○長谷川(峻)
委員 私はけさの新聞を読みまして、非常に暗い気持にな
つておるのですが、東京のまん中御茶の水の元町
小学校において、昨日二年生の七つになる鏡子さんという、お子さんか、授業時間中に便所の中で絞殺されて、しかもそれが暴行を受けておるというのです。わが文部
委員会としては、
全国文部行政をいろいろ
検討していて、大事な
予算その他を
審議しておるのですが、われわれがやろうとするところの根本は、わが国の
教育がよくなる、そしてまた子供
たちがすくすくとりつぱに育つという点にかか
つておると思うのでありますが、その新聞記事をずつと拜見しますと、
学校に来た七つになるお子さんが、授業時間を済ませた
あとで、休み時間とその
あと二時間も教室に姿を現わさなか
つた。そして偶然のようにお母さんがその近くを買物に行
つたついでに
学校を見ると、自分の子供と同じ二年生の組の生徒が大勢遊んでいるにかかわらず、自分の子供がいないということからして、
学校の
先生に注意を促して、それから騒ぎが大きくな
つて、屋上から地下室まで探し、それでも見つからず、だれが一番先に見つけたかといえば、結局そのお母さんが便所の中に絞殺されているところの自分の子供を見つけた。こういう事件なのであります。これは私、一殺人事件というような問題でなしに大きな文部行政の問題であり、さらにまた一つの大きな社会問題ではないか、こう
考えるのです。ということは、まず問題といたしましては、その担任の
先生が四十歳になる婦人の
先生であるということであります。お子さんを持
つておられる経験があるかないかはわかりませんけれ
ども、
教育経歴においては四十歳なら相当あるだろうと思います。ところが二時間以上無断に教室を明けておるお子さんについて何ら関心を払
つていなか
つたこと、しかもそのお子さんのお母さんから注意されて、初めて騒ぎ出しておるというこの実例、さらにもう一つは、戦後東京の
学校環境が非常に悪くな
つておる。どこにおいても戦災を受けたために、浮浪児がどしどし
学校の中に寝とまりしておるところもありますし、あるいはまた便所などは浮浪児が共通に使
つておるところも多々ある。こうした
学校環境をそのままにしておることが、こういう犯罪事実を起すような結果にな
つておるのじやないか、こう思うのであります。そこにおいてこの際わが文部
委員会といたしまして、この大きな社会問題であるところの鏡子さんの死を通して、わが国の
教育者の自覚と申しますか、足りないものがあ
つたならば、これに足してもらうというところが一つと、さらにまたこの
学校環境の視察とか、そういう実際の体験を通して、わが文部
委員会の
審議なり、将来の
予算の問題なり、
施設の問題について熱心にな
つていただきたい。
文部当局だけでなく、われわれもそういう共同の責任を
感じて、一生懸命や
つてもらいたい。こう思うのであります。
そこで問題は二つにわかれますが、一つは、
文部当局がこういう問題についてどういうお
考えを持ち、どういうふうに
教育者の良心的なものを呼び起させて、これを契機として、大きな
教育行政の堅実なる発展に努められる御意思があるかないかもう一つは、われわれ文部
委員会といたしまして、ただちにも
つてこういう実例を通じて、日本の
教育を具体的によくするという
意味からいたしまして、
委員長から文部
委員の方々にお諮りいただいて、調査を、派遣していただきたい。この二点について私はお願いし、御
質問申す次第であります。