○金子
委員 この際
安藤委員から、消費面における施肥の
合理化という問題が出ておりますので一言お聞きしておきたい。ただいま消費面において、小倉
局長のおつしやるのは、農家の
個々の人たちが肥料を購入いたしまして、その購入したものを持ち寄
つて、共同の形で配合してこれを施肥するという場合には、純然たる自定配合でありますので、肥料の取締り等には触れない。しかしながらそういう場合は、それに対してその施設等において、別に政府の助成なり何なりの具体的な方策はないと思う。こういうようなお話だ
つたのでありますが、これは
肥料行政に当る農林省の作物増産全般にわたる問題でありますから、この際特に大きく
考えていただきたいことは、今の実際の農家の肥料知識あるいは作物の肥培知識というものを
現実に
考えたときに、農家一人々々に対してあの目に見えない成分というものについて教育いたしまして、そうして経営者
個々の認識の上に立
つて施肥の
合理化をするという
考え方は、実際に私
どもは農場経営をする上には無理だと思う。これだけははつきり認識しておいていただきたい。従
つてそれならどうするかというと、大体において今の
日本の農業の
一つの計画とか、あるいは指導というものは、極論いたしますと大体一町村一千町歩以上のものが一農場だ、こういう見解の上に立
つて政策を立て、指導することか最大
効果を上げる道だと思うのです。なるほど
個々の農家をよりよくという形で行きますと、一村の中にあるところの一、二の篤農家というものが最大の効率を上げ得るかもしれぬ。しかしながらその村全体からいかに最大の生産を上げて来るかということになりますと、当然これは一村というものが
一つの農場単位のよう
なつもりで政策を今後と
つて行かなければならない。そういたしますと、肥料問題に入りましたときに、ただいま
安藤委員が申し上げたように、どうしても共同化の必要が出て来る。その場合に小倉
局長の言うように、農家がわけたものを持ち寄
つて配合する、こんなむちやな話はない。そこでたとえば協同組合なら協同組合が、倉庫という施設と、それからそれを裏づけて行くところの資金、この物の置き場所と資金という二つの要素をも
つて、夏肥なり
秋肥なり、少くとも一箇年二期なり三期の主要施肥期のものはチヤージして行く。そのチヤージされたものを施肥期にあた
つて、その肥料の性質と成分と、またその土地の土性と作物とを勘案して技術的に運営して行くというところに、初めて最小の資材で最大の
効果が上るということになるのでありまして、これは長い間われわれがや
つて来たことなのであります。そういう点から行きますというと、今の肥料をあめや菓子やほかの家庭消費の品物と同じような
考え方で、消費者だとか生産者だとか配給業者だとかを
考えること自体が違う。だからそういう点から
考えまして、問題になるのは自家配合の問題でありますが、昔の自家配合というのは多分に有機質等もそこに入
つた。従
つてスコツプやあるいは簡単な配合機というものを使
つてや
つたのでありますが、今日のようにま
つたく無機質の肥料だけが消費されるということになりますと、その肥料は大体において有機質が入らない無機質肥料というものを手配合なり、あるいは機械的に手配合にかわる配合をいたしますると、欠陥としてそれが固形化して、そうして成分と施肥の
状態が悪くなるという以外に、成分のよりいい調和がとれぬということの特徴と、一方にはそれが非常にこちこちにな
つて使いにくくな
つてしまう、こういう欠陥が出て来るのであります。それを緩和するために、有機質が非常に不経済であ
つても戦前には非常に用いたのであります。それが今日はそれを用いる余地はなくな
つて来た。そうなりますと、今日の手配合、あるいは自家配合というのは、今の小便化成と言われておるところの
一つの操作
——それは配合化成とは言うけれ
ども、実際は配合の
一つの
方法ですが、その
方法をとることによ
つて若干硫酸根の弊害を防ぐとか、あるいは火山灰土その他の地帯における流亡性というものを防ぐというふうな、化学的にも物理的にもよりいい
状態に入れるというのが今の化成のやり方で、これは
一つの配合でありますから、従
つて今後の自家配合というのは一町村でや
つたものをもうちよつと規模を大きくして、そしてその地帯における土性基準に合
つたような、消費者の立場から見た
一つの配合というところまで段階か進んでおると思う。そこまで来るとそれは肥料取締規則から抜けるわけに行かない。そこで今の肥料取締りの
方法についても、消費者の場合に緩和せいというのではなしに、そういうふうなあり方が今後の
一つの方向だということの上に、今までの
肥料行政の認識を持ち直さなければいけない転換期だと思
つております。そういうことをまずお
考えの上に、政府は今後施策をと
つていただきたい、また具体案を立ててもらいたい、こういうことを私はひ
とつお願いしたいと思います。
もう
一つは、化成肥料のような形にしますと、そこに
相当の施設を要する。安いものでありますけれ
ども施設を要する。そうするとそれを消費の
合理化として、その施設に対して助成したらどうか、この問題であります。一方
硫安に対して、今度の
法律がかりに通るといたしまして、
硫安工業の振興、
合理化のために、
相当の財政資金その他の資金を政府が投ずるといたしましても、今の
傾向のように単味で出すことが
価格を押えられるから、それを今の農家の配合に近いような形で特定なマークをつけて、特定な販売店を通して百姓にだまし売りするというような形のものはこれはとるべきことじやない。従
つて資金を供給するならば、単味のものを生産する方が一%当りの
価格はかえ
つて高くついて来る。ほんとうの
意味の総合した生産過程において、どうしてもそういうことになる。言いかえれば、ハーレンス・カンパニーのニトロホスカのように、五〇%も逆に製造過程に総合成分が持たれて来る。それを一%当りの
価格計算をして来ると、単味よりかえ
つて安くなる。こういう場合にメーカーのやる化成肥料の意義があるのでありまして、単味のものを農家の人たちが、かりに買
つて、さいぜん申し上げるような共同施設によ
つて、今の化成の
程度のものをつく
つた方が安いということでありますならば、メーカーが化成肥料をつくるということは利益を搾取するための商業政策にしかすぎない、こういうことであります。もし政府がこれに資金を与えるということならば、消費者の立場に立
つて、どちらを生産した方が得かという厳格な見解の上に立
つて、その責任生産というものの負担を約束づけて資金を出すのでなければ、何も
意味をなさない。結局利益をたくさん
会社に上げさせるために資金を投じたという結果にな
つてしまう。これは将来大きな問題であります。
会社にこの
法律によ
つてかりに投資いたすといたしましても、今の化成肥料のようにほんとうの化成肥料でなくて、単肥で売るよりも、それをああいう形態をかえて、そして特定なマークをつけて売る方が得だということは、これは間違いであります。今の化成の非難というものはそこにあるわけです。今の化成のような形のものであ
つても、それが県なり郡なりという、その地方の消費者の立場で、その地方の土性
調査をして、その作物に適当するような成分構成を持つように、消費者の立場においてつくれば、これは非常に有効な働きをいたしまして、そこに全国的に特定のマークをつけて、特定の成分で、特許でもあるかのように売り出されておる。こういう化成肥料は今後奨励すべきものでもないこれに対しては
相当注意をしなければならぬ、こういうことが
考えられるわけです。
そこで第三の問題といたしましては、今後の肥料の
考え方について、今までの
考え方は、この法案自体を見ましても間違
つておる。たとえばこの法案で
委員会をつくるということがあ
つても、この
委員会に対してメーカーの代表、消費者の代表、販売業者の代表というように三つにわけておる。全購連がどこに入
つておるか、全購連は販売業者の中に入
つている。全購連は販売業者ではない。私
どもは長い間この問題で苦しんで来ましたけれ
ども、通産省という役所は、どうしても消費者の団体というものを
認めない。その過程において現物を渡して現金を受取るという行為があると、それを商行為だと決定してしまう。もし商行為だと決定してしまうならば、あの全購連という字はうそにな
つて来る。あれは全販連でなければならぬ。なぜ一般の商業界において販売事業と称するものを、この協同組合において購買事業と反対の言葉を使うかというと、あれは消費者の
一つの購買する機関だから購買事業と言うのであります。もしこういうふうにして販売機関というのだ
つたら、販売機関というのは農村の立場でいえば全販連がここに入ることになる。あれは購買する機関なのでありまして、決して業者の販売機関と列を同じうするものではない。それほどここにりつぱな法案を書くにしても、あなた方の頭は農村の消費体というものを無視しておる。だから今の肥料の取締法をつくるにしましても、すべてにこういう矛盾がどこまでも出て来る。どうぞ、この問題は私はお願いすることでありますが、よくお
考えおきを願いたい。この問題について、後ほど私の時間になりましたら、いろいろ具体的にお問いをしますが、
安藤議員の素朴な
質問でありましたけれ
ども、ただ大切な問題でありますので、私が一応つけ加えましてお願いしておきます。