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1954-04-20 第19回国会 衆議院 文部委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十日(火曜日)     午前十一時四分開議  出席委員委員    委員長 辻  寛一君    理事 相川 勝六君 理事 竹尾  弌君    理事 長谷川 峻君 理事 田中 久雄君    理事 野原  覺君 理事 松平 忠久君       伊藤 郷一君    坂田 道太君       世耕 弘一君    原田  憲君       町村 金五君    辻原 弘市君       山崎 始男君    小林 信一君  出席政府委員         文部政務次官  福井  勇君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君         文部事務官         (調査局長)  小林 行雄君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         専  門  員 石井つとむ君        専  門  員 横田重左衞門君     ――――――――――――― 四月十四日  金子與重郎辞任につき、その補欠として松浦  周太郎君が議長の指一名で委員に選任された。 同月十五日  委員熊谷憲一辞任につき、その補欠として三  浦寅之助君が議長指名で一委員に選任された。 同日  委員三浦寅之助辞任につき、その補欠として  熊谷憲一君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員熊谷憲一辞任につき、その補欠として生  田宏一君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として  今井耕君が議長指名委員に選任された。 同日  理事町村金五君の補欠として田中久雄君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 四月十六日  文部省関係法令整理に関する法律案内閣提  出第一五三号) 同日  学校給食法制定請願外一件(中原健次君紹  介)(第四四八二号)  同外一件(大村清一考紹介)(第四四八三号)  同(大村清一紹介)(第四五二五号)  学校給食法制是等に関する請願外四件(大村清  一君紹介)(第四四八四号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  教職員政治活動制限法案反対に関する陳情書  (第二八二一号)  同(第一八二二  号)  市町村学校合併促進法案立法化に関する陳情書  (第二八二三号)  教職員政治活動制限法案反対に関する陳情書  (第二八八二  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  へき地教育振興法案内閣提出第一三二号)  文部省関係法令整理に関する法律案内閣提  出第一五三号)  学校教育に関する件  科学技術に関する件     ―――――――――――――
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより会議を開きます。  町村金五君より理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。  これより理事補欠選挙を行います。先例により委員長において指名いたしたいと存じますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めます。よつて私より田中久雄君を理事指名いたします。
  5. 辻寛一

    辻委員長 次に文部省関係法令整理に関する法律案提案理由説明を聴取いたします。福井政務次官
  6. 福井勇

    福井政府委員 今回政府から拠出いたしました文部省関係法令整理に関する法律案について、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  明治時代以降に制定された法令のうちには、すでに実効性かなくなつたにもかかわらず、形式的な廃止措置を講じていないものが若干残つております。  これらの法令について、今回各省所管法令を通じて検討の結果、法令整理という見地から廃止措置を講ずることになりました。従つて文部省関係法令についてはこの整理に関する法律案を提出いたしたのであります。  次に廃止しようとする四件の法令について簡単に御説明申し上げます。  第一に明治四年太政官布告で出されました古器旧物保存方は、古器旧物の類を厚く保全しなければならない旨の布告でありまして、これは今日すでに文化財保護法制定によりまつた実効性を失つているものであります。  第二に明治六年太政官布告で出されました社寺境内樹木濫伐禁止の件は、付与境内樹木地方庁の許可を受けなければ社寺修繕等に用いるためにもみだりに伐木してはならない旨の布告でありまして、今日では実情に即さないと考えられるものであり、この際廃止することが適当であると思われます。  第三に官立府県立師範学校卒業生の徴兵に関する件は、当然実効性のないものであります。  第四に市町村立尋常小学校費臨時国庫補助法は、昭和七年度から昭和十年度まで市町村立小学校経営費の一部を国庫が支出する旨の法律でありまして、現在ではまつたく適用の余地のないものであります。  以上この法律案を提出しました理由と、廃止しようといたします法令について御説明いたしました。何とぞ御審議の上すみやかに御賛同を賜わらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  7. 辻寛一

    辻委員長 次にへき地教育振興法案、盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案教育職員免許法の一部を改正する法律案教育職員免許法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整理に関する法律案文化財保護法の一部を改正する法律案学校給食法案文部省関係法令整理に関する法律案、以上七案を一括して議題といたします。質疑を許します。伊藤郷一君。
  8. 伊藤郷一

    伊藤(郷)委員 私はただいま上程になりましたへき地教育振興法案につきまして、ただいま思いついたことだけに限りまして若干お尋ねしてみたいと思います。  このへき地教育振興法案は恵まれない農山漁村僻地教育を盛んにして、ほんとうの文化国家をつくる力を末端までに養つて行くという熱望からいたしまして、長い間要望せられておつたんでございますが、今回幸いにも政府提案の形で上程せられましたことけ、まことに関係者として喜びにたえない次第でございます。  思えば昨年の七月末全国僻地教育振興の大会がございまして、八月国会終りでございましたが、当委員会において僻地教育振興決議案通り、両院も通過したのでございます。その後その熱望は引続き高まつて参りしたか、あたかも政府緊縮予算編成等とから合いまして非常に前途が憂慮せられたのでございます。国会におきましても僻地教育振興国会議員連盟が組織せられましてこの運動が続いて参りました。とうとうこういう法案が上程せられたので、先ほど申しましたようにまことに喜びにたえません。ただしかし、予算の乏しい関係もございましたから、せつかく出たものではございますけれども、われわれ完璧を願うわけでございませんが、もう少し骨のある、もつと強く僻地に光明を与えるような点がほしい、かように思うのでございます。  まず第一に第一条の、目的でございますが、「この法律は、教育機会均等の趣旨に基き、かつ、へき地における教育特殊事情にかんがみ、国及び地方公共団体へき地における教育振興するために実施しなければならない諸施策を明らかにし、もつてへき地における教育水準向上を図ることを目的とする。」とあるのでございまして、一応これでいいように思いますが、しかし一番あとの「もつてへき地における教育水準向上を図ることを目的とする。」ということになりますと、印象といたしましては、いくら僻地教育水準向上をはかつて行つても、常に僻地以外の教育水準の方か上であつて、絶えずそこへ追いつくように努力して行くといつたような、いつまでも教育上の僻地というものが残つて行くんだというような弱い感じを与えるのでございます。もちろん地理的、地域的に僻地は将来とも残るのではございましようが、少くとも教育上の僻地というものはわれわれ解消して行かなければならぬ、そういう意味終りの方をもう少し改めて、僻地における教育充実しなければならぬとかいうふうにしたらいいと思うのでありますが、文部当局はこの僻地教育というものを、いつまでも後進性のままにして行くというと語弊がございますが、そういうふうに考えておられるのか、水準に追いつけた後は同じスタートから僻地以外の教育とともに高めて行くのか、どういうお考えかお聞きしたいと思います。
  9. 福井勇

    福井(勇)政府委員 まず伊藤委員より今回政府提案をいたしました本案について非常に喜ばれましたことは、政府側として非常に意を強うするものであります。  なお法律案に規定されました施策実施すれば、振興策としてはこの法律で十分であるかどうかというような大綱の御質問でありまするが、この法律案に規定された施策実施すれば、僻地教育振興策として十分であるとは毛頭考えておりません。むしろ僻地教育振興のために、まさに第一歩をこれで踏み出したという私たち考えでございます。今後速急に具体化しなければならない施策といたしましては、目下研究を進めている段階でありまするが、僻地学校についての教員配当基準の設定、教員研究旅費支給施設設備整備充実、寄宿舎、冬季分校整備僻地在勤教員子弟育英資金支給巡回診療の完全な実施、通学の困難の除去等でありますが、この法律案に規定された諸施策を国及び地方公共団体が着実に効果的に実施することによりまして、僻地教育振興のための礎石を築きまして、この上にさらに新しいより強い施策を積み上げて行きたいと考えております、僻地教育振興のための施策は、一方において僻地の諸条件の解消を他の行政領域の問題として並行的に解決するとともに、僻地を有する限り教育上の施策をたゆまず実施しなければならないことと考えますので、一層文部省としても努力する考えでございます。
  10. 伊藤郷一

    伊藤(郷)委員 次に第三条についてお尋ねいたしますが、僻地というものか何であるかということにつきましてはなかなか定義づけることは困難だと思います。停車場から何里離れたとか、あるいは、季節によつても違いましようし、困難だと思いますが、この中で「交通至難」という言葉があるのでございますが、この点につきまして、僻地における教職員並びに関係者などは、僻地意味をこれによつて何か文部省が非常に限定するような意図を持たれておるのではないかというようなことを一部において危惧しておるのでございます。と申しますのは、あまり強く限定することによりまして、従来もらつておるところの僻地における地域給というようなものに影響が来るのではないか、つまり既得権が剥奪されるのではないかというようなところからの心配だと思うのございますが、その点につきまして、そのような心配はないかどうか、ということを稲田局長お尋ねしたいと思います。
  11. 稲田清助

    稲田政府委員 私からお答え申し上げることをお許しいただきたいと存じております。現在御承知のように、僻地がいかなるところであるかということは、僻地手当支給を受けるというような関係上、都道府県基準を大体きめて、それに基いて各市町村教育委員会等において決定しておるところでございますが、やはり給与のことでありまするので、自然国給与に準ずるというようなことを、ただいま御指摘になりましたこの交通至難という字句も、国の基準に用いておりまするところをそのまま実際に用いておるところが多いのじやないかと考えるわけであります。ただ事の性質上、これは全国一律に画一的にきめることは私とも不適当だと考えております。それぞれ島嶼あるいは山間、いろいろ具体的事情が違つておりますわけでございまするから、全国の画一の基準を出しますよりも、都道府県ごと措置による方が無理がないと考えております。従いましてただいま御心配になりましたように、画一的に地方にしいるというような考えは私どもつてないのでございます。
  12. 伊藤郷一

    伊藤(郷)委員 逐条審議のようなことになりましたが、第三条の「市町村は、へき地における教育振興を図るため、当該地方の必要に応じ、左に掲げる事務を行う。」という、その事務という言葉についてでございますが、ここでに次の事柄を行うというような意味に何の心配もなくすらすらわれわれにも了解できるのでございますが、第六条に参りまして、「国に、市町村が行う第三条第一項第二号又は第三号に掲げる事務に要する経費について、予算範囲内でその一部を補助することができる。」こうある。その第六条にある事務という言葉でございます。心配いたして考えますと、事務に要する経費というから、何かいわゆる事務的の経費というふうに考えられまして、心配にもなるが、この中には断然教員住宅をつくる費用の一部を国が今日も補助しておるのでございますから、そういうような意味も、最初の第三条の中にあろ事務のような意味にも解釈でき、また解釈しなければならないと思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
  13. 稲田清助

    稲田政府委員 ただいま御指摘になりました第三条及び第六条に掲げておりまする事務という言葉でございますが、これは行政機関働きというような意味合いにおきまして、始終法律上の用語として用いておることをここにそのまま用いたわけでございまして、狭義の事務ではございませんので、事業並びに働きというような広い意味に私どもは解釈いたしております。従いまして第六条におきしまして「第三条第一項第三号又は第三号に掲げる事務に要する経費」と申しますることは、第三条第一項第二号または第三号の事業に要する経費ということと同一に私どもは解釈いたしておりまするし、現に予算といたしまして職員住宅につきましても、また第二号の教育共同利用施設につきましても、国が経費助成予算を計上しておるような点におきまして御理解いただきたいと、存じます。
  14. 伊藤郷一

    伊藤(郷)委員 ただいま稲田政府委員の御説明によりまして、事務という言葉内容かわれわれの一部で心配しているようなものでないということがはつきりしたものでございますが、あと第三条の一、二、三を見まして、いろいろうたわれておりますが、われわれが僻地教育振興立法考えましたときに一番大事に考えましたことに、あの恵まれない農山漁村僻地にあつて、いわゆる玄関と、職員室しかない、あと細い廊下があるという単複学級に何とかして集会室、あるいは屋内体操場と申しますか、そういうものを設けたいということだつたのであります。それこそがその僻地、辺地におけるところの文化の道場になり、公民館も兼ねられるのでありましようし、いろいろの行事もそこで行われる、また団結の慰安の中心になる、こういうふうになつておるのでございますか、これは予算を縛るようになりますので、はつきり書いてはございませんが、しかしそれらのことも将来ともこの法律通りまして考えられるようになつたか、操作できるようになつたか、そういう点をちよつとお尋ねしたいと思います。
  15. 福井勇

    福井(勇)政府委員 お答えいたします。御質問僻地における学校が非常に教室等に特に不便を感じておることは私たちも認めるところでありますが、僻地に所在いたしまする学校施設はきわめて狭隘であつて、貧弱であり、屋内体操場音楽室、講堂の施設は皆無に近い状態であります。また僻地においては公民館図書館等社会教育施設の普及、充実も困難でございます。施設に恵まれない教育活動はどうしても個人的、偶然的になりやすいものであつて計画的運営が困難で、十分なる効果を期待し得ないのでございます。一定教育水準を確保するために一定教育施設が必要とされるという次第でございます。僻地学校教育社会教育を通じまして、およそ教育文化施設に恵まれていないのでございますから、総合的な教育文化施設設置を促進して、この施設を他方面に活用させることをねらつておるわけでございます。かかる施設通称集会室と呼ぶごとにしておりますが、この集会室設置に対する国の補助は、昭和二十九年度が初年度でございますが、二十九年度予算では二分の一を国庫補助をし、坪当り二万七千七百円の建物を全国で七千十三坪埋設することとして一億円を計上いたしました。しかし建築様式基準坪数等においては今後慎重に研究の上、実施に移したい考えでございます。将来は二十九年度の事業実施状況について慎重に検討を重ね、僻地教育振興のための役割を十分に果し得る施設としての集会室をできる限りすみやかにすべての僻地学校設置することができるよう、予算の獲得と充実をはかりたい希望でございます。
  16. 伊藤郷一

    伊藤(郷)委員 ただいまの政務次官の御答弁によりまして、政府の点のあるところはよく了承いたしましたが、今後一層この面におけるところの予算の増強に御努力あらんことを切望してやみません。  今日私の地元のことを申しては何でございますか、北海道の新聞が参りまして、それを見ましたところ、これも偏向教育の事例に関係のあつた中標津町の武佐ではなく、別な地帯でございますが、計根別という小学校分教場先生が七十二歳でございまして、非常に老朽で、弱くて出たり出なかつたりするというので、生徒が登校をがえんじないで、非常に問題になりまして、中標津町の町長に訴えておるという問題があるのでございます。この西竹という分教場は千島から追われた人か定着しておるのでございまして、私が参りましたときには丸太棒を立てまして、熊笹を集めて屋根をふき、またそれを壁としております。去年の冬はどうであつたかということを聞きましたら、いくら濃密に笹で囲つておりましても、熊笹でございますから、そこから雪が入つて来まして、ふとんの前に雪が一尺もたまつたというような、まつたく恵まれない僻地なのでございます。稲田局長をほめるわけではございませんが、非常な御理解によりまして、北海道のことばかり申してどうかと思いますが、学芸大学定員増もしていただきまして、今日釧路の分校のごとき増員もしたにもかかわらず、第一回で定員をはるかにオーバーをしているというようなことになりまして、着々当局理解と同情は実つて来ているわけでございますが、何といたしましても、あの広漠無限北海道でございますので、また定員を増加しなければならない。それで根室原野とか、あるいは宗谷の奥地というようなところには、ただいま申しましたような老朽職員がまだたくさん残つている、あるいは言われているところの豆教員と申しますか、高等学校を出てすぐ先生なつたものならば、まだいいのでございます。小学校を出て戦後すぐ教員に間に合せになつたという者が残つておりまして、意気は盛んかもしれませんが、力が乏しくて、そういう人が日本の将来をになう原動力となる農山漁村子弟を訓育するということは、まことに情けないことたと思うのでございます。そこで第四条の二項の「都道府県は、必要に応じ、へき地学校に勤務する教員養成施設を設けなければならない。」これは相当やつてくださつて予算の面においても今までも考えておられるのでございますが、この点はさらに一段と御努力をしていただきたい。どうかして都道府県僻地における教育内容と、僻地でないその他の地域における教育内容との間にバランスがとれるように、そのために一層教員の資質の向上であるとか、あるいはその配置、人事交流がスムーズに行き、僻地に行つたら、かえつて損をするのでなくて、むしろ得をするくらいに十分考慮を払つていただきたいと思いますが、その点について政府のお考えをあらためて福井政務次官から伺いたいと思います。
  17. 福井勇

    福井(勇)政府委員 僻地学校教員養成等についての考えはどうかという御質問の前に、伊藤委員の御指摘になつた北海道西竹分教場その他における教員の問題について、文部省稲田局長ほかいろいろ考慮いたしまして善処したつもりでありますが、これはその地方のみならず、全国的に文部省では手落ちなくやつておるつもりであります。  教員養成につきまして、僻地特殊事情は、僻地学校に優秀な教員を誘致することを非常に困難にしております。従つて僻地学校における教員組織は、助教諭の占める率が高くなつておるのでございますが、このような僻地教員組織を改善して、助教諭教諭に切りかえる措置が必要となつて参ります。現行の教育職員免許法によりますと、高等学校卒業生で一年間の養成機関を修了すれば、教諭仮免許状が交付されることになつております。そこで応急的な方法として、高等学校事業者僻地学校教員になろうとする者のために、臨時教員養成所を設けることが考えられ、昭和二十六年以来都道府県において設置されるようになつて参りました。この施設を終了した者は大半が僻地学校に勤務し、非常によい成績を上げております。そこでかかる施設設置都道府県の任務として規定したわけでございます。国においてもかかる施設設置を奨励するためにその運営に要する経費について補助を行うこととし、必要な予算を計上いたしました。
  18. 伊藤郷一

    伊藤(郷)委員 最後にこの法案の由と思われるのでございますが、第六条の第一項あるいは第二項を見ますと、いずれも「予算範囲内でその一部を補助することができる。」かようになつております。これは任意規定でございますが、われわれはこれでは弱いと思うのでありまして、政府僻地教育振興するという強い決意と責任をここにうたつていただくために、一段大蔵当局と強い折衝をいたされまして、予算範囲内でその一部を補助するものとするとかいうふうに、強い義務規定にしてうたつていただきたい、こういう要望なのでございますが、今政務次官はただちに即答はできないかもしれないか、政務次官の熱意のあるところをひとつ示していただきたいと思います。
  19. 福井勇

    福井(勇)政府委員 御指摘予算裏づけにつきましては、私も伊藤委員の御希望の点につきましては同感でございます。ただ本年度はすでに皆様御存じ通り、一兆億円の緊縮予算影響を受けまして、むしろ緊要とするこれらの案件もその目標を十分達することかできませんでしたが、将来予算が許されれば、御指示のように大蔵当局に強くこれを要望いたしまして、この目的の貫徹を期したい覚悟であります。
  20. 伊藤郷一

    伊藤(郷)委員 なお重要な問題につきましてお尋ねしたいことが二、三ありますが、きようでない方が適当だと思いますので省略いたします。が、いすれにいたしましても、この僻地教育振興というものは、率直に申しまして、私から言わせるならば、他のものにもまして、それに先んじて政府努力したければならなかつた、すなわち義務教育の根幹をなすものである、こういう考えでございます。で、政府一段のこの振興のための御奮闘を切望してやまぬのでございます。これをもつて残余の質問を保留いたしまして、一応終りといたします。
  21. 辻寛一

    辻委員長 町村金五君。
  22. 町村金五

    町村委員 私も僻地教育について簡単に二、三お尋ねをしたいと思うのであります。多年要望されておりました僻地教育振興法かようやく提案をせられることになりましたことは、おそらく僻地に住まいをいたしております全国多数の万々の非常な喜びであると思うのであります。しかしながら、ただいまも伊藤委員から御指摘がございました通り予算裏づけが十分でないというような関係もありまして、この法案内容に多少羊頭を掲げて狗肉を売るというような感じがいたすのであります。これはもちろん政府といたしもしても、将来予算の増額をもつて漸次整備して行こうというお考え承知をいたすのでありますけれども、この点は特にこの法案名実とも僻地のためになる振興法になりますように、今後文部当局一段の御努力を要望してやまないのであります。  そこで二、三お尋ねをいたしたいのでありますが、まずよく僻地教育僻地教育ということを申すのでありますか、一体僻地というものはどういう所を言うのかという、僻地の概念と申しましようか、僻地とはどういう場所を言うのかという点について、ひとつ文部省の御見解を伺つておきたいのであります。
  23. 稲田清助

    稲田政府委員 僻地とはいかなる所を具体的に言うかという御質問でございまするが、先ほどもお答えいたしましたように、具体的の手続といたしましては、都道府県教育委員会におきましてきめました基準に基いて、これは僻地勤務手当というようなことから指定いたすのが普通でありまするので、各市町村教育委員会が具体的にその勤務手当を支給すべき学校を指定する、こういう手続になつておるわけでございます。しかしそれは給与のことでございまするので、国家公務員の給与基準に準ずるというようなことで、国がきめておりまする準則、基準に事実上従う。しからば国がきめておりまする基準というものは、いかなるきめ方であるかという問題になるわけでございますが、これは御承知のように、昭和二十三年に政府職員の特殊勤務手当に関する赦令というのが公布せられまして、これに基きまして、僻地所在官公署在勤職員の特殊勤務手当支給準則というものがございまして、さきには大蔵省、今日においては人事院において取扱つておるわけでございますけれども、現在実際の問題といたしましては、この基準は一応の参考として残つておる程度でありまして、画一的にそれによつて国家公務員といえども実施しておるような次第ではないのであります。大体一般概念にありますような山間ないし離島あるいは海辺の遠隔な土地というようなところにおいて、ただいま御指摘のようないわゆる交通その他を一応の基準として考えておるような次第でございます。
  24. 町村金五

    町村委員 私に僻地というのは一体どういう概念かということをお尋ねしたか、ただいまも局長から御説明がありました通り、大体国が基準をきめて、都通府県の教育委員会が一々指定をするのだ、こういうことで、その指定の方法などは伺つたのでありますが、私の見るところでは、どうも僻地というものは、各府県の立場に立つて考えるのと、国全体の立場から考えるのとでは非常に速つて来るんじやないかと思うのであります。早い話が、北海道のごときは、特殊の都会地帯を除げば、ほとんど全部が僻地じやないか。ところが交通至便であり、そうして人口の非常に稠密いたしております内地の先進府県にも、実にかなり僻地学校があるのだということを伺うのでありますが、どうも私どもから見ると、これは非常におかしいんじやないかと思う。私の考えでは、僻地というものを国全体の立場から大きく考えて、あるいは北海道のようなところとか、あるいは離島のようなところというふうに大きく指定をされないと、へき地教育振興法ができたからというので、これによる手当をもらおうとする運動がだんだんはげしくなつて、第二の義務教育国庫負担法をつくると同じようなことになつてしまう。結局わずかばかりの予算全国的に小さくばらまかれて、かんじんの要点に触れるような使い方にならぬではないか。そういう意味において私は、この僻地考え方をひとつ根本的に考え直してみる必要かあるんでにないかと思つてつておるのです。
  25. 稲田清助

    稲田政府委員 一般的には、先ほどお答え申し上げましたように。また伊藤委員にもお答えいたしましたように、今日の状況といたしましては、国が全国的に、画一的に基準をきめまするよりは、山間地、離島あるいはそのほかいろいろ条件が違うわけでございますから、やはり都道府県ごとで御考慮願うことを基準とする方か妥当な措置ができるであろうという考えを私どもつておるわけでございますけれども、この問題につきましては、実はまたまだ国としてもあるいは府県としても検討の足りない点があるのではないかと考えられるのでございます。なればこそ、新しい法律案におきましては、僻地において必要な教育に関する調査を十分に遂げる、都道府県もまた僻地に関しまする教育特殊事情について必要な調査研究を行うことにし、こうした具体的の調査研究を十分行いまして、その結果教育機会均等の見地において、どういう措置をどういう地区にしなければならぬかということを科学的に実証いたしまして、その上において、お話のように、国が予算支出をいたすことでありますれば、やはりこれは国の責任において国は国の基準を持ちまするのが至当だと思いますので、そうした地方の調査に基きますものを集計した中央の調査に基いて、一定基準を立てるのが一番将来としてはいいのではないか、こういうふうに考えております。
  26. 町村金五

    町村委員 初めてこの法律案が出たのでありますから、せつかく出たこの法律案が将来あまり意味のない実施にならないように、あらかじめよく御考慮を願つておきたいと思うのであります。私がかように申し上げるのは、今日日本にはむずかしい問題がたくさんあるのでありますが、東北地方であるとかあるいは北海道に、最近特に開拓と申しましようか、そういうことで非常に辺鄙なところにたくさんの人が入つている。食糧増産に励むことの国の指導奨励もあり、昨今ではずいぶんひといところに入り込んでおるのであります。ところがこれらの人たちの一番大きな悩みは、何と申しましても、自分の子供の教育に困難を感ずることであります。従いまして、こういうところに入つて大いに食糧増産に励んでみようというような気持を持つておりましても、子女の教育のことか障害になつてせつかく計画したものもとりやめるというような事例が決して少くないのであります。今日日本の最大の問題の一つである食糧増産ということを解決して行く上から申しましても、僻地教育振興ということは非常に大事なことであると思うので、そういうような見地から、新しい開拓地に対する文部省の考慮が特に必要だと考え、ただいまの点を申し上げたわけであります。将来この点特に御注意をお願いしたいと思います。  さらにお伺いをしたいのであります。今度の予算は非常な御努力にかかわらず、金額が少い、従つて、私が先ほど申し上げた通り、あまりこれを散漫にばらまくとほとんどなきにひとしいような状態になるのではなかろうかとおそれているのであります。従つて、これは漸次予算がふえるといたしましても、とりあえずは重点的にやつて行く以外道がなかろうかと思うのであります。私ども北海道僻地の特にひどい二、三の単級の学校などを見てみますと、教材になるようなものは一つもなく、わずかに戦前の古い世界地図が一つ並んでいるというようなところも実際にはあるのであります。従来文部省義務教育国庫負担法によつて教材費等も地方に配分されていると思うのですが、そういうようなものの配分はどういう方法でやつておられたか、これを一つ伺いたい。なぜこういうことを伺うかと申しますれば、おそらく生徒の数によつて配分しておられるのではないかと思うからです。生徒がわずか十人か三十人しかいないところと、二千人や三千人いる学校と同じような気持でもつてこれを配分されることになれば、そういつた僻地学校などには一つも行かないと同様なことになつてしまうではないか。従つてこのへき地教育振興法による問題はもちろんでありますけれども、さらに従来の義務教育国庫負担法に基く教材費の配分というようなことについても、このへき地教育振興法を出された趣旨にかんがみて、学校単位でわけるというくらいの御考慮があつてしるべきではないか。その点をちよつと伺つておきたい。
  27. 稲田清助

    稲田政府委員 教材費の点につきまする国庫負担金の配分でございますか、ただいま御指摘になりましたように、これは在籍兒童、生徒の数を基準といたしまして、一定の補正係数をかけるという考慮をいたしております。すなわち、百人以下の場合にはこれを百人として計算いたしまして、一・九という補正係数をそれにかけて計算するというような例で扱つておるような次第でございます。ただこの補正係数をいかにかけるか、扱いをどういうふうにするかというような点につきましては、ただいま御注意のありましたように、今後十分研究すべき問題だと思つております。
  28. 町村金五

    町村委員 なお、今伊藤委員からも御指摘がありました通り地方僻地学校行つてみて感じますることは、大体非常に年をとつた先生が多いということなのであります。私が知つておりまする先生などは、過去四十年間くらい先生をしておられるのですが、その先生はいまだかつて教室が二つ以上ある学校で勤務したことはない、いつも単級の学校だけしか歩いてない、こういうような人を私は現に一人承知をしておる。おそらく学校を出たての優秀な人たちとか、その他いわゆる素質の優秀な先生方が僻地には行きたくないというようなことからいたしまして、自然こういうような先生は、そういう生活の方がのんきですからということを当人は言つておられるようなわけで、私は今日僻地先生方というものは非常にいろいろな点において素質の比較的劣つた先生方がたくさんおられるじやないか、こう想像をいたすのであります。そこでしからば一体、これらの僻地学校の設備を、都会の学校と同じように、鉄筋コンクリートの建物にするということも実際困難でありましよう。また教材などにいたしましても、斬新なものをどしどしここに配給するというようなことは、実際にはいかに僻地教育振興法ができても簡単にできるものではないと思う。せめていい先生がこういうところに比較的多く赴任されるということになることたけでも、この僻地教育振興目的の相当部分が達せられるのじやないか、こう思うのですが、そこで文部省としては、こういう素質優秀な先生方がこういう学校に行かれるということについて、何らか少し思い切つた、しかも実効の上る方法を考えていただかなければならないと思う。わずかばかりの手当を出したというくらいことでは、いい先生行つていただけるものじやないと思う。昔はたとえば師範学校の卒業生の優秀な人を特に知事なり学務部長の考えによつてはまず僻地学校に赴任してもらつて、それから漸次都会の学校に来てもらうというようなことをやられた事例もあるように承知をいたしておるのであります。今はそういう点もなかなか思うように行かないそうでありますが、何らかの方法で私は良教員がまず僻地学校に喜んで、進んで赴任されるというような状態にならなければ、僻地教育振興ということは言つてつてもこれは単なる口頭禅に終つてしまうのではないか、こう思うのであります。そういう点について文部省としては必ず良教員僻地学校行つてもらえるような、何か自信のある方策というものがあるかどうか、あるとすれば、それをひとつどうやつて実行されるかということについて伺つておきたい。
  29. 福井勇

    福井(勇)政府委員 町村委員指摘の、年はとつておるけれども、非常に優秀な先生の例といい、あるいは伊藤委員が御指摘なつた七十二才の北海道の老年の非常にいい先生の例といい、いずれも私たちは十分検討しなければならない重要な問題だと思うのであります。今後この法案の建前から申しましても、これらの点を十分考慮しなければならないことは当然でございまして、現在各県でも僻地へ優良教員を派遣するようあつせんはしておりますが、十分これらも強調するように注意いたします。  なお僻地手当あるいは教員住宅教員養成、こういうものが総合的にやはり伴つて来なければいけませんので、これらの点も十分注意いたし、御指摘の点をよく文部省においても念頭に入れて善処したいと思うのでございます。
  30. 町村金五

    町村委員 今ただちに必ず良教員僻地学校行つていただけるような具体策についてのお答えを求めることは、非常に困難であることは私は承知をいたすのでありますが、この点は私はおそらく僻地教育振興法の一番大きな眼目でなければならない、こう思うのでありますから、わずかの予算を要求するということに奔命されるよりは、むしろこの点について特に私は御考慮を願いたいと思うのであります。ただいま政務次官のお答えに、僻地手当地についての御言及があつたのでありますが、私戦後の公務員の手当の問題を見て、どうも私どもには合点の行かない問題がたくさんあるわけであります。この僻地手当という方面を見ますと、辺鄙なところに行く者ほど段階が高くなつて手当が非常に多い。ところか一般公務員の地域給というものを見ますと、逆に辺鄙なところには何にもやらないで都会にたくさん与えておる。まるで地域給考え方と僻地手当考え方というのは完全に矛盾しておると申しましようか、背馳しておるかつこうになつておる。これはおそらく戰後の経済事情の激変に伴う過渡的な現象であつたと思うのでありますけれども、しかしいずれにいたしましても、これが現実の問題としてかような状況になつておる、従つて僻地にはいい先生方が行きたくても行けぬように、少くとも地域給の点だけを考えてみればそういうふうに仕組んであると、も思えるわけであります。従つてこれらの両問題を文部省としてはどういうふうに今後扱つて行こうというお考えか、この点を伺つておきたい。
  31. 福井勇

    福井(勇)政府委員 戦後過渡的現象としてまだこういうような問題がいろいろと起つておることは私たち承知しておるのでありますが、御指摘のごときごとも私はあろうかと存じます。これは各官庁とも総合的に関連があることでありますし、また人事院関係とも相当深い関連を持ちますので、これらの御指摘の点については文部省としても十分考慮し、検討しなければならないと考えております。
  32. 町村金五

    町村委員 私のきようの質問はこれで終ります。
  33. 辻寛一

    辻委員長 坂田君。
  34. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 今回文部省から僻地教育振興法案が出ましたことは、われわれとして非常にうれしく感じておる次第でありますが、われわれの満足するものでないことだけは伊藤委員も申した通りであります。しかしとにかくわが国の教育におきまして従来取残されておつた僻地教育に目をつけられまして、その振興法を出されたことに対して非常にありがたく存じておる次第でございます。これを出します一つの根拠と申しますか、あるいは背景と申しますか、とにかく日本の地形から考えまして山間僻地か多く、非常に小さい学校が多いわけでありますか、一体日本でどれくらいこういう小さい学校があるのか、何か資料がありましたらお示し願いたいと思います。
  35. 稲田清助

    稲田政府委員 この表はかなり詳細な表でございますので、お手元に別途差上げたいと存じておりまするけれども、いわゆる僻地学校と称せられます学校小学校といたしまして四千九百五十八校であります。それから中学校といたしましては二千百二校という勘定になつております。小学校四千九百五十八校のうちいわゆる本校と言われますものが二千九百六十七、分校が千八百六十、季節分校が百三十一であります。それから中学校の二千百二のうち本校が一千四百一、分校が六百二十六、季節分校が七十五、こういうような勘定でございます。
  36. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 あるいはこういう資料を出し得ないかとも思うのでございますが、その中で実際僻地手当と申しますか、その対象となつておる学校、そういうものはわかりますかどうか。もし今わからなかつたならあとでもよろしゆうございます。
  37. 稲田清助

    稲田政府委員 ただいま申し上げましたのが、僻地手当関係におきまして調査いたしました学校数で、これはすべてでございます、
  38. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 先ほど僻地の概念について町村委員から御質問がございまして、私も非常に同感なのでございます。しかしながら与えられた予算を配分する場合において、その中でも最もひどいところに特に配分をしてもらわなければならないと思うのでございますが、しかしたとえばことしそういう配分をしたからといつて僻地の概念というものをそこにくぎつけにされるということになると、われわれとして、またこの法案を出した趣旨からいつて、非常に困ると思うのでございますが、それに対して文部当局はどういうふうにお考えであるか、この点を……。
  39. 稲田清助

    稲田政府委員 御審議いただいております法案の第四条におきましては、府県において十分いろいろな調査を行う趣旨がございまするし、第五条におきましては、文部大臣が必要な調査を行う旨がございますので、この僻地教育に関しましては今後十分具体的事情を調査いたしまして、教育機会均等を実現するためには、どういう点をつかんでどういう措置をしなければならぬかということを十分検討いたしまして、実施いたしたいと考えております。
  40. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 僻地教育に限りまして、昨年度の予算がどれくらいで、そして本年度の予算がどれくらいであるか、たとえば教職員住宅についてはどういうふうになつておるか、そしてまた僻地手当の問題についてはどういうふうになつておるか、あるいはまた僻地学校の学習指導その他の費用と申しますか、そういつたものがどういうふうになつて来ておるか、ということについて明らかにしていただきたいと思うのであります。
  41. 福井勇

    福井(勇)政府委員 まず二十九年度における国の予算措置でございますか、特殊勤務手当の増額、これは義務教育国庫負担の特殊勤務手当の積算の基準単価は、単級手当については昭和二十八年度の三百円が四百円、複式手当については二百五十円か三百円に増しまして、僻地手当の単価も二十八年度の百八十円から九百円の幅がそれぞれ三分の一増となつて計上されております。それから僻地教員宿舎のやはり予算措置の建設費につきましては、二十八年度とほぼ同様な百二十二戸の建設を四分一国庫補助実施するため、一千六十二万四千円が計上されております。また僻地学校集会室については先ほど御説明申し上げましたが、二十九年度を初年度としておりますので、御指摘の二十八年度の方はございませんが、七千十三坪を一坪当り二万七十七百円の単価で建築いたしまして、その二分の一を国庫補助にするために一億円を計上いたしております。この集会室基準坪数その他については、目下鋭意検討中でございます。また僻地教員養成施設運営費に対する補助といたしましては、二十九年度は前年に引続いて全国十一箇所の運営を目標に、二分の一国庫補助で四百二十一万六十円が計上されておる次第でございます。
  42. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 この第三条の二項にございます「兒童及び生徒の通学を容易にするため必要な措置」とありますが、これはどういうことを意味しておるのか、スクール・バスみたいなことを考えておられるのかどうか、そういうことについて……。
  43. 稲田清助

    稲田政府委員 御指摘にありましたスクール・バスもその一つでございまするし、また冬季期間の分校設置あるいは寄宿舎の設置、あるいは道路とか船の施設、こういうようなものが考えられるわけであります。
  44. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 それからその第二条の中でございますが、第一項の第三のとろで、「体育音楽等の学校教育及び社会教育の用に供するための施設」というのはどういうような施設ですか。
  45. 稲田清助

    稲田政府委員 これは屋内体操場であり、兼ねて音楽室であり、あるいは集会室というようなその建物を意味すのでございます。
  46. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 僻地というものは、一面において日本経済をゆたかにする、あるいは国土の開発その他をすることとともに、だんだんなくなつて行く。文化というものが僻地まで及ぶようにして行く、たとえば電源開発等を行いますことによつて、従来とてもできなかつたような施設、あるいは経済というものが結局僻地というものを解消して行く、またその方向に国としては進めて行かなければならないと思いますけれども、しかしながらやはり日本のようなこういう僻地の多い国柄といたしましては、おのずとそこに限界があることと思いまするので、特に僻地というものを取上げてその教育ということにつきましては、やはり国が定めました教育機会均等という上からぜひとも取上げて行くべきものだと考えておりまするので、今後とも文部省においてはいろいろの実情、その土地柄に応じた調査を行われて、そうして僻地教育振興されるようにお願いいたしまして、質問を終ることにいたします。
  47. 辻寛一

    辻委員長 辻康弘市君。
  48. 辻原弘市

    ○辻原委員 私質問は次会にさしていただきたいと思うのでありますが、この問題はもちろん相当重要な問題であると同時に、いろいろな問題を含んでおり、範囲も広いと思いますので、審議をスムーズに進めて行く関係で、この際文部省の方からできるだけ数字的な問題とか資料的な問題については整備をして御提出を願いたい、かように考えます。さしあたつてこういう点についての資料を御整備願いたいと思います。  第一は先ほど御説明でありましたが、現在人事院の所管であろうと思いますが、僻地手当について指定地域が設定されておりますが、それを先ほどの御説明のように、それぞれの学校種別、それから本校、分校の別にしてお出し願いたい。同時にその人員のトータル、これを資料としてお出し願いたい。第二番目に、国が指定をしておると同時に、各都道府県においてこの僻地の取扱いについていろいろ事前の方法が行われておることを私は知つております。これはこの振興法の中での教員に対する僻地の優遇策上非常に参考となる問題でございますから都道府県が現在独自に地域を設定しておる例を、各都通府県別にひとつお出しを願いたいと同時に、その場合に、各都道府県のやつておる方法は区々でありますので、それを某県はどういうふうま、たとえば地域につきましても、国の設定しておる二つの段階以外に、さらにこまかく段階を設け特別なそれに対する手当を出しておるような例もありますし、あるいは全県一律に特別に現在の、たとえば地域関係から申せばゼロ地域、こういつたところに僻地手当を加味してカバーしておるような例もありますので、そういうようなものをも含めてどういう取扱いと方法、それからどの程度の予算措置が講ぜられでおるか。予算措置については二十九年度はわかりにくいと思いますから、これはわかる範囲の最近の例でけつこうでございます。同時にこれらの方法については、これは手当に限りませんけれども市町村におきましてやはり僻地優遇策というものをいろいろな形でやつておる例もありますから、それらの市町村がいわゆる僻地振興策としてとつておる例、これは全部がわかりにくければ、それを例としてひとつお示しを願いたい。その次に、これも先ほど政務次官から御説明がありましたが、今日持つておる文部省予算、これは大別しますと三つにわかれておるのじやないかと思いますけれども、さらに実際の執行については非常にこまかい問題点で含んでおると思いますので、これらはやはり総体的にわれわれも把握したいと思いますから、予算をどういうように僻地振興に使われようという計画をお持ちになつておるか。これは資料の上で、たとえば教員研修なら教員研修についてどれだけ、教員養成についてどれだけ、あるいは僻地教員住宅についてはどういうふうな形でどれだけというふうに、できるだけ細部までわかりやすいように、この資料を整えて出していただきしたい。これが三つ目でございます。それから四つ目に重要な問題としまして、これはあるいは文部省の出しておる教員統計あたりに出ておるのじやないかと思いますけれども、抽出していただいてもけつこうですが、僻地の現在指定されておるもの、その中でのいわゆる学級定員の状況がどういうことになつておるか。これは先ほど申し上げました各府県別に出していただけば非常にわかりやすいと思います。それによつて大よそ僻地という観念が概括的にわかるのじやないか、かように思いますので、各府県別に、いわゆる僻地のトータルにおいての学級定員がどの程度になつておるか。以上の四つのものを、できればこの次の審議の際までにお間に合せいただきたい。この上に立つて質問を申し上げたいと思います。
  49. 稲田清助

    稲田政府委員 ただいまの最後の御指摘の点の各学級別の人数の入りました資料、これはなかなか困難かと思いますが、御希望に近いものをできるだけ考えて調製いたしたいと思います。     —————————————
  50. 辻寛一

    辻委員長 上程中の議題についてほかに御質疑ありませんか——それでは長谷川峻君、小林信一君から緊急質問の申出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認め、緊急質問を許します。長谷川峻君。
  52. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 私はけさの新聞を読みまして、非常に暗い気持になつておるのですが、東京のまん中御茶の水の元町小学校において、昨日二年生の七つになる鏡子さんという、お子さんか、授業時間中に便所の中で絞殺されて、しかもそれが暴行を受けておるというのです。わが文部委員会としては、全国文部行政をいろいろ検討していて、大事な予算その他を審議しておるのですが、われわれがやろうとするところの根本は、わが国の教育がよくなる、そしてまた子供たちがすくすくとりつぱに育つという点にかかつておると思うのでありますが、その新聞記事をずつと拜見しますと、学校に来た七つになるお子さんが、授業時間を済ませたあとで、休み時間とそのあと二時間も教室に姿を現わさなかつた。そして偶然のようにお母さんがその近くを買物に行つたついでに学校を見ると、自分の子供と同じ二年生の組の生徒が大勢遊んでいるにかかわらず、自分の子供がいないということからして、学校先生に注意を促して、それから騒ぎが大きくなつて、屋上から地下室まで探し、それでも見つからず、だれが一番先に見つけたかといえば、結局そのお母さんが便所の中に絞殺されているところの自分の子供を見つけた。こういう事件なのであります。これは私、一殺人事件というような問題でなしに大きな文部行政の問題であり、さらにまた一つの大きな社会問題ではないか、こう考えるのです。ということは、まず問題といたしましては、その担任の先生が四十歳になる婦人の先生であるということであります。お子さんを持つておられる経験があるかないかはわかりませんけれども教育経歴においては四十歳なら相当あるだろうと思います。ところが二時間以上無断に教室を明けておるお子さんについて何ら関心を払つていなかつたこと、しかもそのお子さんのお母さんから注意されて、初めて騒ぎ出しておるというこの実例、さらにもう一つは、戦後東京の学校環境が非常に悪くなつておる。どこにおいても戦災を受けたために、浮浪児がどしどし学校の中に寝とまりしておるところもありますし、あるいはまた便所などは浮浪児が共通に使つておるところも多々ある。こうした学校環境をそのままにしておることが、こういう犯罪事実を起すような結果になつておるのじやないか、こう思うのであります。そこにおいてこの際わが文部委員会といたしまして、この大きな社会問題であるところの鏡子さんの死を通して、わが国の教育者の自覚と申しますか、足りないものがあつたならば、これに足してもらうというところが一つと、さらにまたこの学校環境の視察とか、そういう実際の体験を通して、わが文部委員会審議なり、将来の予算の問題なり、施設の問題について熱心になつていただきたい。文部当局だけでなく、われわれもそういう共同の責任を感じて、一生懸命やつてもらいたい。こう思うのであります。  そこで問題は二つにわかれますが、一つは、文部当局がこういう問題についてどういうお考えを持ち、どういうふうに教育者の良心的なものを呼び起させて、これを契機として、大きな教育行政の堅実なる発展に努められる御意思があるかないかもう一つは、われわれ文部委員会といたしまして、ただちにもつてこういう実例を通じて、日本の教育を具体的によくするという意味からいたしまして、委員長から文部委員の方々にお諮りいただいて、調査を、派遣していただきたい。この二点について私はお願いし、御質問申す次第であります。
  53. 福井勇

    福井(勇)政府委員 長谷川委員の御指摘になりましたこの不慮の事件は、文部省においても一番先にはやはり新聞で承知いたしましたが、非常に暗い気持になりましたことはまつたく同感でございます。それからにだいま本件の内容については、警察においてその取扱いが開始されておりますが、文部省といたしましては、御指摘のようになぜこういうふうになつたか、あるいはまた現場の教員が二時間も注意を喚起しなかつたかというような事柄、あるいはまた平生どういうふうに注意が向けられておつたかというようなことについては、所管の部局を通じて今調査しておるのでございますが、いずれにいたしましても、これを偶発的なものとして簡単に看過することはできないのでございます。長谷川委員の御指摘のような調査団は、文部省側といたしましても、これを派遣して調査されることを祈念するものでございます。
  54. 辻原弘市

    ○辻原委員 今申し述べられた問題は、われわれ委員といたしましては、だれしも同感のところでありますが、けさほどの新聞を見ますと、事件の概要と同時に田中次官の見解が発表されております、もちろん突然起つた問題でありますので、あれだけの談話しか出なかつたこともわかるのでありますけれども、あれではともかく当該教官なり学校管理上の責任を完全に追究するというだけであつて、さらに大きな問題として——もちろんこれは児童管理の問題でありますから、当該教官なり学校の責任に最も重要な点でありますけれども、同時に私は最近の世相から考えますと、現在私が居住しておる付近の学校でも戦災学校関係から学校建築その他、いろいろな人が学校の中に出入りしておる。そういつた面から考えましても、これはやはり全般的な問題としての、現在の社会情勢下における学校管理という問題について、当然文部省としても考えなくちやならぬし、こういう問題が起つた際には、その起つた事件に対する直接の責任者の問題を取上げると同時に、全般的な問題として、やはり何らかの見解をここに一言なかるべからず、私は感じたのです、こうした点についても、当該学校の責任と同時に、文部省は今日の学校環境の中において、この学校管理を現場においてどうやつで行くかという点については、十分考えてもらわなくちやならぬ。その個々の先生の兒童管理に対する認識の度合いによつて問題が防げたり防げなかつたりするというのでは、父兄が子供を、特にあの時期の幼兒を学校に通わすことに非常な不安感を持つことは当然だと思います。この事件が一つならばいいですが、新聞に出ておりもしたように、最近三十数件にわたつで、いわゆる痴漢、暴漢の横行がひんぴんとして起つておる。これはもちろん学校の子供ばかりでけありませんでしたので、形式的には責任がないというお説もありますけれども、ここまでほうつておいたことについては、私はやはり一応の責任を文部省としてもお考えになつていたたきたい。これは過ぎ去つたことでありますので、申してもしようがないと思いますが、今後の問題として、今長谷川委員の方から御提案のあつたように、これは一つの大きな社会不安でありますから、われわれもそういう大きな観点に立つて、こういう問題の起きないように、文部委員会においてこれを取上げて調査をし、爾後の対策を協議をするということになれば、これに対して安心感を与える大きな方法ともなろうかと存じますので、調査をすることには私はまつたく同感であります。同時に、単にその問題の現象についてのみの責任を云々するということではなくして、今後の問題についてどう取扱うかということについては、われわれも意見を申し述べますけれど、も、文部省検討の上、それに先立つてひとつ考えをまとめておいていただきたいということを、特に私はお願いを申し上げておきます。
  55. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 私の提案に対しまして、同僚議員からも賛成があつたことを非常に心強く思うのであります。ここに「泣いて語る父親」という新聞記事を見ますと、この父親は新聞記者でありまして、普通のPTAの中においては非常に良識を持つた有力な方であろうと思うのですが、「死体が見つかつてから担任の先生になぜ早く探してくれなかつたかと詰め寄つたら、三十何人もいる生徒の中で一人がいなくなつても……というような言葉を漏らした。」さらにまた「校長も、事件が起つてから全然姿を見せず夜の十一時ころになつて弁解にやつて来た。済まぬという一言は聞いても始まらないが、それすら一言わず、いきなり校葬にしたいと言う。私はお断りした。」ということも言うているのであります。私は、この七つになる長女をなくした良識あるPTAの父親の気持を察しますと、この不幸を二つの契機として、日本の教育者がほんとうにしつかり自分の教えている子供たちの一切の責任と申しますか、すくすく伸びるような、愛情を持つた教育をされるような大きな発展ができたならば、さぞこの父親の気持も生きて来るのじやないか、さらにまたわれわれ文部委員会といたしましても、文部行政について、予算審議等いろいろありますけれども、その根本はこうした道義的なもの、精神的なものが一番要求されてしかるべきじやないか、こういう意味合いにおいて、ぜひひとつ本日でもこの委員会が終了後、同僚委員諸君と一緒に私は元町小学校行つて、昨日の当時の模様、その後の経過あるいはまた今後の対策、また学校施設、環境の悪さ、よさ、そういうものをはつきしり視察して、われわれの委員会としまして調査の報告をいたし、文部当局のこれに対する態度、あるいはまた将来の方針などをここに審議されたならば、私は将来の問題としてこれが新しいりつぱな実を結ぶようになるのじやないか、こう信ずるのであります。
  56. 辻寛一

    辻委員長 長谷川委員の御提案、もつともしごくと存じますので、時を移さずひとつ実情を調査いたしたいと存じます。その日時とかまた調査方法等詳細につきましては、後刻理事会を開きまして御相談を申して、さつそく移りたいと思います。小林信一君。
  57. 小林信一

    小林(信)委員 私も同じようなお願いをするわけですか、従つて、本日いろいろお伺いしたいことは避けまして、要件だけ申し上げますと、本委員会におきましていつも問題になりますのに、大学の研究室の施設あるいは研究費等の問題でございます。これは、当局も非常に御心配になるとはおつしやるのですが、実際の当事者から意見を聞きますと、物足りない御不満がしよつちゆうあるわけであります。そこで、この研究室あるいは研究機関が目下当面しております一番大きな問題は、過日ビキニ環礁で行われました水爆実験の問題でございますが、これはわれわれ日本国民に大きな恐怖を与えておるばかりでなく、実に世界的な不安として問題が提出されておるわけであります。これに接触しておりますわが国の研究員が、これに対して十分な活躍ができるかできないかということは、これは世界的な責任も感ずるわけでありまして、この点そういつた事情に置かれております大学の研究室あるいは病院等が完全な措置ができるように、当局として考慮しなければならぬのでありますが、とにかく最近の事例をあげてみますと、福竜丸の問題は申し上げるまでもなく、どこにその放射能を含んだ雨が降つたとか、灰が降つたとか、あるいはそこを航行した船もそういうようなものを持つておるとか、あるいは今後そこは航海できないとかいうようないろいろ点から不安を与えるものでありまして、こういう点につきまして十分な研究がなされるようにすることがこの際一番大事だと思うのでございます。私はつまらない例をあげるわけでありますが、きのう私のところにお客さんが参りまして、昼食を用意するために、すし屋に参りまして注文いたしましたら、まぐろは避けますか、避けませんか、こういうことを向うから聞かれた。そういうことを言われれば、当然まぐろは出さない方がいいということで、まぐろはつくらぬでくださいよというような、日常の小さなところまでこの問題は大きく発展しているわけです。従いまして、この際こういう研究を容易ならしめる点につきまして、私は当局の御努力をお願いしたいのです。  そこで最近問題になつておりますことは、この福竜丸は当初文部省において買上げをするというふうなことが新聞に見えたのですが、それが厚生省の方で買上げるとか何とかいう話になつております。これらも買い上げて大いに研究されるようなところが見えて私はうれしいと思つたのですが、どういう関係文部省は買い上げなかつたのか。それからこれは稲田局長だと思いましたが、一千万円くらいの金は用意して、大学の病院の治療は完全ならしめる、こういうふうなお話もあつたのですが、これらは実際できておるかどうか。厚生省の方では一人十五万円ずつ出して、云々という話があるのですが、そういうものではたして完全な治療ができているのか、あるいは同時に研究ができているのか。さらに大きい問題は、こうした研究に対する東大の発表というようなものか自由にされずに、何か統一した機関から発表されて、東大の学生たちも大分不満なようですが、こういうようなことでは研究欲も十分出て来ないということになるわけですが、これらに対してその一端をお伺いするわけですが、どういうふうに御処置なさつておるか。  それからお願いしたいことは、当局にお話し申し上げても問題か解決しないのですが、やはりわれわれは事を大きな問題にする必要はないか、とにかく研究という面ではわれわれが一番大きな責任を持つておるわけですから、そういう点では十分な責任を果したいという点から、学者あるいは当事者等からいろいろと御意見を聴取したい、あるいはできるならば実地の調査もしたい、そうして世界的な問題に対して早く不安を解消するような責任を私たちも果したいと思うのですか、そういう意味から委員長に、同じようにこれらに対する今後の調査研究というふうな機会を与えていただくように、御配慮を願いたいわけです。
  58. 福井勇

    福井(勇)政府委員 小林委員指摘の、大学の研究費が非常に——特に大学の研究費のうち多くを希望されるのは、科学研究費がパーセンテージにして一番大きいのでありますが、この点については、明治、大正、昭和を通じて、政界において科学に対する認識が足らなかつたために、非常に残念な経過をたどつておると私たち考えておりましたところ、第五次吉田内閣はこれらの点について非常に考慮を払いまして相当の増額を認め、この点については各位の御協賛を得ておりますことは非常に幸いでありますが、まだこれでも足りませんことは、小林委員指摘通りであります。今後この点については十分注意いたしたいと存じます。  なお原爆被害の委員会というようなものに対しての御質問については、これは厚生省所管になつておりまして、広島及び長崎の原爆の特に人体に及ぼした影響に対する調査並びに今後の保護対策というようなものを中心として、厚生省所管にこれを置くということになつているのであります。  福竜丸の件について患者の病状の発表が、何か文部省か、あるいは内閣の方面からか圧力でもあつて、その発表を遅らせたということにとれる新聞の記事もあり、小林委員もそれに近い御発言のようでございますが、これは文部省やあるいは政府の方で何ら申してはおりませず、大学の先生方自体が患者に対する非常に心配の考慮から、申し合せて自発的にやつておられることでありますので、これはお聞きくださればわかることでございます。  最後に最も重要なることは、これに関して福竜丸の被害はもちろん、原子力の問題を御提議になつておりますが、この問題について御答弁申し上げると、数時間を要することになりますので(笑声)簡単に申し上げますと、平和産業の面と、あるいは軍事方面に使つてはいけないというような面と、今後原子力産業利用審議会というものを政府につくり、御協賛を願つております原子核研究所並びに原子炉の設置に関するその予備調査等の各予算的の配分等は、今せつかく学者並びにその筋の協力を得て進めている過程にございますので、いずれ近いうちにはこまかく御報告を申し上げることができると存じます。
  59. 野原覺

    ○野原委員 ビキニの灰についての小林委員の御質問に私は関連して二、三お尋ねをしたいと思うのですが、福井政務次官の御答弁を聞いておりますと、これらのいわゆる死の灰と呼ばれるものの研究ないしは調査に相当関心を持ち、努力もされているようでございますので、あえてここでお尋ねをいたすのでありますが、あのビキニの灰の問題がありましてから、全国都道府県にビキニの雨と呼ばれるものがどこどこに降つたということを御調査になつておられますか。社会党右派の松前氏の報告によりますと、これは新潟、北海道にもあるわけでございますか、今日あちらこちらでビキニの雨が降つているということを私どもは新聞で見るのでございますけれども文部省はどういう御調査をされているか、その点をまずお伺いしたい。
  60. 福井勇

    福井(勇)政府委員 これはガイガー計数器による調査よりほかに方法がないのでありますが、ただいまこういう突発的な問題につきまして、文部省において全国に配付するという計数器の処置ができておりません。またこれを製造するところは、現在日本においては科研しかございません。こういうことが起りましてから、非常に速度を上げてつくつているようでありますが、その所要の百分の一にも達しない状況に現在ございます。これらは各省とも協議して、このガイガー計数器の生産を上げてそうして全国的にあるいは海岸、あるいはまた漁業に出るこれらの船などにもすえつけなければならないというような状態にございますが、文部省として單独に全国に配付してこれを調査するというところまで、遺憾ながらまだ行つておりません。しかし松前君がこれを発表いたしましたことにつきもしては、これは同君の計数器による実験物理学上におけるデータではございません。これは同君の第六感と申しますか、自分の持つている電気物理学上から出したところの勘である程度言つておるものと私は感じます。私の知る範囲では、同君はガイガー計数器を焼津には持つてつたようでありますが、ほかの方面にこれを持つて、業者を連れて行脚して調査したということはおそらくないだろうと想像いたします。しかし間違つておれば訂正いたします。それにつきましては最近いろいろ学説がございまして、ビキニの灰があるカウントを現わしておるということについては、大体アメリカも認めておるようでありもすが、従来でもあるいは宇宙線の中にある程度のものが現れておるのではなかろうか。あるいは今度の実験、外にソ連からも来ておるのではないかということを松前君が言つておりますが、そういうようなことを新聞で知りましたが、私は中共地区あるいはヨーロツパにおける、今ちよつと忘れましたが、数回における水素原子核分裂の反応が行われたというその前後を通じてみますと、あるいは日本にも今では知らぬでおつたけれども影響のない程度の放射能が全世界に分布されておるのではなかろうか、こういうように科学技術者は申しておりますので、私たちもそういうふうに予想しておるわけでありますが、野原委員指摘通り文部省担当の所管事項としては今後注意いたしたいと存じております。
  61. 野原覺

    ○野原委員 実はビキニの灰とか雨についての学説を私はお尋ねしておるわけではございませんので、今日ビキニの雨が現実に降つておるわけです。しかもそのビキニの雨はこの前の日曜日に関西地方一帯に降つております。これは大阪市大の西脇教授がこの道の権威者でございますが、この方が先週の日曜日の雨を調査した結果、非常に驚くべき報告をされておるのです。その報告によりますと、まぐろの問題がずいぶん騒しくなつておりますけれども、この雨が野菜にかかりますと、それが人体に与える影響ははかり知ることのできないものがあると発表しておる。このために実はビキニの被爆がございましたから、今日各都道府県全国民が非常な不安と恐怖におののいているわけです。私は宇宙に何やら知らぬかあるとかないとかいうことであれば問題にもいたしませんけれども、はたしてこれは心配しないでよいものか。目に見えない恐るべき放射能の力で私どもの人体がむしばまれて行く、こういうことになりますと、これはもう実に今日日本の直面しておる最も大きな——これは、日本だけの問題ではなしに、世界人類の問題であろうと思うのでありますが、これらの問題に対して、政務次官がお答えになられるように、今日の文部省当局は、あるいは吉田内閣と申しましようか、政府はビキニの問題を真剣に考えていない、私ははつきり申しますが、一体どういう研究調査をされておるのか。そういうものに対する具体的な対策があるならばお聞かせ願いたい。
  62. 福井勇

    福井(勇)政府委員 野原委員の御指摘問題については、まさに世界的の問題でありまして、これらの問題は今日米ソ原子力管理の問題として、ことし米大統領が年頭教書にもこの問題を一番大きな問題として扱つておりますし、あるいはダレス・ザルービン会談におきましても、原子力の問題を大きく取扱つております。従つてわが日本において灰が降つたことから、日本人としては広島、長崎に最初の洗礼を受け、今また被害を受けたということについては、日本こそこの問題を最も重要視しなければならない、また重大な手当をしなければならないというところに来ておるものと私たちに思つております。聞きますれば日本だけではなく、アメリカにも原子灰が降つたということが証明されております。しかしそれじや日本国内に対してどういう処置をしておるかというような問題につきましては、現在学術会議においてこの問題を、研究者と連絡し、その研究費についてはいずれ皆様方のところに御協賛を願うようになるだろうと思いますが、現在学術会議における專門家たちは、懸命にこれらのことに取組んでおる状態でございます。これは私が申し上げるまでもなく、この原子力の問題は国際管理ということが起つておりまするが、これはまつたくわれわれ人類が初めて新しい世界に突入したと思われるような大問題でありまするか、それを日本においては比較的原子灰が降つてからようやく気がついて、それからびつくりしてやつたというようなけはいが見えます。これは科学に無知な人が日本に多い、政界にはそういう人はないと思いまするが、そういう関係から私たち科学技術者が数十年前から、この問題を非常に血をはく思いで訴えておつても、科学研究費を国会が終戦後なかなか協賛しなかつた。社会党内閣のころにおいても、あるいはその後引続いてこれが認識がながつたということも残念でございますが、現在は各党とも深まつたことを私は仕合せに思つております。原子力の問題をこれからひとつ解決してもらいたいと思つております。
  63. 野原覺

    ○野原委員 福井さん、私の質問に率直にお答えいただきたい。私は政府は強力な具体策を立ててビキニ被爆の調査研究に当らなければいけないということを指摘しておるわけで、それに対するあなたの御答弁は、学術会議がやつておるからそこにまかしておるのだ、こういうようなことでございますが、そういたしますと、まつたくの無為無策、何らこの問題については手を下していないし、やつていない、こういうふうに受取つてよろしゆうございますか。
  64. 福井勇

    福井(勇)政府委員 それは御指摘の点については間違つております。実はこの問題が起りましてから、社会党の各派においても原子力問題の委員会ができまして、また各党でも、参議院においてもできたことを承知しておりますが、それらの方々の御意見をずつと総合いたしまして、昨日原子力利用審議会の下打合せを経済審議庁において持ちました。各省、各党の意見を総合的に取上げ、そうして明日その荒ごなしした案のもとに、今名称は原子力の利用審議会といたしておりますが、その内容には今御指摘の問題も含めて、そうして早究に対策を講ずるために、明日の午後一時にまたこの会合を持つことにいたしております。これには学術会議議長もまた原子力研究の学術会議の三十九委員会の権威者もみな加わつておりますし、厚生省もそれぞれの関係官庁全部加わつて善処しておるつもりでございます。
  65. 小林信一

    小林(信)委員 私の質問はきようはほんとうに荒筋だけでよかつたわけですが、しかしそれすらも、どうも御自分の学識の豊富なところを御説明になつて、要点というものがなかつたわけです。(「ひがむな」と呼ぶ者あり)ひがむわけじやないです。福竜丸を文部省が買うと言つたけれども買わなかつた、その理由を私はお聞きしたのですが、厚生省が厚生省が言つて、大分この問題では厚生省の方が主役のようなお話になつてしまつたんですが、私の要求するところは、やはり厚生省が考えることも、あるいは外務省がやることも、問題はその根本として文部省の管轄するところの学術研究というもの、これが一番の大事な点になると思うのですが、そういう点をはつきり文部省が確認されればそういう問題に対しても何らかのお考えがあつたし、あるいはたといその船が厚生省に買われても、研究に対しては文部省としましても何らか今後それに関与することかできるとかなんとかそういうふうなこともありそうなものですが、そこら辺がはつきりしなかつたのですが、その点をもう少し伺いたいと思います。
  66. 福井勇

    福井(勇)政府委員 たいへん失礼いたしました。この船の処置は、私もその相談に乗つておりまして、文部省が買うことに決定しております。そうして保管方法は、文部省だけではできませんので、その場所の所属しておるところの適当の警察等、あるいはそれに類する人たちに相談して保管する、そういうふうにして研究の資料にしたいと思つております。
  67. 小林信一

    小林(信)委員 ついでにその点だけ承つておきますが、大分地元では早く処置してくれ、早く処置してくれと言つておるようですが、買うという決定だけで、何らそれに対する処置がないのですが、それに対する見通しがすぐつくような状態になつておるか、もう少しその点を伺いたい。
  68. 福井勇

    福井(勇)政府委員 その過程を詳細に申し上げますと……。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)目下地元と折衝中でございます。
  69. 小林信一

    小林(信)委員 折衝中ということは、お伺いしたのですが、さらにこの問題について、次官は非常に御研究になつておるようですが、しかしどうもほんとうに責任を持つておやりになるような御意図が見えないのです。たとえばこの新聞等を見ますと広島原爆の被害が九年後なおその障害が残るというような血液学会で発表したものがございますが、こういうふうな事実もあるのです。そういうふうな実際問題について、行政官としては対処されることが一番大事なので、そういう点からすれば、この問題も恒久的な一つの施策にしなければならぬわけです。ところがこの広島原爆なんかに対するところのいろいろな資料等は、研究はしたわけなんですが、今新聞等でもつて伺いますと、日本の学会に残つていないとか、それが今度の水爆なんかの診療について利用できないということも聞いておるのですか、その点、次官はどういうふうにお聞きになつておりますか。
  70. 福井勇

    福井(勇)政府委員 今の船の処置については、どういうふうに処置するかということはいろいろ研究されたのでありますが、その過程においては焼いてしまえとか、あるいは研究の後は地下深くすぐ埋めてしまえとか、洗つてこれを検査して、あとは何らの影響を及ぼさぬものなら、また使えとか、大体この三通りで——あと二つ、三つそのほかに出ていたようでありますが、そういうふうな過程もございましたが、文部省研究の資料として当分はこれを当てなければならぬというふうに、御指摘通り考えております。それから科学研究の成果を——科学に関係のない方は、すぐ何年何月にこの研究を仕遂げなければならないというような考えがよくありがちなことでありますが、科学研究というものは、実際当てずつぽうでございます。でありますから、予算などの編成についても、いつも科学者は困り抜くのであります。従つて広島の問題なども九年たつておりますか、別の資料が今どうなつておるか、これはすぐ調査させていただきたい、その時間をいただきたいと思いますが、そういうのは引続きまた研究しなければならない問題だと考えております。
  71. 小林信一

    小林(信)委員 広島の問題で、今御答弁の中で重要な点を忘れられたのですが、今度の水爆の被害についていろいろ学者が研究なさるのに、広島の原爆についていろいろやつた研究資料等は、この際役立てなければならぬのに、それが今日本にないというふうなことを学者が漏らしておるのですが、そういう点について、今どうなつているか、あなたの御承知になつておるところを私はお伺いしたい。ということは、せつかく世界に初めての犠牲を受けて、モルモツトになつたとかいうようなことまで言つているような、そういう重大な過程を経て来ているわけです。それが今また再び第二の試験を受けている。その際それが役立たないということはわれわれとしてまことに嘆かわしいことであるし、また世界的に考えても遺憾な点だと思います。そういうことが事実あつたのかどうかということよりも、今後こういう問題は日本の研究としてその完成をさせるべく、当局としてはこれに協力しなければならぬわけですが、そういう点について次官にお伺いするわけです。
  72. 福井勇

    福井(勇)政府委員 当時の研究の何はアメリカの所管になつておりました様子でございますので、その資料が向うに行つているものと推測される節があるのでありますが、そういうことを学者が発表したといたしましたら残念なことでありますから、至急よく調査してその資料になるように努力したいと思います。ただ広島におけるウラニウム・三三五の被害と現在のハイドロゼンからヘリウムにかわるというような水素の状態とは、まるきり違うということをアメリカの方では言つております。これらも原爆を爆発させた後に人体に及ぼす影響をすぐ考えて行くというようなことは、まるで科学の飛躍がはげしいものでありますからなかなか向うでもそういうようなことはなかつたと思いますが、日本としてはそういうことについては被害がごく多かつたことでありますから、研究を続けなければいかぬと存じております。
  73. 小林信一

    小林(信)委員 これは御答弁に対して云々ということでなくて、次官はその地位にあつて、しかもこの重大問題に対して善処しなければならぬ立場から私は忠告申し上げるのです。元素の名前や数字等をおつしやるのですが、私はそれよりも大事なことは、それが日本にあるかないか明白にしてお答えしますというふうな、そういう無責任なことでなくて、次官等か、そういうことに対してまことに遺憾である、それがないことが今日いかに日本の学術研究に障害を起しているかということを、いち早く次官あたりの御意見として出されるようなところに、日本の学術研究の発展がある、これに従事する人たちの意欲が旺盛になるわけです。お知りになつていることは敬服にたえないのですが、大事な次官の責任というものについて明白にされておらぬことはまことに遺憾なわけです。この重大問題に出あつて、次官として非常に御研究の深いことは私たちとしても幸福だと思うのですが、問題は博識ということでなくて、次官の責任ということを強くお持ちになつていただくことが大事だと思います。そういう点を希望申し上げまして、委員長にこの問題を取扱つていただくことを御配慮願いたいと思います。
  74. 辻寛一

    辻委員長 松平君。
  75. 松平忠久

    ○松平委員 今の点でちよつとお伺いしたいのですが、アメリカが日本へ進駐して来た九月三日だつたかと思いますけれども、その数日後に日本の原子力の研究について向うから参りまして、嵯峨根博士その他が尋問にあつて、当時の研究した日本の資料は全部アメリカ側にとられてしまつた。それからその後日本の原子力の研究はアメリカの指示がなくしてはやつてはいかぬ、こういう指示があつたわけで、すが、そのとき研究資料として向うにとられたものは、その後文部省なり大学なりでこれを取返されているかどうか、その点をお伺いしたい。
  76. 福井勇

    福井(勇)政府委員 御指摘のごとくポツダム宣言受諾によりまして原子力の研究は禁止されて、そのままに講和条約まではなつておりましたが、今日ではもどつております。それで資料につきましては。嵯峨根博士はバークレー大学で——当時研究の中心であつた仁科さんがなくなり、嵯峨根博士は今向うに行つておりますが、当時の資料は別に文部省に取返しておるという状態ではございません。現在嵯峨根博士がやつておられる研究資料は、当時の資料よりもなお高い検討を加えられておりますので、参考にはなりまするが、現段階では御本人自体がもう少し高い資料を持つておられるものと期待し、それで私はこの人たち検討を海外で続けてもらえばいい、こう思つております。
  77. 松平忠久

    ○松平委員 その資料が現在はあまり役に立たぬというようなことであるわけですけれども、結局私は学術研究の問題というのは、ポツダム宣言、その後における講和条約等によつて、少くともアメリカの支配、事実上の拘束を受けないという建前でないといかぬわけです。従つてその点については、当時占領後持つていた資料というものは、大学としても文部省としてもその返還を要求するのが当然であると思う。従つてただいまの小林君の、質問も、そういう意味のことを含んでおつと思うのですが、それに対する文部省側の態度が若干弱い、遠慮しがちであつた小林君の質問内容がそういう意味であつたと私に受取つておるわけなんですか、今度の問題に関連しても、新聞等の報するアメリカ側の学者の発表の態度なり、アメリカ側の当局者の言動というものが、相当日本の学術界を刺激しているのではないか、こういうふうに思う。従つてこの際は学術の立場からしまして、アメリカの原子力学者に人道的な反省を促す、学者としての良心を促すという態度に日本政府が出なければならぬ、かように私は考えておるわけですが、この点についてはどういうお考えをもつて政府は対処せんとしておるのか。これが大事じやないかというふうに思つておりますが、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  78. 福井勇

    福井(勇)政府委員 非常に大きい問題でありますので、予算委員会において総理あるいは副総理から答弁させてもらつた方がいいと思いますが、なお研究の資料のことについては私お答えしておきたいと思います。おそらく当時の資料は民間の研究機関から向うが取上げて行つたものが多いのじやないかと予想しておりますが、官立の施設から持つてつたというようなものについては、今またちよつと私の方の耳に入つておりません。民間の方から持つてつたものも、学術研究の資料とすればこれは当然取返さなければいかぬというのは同感でございます。これについては、小林委員等の御指摘のように至急調べますから、ちよつと余裕をいただきたいと思います。
  79. 松平忠久

    ○松平委員 次官が答弁ができないような大きな問題だそうでありますので、これは後刻に譲りたいと思います。  もう一つ伺つておきたいのは、当時ウラニウムの資料をアメリカが大量に集め、ウラニウムの採掘についても事実上禁止の命令が出ておるように私は聞いておるわけでありますが、これらの禁止命令というものは講和と同時に当然効力を失つておると思う。そこでウラニウムについての資料並びに日本におけるウラニウムの採掘等については現在はどういうふうになつておりますか。
  80. 福井勇

    福井(勇)政府委員 私が答弁しますと、少しよけいになり過ぎるといつてどうもおしかりを受けるような気がするので、気が引けてしまつてよう言えませんが、この問題になりますと、どうしても三分間で、それはこうとか、どうでございますと言えませんので、ちよつとその点は各委員からお許しを願つて答弁させていただきたいと思います。よろしゆうございますか——このウラニウムの問題につきましては、世界各国ともむろん注目しております通り、新しき世代の原子動力としての基礎はウラニウム二三八、二三五、二三四にありますが、これを日本で採掘することができる、あるいはあるという説が終戦後相当ありましたけれ、ども、実際はそう期待するものはありません。現在山口県とか、あるいは岐阜県あたりに、その調査、あるいは当時採掘した痕跡はありまするが、各県にそれぞれどういう鉱脈でどういう種類のものに含まれておるかという調査資料は、学術会議にもありますし、私もいま一時間を予定してくたされば、国内における詳細な資料を手持ちしておりますから、この点はいつでも御参考に供することができます。
  81. 辻寛一

    辻委員長 小林君にお答え申し上げます。先ほど小林君から福竜丸事件に関連して、学術研究の見地から文部委員会においても独自の見解で調査に当れという御提案でありますが、きわめて重要な意義を含んでおりますので、後ほどの理事会におきましてとくと御相談申し上げまして善処いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時六分散会