○
中村(辰)
政府委員 ただいまの、
本法律の作成立案当時からの
状況の推移の点でございますが、
本法律をつくる動機になりました
輸出関係におけるわが国の不利な
状況が、今日漸次改善せられつつあることは、確かに御指摘のようであります。しかしこの改善がはたして国際的に申しまして今後の大勢であるかどうかにつきまして、私が一言申し述べたいことは、当時極東の
市場に対して西欧方面から相当競争があり、その競争がとにかく相当大幅の下まわ
つた価格であ
つたことは事実であります。その後これらの海外の競争が、どちらかと申せば弱ま
つている。この弱ま
つている
状況は、単に硫安の
輸出力あるいは
肥料の
輸出力ということが基本的になく
なつたという問題でないと思うのであります。と申しますのは、最近国際的に平和の声が相当強く響いておりまして、平和の政策の裏に食糧増産ということが、これらの欧州におきましても相当強く出ている。そういう
観点からいたしまして、
輸出に対する余力が後退しているという感じはいたすのであります。しかしながらこれらの食糧増産ということからする化学
肥料の
生産の見通しからいたしますと、これらの
状況はむしろ
肥料工業の拡大再
生産という見地から、次の国際競争ということをわれわれは覚悟しなければならぬのではないかと思うのであります。特にわが国の化学
肥料の
輸出市場として将来性のある地域、特に東南亜——中共を含めましたこれらの地域が、将来における食糧
生産の未開拓地を一番多く保有する地帯と
考えられるのでありまして、この見地からいたしますと、東南亜あるいは中共等に対する化学
肥料の
輸出ということが、国際的に大きな問題として提供される時期は、決して遠くではないと思うのであります。そういう
状況下におきましては、わが国の化国
肥料を一面合理化いたしまして、同時に国際競争に打ちかつ。同時に今日問題化されております——今日の
状況は二重
価格の差は逐次狭められているがごとき印象を持
つておりますが、これらの差はむしろなくすべき性質のものでございまして、それが食糧増産からいたしましても緊要なことと
考えますので、そうい
つた国内的問題、国際的問題の見通しからいたしまして、私は本
法案の立案当時の精神を、今日あるいは今後において強く貫かねばならぬ問題と
考えるのであります。
合理化の
効果の問題でございますが、これにつきましては今日まで——御指摘のたしか一昨々年ごろでございますか、
肥料の
価格が相当大幅に暴騰の傾向がございました当時に比べますと、
国内価格も相当下
つているわけであります。この原因の大きな
一つのねらいは、確かに操業度の非常な上昇傾向ということが
考えられ、あるいは
石炭、硫酸等の
価格低下ということも非常に大きな要素であ
つたと
考えます。同時に化学工業における副産物処理の合理化ということが、部分的ではございますが、推進されて参
つたという
影響も
考えられる。私たちが特に本
法案と並行して取上げた二十八年以降の合理化
計画につきましては、具体的な準備そのものはすでに各会社で行われておりますが、資金の
放出につきましては、非常に遺憾ではございますが、今月の一月、開発銀行において六社の
計画に対してほぼ財政投資をいたすことに内定して、これが近く実現の段階であります。これらの財政投融資の進捗ということからいたしまして、同
委員会においても合理化の促進をして、七ドル程度の引下げを、実質的には三箇年の投資で四箇年目あたりから完全に実現するような行政指導を推進して参りたい、こういう
考えでございます。