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1954-05-21 第19回国会 衆議院 文部委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十一日(金曜日)     午後四時四十七分開議  出席委員    委員長 辻  寛一君    理事 相川 勝六君 理事 竹尾  弌君    理事 長谷川 峻君 理事 田中 久雄君    理事 野原  覺君 理事 松平 忠久君       岸田 正記君    坂田 道太君       原田  憲君    川崎 秀二君       中嶋 太郎君    町村 金五君       高津 正道君    辻原 弘市君       山崎 始男君    小林  進君       前田榮之助君    小林 信一君       河野 一郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 大達 茂雄君  出席政府委員         文部政務次官  福井  勇君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君  委員外出席者         文部事務官         (社会教育局体         育課長)    西田 泰介君         専  門  員 石井つとむ君        専  門  員 横田重佐衞門君     ――――――――――――― 五月十二日  委員山中貞則辞任につき、その補欠として宮  原幸三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員宮原幸三郎辞任につき、その補欠として  山中貞則君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員岸田正記辞任につき、その補欠として北  れい君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員北れい吉辞任につき、その補欠として岸  田正記君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員今井耕辞任につき、その補欠として川崎  秀二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松田竹千代辞任につき、その補欠として  河野一郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員辻原弘市君及び高津正道辞任につき、そ  の補欠として柳田秀一君及び横路節雄君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員柳田秀一君及び横路節雄辞任につき、そ  の補欠として辻原弘市君及び高津正道君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 同月二十日  公立学校教職員政治活動制限反対に関する請  願(大石ヨシエ紹介)(第四八七五号)  私立学校教職員共済組合の掛金に関する請願(  只野直三郎紹介)(第四八七六号)  五大市小中学校児童生徒収容対策確立に関  する請願辻寛一紹介)(第四九一二号)  児童生徒越境入学解消に関する請願大平正  芳君紹介)(第四九一三号)  学校給食調理室新築費国庫補助に関する請願(  庄司一郎紹介)(第四九七二号)  元第三海軍燃料廠工員養成所補習科卒業生の文  部省学歴認定に関する請願受田新吉紹介)  (第四九七三号) の審査を本委員会に付託された。 同十三日  私立学校理科教育等振興に関する陳情書  (第三〇二〇号)  同(  第三〇二一号)  同(  第三〇二二号)  同(第三  〇二二号)  同(第三〇二四  号)  同  (第三〇二五号)  同(第  三〇二六号)  同  (第三〇二七号)  同外三件  (第三〇四三号)  同  (第一〇四四号)  同  (第三〇四九号)  同  (第三〇四六号)  同外一件  (第三〇四七号)  同  (第三〇四八号)  同外二件  (第三〇四九号)  同  (第三〇五〇号)  同外一件  (第三〇五一号)  同(  第三〇五二号)  同(第  三〇五三号)  同  (第三〇五四号)  同外一件  (第三〇五五号)  同外二件  (第三〇五六  号)  在日朝鮮人児童に対する義務教育完全実施等  に関する陳情書  (第三〇五七号)  同  (第三〇五八号)  同(第三〇  五九号)  私立学校理科教育等振興に関する陳情書外二  件  (第三〇七九号)  同  (第三〇八〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律  案(内閣提出第一三四号)  文部省関係法令整理に関する法律案内閣提  出第一五三号)  世界レスリング選手権大会国庫補助に関する  件     ―――――――――――――
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより会議を開きます。  文部省関係法令整理に関する法律案議題といたします。質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。討論通告も別にないようでありますから、討論を省略してただちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。よつて討論は省略されました。これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。文部省関係法令整理に関する法律案賛成諸君起立を願います。     〔総員起立
  5. 辻寛一

    辻委員長 起立総員。よつて本案原案の通り可決いたしました。  なお委員会報告書作成については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 辻寛一

    辻委員長 御異議ないと認めます。よつてように決しました。
  7. 辻寛一

    辻委員長 次に盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案内閣提出案議題とし質疑を行います。御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑は終了いたしました。  この際長谷川君外二十四名より本案に対する修正案提出されました。修正案に対する趣旨弁明を求めます。長谷川峻ー君。
  9. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 この法案につきまして次のよう修正を加えられるよう提案いたします。すなわち   盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案に対する修正案  盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案の一部を次のよう修正する。  題名を次のように改める。   盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律  第一条中「及びろう学校」を「ろう学校及び養護学校」に改める。  第二条第一項中「又はろう学校」を「ろう学校又は養護学校」に改める。  附則第二項の地方財政法第十条第二十六号の改正規定中「及びろう学校」を「、ろう学校及び養護学校」に改める。以上であります。  この趣旨を申し上げますと、盲学校及び聾学校児童生徒と同様に養護学校就学する児童生徒に対してもこの法律の適用を及ぼそうというのであります。と申しますのは、盲聾以外の精神上、身体上その他の障害を持つ特殊な児童生徒につきましては現在十分な施策が講じられておりませんので、なるべくすみやかにその具体的な措置がとられるようにしようとするものであります。何でぞ各位の御賛同を得たいと思うところであります。
  10. 辻寛一

    辻委員長 修正案に対する質疑は省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。よつて修正案に対する質疑は省略するに決しました。これにて修正案に対する質疑は終了いたしました。  これより本案並びに長谷川君外二十四名提出修正案を一括して討論に付します。討論通告も別にないようでありますから、討論を省略してただちに採決いたしたいと想いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。討論は省略するに決しました。これにて討論は終局いたしました。  採決を行います。まず長谷川君外二十四名提出修正案について採決いたします。賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  13. 辻寛一

    辻委員長 起立総員。よつて長谷川君外二十四名提出修正案は可決いたしました。  次にただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  14. 辻寛一

    辻委員長 起立総員。よつて修正部分を除いては原案の通り決しました。よつて本案修正議決されました。  この際坂田道太君よりただいま修正議決されました法律案に対し、各党共同提案に対する附帯決議を付するの動議提出されております。その趣旨弁明を求めます。坂田道太君。
  15. 坂田道太

    坂田(道)委員 ただいま修正議決されました盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案に対しまして委員諸君の同意を得まして附帯決議動議提出いたします。右案文を読み上げます。    附帯決議案  一、盲学校ろう学校及び養護学校幼稚部及び高等部についても将来義務学年に準じて就学奨励の措を講置ずること。  二、盲学校ろう学校及び養護学校への就学特殊事情にかんがみ、これらの学校への就学による保護者経済的負担を軽減し義務教育充実をはかるため、国又は都道府県が支弁し及び負担する経費の範囲を将来速かに学用品及び通学用品購入費並び実験実習見学費にまで及ぼし、更に寄宿舎居住に伴う食費その他援助費目全体について予算的措置の拡充をはかること。  三、盲者ろう者以外の心身に故障のある者に対する義務教育現状にかんがみ、これが充実を図るため、関係法令及び教育施設の整備其の他必要な措置を速かに講ずること。  以上でございます。何とぞ全員の御賛成を得たいと思います。
  16. 辻寛一

    辻委員長 坂田道太君の附帯決議について採決いたします。本附帯決議賛成諸君起立を願います。     〔総員起立
  17. 辻寛一

    辻委員長 起立総員。よつて附帯決議は決定いたしました。  なおただいま附帯決議を付して修正議決いたしました本案委員会報告書作成については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。よつてように決しました。
  19. 辻寛一

    辻委員長 次に教育職員免許法の一部を改正する法律案及び教育職員免許法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整理に関する法律案の両案を議題とし、質疑に入ります。辻原弘市君。
  20. 辻原弘市

    辻原委員 大臣、局長来ていますか。
  21. 辻寛一

    辻委員長 ただいますぐ呼びます。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  22. 辻寛一

    辻委員長 速記を始めて。辻原弘市君。
  23. 辻原弘市

    辻原委員 免許法について二、三の問題を伺いたいと同時に、文部省方針についてただしておきたいと存じます。第一の問題は、今度の改正提案根本精神の問題ですが、提案理由には仮免許状廃止などをあげまして、三つの大きな方針を掲げておりますが、ここでこれらに共通する今次の改正案を貫く精神というものは、どういう点に置いてあるかということを伺いたいのであります。
  24. 稻田清助

    稻田政委員 ごらんいただきまするように、改正内容は数点にわかれております。従いまして全部を貫く一貫した精神という点は、多少申し上げにくいのでありますけれども、あくまでも免許法第一条の教員資質向上目途とするという点は、この改正案といえども失わないつもりであります。  第一の点は、一級、二級、仮、臨時とありまする仮を廃止いたしたのでありますが、もともとこの仮免許状は、免許法制定当時の各大学内容なりあるいは各高等学校以下の教育機関における教育職員充実ぐあいなどを考えました臨時暫定措置と私ども考えておるわけであります。その後教育機関充実いたしまして、また教員充実ぐあいも漸次改善せられました今日におきましては、教員資質向上内容充実目途といたしまして、もはや仮免許状を廃止するのが適当な段階に到達したと考えた次第であります。  次の教育長及び指導主事校長命許状を廃止いたしまして、任用資格といたしましたのは、これらの職が教育職として特色を持つている点は十分考えるのでございますけれども、これらにつきましては任命にあたりまして教育委員会等十分考慮をして人選をするという点を考えますれば、任用資格として決定いたしますことが行政運用の便宜でもあり、あえてこれを免許状所要職といたしておく必要もないではないかという点からこれを改正いたしました。  次に単位修得につきまして、教養課程専門課程との間の単位の変更をいたしましたのは、免許法実施後の実情にかんがみまして、ある点におきましては専門教育を増して教養教育の方を少くしたというよう措置をいたしたような次第であります。  いま一つの大きな点は、免許法実施後、現職にあります人を現職教育あるいは認定講習等によりまして即位を修得しながら上級免許状取得に切りかえて参りました。これは十年計画でやつて参りましたが、もはやそのほとんどの計画を終了いたしまして、切りかえの山も越えたような次第でございます。実施後の実情考えますと、年数を重く見て、単位修得というような点につきましては、経歴印数によつて切りかえてもいいのじやないかというような点を私ども見ましたし、大方の御意見でありますので、改正したような次第でございます。  一言にして申し上げますれば、免許法制定の際予期いたしましたところとその後の実績というような点を考えまして、当初の案をこの際相当改正する、こういうような結果であるわけでございます。
  25. 辻原弘市

    辻原委員 申し上げました趣旨は、この免許法改正制定以来数度改正されておるのであります。今回の改正は、われわれの考えるところによれば、戦後アメリカ指導によつて生まれた非常に複雑な形態から、やや国内の実態に即して改めるという、ある意味においては若干画期的な改正とも考えられる点があるわけでありまして、そういう意味から申すと、改正に当つて方針というものは、少くとも今度の改正の中に一貫した精神というものが流れてなくてはならぬと思う。と申すのは、少くともアメリカ指導によつて生まれたこの免許法は、非常に複雑な形態をとつているということが現在施行されているいろいろな点において支障を来している問題でありますから、従つて今答弁にもありましたが、なおこの改正は暫定的なものであるとするならば、ここでさらに次に来るべき改正にあたつては、よりこれを簡素化するということが第一の一貫した方針でなくてはならぬ、こういうふうに私は考えるのでありますが、その方針を今後もなお貫かれるかどうか、この点をこの際明らかにしておいていただきたい。
  26. 稻田清助

    稻田政委員 お言葉にありますような方角は、もとより私どもといえども考えるところでありまして、たとえば臨時免許状のごときは、これはないにしくはないのでありまして、需要供給現状からやむなく設けております。その時期に至りますればこうした階級もなくなろうと思いますし、あるいはまた一級、二級、四年課程、二年課程という問題も、今日教員養成実情大学の状況からわけてあるようでございまして、これも理想は一級にいたしたい、漸次これが養成実情教員充実実情と、この両面から見ながらさらに改善いたしたい考えであります。
  27. 辻原弘市

    辻原委員 次に免許法自体の持つておる目的について若干お伺いいたします。と申すのは、由来いかなる免許法にあつても、その目的とするところは、その制度基準を定めると同時に、その基準を維持して行く、いわゆるその資格内容というものを維持するということが大体の免許法の建前であろうかと思うのでありますが、この教育職員免許法にしても、これは私は同じ立場であると思います。しかしながら実施以来この法案運用にあたつて取扱いを見てみますと、それに附加をいたしまして、さらに免許法によつて資質向上をねらつておる点があることがうかがえるのであります。このことはわれわれは決して否定するものではありませんけれども、しかしながら本来免許法制定によつて資質向上をねらう、端的に申しますと要求する、単位修得にあたつて実情以上の要求をして、それによつて資質向上研修をあわせ行うやり方を今日まで採用して参つたのでありますがこの改正の期にあたつて、これらの点についていま少し合理化をすべき必要があるのではないか、と申すことは、その一つ基準の維持という問題と資質向上という問題は、ある程度分離をして考える、こういう考え方が、少くとも私は免許法それ自体運用については妥当な方法ではないか、そう考えますので、この際免許法運用の問題と研修の問題について、どういうふうなお考えを持たれておるか、これも明らかにしておいていただきたい。
  28. 稻田清助

    稻田政委員 ちようど免許法実施せられました時期それ自身が旧教育と新教育の切りかえ時期にあたりましたために、単に免許法という観点ばかりでなく、全般的に教員に対しまして、新教育に関する講習等行つて研修をさせなければならないという必要に非常に迫られておつた時期であります。そういう時期とにらみ合せて、旧免許状を持つておる人を新免許状に切りかえるという方針と、この免許法が通りましたために認定講習研修教育というものが非常にきびして実施せられたわけでありまして、しかも最初それが三年間に所定の計画実施ようという計画であり、それが五年延長せられ、ついで十年に緩和せられましたけれども期間が短かつために非常に現場において混乱が生じ、またこの講習を与えます教員養成大学がそういう再教育になれなかつたというような点もありまして、いろいろ遺憾な点があつたわけであります。われわれといたしましては、研修研修として国家公務員法なり地方公務員法の要求するところで、これはそれ自身十分に研修目的を無理がなく実施せられることを欲するのであります。また免許法の点におきましてはわれわれは無理がなく切りかえをいたしたいと思うのでありますけれども、そこがやはり人情、早く上級免許状を取得したい、早く切りかえを得たいということで、相当現場におきましても切りかえを急ぐというような傾向があつたわけであります。それらを考えまして、それが今回のこの改正のひとつの主要点なつたわけである、われわれといたしましては、相当経験を積んでいる方々上級免許状を取得するということは、現場経験という点を非常に重く考えていいのじやないかと言いながらも、やはり一面研修ということも大事でありますので、ある程度単位修得が必要だ、単位修得のみという点をだんだん改めまして、現場における長い経験というものを置きかえる、まあこの程度ならばと考えましたのが、今回の案になつたわけであります。いわゆる十年計画というものをあと四年を余すことになつております。実績計画以上進んでおりますから、いわゆる認定講習もそう無理なく行われるのじやないか、しかも経歴年数換算によりまして認定講習を受けなければならぬという単位も軽減せられますので、講習そのもの研修としてゆとりを持ちながら、無理がなく実施せられることを期待いたしております。
  29. 辻原弘市

    辻原委員 大体の考え方においては了承いたしまするので、実際の運用にあたつては、特にその点、単位修得に対して苛酷な要請を行わないような特別の配慮をこの際十分考えていただきたいということをつけ加えておきます。  次の問題といたしましては、今回の改正に当つて仮免許状、それから校長教育長指導主事等免許状を廃止したことは非常な英断であると思いまするが、われわれの考えによると、さらに一歩突き進んで、先ほどもちよつと触れられておりましたが、臨時免許状取扱いについては、私はこれはやや中越半端な改正に終つておるということを思うのであります。というのは、臨時免許状は、教育職員養成審議会答申を私は見ましたが、その中においても、これをも廃止して任用資格とすべきであるという答申が行われておりましたが、何がゆえにこの養成審議会意見をも無規されて、臨時免許状というものを存続せられたか、この制度を置くことによつては、すつきりした簡素化した免許状の姿は生れないということと同時に、臨時免許状自体は他の免許状とは違つた意味合いを持つておるので、必ずしも免許状を交付しなければならないという筋合いのものではない、任用資格でもつて事足りる問題であつて、私はこれは廃止しても実際問題について何ら困らない問題ではないか、こういうよう考えておるのですが、その点についての理由をこの際明らかにしておいていただきたい。
  30. 稻田清助

    稻田政委員 仮免許状廃止理由で申し上げましたように、一級、二級の正当な免許状を持つておる人のパーセンテージが非常にふえては参りましたけれども、まだなお、ことに小学校あたりにつきましては一八%程度臨時免許状所有者等もあつて臨時免許状所有者教育現場に残つておるという事実につきましては、これは相当重く考えなければならぬ、ただただいまのお言葉にありましたように、とは申しながら何も免許状を発行しないでも無資格教員任用方法はあるわけであります。われわれもこの教員養成審議会答申を受けましたあとで、そういう任用資格で規定しようかということは研究いたしました。ただそういたしますと、これはまつたく技術的な問題でありますけれども、この問題が私立学校相当大きいわけでありまして、教育公務員特例法の方の任用資格を規定するというだけでは足りませんので、自然学校教育法をいじらなければならない。ところが学校教育法教員資格という点について、この臨時免許状所有資格をことごとしく書くことは、学校教育法の体裁から見ましても私どもは避けたいと考えまして、この際はやはり免許状取得という形を残したわけであります。これは将来なお研究いたしたいと思つております。
  31. 辻原弘市

    辻原委員 次に、私はこの点については根本的に修正をする意見を持つてつたのでありますが、もし文部省においてもその点を明らかにするならば、将来の問題としていま少しの運用を見守つて参りたいと考えておりますので、政府の態度を明らかにしていただきたいと思うのであります。今回仮免を廃止いたしまして、ただいまお話になつように、一応臨時免許状はそのままにしておく。ところが仮免許状を廃止することによつて、現在現職にある臨時免許状所有者取扱いの上において新しく正規の免許状を得るには、今度の改正案を見ますと、六年の基礎年数、しかも四十五単位を取得しなければならぬことになつております。そうすれば、その期間においての身分保障、あるいは現在少くとも相当経験年数を有して、従来の法律であれば一応仮免許状をもつて教員という一つ資格任用が三年で行われたにかかわらず、この改正によつて六年間いわゆる助教諭という形ですえ置かれるという結果が生れるについて、何らか救済方法をとる必要があるんじやないか。ここで思いますことは、幸いこの改正案に一応昭和三十三年までに仮免許状相当する単位修得を行えば、教員資格を付与するということが規定されておりますので、現在の臨時免許状所有者現職者については、三十三年までに文部省において全部仮免許状所有相当者に切りかえることに自信があるかどうか。これは特別な認定講習その他をやりましても、場合によればその所要単位である三十単位に満たない場合が起り得る。こういう点も考慮して救済できる方策が立てられ得るかどうか。その場合に、かりに本年度実施をいたしてみまして、その見通しがつきにくいような場合においては、その後の処置としてどういう方針を今お考えになつておられるか、この点を伺いたいと思います。
  32. 稻田清助

    稻田政委員 認定講習につきましては、先般御審議願いました本年度予算におきましても、必要額が計上せられておるわけであります。この認定講習実施計画といたしまして、ただいま御指摘になりましたような現在の助教の方々を中心といたしまして、認定講習ででき得る限り早い期間単位修得していただくように、都道府県教育委員会と御相談いたしたいと思つております。さらに今お話がありましたように、それで単位がとり切れるかという御質問でございますが、ずいぶん山間僻地その他ありまして、個人個人にいろいろな事情もあろうかと思います。私どもといたしましては、この臨時免許状期間も、ただいまの法律におきましては、三年まで政令で延長することができるわけでありまして、もしその期間内に認定講習単位修得し切れないといたしますならば、その状況を予見いたしまして、適当な機会にまた法律改正してこれらを救済するということは、十分考えなければならぬ将来の問題であろうと考えております。
  33. 辻原弘市

    辻原委員 次に整理に関する法律について、一点政府方針を聞いておきたいと思います。整理に関する法律改正の中で、教育長に対する任用資格を規定いたしておりますが、この中で第一の項目はいいといたしまして、第二の項目の中で、文部省令で定める教育職員であつて二年以上の在職者を教育長に選任することにいたしております。このことの内容を単に省令できめるということだけでは、これは見のがすことのできない重要な問題でありまして、少くとも教育行政に携わる教育長資格内容というものは、任用資格であるだけにより厳密な定義をいたしておかなくちやならぬと思いますが、少くともこれに対して以下私の申し述べるような点について省令にあたつて考慮しているかどうか、あるいはその他関係の法律の中において、文部省は私の言うよう方針を是認せられるかどうかということをお伺いいたしたいのであります。それは、教育職員と申しましても、行政職員という中には、非常に範囲が広い、たとえば市町村役場等において単に教育事務に携わる者も教育職員の範疇に入るわけでありますが、そういう点を全部含んでの教育長資格任用規定、こういうふうに考えておるのかどうか、それらについて、現行規定と今後定める省令との関係、これをひとつ明らかにしていただきたい。  もう一つは、現在自治法でもつて市町村の助役を教育長に兼任せしめるよう方針を建てておりますが、これが現在期限が切れて、近くこれに対する改正法案が自治法の改正でもつて出て参るのじやないかと思います。私は、この際現職者についてはやむを得ぬものとして認めることはよいとしても、今後も継続してさような形において任用して行くことはいかがかと思うので、これらに対して文部省の所信はどうであるか、この点を明らかにしていただきたい。
  34. 稻田清助

    稻田政委員 最初にお述べになりました教育長資格について文部省令でどの程度にきめるかというお尋ねでございますが、この点につきましては仮免許状がなくなるわけでありまして、仮免許状よりも多少やかましい程度におきまして現行法と同じよう内容任用資格の方に移して規定いたしたい。大体はそういうふうに考えているわけでありまして、ただいまお述べになりました市町村の吏員で教育に関する事務に従事した職員、これも教員長の任用資格の中に数えられるわけでありますけれども、実際問題といたしまして、この教育長というのは重要な教育職であり、従つて教育事務に従事したと申しながら教育事務のごくさまつな片々たる事務に従事したというような者は解釈上も当らないのじやないかと思います。相当まともに教育事務に従事した職員というふうにこの省令は解釈せられるものだと考えております。  最後にお述べになりました助役の兼務の問題であります。これは地方自治法の一部改正法案がこの国会に地方自治庁の方から提案になつております。そこにおきまして、兼務を認め暫定資格を認めるわけでありますが、われわれといたしましては、もとより教育委員会法の精神にのつとりまして教育長というのは重要な教育職だと考えております。なればこそ、今まで免許状を要求し、また新たに任用資格考えるわけでありますから、現在助役兼務のものは継続しなければならない実情にあろうと思いますけれども、将来のあるべき理想の形といたしましては、専任の教育職としてふさわしい人がその地位につく、こういうことがあるべき形だと私ども考えております。
  35. 辻原弘市

    辻原委員 次に、これは今日の改正案の一番根本的な意見の対立の問題でありますが、新しく別表一において従来なかつた修士の課程高等学校一級の資格要件とする点であります。私は、新学制の建前から、この修士の課程、いわゆる大学院及び専攻科を卒業することをもつて、特に高等学校の一級にのみその資格要件を要求したということは、いわゆる小、中、高等学校の、従来少くとも新制大学を四年のスクーリングをもつて一貫した一つのスタンダードときめておつた問題から考えました場合、それぞれの学校差をつけるということを政府みずからがやつて来たという形において、これは新学制そのものの考え方に矛盾するものであるという建前において、これはどうしても賛成しがたいのであります。しかしながら免許法の技術的法案という建前から、これは私は今回各委員賛成を得ることは困難でありますけれども、将来にわたつてこの点は十分検討の上、所要の改正を加えなければならぬ、かよう意見を持つております。しかしながらこの点は文部省の見解をお伺いいたしましてもむだでありますので、これは速記録にとどめまして、将来の問題にいたしておきたい、こう思うのであります。私は、以上の文部省の明らかにされた方針をもつけ加えて、大体においてこの免許状をすみやかに施行することには賛成であります。これで終ります。
  36. 辻寛一

    辻委員長 暫時休憩いたします。     午後五時三十二分休憩      ————◇—————     午後八時十二分開議
  37. 辻寛一

    辻委員長 休憩前に引続いて、会議を再開いたします。  野原君から、議事進行について発言を求められておりますから、これを許します。野原覺君。
  38. 野原覺

    ○野原委員 私は、文部大臣に対して二、三の質問をいたしたいと思う。  まず第一点は、本日のこの文部委員会は、午後四時半前後に開会になつたのでございますが、ただいまの時刻は八時を過ぐること十二、三分であります。この間、大臣の出席がないために、遂にわれわれは緊急質問すらもできない。文部省関係法令整理に関する法律案あるいは盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案は上げましたけれども、その他は、委員会を開会いたしまして審議することができないために、いたずらに時間を空費して参つておるのであります。聞くところによりますと、本日は大臣はおからだのぐあいが悪くて、腹痛であられたということでございますが、その後委員長が大臣に出席を強硬に要求せられますと、ここに御出席になられておるわけであります。この点に関して、大臣としてはどのような御反省と御所見を持つておられるか、まずこの点が第一にお尋ねしたい点であります。  第二点は、三月の二十六日に教育法案が衆議院を通過しておるのでございまするが、それから今日に至るまで約二箇月の間、十幾つの法律案が山積しておる。きわめて重要な法案が山積しておるにもかかわりませず、大臣はただの一回も衆議院の文部委員会に出席されていないのでございます。私は今晩の行動と、二箇月間文部委員会に対して、教育法案については非常な熱意を示したけれども、その他の問題はまつたくわれ関せず焉の態度をとられておる等のことを照し合せて考えました場合に、文部大臣は、衆議院の文部委員会というものをまつたく軽視されておるのではないか、このように私は受取らざるを得ないのでございます。この点に対して、大臣はどのようなお考えを一体持つておられるか。また今晩四時間、五時間という長い間、われわれ文部委員を空費せしめて、ここに至らしめたことに対する大臣の御所見を特にこの際承りたい。
  39. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 私きよう実は芸術院の総会が上野の精養軒でありまして、それに出席をしておつたのであります。中途腹痛を起しまして、二時ごろに実はそこを中座して公邸へ帰りました。下痢というようなことで、実は公邸で休んでおりました。参議院の文部委員会においても特に出席をしてもらいたいということがあつたのでありますが、その事情を申し上げて、理事の方と委員長と一緒に公邸へ見えられて——これは夕方でありますが、委員会でお尋ねになる点について懇談といいますか、大臣公邸でお話をしておわかれをした、こういうわけであります。さようなわけで、からだのことでありますから、たいへん御迷惑をかけたかと思いますけれども、この点御了承をいただきたい。  それからなお衆議院の文部委員会に出席をしなかつたということが、何か文部委員会を軽視しておるのではないかというよう意味のお言葉でありますが、私としては、文部委員会を軽視するというようなことは毛頭考えておりませんし、その気持はあり得ないことであります。御承知のように、参議院におきましても、教育法案というものは非常に長時町を費して、慎重な審議がありました。さような関係もあり、私の承知しておるところではは、衆議院の方の文部委員会において、特に私に説明せよというような御要求もなかつたやに考えております。そういう関係で、こちらの方に出席することが少かつたということは事実でありますけれども、決して文部委員会を軽視するというよう考えはみじんもないのでございますから、これもあわせて御了承いただきたいと思います。
  40. 野原覺

    ○野原委員 大臣は、衆議院の文部委員会から出席の要求がなかつたから出席をされないというような御答弁がございました。私は、文部委員会がことさらに出席の要求をしなくても、あなたも大臣でございますから、衆議院の公報その他を見て、文部行政についての責任者でありますから、文部委員会が開かれておるならば、当然あなたの職責として、みずから進んで出席されて、私どもの質問にも答え、御答弁をされることが私は当然ではないかと思う。このことに対する再度あなたの考え方を承りたい。
  41. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 今申し上げましたように、参議院におきましても、教育法案については連日にわたつて長時間審議が行われたのであります。衆議院の委員会の場合につきましては、私は実は、特に私が出る必要があるかどうかということを、その都度係の方から伺わせておつたのであります。そういうわけで、欠席をしたのでありまして、決してその間別に何もせずに遊んでおつたとか、出るのがいやだとか、なまけておつたとか、そういうことはないつもりでございます。
  42. 野原覺

    ○野原委員 委員長にお尋ねいたします。私は先般小牧飛行場の問題について緊急質問をいたしました場合に、もちろん私があなたに言つたことは速記録にとどめておりませんけれども、これはアメリカの駐留軍の軍事基地に関する重大問題であるから、文部大臣にぜひとも御出席をしてもらいたいということを、私は非公式でありましたがあなたに要求しておる。一体あなたは大臣にそのようなことを伝えなかつたのかどうか、この点に対する委員長の御意見を承りたい。
  43. 辻寛一

    辻委員長 お答えをいたします。秘書官を通じまして、大臣の出席ができるかどうかということをお尋ねいたしましたけれども、出席ができなかつたわけです。そこであなたに御了解を得たわけでありまして、どうしても大臣が出席しなければ御質問ができないということでありましたならば、後日にということでいたしたわけであります。あなたは御了承なさつたので、そのとき大臣欠席のままいたしたわけであります。
  44. 野原覺

    ○野原委員 私は了解した覚えはないのです。しかしながら大臣が出ないにもかかわらず私が質問をしたということで、私が黙示上の了承を与えたものだ、そう解釈をすることはもつてのほかだと思う。どうしても出ないなら、議事進行上やむを得ぬから、私は質問をやつてつたのです。今の大臣の御答弁とあなたの御答弁には食い違いがある。大臣は出席の要求がなかつたからおれは出席しなかつたんだ、係にしよつ中問い合させておつたけれども、何らおれが出る必要もない、出なければならぬというよう意見も特段に出ていないというのが大臣の御答弁です。ところがあなたは、大臣に対して御都合はいかがでございますかとお伺いをしたということは明らかに食い違いがある。この点に関して、重ねて委員長のお考えを承りたい。
  45. 辻寛一

    辻委員長 あらためて、時日をおいて出席の可否をお尋ねになりまするならば、その手続をとるのでありまするが、とつさの場合でございまして、さつそく秘書官に聞きますれば、大臣のからだのぐあいが悪いということはわかるわけでございますから、あえて大臣の方まで行かなかつたかと思います。きようはかようようの次第で出れません、こういうお話でございましたので、その事由は今私、覚えませんが、そういうわけで、きようは出られないということをあなたにお答え申し上げたわけでございます。それで御了承をいただいて、御質問をおやりいただいたものと私は解釈いたしております。
  46. 野原覺

    ○野原委員 大臣は福井政務次官その他と公邸におられて、文部委員会をこうして待たしておるということも、今晩は十分お聞きであつたでありましよう。なおまた再三再四委員長が電話で出席をお願いされておつたようであります。ところが最後に委員長が、あなたが出席をしてくれなかつたならば、委員長をやめるかもしれない、こういう決意を漏らされますると、あなたには出て来られた。だから私はあなたがほんとうに文部委員会を重視されるならば、これは出席できたと思う。そこであなたは出席されておる。一体四時間も五時間も私どもはここで待つてつた、この点に対してどう御反省になつておるか、重ねてあなたのお考え方を承りたい。率直に言つてわれわれ文部委員に対して陳謝できるかどうか、いかがですか。
  47. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 病気であつたということは、先ほど申し上げた通りであります。
  48. 辻原弘市

    辻原委員 それならば私は伺いますが、こういうことはこの席上では申し上げないつもりでおつた。しかし最初に出席要求をして、そうして本日は国際的影響のある問題について、緊急にこれは本日中にわれわれは大臣の所信をたださければならぬというので、再三再四にわたつて、全員が四時間も空費して、この席で待つてつた。最初こちらに通告があつたのは、にわかに腹痛になつたという話、これはもちろん人間ですからそういうこともあり得るが、われわれはこの問題については、必ずしもそうとは受取れない節もあるのです。本日一回だけそういうことが起つたのなら、われわれはそう深刻なことも申し上げないのですが、先ほど野原委員からもお話があつたように、たびたび出席要求をしたにもかかわらず、大臣はおいでがなかつた。だから本日もそういう今までのような大臣の頭で出て来られないのじやないかというわれわれの判断も当然だと思う。そこで、それならばひとつ国会から、診断するお医者さんにでも行つてもらつて、はたしてそうかということを確かめるだけのわれわれは党に対して責任があるということで、それでは行つてもらおうじやないか、診断書を出してもらおうじやないかという話のとき、私が最後に確かめたときには、必ずしも病気ではないのだ、所用のために出席できないのだということである。これは私が委員長の口から承つておるとするならば、その間において、最初言つた理由と、最後に私が委員長から、一人のみならずわれわれ野党側の委員の集まつておる席において委員長は、非公式だつたかもしらぬけれども、そういう言葉が伝えられたとするならば、そういう、大臣が病気だからやむを得ぬじやないか、だから了承しろというのは、常識的な立場において、われわれ納得することはいささか無理だと思う。だからその点について、大臣の言われた通り委員長はお認めになるかどうか。われわれはもし今晩大臣がお出ましにならぬとするならば、これは大臣個人の問題はわれわれとして別に他意を持つわけじやないが、所管大臣としての責任についてはあまりにもこれは怠慢しごくであります。あまりにも委員会を無視しておる。だからその点だけは、ひとつ理非曲直を明らかにしようじやないかという趣旨のもとに、大臣に対する反省を求めるの動議を準備しておつた。幸い出られたから、そのことはやりませんが、やらないからといつて、それを無視して病気であるとつつばられるということは、今日このままの事態で了承するに至つた経緯とは若干趣が違うのです。この点については再度お答えを願いたいと同時に、委員長が、病気だから出られないのだと最後に言つて来た。しかし私は、もう一回大臣にこの委員会の空気を伝えて、委員長の責任において大臣に出席してもらつて、もしそのことが不可能ならば私は私としての責任をとりますと言つた。その当時の事態について私は委員長から釈明を求めたい。それからさらに次の質問をやります。
  49. 辻寛一

    辻委員長 辻原君にお答えいたします。辻原君は何か誤解をなさつておりはいたしませんか。
  50. 辻原弘市

    辻原委員 私は先に大臣の答弁を求めます。
  51. 辻寛一

    辻委員長 私から先に申し上げます。
  52. 辻原弘市

    辻原委員 大臣の答弁を求め、それからそれに関連してあなたの答弁をその次に伺います。
  53. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 私が何か仮病でも使つてなまけておつたというよう意味に聞き取れることをおつしやつたようですが、私は仮病など使いません。これは先ほど申し上げたように、参議院の文部委員会でも出てもらいたいということがあつて、同じレスリングの問題である。それに対して、病気だからと申し上げた。そこで、それならば公邸に来ようというので、委員長とそれから荒木君と相馬君と、もう一人緑風会の高橋君の四人が見えて、どうぞお大事にということでお帰りになつた。私は病気といつても長い間時間のかかるような病気ではありません。先ほど申し上げたように、きよう会合に行つてつた際に急に腹痛を起して、公邸にようやく帰つて、猛烈な下痢をした。実はこんなことは申し上げる必要もないが、そんな関係で、これは下痢が済めば一応おちつきますけれども、まだ晩飯も食べておらぬ。そういうわけで、決して仮病を使つて私がなまけておつたというふうに何か勘違いをしておられるような点がありますが、そういうことはありませんから、どうか御了承を願いたい。
  54. 辻原弘市

    辻原委員 私は大臣が仮病を使われたとは言つておらぬ。われわれはそういうことを確認しておりませんから、自分の判断で申し上げることは差控えますが、その後福井政務次官、委員長などと、大臣はどうしたのだ、出るのか出られないのか、その理由は何かということでいろいろ折衝を重ねておる間に、必ずしも大臣は病気ではない、出られないと最後に言つて来たのは、これは所用のため出られないのだということであつた、こういうことです。そこで私は最初の理由による病気であるということなら、病気であるという一つの証拠を示してもらおう。そうすることが一応今日、ここまで待つたわれわれに対する——委員長としても、大臣としても、与党の諸君としても、われわれに対する礼儀ではないか、また議会に対する大臣の責任ではないかという意見を持つてつた。ところが所用であるということでそれなら今さら医者の診断書をとつてもしかたがないだろうということで了承したわけですが、大臣にはその点、仮病であるとは言いませんが、少くともそういう話があなたの方との連絡の過程においてあつたということは、これは腹痛で委員会に出席できないというようなものではなかつたと判断せざるを得ない。それについての委員長の釈明、あるいは福井政務次官のお答えもついでに伺いましよう
  55. 辻寛一

    辻委員長 私は公邸へ電話いたしまして、秘書官と話をいたしましたのが三度であります。その都度御報告を申し上げましたように、腹痛のため参議院の方もきようは欠席の了解を得るようなわけで出られないというお話であつた。そのままをお伝え申したのであります。所用のために文部大臣が出席できないなどということは、かりにも文部委員長としてさようなことは御報告いたしかねます。文部大臣として、文部委員会に出席を要求されておるにかかわらず、所用のために出られないから御了解いただきたいなどと言うような、私は委員長ではございません。それは何かの間違いであろうと思います。
  56. 辻原弘市

    辻原委員 腹痛の話を繰返してもしかたないけれども委員長がそう言わなかつたと言えば一応承つておきます。しかしながら問題はさようなことをせんさくしておるのでない。今日こういう国際的の影響のある問題に、与党の諸君が一人も出ておらない。こういうことと相まつて今日の事態が来たものと思う。少くとも与党の委員長として、与党の委員を督励して出席させることも当然であろうし、大臣も、国際的影響を持つておるこの問題について、かりにそれに対して異論があろうとなかろうと、一応所信を明らかにすることは当然の賛任だろうと思う。もし腹痛をもつて出られないというならば、少くともそれを証明するに足る手続その他を積極的にとつて、われわれを納得せしむる努力があつてしかるべきだと思う。教育法案通過以来、文部大臣が当委員会に対してほとんど出席がなかつた。これは出ろと言わなかつたから出なかつたと言えばそれまでですが、さようなことは従来も、委員会法案の通過にあたつての慣例にもない。従つて本日の問題については、腹痛であるとおつしやれば、私はそれ以上のことは申し上げませんけれども委員会の審議にあたつては、いま少し誠意を持つて、あの二法案に見せられたような、誠意を持つて、他の諸法案についても当該大臣の責任を明らかにしてもらいたいこの点を大臣に要望するとともに、今後のことについて大臣のこの問題に対する誠意のほどを当委員会において披瀝をしてもらいたいと思う。
  57. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 委員会に出て質疑にお答えすることは、私の職務でありますから、当然ここに出ることを避ける理由一つもありません。またここに出ることを避けるような気持は毛頭ありません。ただ、参議院等においてそういうことがありまして、またそのときの用事の都合で、特にどうしても出てくれというようなことでない場合に、欠席をすることは、あり得ることでありますから、この点は重ねて御了承いただきたいと思います。今後とも、私は委員会を軽視して、ぶらぶら遊んでおりながら出て来ないとか、そういう気持は毛頭ありませんから、その点は誤解のないようにしていただきたい。
  58. 川崎秀二

    川崎委員 野原君の議事進行に関連してのけじめをつけておかねばならぬと思いますので、発言を求めた次第であります。本日の文部委員会は数日前から免許法その他重要な法案についての、委員会の開催の要求をされておつたにかかわらず、いかなる内部事情であるか、委員会の開催が遅れた。これは自由党内部のことでありますから、あえてこの席上でせんさくをして、それらの理由を追究はいたしません。しかしながら、本日委員会が開かれるということは、公報に掲載されており、午後二時の開会が午後八時十何分になつたということは、近来まれに見るところの委員会に対する文部大臣の軽視の現われであろうと私は思う。ことに私は成規の手続をもつて委員部に対して、本日私が委員の交代をなすとともに、文部大臣の委員会出席方を要求をして、大蔵大臣に対する出席も要求をしております。また外務省の情報文化局長の要求をもし、大蔵省の為替局長の出席要求をもしておいたのであります。ことごとく手続、順序を踏んで今日の文部委員会に対する緊急質問の一切の手続を完了したにかかわらず、文部大臣は姿を見せざること数時間に及んだ。承れば腹痛であるということである。この腹痛は、あるいは事実であるかもしれぬが、都合のよいときに腹痛になるというようなことは、この内閣にはしよつちゆう起りがちなことであつて、上は総理大臣から官房長官、あるいは政務次官等に至るまで、総理大臣は顔面神経痛、前法務大臣は座骨神経痛、今また大達文部大臣は、ときどき腹痛を起す。都合のいいときに腹痛を起して、満身創痍で、実際は疑獄神経痛にかかつておるのですから、あえてあなただけのことじやなかろうと思うけれども、それにしても実にひどいじやないか、ことにきようの腹痛であるかどうかということは、現場を確認したことでないからわからぬけれども、それにしても五時ごろから、再三再四にわたつて文部大臣の出席を要求した。ちやんと公邸にはいる。そうして委員長が電話に出て、秘書官を通じての問答を見ると、そう腹痛であるわけもないようです。ことに、実はきよう委員会の開催の問題について、質問の内容についても、もし文部省が、誠意を持つて今後大蔵省に交渉をし直すということになるならば、打開の道はあろうと思つて、われわれは、自由党の河野先輩とともに文部大臣に会つた。その際の問答は、あえて紳士のとりきめであるからこの際発表はしないが、そのときの大達文部大臣の心の中には、自分が出なくてもいいだろうと言わぬばかりのいろいろな言葉があつた。実に残念なことであつて、私は、腹痛はあるいは予定された行動ではなかろうかとさえそのときに感じたものであります。実に遺憾なことであります。従つて私が最後に野原君の質問に関連して申し上げたいことは、三月二十六日以来、文部大臣は衆議院の文部委員会に出て来ておらぬことも、教育法が参議院にかかつた関係もあるでしよう。情状しんしやくすべき余地はある。しかしながら衆議院の文部委員会は並行的に開かれて、参議院文部委員会の開催のあいまを縫つて行われておつたときもあると思う。現にわれわれも確認しておる。そういう委員会になぜ出て来なかつたか、これだけでも、文部大臣に対するところの職責不履行について、文部委員会の態度をきめるにおいて重大な要素になるだろうと思う。先ほど来、改進党、社会党両派、自由党においては、もし文部大臣が出席不可能な場合においては、出席をしないということについては、事態がきわめて重大であるから、最後の決意をしなければならぬというので、文部大臣に対する責任を問う動議を出そうという用意をしておつた。幸いにして来られたから問題はやや緩和しておりますけれども、しかしながら先ほど来のお話を伺つてみると、きようの文部委員会が遅れたことについて御反省の色が少いと思う。私は、あらためて聞いておかなければならぬ。きようの文部委員会が遅れたことについては、ただ御了承を乞うというのではいかぬ、遺憾の意を示してもらいたい。それがなければ、われわれはわれわれの判断によつて、この議事の進行についてある種の決意をしなければならぬと思う。数時間を待たしておいて、あなたは飯を食わぬかもしれぬが、健康なからだで飯を食わぬ者がなおおる。腹痛で飯を食わぬのはまだいい。場合によつては少しくらい食わぬ方がよろしい。私と河野さんは、先ほどライスカレーを持たしてよこして食つた。ほかの社会党の諸君は、ほとんど夕食を抜いてあなたのおいでを待つてつた次第であつて、どうかその意味では率直に、きようの事態に対しては遺憾であつたということだけは言つていただかなければ、われわれは議事についてある種の決意をしなければならぬと思う。もう少し率直なる御答弁を求めたいと思う。
  59. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 私が都合によつてときどき腹痛を起すというようなことをおつしやいましたが、私は、自分の任意によつて腹が痛くなるというような器用なことはできません。ちようどきよう川崎君の御要求がありましたとき、たまたま腹痛を起したという点については遺憾に存じます。しかしこれは決して私がときどき都合の悪いときに腹痛を起すと言われましたけれども、私が腹痛を起したのは初めてであります。決してそういう器用なことは私はできません。その点ひとつ御了承をいただきます。ただきようたまたま腹痛が起つて、皆さん方に御迷惑をかけたという点については遺憾に存じます。
  60. 河野一郎

    河野(一)委員 ぼくもただいまの問題に関連して、一言大臣の御所見をただしたいと思う。先ほど来伺つておりますと、要求がないから出席をしなかつたんだということで、正当の答弁をなさつたように大臣は言うておられた。私はその話を伺つて、非常に奇異の感に打たれたのであります。私はきよう初めてこの委員にかわつて来たのでございますけれども、先日来、京都のあの学校の重大問題が起つておる。われわれ新聞を通じて見ておつた。しかし文部大臣が委員会を通じて、国民に対して、この問題についての所見等のお話があつたものと私は了承しておつた。しかし委員会に一ぺんも出席がないということだと、この問題に対する当委員会を通じて、国民に対して大臣の御所見なり御決意のほどや、もしくは所管の責任を、われわれ国民として伺つておらぬことになる。さようなばかなことは私はないと思う。こちらが質問があるから出て来てくれというから出て来るんだという、そんなことでは、大臣として民主主義の政治はできません。こちらから言わなくても、そちらで当然進んで、われわれ国民の了解を得るという態度をとることが当然の職責だと思う。その処置に出られずに、聞かなければ答えないんだ、お前の方が出て来いと言わないから行かないんだ、これでは昔の官僚のやり方なんです。昔は陛下に奏上して了解を求めてある、それでいい。議院の方で出て来いと言わないから行かないんだということがあつたかもしれないが、今日ではそうではない。われわれの方で質問の要求をしようがしまいが、こちらに出て来て、国民の了解を得ておかなければならぬ問題が時々刻々あるはずだ。これらについて当然決意のほどを示すなりこれらの問題に対する態度を表明されることが、あなたの一番主張せられる教育法案の解決にも一番重大なことなのです。こういうことについて、あなたの決意を委員会を通じて国民に納得せしめることで、初めてあの法案精神も国民に了解ができるのであります。法案審議のときだけ来て、説明したじやないかという態度であつては、国民としては、政府のこれらの問題に対する決意がわからない。そういう今の態度ははなはだ私は遺憾だと思う。そういうことで議会政治を円滑に運行しようということは不可能であります。そういうことから間違いが起る。きようように、出席を要求して、われわれここで待ちぼうけを食わされて、こちらから電話をかけなければ、大臣の方から、実はこういうわけではなはだきようは和済まぬが、こうしてくれ、ああしてくれということにしない。そういうばかな態度というものは私はないと思う。これはよく反省してもらいたい。そういうことで円満に行くというならば、将来議会政治運用の上に非常に私は悪例を残すと思う。数時間にわたつてわれわれを待たして、自分の方は腹が痛かつたんだと言う。これはあなたは腹が痛くないんだと言つても、あなたが痛いと言えば、それはわからないのだから、そういうことは言えぬでしようが、しかし議会に出席ができないような病気でないということは、ここに出席しておることで間違いないと思うのです。病気にも、登院不可能の病気があるし、登院可能の病気もある。いろいろある。ところが、病気であつたから出なかつたというだけで済まされない場合もある。熱があるといつても、三十五度六分の熱もあれば、三十七度の熱もある。ただ病気だから出ないというのでは、われわれに国会を軽視するものだと認定せしめる要素になると思う。こういうことは、一体吉田総理大臣以下そういうことでわれわれの信頼を失しておりますから、ほんとうにあなたが病気であつても、われわれはうそだろうと思うようになる。この点について、特に大臣におかれては、将来にわたつても、委員会を通じて重大な問題は国民に全部了解を得ておくというようにされることが、国民及び議会政治を円満に運用せしめて、議会に信頼せしめるもとである。政府に協力せしめるもとである。私はそういう考えを持つておりますので、この私の考えに対する大臣の御所見を承りたいと思う。
  61. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 旭ヶ丘の場合を例にとつてのお話でありますが、これは従来国会の運営に私はあまりなれておりませんで、しかし大体質疑応答で、質問されることを受けてお答えをするというのが、大体運営の普通のやり方だと思います。ことに旭ヶ丘の問題につきましては、本会議におきまして質問がありまして、当時私の考えはその際申し述べてあります。ただ委員会で、委員長というか、委員方々委員会を運営せられる場合に、特にどうしても御審議の上に申し上げなければならぬことがあれば、進んで発言を求める場合ももちろんございます。しかし通常の場合は、やはり御質問に対してお答えするということが、普通のように私は思つております。もしそういうことでなく、委員会というものは、委員側の発言もあり、また政府側からいろいろ発言するのがあたりまえだということであるならば、今後はさようにいたしたいと思います。
  62. 河野一郎

    河野(一)委員 大臣は少し議会のことを勉強してもらわなければ困る。国務大臣並びに政府のそれぞれの者は、何どきでも発言できるという規定がある。何の必要があつて、何どきでも発言できるということになつておるのか。今あなたが言うように、質問があつて答えるだけなら、政府は何どきでも発言ができるという必要はないわけである。そうじやありませんか。憲法、国会法の条文を読めば、そんなことは私が申し上げなくてもすぐわかるはずである。なれておるとかおらぬとかの問題じやない。施政方針の演説をやる、もしくはあなたがここで一番最初に免許制についてはこうやるといつて話される。その後においてもいろいろの問題が起きたならば、その問題については、自分はこう考えております、こういうことで国民の協力を願いたいと言うことはあたりまえのことなんです。聞かなければ答えないということは、官僚意識なんです。聞かないことは言わないんだ、そういうことでは、国民の協力を得る民主主義の政治というものはできないことはあたりまえである。これは私が申し上げなくても十分おわかりだと思う。あまりこういうことで非難いたしたくありませんが、もう少しよく考えてやつてもらわなければ、私は困ると思う。御考慮を願いたい。
  63. 松平忠久

    ○松平委員 大臣の委員会に対する態度について、各委員から大臣の反省を求める発言があつたのであります。私もこれに関連して若干申し上げたいと思います。ことに今日の場合においては、最もはなはだしい例である。一体福井政務次官が行つて大臣に出席の要求をした。それに対しても出ない。最後に委員長の重大なる決意によつて初めて出る。そういう態度がけしからぬと思う。もつと率直に、初め政務次官が行つたときに、出るべきものと判断して出るのが当然である。その後において、強い圧力がかかつて初めて出るというその態度がけしからぬというのだ。それを反省せよというのだ。あなたが一体それに対してほんとうに反省しておるのかどうか、一つだけ伺います。
  64. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 御批判は御自由でありますが、先ほど来しばしば申し述べたことによつて御承知をいただきたいと思います。
  65. 松平忠久

    ○松平委員 これは批判ではありません。あなたに反省しておるかどうかということを伺つておるわけです。ほんとうに反省しておるかどうか。今後のことがあるから、それを伺つておるのです。もう一度御答弁を願います。
  66. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 どういう点の反省か、先ほど申し上げた通りであります。私がきよう腹痛を起したために御迷惑をかけた点は恐縮に存じます。決して委員会を軽視するとか、そういう気持は初めからないのであります。私が軽視するという気持を持つておるということを前提にして、その上で反省せよと言われるかもしれませんが、私は初めから委員会を軽視するなどという考えはありません。
  67. 松平忠久

    ○松平委員 それではあなたは、病気が登院可能な状態になつたので出て来たというのか、あるいは委員長が重大な決意をしたというので出て来たのか、そういう点はどうです。その点はどういうことなんですか。その点によつて大臣の反省の程度がわかる。
  68. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 私は夜かなりおそくなつて、皆さんがお待ちになつておるということでありますから、実はそのつもりで出て来たのです。むろんその一時間前に出て来たらよかろう。これは病気と申しましても、こうして立つて話ができるのでありますから、その程度については、これは普通の常識でお考え願うしかありません。ただあまり御迷惑をかけるようでありましたから出て来たのだ、こういうように御承知を願います。     —————————————
  69. 辻寛一

    辻委員長 それでは次に世界レスリング選手権大会国庫補助に関する件について川崎委員より発言を求められておりますので、これを許します。川崎委員
  70. 川崎秀二

    川崎委員 後に質問もいたしたいと思いますけれども、まず委員会として提案があるのであります。それは次のような決議をいたしたいと思います。  本委員会は来る五月二十二日より東京都において開催さるる世界レスリング選手権大会に関し、大会の運営を円滑ならしめてその成果を挙ぐるため、政府が主催者に協力して国家的援助を為すべきことを妥当と認める。  右決議する。  その内容でありますが、理由として、「来る二十二日より東京都神宮外苑東京室内体育館において開催さるる世界レスリング選手権大会は参加十六箇国、出場人員百五十名を越える国際的競技会であり、将来わが国にオリンピックを招致するための前提条件として重大な意義を持つ大会である。主催者たる日本レスリング協会並びに東京都は相協力して大会の準備を進めているが、かかる国際的行事を遂行するに国家の積極的な援助協力なくしてはその成果を十分に期待することはできない。ことに、主催者は室内体育館の整備と欧州各地の選手の招聘につき、相当の犠牲負担をなしつつある現状にかんがみ、政府は今春札幌において開催されたる世界スピードスケート選手権大会の前例をも参照して、戦前、戦後を通じ最大の規模を持つ本大会の成果をあぐるため最低一千万円の国庫補助をなすべきものと認める。」こういう理由に基いての先ほどの決議をいたしたいと思います。右を動議として提案いたします。
  71. 辻寛一

    辻委員長 お諮りいたします。ただいまの川崎君の御発言は、世界レスリング選手権大会国庫補助に関する件に対しまして、お手元に配付しました案文の通り決議すべきであるとの動議でありますが、川崎君の動議の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
  72. 辻寛一

    辻委員長 御異議ないと認め、さように決します  なお本決議の取扱いに関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 辻寛一

    辻委員長 御異議ないと認め、さように決します。
  74. 川崎秀二

    川崎委員 決議の方が先になりましたが、一応従来の経緯並びに将来の心構えについて、文部大臣に対して、また関係官に対しまして質問をしてみたいと思います。時もたつておりますから、なるべく具体的な事実についてお尋ねをいたしたいと思います。  第一の問題は、今回の世界レスリング選手権大会なるものは、昨年の五月ヨーロッパにおいて開催されたるところの世界レスリング選手権大会、グレコ・ローマン型の選手権大会の際において、レスリング協会長の八田氏から提案されて、これが決議となつて招聘をされたものであります。ヨーロッパの各地から日本に来る、あるいはアメリカ、さらに濠州、ニュージーランド等の各地から日本に来るには相当の条件がなければ、各国の選手は日本には来ないのであります。なぜならば、ヨーロッパのような数十の国家群が形成しておるところでは、この開催は容易でありますが、極東の僻地にまで参加するということは非常な困難な状況である。この大会を開催するにあたつて、主催者は非常な努力をしたものと思います。しこうして幸いにしてこのことが、あらゆる折衝の結果実を結んで、明日から大会が開かれるという運びになつたのでありますから、これらの条件を満たすためには、当然国家が何らかの協力をしなければならない。十数箇国も日本にひつぱつて来ておいて、それに対して国家の協力がなくしては、とうていこれだけの国際的事業というものを遂行するわけには行かないのであります。  そこでまず最初に伺いたいのは、こういうような事業に対して文部省としては最初からどういう計画を持つてこれらの主催者と協力をして来たか。しこうして今日最終的にきまつた国家の協力方法は、いかなる具体的な方法で決定されたか、文部大臣から伺いたいと思います。
  75. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 この世界レスリング選手権大会につきましては、実は予算の編成当時におきましては、その計画内容その他の点において、まだはつきりいたしておりません点がありましたので、予算に計上することができませんでした。それがその後はつきりいたしまして、あしたから大会開催の運びになつたのでありますが、これに対しましては、文部省といたしましては大蔵省に折衝をいたしまして、四百五十万円という程度の予備費の支出を認めてもらいました。そうしてこれを国庫補助として東京都に移し、主催者の手に交付する、こういうようにいたしております。
  76. 川崎秀二

    川崎委員 四百五十万円という数字でこの大会を補助しようということがきまつたようであります。ここに至るいきさつについては私承知もいたしておりますが、それらについてはあえて述べない。ただこの際、まず第一に伺いたいのは、予算の編成期のときにはまだ計画がきまつておらなかつたという。それは私はまつ赤なうそだと思う。これは昨年五月決定をして、招聘状を出して、各国からは多くの選手が来るという回答が次々に寄せられておる。昨年十月には、レスリング協会を中心にして、組織委員会も形成されておる。それに対して東京都から文部省に対して補助をしてもらいたいということを十月下旬にたしか届いておるはずでありますしからば本年三月に国会を通過した予算に対しては、十月中旬において、この編成の中に当然繰入れらるべきものだと思う。なぜその際に出して来なかつたか、まず手落ちはそこから始まつておるのではないかと思うのでありますが、この点に対する明快なる答弁を望む。
  77. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 十二月十二日にその書類は出ておつたそうであります。ただその書類によりましては、要綱、その計画内容その他が不明でありまして、それによつて具体的に大蔵省に数字をもつて予算の計上方を折衝する段階に至り得なかつたのであります。
  78. 川崎秀二

    川崎委員 今十二月十二日で書類が出ておるということであります。私は改進党の予算委員をしておりますから、よく知つておりますが、政府がきめた予算案の最後の大蔵省案というものは、十二月二十八日です。従つて十二月二十八日までにちやんとした手続をとつておれば、露頭だけでも出るものだ。予算の一番最初の柱が出るわけです。それに対して手続を大蔵省にしたのですか。
  79. 西田泰介

    ○西田説明員 十二月十二日に東京都から出ました書類は、支出の見込み、支出計算だけであります。そのために予算を組むことができませんで、東京都に対して要綱、収入見積り、それらの提出方を再三求めましたが、八田会長が不在のため、東京都から提出がなかつた。そのために手続がとれなかつたのであります。
  80. 川崎秀二

    川崎委員 そこで文部省としては、今度の大会は非常に国際的な意義があり、最後には四百五十万というすずめの涙ほどであるけれども、決定したのだから、確かに国際的行事として必要だということは認めたわけであります。その態度は、昨年十二月も同じだつたのですね。同じような態度を当初から持つてつたのですか、その点を伺いたい。
  81. 西田泰介

    ○西田説明員 同じ態度であります。むしろ文部省は、当初予算に組み込みたかつたのであります。
  82. 川崎秀二

    川崎委員 それならば、私はあえて断定するわけではないけれども文部省の重夫な手落ちだと思う。なぜならば、東京都から支出の内訳だけ来て、収入の基礎が来なかつた。収入の基礎というものは、おそらく大会の入場料でしよう。または東京都の出す予算あるいは国の予算であり、そのことについての輪郭がつかなかつたからといつても、むしろ文部省が大体の輪郭を考えて、東京都と相談をして、当初の予算に計上すれば、このような蹉跌はなかつたと思う。八田君が不在であつたからといつて文部省としては、今まで何べんも国民体育大会であるとか、その他の大会の補助費を出しておるから、どのくらいの人員が集まるかということは、大体計算ができるのであるから、そのときにあなた方がイニシアチーヴをとつて、当初予算に組み込んでおけば、かかる手落ちはなかつたのではないかと私は思うが、あなたの御所感を伺いたい。
  83. 西田泰介

    ○西田説明員 従来の経験からいたしまして、大蔵省と予算折御しますについては、きわめて詳細なものがなければ説明が困難であります。従つてどこが主催者で、だれが世話するのか、それから収入についてどうものがあつて、どれについて国が出さねばならぬかというようなことについて、説明ができない状態でありましたので、文部省としては出さなかつたのでありまして、やむなくこうなつた次第であります。
  84. 川崎秀二

    川崎委員 主催者がだれであるかということは、そのときすでに私は決定しておつたと思う。主催者というものが詳細な計数を持つて来ない以上、文部省として取上げない——主催者はちやんときまつておる。東京都とレスリング協会、この共催であるということは、十二月末になつてきまつたことでない。十日の初めにきまつておる。違いませんか。
  85. 西田泰介

    ○西田説明員 その報告を求めたのでありますが、はつきりした御返事がありませんでした。
  86. 川崎秀二

    川崎委員 主催者が両方の団体であるということは、あなたはそのとき承知をしておつたのじやないか。
  87. 西田泰介

    ○西田説明員 主催者は、最初の話では、世界レスリング連盟だという話であります。日本側の日本レスリング協会、東京都は、その世話をするのだという話でありまして、どういう程度の世話をするのかということについても、はつきりした確証がなかつたのであります。
  88. 川崎秀二

    川崎委員 その点について詳しく知つておりますけれども、そのことを今日追究してもしかたがないから、あなたのような立場にある人にそう詳しく説明を求めないけれども、これは今後体育行政を扱つて行く上において重大な心がけであるから、あなたに特に申し上げたいけれども、たとえばレスリング協会の八田君が不在であれば、そう国際間の関係を知悉したり、その他の世話をするような人はいないのじやないかと思う。アマチユア団体であるから、個人が不在であつた場合には、あなたが進んで東京都と相談をして、この程度において出そうじやないかというような見積りを持つてつたならば大蔵省としても、当初予算に入れておつたやつをけ飛ばすというようなことはない。現に改進党・自由党・日自党の三派の予算折衝のときにすら、これはひとつ重大な意義を持つ会合であるから、この際一千万円でも計上しようかという話は、打明けて言うと、予算折衝の主任であつた私と、自由党の小澤君の間には出た。自由党の小澤君もその話は知つておる。文部省が当初予算の中に一つも出していないものを、いきなり一千万円計上すれば、世間はおかしいと思う。国会でこれを認めたということで、非常に重大な意義があるものだということを知つて、認識するかもしれぬけれども、たとえば原子炉の予算でも、あれだけ大きな問題を呼んだ。またレスリング選手権大会に、文部省が出さないのを三派折衝委員がこれを入れたといえば、何らか疑いがかかります。そこでわれわれとしては、やりたいけれども、必ず後に問題になるだろうと思つたけれども、当時手が出せなかつた。ここに第一の重大な問題があつたと思いますけれども、この点は追究はしない。しからば第二点として聞きますが、文部大臣並びに政務次官からお答え願いたいと思うが、四百五十万円になつたけれども、途中、すなわち一週間ほど前に、レスリング大会に補助をしないということを大蔵省が言い出した。初め一千万円を補助費として申願をしておつたものを、四百九十万円かに第二次の修正をし直したということを承知しておるけれども、それは事実か、またそういうことになつたいきさつについて御説明を願いたいと思います。
  89. 福井勇

    ○福井(勇)政府委員 その過程において、若干ふえたり減つたりするという状況のあつたことについては存じております。
  90. 川崎秀二

    川崎委員 きわめて抽象的、でわかりませんが、私が申し上げたような事実はあつたのですか。
  91. 福井勇

    ○福井(勇)政府委員 その衝に当つて、資料を持参して大蔵省へ参りました過程において、一度そういうことがあつたように思います。十日くらい前だつたと思いますが、あるいは二週間くらいか、そのように記憶しております。
  92. 川崎秀二

    川崎委員 ずいぶん頼りない話ですが、それでは事務当局に伺います。私が申し上げた意味は、最初一千万円の補助申請をしたところ、大蔵省側から、東京都は富裕都市であるからこれに補助するということは、今日の国家財政と地方財政との関係で、必要がないという意味の回答があつたように聞いております。それは事実であるかどうか。そのときの大蔵省側の理由はどういうところにあつたのですか。
  93. 西田泰介

    ○西田説明員 文部省から最初大蔵省に要求いたしましたのは、七百万円であります。それにつきまして東京都は富裕都市だからという理由で大蔵省から言うて来たのではございません。各項目についてそれぞれ査定をいたしまして、それは入場料でまかなえる見込みであるから、補助できない、こういうお話であります。
  94. 川崎秀二

    川崎委員 この春の札幌における世界スピード・スケート選手権大会でも、あの規模の小さい大会に対して、文部省が出した申請というものは幾らでしたか。
  95. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 これは私記憶違いがあるかもしれませんが、もし間違つてつたら事務当局から訂正いたします。あれはたしか千二百万円で、これは収入も少いとかいろいろの関係もあると思います。むろん規模において今度のレスリングの世界選手権大会とは違うと思いますけれども、主催地の財力という関係もあり、いろいろの関係もあつて、千二百万円ないとどうしても足りない。それだけ足りなくなるから、何とか補助を出してもらいたいということがありまして、それを多分文部省としては七百万円か八百万円程度に、どうも言いなりではぐあいが悪いだろう、これは大蔵省へ持つてつても、すぐつつぱねられるからということで、七百万円か八百万円くらいだと思いましたが、それを持つてつたら四百万円くらいという話もあつたが、結局六百万円というところにおちついたように記憶しております。
  96. 川崎秀二

    川崎委員 文部大臣は非常に記憶が正確に近い。つまり千二百万円の申請に対して八百万円出されたように思う。そうして六百五十万円であるか六百万円かにおちついた。たしか六百万円だと思いますが、最後的にそうきまつた。ところが今度の大会は、あの大会の人員に比較して六、七倍、参加国にして五・六倍、しかも今度の大会の意義あることは、アメリカも来ておれば、ソ連も来ておる。それからユーラシアン・アジアといわれるトルコであるとか、イランであるとか、日本が将来交易を非常に盛んにしたい新しい未開発の地域から友好国が来ておる。これらの国家が集まつたということは、いまだかつてない。日本と他国との国際交流の一つの機会をとらえて、われわれとしては、できるだけ国家としても協力して、この遠隔の地から来た人に対して、日本は非常にサービスのよい国である、進歩的の文化国であるという印象を受けて帰つてもらいたい、これが今日国民の大部分の声だろうと思うのです。それにもかかわらず、先般の大会には八百万円という申請をしておいて、今度の大会の規模は大きいにもかかわらず、あべこべに七百万円にしたということは、東京都の財政力もあるかもしれぬけれども、東京都はすでに代々木の千駄ヶ谷に、四億の大工事として体育館をこしらえた。これはもちろんこの大会だけに使うものではない。将来オリンピックを日本に招くために必要だから、この際この程度の犠牲を払つてもつくつておこうというので、大きな犠牲負担をしておる。それをほつておいて、富裕都市であるからよかろうというよう考え方は、どこを押したら出て来るかと言いたい。先日大蔵大臣にお会いしたときに、私は実にけしからぬことを聞いた。これはあえて公表するもさしつかえないと思う。なぜならば、あのスケート大会に六百万円出したのは竹田宮のお声がかりもあつたからだという、そういう封建的な、まるで戦前の——竹田宮というのは今日ないのです。われわれ個人的には非常に親しいお友だちとしてつき合つてもらつているけれども、そういう考え方で、一方は安井の言うことだ、一方は竹田宮の言うことだ、そういう考えで査定をしておつたら、非常な間違いを起します。何ゆえに七百万円としたか、その基礎を私は聞きたい。これは予算委員会でもつと徹底的に聞けば、あなた方は答弁できないですぞ。きようは文部委員会であるから、私はむしろ意義を高揚して、数字に対してはそうこまかには言いたくないけれども、どうですか、西山さん、あなたが七百万円出したということは正しいと今でも思つておりますか。今この委員会では、すでに決議として一千万円というものを先に決議してしまつたけれども、しかし七百万円であの大会というものが運営されると思つておるか、その根拠を聞かしてもらいたい。
  97. 西田泰介

    ○西田説明員 私でよろしゆうございますか。
  98. 川崎秀二

    川崎委員 ええ。
  99. 西田泰介

    ○西田説明員 スピード・スケート選手権大会のときは、今度のレスリング大会のときとの差が出ましたのは、主として入場料収入が今度の場合は多い。そういうところから差が出たのでは先般のプロ・レスリング——満都のフアンを熱狂させたあのプロ・レスリングは、私はあまり興味を持つておらないけれども、見れば私でも力道山とかシャープ兄弟というものが、組んずほぐれつするので、あれはアマチュア・レスリングとは違つたシヨーとして一応成り立つておるけれども、あの前例などを基礎にして大蔵省が考えたら今度の大会は入場料収入に対して大きな査定の甘さがあると思う。その点大蔵省としても問題がある。六割で八百万円が千七十二万円というが、これは八割三分くらいになりはしませんか。どういうふうに査定されたか知らぬけれども、大蔵省がそういう入場料に対する考え方で押しつけることは間違いじやないか。札幌の大会の場合には、なるほど入場軒は割合少いかもしれぬけれども、あれは野外競技場で、収容人数を三百万としても五百万人収容できる。ところが今度のは室内の体育館であつて、あなたは競技場を見たかどうか知らないけれども、私はきのう見たが、あの競技場は固定席でちやんときまつてつて、余計人を入れることはできないのです。ここに私は大会の入場者に対する重大な誤りを大蔵省が犯しておると思う。その大蔵省の考え方に、あなたは同調したという考え方が、今度の大会に対する一つの誤りとなつておる、こういうふうに考えるのですが、御答弁を承りたい。
  100. 西田泰介

    ○西田説明員 御指摘の通りプロ・レスリングが満員でありましたために、そういう印象が一般にあつたことは事実であります。しかし私はアマチユア・レスリングがどういうものであるかということを承知しておりますから、プロ・レスリングと同じように人が集まるとは考えておりません。大蔵省におきまする満員になるというお話、この間、決してそんなことはないということでいろいろ話合つた結果、同方とも七割というところにおちついたのであります。
  101. 川崎秀二

    川崎委員 それならばあなたが申請した七百万円というものと、四百五十万円との間に二百五十万という差がある。その七百万が正しくとも、六割、七割ならそういう差が出て来るわけがない。こちらの入場料収入は六割ということで出しておる。大蔵省は七制と査定したならば、そんなに大きな差が出るわけがない。いろいろほかにも原因があるかもしれないが、そこをあなたが七割と考えておつたのを、実際には大蔵省は八割ないし八割五分も入ると認めてこの査定をしたものと見なければならぬ。そこで、前に撤回されたのはどういうわけですか。つまり四百五十万と今きまつたが、その前にゼロにして来たのはどういうところに理由があつたのですか。
  102. 西田泰介

    ○西田説明員 大蔵省の最初ゼロにいたしましたときの理由は、各費目について節約してやつてもらいたいというようなことで、名賀品を多少査定をしております。大きなものは、仮設スタンド、マットそういう種類のものは当然体育館で設備すべきものだから、それは見られないということで言つて来たのであります。それからただいまの六割と七割の問題は、多少入場者の人数について、東京都から申請して来たものと、東京都と話合いの上で変更がございました。それで、きつちり六割と七割にはなつておりません、大体そういうことになつております。
  103. 川崎秀二

    川崎委員 あまりこまかくなりますから、もう少し方向を転換して申し上げますけれども、今度の大会は全額で、郷の体育館を除いて、大体五十方円程度の費用がいるわけであります。従つて東京都も一千万円持とう、それから国が一千万円、あとは入場料その他によつて埋めようということで、今日まで交渉が進んで来た。東京都はその後今大会を開くにあたつて各国から選手を呼ぶのに、旅費を四割負担する、アマチュア規則の最大限度四割を負担するということを条件に、ヨーロツパの選手が日本に来ておる。これはレスリング協会の会長の八田君が、腕はいい人でありますけれども、多少政治的かけひきをやつて、四割持つから来てくれということになつた。そうしてその四割をどこかに持たせようとした。ところが東京都ではなかなか四割も費用を出したらたいへんだというので受けつけなかつたので、エア・フランスの航空会社に頼んで、飛行機を二台飛ばしてくれ、つまりこの大会に派遣される選手がばらばらに来ては、一人二十万円、三十万円の費用がかかるけれども、パリならパリに何月何日に集合してもらえば、そこから先の飛行機賃は、指定された飛行機に乗れば四割負けるという約束のもとにエア・フランスに交渉して、それが成功しておつた。すると、先般突如として——突如でもないが、インドシナ戦線に変化があつて、デイェンビェンフーというところが落ちた結果、フランスの傷病兵を急拠フランス本国に運ばなければならぬという軍事上の問題が出て、この四割割引というのはおじやんになつた。契約違反だから、これはエア・フランスを訴えなければならなかつたのでしようが、その差額を今度は東京都が持たなければならぬことになつて、千八百万円の大きな赤字になつた。この大きな赤字は不可抗力でありますから、東京都が持つのは当然でしよう。しかし、前の一千万円と合せて二千八百万円も持つ、その上に国の国庫補助があらかじめ一千万円と当て込ん、おつたのが四百五十万円に減らされるというのでは、これは主催者としては泣きつらにはちだと思う。そういう事情が緩和すれば、当然国としてもこれだけの大きな事業をすることでもあり、プロの競技と違つて国際的にも大きな影響があるのだから、一千万円程度は負担して、国がよそを見ておらぬのだという心構えを示してもらいたいというのが本日の質問の骨子でございます。その意味でこれから質問したいことは幾らもありますが、この委員会でそんなに詳しく申し上げては他の委員諸君にも御迷惑でありますから、ただいま決議をされた趣旨を体得せられて、ぜひとも文部大臣においては大蔵大臣と御折衝になつてあとの五百五十万円程度のものを計上していただきたい。もしこれができなければ、赤字が出た場合においては国家も相当の負担をするということでなければ、今度来た選手に対する十分な優遇というものもできないではないかというように感ずるのでありますが、その意味において文部大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  104. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 川崎君のお話はまことにごもつともに思います。実は先ほどからお話がありましたように、大蔵省としては一応全然補助はしたくないというような話までありましたので、一千万円までまた補助してもらう、予備費を出してもらうということは相当の困難な実情にあります。本委員会におきまして御決議もあつたことでありますから、私どもとしてはもともとできるだけ、少くとも合理的な線までは補助したいという気持は持つておるのでありますから、御決議の趣旨に沿うように努力はいたしますが、ただそれで一千万円必ず出すかと言われても、相手があることでありますから、努力はいたしますけれども、その点は相当困難であるということはあらかじめ御了承いただきたいと思います。
  105. 川崎秀二

    川崎委員 最後の言葉を、あらかじめ困難だということを言わずに、文部委員会が決議をしたことは、院議の次の問題でありますから、ぜひとも貫徹をしていただきたい思う。しこうして先ほどの決議については、小澤国会対策委員長も、最低一千万円というものを認めて、今日の決議に賛成をしておられる。自由党の委員諸君は、きよう昼も、いろいろないきさつ等もあつて姿を見せないけれども、対策委員長がそう言われておる。近くは建設大臣になるとかならぬとか言われておる人が、そこまで言つた以上は、確実なものだと思うから、眷眷服膺して努力願いたいと思う。  最後に、こういうようなあやまちが再び起らないために、もう一つ、この問題とは違いますけれどもちよつと質問をしておきます。それはこの八月にドイツへ向けて日本の少年が二十数名行く計画がある。これは昨年度ドルトムントで行われた国際競技大会の際に、その選手監督として行かれた大島鎌吉君が、ドイツの内務省と交渉した結果、ドイツの外務省では、本年夏季において二十五名の日本少年を二十日間にわたる滞在予定で、ドイツ国に派遣の計画に連邦内務省が同意した旨を、日本の大使館に通報して来たということが、本年一月九日、トクトル・ウィルヘルム・ロェルという人によつて、横浜市長平沼亮三氏に対して知らされております。平沼氏は、全国都市体育協議会の議長もしておつて、日本の少年が、敗戦国として同一の運命にあるドイツの民族的興隆の状況、並びに青少年がドイツにおいてどのような境遇にあるということをくみとることは、国際的にも、民族的にも意義がある。同じ敗戦下の共通の環境に立つて、ドイツの青少年がいかに祖国復興のために立ち上つておるかを見るということは、非常にいいことだと思う。これはむしろ計画が早ければ、これまた国家が幾分なりとも協力すべきことだと思います。しかし平沼氏等においては、とうてい今の文部省では、金なんか出してくれまいということを考えておるのでしよう。とにかく各都市では、自弁で行くように、ちやんと計画も立つておるので、残つた問題は、外貨の獲得いかんの問題です。外貨の獲得も全部でわずかに三万五千ドルばかりで、非常に少いものです。今度の総理大臣の旅行のうち、麻生和子さん一人削つただけでも十分出るんじやないかとさえ思うけれども、そんなよけいなことは別にして、こういう意義あることに対して、文部省は今日これに協力をして、大蔵省に申し込んでおるのかどうか。またこれらについて重大な蹉跌が起つたりして、せつかくのこういう計画を無にしてはならぬと思いますから、この際伺つておきたい。  さらに先般アジア各地から集まつて行われたマニラのアジア大会、あれは非常に大きな効果をあげたものであつて、私は、何でも国際競技に補助しろということは間違いですから、たとえばこの間ロンドンへ行つた。ピンポンの大会のごとき、いかに成績をあげても一競技について補助をし始めたらきりがない。また国家がそれほど補助すべきものでない。やはり有意義な大会であつて、それが総合的な規模をもつて行われる今度のレスリング大会のごとく、世界の各国を集めるとかいうものに、主人公でありながら一銭も出さぬということは話にならぬ。またアジア大会のように意義のある大会については、やはり欠損が出たならば、多少補助をしてやる。こういうところに文部省方針がなければならぬと思いますが、それらについてこの際一括して、文部大臣並びに事務当局の説明を伺つて、私の質問を終りたいと思います。
  106. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 日本の青少年をドイツヘ、向うの非常な好意で連れて行くというよう計画は、私も承知をしております。私は非常にけつこうな計画であると思つております。従つてこれは五大都市ですか、その方で費用は何とかくふうせられる。ただそれに見合うところの外貨の獲得の問題でありまして、これは大蔵省にせつかくお願いをしておるのであります。ただ子供の数が二十五人ですか、二十五人全部ということはなかなかむずかしいというような話であります。できるだけ計画に達するようなことにしたいと思つておりますが、ただ御了承いただきたいと思うことは、御承知のように、外貨の手持高が非常に少くて、従つて本年における外貨の計画については、私も詳しいことは知りませんが、非常にきゆうくつになつておるようであります。スポーツ関係においても、これは私どもの関係でありますから、この前お話を聞いたときにも、実は初めはデヴイス・カップの派遣選手の方までも削つてつたようであります。これはいろいろお願いをして、そういう伝統のあるようなものまで削つては問題にならぬということで認めていただいたのでありますが、そういうわけで、非常に実はきゆうくつであります。これもあらかじめ計画がすつかりでき上つておるのでありますから、そこに割り込んで行くということに相当困難があろうと思いますが、私どもとしても、できるだけ大蔵省にお願いをして、所期の子供が向うに行けるようにしたいと思つておりますが、現在のところでは、十人足らずくらいならどうかというような話で、実際は多分にわれわれの希望とは違つております。
  107. 河野一郎

    河野(一)委員 時間もありませんから簡単に申しますが、文部大臣は、日本でオリンピック大会をやることに賛成ですか、反対ですか。
  108. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 私は満腔の賛成をしております。
  109. 河野一郎

    河野(一)委員 満腔の賛成だというならば、今回の大会はオリンピック招致とどういう関係があるとお考えになりますか。
  110. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 今回の大会は、オリンピックを招致する上において、非常に有効といいますか、有意義といいますか、この大会に集まつた各選手あるいは関係者が、非常に満足のもとに終了するということが、その点から見て意義があると思つております。
  111. 河野一郎

    河野(一)委員 そういうことにお考えならば、今のような四百五十万円くらいの金を出して、それで政府賛成だの、これが試金石になるのだと——実は東京都長官としては、東京都がオリンピックを招致する上においてぜひこれをやつて、国際的に、日本のスポーツに対する国民的熱意、政府のこれに対する理解というものを十分国際的に知らしめようということでやつておるということです。そのやさきに、先ほど来川崎委員のお尋ねに対する御答弁は、入場料の計算が違うとか違わないとか、それはアマチユア・スポーツの論議の対象じやありません。計算が違うから、もうかるだろうとか、もうからぬだろうとか、入るとか入らないとか、プロならともかく、アマチユア・スポーツもしくは国際スポーツの上において、オリンピック大会をやる、それに対して政府はこれに協力するという意味合いにおられる人の論議すべきことじやないと思う。もし入場者がたくさんあつて、よけい金が入つたときには、その金を次回のオリンピック招致の上においてこういうふうに使つたらいいじやないかというふうに考えるべきであつて、入場料が多かろうからこれだけ削つてもよかろう、出してもよかろうという感覚で、一体オリンピックが日本に開けるということになりましようか。文部省考え方が、先ほどから西田君のお話のように、入場料の計算がどうのこうのと言つておるような、そういう体育課長で、日本でオリンピックを開こうなどとはとんでもない。また文部大臣がそれを肯定して、また査定する大蔵省の態度も、今の内輪話が、国際的にもスポーツマンの耳に入つたら、そんなちやちな国へ行つたら、帰りの船も乗れないだろう。日本まで行つて、帰りがどうなるかわからぬということでは、来やしません。こういう話を伝え聞いたら、一体どういうことになるか。これによつてオリンピックを日本に持つて来る試金石にしよう、前提にしようというお考えなら、もつとすつきりとしたものにしなければいかぬと思う。今のような話を聞かれたら、これでは日本にオリンピックは来ませんよ。一千万円に対して四百五十万円である。この程度のことでは、一体これからオリンピックをやるのに準備をしなければならぬ、競技場もつくらなければならぬというようなこととは私は距離が遠過ぎると思う。同時に一点特に大臣の所見をたださなければいかぬと思うのは、アマチュア・スポーツに対する感覚が違うと思うのです。何のために一体体育課長がおられるのか。そういうアマチュア・スポーツを育成するのが体育課長の職責じやありませんか。月給をもらつてつておるのは、そういうことを育成しなければならないと思うのです。趣味であるから、余暇にやつておるのだからというのでなく、アマチュア・スポーツを育成して、国民の体位の健全な発達をすべき職責が体育課長にあるのです。もしそうでないならば、それを指導監督しておられる文部大臣に責任がある。今のような態度で、言うて来なかつたから遅れた、聞いてやつたけれども、返事が来なかつたから遅れたと言うが、そこまで立ち入つて、親切に育成指導するのが体育課長の職務じやありませんか。責任をお考えなさい。あなたがそういう態度だから、われわれこういうことに関係するごとに苦杯をなめておる。きようも私は午前中に東京都知事とこういう話をした。河野さん、これじやこの次のアジア大会を東京に持つて来ることはお断りしますと言つておる。この間のフィリピンの大会で、次回は東京でアジア大会を開くときめた。その場合、だれが主催者となりますか。その東京都知事の安井君は、絶対に断ると言つておる。今度の文部省の態度では、そういう責任はとれない。大会を東京でやることはできない。今度の大会が済んだら、重大決意を発表するとまで言つておる。そういういざこざをやつてつて、オリンピック大会を日本に招致するということが一体できますかどうですか。あなた方としても四百五十万円をきめたことも、なかなかむずかしいとは思います。大蔵省の役人には体育のことがわかるわけがない。その大蔵省の役人に持つてつて文部省の係官が十分に大蔵省の人を納得せしめるだけの手腕力量がなければならない。できなかつたら責任をとるべきなんです。大蔵省が認めないんだからしかたがないといつておられたならば、われわれ民間の関係者は一体どうしますか。昨年ドイツへ陸上競技の選手を連れて行つたときに、私も非常に苦杯をなめておる。世間の人は、河野は一緒に行きたいんだから、あんなことを言つておるんだろうと言つたかもしれないが、私は自分は行きたいとは考えていない。私は国民の交流の上から、あつちこつちぺこぺこおじぎをして金を集めた。しかしたいへんな借金になつて、いまだに済んでいない。民間の努力はこのように続いていることを考えたら、今のようなのんびりしたことではいけない。民間の先輩などの態度は実にりつぱだと思う。それを今日入場税の計算が違つて、もしそれが入らなかつたら、その被害はだれが持つのですか。四百五十万円で足りると言つた政府の計算が違つて、それで足りなかつたら、あなた方はそれを出しますか、出しませんか。その結末をどうするのですか。これに対する御所見を承つておきたい。
  112. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 河野さんの、四百五十万円という現在の金額に非常に御不満なことはごもつともであります。その四百五十万円に非常に御不満であるから、その結果いろいろな小言をおつしやることも私はあたりまえだと思います。しかし役所の仕事でありますから、これは申すまでもないことでありますが、計算を離れて、これは非常に有意義なものであるから、使つただけははじき出すというようなことは、役所の仕事としてはできないことであります。やはり一応、ことに大蔵省の立場としては、そういう立場であろうと思いますから、大蔵省に交渉する場合に、事務的に数字の説明の十分できるようなもので折衝しなければ、ただこれは非常に大事なことだから、あまりこまかいことを言わずに、大づかみに金を出すということができないことは申し上げるまでもないことで、この点は御了承願いたいと思うのであります。  なお、文部省としましては、スポーツ、ことにアマチュア・スポーツの育成ということについては、責任を持つておることでありますから、今後ともこの点については十分その気持になつて、努力を進めて参りたいと思います。この点も御了承いただきたいと思います。
  113. 河野一郎

    河野(一)委員 私はただいまの大臣の答弁は、あえて申すわけではありませんが、東京都には議会というものがあります。東京都もこれに関して一千万円の予算を組んでおります。東京都が一千万円、政府において一千万円というのが当初からの予定であります。東京都は国会と同じように都議会を持つておる。その東京都議会の承認を得てやつておるのです。大づかみに金を出しておるわけではありません。相当の基礎の上に立つて、都議会の審議の結果によつてつておるので、でたらめにやつておるわけじやありません。東京都の数字があつてきめたものに対して、これがでたらめだと言う、これは少し言葉が過ぎると私は思う。私が申し上げなくても、決してそういうでたらめなことをやつておるのではない。私は内容について詳しくは存じませんけれども、東京都の方で一千万円というこの計算は、詳細な計算があつて、東京都議会が承認をしておることだと思う。それを政府の方は、ずさんであるからこれは四百五十万円でいいんだという計算が出ることが私はおかしいと思う。どつちがずさんであるか、どつちがでたらめであるかということになる。政府の方は財源がないからこの程度しか出せなかつた。予備金から出すのだから、この程度でかんべんしてもらいたいということに結論はならざるを得ないと私は思う。であるから、私は東京都において相当の調査審議をした結果一千万円で、合計で二千万円ということになつておるのだから、それを政府の方においても、当然あなたの方の職責としても、アマチュア・スポーツの育成の上に出すべきじやないか、こういうことを申し上げたのであつて、四百五十万円は少いから、一千万円ということを言つておるのではない。あなたの方も大蔵省の方とよく協議してください。計算の基礎がなければいかぬ。東京都の方においても、この計画には十分検討を加えてやつておると思う。ただこの問題は、先ほどから質問応答を承つておりますと、東京都の入場料の計算が少し辛過ぎるというところに違いがある。もつと入るだろうということ、あるいは備品などは恒久的のものだから、今ここでかかつてもいいじやないか、体育館の付属品としておいたらいいじやないかというようなところに違いがあろうと思うけれども、そんなこまかいことまで責めて行つて、そういう態度で大蔵省と文部省がやつておるのでは、アマチュア・スポーツの育成強化はできません。ことに今までのように、民間の寄付金がたくさん集まるようなときならよろしゆうございますけれども政府がこういう政策をとつておるために、民間の寄付というようなものは、非常に困難になつて来ておる。ますます政府の補助によつてやる以外に、民間のスポーツの発展はできません。時代がかわつて来て、政府がきゆうくつな予算を組めば組むほど、逆にスポーツ団体に対する金は計上しておかなければ、運営ができないことになるのであります。そこをわれわれはやかましく言うのであります。これが従前のようなときならば、民間からどんどん金を集めましてんなに政府に頼らなくてもできると思います。そういう点にアマチュア・スポーツをあずかつておる人の考えが行つておらなければならないということを考えてもらいたい。同時に、今までの文部省においても、今私が言うように、アマチュアのスポーツを扱うところはもう少し考えてやつてもらうようにしてもらいたい。私は西田君を非難攻撃するわけじやありません。ただ感覚がわれわれと違う点があるのではないかという気がするのであります。時代はだんだんかわつて来ております。たとえば国体のあり方等についても、これは当然検討を加えなければいかぬと思つております。そういう点について、ただ従来やつて来たものはそのままいいんだ。歴史があるからとか、従来来たものはそのまま行けるけれども、新しくかわつて行くことについては少しもかわられないということでは困るのです。たとえば今大臣のお話のように、デヴイス・カップの費用はちやんと組んでおくのだ、歴史があるからやるのだということで、一ぺん頭を上げたものはそのままでいつまでも行けるけれども、新しいピンポンのようなものは行けないというようなことでありますると、日本の国内の国民的な感情からいつて大臣どうお考えになりますか。硬球テニスに対する国民のスポーツの熱と、ヒンポンもしくはバレー、バスケットに対する熱と、大衆的にいつてどつちが多いと大臣は見ておられるのか。工場労働者等が今日一体硬球テニスをやつておるかどうか、そんなものはやつちやおりません。一般勤労大衆の大会に硬球テニスの選手権大会なんというものは全然ない。そういうふうに、時代がかわればかわつたように、文部省のアマチュア・スポーツ育成の感覚はかえて行かなければならぬと私は思う。そういうものもやめろと言うのじやない。そういうふうに新しく育成されて来るものに対しては、文部省はおのずから見解をかえ、政府は見解をかえて、そうして勤労大衆の興味をこの方面に十分育成、指導するようにして行くことが、国内を明朗にして行くゆえんだと思う。ところがいつまでもとらわれておつて、古い一ぺん載つたものはずつとやる。昨年交渉したときには私はそう思つた。きまつたものだけは行きますけれども、新しく行くものはだめですと言う。そういう保守固陋、反動的な考え方は私はいけないと思う。(「その通り」)そういうことをかえて行かなければいかぬと思う。そういう点について少しも苦心だとか努力だとかいうものがない。ごらんなさい、この自由党の態度を。こういう重大な問題の話をするのに、一人も委員がおらぬじやないか。これで全国の青少年が満足いたしますか。教育法案ならば血の道を上げて騒ぎ立てるが、スポーツの話になると一人もいないじやないか。(「その通り」)こういうことを少し反省しなければ、大衆は政治に対して満足いたしません。わずか五百万や一千万の金を出すとか出さぬとか、これが全国の青少年にどういう影響を及ぼすか。私は深く大臣にこれらの点を御理解願つて、重大なる決意をもつてこの問題の解決に当つていただきたいと思う。そういうことでありませんとこの結果が非常に悪い。国際オリンピック大会を日本で開こうということを言つて、院議をもつてしばしば決議しておる。そういう決議を何度しても、この問題の解決が十分つきませんと、このために重大な支障を来して、絶対にオリンピック招致というようなことは不可能になるというような点も、この裏面にあるということをお考え願わなければなりませんし、次回のアジア大会の開催についても、東京都長官が非常な決意を持つているいうことも、あわせてお考え願わなければならぬと思う。これらの点をあらかじめ私は警告して、先ほど決議いたしました趣旨の実現を大臣に要望して私の質問はやめます。これに対しての大臣の御決意を承りたい。
  114. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 お話はごもつともであります。なるほど河野さんなり川崎さんなり、特に御熱心なアマチユア・スポーツの支持者からごらんになれば、文部省の不徳であつたというふうにお考えになる点があろうことは、私もそうだろうと思います。ただ文部省としては、なるべく補助金も少くするとか押えるとかいう立場はちつともとつておらぬのでありまして、この四百五十万円につきましても、これでいいとは思つておらぬ。このアマチュア・スポーツの振興のためにできるだけ予算は予備金の支出も増してもらいたい、これが終始とつておる立場でありまして、決して文部省がこれを押えるとかなんとかいう考えがないことは、申し上げるまでもなく御了承願えると思いますが、ただこれも相手のあることでありますし、ことにこういう財政上の事情もあることでありますから、なかなか思うようには参りません。この点で御不満のあろうことはごもつともに思いますけれども、さような点で文部省としてはなかなか思うように行き得ない。これは文部省と申しますか、私の微力のいたすところでありますけれども、今後これについてはせつかく御鞭撻あるいは御協力をいただきまして、アマチュア・スポーツの振興に努力をして行きたい、かように思つております。
  115. 辻寛一

    辻委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後九時五十五分散会