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1954-03-11 第19回国会 衆議院 農林委員会林業に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十一日(木曜日)   午後一時五十六分開議  出席小委員    小委員長 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐々木盛雄君    福田 喜東君       井出一太郎君    加藤 高蔵君       足鹿  覺君    芳賀  貢君       小澤 茂一君  出席政府委員         林野庁長官   柴山  榮君  小委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政部         林政課長)   臼井 俊郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 三月三日  井手以誠君二月二十五日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同日  川俣清音君二月二十六日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同日  川俣清音君二月二十六日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員長に補欠選任された。 同月十日  小委員井手以誠者同月九日委員辞任につき、そ  の補欠として足鹿覺君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有林管理機構に関する件     —————————————
  2. 川俣清音

    川俣委員長 これより農林委員会林業に関する小委員会を開会いたします。  本日は、この小委員会研究課題であります国有林野整備臨時措置法有効期限の延長の問題、並びに保安林整備強化に関する立法措置等について調査を進める予定でありましたが、間もなく本会議も始まるようですから、この問題は後まわしにいたしまして、足鹿君より二、三営林局移転の問題で質疑したいとの申出がありますから、これを許します。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは二、三お尋ねしたいと思います。それは林野庁営林局管区変更あるいは営林局所在地移転等を御計画なつておるように聞きますが、その大体の考え方なり理由を、お聞かせ願いたい。
  4. 柴山榮

    柴山政府委員 現在の国有林経営組織は、御承知通り全国を十四の営林局にわけまして、その下に三百五十五の営林料を附属させ、業務管理関係林政部計画指導部という形で結びつきを持つておりますが、現在の国有林昭和二十二年度から特別会計に切りかえられたのでございます。これは従来地区によりまして、あるいは形態におきましていろいろな形で管理されておつたのを、管理統一されますと同時に特別会計に切りかえられた次第であります。北海道国有林は、従来川内務省系統として道庁で管理しておりましたもの並びに北海道におきまする御料林帝室林野局によつて管理されておりましたものとを統合いたしまして、現在の国有林を組成しておる次第であります。従つて統合が進みますと同時に、特別会計として急速に出発するという必要がありました結果、営林局あるいは署の管軸区域所在地等を十分に検討するいとまなくして出発したような地域があるということで、現在の営林局所在地並びに管軸区域経営単位として非常にアンバランスがある。そこで特別会計経営といたしましても非常に不便、不都合がございますので、一日も早くやや理想に近い単位に再配備いたしまして、それに適応する営林局位置の配分をいたしたい。こういう考え方で従来も進めて参つております。現在非常に差し迫つておるところは、実は現在長野県一円を管轄いたしておりまする長野営林局所在地関係でございますが、この長野営林局の現在の所在地は、旧御料の木曾支局が、木曾支局だけを考えますと、主体的に木曾流域ということになつておりましたので、位置的に最も適当な場所として選定されたものを、現在におきましては長野県一円ということを考えますと、非常に位置的に偏在するということが一点と、一般林野行政との関連連絡等を考えました場合に、地方行政中心地から非常に離れておるということのための日常の大きな不便等を考えますと、現在の木曾福島位置というのは営林局としては非常に不適正である、こう考えるのでございまして、先にもこれらを含めまして再配備を考えて設置法改正を御審議願つたことがあるのでございます。そのときには一応審議を留保されて、そのまま見送られたという結果になつておりますが、今日考えますと実は遷延しきれないような差迫つた状態にもありますので、でき得れば、この際一部分でもその理想を実現するようにお願いするようなことになりはしないかということで、今検討いたしております、ただここで、同時に従来企画いたしておりましたものを実現させようといたしますと、二十九年度の予算内におきましては、ちよつと処理しきれない。同時に他の部面は、それほど今ただちにこのきゆうくつな際に実施しなくても、まあなんとか過ごして行けるというような情勢のニユアンスが相当ございますので、目下それを検討いたしておるという情勢にある次第でございます。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと今問題になつているのは、木曾福島に所在しておる長野営林局を、地方行政機関中心といいますから、要するに長野市に移すというわけですか、ほかに御計画なつておるところはどこどこですか。また管区変更との関係はどういうことになるのですか。
  6. 柴山榮

    柴山政府委員 区域の再配備を考えておりますのは、最も管轄区域の広い青森それから前橋、さらに非常に偏在しかつ小さな規模にあります長野名古屋東京、これをひつくるめまして再配備を考えるという計画をいたしております。そこで前橋営林局管内といたしましては、現在福島、栃木、新潟群馬これだけを持つておりますが、この管内福島県が最も多くの国有林を現在持つておりまして、これが群馬管理されるということに非常に不便を感じております。これを非常に大きな青森の一部と組み合せまして考えるという問題が一つ。それから管轄区域といたしましては、長野一県では非常に規模が狭小でございますので、新潟県を含めましてちようど適正な一単位、さらに群馬東京地域に加えるということが管理上最も適当である。さらに名古屋は従来富山、岐阜、愛知三県を持つておりますが、面積的に非常に狭小であるのと、交通等関係から静岡県の一部を加えることが範囲として適当である。それらを面積的に、あるいは管理位置的に考慮いたしまして、一応全体案として考えておりますのは、営林局ではただいま申し上げました長野新潟県と合せて長野市に移す。それから群馬県は一応単独の必要はない、東京にくつつけるということで、前橋を廃止して、宮城、福島を一区域としまして福島市に設置したい、こういう案を持つておりますが、その他は現在の東京区域整備名古屋営林局区域整備、これを全部統一して一応案は考えておるわけであります。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、そういう全般的な管轄区域変更の手始めとして、まず長野営林局移転を早急にやる、あとの分は逐次やつて行く。その年度計画であるとか、時期ですね、これは法的な何か措置が必要ですか。
  8. 柴山榮

    柴山政府委員 営林局位置の問題は、管轄区域と合せまして、農林省設置法に規定されておりますので、設置法の一部改正をお願いしなければ処理ができない、こういうことに相なつております。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 そうするとそれはいつごろお出しになるわけですか。
  10. 柴山榮

    柴山政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、全般を一時にお願いできれば非常に理想的に運ぶわけでありますが、予算の面から申しまして、確定を願つておいて、ただちに全部を実現させるということは、今の情勢では困難でございますので、でき得れば差迫つておる分だけを本国会で修正をお願いできたらということで、関係方面と今相談をいたしておる次第でございますので、さしあたり本国会に御審議を願うとすれば、長野移転だけを一部として御審議を願うということにいたしたらというような話合いをいたしておる次第であります。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 さしあたり必要なところからやるが、とりあえず長野移転をやる、こういうお話でありますが、これは単にそれだけを見れば移転と思いますが、区域変更がこれにくつついて来る。そこで地方ではいろいろそういう動きに対して、敏感にそれぞれ意見を持つておるようであります。聞くところによると、ちよつと動かしても五ないし六億程度経費がいるという話であります。特別会計に切りかえた当初におやりにならなくても、昭和二十二年から今日まで五、六年の長い年月がたつてけつこう運営がついておつたところを見ますと、そう大した、そうあらねばならないというほどのこともない。伝え聞くところによると、北海道の所管がえも一時計画されたが、何か政治力的なことでこれもおやめになつたというような話も仄聞しますが、その真偽は別としまして、また今回の局の移転区域変更というようなことについても、われわれの耳にするところによりますと、政治的背景が相当強く作用しておるのではないか、こういうような声も相当聞くのです。で、絶対必要なものを私どもは阻止しようとも何とも考えませんが、いわゆる有力者等運動によつて動くという印象地方民に与えますと、現在あるのを持つて行かれるところは絶対反対になつて来て、そこに紛争が起きて来る。また円滑な林野行政にそのことが原因して悪影響をもたらす、こういうことになろうかと思う。現に前橋方面からはいろいろな陳情を私どもにも始終聞かしておりますが、二、三年前から前橋営林局の問題は、いつも何かの問題がよく起きて、われわれも聞かされているわけでありますが、断々固としてやらなければならぬほどのことも今の長官の御説明を聞くとないようだし、私どもはあまり専門でありませんからわかりませんが、そういう多額の経費をこの一兆円予算のわく内で使つて、それが何ほどの効果をもたらすか、元来国有林の集団的な所在地中心に現在の局というものが置かれておることが根本のようでありますが、それを今度は行政庁のあるところでないと便利が悪いというふうになつて行きますと、何かそこら辺にも統一された理由はないような点がうかがわれます。とにかくこの地域変更、局の所在地移転というようなことについては、あるいは地方の反撃を恐れて、小出しにちびりちびりやつて行こうという御方針かもしれませんが、そういうことではちよつとまずいのではないかという印象を持つのです。一つの事例を申し上げますと新潟でありますが、今度前橋というものがなくなつてこれが長野に所属するということになるふうに地方民は言つておりますが、そうなりますと、距離的にもまた鉄道の状態からいつても、新潟方面から出て来るには現在の方がずつと便利がいい。ぐるつとまわつて長野に出るよりも、上越線ですか、で出て来れば用が足りるというような声もあるようです。私もあまりよく事情はわかりませんけれども、どうも機構いじりという感じを受けます。と同時に、そこに何か有力な政治力というようなものによつて行われたり、またストツプされたりというような感じを持つのであります。これは的確にわかりませんから断言はいたしかねますが、とにかくそういう印象を非常に受ける。これはおもしろくないと思うのです。そういつた点で相当慎重を期していただきたい。現存あるものが全然動いて行くということになりますと、得る地方と失う地方と非常に大きな差が出て来ます。これは申すまでもなく慎重を期しておやりになつておるでありましようが、もうすでにそういう声が上つており、またそれに尾ひれをつけて、またいろいろな火の手が上つて行く。こういうことで、私ども別に退嬰的にものを処理しようというのじやありませんが、現に新潟あたりの声を聞いてみると、今より不便になつて都合が悪い、こんなことに金をかけてもらつては困る、われわれは何の得るところもない——それだけを聞けばもつともだと私どもも思う。しかしまた全般的な面から見なければなりませんから、あえてそれが絶対的に正しいとは言いかねますが、その所在地地方なりの盛衰にも相当関係があるでしよう、そういつた点から慎重を期していただく。地方民のほんとうの声をよくお聞きになつて、これについては御善処願いたい。またでき得ればこうした問題を検討するためには、将来の考え方とも関連があり、大きな問題でありますから、内閣委員会あたり連合審査会を持つとか、相当突込んだ検討を必要としないか、こういうふうに思つておりますが、委員長の方で今の私の意見もひとつごしんしやくを願つて、法案ができ上つて出るまでに、そういつた点をよく勘案をしてやつていただきたいと思います。きようは時間がございませんから、とりあえずこの点だけを申して上げて、何か長官に御意見があつたら承りたいと思います。
  12. 柴山榮

    柴山政府委員 この問題で何か政治的な圧力あるいは運動等があつて、われわれがそれに動かされておるのではないか、こういうような御懸念でございまして、非常に恐縮に存じておりますが、もちろん先生のお話通り、現在あります機関がその地方からなくなることになりますれば、小区域地方にとりましては、その繁栄にも相当影響がある、このことは私どもも十分考えないではないのでございますが、運動によりあるいは圧力によつてということではなく、私ども管理経営上、最も集約的にかつ合理的にということで検討いたしました案でございまして、この問題は一つには、最近におきます国有林野事業は、経営と申しましても国営事業でございまするので、地元林業その他の産業関係と、行政的に関連を相当強く持つてつておる。従いまして今日長野局で考えてみますると、長野の局の幹部職員が毎月県所在地に出なければならない用事が非常に重なつて参つておる。このことは経費の上におきましても、あるいは時間的にも非常に不都合ばかり多い。これを統一的に、しかも便宜に実施できれば、将来の経営上非常に有利になる。こういう点は相当差迫つたところまで来ておるということでございます。さらに管軸区域新潟県を入れたという理由につきまして、これはあるいは御審議をいただく機会があれば、詳細に申し上げたいと存じますが、国有林は性格的に、管理経営をいたします目的は、何としても国土保全の問題が相当大きな役割をいたしております。従いまして主として大水系を中心として管轄区域を考えるということで処理いたして参つておりますが、信濃川の流域を二つにわけておるということが、これを総合的に企画し、経営するということに、現在におきましても連絡その他で相当大きな不便を来しますので、これを統一的に簡易に処理できるためには、一つ管理機関でこれに対処するということが最も便宜であり、適当であるというような点から、実は主体的に管轄区域を考えておるということでございまして、一面におきまして多少地元方たち連絡に不便がある場合も出て来ると存じますが、それは全部ではないと思われまするので、全体の国の方針としての管理経営という立場から、実は場所を選んでおるということでございます。ただ、それならば思い切つてその方針を一時に実施したらどうだというような御意見もあるかと存じますが、実際問題といたしましては、具体的に申し上げれば前橋の場合のごとき、実はこれも前橋がすでに選ばれたとき、あそこが適当だとして選ばれたというよりも、戦争中に東京にありました営林局を戦災で焼かれまして、このまま東京に復帰するということは困難な情勢にあつた際に、一時疎開というようなことで前橋にごやつかいになつた、それがそのまま居ついておるということで、すでにその当時から管轄位置ということでは非常に不都合があつたわけでございますが、それを前橋にありまして不都合を忍びながらやつて来た。先ほど申し上げましたように、特別会計発足の当時、ただちに使えるということで、不便を忍んでそのまま来ておるというような関係で、これも位置的に考えますると、何としても適当な位置ではないと思われますが、現在福島ほど差迫つていない。現在福島のごときは、非常に小さな範囲管理経営するために、御料林木曾支局という程度で発足したものをそのまま使つておりますので、もうすでに長野下全国有林管理するといたしましても、規模的にほとんで不都合だらけ、しかもあの御承知のような狭い谷の中でございますので、全然整備し拡張する余地もない。現在住宅を一軒建てるということさえも困難で、職員が非常に多く遠くから通勤せざるを得ないというようなこともございまして、各方面から考えて最も差迫つた関係にあるので、なるべく地方のトラブルを少く御了解を得て、この際はやむを得ず一部でも処理させていただいたらどうか。こういうような考え方を持つておるわけでございますが、方針的には、依然として国有林野管理経営というものを主体的に考えて進んでおるということを、ひとつ御了承願いたいと思つております。
  13. 川俣清音

    川俣委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十八分散会