○緒方政府
委員 熊本におきまするただいま
お話のありました件でございますが、
お話の
通りにこの問題は相当長い間同盟休校あるいは臨時休校が続きまして、非常な遺憾な状態が続いたのであります。その経過につきましてまず申し上げたいと思います。
私、実は少し遅れて参りましたので、ただいまお読み上げにな
つてお話になりましたうちに経過も相当あ
つたかと思いますが、御承知のことと存じますけれ
ども、恵楓園の児童につきまして、龍田寮の黒髪校の分校に従来通学させてお
つたのに対して、黒髪本校に通学させるようにという
要求が恵楓園の患者の人々から出たことから問題は発足いたしておるのであります。これにつきまして市の
教育委員会といたしましては、いろいろと
研究をいたしたのでありますが、ただちに龍田寮の
要求通りに実現いたしますためには、いろいろと設備の
関係等もございますので、
研究をいたしてお
つたのでございまするが、恵楓園側といたしましは、これを法務局に申告をされまして、法務局の問題として問題が取上げられたのであります。そこで法務局の方でいろいろ調査をされました上、
委員会に対しまして、これは本校に通学させることは適当ではないかとい
つたような意向が表明されております。しかし
委員会といたしましては、ただいま申しました
通り、これはPTA側の意向もいろいろある折からでありますので、十分納得を得た上で実現しなければならないというので、PTAに対しましても十分な折衝を行
つたようであります。なおこれはいろいろ法規
関係もありますので、そういうことにつきましても十分調査をしたのであります。ところがPTA側の意向の中におきまして相当反対の
意見が強くなりました。このことのために相当紛糾しまして四月八日から同盟休校が始ま
つたわけであります。この点につきましては、ただいま
お話になりましたような事実があ
つたようであります。ただ、しかし全部を父兄が反対をしたわけではなか
つたようであります。一部の児童につきましては、黒髪本校におきまして普通の授業が行われております。かような状態が長く続きまして、いろいろと
委員会としても手を尽したようでございますけれ
ども、なかなか問題が解決いたしません。四月二十二日に至りまして臨時休校の処置をとり、その間いろいろと県の
教育委員会等におきましても心配いたしまして相談なんかいたしました結果、ことし一年生に入ります児童が四人おりますが、その四人の者につきまして問題を取上げたのであります。そして四人の児童を熊本医大で検査いたしまして、これもただいま
お話がございましたけれ
ども、それですつかり病気の
状況が完全であるということならば入れようということで、話の納まりがつきかけて来たのであります。そこで検査をいたしました結果、熊大の検査によりますと、四名のうち一名はまだ観察を要するという結論が出たのであります。従いまして本校にただちに入学するよりも、龍田分校に入れましてもうしばらく分校に通学させることが必要であるということにな
つたのであります。その熊本医大の診察の結果をちよつと申しますと、現在客観的に察知されるような症状が発現しておるとは認められないけれ
ども、今後注意して観察する必要があるというのであります。この結論に基きまして、市の
委員会といたしましても、一名のみは分校になお置くという結論を出しました。そうして現在三名は黒髪本校に入学いたすことになり、一名だけは分校に通学する、こういうことから、PTAの方とも相談をいたしました結果、五月の七日に臨時休業を解きまして開校の運びにな
つております。大体以上のような経緯を経まして、ストライキ、それから臨時休業という非常な遺憾な状態は解消いたしておるような次第でございます。以上大体の経過を申し上げしたが、
文部省といたしましては、この問題が起りました当初から非常に注意をいたしまして、市の
教育委員会に対しまして
実情の報告等を求めて参
つたのでございます。しかし、事柄が非常に複雑しておりますので、市の
教育委員会でも非常な苦心があ
つたようでございまして、端的な結論はなかなか出にくか
つたようでございます。
関係者が上京をして初めて報告を受けたような事情でございます。
文部省といたしまして、ストライキ等のことはまことに遺憾なことでございますけれ
ども、この問題自体につきましては、いろいろと癩患者の症状等につきましては、
文部省としてはよくわかりませんので判断がつきませんが、市の
教育委員会の
実情に即した解決を期待しておるということでございます。