながら、何しろ数の多いことであり、多岐に渡る問題でありますから、あるいは御指摘のような問題でなお研究不十分の点があつたのではないかということも察せられますので、ひとつどんどん御指摘をお願いしたいと思います。
  82. 川俣清音

    ○川俣委員 帝石の問題あるいは地下資源の開発の補助について十分な研究をしたであろうということを過去の経験から想像すると言われるが、検討されていないのです。わずかに愛知君が検討中に通産大臣になつた、こういうことだけなんですよ。これは帝石の株を処分するかどうかという問題が起きたときに、そういう処分問題からやや検討されただけなんです。今総務課長答弁された中に、それを検討したという話はないですよ。私はまた農林関係のときに落ちている点を詳しく指摘いたしますけれども、十分検討されていないのです。厚生省関係でも、私きよう質問する気持はないのですけれども、たとえば、地方の公共団体が結核病棟をつくるときは三分の二の補助、普通の協同組合等の法人がやる場合は二分の一の補助であるのを、三分の二補助がほしいためにだつたちよつと数字を忘れましたが、とにかく公共団体がやる場合には多く、普通の団体がやるときは少くなつているので、公共団体の名前を借りて補助率を上げるというような操作を県もやつており、厚生省もまたそのしり馬に乗つてつておられるのです。そういう点について十分な検討をやらないで、ただ三分の二を二分の一に削れば目的を達するというような考え方でやつておられるのではないか。こういう点が多々あるということを指摘しているのです。今ここでいろいろなものを持ち出してやるだけの時間もないと思いますが、もつと検討の余地があつた。これは粗雑ですよ。十分じやない。これだけ意見を申し上げて、あとは次の機会に譲ります。
  83. 葉梨新五郎

  84. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は、自転車競技法に基く国庫の納付金打切りの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。いろいろな補助金の整理については、それぞれの立場からいろいろな意見があろうと存じますが、それは別といたしまして、この競輪に基く納付金につきましては、裏づけがちやんとある。政府の財政に対してそう強圧を加えるものではない。これがこういうふうな措置を講ぜられるのはどういう理由に基くのか。これを、予算査定の立場大蔵省と、予算要求立場の通産省がなぜこの打切りを了承したかということについて、通商省と両方の意見をお伺いいたします。
  85. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 競輪等の収入につきましては、実は先般この委員会に私どもの方の大臣が御出席なされまして御答弁申上げたことがあるのでありますが、こういうような収入は、いわば国家の収入としてとることは適当でないという考え方が、やはり一つ大きくそこに横たわつているようであります。同じような例でございますが、地方の競馬等の例をとりましても、これは全然国庫に納付金をいたしておりません。そういうようなものとのバランスもとりまして、国の収入としてとることをやめるということで、競輪、そのほか自動車につきましても、ボートにつきましても、同じような一連の措置をとつたわけであります。
  86. 古池信三

    ○古池政府委員 お答え申し上げ出す。ただいま大蔵当局から御答弁がございましたが、通産省としましては、この問題は、できますならば従来通り方法によつて国庫納付金もいたし、かつまた補助金の交付も受けたい、かように考えておつたのでありますけれども、財政上の大きな政策面からの要求にわれわれも順応いたしまして、これを受入れたわけであります。なお、この問題につきましては、もちろん従来やつて参りましたような方法によることが、仕事にもなれておりますし好都合であるということは重々考えておりますけれども、しかし、どうしてもこれを打切られたような場合におき申しては、また別途の方途を考究することもまつたく不可能ではないというような点もありましたので、一応これに同恵をいたしたような次第であります。
  87. 永井勝次郎

    ○永井委員 この法案は、御承知のように昭和二十三年、第二国会におきまして、各党共同提案の議員立法で、それから実施に移され、長期間にわたつてようやくこれの運営が軌道に乗つて来た。この立法の趣旨は、単に、競輪をやめるのだ、そうしてそこから上つた収入を取上げるということだけでなしに、自転車産業の振興をはかり、面地方財政の充実に役立たせる、こういう二つの目的を持つてつた。しかも、これが今日まで運営されて、それぞれ軌道に乗つておるが、これの収入が妥当でないという理由はどういうところにあるのか。競馬がやつていないからこれも右へならえというような理由は成り立たぬと思うのであります。これについて国家の収入にすることか妥当でないと言うならば、妥当でないということを明確にしなければならぬ。これは議員立法であつて、しかも数年間ずつとやつて来た。それを、だしぬけのようにこういう結末をつけるということは、行政府の立法府に対する一つの挑戦ではないか。さらに言葉を強めて言うならば、議員立法なんか機会を見て片つぱしからつぶして、将来こういう議員立法は行政府は受付けないというような態度で、官僚陣営の強化をはかる一つの手段として、こういうことをやつて来たのではないか、こうわれわれは理解するのであります。これは最近、議員立法は国家財政考えない、それぞれ業者の利害と結びついて、議員連盟かどうとか、そういうことが流布されて来て、その結果としてこういう形が出てきた。われわれは、単にこれは自転車競技法の問題、国家収入の問題だけというだけでなしに、全般的には基礎にそういう思想が流れている、われわれにはこう了解されるわけでありますが、大蔵当局は国家収入として妥当でないという明確な根拠を示していただきたい。
  88. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 競輪の問題とか小型自動車、モーターボートに関連の問題でございますが、別途政府が提案している例の当せん金附証票法の部改正で、宝くじの国の発行を今度やめることになりました。政府のこれら連の考え方は、経済界がだんだんと安定して参り、また社会情勢もだんだんおちついて参つた今日の状態におきしては、でき得る限りこうした射倖的な性質を帯びたものについてはなくなる方向に持つて行きたいという道徳的な考えがその根底に流れている。それで、今回の処置としては、議員立法なるがゆえに云々ということは毛頭考えておりません。だんだんおちついて来た今日、こういうものはなくして行きたいという気持であり、そうしたことから生ずる国庫納付金とか国がみずからそれで収入の部にするとかいうことを避けて行こう、こういう思想であります。決して官僚がどうのこうのというようなことを考えておるのではございません。今回の法律改正にあたりましては、二十三の法律関係いたしますが、なるほどこの中には十王という過半数の議員立法の関係のものがございますけれども、そうした議員立法軽視というような考え方が根底にあるのでは決してないということを御了承願いたいと思います。
  89. 永井勝次郎

    ○永井委員 競馬とか競輪とかモーターボートレース、オートレース、宝くじ、こういつた射倖的なものあるいは賭博行為的なものを、否定して行くんだ、こういうことなら了承する。しかし、競輪はそのままにして、国家の収入の分だけは打切る、こういうことは筋が通らない。しかもこういう連の国民生活の道徳的な倫理的な水準を高めて行くという政策をとつている吉田内閣としては、それ以上に汚職をこういうふうにまき散らしている。そういう内閣を支持している自由党においては、ハイアライをやろうとしている、それ以上のドツグレースを始める、あらゆる射倖的なレースを拡大し、やつて行こうというような動きが党内にあるということをわれわれは聞いておるわけでありますが、そういう行き方と全然違つているじやないか。収納金を打切る前に、競輪というようなものは射倖的なものであり、賭博行為であり、淳風美俗に沿うものでないからといつて否定するなら、われわれは了解できるのでありますが、その根をそのままにしておいて、その上の方の分だけ打切つたという理由国家の収入としてこれが適当でないというその理由を明確にしてもらいたいと思います。
  90. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 政府考え方といたしましては、ぜひ理想に向つて邁進したい。この際ぜひとも根本からなくしてしまうということは大いに理想として考えてみたい問題でありますか、今日の中央地方の財政事情というものを考えてみました場合に、全部捨て切るわけにも行かぬ。ここに悩みがある。たとえば宝くじの場合にいたしましても、今回としては政府発行の分はやめる、しかし地方の分は当分の間なお地方財政に寄与さして行く、こう存じておりますが、これも近い将来やめて行きたいという方針で考えております。同様に、だんだんと般の国民道徳の高揚が行われ、こうした競技の方法はやめて行こうじやないかという機運が起ることを政府は切に期待している次第でございます。
  91. 永井勝次郎

    ○永井委員 日本の産業の中で自転車産業は非常に重要である、しかも輸出産業として大いに助長育成しなければならない、こういうような立場でそこに財政投資を必要とする。しかしそれに伴う財源はさしあたつてない。競輪そのものは必ずしも百パーセント了解するものではないが、そういう競輪の中から起る収入を自転車産業の振興にやりたい、こういうことで相殺して、まあまあというつの経済的な措置がこの自転車競技法の立法の趣旨であった。われわれもその立法者の人であつたのでありますから、これはそういう立場においてわれわれが審議し決定した。ところが、競輪の悪の行為だけ残して、自転車産業という重要な立法趣旨が打切られたという結果になつておりますが、大蔵政務次官は、日本における現代の自転車産業というものがそういう助成を必要としない段階に来ていると了解しているか、あるいは競輪の面で投資はしないが、一般会計から別途これに対して自転車産業を振興して行くという予算措置したから、これを打切ろうとしているのか、その辺の自転車産業に対する現状診断に対してはどうお考えか、その点承りたい。
  92. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 自転車産業助長のための国の補助は今回はゼロになつております。この点につきまして、日本の自転車産業かその助成の必要がない程度まで発達したかどうかと言われますと、その点については必ずしもそうでない部分があるかもしれませんが、今回補助金制度を各般にわたつて行いまして、なおあとに存置した補助金と自転車産業に対する補助金の実情とを考え合せた場合に、今回はひとつがまんをしてもらえぬかというような建前で。予算計上している次第であります。   〔委員長退席、川村委員長代理着席〕 しかしながら、もし競輪の収入による何らかの適切な別途措置が行われば、なおいいじやないかという感じを持つていることは申し上げるまでもございません。
  93. 永井勝次郎

    ○永井委員 自転車産業は現在非常な国家助成を必要とする段階にある。かも東南アジア及び中共その他の各国に対する輸出産業として、日本の産業構造の現状から見てきわめて適切なのであり、一層振興しなければならぬという段階に迫つておると思います。もし大蔵政務次官がこれは助成を必要としないという段階にあるというお考えに立ちますならば、われわれは、そうではない、そういう方向とは逆の方向で、今非常な苦難の段階に差迫つており、危急存亡の段階に追い込めらている、今こそ国家助成が必要な段階にあるということを反証したいと思えのであります。必要であるということであれば、その必要である程度の耐熱の点はとにかくとして、ここでは了承いたしておきます。それならば、何らかの措置によつてこれに対して助成をして行くというお話でありますが、しからば次に来るべき方途というものはどういうものであるか。構想があるならばここで承りたい。構想がないならば、口先だけではできないのでありまして、現実に裏づけある予算そのものが措置されなければ、これは一歩も前進しない、口先でない何らかのお考えがあるというならば、それをこの際承りたい。
  94. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 私たちその問題につきまして確たるこうした方法があろうということは、いろいろ事務当局でも研究いたしておりますし、また通産省当局でもいろいろ御研究になつております。またその関連の省庁として地方自治庁においても研究しておられますので、でき得る限りこの問題に御協力申し上げたい、かように存じている次第であります。
  95. 永井勝次郎

    ○永井委員 今通産省で構想し各省の間で話合いを進めているというのは、…小機械工業振興法、これに基くとこうの助成団をつくるという、こういう構想だろうと思う。先ほど総務課長お話では、競輪のようなよからぬ競抜をして、そこから上る収入を国に納めるということは妥当でないから、これは打切つたと言う。それでは、従来り議員立法に基くところの納付金はいけないが、中小機械工業振興法というような法律に今度はすりかえて、その面で今度競輪の方から上つた金を受取りて、そこで出すのはさしつかえない、それはきれいな金だ、妥当な収入だ、こういうふうに了解するのか。私はその点を明確に承つておきたい。議員立法に基く従来の運営の中において収入するのは妥当でないと言つてこれは打切る。しかし今度は、新らしい構心のもとにこれは収納して、こうやるとはたいへんけつこうなことだ、こいうのであるとするならば、そのすりかえはどういう思想に基いてそういう一つ考え方のコースが出て来るのか、これを承りたい。
  96. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ちよつと私の言葉が不十分であつたかもしれませんが、先ほどちよつと引例しましたように、従来も地方競馬などの場合には国が納付金をとつておりません。こういうものは面接に国が納付金としてとるよりも、地方がもしも必要であるならば、地方においてこれを歳入とするということの方がむしろ適当ではないか、地方競馬等とのバランスも一連の措置をする、こういう意味で申し上げたわけであります。ただいまのお話の問題につきましては、これについての議員立法がなされるかなされないか、そういうような点は私もちよつと伺つておりますが、ただいま話合いを関係者の間でお進めになつているようでございます。ただ当初のわれわれが予算を編成いたします際の心組みとしては、今申し上げたような立場からやつたわけであります。
  97. 永井勝次郎

    ○永井委員 どうもほかの方法によつて国家がこれをとつて収納するなら、これはけつこうなことだ、しかし従来の方法によつて収納することはよからぬ収入であるということ、これは一体どういう根拠に基いてそういう立てわけがつくのか。その区別がどういうところにつくのか。そうしてその収入の上つて来る元の競輪そのものはだんだんなくして行かなければならぬ、国民の道徳、良風美俗に不適当なものだ、こういうお話で、その悪いところから出発して上つて来る金を今まで使つていたんだ。それの状態はそのままになつていて、その二つがそれはいい収入だ、これは悪い収入だという区別がどこでそういうふうにきまるのか。競輪の方法その他を違えるというならばわかりますが、同じ方法であります。この点を伺いたい。
  98. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 私ども立場といたしましては、一方が適当でなくして、一方が積極的に適当であるという意味ですりかえるというような気持はございません。予算の編成の際に、そういう方針によりまして、一応私どもとし幸しては、先ほど申し上げた見解に基いて、これを削除いたした、そういうことでございまして、この後にどういう提案がなされますか、それによつてまたもちろん違つて来るとも思いますけれども、ただいまのところ、私どもといたしましては、一万がよくて一方が悪いというような意味で、積極的な提案を一方において申し上げているわけではございません。
  99. 永井勝次郎

    ○永井委員 これは大蔵当局は率直にこの際なぜ切つたかということを表明したらいいと思う。なぜならばこれを収納すると一兆億のわくを越える。政府は一兆億のわく内で予算を編成しなければならないという要請に迫られて、必ずしも自転車の収入というものが妥当でないという考えではなかつたと思うが、それを収入に加えると一兆億を突破するから、しやにむにこれを切つてあとは野となれ山となれ、また別な方法で救済する方法もある、こういう一兆円のわく内でつじつまを合せるためにむちやな切り方をしたんだと、率直に答弁が願われませんか。それならばそれでわれわれは了承するのでありますが、そうでなくして、従来の方法なら悪いのだ、今度できる新らしい方法ならけつこうなんだ、こういうような議論、それから競輪はけつこうでないからだんだんなくして、その手始めとして収入の面だけ削るのだというような子供だましのような意見にはわれわれ了承しないのでありますが、そういう事情で助られたわけではないのかどうか、承りたい。
  100. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 仰せのごとき趣旨で一兆円のわくに押えんがために競輪の問題を削除したというようなことは毛頭ございません。もちろん、政府が今回の一兆円予算を編成するにあたりましては、いずれの経費につきましてもできる限り圧縮緊縮に努めたのでございますから、一兆円をこのために突破するかしないかということについては、すべての経費について常にその頭は持つてつたことと思いいます。その意味においてならば、なるほどこの競輪の場合も、それが一兆円を越すか越さぬかということもむろん考えられるかもしれませんが、しかしそれはすべての経費の問題について考えたことであることをぜひ御了承願いたいと思います。またいろいろ話のような、国で国庫納付金をとることはやめたが、何らかの方法ならかまわぬじやないかという趣旨はおかしいと言われますけれども、これはいろいろ場合によつて考える問題だと思うのであります。ちようどこれは、宝くじの例を申し上げて恐縮でございますが、宝くじにいたしましても、できるならやめたいのでございます。けれども、まず国の分としてはやめて、次に近い将来において地方をやめることに持つて行こうという気持があるのと同様に、競輪の国庫納付金の問題につきましても、こうした射倖心をそそるような競技から上つた収入から国が収納することはやめて行きたい、こういうような道徳的な気持をこの法案の上に表わしているのでございます。従つて、これか形をかえて、もし——どういうかつこうにお話合いができるかわかりませんが、方法によつては自発的に何らかの寄付をするとかなんとかいうことでやられますかつこうになりますと、それは私はよほど趣が違つて来るのではないか、かようにも存ずるのであります。
  101. 永井勝次郎

    ○永井委員 確かに趣きはかわつて参ります。今政府で構想しているというのは、中小機械工業振興助成団というものをつくつて先ほど申しました法案をつくつて、地方から金を吸い上げて、そうして名前は中小機械工業の振興だと言うが、その内容実質は自転車屋さんに対する補助金あるいは金融をやろう。行政機構を整備しようとしている政府が、こつちで削つて、またそれ以上のものを大きくつくり上げようとしている。競輪に対する関係で崩しますならば、現在の機構の中で十分消化できておつたわけです。しかも試験機関の関係については、単にこれは金融の措置をする、あるいは業者に対してそれぞれ補助金を出すという関係だけではなくして、たとえば東京の工業試験所あるいは名古屋の工業試験所、大阪の工業試験所その他にそれぞれの技術者を頼んで、ネックをどうするか、ギヤーをどうするかという自転車の基礎的な技術的な面の振興をはかつて来ておる。そういう研究を続けて来ておる。これがばたんと打切られたら、そういう関係の人件費三億というもの、それらの人々の給料は四月一日からは払えない。こういうめちやくちやな予算措置を講じてやつておる。一つのスムースな構想を持つてこれを打切るというならば、こういうふうにして自転車産業の振興をはかるのだという正常な形における構想がなければならぬ。この試験所における技術者の人たちは、四月一日から給料ももらえない、こういうことである。その試験技術が一定の段階に達しておるのかというと、全然まだ研究の過程であつて、そういう一つの区切りのついた段階ではない、こういう関係です。しかもその財源は二十二億三千万円、これは地方自治庁における地方財政の予算です。ところが、従来の競輪の売上げから見て、大体三十六億三千万円の分担金はとれるだろう。三十六億三千万円から二十二億三千万円を差引いた差額十三億何がしというようなものは、当然浮かせることができるのだ。こういうことで地方財政に圧迫を加えて、その地方財政から助成団に金を出させて、従来の試験機関なり、従来の金融措置なり、こういうことをやつて行こう。内容からいえば実にふらち千万だとわれわれは考えるのであります。自転車屋さんに対してこの金をやるために、名前だけ中小企業振興というような法律の名前にして、そうして内容は自転車屋さんに対する結びつきだ。従つて、通産省の内部においてすら、これが第二の汚職を起すおそれがあるというようなことを心配されておる。一兆円予算のわくのために無理をした結果、こういう不合理な事態がここに出て来ている。それを弥縫するためにこういうよこしまな、すつきりとしない、将来運営上悪弊を伴い、いろいろな汚職を胚胎するような機構、システムが構想されておる。こういうことは、局に当る者は、口先だけでごまかさないで、もつと真剣にこれらの問題を考えて、その行政の実行面から生れて来る不合理というものを最小限度にとどめるように、すつきりとしたものでやつてつてもらいたい。システムとして考えて行くということでなしに、ただそのときどきの政府の都合で予算を削つたり加えたというような答弁をなさるが、そういうような構想を常に持ち、それと結びつけていろいろなことをやろうとしておることは、われわれはふらち千万であると考えるのでありますが、そういう構想は一体大蔵政務次官は妥当であると考えているのか、この予算を削つたときにそういうことを予想されてこの予算を削つたのであるか、この点を承りたい。
  102. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。  われわれ大蔵当局といたしましては、みな一様に考えておりましたことは、ただいま申し上げますような趣旨で、この国庫納付金を廃止するということは同じ気持であつたと思います。しかしながら、自転車産業振興のために経費を計上するか削除するかの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、これまた他の二十九年度予算計上をいたしました補助金等と権衡をとりまして考えた場合に、まずもつてしんぼうしてもらえるはずだという建前でその振興費を削除したのだと思います。  それから、将来これにかわる施設をつくるかどうかという問題につきましては、おそらくそのときといたしましては考えておらなかつたのではないか、あるいはどうしても必要なものなら、何もそこで全部をやめてしまうというのではないのですから、地方財政の中で考えあわせてもらうことができるのではないかというようなゆとりを若干考えておつたのではないかと思います。   〔川村委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、今だんだんと関係当局間で話が進んでいることをその当時構想しておつたかどうかといいますと、そこまでは考えておらなかつたのではないかと思うのであります。
  103. 永井勝次郎

    ○永井委員 たとえば、ほかの行政費と違つて、試験機関におけるところの試験研究の振興、あるいはそこに配置されている人件費の関係、そういうようなことを予算査定のときに全然考えに置かないで、四月一日からお先まつ暗だということがわかり切つていながら、そのとき放任しておいて、どうしてそういうことをおやりになつたのか。そのときに全然今のような構想がないとするならば、こつけいな話でもあり、まためちやくちやな話だと思いますが、その点は一体どうなるのか伺いたい。
  104. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 通産省の試験研究所におきましての御指摘のような自転席産業関係の試験研究費については削除しておらないのであります。国の経費に上つているごとに州な、つております。
  105. 永井勝次郎

    ○永井委員 それでは通産省に伺いますが、従来の自転車振興費の使途につきましては、業者の関係からは非常にいろいろな陳情があり、自転車産業振興のために直接この金が使われるならいいけれども、事実は役所関係の人件費というようなものに多く食われてしまつて、ほんとうに自転車産業振興のための予算としてはそう使われていない、競輪から上る金の使い方については直接そういう万へ金を流してもらいたいという陳情をしばしばわれわれは受けるもので、当局にもこのことを伝えているわけでありますが、この競輪の予算が全然打切られても、試験機関における自転車産業振興のための試験の上には何らの支障も来さない、こういう事情にあるのかどうか承りたい。
  106. 斎藤正年

    ○斎藤説明員 従来自車振興費の中には二つの種類がございまして、一つは直接重工僕局が所管いたしておりまして、自転車関係の各種の補助あるいは委託費というようなものに支出されますのと、それから今お話の試験研究費のごときものは、工業技術院の所管でございす。それで御指摘の試験研究費は工業技術院傘下の試験研究所の研究費の中の一部を自転車振興費から負担するという形になつておりましたわけで、一応自転車振興費の中でこれだけの分は機械試験所の研究費として支出するということがきまりますと、この分はあらためて機械試験所の一般経費として計上されます。計上されてしまつたときには自転振興費という区別はなくなるわけであります。もちろんそれに相当する分は自転車関係研究に使つてもらつておりますけれども、しかし建前といたしましては一般の試験研究所と同一になるわけであります。従つてこの研究所から俸給が出ている、研究するというふうな区別は実はございません。ただこの振興費の関係が減りますれば、その試験研究費も減る、従つて全般的に試験研究費が減るということは申されると思うわけであります。しかしそのために当該のどの人がやめなければならぬというようなことはございませんので、その点は、さつき申し上げました第一の項目の振興費のように、直接にははつきりした影響が出て来ない、こういう形になつております。  それから、お尋ねのありました自転車関係の適当なところに出ておらないじやないかというお話でございますが、われわれも自転車振興費を最も有効に使う上には十分研究もいたして参つたわけでございます。ただ国の予算として支出いたします場合には、おのずと支出の仕方あるいは他の支出の仕方なり目的なりとのバランス関係がありまして、一定の限度があるのじやないか。従つて国の財政からの支出、いう形態をとる限り、ある程度の制限受けるのはやむを得ない、そういう意味で、自転車関係の業界の方々の希望が、その支出形式の上からいつても、あるいは他の部門との振合いの関係から見ましても、百パーセントに関係者の満足するような編成の仕方ができないという点は、技術的にいたし方がないのじやないかというふうに感じております。
  107. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は、従来の金の使い方が妥当であるとか妥当でないとかいうことではなくて、三億は自転車輸出振興というような点に使われておる、残りの三億は、自転車業者の融資に振り向けられておる、こういういろいろな内容については承知しておるのであります。業者の方からは、自転車の輸出産業費に使われて、そのうちの一億何千万円かは試験研究費に使われておるが、大部分が人件費に食われておる、こういう費用を、もつと業者の直接の振興費になるような予算の方面に振りかえてもらわなければならないじやないか、人件費のようなものは、直接国で負担してくれて妥当ではないか、こういうような意見を従来聞いていたのであります。だから私はその関係言つておるのであつて、使い方がどうであるとかいうようなことに対する非難ではない。それほど人件費なり何なりをまかなつて来た一億何千万円という金が打切られたならば、直接試験研究機関にあるところの人件費に影響するのではないか、そういう形式的な議論でなくて、実質的に一億何千万円の予算が削られるならば、それに影響するのではないかということを聞いておる。そういうことも予算を削るとき全然考慮に入れないで、四月一日になつて、さああの方の予算はどうしたというようなことでは、あまりに場当り的な予算の編成ではないかということを聞く一つ資料として、私はこういうことを申し上げたのでありまして、その点の非難は別個にあると思うのであります。形式論はとにかくとして、現実には四月一日から影響を来すのだ。しかも金を全然国の方で受納しないというのなら別だけれども、新しいシステムによつてこれを取上げて使うというのですから、先ほど来の答弁とはまつたく矛盾した結果であり、今後の運営についても、打切りをされたために、中小企業の中小機械工業の振興法という無理なものを、助成という無理な形でつくらねばならなくなつて来たのは、この予算を切つたことそれ自体が間違いではないかというようなことを率直に聞いておるのであります。  通産次官にお伺いしたいのですが、今までのやり方でどういう点が大蔵省から悪いと指摘され、そうして悪いという結果を了承して、これを打切つたために、今度それを改善して新しい構想による一つの受入れ態勢をつくろうとしておるのか、新旧機構の間における当局の所見を承りたいと思う。
  108. 古池信三

    ○古池政府委員 大蔵省がどういう意図をもつてこの補助金を打切り、また国庫納付金を取上げられたかという点につきましては、先ほど来大蔵当局から御説明があつた通りでありますが、私どもといたしましては、自転車競技法に規定されておりまする第一条の目的、すなわちこの自転車競技による利益を、目下特に重要性を増しておりまする自転車産業の振興、あわせて地方財政の増収という面に用いて行きたいという気持においてはかわりはないのでございます。ただ、率直に申しますならば、同じ政府の部内におきましても、大蔵省と通産省はそれぞれ立場がありますので、われわれとしましては、何とかこの法律の目的は目的として尊重し、これを達成するような方途か考えられはしないかということを念願しておるような次第であります。そこで、この法律先ほど御指摘のごとくそもそも議員立法によつて成立した法律でございまして、これは、申すまでもなく、議員立法の法律であるからどうこうというような考えではなく、一旦成立した以上はどの法律も同じ効力を持つものであり、同じく重要性を持つものと考えます。ただいま立法府の有志議員の方々の間において、この法律の目的をあくまでも達成するような方法について、よりよりお話し合いもあるやに仄聞いたしておりますので、そういうようなことができまするならば、通産省といたしましては非常にけつこうである、ぜひそうしていただきたいということを念願しております
  109. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は、従来から日本における中小企業としての自転車産業というものは、振興しなければいけないまた輸出産業として非常に重要だ、こういうものはある程度国家財政で助成していかなければならぬ、こういうふうに考えております。われわれは競輪そのものには賛成ではない。しかし、一般財政から投資すべき財源が十分に見込めないという場合においては、競輪というわれわれがあまり賛成しない事柄であっても、そこから上がる収入をこれに投じて、その上で競輪における満足しない状況を産業振興の上で取返すならば、差引われわれは経過的な措置としてまあ目をつぶつて行こう、こういうことで、これは議員立法としてできたものであります。そうしてわれわれが満足しない不当な部分だけは残して、われわれが非常に助長しなければならぬと期待した自転車の方面を打切るということは、まつたく立法の趣旨を逆立ちさせてしまつて、悪い点だけをのこし、いい点は全部削り取つたという形になるのでありますから、こういう考え方はわれわれは了解することにおける考え方はどういうのだといつて聞いたら、これは収入そのものが悪いのだ、国の収入とするのが妥当でないと言つた。ところが今度は、新しい構想で別な形においてそれをとる。しかも地方財政に対して中央の政府が相当干渉するような形において、むしりとるような形でとつて来る。ますます改悪される形であります。本日は時間がありませんから、残余のいろいろな質問は後日にこれを保留いたしますが、これらの問題について、単にそのときだけの場当たりの質疑応答を何十分か一時間かすれば、それで事足りたという問題ではなくて、事柄というものは、一つの行為に対しては、それぞれ責任を持たなければいけない。無責任にものをやると、必ずそこに破綻が来る。やはり責任の所在というものは明らかにしながら、お互い立法府は立法府としての責任をとり合つて、ともに誠実な実践の上においてわれわれはこの問題の真実な発展を期待するようにして行かなければならない。口先だけで言つてそれで終わつた、まあ切り抜けたというようなことは許されぬと思うのであります。この問題については、後刻なお質問を継続したい。本日はこの程度で打切つておきます。
  110. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 永井君にお伺いしますが、あなたの留保という意味は、今よく委員長においては聞きとれなかつたのですが、御意見の陳述が残つておるという意味ですか、それとも当局に対する質疑が残つておるという意味ですか。
  111. 永井勝次郎

    ○永井委員 質疑が残つてあるので。
  112. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 まだよほど時間がかかりましようか。今日はあなたはそこでおやめになるというのですが、もし続けていただいて、できることなら委員長は今日あなたの質疑を続けて、終了までやつていただきたいと希望するのであります。
  113. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は、自治庁の関係にも、地方財政にも関係ありますし、それぞれ質疑したいと思います。
  114. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 そうしますと、自治庁の当局の出席を求められますか。
  115. 永井勝次郎

    ○永井委員 求めて、二十分くらい質問します。
  116. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 わかりました。  それでは、本日はこの程度にいたしまして、次会は月曜日午前十時より開会いたしまして、午前は本日の各省の質疑の残余あるいは留保になつております点を行いたいと思います。午後は、先ほど宣告いたしました通り農林委員会との連合審査、そういうことにいたしたいと思いますから、どうぞ各委員ともそうお含み置きを願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会