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1954-03-02 第19回国会 衆議院 農林委員会肥料に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二日(火曜日)    午前十一時五十二分開議  出席小委員    小委員長 綱島 正興君       足立 篤郎君    小枝 一雄君       佐々木盛雄君    福田 喜東君       松山 義雄君    吉川 久衛君       足鹿  覺君    芳賀  貢君       安藤  覺君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  小委員外出席者         農林委員長   井出一太郎君         議     員 川俣 清音君         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    林田悠紀夫君         通商産業事務官         (軽工業局化学         肥料部長)   柿手 操六君         通商産業事務         官         (軽工業局化学         肥料部化学肥料         第一課長)   石井 秀平君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  臨時硫安需給安定法案内閣提出、第十六回国  会閣法第一六七号)     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 これより会議を開きます。  臨時硫安需給安定法案議題として審査を進めます。なお肥料小委員のほか農林委員発言も、前回通り適宜小委員長において許可することにいたしたいと思いますので、あらかじめ御了承を願つておきます。  実は皆様のお手元まで小委員長がつくりました——御不満もあろうと思いますけれども、今まで出て来ました御意見をできるだけ集約して、お手元に差上げておきましたが、これについての御意見も追つて伺いましようし、今日はこの小委員長の案について、御検討というよりは、これは皆様各党で御意見がございましようから、各党へお持ち帰りになつて、次回にでも十分な御意見を伺えればなおけつこうだと思いますので、本日は従来通り議題となつております法案について質疑を進めたいと存じます。御発言はありませんか。
  3. 川俣清音

    川俣清音君 今小委員長の草案が出ておりますが、これに対して二、三ほんとうお尋ねしておきたいのですが、これをお尋ねいたしましても、委員長答弁にお苦しみになる点もあろうと思いますので、小委員長にはお尋ねしないで、政府側お尋ねいたしておきたいと思います。  この小委員長の案の中でも一つ落ちておりますのは、いわゆる保管数量は、国内消費量見込み数量の一割を基準として、需給状況を勘案して定める、こういうのでありますが、この保管は何のために保管をするのだという説明は、たびたび聞いておりますが、最近の硫安事情化成肥料事情から見まして、意味が納得行かなくなつて来つつあるように思うのです。むしろ保管をするということの方が、ちようど輸出と同じように国内需給を圧迫するのではないかという議論も行われておりますので、これに対する見解を、経済局長からお示しを願いたい。
  4. 小倉武一

    小倉政府委員 保管数量意味でございますが、これはたびたびお話申し上げておるように、国内供給を確保するということであります。もちろん需給計画によりまして、国内供給につきましての計画はできるわけでございますが、あくまでこれは計画でございまして、途中で生産関係、あるいは消費関係が変動するおそれがございます。そういう変動が生じましても、なおかつ国内供給は大丈夫である、こういうことのために保管という制度を設けたのであります。またそういう制度を設けますことによりまして、さらに輸出が円滑にできるようになる。この二点がねらいでございまして、法案の策定当初から今日に至るまで、その考え方にはかわりがございません。また今日の状況から申しましても、そういう制度がやはり必要であろうと存じます。
  5. 川俣清音

    川俣清音君 小倉経済局長説明だと、前とちつともかわらない。結局は国内需給を安定させるために保管をしておくのだ、こういう説明ですが、最近の肥料事情は、相当生産が順調に行つておる。そういう場合には、肥料需給逼迫するから、逼迫操作のために保管をしておかなければならないのだ、こういう説明ですが、私の先ほど聞いたのは、むしろだぶつくときに、だぶつきを緩和するためにその一割が利用される。ちようど輸出を反対しておりながら、むしろ輸出と同じような作用を国内需給に持つて来て、価格をつり上げる結果になりはせぬか、こういう疑問が出て来ているのですが。これに対する説明が、どの程度できますか、こういう見解に対して反駁の説明ができるのですか、できないのですか。
  6. 小倉武一

    小倉政府委員 この保管数量買上げ放出の問題につきましは、これはいつ買上げするか、またいかなる需給状況のときに買い上げ放出するかということが問題でございまして、この制度があるから、ただちに市況が強くなるということではないかと思います。またこの保管数量の問題は、こういう制度がないことを前提にいたしましても、ある程度の数量工場在庫といたしまして留保しておくことが、需給の推算上必要になつて参ります。それをメーカー在庫としておきませずに、保管団体というような適当な団体保管させておくということの方が、国内需要の確保のためにより便宜である。またより的確に運用ができる、こういう趣旨に出ておるのであります。これによりまして、価格の下落を抑制するといつたような、価格操作上に特別にこれを使うといつたような意図はもちろんございませんし、この法案が成立したあかつきも、そういう意味運用はしないつもりでおるのであります。
  7. 川俣清音

    川俣清音君 どうもだんだん説明があいまいになつて来た、初めは、需給が将来困難なる場合を予想して買い上げておいて需給バランスをはかつて行く、こういう説明でした。そのためにこの法文が必要だ、こういう説明でしよう。一体いつ買い上げ予定なんです。指示をする予定でおられますか。おそらくだぶついているときでしよう。逼迫しておるときに買うとさらに逼迫します。だからだぶついておるときだと思う。だぶついておるとき買つてやるということは、需給面から行けばちようど輸出を促進させると同じ効果になる。ある数量を保有して行こうとするから市場性をなるべく持たせない、こういうことでしよう。経済効果輸出国内市場性を持たせない、保管もまた国内市場性を持たせない、こういうことでしよう。そうするといつ買い上げるのです。おそらくだぶついたときでしよう。そうすると、価格操作にならないというけれども、だぶつきを保管してやるということは価格の上に非常な影響を来すことだ、一方公定価格があるのだから下まわることはないのだというのですが、われわれは最高価格をきめられておるのであつて、下まわることを予想して、あるいはそういう期待をして、この法律案ができることを期待しておるのです。これは価格支持ということになる、価格支持政策で行こうというならこれは別ですけれども、それほどでもないのですね。この点どうですか。
  8. 小倉武一

    小倉政府委員 買い上ぐる時期は不需要期でございまして、相当数量に上る見込みであります。従いましてこの買上げによりまして、ただちに市況影響を及ぼすといつたようなおそれのない時を選ぶことは勿論であります。ただ買上げでございますから、まつた市況影響しないということはあり得ないことで、若干の影響はあり得ると思いますが、しかしこの買い上げ市場から隔離するといつたような、農産物価格支持のための買上げといつたような意味買上げをとりませんで、この買上げは必要であればいつでも放出できる建前になつている買上げでありますので市場から隔離するという意味はございません。従いまして輸出のために輸出会社買い上げるとか、あるいは輸出をするとか、あるいは価格維持のために買い上げる、こういうものではございませんので、もし買い上げた結果市況が強まる、あるいは需給がそれによつてかえつて不自由になる、こういつた現象がありますれば、むしろ放出考えなければならぬようなことになりますので、一般の他の制度に基く買上げとはちよつと趣きを異にしておるというように存ずるのであります。
  9. 川俣清音

    川俣清音君 そこでやや明瞭になつて参りました。そういたしますと、今の説明だと、需給が非常に逼迫したときのための必要として買い上げる、こういう意味ばかりじやない、こう了解していいのですか。ここに重要な問題が含まれておると思うのです。というのは、もしも逼迫したような場合でありますならば、第一に手を打つのが輸出制限でなければならないはずです。ところが輸出制限に手を打たなければならぬときに、輸出制限にかわる国有保有ということで買い上げて参りますと、やはり逼迫にさらに拍車を加えて値上りを来すようなことになりはしないか。あなたは机上でお考えになるからこういう抽象論が出て参りますが、時期的に言つて需給の盛んな時に買い上げられるのか、需給前に買い上げられるのか、一体いつごろ買い上げられる予定になるのでしようか。あなたの方の計画から言うと、いつごろが一体買い上げられる予定なんです。生産量に合せてという意味でしようか。この点ひとつ明確に御答弁願いたい。
  10. 小倉武一

    小倉政府委員 いつ買い上げるかということにつきましては、需給計画をつくりまして、その計画範囲内でやることでございますので、的確に申し上げるわけにはもちろん参りませんけれども、ただいまの考え方から申し上げれば、春肥が終りまして、だんだん生産が延びて参つて消費生産との相当開くようなことが顕著になる時期、すなわち八月ないし九月から、十一月ないし十二月の間に買い上げて参る、これが放出の時期が大体春肥の一月から四、五月ころまでに放出がされるということになるわけです。従いまして買上げによつて市況を強まらせる、あるいは買い上げによつて需給逼迫させるということが、計画齟齬がなければ考えられないことであります。もつとも計画齟齬がございますから、そういうことはまつたくあり得ないことはございませんけれども、計画としてはそういうことはないのであります。しかも需給逼迫ということはどういうときに起るかと申しますと、普通の状況では需給逼迫ということは万々あるまいというふうに考えますが、起ることはどういうことかと申します、と非常な突発事件を別にすれば、輸出を行うということ、それからもう一つは御指摘のように保管のために買い上げを行う、こういつた時期でございます。輸出の時期あるいは保管のための買い上げということは、今度の法案が成立いたしますれば、役所の方である程度コントロールできる範囲内のことでございますので、そのために市況なりあるいは需給が困つた事態に当面するようなことは、避け得られると存ずるのであります。そういうおそれがあるようなときは、もちろん保管のための買上げということは行わない、買上げを行わなくてもなお需給逼迫するような場合には、これは場合によりましては、爾後の輸出計画について需給計画を改訂して、出直さなければならぬといつたような事態になるかと思いますけれども、そういうことも可能でございます。あるいはもしそのときに、すでに若干でも買上げ保管しておつたものがありますれば、それを放出するといつたようなこともございますので、御心配のようなことはないように存ずるのであります。
  11. 川俣清音

    川俣清音君 そういう説明をされるといよいよもつて不安になつて来る。これは需給を安定させるとようのですかち、需給計画が完全に行くことがこの法案の一番のねらいなはずなんです。このバランスが破れるところに肥料値上り、値下りが来るためにこの対策が第二になつておる。需給計画が完全に行くということが考えられれば、一割の保管というようなことが非常に値打ちが少くなつて来るはずなんですね。そこでさらにお尋ねをして行きたいのですが、今局長説明だと、一月から二、三月というような春肥の一番需要の多いは期には今でも輸出を控えておる、従つて買上げ考えられない、保管買入れ考えられないという時期だと思う。そうすると五月、六月、七月という国内肥料の一番需要のないときが買上げの時期になる。大体こう想像していいと思うのです。今の局長説明もそうなんです。そうすると、そのときは国内肥料としてはだぶつくときなんです。だから私は前から、だぶつくときに買い上げてやるということは、いわゆる価格を維持してやるための買上げになるのじやないか、こういう質問をしているのです。そうじやないと言うけれども、ちようどだぶついて肥料国内需要のないときに買い上げてやるということになると、価格を維持してやるという結果になるのじやないですか。それがいい方法だというなら別問題ですけれども、あなたはそうじやないと言われる。そうじやないですか。
  12. 小倉武一

    小倉政府委員 五月、六月に買い上げる時期かどうか、これはたとえば需給状況からいつて、五月、六月に需要が伸びずに、しかも生産が順調にふえて参る、こういう場合に過剰在庫ということはあり得ると思います。しかし過剰在庫があるからといつて必ずしも保管数量を買い入れるということにはなりません。と申しますのは、買い上げたものが一体いつごろ放出できるかという予想も全然なくて初めから買うというわけに参りませんから、数量としてはきめますけれども、いつごろ買うかという計画も当然あるわけでございますが、その計画は、やはりできるだけ経済的に買い上げる、また経済的に放出できるように、要するに保管ということはできるだけ費用をかけずに、しかも需給を円滑にすることができるように運用するものでございますので、五、六といつた月に過剰がございましても、そのときに買い上げるということは必ずしも考えられないのであります。買い上げるにつきましてはもう少し長期期間をとりまして、一割に相当する数量でございますから十数万トンになることは間違いございませんので、これを一月、二月の間に買い上げるというわけに参りません。そうすれば御説のように価格維持、場合によつて価格をつり上げる材料にたります。従いまして、もう少し長期に取りまして、幸いに最近は生産が非常に伸びて参りましたので、たとえば秋肥期間でありますと、大体突発事件が起らなければ国内需要を上まわつた生産過剰が月々出て参りますので、その生産の一部を保管する方にまわす、こういうことでありますれば、そのために市況が強くなるということはなかろうと思います。もちろんそれがまつたくあり得ないということはございませんで、若干の影響はございませうが、しかしその期間に、先ほど申し上げましたように市場から分離してしまつということではございません。輸出してしまうということでもありませんし、あるいはたな上にげしてしまうということでも必ずしもありません。いつでも発動できる態勢にあるものでございますから、そういう意味からいたしまして、そのために需給になり価格悪影響を及ぼすということは避け得られるかと存じます。
  13. 川俣清音

    川俣清音君 私のお尋ねは、実はそういうところをねらつて質問じやなかつたのです。一番電力事情の余裕のあるときは、五、六ということになる。電解法で行くと、この時期が一番余剰電力が活用できるときで、電解方面から言うと、一番生産が上る月であることは何人も否定できない。それは炎害等が起きないとは限りませんけれども、普通の経済常識から言うと、その時期が電解として一番フルに動いておるときです。このときが一番国内需要の少いときですから、この時期におもに輸出計画をされておるわけです。これは国内にだぶつく結果、価格が引下る傾向があるために輸出ということをやつておるわけです。これはほんとうは問題なことは問題なんです。出血輸出をして国内価格を引上げて行くというのがここにあるわけだけれども、そのよしあしはいま議論しませんが、こういうときに買上げをやるということは、農民のために肥料買い上げるということよりも、むしろメーカー価格維持のために買い上げるということになるのであるから、これはメーカーのために、むしろだぶついた肥料買い上げてやるということになるのであるからして、この場合においてはメーカー救済策として発動するのであるから、価格をある程度安く買つてつてもなおメーカー救済策になるとあなたは考えないかどうか、これが私の聞きたい点なのです。しつかり答弁してください。
  14. 小倉武一

    小倉政府委員 電力事情等から見て最も生産の順調に行われるような雪解けの時期に、しかも春肥最盛期は済んだ、こういう時期に数量が相当余るから、そうういときに買い上げるべきじやないか、こういう前提の御議論でございまするが、実はそういうときに買い上げるというふうにはきまつておらないのであります。と申しますのは、そこで買い上げましても放出する時期はおそらくずつと末になりまするので、放出するための保管数量を、そういう春肥の過ぎたとたんに買つた方がいいかどうかということについては非常に疑問がございます。むしろそういう時期は避けた方がいいのじやないか。というのは、でき得べくんば、できるだけ最盛期に近い間ぎわに買うのが最もいいわけであります。もちろんそのために市況を硬化させるということでは困りまするけれども、そういうこともございまするので、五、六、七といつたようなときに必ざしも集中的に買うということは予想しておりません。それからまた買い上げるにつきましては、現実に内需が充足をされ、それから今申しましたような保管買上げの時期あるいは放出の時期等も考慮した保管数量買上げ、それから輸出、こういう内需保管数量輸出の三つをにらみ合せながら計画を立てて参りますので、そういう関係からできるだけ市況悪影響を及ぼさないようにということを当然考慮をしなければならぬのでございまして、それを考慮せずに、ただ数量的に過剰があるかないかということだけでもつて保管数量買上げを発動するということになりますと、これは御心配のような点が出て参ろうかと思います。そういうことはいたさないつもりでございます。またそういうことがないように審議会等におきまして関係者学識経験者の方の御意見も聞きまして計画を立てる、こういうことになつておるのであります。
  15. 川俣清音

    川俣清音君 それは小倉局長が全購的な立場をとれば、同じ値段で買うなら早く買つておくほど経費は重なるし、保管費用も重つて行くので、なるべく需要期に近いときに買つておきたいということは、もしも単一保管団体であればそう考えても無理はないと思うのです。これは政府が負担しようといたしましても、なるべく需要期に近いときに買つておきたいというのは、考えとしては一応出て来る。私はそれは必ずしも否定しないのですが、そういう考え方でいつも秋になつて窮迫したときに保管をしようという争い方をすると、価格を上げやせぬかという懸念が私の第一の質問つたのです。  第二には、一番フルに電解が動いており、しかも炭鉱等におきましても、春から夏にかけては割合に石炭生産量も伸びる時期です、比較的石炭需要も過ぎた時期でありまして、もちろん工業用石炭になりますと別でありまするけれども、一般のいわゆる燃料等に使われる需要の減のときで、しかも石炭生産からいつて生産の伸びる時期なんです。従つて肥料生産の一番伸びる時期である。この伸びる時期に国内にだぶついておることは、メーカーとしては耐えられないので、出血輸出をあえて行う、こういうことになつておる。これは何としても否定できない。この時期に大量な肥料を持ちこたえることは、日本の今のメーカーとしては耐えられないから、出血でも輸出をしようというのが、現に行われておる出血輸出だと思うのです。そこで、この時期に出血輸出させることも一つ方法としてとり得られるという考え方があるかもしれませんけれども、こういう時期にいやしくも国外に同じ犠牲を払うならば、国内にも犠牲払つて、安く保管させておいたらどうか、こういう考え方になれないかと私は言つているのです、出血の場合だけは安く行つてもいい、国内の場合には、こういう時期にはあえて出血をも辞せないという、海外輸出をやつてから、この時期に、国内にはさほどの出血でないにしても、幾らかの出血考え保管にまわせる考え方ができるはずじやないかと聞いておるのです。局長は、肥料需給状態をあまりよく知らないのではないか。もう一度御答弁を願いたい。中村局長でもけつこうです。
  16. 小倉武一

    小倉政府委員 御趣旨の点も、わからぬことはございません。ただこの制度のねらいといたしますところは、先ほど申し上げた点でございますが、実際問題として保管をすることについては、どうしても経済的な利益、損失の問題が伴うものでございますから、いつ買つていつ売つたらよいかということは、そういう点も若干考慮しなければならぬと思います。特に買上げの時期につきましては、最も安く買い上げられる時期がいいことは申すまでもございません。安いと申しましても、放出の時期もありますので、それまでの金利、倉敷、諸掛り等がカバーできるほど安ければ先に買つておいて保管をしておいて、必要なときに放出することももちろんできますから、そういう点も全然考慮しないわけではございませんし、実際問題としては考慮に入ろうかと思いますが、そうなりますと、それは個々の価格の取引の問題になつて参ります。四、五月あるいは五、六月に、実際問題として相当数量在庫が出て参ることがあると仮定した場合に、一般の出荷はあまりない、輸出もそう振わないという時期に、それでは保管するために買上げにかかるという問題にもなろうかと思います。そういう場合には、価格の折合いがつきまして、見通しがつきますれば、それはけつこうだと思いますが、制度建前として、そういうときをねらつて発動するというようには実は考えてはおらないのであります。
  17. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 小倉経済局長お答え通りだと私も考えます。  なお私は一言申し添えたいのでありますが、ただいまのような問題に関連しまして、われわれが一番考えなければならぬことは、どういう公定価格をつけるかというところに問題があり得ると思います。この価格のきめ方が甘過ぎるというような問題が、御質問のような問題の場合に特に重要な点だと考えます。このマル公のきめ方につきましては先般来他の委員会の席でも、他の政府委員からお答えがあつたかと記憶いたしますが、本法におきます価格公定については、かつて生産拡充をしなければならなかつた終戦直後のマル公をきめる当時とは、御説のように情勢も非常にかわつております。そういうような観点からいたしまして、本法施行についてのマル公は、御承知のようにいわゆる算術計算式の単なる加重平均をするということでなしに、優秀な工場から国内需要を満たす必要量加重平均というようなぐあいにマル公それ自体をきめる場合に、御質問のようなできるだけ安い肥料ということをモットーとして考えておりますので、その観点から行きまして、御質問のような点は避け得られるのじやないか、こういうぐあいに私は考えております。
  18. 川俣清音

    川俣清音君 実は最後に聞こうとしたところを先にちやんと答弁せられたのですが、実際問題はそこに行くのです。とかく肥料は、審議会委員等においてもみな詳しい人であろうと思いますけれども、肥料需給の旺盛なときの値段を主とするような考え方が、メーカーの中にもあるし、需要者も一番必要なときの価格にとらわれやすい。五月、六月というような需要がなくて、あえて出血輸出をしなければならぬ、この出血輸出のためには相当の犠牲払つておるこういう時期でありますから、これをそれほど犠牲を払わないでも、国内に安く売つて悪いということにはならない。今外貨の割当の非常に困難なときにおいて、また日本の円価が下る傾向にあるときに、あえて二重価格輸出をするというようなことについて相当批判が出て来ておる時期において、あえて大きな出血をすることよりも、国内に安く売つて行くということが一つ考慮さるべきではないか。従つてそういうことも価格の中に見る、こういうことで行こうというのですから、これは一つの行方でありまして、私はその点もいいと思うのです。と同時に保管についても、もう一歩進んでそういうことが考慮さるべきではないか。だから法文では買取り価格になつておるけれども、委託保管というようなことの考慮がさるべきか、あるいは買取り保管にいたしましても、安く買い取ることが可能になつて来はせぬか、こういう点について、この法案はまだ検討が足りない点がある。これだけ指摘して、私の質問は終ります。
  19. 綱島正興

    綱島委員長 ほかに御発言はありませんか。——芳賀君。
  20. 芳賀貢

    ○芳賀委員 肥料法案が去年の七月ごろ出た当時と現在の諸情勢は非常にかわつて来ておる。あの当時は内需価格輸出価格の間の差は、多いときは一かます二百五十円くらいからあつた。最近になるとその差は非常に圧縮されて来てるのです。一年足らずの経緯を考えた場合において、ある意味における考え方によると、この法律のねらいは一応到達しておるのではないかということも言い得るわけです。なぜそういうことが言い得るかというと、当時コストの問題が一番中心になつて論議されたわけでありますが、この需給安定法のねらいは、何としても国内の農民にいかにして安い肥料を提供することができるかというところにその本質があるわけです。その当時メーカー側から提出されたコストの資料は、当局においても大体真実性に近いという考えで資料として出されたと思いますけれども、あの当時の平均コストは、大体九百三十四円六十二銭であつたわけであります。ところがその当時における農林省の経済調査によると、卸の平均価格が大体八百九十円程度であつたわけです。それで結局メーカーの売値は八百七十五円くらいでありまして、その当時の輸出の国際価格は、たとえば六月九日の台湾の入札の場合には、F〇Bで五十一ドル程度で、これ十貫目一かますで六百八十六円程度であります、それから六月十二日の韓国の入札の場合においては四十六ドルですからこれは六百十八円程度であります。そういたしますと、当時の国内価格輸出価格の差は百九十円ないし二百五十円ぐらいあつたわけであります。ところが最近における、たとえばことしの一月の農林省の調査によりましても、卸の平均価格は八百四十四円ぐらいになつている。そして輸出価格は、先日も御報告がありましたけれども、シカゴの対韓落札の場合には五十八ドルないし五十九ドルぐらいに行つているわけであります。そういたしますと、これは七百八十円ないし七百九十円ということになるわけです。そして国際価格との差がずつと圧縮されて、五十円ないし三十四、五円というところまで来ているわけです。そういたしますと、この安定法が成立しなくてても、現在のコストは百円以上下つているかどうかということが問題になつて来ているわけであります。そうでありますから、昨年の春より現在に至るまでのいわゆる合理化の実態というものが、どのように進行しどのような成果を現在あげているかという実態について、一応御説明を願いたいのであります。
  21. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの、本法律の作成立案当時からの状況の推移の点でございますが、本法律をつくる動機になりました輸出関係におけるわが国の不利な状況が、今日漸次改善せられつつあることは、確かに御指摘のようであります。しかしこの改善がはたして国際的に申しまして今後の大勢であるかどうかにつきまして、私が一言申し述べたいことは、当時極東の市場に対して西欧方面から相当競争があり、その競争がとにかく相当大幅の下まわつた価格であつたことは事実であります。その後これらの海外の競争が、どちらかと申せば弱まつている。この弱まつている状況は、単に硫安の輸出力あるいは肥料輸出力ということが基本的になくなつたという問題でないと思うのであります。と申しますのは、最近国際的に平和の声が相当強く響いておりまして、平和の政策の裏に食糧増産ということが、これらの欧州におきましても相当強く出ている。そういう観点からいたしまして、輸出に対する余力が後退しているという感じはいたすのであります。しかしながらこれらの食糧増産ということからする化学肥料生産の見通しからいたしますと、これらの状況はむしろ肥料工業の拡大再生産という見地から、次の国際競争ということをわれわれは覚悟しなければならぬのではないかと思うのであります。特にわが国の化学肥料輸出市場として将来性のある地域、特に東南亜——中共を含めましたこれらの地域が、将来における食糧生産の未開拓地を一番多く保有する地帯と考えられるのでありまして、この見地からいたしますと、東南亜あるいは中共等に対する化学肥料輸出ということが、国際的に大きな問題として提供される時期は、決して遠くではないと思うのであります。そういう状況下におきましては、わが国の化国肥料を一面合理化いたしまして、同時に国際競争に打ちかつ。同時に今日問題化されております——今日の状況は二重価格の差は逐次狭められているがごとき印象を持つておりますが、これらの差はむしろなくすべき性質のものでございまして、それが食糧増産からいたしましても緊要なことと考えますので、そういつた国内的問題、国際的問題の見通しからいたしまして、私は本法案の立案当時の精神を、今日あるいは今後において強く貫かねばならぬ問題と考えるのであります。  合理化の効果の問題でございますが、これにつきましては今日まで——御指摘のたしか一昨々年ごろでございますか、肥料価格が相当大幅に暴騰の傾向がございました当時に比べますと、国内価格も相当下つているわけであります。この原因の大きな一つのねらいは、確かに操業度の非常な上昇傾向ということが考えられ、あるいは石炭、硫酸等の価格低下ということも非常に大きな要素であつた考えます。同時に化学工業における副産物処理の合理化ということが、部分的ではございますが、推進されて参つたという影響考えられる。私たちが特に本法案と並行して取上げた二十八年以降の合理化計画につきましては、具体的な準備そのものはすでに各会社で行われておりますが、資金の放出につきましては、非常に遺憾ではございますが、今月の一月、開発銀行において六社の計画に対してほぼ財政投資をいたすことに内定して、これが近く実現の段階であります。これらの財政投融資の進捗ということからいたしまして、同委員会においても合理化の促進をして、七ドル程度の引下げを、実質的には三箇年の投資で四箇年目あたりから完全に実現するような行政指導を推進して参りたい、こういう考えでございます。
  22. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお伺いしているのは、たとえばコストの真実性がどういうものであるかということをまずお伺いしたかつたわけであります。昨年の春の資料によると、先ほども申した通り九百三十四円何がしということになつている。今年の一月のメーカーの売値は、約八百三十円程度であります。そういたしますと、百五円くらい差が出て来るわけです。今までわれわれの承知している点は、輸出の分は出血であるということを常に聞かされて来たわけでありますが、内需に対しては出血であるということは一度もわれわれは聞いたことがありませんし、またそういう表明があつても、これを信じようとする意図もまつたくないわけであります。問題は、今後もしこの法案が通つた場合においても、結局法に示されている生産業者の販売価格をいかにきめるかということにあるわけでありますが、そういう場合には、的確なるコストを把握することが一番問題になりますし、そういう場合においても法律の目的が立案の当初と全然かわつておらぬとするならば、いかにして正確なるコストを把握して、国内の農民に対して安い肥料を提供して、食糧増産に寄与する一つの基盤とするかということである場合においては、あまりにもはなはだしい差異がすでにできているということなんです。そういたしますと、去年の春示されたメーカーのABCにわけたこのコストは、まつたく事実の基礎に基かない架空なものであつたのではないかと疑われて来るわけでありますが、これに対しましては、中村局長はいかなる御判断を持つておられますか。
  23. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 これも一般的なお答えとしてまず申し上げたいのでございますが、肥料対策委員会等におきまして、メーカーからの資料の提出を求めて、これに応じまして提出された資料も委員会に配付されておると思うのであります。私としましては端的に申しますれば、これらの提出された資料自体、最高権威をもつて行政指導されたかという点から申しますと、われわれはできるだけ合理化を推進して参る、また当時の状況等からいたしましても、国際的に非常に距りのある国内価格の構成の将来ということを考えますと、むしろそれらの申出がどうありましても、できるだけ安い価格でこれが国内においても取引せられるということを、行政指導方針としてはとらねばなりませんので、当時資料が通産省あるいは、農材省の行政指導の権威ある資料としてとられたかと申せば、私は権威あるものとしては措置いたしておりません。これは率直に申し上げたいのであります。その価格が将来権威ある行政指導によるものとして、またこれが官民の承知し得るようなものとしてはどういう制度が妥当であるか、こういうことは当時からわれわれの検討しておつた事実でごずいます。この事実からいたしまして、私は公定価格制度というものによつて、国の権威において常時コストの把握に努め得る態勢をつくらわばならないというような考えがいたすのであります。この見地から、ただいま御指摘のようなこれらの取引価格と資料との食い違いが、現実にいかなる点にあつたかということ、今後は価格が妥当なのであるというような点につきましては、むしろ本法案に織込んでございますような公定価格制度というものを農林、通産両省が共同で、責任ある結論を出すということが必要なのではないかというぐあいに考えておるのであります。ただいまの御質問お答えする筋といたしましては、いささか食い違いの点もあるかと思いますが、私は現在、将来の問題をあなせてさように考えます。
  24. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今までに発表されたコストというものは、政府が行政上の指導を行わないものにおいて出された資料であるという御答弁であります。そしてこの法律がもし通つて、国の一つの権力のものにコストの調査権とかあるいはそれに付随したような資料が提出された場合においては、自信のあるコストの実態を把握できるという確信を持つておられるようなお言葉でありますけれども、そういうような形態が国の権力によつて行われるということにならない限りは、まつたく現在まで、そういうコストの実態に対しては傍観されておるのだというような、そういうお言葉ですか。
  25. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまのマル公制度を国の権威において実施するという場合におきましては、もちろん現在までわれわれが業界に対し報告せしめた事項、あるいは個々の担当官がいろいろの問題を通して推定し得るとかあるいは想像し得るというような程度ことは可能ではありますが、これをもつて一つの硫安工業の適正なるコストである、こういう判断をいたすべき総合的なものをもつておらぬのでございます。この点から、今までのいわゆる自由放任といつては言葉がおかしいのでありますが、行政の建前として、国家の権威づけでコストと精査するということはありません。一般の原則下におきましては傍観ではないけれども、これを行政の指導方針として望むというほどの権威のあるものは得られない、こういう実情であつたように思うのであります。  なを公定価格制度の実施につきましては、もちろん一応書類的報告を徴しましても、またさらに進んで現場の監査ということもできますし、これらの新しい法規に基く調査の方式、実施の内容等からいたしまして、今日までのような事態のごとく、行政庁としてのはつきりした意見の述べ得られないという状況は、もちろん払拭し得られることでございまして、御指摘のように公正厳格なコストの審査を実施いたして参りたい、こう考えております。
  26. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに合理化に関係することでありますが、合理化を促進するために、国の投融資が二百三億くらい必要であるというような御計画でありますが。そのうち主たる問題はまずコツパース式の微粉炭によるがガス化炉の施設に五十三億、それから肥料形態の変更に対して約七十五億の所要資金がいるということになるわけでありますが、この微粉炭によるガス化炉のごとき施設に対しても、これはおそらく常磐炭のような粗悪なものを原料として使うことになると思いますが、現在の段階において、これらの一つの企業化が施設の上においてもどういうような進展を見せておるか、あるいは肥料形態の変更ということは、具体的に今の段階からどういうような変更の方向に発展して行く内容であるかということも、十分御説明を願いたいのであります。
  27. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 微粉炭のガス化の問題でございますが、これにつきましては、具体的には日本水素工業が計画いたしております。この工場の立地條件からいたしまして、御承知のように微粉炭、特に粗悪炭と申しますか、低カロリー炭である常磐炭の利用ということが、あそこに工場を設置した一つの立地條件の要素でございます。この微粉炭ガス化の技術的な成功というのが先ほど御指摘のコツパース法というもので、初めて一昨年でございますか、各国で実施せられたところでございます。従来完全ガス化ということができません技術的な理由がございまして、いわゆるコークス法によります水素の製造ということをやつてつたという状況でありますが、私はこの新しく成功した技術を取入れるということによりまして、平均トン当り千五百円でございますか、その程度の合理化が可能である、こう考えるのであります。わが国の石炭価格が著しく高いことが、国際価格的に競争する場合の非常に不利な條件と考えられます現状からいたしまして、この特別な立地条件にございます工場がこういつた方法をとることは、合理化の観点から行きまして非常によいことだと私は思うのであります。またこれは多少硫安工業とも離れますが、わが国のガス事業というものは、いわゆるコークス法を中心にして成り立つておりますが、長い目で見まして、いわゆる石炭の完全ガス化方式ということが、これらの事業におきましても合理的な行き方ではないかと考えられる点もございますのでさような意味をこめまして、この微粉炭ガス化の製造方式というものを、今日の化学工業の新しい行き方として特に注目いたしておる次第であります。  なお肥料形態の変更と申しますか、農村におきまする肥料需要関係におきまして、今後の方向ということも重要な関連を持ちますが、合理化計画のうちで特に重要視しておりますのは、尿素の生産増加ということが一つ、高度化成としての硫燐安ということがもう一つ取上げられておる問題でございます。この尿素につきましては、御承知のように国際的にも相当優秀なる技術の発明がございまして、わが国の尿素工業というものは、国際的に見ましても相当割安でございますので、合理化計画の重要なる一部をなすのでございます。硫燐安につきましても同様、肥料価格の著しい低下に役立ちますので、これが助成をいたすという考えでございます。
  28. 芳賀貢

    ○芳賀委員 肥料形態の転換がわ行れるに伴い、結局国内における肥料というものは、硫安というような姿よりも、もう少し近代化されたような方向に変貌して行くわけであります。そういうことになると、結局問題は、硫安の場合においては、どうしても輸出のパーセントがだんだんふえて行くということも将来において見通されるわけであります。そういう場合において、その出血輸出のしわ寄せが常に国内価格の上に転嫁されるという状態は、現在よりもその度合いが高まつて行くようなおそれもなきにしもあらずと考えますが、そういう点に対してはどのような見通しを持つておりますか。
  29. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 御指摘の点でございますが、硫安工業それ自体の合理化の方式ももちろんやつておりまするし、電力の増強からいたします操業度の上昇あるいは石炭価格の低下、そういつた関連産業の価格低下というものとあわせ考えますならば、硫安価格の引下げも十ドルあるいは十ドル以上になり得る、こういう見通しもありますので、国際価格の上から行きましても、日本の硫安が国際的に非常に不利だ、競争して負けるのだ、こういうぐあいには私考えないのでございます。
  30. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでこの需給安定法が成立した場合の、この法律の期待効果でございますが、農林、通産当局においては、この需給安定法によつて国内公定価格が、現在の国内価格よりもどのくらい具体的に下るという見通しを持つておられるか、これをまず承らなければならぬと思うわけであります。
  31. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 一つの見通しでございますが、正確には本法施行によりますマル公の高低に伴います厳格なるコストの審査ということから出ました価格前提として、今考えております合理化計画の見通しを附加することが、ただいまの御質問に一番合う具体的な結論と思うのでありますが、それらの前提條件が今日満たされておりませんので、これは一つの気持ということにしか受取れないのであります。合理化計画そのものは、ここに御指摘になりました二百億前後の資金によりまして、硫安自体に七ドル程度の価格引下げは可能である。同時にまた石炭あるいは電力の方面も考えれば、さらにこれに三ドルないし四ドル——これは関連産業のことでありますので、われわれはこれを必然の確定数字ということの気持は申し上げにくいのでありまするが、硫安工業それ自体の合理化という程度に参るという考を持つておりまするので、基準はどれくらいかという、価格コストについて申し上げないで、ただおよその下る率はこの程度ということを申し上げたのでは答弁になりませんが、私どもとしては、現在の取引き価格あるいはこれと相前後する価格よりさらに七ドルないし、関連産業を考えれば十ドル程度の引下げ可能である、こういうぐあいに考えます。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 本日は小委員長からも一つの試案が示されたわけでありますが、問題は、当農林委員会においてはこの需給安定法が成立した場合においては、具体的にどれだけ国内における硫安価格が下るのだという一つのめどをもたない限り、審議はなかなか進行しないと私は考えるのであります。そうでないと、名目はいかにも需給安定法ということで国内の硫安価格を引下げるということを打出してはおりますけれども、そういうことが実証されない限り、実態は現在の硫安メーカーを保護するという観点から出発した法律ではないかというようなことになつてしまうわけであります。最近御承知の通り、造船疑獄とかとにかく国の投融資あるいは利子補給等をめぐつて、非常にわれわれの承服できないような事態が続々出ておるわけであります。そういう場合においてこの肥料問題等に対しましても、やはり合理化の線において二百三億の国の投融資を要求しておる。さらにまた利子の場合においても五%の場合あるいは七%の場合ということを一応想定して、それが結局コストの面においては同位に現われておるということもうたつておるわけであります。そのようにして一面においては合理化と輸出会社を安定法に不可分のものとして結びつけておる形の中において、結局輸出会社によると、この出血の分は五箇年間たな上げにしておいて、そのうち合理化が進んだときにはそれは、滅消するであろう。国の損失負担によらなくてもそれは可能であるということを言われておるわけであります。しかし国際的に見た場合、日本の硫安工業の合理化が進んで行く三年なり五年の年月の間、外国のかかる工業水準は足踏みをして待つてくれるかどうかということが問題になつて来るわけでありますが、こちらが一歩前進すれば向うも一歩前進するという場合においては、いつまでたつて出血のたな上げというものは解消されないというふうにも考えておるわけであります。とにかくこの需給安定法によつて具体的に国内の農民を喜ばす、納得さすようなどのくらいの公定価格が出るかというような一つの見通しは、当然持たれるべきであるというふうに考えるわけでありますが、小倉局長においては何かそういう成案はないのですか。
  33. 小倉武一

    小倉政府委員 今回の両法案成立のあかつきにおきましては、両法案の意図しておるところといたしまして、先ほど中村局長から申されましたように、合理化計画の進行によりましてコトの低下を期待しておりまするので、そういうことが今後の硫安価格の低下として期待していいように私どもは考えるのであります。またそうなくてはならぬと思います。差当りの問題としまして、この法案が成立したあかつき、たとええばこの春肥ないし秋肥価格は幾らかということについて申し上げることは、実際問題としてできませんし、またできるとしてもこれは非常に失礼なことになろうかと思います。法案ができましていろいろの準備調査ができました上で御審議を願つてきめるべき性質のものでございまするので私どもがここでこの程度に値を下げるのだこういうことは申すべき筋合いのものでもございませんし、申し上げかねると思います。ただ御質問趣旨はよく私どもも了承しておりまするのでそういう方向で私どもも、法案成立のあかつきには十分努力いたして参りたいかように存じておるのであります。
  34. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に先ほど川俣委員も質問されたわけでありますが、内需の調整分として一割程度の保管を行うことになるわけでありますが、これは法の内容によりますと、その保管団体を指定して買取り、保管をしておくということになつておるわけであります。この方法として、買取り、保管だけしか不可能であるというふうな見解に立つておられるかどうかという点、これは今後運営の問題においても非常に大きな影響を持つて来ると思うわけでありますが、はたしてその分だけを保管団体に買取りさして、そうして調整用として保管して行くという考え方だけで行くかなくてはならぬという御意用であるか、その点を伺いたい。
  35. 小倉武一

    小倉政府委員 需給調整法の保管数量保管区分等についての立て方の問題につきましては、これは現在の法案に規定してあるような方法以外になお方法があろうかと思います。たとえばまつた買い上げないで工場在庫のままにしておいて、それを出荷させるという方法もあろうかと思います。あるいわさらに進みまして、メーカー在庫に対しまして金利、倉敷等について一部補助をいたしまして、そうして国内需給に間に合わせるような強力な措置ができるような方途を講ずる、あるいわさらに法案に規定しておりますような、保管団体に所有権まで移して自由に操作できるようにする、この三方途があるわけでありますが、法案作成のときにいろいろ研究の結果、現在の法案に出ておるようなやり方が最も効果的であり、こういう結論になつたわけであります。
  36. 綱島正興

    綱島委員長 本日はこれをもつて散会いたします。    午後一時三分散会