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足鹿委員 長官、今あなたの御答弁を聞いておりますと、正直な御答弁をなす
つておると思うんですが、ただ一点この
国有林野を払い下げた場合でも、むしろそのこと自体が
合併を
促進するのではなくして、
合併の障害になるという
趣旨の御答弁があつた。私
どもも
地方を歩いてみて、確かにそういう点のあることも認めます。ただそれだけをも
つて困難な理由の
一つとされることは当らないと思う。なぜかといいますと、
合併をいたしまして、その管内において財産区を設けて
国有林野の払下げを受けたのはもちろんのこと、元の市
町村にあつたところの分収
造林とか、その他
公有林とかみな財産区を設けております。払下げを受けたものもおそらく財産区を設けることになるでしよう。それは地元の条件であります。いわゆる山に接近しておるところのものはたんぼも少いし、他の
農業外収入が得られないから山に依存しなければならないのであ
つて、それを新たなる市
町村の
基本財産に全部持
つて行くというようなことでは納得が行かないのです。ですからこれは頭から財産区を設けて、そこで管理をさせて行く。しかし設けたからとい
つて、その財産区が必ずしもか
つてに処分をするというようなことは
地方でや
つておりません。みんなその市
町村におきまして
委員会等を設けまして、そしてその村に道路の大きいのをつける、あるいは橋がこわれたのを直すとか、そこに公民館を建てるとか、あるいは学校の改築をやるとかや
つておる。しかしその場合財政がないというときに、その全体の
合併町村の
委員会なり適当な機関がこれを承認した場合に、その部落有財産といえ
ども、財産分区をつくつたところも払下げをさせるということに、大体どこでもや
つております。ですから私はそう御心配になることはなかろうと思う。財産区を設けたからとい
つて、そうむやみやたらにその財産区の決議でか
つてにやるというようなことはや
つてはいけない。その財産区の決定というものも、ほとんど
合併された市
町村長等の
指導監督のもとにあ
つて、著しく私益追求で
趣旨の立たないものにこれをむやみやたらに処理するというようなことは、今まで例がありませんし、また今後もあ
つてはならないことだと思うのです。ですからそういう点はあまり御心配にならないでいいと思う。各
地方もうまくや
つておるのです。そうか
つてなことは認められない。ですからそういう点はもう少し
地方の自治体を信頼されて行く必要があろう。何をしでかすかわからないというようなことは、今の
合併した村の場合においては、そう簡単にあり得ない実情だということをひとつよく御承知おき願いたい。そこで私は、先ほ
ども非公式に言いましたように、この問題が片づくまでは、この
委員会があるたびごとに、あるいは
農林委員会があるたびごとに、この問題はとことんまでやるつもりでおります。なぜかといいますと――そうでなかつたら市
町村合併促進法のあの条項をお削りに
なつたらどうですか。ああいういかがわしいものをぶら下げておいて
地方民をつ
つて行くというようなことは、よろしくない。大体この
合併促進法にしても、ああいうものをぶら下げて
地方民を誘惑する。また県の
地方課あたりがどういうことを言
つて誘惑するかというと、とにかく今しないというとバスは出てしまう、平衡交付金の額でも減
つて来るのだし、林野の払下げでもうまく行かないかもしれぬ。そこで、そんなことはあるでしようかとわれわれのところに聞きに来る。あるかないかわからぬが、県の人にそういうことを言われると、はたの者が全部バスに乗つか
つてしま
つて、自分たちだけが乗り遅れてはならないという地元民の気持から、事実上においてはこの市
町村合併というものが非情に誤つた方向へ進んでおる。適正規模の健全なる農村をつく
つて行くというのではなくて、一種の市制ブームや町制ブームに巻き込まれておる。こういう結果を来しております。その一番大きな種は何かといえば、農山村においては国有林の払下げ、また一般の共通的なえさは、
補助金や平衡交付金の点でさじ加減がある。この二点でつ
つておるのです。そしてこういう市制ブームや町制ブームをでかしてしま
つておるのです。ですからやれないならばやれないようにはつきりして、
地方民にこれ以上空疎な
期待を抱かしめないことがよろしい。大体あの法律ができたときに、あなた方は自治庁とも御相談に
なつたでしよう。全然ございませんか。それを今ああいうことが
地方に誤り伝えられたとはいうものの、やはり
地方民というものは素朴でありますから、出先の県や自治庁の人々が言うと、いかにもそういうふうに持
つて行くものです。そうするとそれにみんな乗
つてしまう。その責任までは負えぬとおつしやるかもしれぬが、また負
つていただきたいとは思いませんが、少くともそういう実情にある。この
期待に対して、国が全然こたえないということは、私は間違いじやないかと、率直にい
つて思うのです。ですからこの問題は、とにかく何とか片をつけてもらわなければ困る。
基本問題であればあるだけに、ぜひ
長官も――今福田君に言われたような御答弁では私は満足できない。自治庁ともつと連絡して、やれぬならやれぬ。もういいかげんな、こういうことで
地方民に対する誘惑をやめてもらいたい。もう少しかつこうをつけるならこういうふうにつけるというふうに、積極的に
なつていただきたい。