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1954-02-23 第19回国会 衆議院 農林委員会肥料に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十三日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席小委員    小委員長 綱島 正興君       足立 篤郎君    小枝 一雄君       佐々木盛雄君    佐藤洋之助君       福田 喜東君    松山 義雄君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       川俣 清音君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  小委員外出席者         農林委員長   井上一太郎君         議     員 秋山 利恭君         農林事務官         (農林経済局肥         料部長)    林田悠紀夫君         通商産業事務官         (軽工業局化学         肥料部長)   柿手 操六君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月十九日  小委員足鹿覺君が同月十八日委員辞任につき、  委員長指名で小委員に補欠選任された。 同 日  足立篤郎君、綱島正興君、福田喜東君、吉川久  衛君、芳賀貢君及び中澤茂一君が委員長指名  で小委員に追加選任された。 同 日  小委員長小枝一雄君が同日小委員長辞任につき、  その補欠として綱島正興君が委員長指名で小  委員長に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  臨時硫安需給安定法案内閣提出、第十六回国  会閣法第一六七号)     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 ただいまより肥料小委員会を開きます。  臨時硫安需給安定法案を議題といたしまして審議を進めます。川俣委員
  3. 川俣清音

    川俣委員 私二、三点お聞きしたいのですけれども軽業局長が見えていないと質問しにくいのですが、委員長ひとつおとりはからいを願いたいと思います。その間に進行いたします。  いただいております資料のうちで、硫安工業長期合理化計画というものが出ております。このうちで一番問題になりますのは、第三の製品転換による合理化でありますが、製品転換による合理化というものはほんとうはないはずなんです。経営合理化、企業の収益率合理化ということは考えられますけれども、一体製品転換による合理化なんということが言い得るのであるかどうか。私ども製品転換による合理化というものは、いわゆる製造合理化でなくて、むしろ回収率合理化経営合理化ということになるのだと思いますが、この点についての通産当局の見解を御説明願いたいと思います。
  4. 柿手操六

    柿手説明員 この製品転換による合理化という文字の問題でありますが、製品転換による合理化というタイトルが適当であるかどうかということにつきましては、必ずしもこれが最もいい表現であるとも思いませんが、実態はこういうことであります。農業が必要とするといいますか、農作物が必要とする窒素土壌に供給いたします際に、その窒素がどこにでも空中にたくさんあるのでありますが、特定の作物を除いては、空中窒素を利用することはできないのでありまして、どうしても空中窒素を工業的に大工場でもつて固定いたしまして、それを工場から農村運搬をしなければならないという状況であります。硫安というのは、空中窒素を水素と化合させましてできたアンモニア硫酸に結びつけて、硫酸窒素運搬者となつて工場から農村運搬をいたしております。一つの例としてあげておりますところの尿素というものは、アンモニアをつくりますまでは硫安と同様につくつたのでありますが、パイライト工場に運んで硫酸にしてアンモニアとくつつけるかわりを、工場でできます従来は捨てております炭酸ガスを、硫酸かわり窒素運搬者として加工させまして、尿素という形で農村運搬するのでありますから、それは肥料としてはそれだけ合理化されたものというふうに考えるのであります。  それから次に例としてあげております流儀安というのは、これもアンモニア硫酸硫安の形で製造して運搬しておるかわりを、一部はその硫安が含まれておりますけれども、半数以上は燐酸アンモニアが化合しておりまして、燐酸アンモニアの形で製品がつくられるのであります。その範囲におきましては、それだけ窒素運搬いたしますものが合理化されているというふうに考えるのであります。ごくわかりやすく言いますと、硫燐安というものの成分の内容は、約硫安一俵と過燐酸一俵に相当するものが、硫燐安一俵で農村に届くということでありまして、製造工程中における合理化はもちろんでありますし、その包装紙及び運賃が半分で済むというような状況になるのであります。さらに日本の土壌等から言いまして、その性質がそれだけ酸性から脱却されるという、品質上の合理化もあると思うのであります。かような意味においての合理化を、製品転換による合理化という名前で掲げておるのであります。その字句がいいかどうか、まださらにいい適当な表現があるかとも思いますが、一応こういうような内容を持つたものをこういう表現をいたしておるのであります。
  5. 川俣清音

    川俣委員 私の尋ねておることと、大分違つた答弁になつておる。製品転換による合理化によつて、大幅にコストを低減せしめることができ得る、問題はここなのです。おそらく今の説明によりますと、窒素肥料としてのコストを大幅に引下げることができるという説明なのかもしれませんが、結局硫安自体コストが下るという説明にはならないのです。窒素肥料としてのコストが下つて来るという説明のようです。問題は、第一は硫安コスト合理化によつて下がるのだ、こういう御説明をされておるのに対しての答弁にはならない。窒素系全体としてのコストは下るのだ、こういう意味ですか。私の聞いておるのは、全体から見るともちろん窒素系合理化も含んでおるでしようが、この説明全体からいえば、硫安コストを引下げる方法ということで、ここに羅列してあるわけですね。それには当てはまらないのじやないか。製品転換して尿素をつくる、硫燐安をつくる、これは私は悪いことじやない、けつこうだと思うのです。それによつて硫安コストが下るという説明は、どこから生まれて来るのでしようか。どうもそこの説明が足りないのじやないですか。硫安コストが下るのだ、製品転換するのだ、こういう説明ですが、硫安コストが下るのですか。そうじやないでしよう。あたかも硫安が下るように説明されておるのだが、それは間違いでないか。窒素全体としてのコストが下るのだ、こういう御説明ならそれでもよろしいのですが、どうなのですか。硫安は下らない、窒素全体の肥料コストは下る、こういう説明ですか、その点明瞭にしてほしい。
  6. 柿手操六

    柿手説明員 私の説明が足らなかつたと思いますが、この(3)の製品転換による合理化という項目だけの御説明をいたしたのでありますが、この三番の項目だけによる、合理化による利益はどうかというのは、先ほど御説明をいたしたのでありますが、むろんアンモニア尿素とか、硫燐安をつくります原料のアンモニア、これについての合理化は別な事項に掲げておるのであります。かりにアンモニアコストがこれ以上引下らないとしても、第三の項目のようなことをすれば、さらにコストが下つて、そうして安い肥料が行くのだというふうに御了解いただけばいいかと思うのであります。
  7. 川俣清音

    川俣委員 そうじやないのです。アンモニア系肥料コストを引下げて行く方法として尿素がある、硫燐安がある、こういうふうに見るのが私は妥当だと思うのであります。そこで問題が新しく出て来るのです。それはこういうふうにつくられて来ると、今計画だと称せられまする二百方トンあるいは二百三十万トンという硫安、これは硫安の形では出て来ない。窒素系では出るかもしれないけれども窒素系になると内容が違つて来ますからもつと減つて来る。窒素含有量で行けばこれは別ですけれどもトン数がかわつて来るでありましようが、今二百二、三十万トンの能力があるこう言われておりますね、そうして来ると、これは分離して硫安だけから見ると将来はやはり硫安だけとしては百五十万トンとか、百三十万トンというようなことになつて来て、そのほかに尿素とか硫燐安がプラスされて含有量としては二百二、三十万トンになる、こういう意味ですか。その点明瞭にしてほしい。ところが今までの、こういうものが出て来ない前の説明は、硫安が主になつてつて窒素系二百二、三十万トンこう言われておるのですね。一トンの尿素と一トンの硫安とは大分本質的に違つて来ますから、二百二、三十万トンというのは、おそらく硫安換算意味だろうと思いますが、そうして参りますと、合理化ということは、数量の上から言えばトン数は減つて来る、こう理解していいかどうか、問題は数量が減つて来ると、今ではだぶつくことによつて価格が下る傾向にあるのが、将来だぶつかないことになつて来ると、必ずしもその方面から言うと、窒素系肥料が下る、市場価格が下るということは言えないような危険も出て来るのじやないかと思うのです。この点になると柿手さんでなく、どうも局長でないと質問しにくいのですが……。
  8. 柿手操六

    柿手説明員 この点は局長と私と同じ考えを持つておりますから、ひとつ私からお答えを申し上げたいと思います。大体今の状況から申しますと、硫安工場でできますアンモニアを全部肥料にする量のうち——もう少しわかりやすく言いますと、現在硫安工場製造能力、それをアンモニアの形で出ますものを、全部それを硫安にしたらどのくらい能力があるかという量を百にしますと、そのうちの大体一割くらいが肥料以外の硫燐安とか、硝酸とか、工業用等に、年間平均すると約一割、あとの九割が硫安その他尿素とか、硝安とか、いろいろなそういうものに、使われる。その九割のうちのまた九割が実硫安、大体硫酸アンモニアの形で生産されておりまして、その一割が大体尿素とか、硝安とか、硫燐安という形で使用されておる。全体の量のアンモニアから言いますと、八割が実硫安の形で現在生産されておるということであります。われわれが常に硫安需給のときに申し上げます数字は、全部硫安換算した数字でありますから、尿素の場合で言えば、尿素一トンは硫安の約二・二倍に換算をいたします。需給推算にしましてもそういうふうにいたしております。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 今回俣委員の言つておられるのは化成肥料等関係でしようが、問題はそういつた方面へ逃げて行つて、結局硫安内地需要量あるいは可能な限度における輸出量見合つたよう生産調整して来られれば、結局この法律をどんなりつぱなものをつくつてみても、実際においてはマル公というものをつくつたりいろいろな施策をやつても、問題は農民が期待しておるように値段が下るか、下らぬかということなんです。われわれの一番関心を持つておるのはそのことであります。だからその点で私はこの今度の法案で一番骨になつておるのは、農民立場からしてこのマル公をつくり、あるいはいろいろな施策を講じて、ほんとう硫安が下るのかどうなのか、それに必要な措置がこの法案に織り込まれており、また今後もとられるのか、とられないのかということにある、私は一番心配しておりますことは、今いただいた資料を見ても「主要肥料市価経過」というところで、二月十五日現在で硫安は去年の八月から一応下降線をたどつておる一八月に八百六十二円のものが一月には八百四十四円に下つて来ておる。最近シカゴ入札等関係で、またすぐに敏感にこれが市況に反映しておるとも伝えられておるが、大体において下降線にあるということだけは間違いない、そういう下降線をたどつておるときに、少くともマル公価格をきめるということになりますと、これはその値上りのときの戦後あるいは戦争中の上昇線にあるときには、そのマル公意味というものははつきりして来ますが、下降線をたどつておるときのマル公というものは、農民立場からいいますと、消費者立場からいいますと、逆にメーカー保護の形がむしろ強く出て来やしないかということを、一番心配をしておるのです。それに今回俣委員指摘されたように、さらにメーカー硫安輸出内需等見合つたよう生産調整をやつて、そうして尿素であるとか、あるいは化成肥料生産を切りかえて、その方面で逆に有利な経営をやつて行こうというふうにもまた逃げ道を考えておる。そういつた老獪きわまりない独占資本に対しで、今の硫安関係法案だけを見ますと、私どもはまだ非常に欠けたものがあると思う。この法案が提案されたのは第十六国会でありまして、必ずしも去年の総選挙後における状況というものは、今のような下降線が著しいという状況でもなかつた、すでに一年前後もずれて来ておりまして、その間に情勢相当大きく変化しておる。ですから私は、この間予算委員会農林大臣にも、もう少し構想を一新して、最近の情勢に即応したように考え直される必要がありはしないかということを、意見をまじえて申し上げたところが、そういう傾向も若干あるけれども、この法案で行くんだということでありました。そういう点で私どもは、最近この法案に対して非常に懐疑的な気持を持つておるんです。はたして農民の期待するようなことになるであろうか。もしこれが逆に、農民から恨みを買うようになり、メーカー経営の安定をはかるのみならず、国がそれにも相当のいろいろな施策の上で援助をして、結果から見ればメーカー安定法案になりはしないか。これは率直にいつてそういう心配をいたしておるわけなんです。この点について、政務次官おいでなつたし、小倉経済局長中村軽工業局長おいでになつたのですが、新たなる情勢に備えて、この法案自体について、なお原案通り成立を望まれるのかどうなのか、こういう点について政府考え方大臣にお伺いしましたが、予算委員会質問等ではなかなかそう時間もありませんし、こまかいことも御答弁ならなかつたので、私はあえて追究しませんでしたが、きようはそういう点について、もう少し掘り下げて検討をこの委員会として加えて、そうしてこの法案に対する取扱いをきめて行かなければならぬ。私はこのごろそういう気持を強くいたしておるのであります。ただ政府は非常にお急ぎになつておるようでありますけれども、これはそう簡単な問題ではないと思う。そういう点について、次官、経済局長軽工業局長のそれぞれの、最近の情勢とこの法案提出の時期とのずれから来る御所見を、この際承つておきたいのであります。
  10. 小倉武一

    小倉政府委員 御指摘の点は、実は法案の根本的な問題にお触れになつておると思うのでありますけれども、お話のように、最近の硫安価格等から見ますると、一ころよりは需給問題あるいは価格安定の問題が深刻な問題になつていないようにも見受けられます。ことに供給の方は円滑でございますし、このまま推移すれば、政府が提案しているがごとき法案がなくても済む。この需給安定といつた面からいたしますれば、そういつた感じがしないこともないと私どもも思うのであります。ただ現在私どもが考えますることは、硫安生産力が非常に高まつたとは申しながら、季節的に見ますると、内需があるピークに高まつて参りまして、それに見合うような生産は必ずしも応じかねるといつた問題は残つておる。もつと格段に硫安生産力が伸びれば、そういつた問題もあるいは解消する場合があるかもしれませんが、現在のところはそういうことにはなつていないのであります。もう一つは、生産の点が順調であるといたしましても、輸出の問題になりますと、どうしても国内の需要最盛期とダブる時期に輸出が最も有利に行われる。また海外からの引合いもそういうときに多いということで、そこに何らかの調整措置が必要になつて参るのであります。これまではそういつた調整措置はまつたく行政的な調整措置でいたして参つたのであります。量的な問題あるいは価格の問題でも、国会のいろいろな御指示もございますが、形の上で申しますと、行政措置でやつて来たのであります。私どもこういう重要なる問題につきまして、基礎的な法律がなくて、単に輸出の許可とかどうのといつたようなことだけで、そういつた量的な問題、価格の問題について深くやるということについては、非常に危惧を感ずるのであります。結果がよろしければもちろんよろしいのでありますけれども国会で御決定なつたルールもございまして、それに従つて遺憾なきを期するということでございますれば、事務を執行する者としてはなはだ適当であるわけでありますが、現在はその点に欠けるところがあるのではないか。こういつたような面から見まして、やはり現在においても、需給安定法の上で企図しているような施策が必要であります。またこの二、三年先、四、五年先のことになりますと、その間にどういう事態が起るか予想しかねますので、この最近の半年の見込みあるいは経過だけでは、なかなか簡単に判断がしにくいように思います。ただ硫安だけでよいか。こういう考え方を、先ほど御議論があつたような化成肥料等にも及ぼしたらどうかということになりますと、これはこだわるようでございますが、私どもとしてしいてそこに反対といつたような意味意見を申し上げるつもりではありませんが、硫安需給安定法提案一つの契機となつたものは、どうしてもやはり輸出にからむ二重価格といつたような問題でありまして、そういうものは硫安特有と申しますか、硫安に特に大きな問題を投げかけている点でございます。他の肥料になりますと、肥料という点では同じでありましても、輸出の問題とからむかからまぬかという点について、若干趣を異にしている点もございますので、全面的な統制をするといつた段階になれば別でありますが、原案の意図するところは硫安だけに相なつておるのでありまして、硫安だけでもつてやるごとについては、先ほど川俣委員が御指摘なつたような問題も生じて参ろうかと思います。これはできるだけやかましい法律的な措置を避けたいといつたような趣旨でやつておりますが、実施の上で影響があるということでありますれば、なお私どもとしても検討しなければならぬと存じます。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 このいただいた資料には、硫安石灰窒素、過燐酸石灰塩化カリの最近の市価傾向が示されておりますが、尿素とか化成肥料とか、また化成肥料類似のもののこれに準ずる資料を御提示願いたい。今川俣委員から指摘しておられた点が一つの問題であるとするならば、これに対する市況の変動に対する検討も加えてみなければいかぬと思います。農家自家配合すらもやかましい規則をつくつて制約を加えておるのです。私どもの古い記憶なんですが、過燐酸石灰硫安とを六・四の割合か七・三の割合かでまぜたものに黒い色をつけて、過燐酸五号などというような名をくつつけて農家に売りつけておつたときもある。これに類似したような化成肥料も最近だつてないことはないと思うのです。ただ配合すれば何らかわりのないようなもの、農民が自分で、協同組合やその他で自家配合をやれば、それと同じようなものができるものを、もつともらしく包装したり、赤いなわをくつつけたり、紫のなわをくつつけたり、もつともらしい宣伝文書をつくつておる。そういうようなことについ農民はごまかされてしまう。最近顕著なことは、化成肥料なり尿素需要というものが、非常に急激に高まつて来ておるということで、われわれは資料がなくてもわかつております。それに対する価格経過の正確な資料を、この際ひとつ出していただきたい。それによつてさらに対象となるべき肥料の種類というようなことにも、私どもは多く検討してみたいと思つております。それをいただきたい。  それから、私はやはり価格問題に集中して行きたいのですが、この間も私は別な委員会言つたのです。昭和二十五年の八月に肥料統制が撤廃された。統制政府か負担しておつた価格補給金がなくなつた等が大きな原因となつて肥料値上りは他の農産物に比較して非常に著しいのです。終戦当時を基準として試算をしてみますと、米の値上り率は八十三倍です。小麦は六十三倍です。硫安は二百四十八倍、過石は二百四十三倍となつておりまして、いわゆる農産物の大宗であります米麦値上り率に比べますと、三倍ないし四倍にも及んでおるのであります。そこで百姓は、政府にいつてもなかなか肥料値段もうまくならないから、であるならば米の値段を何とかしてくれ、こういうことになつて、去年あたりも熾烈な運動が起きておる。凶作加算を払うといつたが、あとの追払いはほとんどやるんだかやらぬだかわからない。こういうようなことであつて、今私ども関心を持つておるのは、農産物価格とのシエーレを肥料を中心にどうため直して行くことができるか、その一つ方法として、今度の肥料関係法案に若干の期待を私どもは持つてつたのです。ところが今までの長い間の審議を通じて見て、何ぼくらいになるものやら、むしろその逆にメーカー保護法案ではないかというような声がだんだん強くなつて来ておるのであります。とするならば、それに対応したような法案にするために、取扱い方もおのずからかわつて来ると私は思うのです。ですから私の一番言いたいことは、硫安を例にとりますと、一月は卸売り価格が八百四十四円に下つておる。戦後における最低の価格がここに出ておるのですから、少くともこれ以下に、どの程度におちつけようかというような、ある程度の見通しが出て来ないと、米価や麦価その他の農産物との価格の均衡の問題も、農民に納得させることが困難ではないかと私は思うのです。そこでこの八百四十四円の一月以降というものには、海外市況等によつて若干の動きがあるでしようが、少くともそう大きな動きじやない。動いたとしても、それは人為的なメーカー側のいろいろな商略に基因するものだといつてもよろしい。従つて私はこのマル公の問題を、どうこの法案の上で的確に、百姓が納得するような取扱いをするかということが、私ども農林委員会に与えられた一番大きな問題点だと思うのです。この前の速記録をお調べ願えばわかりますが、肥料の小委員会におきまして、国際価格一つのしんしやく要素として取入れてもらいたいということを私はずいぶん力説したのでありますが、当局においては、そういつたことについてはあまり同感の意を表しておられなかつた。それからいま一つは、農産物価格安定法等におきまして、決して生産費基準とするということは言わないが、この法案の場合においては、生産費基準として農産物価格、その他経済上参酌するというところでとめておるところに、私は大きな不満がある。この国際価格農産物の場合と同じように、生産費をもつと大きく価格決定要素として取上げて行くということに対して、あなた方が誠意を示されないということであれば、私どもは残念ながらこの法案に対しては、もつと別な角度から論議しなければならぬことになろうと思います。その点について情勢もかわつて来ておるし、いろいろな角度から見て、私どもをして納得させられるような対策が当局にあり、また委員会意見相当に入れた修正というようなことに対しても、当局が熱意を示されない限り、私どもとしてはこの点について納得がつきかねます。国際価格の問題、これが一つと、農産物価格の問題、これを重要なしんしやく要素として、今この法案に現われておるような現わし方でなしに、もつと強い形で、マル公をきめる際の決定要素に取上げられるということの御言明はできましようかどうか。特にこの際情勢がかわつて来ておりますので、この前の質問を繰返すようでありますが、基本的な問題でありますのでこれもあわせてお尋ねしたい。
  12. 小倉武一

    小倉政府委員 先ほどの御要求の資料につきましては、若干調べたものもございますので、御提示できると思いますが、ちようどこれと合うような調査は実はいたしておりませんので、すでに御提示いたしました硫安等とそのまま比較することはむずかしいと思うのです。  それから、法律が制定されたと仮定した場合の公定価格の問題でございますが、これは前々からそういうお尋ねがありまして、私どもも十分そういう御質問の趣旨のあるところを体しまして公定価格はきめる、こういう所存でおります。  それから国際価格の問題につきましても、これも前々からの御質問でございますが、もともと問題が、国際価格と国内価格との間に大きな開きがあるという点から出発いたしたのでございますので、公定価格を定めるつど、その時の国際価格ということをしんしやくすることは、問題の性質からいたしましても、また国際価格と申しましても、硫安がまだほんとうの国際商品には必ずしもなつておらないように見受けられる節もございます。時期によつて非常に価格が違つて来る、買う国によつて非常に価格が違つておるというようなことでございますので、なかなかむずかしい問題があろうかと存じます。もちろんそのつどつどに、その時の国際価格を参酌するというようなことが、さような意味においてもむずかしいと思いますけれども、最終的なねらいは、国内価格国際価格同等以下にする、少くとも国際価格並にするということがねらいでございますので、公定価格をきめる場合におきましても、最終的な目標はそこに置かるべきでございますので、御質問の趣旨と、私ども考え方がよほど根本的に違つておるものでもあるまいと思うのであります。以上お答え申し上げます。
  13. 川俣清音

    川俣委員 中村局長が見えたので質問をし直すのですが、さつき肥料部長からの説明では十分じやなかつたので、軽工業局長にひとつお尋ねします。  今までの説明によりますると、硫安コストの引下げ目標は、少くともトン約五十ドルというところに目標を置こう、これで合理化を進めて行ごう、こういうことなんですね。そうすると十二、三ドル引下げよう。ところがその引下げの項目にあげられている中に、製品転換による合理化というのが出ておるんです。これはそのままとしては別に私は反対ではないんですよ。尿素転換する、あるいは硫燐安転換するということは、それ自体別に反対しているわけではないが、どうも硫安肥料コスト引下げにこれを持つて来るというのはおかしいんじやないか。将来この尿素硫燐安アンモニアの高度利用という面からいつて、この方向に行くであろうことは想像されるんです。これはコスト引下げの要素でなくて、むしろ会社経営合理化だと考えなければならぬのじやないかと思うんです。いわゆる収益率の向上というところにあるんだと思うんです。収益率の向上ということと、コストの引下げということと違うんじやないですか。それをごつちやにして説明されて、ごまかされておるのじやないかという点があるのですが、この点どうなんですか。どうも製品転換による合理化ということは、アンモニアの高度利用という説明にはなりますけれども硫安引下げにならぬと思うんですが、これが引下げになるんだつたら、その根拠を御説明願いたい。どうも少しおかしいですよ。
  14. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 私はこの問題につきましては、この委員会におきましても、かつて答弁申し上げたと思いますが、硫安工業の合理化を考えます場合に、最終的な需要家でございます農民に対して肥料を買い入れます価格の低下、これがおそらく最終的に大事な点かと考えております。同時に今御指摘がございましたが、今後の農村におきます肥料の使用形態というものの変化という点につきましても、着目して参らなければならぬということは御指摘の通りであります。私の方で考えております合理化計画から申しますと、硫安それ自体を直接安くします方法、並びに化学工業は御承知のように硫安以外のいろいろな多角的な事業をやつておりまするので、その捨ててやりましたガス等を有効に使うというような、たとえば尿素生産というようなこと、あるいは硫燐安につきましても、それが形態の変化だけでなしに、やはりそれ自体ガスでありますとか、あるいは他の事業をやつておりますものとの結びつきで、やはり結果的には合理化に役立つという部面が多いのでございます。そういつたような化学工業の総合性という点に着目して、少し幅広ではございますが、合理化計画を立てて、終局的に肥料の販売価格、あるいは消費者のお使いになります購買価格の低下ということを最終目標にいたしておるというのが、合理化の基本の考え方であります。御指摘のように経営合理化という観点であつて、それは収益率の向上であつて合理化になつていないのじやないかという点は、これらの要素につきまして、特に硫燐安等につきましては、御指摘のような趣旨があると思います。むしろ強いのじやないかという一面も考えられますが、これが価格的に申しまして、現在の硫安あるいはその他の燐酸肥料等を比較勘案いたしまして、もちろん機構の問題も考えなければなりませんが、より安く農村に提供できるということでありますならば、これは少し幅広ではございますが、硫安工業の合理化の一翼としまして、むしろ推進してはいかがか、こういう意味合いで取上げておるのでございます。
  15. 川俣清音

    川俣委員 どうも私の質問に対する答えとして十分じやないんです。私のお尋ねしているのは硫安工業、化学工業の合理化としては、確かに一定の目標を達成せしめるようにできておる、その点は否定しないですよ。化学工業の合理化だという説明でありますならば、全部その通り受取るんです。ところが見出しは、あるいは説明硫安コストをこれによつて、少くとも十二、三ドル引下げるんだという説明にはならないということを言つているんです。化学工業の合理化にはなるけれども硫安を引下げる理由にはなつていないんじやないか。硫安は下るんですか。それは尿素転換したり、硫燐安転換することだつて窒素単位の肥料としては下るという説明になるかもしらぬけれども硫安コストが下つて、外国と競争できるという説明にはならないんじやないですか。だからさつき言われたように、化学工業の合理化ということは私は認めるというんです。それによつて収益率が上るということも認める。だからアンモニアの高度利用ということも認める。しかしそのことと硫安価格が十二、三ドル下るということは違いはしませんか。この点お尋ねしておきたい。
  16. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 御質問にお答えしますが、ただいまの化学工業を総合的にやつております場合に、その総合的なある一部分の捨てておりますものが合理的に使われるというようなことからしまして、硫安につきましての引下げの要素にも相なると思います。それでこの引下げの程度を具体的に保証いたす必要のために、公定価格制度をとるということに考えておりますので、ただいまの経営合理化、理論的に申せばそういう要素かもしれませんが、そういつた場合におきましても、硫安価格の引下げということの一つの効果的な要素としてあくまで推進いたしまするし、その結果については、公定価格制度でこれを保証いたすという考えでございますので、御指摘のような理論的な分析からいたしますと、多少私が逆な説明をいたしておるように思われるかも存じませんが、化学工業の総合的な合理化というだけでなしに、その結果が硫安それ自体のコスト引下げの有力な手段である、そういつたところに化学工業としての特殊性をとらえまして、特に硫安価格の引下げということに効果大きい要素を取上げて、五箇年計画内容にいたしたというのが考え方でございます。
  17. 川俣清音

    川俣委員 どうもその点がおかしい。会社の経営能率が上り、収益率が上るために、安く売つても会社としてはあまり痛みがないという説明にはなるのです。しかしコストの引下げということと、安く売つても会社に打撃がないということとは違うのですよ。原価計算ということと安く売つても会社に痛みがないということとは違いはしませんか。
  18. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 たとえば尿素の問題で考えますと、捨てておりましたガスを尿素生産に活用する、そのためにそのガスが不使用あるいは低度の使用に放任されたときの価格形成から考えますると、やはり硫安コストというものについての原価計算からいたしますると、硫安コストの引下げということに相なると思います。そういう意味合いにおきまして、私はやはり硫安工業の合理化硫安自体コスト引下げに役立つ一つの手段と申しますか方式である、こういうぐあいに考えておるのでございます。
  19. 川俣清音

    川俣委員 それは間接的にはコストの引下げになる部分もあります。あるいは直接引下げになる部分もありましよう。たとえば自働調整装置というようなことは、これは直接のコストの引下げになるでしよう。しかしながら尿素転換するとか、あるいは硫燐安転換するということ自体によつて硫安肥料が直接下るのだということにはならないのではないですか。窒素単位の肥料として下るということは言えるかもしれません。だからそこのところがあいまいなんですよ。窒素単位としては下るのだという説明ならまだよくわかりますけれども、あなたの方で前に出しておるような、外国と競争しなければならぬから、少くとも硫安は十二、三ドル下げるのだという説明にはならないのではないか。一般の人々に、この合理化によつて十二、三ドル下がるのだという期待を持たしておるのです。ところが内容は期待に沿うようなことはないのです。そこなんですよ。会社の経営能率がよくなつて収益率がよくなつて来る、あるいはアンモニアの高度利用の結果、会社としては安売りしても打撃はないという事態が起るような合理化であることは認めるのです。そのことと硫安そのもののコストが下るということと違いはしないか。あるいはこれらの合理化によつて十二、三ドル下るということの説明にはなつていないじやないか。見出しは硫安として約五十ドルのコストを実現するというのですが、これは窒素単位というようなことで説明すればまた別ですが、硫安として約十二、三ドルコストを下げるという説明でしよう。それにまた農民は期待しているわけです。端的に言うと、この法案が出まして十二、三ドル下るのだという期待をこれで持たせている。そのために合理化資金を出すのだ、しかも二百二十七億というような莫大な資金を出してコストを引下げるのだ、だから窒素単位としての引下げには、あるいは尿素によりまして、硫燐安によつて引下るかもしれない。しかし硫安コストを引下げることにはならないのじやないかということをお尋ねしている。私の質問のしかたが悪いのですか答弁が悪いのですか、どつちかはつきりしてください。
  20. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 御質問の趣旨はよくわかるのでありますが、私の考え方からいたしますと、やはり従来の硫安工業というものが、硫安だけを作業工程で唯一の目標としております場合には化学操作あるいは化学原料の有効な使い方というような見地からいたしましても、相当不合理な要素もございますので、これを合理化するというそのこと自体が、農村に対します供給源として、あるいは肥料形態の変更ということにもなりますし、あるいは作業装置その他の変更、あるいは原料部門の変更というようなこともあわせ考えて、硫安自体コストを引下げる方式と考えてさしつかえないのじやないか、その硫安自体の引下げが実現するのでありますし、これを法的に保障する制度ということを本法はねらつております。またこの実施によりまして、実際コストが下る、あるいは硫安価格が下るかという問題でございますが、この点に関しましては、従来の合理化計画においても同様でございまして、現にこれが具体化しつつあるのでありますが、われわれの最終目標として考えます合理化目標は、ただいま御指摘のような数字でございます。ただ硫安工業の投資によつて合理化と、あるいは石炭、電力の開発等から受けます硫安価絡に対する影響ということもあわせ考えまして、現在のコストをさらに十二、三ドル下げる方向を実現いたしたい、こう考えているのでございまして、コストの低下に役立つことは申すまでもない、こういうぐあいに考えております。
  21. 小枝一雄

    小枝委員 ただいまの川俣委員の御質疑に関連してお尋ねいたします。本日の読売新聞の記事に、最近経済審議庁と通産省との会議において、硫安の融資のわくは十億を決定しているということを書いてあるのであります。大体二十九年度の資金運用部資金を開銀に融資するわくは二百七十五億円で、その中にただいま御説明にもありましたような、ガスの利用その他硫安合理化資金として十億を決定した、こういう記事でありますが、これははたして硫安国際価格へ持つて行くための一つの用意のための資金であるか、あるいはどういう意味のものかということを、詳細に御説明願いたい。
  22. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 ただいまの御質問の点は、二十九年度の開銀融資についての問題と考えますが、大体今日まで明確になつております点は、肥料について特定わくを設けるということについては、大体関係各庁の意見が一致しつつあるように考えるのでございます。ただその具体的な内容である数字につきましては、今日検討中でございまして、最終的に十億というように決定したとは、私は聞いておりません。ただ御承知のように、全般の財政投融資の圧縮がございますので、これを現実に運営いたします場合に、この融資の方式、方法ということにつきましては、私たちも問題の重要性にかんがみまして、検討を加えているのでございます。この見通しにつきましては、もちろん今日結論を出し得ないのでございますが、そういつた開銀融資が、今問題になつております硫安工業の合理化の、計画推進のための一環をなしている財政投資である、こういうぐあいにお考え願いたいのでございます。その金額につきましては、関係庁の間で審議いたしておりまして、私はまだ最終的な結論を承つておりませんし、まだ最終的結論が出ているとも考えておりませんが、問題の点につきましては、通産省といたしましても目下検討中であることを御了承願いたいと思います。
  23. 小枝一雄

    小枝委員 新聞の記事が間違いであるということならばいいのでありますが、二十九年度のわくが十億やそこらでは、とてもこの企業の合理化が完成するものとは考えられない。もしそれが間違いならば、これは非常に幸いなことでありますが、当局といたしまして、年次計画によつてこれを国際価格へ接近するような合理化を実施するとすれば、二十九年度においてどれだけの資金を必要とするか、それをひとつ明確にしていただきたい。
  24. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 これは私見になると思いますので、その程度のこととお聞き願いたいのでありますが、初年度の計画でございますが、これにつきましては、先般来経済審議庁と通産省の意見がまとまりまして、開銀に対して約六社の融資を申請いたしまして、これにつきましてはほぼ御了解を得て、私の考えとしては、近く実現するように見受けるのでございます。この融資金額は、トータルといたしまして、大体六、七億程度ではなかろうか。なお追加といたしまして三社の合理化計画を経審とも相談いたしまして、開発銀行の方へお願いする予定にしておりまして、九社になります。従いまして、これが全部われわれの希望通り参るとすれば、ほぼ十億近いような金額を私は期待しておるのでございます。二十九年度につきましては、これは先ほども申しました私の私見にとどまるのでございますが、でき得る限り多いことをもちろん希望いたすのでございますが、諸般の情勢もございまして、二十億前後はどうかという気持で努力して参つております。ただ問題の取扱いといたしましては、最近問題になつております資産再評価の問題等がございまして、調達に関します国家の別の考え方もあるいはあるかと考えられる面もございますので、彼此総合いたしまして、とにかく硫安工業五箇年計画の推進のできますように努力をいたしておるところでございます。
  25. 川俣清音

    川俣委員 それでは続いてお尋ねいたします。さつきから私は同じようなことをお尋ねしておるのですけれども、なかなかきつぱりした御返事をいただけないのです。窒素単位としてのコストの引下げには役立つ、あるいは硫安自体としても間接的にコストの引下げの要素になるということだけはあなたの御説明の通りなんです。これは私も否定しない。ところが十二、三ドル引下げる重要な要素かというとそうじやない、こう指摘しておるのですよ。それをもう少し具体的に申し上げましようか。合理化効果の見込みとして羅列されておりまして、トン当り二千五百八十五円と出ておりますが、窒素単位のコストの引下げという意味であればこれはこれでもよろしいでしよう。しかしながらあなたの方では硫安コストの引下げとなつておる。そこで尿素とか、高度化成とかいうもののコストの引下げが相当有力に働いておるわけです。だから窒素単位の引下げにはなりますよ。ところが硫安コストの引下げと出ておるのですよ。だから結局はこれだけ引下らないのじやないですか。ただ引下げと言わぬとどうも法律が通りそうもないとか、反対が多いとかいうことで、無理につくられておるなら無理につくられておると正直におつしやればよろしいのだ。ただ硫安工業全体として見た場合に、これが合理化方法であるということは、私は前から否定はしていないのですよ。化学工業の本来からいつて、そういう方向をたどるであろうということは否定しない。そうなつて参りますと、今まで電解をやつてつたよりもむしろガス法にかわつて行くような余地も大きいであろうということも想像されます。電解というものは私が説明するまでもなく、むしろ電気事業の電力合理化の面から電解というものは考えおれるべきもので、本来から言えば硫安の方から電解を考えることは誤りなんだ。余剰電力の使い道として電解というものが考えられることが本質なんだ。それを逆に考えておられることにそもそもの間違いがあることを指摘しますけれども、今はそれを論じているのではない。コストの問題を論じておりますが、これによつて硫安コストが引下るんだということは、子供なら説明がつくかもしれませんが、どうもこれで硫安が下るんだという説明は、農林省をうまく納得させる説明にはなるだろうけれども委員会を納得させる説明にはならないと思うが、どうですか。
  26. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 非常にしつこいように答弁を繰返して恐縮でございますが、もちろん御指摘のように、窒素それ自体の価格というものを下げるという点もございます。それが同時に硫安価格に響くということも考えられる。また同時にこういつた、たとえば硫安生産形態を尿素あるいは高度の硫燐安にかえるということ自体が、いわゆる窒素肥料を含むという点においては、もちろんコストの引下げということになる。しかしそれは硫安の引下げにはならないじやないかというぐあいに話が及ぶのでございますが、私の考え方といたしましては、化学工業自体の、ガスその他いわゆる副成されます資源の適当な利用ということを加味いたすごとによりまして、御指摘のように経営全体の合理化というアイデアになるかもしれませんが、やはり旅安自体の生産もやつておりますところから見ましても、間接費その他の配賦等を通じまして、やはり硫安自体コストの引下げということになると考えておるのであります。
  27. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、二千五百八十五円下るということになりませんでしよう。さつきから指摘している通り、窒素単位としての原価は下るかもしれませんけれども硫安としての原価が引下げられるという要素尿素を持つて来たり、高度化成を持つて来ておられる。だからこれはむしろ窒素単位としてのコストが下るのだ、こういうふうに見れば見れないことはない。私はそれは否定しないのですよ。ただ硫安として二千五百八十五円下るという要素の中にこれを持つて来られることは無理じやないか、結局引下らないのじやないか。コストというものは厳密な原価計算ですからね。安く売つてもいいということと原価か引下るということとは違いますよ。安く売つてもそんなに不利益でないということとコストが下るということとは本質的に違つていなければならないはずだ。だからほかの方で利益があるから硫安はそれほど利益を持たないでも安く売れるということにはなるかもしれないけれども、それ自体がコストが下るのだということにはならない。コスト収益率とは違うでしよう。厳密な原価計算をして価格を出すとすれば、厳密な原価計算の下る要素にはならない。メーカーに聞いてごらんなさい。これによつて下るかというと下りませんよと言いますよ。これはメーカー説明させれば、おそらく窒素単位としては下るのだ、尿素として見た場合の窒素としては硫安よりも下つて来る、そこで尿素に転化するのだ、アンモニアの高度利用だ、こう説明をするかもしれないけれども、このようなことで二千五円八十五円下りますということは言わないと思うが、どうですか。この点小倉局長も漫然と賛成したのですか、その点も聞かなければならぬ。
  28. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 今の御質問の点でございますが、私も御質問の要旨はよくわかるのでありますけれども、私の考え方、特に間接費の経費が下る、これはコストの一部でございます。それから廃棄物質の完全利用というような点、これもコストを引下げる要因でございます。それから、もちろんアンモニア自体のコストにも響いて参る、窒素の単位の低下ということも考えられる。これを総合して考えます場合の利益をあわせ考えますと、ここにございますような硫安工業自体としてのプラスがあるのでございますから、硫安コストもそれ自体低くなつたと考えるべきものでございまして、そのコストに基いて硫安価格を形成するということは、私は必要でもあり、当然のことのように考えるのでございます。同じ答弁を申し上げて非常に恐縮でございますが、私はそういうぐあいに考えますので、繰返し御答弁申し上げます。
  29. 小倉武一

    小倉政府委員 今局長から申し上げた通りのことを繰返します。
  30. 川俣清音

    川俣委員 私が心配しておるのは、合理化資金が出ますが、この金利もコストに入つて来ます。そうすると、尿素転換するための資金の金利は、硫安の方にもやはり見て行かなければならぬ。直接硫安関係のない尿素転換するもの、あるいは高度化成に転換する資金は、この合理化資金の中で相当大きい率を占めておる。これは硫安自体コストでなくて、むしろ転換するための、会社経営合理化のために出された資金の金利が硫安コストに入つて来るという、逆な結果が出て来る。そういう点で、私は決してここで論争しようとは思わないのですよ。
  31. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 ただいまの金利の転嫁の問題でございますが、これは私の方の価格形成をどうするという具体的な問題、あるいは今後この法律実施の際のマル公価格決定の際に、お前はどうするのだというようなことにも関連いたすかと思いますので、答弁いたしますが、私はそういつた尿素あるいはそれにつきましての金利の問題は、もちろん尿素をつくります部分についてのみこれを考慮するというような考え方で、合理化のこの数字もつくり上げておる次第でございまして、御心配のような他の硫安生産部門にこれを含めて硫安価格をむしろ上げるのじやないか、こういうぐあいにお考えかと思うのでありますが、この点につきましては、もちろんさようなことをいたす考えは毛頭ございませんし、そういう行き方をして考えますることが、ここに取上げておりますそれぞれの合理化の効率を考えます場合に、すでに考慮しております問題でございまして、御心配の点はないものと私は考えております。
  32. 川俣清音

    川俣委員 しつこいようですが、尿素転換するために硫安コストが百九十二円下る、それから高度化成に転換することによつて五百八十六円下るとここでいつておる。それが尿素転換したことによつて硫安自体コストが下るのだという説明かどうもさつきから納得が行かない。だからこれは窒素分としてのコストが下るというならよくわかるとさつきから申し上げておる。要するにこれはアンモニヤの高度利用なのです。高度利用としての尿素硫燐安というものは考えられるのです。けれども尿素に行つたからといつて硫安が下るということは、どうしても出て来ないですよ。
  33. 中村辰五郎

    ○中村(辰)政府委員 私も今の問題につきましては、もちろん窒素分としての価格も下る、また尿素をやりましたことから、廃棄物資の活用あるいは間接費の配賦等につきまして、安くて済むという結論になりますので、やはり硫安自体につきましても、同一総合部門の硫安につきましても、これがコストの引下げを配賦して価格形成するということが、当然に価格形成の原則ではなかろうかと私も考えておりますので、私はやはり硫安工業の合理化の一翼という考えにつきましては、妥当ではなかろうかというぐあいに、操返し御答弁申し上げて恐縮でございますが、御答弁申し上げます。
  34. 川俣清音

    川俣委員 それではこの程度でやめておきます。
  35. 綱島正興

    綱島委員長 ちよつと速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 綱島正興

    綱島委員長 それでは速記を始めてください。  本日はこれにて散会いたします。    午前零時三十八分散会