○高津
委員 およそそのように汚職問題の発展はきびしいのであります。それでちまたにいうその汚職内閣が道義的責任をとらず、政治的責任をとらない態度を、国民の大多数は苦々しく思
つておりますが、わけても五十数万の
教育者は、上に立つ者のかような態度が、みずから預かる児童、生徒、学生に及ぼす影響の甚大なることを衷心より憂慮し、痛憤しておると思うのであります。
大臣、私はそのような内閣が自己反省をするでもなく、しばらくでも謙虚な態度に出るでもなく、およそその反対に、他人に対し、第二の
法案では一年以下三万月以下、第一の
法案では三年以下十万円以下の罰金、こういう刑罰を課するという手段によ
つて教師に臨むということは、いかに考えても
大臣の好きな
教育勅語にいうところの恭儉おのれを持する徳目を
政府みずから踏みにじ
つているものではないでしようか、これが一つの
質問であります。そして人もあろうにこの
法案の熱心な推進者たる
大達文相がどのような思想、どのような意見の持主であるかと言えば、三月十日の法務
委員会の速記録を読みますと、明らかにこう出ております。社会党の木下郁代議士が
文部大臣に、戦争裁判の適法、戦争裁判が適当なりやいなやという点についてお考えを伺いたいと
質問したのに対して、
文部大臣答えていわく、「私はああいうことは野蛮人のすることである、食人部落がけんかをして、
あとで首祭りをするのと同じことだと思
つております。」と、私は一字も一句もつけ加えることなく読んだのであ
つて、
委員諸君のどなたでも来てひとつこの速記録をごらんください。
東京において、あの戦争裁判を中心勢力として推進した者はアメリカ人であります。
大達文相によれば、ああいうことは野蛮人のすることでありまして、野蛮人のすることをやつた者がアメリカ人であつたという
発言であります。そこにはあの戦争に対する反省などはみじんも看取できません。私はまた近来これほど思い切つた反米的言辞を聞くのは初めてであります。しかも場所に申分なし、国会における
大臣答弁に立
つてこの意見を発表されたのであります。これは平素、心にそう思
つていればこそ、すらすらと簡にして要を得た名せりふがあのように苦もなく
発言できたのであろうと信じます。
大達文相は、パージが解けて、今を盛りと活躍し始めた矢次一夫君を
事務局長として組織されている国政研究会という団体、この国政研究が先月八日、日本倶楽部において開いた同会会員の集会に臨み、ただいま上程されている
教育二
法案について講演をされ、その筆記が同会の機関紙「新政」第二巻、第六号に載
つております。その席には下村海南、久冨達夫、安積得也、向井鹿松、高山岩男というような人々も見えたのでありますが、本来この団体は番町会の永野護、十条製紙の社長の西済、同常務金子佐一郎、富士製鉄社長永野重雄、野村証券社長奥村綱雄、元情報局次長奥村喜和男というような、そういう財界の人々やあるいは(「鍋山貞親もいるぞ」と呼ぶ者あり)貞親がいればどうもいよいよ悪いことである。
大臣は盛んに共産党攻撃や日教組攻撃をその席でやり、しかも日教組が親ソ反米の
教育をする点を指摘して攻撃していられるのであります。みずからは
大臣として国会で大つぴらに反米的な
発言をしながら、日教組の反米宣伝を取締ろうとする
法律をつくることは自家撞着ではありますまいか。みずからはすぱりすぱり葉巻をふかしながら、他人に耐乏生活を説くのは筋の通らぬことである以上に、文相自身が今日力を入れて反米
教育を抑圧しようとされることは、筋の通らぬことおびただしい話ではありますまいか。どんなに好意的に見てもこれは明らかに矛盾であります。私は人物評論も書きますが、
大達茂雄という紳士の特徴の一つは、男性的、積極的、押しとがんばりの強さのような面であろうかと、ひそかに観察をしておるのであります。一旦言つたことには責任をとる。そうは言
つてもこの人にも例外はあ
つて、何ゆえか戦争に対しては責任は一向に感じていられないようであります。
文部大臣は一流の学者であること、これに越したことはありませんが、そのような学者でなくても、また福沢諭吉、新島襄、ペスタロッチなどという天与の
教育者でなくとも、ただ一つの
条件、それは私は言行一致という平凡な徳目であろうかと思いますが、
文部大臣としてこの言行一致だけはぜひとも必要であると存じます。
大臣、あなたは今から一週間前、法務
委員会の席上において驚くべき反米宣伝をした。その名せりふはただちに電波に乗
つて海外に、全世界に伝達されたのでありますから、あのとき
文部大臣たるその資格を一分の間に失われたのであります。なぜそう言えるか。みずからはそのような反米的な大宣伝を行いながら、小
学校、中
学校の
義務教育に従事する教師の、
大達発言に比べてその十分の一、百分の一、千分の一でもない、とりようによ
つては反米のにおいがする極度の
範囲も限界も不明瞭な言葉の先まで問題にして、教師を刑務所にぶち込むような
法律を、一つならず二つまでつくるということは、自家撞着であり、矛盾であるのみならず、古今東西を通じて異論のない言行一致(
発言する者あり)言行一致に諸君は反対ですか。(「大賛成」「
質問を継続しろ」と呼ぶ者あり)言行一致ということをあなたは台なしにし、めちやめちやにされたのであります。
大臣、あなたはか
つても言行一致の行動をと
つておると御主張になりますか。いくら御心臓でもそうは言えなかろうと思う。言行一致の行動はとらなかつたと男らしく答弁をされますか、これが私の第二の
質問点であります。これは根本ですよ。