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小林(信)
委員 ここで学問の自由と書いてあることは
教育方針として掲げたものであ
つて、教師に要求する点が非常に大きいのです。
従つてそれは
教育の自由というようなことにも
解釈してもいいんじやないかと思
つておりますので、あるいは大臣が混同されておるようにお
考えになるかもしれませんが、しかしその場合に、大臣はすぐ今までの
審議状態からして飛躍をしてしまうのですが、私は飛躍しておらないのです。やはり教師はそれだけ尊重しろ、こういうふうに
教育方針として
規定されておるのですから、だからこそ自分の
責任というものを重大に
考えなければいけない。
従つて自分があらゆる機会にあらゆる場所でというような指示に
従つてやる場合も、非常に慎重を期さなければならない。こういう態度で教師が臨むことが、
教育についてわれわれが要望するところなんです。
従つてそこには、それを行うために恐怖を与えるようなことがあ
つてはいけない、いささかもおびえるようなことがあ
つてはいけない、そういうことから守
つてやるのが
政治なんです。ところが大臣はそんなものは少しも取締
つてはおらぬというのですが、やはり行き過ぎればそこに罰則がある、あるいはこれが社会から糾弾されるもとになるというようなことが多くなることは、教師をだんだん萎縮さして行くのではないか、こう私は言うのですが、大臣はおそらくそういうことはないとおつしやるだろうから次へ移ります。
やはり
教育方針の問題についてさらにお伺いするのでございますが、実際生活に即さなければいけない、それから自発的
精神を養わなければならないということがあります。これも非常に重大なことでございます。自発学習というようなものをやらせるには、これは
教育の技術と申しますか、なかなかなかふうを要するものでありますが、とにかく興味を持たしたり、あるいは刺激をして調べようとする意欲を起さしたりすることがなか
つたならば、
教育の内容というもの、
教育の仕事というものは何もないわけなんです。こういう点につきましては大臣等はあまりお
考えにならぬと思いますから、ちよつと例をと
つて申し上げますれば、たとえば修学旅行に行く。これはただ知らないところを見るということでなく、この
教育方針に従うならば、汽車に乗る、そうすると車内道徳というようなものも公衆道徳として教えるわけです。みかんをたまたま食う。そのみかんの皮を捨てた場合に、お互いにきれいなところに乗
つて行こうじやないかというような指導をする。そんなことを子供の方から言い出したならば、もう一つ子供に教えなければならぬ大事なことがある。それは自分が鉄道従業員に
なつた場合などを
考えさせなければならない。その場合に
反対の
言葉を使
つて、しかし金を出して乗
つているのだからいいじやないか、これは金をと
つて乗せておる鉄道の方の従業員が当然掃除すべきだから、それにやらしたらどうかというように言
つて、そこの問題をお互いに、従業員もきれいにすることに努めなければならぬが、乗客もきれいにすることに努めなければならぬ、そこで初めて車内の清潔が保たれるのだというようなことがあるわけで、
教育というものは、大臣、なかなかむずかしいものです。こういうりくつばかり言
つておれば簡単なんですが、大臣の今までの御答弁を聞いておりますと、各政党の主義、
政策というものを逐条的に並べて子供にすぱつと与えればいいというようなことをおつしや
つていますが、そんなことでは決して
教育基本法で要求するような
政治教育はできないわけです。だからある一場面を聞いた場合には、あいつは自由党に加担している、あいつは共産党の傾向を持
つておるぞというようなことがある。しかしそんなことに拘泥されることなく、自分の所信を貫いて行くということが教師に要求されなければならぬことである。先ほども前田先生から汚職の問題が出ましたが、かりに汚職の問題が、子供に発言された場合に、先生はまずこれに対する研究テーマをつくらなければならぬ。子供と一緒につく
つて行くわけですが、汚職というものは一体どういうふうにして仕組まれるのか。これは
政治屋さんばかりがあ
つてできるものではない。官吏もなければだめだ、財閥もなければだめだ。こういうふうなことを先生は大体テーマとして持
つていなければならぬ。そういうふうなものを誘導して、汚職の構造をつかませなければ、汚職の悪いということを的確につかむことはできないわけである。もちろんそういう場合に、汚職が自由党にいくらたくさんあ
つたとしても、自由党ばかりに片寄ることはいけないんですが、汚職にはどんな影響があるとか、あるいは汚職の原因はどういうところから生れて来るのかというようなことを子供に
考えさせなければならぬ。そんな場合に子供が気がつかなか
つたら、先生は、
政治屋さんというものは選挙にたくさん金を使うのですから、そういうふうにしてもうけなければ使えないじやないかというようなことを言うかもしれぬ。そうすると、それだけ聞いた人は、あいつは間違
つた政治教育をや
つているんだ。ところが子供はそれにヒントを得て、それはいけないのだ、買収ということはや
つてはいけないのだ。そうすると今度は、
国民の方から選挙のときに金をもらうから汚職が起きるのだ、
国民がまずその金を贈らないことが汚職をなくすもとだというぐあいに仕事をして行くのが
教育の実態なんです。そういうふうなときにあらゆる方法を用い、あらゆる計画を立ててやるときに、こんな
法律が出たら、先生は相当萎縮するんじやないかと思うんですが、そういうことは大臣
考えたことはございますか。