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1954-10-29 第19回国会 衆議院 農林委員会農林災害対策に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十九日(金曜日)     午後四時十七分開議  出席小委員    小委員長 佐藤洋之助君       田子 一民君    松岡 俊三君       井谷 正吉君    芳賀  貢君       吉川 久衛君    川俣 清音君       安藤  覺君  出席国務大臣         国 務 大 臣 加藤鐐五郎君  小委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (大臣官房総合         開発課長)   庵原 文二君         運輸事務官         (中央気象台総         務部長)    北村 純一君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十九年農林災害対策に関する件     ―――――――――――――
  2. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 これより会議を開きます。農林災害に対する問題につきまして議事を進めます。  開会にあたつて一言委員長より申し上げます。今回加藤国務大臣におかれては、政務御多端の折にもかかわらずはるばる北海道までお越しを願いまして、連日強行軍の御視察を願いましたことに対しまして、この際当小委員会として感謝をいたします。加藤大臣より視察の御報告があるはずでございますが、その前に気象の問題につきまして、松岡委員より質疑の通告がありますから、これを許します。松岡君。
  3. 松岡俊三

    松岡委員 私は大蔵省当局気象台関係及び総合開発関係農林当局、これらに対してお尋ねいたしたいと思います。加藤国務大臣には、特に関心を持つてお聞取りを願いたいと思います、先年の九州関西方面水害緊急対策のために、気象方面は最も大切なことだとして、四箇年継続事業昭和二十八年から四箇年にわたつて気象方面完成な期することになつておるのでありまして、そのうち、すでに関西方面は相当充実することになりました。昭和二十八年度、二十九年度において、四国中国九州関東並び東北において岩手一県、これだけが完成に近いありさまでありまして、これに続いて東北方面冷害に対して施設をなそうという計画が四年計画に上つておるのでありまして、私の承知している範囲におきましては、気象台においては、三十年度において水害緊急対策のための気象事務整備拡充のために八億五千万円、第二番目には水利気象業務整備拡充のために、東北山形県の濃上川を含んでおる。このために二億五千万円、三番目には農業災害対策のための気象業務整備拡充のために二億円、これを目下大蔵省と交渉中であるやに承つております。この際に突如として起つた洞爺丸遭難事件から、北方定点に約十九億の予算をもつて気象方面完成をしようとするというように私は仄聞いたしておるのでありまするが、これについて気象当局においては、こういうことをなさつておるかどうか、私の仄聞しておることに近いものかどうかということを一点承りたいのでございます。  次に、二十八年、二十九年においては、すでに無線ロボツト雨最計あるいは雨量観測所あるいは長期紀雨量計というような気象方面充実に努められた結果、まず九州地区においては二十一箇所、四国においては十箇所、中国において十箇所、近畿は十一箇所、関東が十箇所、しこうして東北が三箇所、こういうぐあいにつておりまして、三十年度において東北冷害に対する気象充実をしようという段階になっておるように私の調べではなつておるのであります。これは私の考えがやや間違つておるかどうか、当局はこれを是認せられるかどうか。すなわち私の洲べたところによると、先ほど申し上げましたように、鹿児島には無線ロボツト雨量計が三箇所、宮崎県に五箇所、熊太県に五箇所、大分県に三箇所、福岡県に四箇所、高知に四箇所、愛媛に二箇所、香川に二箇所、徳島に二箇所、山口県に三簡所、島根県に三箇所、広島県に四箇所、和歌山には三箇所、奈良県には二箇所、京都に二箇所、滋賀県に二箇所、三重県に二箇所、群馬県に五箇所、栃木県に二箇所、茨城県に二箇所、岩手県に二箇所、福島県に一箇所、こういう実情になつておることが私の調査ではわかつておるのです。かようなぐあいにして、水害緊急対策であるけれども、冷害というものをどういうぐあいに考えておるか、冷害に対する考えなどうお持ちになつておるか、この点について大蔵当局にお尋ねいたしたいのでございます。冷害、すなわち東北の最も懸念しておる、ほとんど庭石を飛ぶがごとくに定期的に来る冷害に対する大蔵当局の御認識、特に岩尾主計官においてはこの気象方面査定の主任官であられるが、これをどういうぐあいに考えておられるか。昨年の冷害、本年の初期の冷害にならんとして幸いにも深刻である場面が神の助けによつて、終りに天候がよろしきを得て、冷害を免れたのでございますけれども、気象台の昨年の予測によりますれば、三十年度においては冷害に対する相当な関心な持たねばならぬということを、長い間の歴史的経過によつて御言明なされておるところであります。明年の冷害に対しては、特にわれわれ東北の者としては関心を持つておる。しかるに右のようなぐあいにロボツト雨量計がまつたく閉却されておる、このとき四年計画でまさに不備なこの点をなそうとしておる計画を立てようとしておるときに、不幸にして加藤国務大臣の主管せられる、この間御視察されたる北海道方面のあの災害があつた。この結果として北方定点を十九億に近い厖大な予算をもつて充実なはからぬければならぬというような状況にあるのであります。この予算査定の上において大蔵当局はどのようなぐあいにこれをお考えになつておるかということを、大蔵当局にお存ねしたいのであります。第一点は、農林当局にお尋ねいたしたいのであります。農林当局としては、昨年までは岩手呉北上川総合開発関係して、とにかく関西並無線ロボツト雨量計について、この気象方面についてはやや満足に行こうとするようなところに行つておる。北上川総合開発にはぜひともこれが必要だというので、この気象観測充実が、東北の方でわずかに岩手県だけに二箇所があるというぐあいにつておるわけです。そうして今度全国において第二番目の総合開発山形県の最上総合開発であります。この総合開発気象関係においてどういうぐあいにお考えになつておるか、また畑地土地改良計画が三年間継続事業として、農林当局が、すなわち最上総合開発一端として泉田川地区に大規模の畑地土地改良をことしから開始されておる。この東北畑地土地改良はこれが初めてであります。この成功いかんは実に東北全体の将来に関する畑地改良に最も至大なる関係を持つておるものでございまして、われわれ東北民としては、この成功いかんに非常なる関心を持つておる次第でございます。そうして東北の者としては、非常に関心を持つておりまする最上総合開発一端泉田川畑地土地改良のなさるべきところ、その地域がまことに気象方面から申しますと盲点でありまして、同じ山形県でありながら、山形市にある測候所日本海沿岸にあるところの酒田川市にある酒田測候所と、一県内に二つ測候所があるにもかかわらず、ただいまの最上総合開発畑地土地改良地区地域に関しては、この二つ測候所からはいかに測候しても、観測してもこれが届かない盲点である。この盲点が、すなわち今から二十数年前に今の積寒法の生れたる雪害問題の起つたところの地点である。こういう盲点でありますのにもかかわらず、側候所においてはこれらの設備についてはなはだ喜ばしくない今日の状態にある。この点について気変台としてはどういうお感じな持つておられるか、この一点。また農林省としては、北上川総合開発のために測候所無線ロボツト式関西並にできたと同様なぐあいに最上総合開発泉田川畑地土埋改良関連して必要があると思うか、なくても大丈夫なのかどうか、これなはつきりと御答弁を願いたい、御見解を伺いたい。もしこの畑地改良が不成功に終るようなことがありましたならば、将来東北全体のために非常なことになる、かるがゆえに、測候所が、山形酒田測候所あるにもかかわらず、この観測の及ばないところの盲点などういりぐあいに農林省としては考えておられるか。これについての気象方面とのマツチの上についてどういう御見解々持つておられるか、はつきりした御確信を御返事願いたい。  次に、大蔵当局にお尋ねいたしたいことは、今のような盲点であります関係上、いくら政府が施設をしてくれないからといつて、一番土地に親しんで、一番生活上に心配する、ことに一毛作地であつて、しかも冷害のときは間違いなく一番先にやつて来るところのほとんど常習的の冷害地がこの盲点地区であります。一方は最上川を東の方に上る松本方面からの風、一方は太平洋方面から来る国川渓谷から来る東風、そうして再測候所がまつた観測し得られない盲点、これを土地の所が非常に心配なして、今から五年以前、私が初めて雪害を唱えて、農林当局がこれによつて初めて雪害調査所をこしらえ、そうしてこれがさらに発展的解消の上に、今日東畑博士東北積雪地方経済調査所というものができておる、そうして今の気象方面盲点な何とかして補わなければならぬというので最上郡下の二十四筒町村、隊の北村山郡の十箇町村最上総分開発地域内の町村は、それぞれ貧弱な中からみな金々出し合つて、五年間観測して冷害防止するに努めておる。また山形県としてもこれを黙視することができなくして、毎年数十万円の補助金を出してやつておる次第であります。円がかような冷害常習地、しこうして雪害問題、いわゆる積雪寒冷単作地帯積寒法の生みの土地であるところのこの地方に対して施設よろしきを得ないために、日費をもつて町村が貧弱なる中から金を出して観測をやつておるという点に対して、気象当局はいかようにお感じになつておるか、ことに東北方面冷害のために、単作地帯のためにどうしても原始産業の米にのみ依存しておる、この地方に対して、かようなぐあいにつておるということは、親切なるあたたかみのある政治であると大蔵当局考えておるかどうか。これを改めることは決しておそくないのです。今回四年計画で、すでに後半期に達して関西の方はやや完備したからして、今度は東北になろうとするという、そういう計画の中において突如不幸にして洞爺丸事件が起つて世論ごうごうとしてこの気象観測充実することを要請しておる次第であるが、国家は財政はなはだ窮乏なるのゆえなもつてどちらな先にしようとするのか。洞爺丸関係するころの北方定点というものを充実しようとするのか、または多年苦しみ苦しんでいて、自分の貧弱なる金の中から力をさいて、自分で生きようとしておるところの、これら気象観測盲点最上総合開発地区のものをどのように感じておるか。今川の災害上についての御査定の任にあられる加崎国務大臣として、こういう点について特に御関心を願いたい。四年計画にて関東方面はすでに充実したことは先ほど申し上げた通り、そうして次の後半の東北方面に及ぼうとしておるところである。そこまで来ておつた。それが今回の洞爺丸事件によつて万々一万にもこの査定世論のごうごうたるがゆえに押されて東北一毛作冷害常習地が犠牲にされるようなことあつて――昨年の気象台当局説明されたように、長年の歴史をたどつていれば、明三十年度においては冷害あるいは必至にやないか、天明にも等しい凶作に達するじやないかというような心配を持つておる際において、万々一にもこの気象方面予算削減のため計上さるることがないために、洞爺丸事件世論に押されて東北が閑却さるるようなことがあつたならば、実にゆゆしき大事だと私は思うのでございます。この点に関する加藤国務大臣の御答弁ではなく、御関心を私は要請をしておく次第でございます。  左様にわたつて私の質問は申し上げる次第であります。どうぞそれぞれ関係当局から、冷害のためにおびえている東北、しかしながら冷害を克服するために努力して、米の供給県として働いてあのようにやつておる東北一毛作地の農民に対し安心せしむるよりに、温情のある御答弁を私は期待してやまない次第であります。
  4. 北村純一

    北村説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  東北地方凶冷関係のあるものとして御指摘になりました水害予算あるいは水利予算の本年度要求額は仰せの通りでございます。ただ農災につきましては一億一千余万円でございまして若干金額が違つておるように想います。大体そういうような点でございます。  それから北方定点洞爺丸事件との関連性につきまして御意見を拝聴したのでございますが、北方定点につきましては、昨年から北方定点が廃止になりまして後に気象業務の運営上いろいろと支障ができて参りました。特に広い北太平洋の中にたつた一点の測候所もないという状況でございまして、観測点がないために気象業務の上に非常に重大な支障を生じておりますので、それの補充の意味合い北方定点観測復活を三十年度において要求しておるわけでございます。洞爺丸事件が起りましてからその要求いたしたわけではございませんので、ただ洞爺丸事件関係ある事項といたしまして、国会方面におきまして北方定点復活の急務であるということは御指摘を受けておりますけれれども、その事件関連いたしましては、北方定点の問題のほかに、これの対策については別にいろいろと考えなければならぬところがあると思いますが、いずれにいたしましても北方定点の問題は洞爺丸事件によつてつたというわけではありませんので、この点は一応御了承願いたいと思います。  ロボットの数につきましていろいろ御指摘を受けましたが、県別に当つて行きまして大体数が合つておるように思います。県別の中身に若干狂いがございます程度で、総括的な数を申しますと、これまで三十八年度全国ロボツトを設置いたしましたのが三十一箇所、二十九年度で三十一箇所でございます。本年度におきましてはもちろんこれに必要なロボットその他のものを含めまして、それぞれ目下大蔵省にお願いをいたしておるような状況でございます。  それから最上開発につきましていろいろ御意見を承りましたが、最上川流域につきましても、総合開発の進展に伴いまして水利気象業務を開始しなければならないような段階に達したと思いましたので、この点につきましても大蔵省に所要の経費をお願いしております。  それから新庄に測候所が入り用だというようなお話でございましたが、大体御指摘通り、あの特殊他域に対しましては測候所の必要を認めまして、三十年度におきましてぜひ設置していただくようにお願いしております。  なお従前やつておられました気集観測点に対しましては山形測候所からいろいろデータの提供その他及ばずながらの応援ないたしております。その点も御了承願いたいと思います。  なお御質疑がありますればお答えいたしますが、大体概略御説明申し上げます。
  5. 岩尾一

    岩尾説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。御質問は、東北凶冷害につきまして大蔵省としてどういうふうに思うかということが主眼点で、なお具体的には最上川流域地区の盆地の凶冷対策について具体的にどういうふうに考えるか、こういうふうに拝聴いたしました。その点についてお答えいたしたいと思います。  一般的には凶作冷害等につきましての対策は、大蔵省におきまして農林予算を担当いたしております主計官が別におりますので、そこにおいて御説明をお聞き願いたいと思います。私は運輸省関係予算々担当しております関係におきまして、気象台、いわゆる予報という面から見て凶冷についてどういう対策考えておるかというふうな点からお話をいたしたいと思います。  ただいま先生のおつしやいました無線ロボット問題でありますとか、いろいろな観測所の問題があるわけでごさいますが、この問題が少しく整理いたして申し上げますと、気象台並びに大蔵省といたしましては、今水害対策水利対策農業災害というものを実は別個に考えておるわけでございます。そこで水害対策というのにとういうのであるかと申しますと、これは昨年、一昨年におきまして非常なる風水害がございましたので、それを契機全国におきましてそういつた水害の多いところにおきまして、既設の測候所以外にできるだけ多くの観測点を設けまして水害予報をやつたらどうか、こういう構想に立つておるわけでございます。規在大体日本におきまするところの気象測点というものは三百平方キロメートルに一測点くらいしかないわけでございますが、これをできるだけふやしまして、百平方キロメートルに一つくらいの測点にして行く、しかもそのふやし力は、今申しました水害の多いところに重点的にふやして行こうじやないか、こういう見地で実は計画を立てたわけでございます。そこで昭和二十八年の補正予算並びに昭和二十九年予算におきまして、今先生の申されたような地点自記雨量計あるいは長期雨計無線ロボットというようなものを設置して来たわけでございますが、その際の設置の仕方は、昭和二十六年から二十八年に至ります全国災害を土木、農業、漁港、港湾、治山、林道、都市というような画にそれぞれ集約いたしまして、その災害額全国県別順位をつけてみまして、そうしてその順位によつて、千平方キロメートルにおきまして最も被害の多いしところという順位、その順位によつて二千八年の補正予算から予算の許す範囲において入れて行くという考え方で入れて参つた次第であります。従いまして東北につきましては、今申しましたような水害災害というものが、大体われわれの方で査定いたしました案によりますと、全国順位は非常に低いわけでございまして、岩手が三十七番でございますが、その辺に入りましたので岩手は昨年やつたわけでございます。多少そういう点で順位水害関係中心に見て行つた場合にはずれておる、こういうことを御了承いただきたいと思います。  それから水利関係の問題につきましては、これは同じような水害関連があるわけでございますが、ダムをつくりました場合に、その上流におきまして雨が降つて、非常に芸がふえて来る場合は、水がふえたときにはとめて下え流れないようにする、あるいは水が少いときにはそれなうんと下え流してやるという調節なするためにダムサイト加報所々設けまして、川の上流にいろいろな観測地点を設けて、そのデータによりましてダムのドアを開閉して行こう、こういう構想水利構想でございます。そこでこういう構想で、大きな川につきましては、ダムができました際にはそのダムサイト中心にいろいろな観測地点を設け通報所を設ける、こういう形でやつております。この点は、昨年はたしか北上と利根川につきまして、ダムがたくさんございますので、特に重点的に配慮いたしたように記憶いたしております。そこで先生の申された問題は、今申しましたように、水審対策及び水利対策としての測点の増加の問題でございますので、直接凶冷害の問題として見ます場合には、別の見地から検討をしたくてはならないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  そこで凶冷対策についてはどういうことを考えておるかと申しますと、本年気象台の方からは、農業災害につきましてこれが対策の費用が要求されておるわけでございますが、その大要は、いわゆる長期予報のために通信施設を完備して、その長期予報態勢に基きまして、地方的な、たとえば特に東北及び北海道でございますが、東北及び北海道におきますところの測点を民間の方にも依頼してふやして行き、長期農業予報というものをやつて行こうじやないか、こういう構想予算でございます。  そこで一般的な凶冷の問題につきましては、これが予報二つの面から考努ができると思うのであります。一つは、基本的な長期予報がしつかりしなくてはならないという面と、もう一つは、具体的な非常に地域的に細分された部分の予報がしつかりしていなくちゃならぬ、この二つの点から考究なさるべざだと思います。先ほど気象台総務部長からもお話のありましたように、実は北方定点の問題は洞爺丸事件だけが契機ではなくて、気象台の方としても東北地方凶冷対策としてこれを打出して来ておるわけでもあるのでございます。と申しますわけは、先ほどお話申しましたように、現在北方におきましては全然測点がございませんので、北海洋上において一つの測点をふやすということは、長期の基本的な予報をしつかりさすために一つの意味を持つものであろう、そういう意味合いで、気象台の方からは、洞爺丸事件とは関係なしに、北方定点の再開が要求されておるわけでございます。  そこで今申しました一般的な予報態勢というものあるいは基本的な研究というもの、長期的な天気図を確保して行くためにはどうしたらいいかと申しますと、測点を増加することと、その測点の予報の精度を高めるということになると思います。そこでわれわれといたしましては、どういうふうにして行けば長期予報態勢が完備して行くかということないろいろ検討いたしておるわけでございます。たとえば北点の問題にいたしましても、実際に北方洋に測点を設けて船によつて観測して行くということになりますと、二十億程度予算がいる。二十九年度気象台の全予算が大体二十二億でございます。この場合に、二十二億でやっておる気象台予算に二十億の予算を一兆円のわく内でふやして行くということは、ほかの予算な削ることになりまして、そういうことは非常にむずかしいのではないか。そうすれば、そういつた金々つぎ込まないで、基本的な予報態勢々完備して行く方法はないだろうかと申しますと、いろいろな問題が出て来るわけでございますが、先ほど総務部長からおつしやつたように、いわゆる測候所を増加して行くとか、あるいは今年の予算に入れておりますように、世界各国通信をたくさんとりまして、それによつて長期天気図がしつかり描けるような通信施設を完備し、さらに地域的に、東北地方の測点境加のために民間にいろいろな観測を依頼する、そういうようなこともいろいろ考えられると思います。いずれにいたしましても、われわれといたしましては目下査定段階でございまして、決定的なことを申し上げる段階ではございませんが、予算というものは一種の隈界効率の問題でございまして、ある一定の金額がすでに入つておる。それに対してなお幾ばくかの金をかけたならば最も有効な効果を生むかということを中心に検討したければならないわけでございます。たくさん金をかければ、その結果が非常にいいということはよくわかつておるのでございますが、財政上の要求としてそうたくさんの金なかけられない。その場合に少い金でどれをやつたら一番有効であるかということを検討しなければならないと思います。そういう見地から北方定点の問題、測候所増設の問題、農業災害の問題、そういう問題をよく検討して御趣旨に沿うように努力してみたい、こう考えております。  それから具体的な最上地区の問題でございますが、この点も先ほど総務部長からお話がございましたように、今年の予算要求としては出ておるわけであります。これも相当たくさん測候所新設要求が出ておりますので、その中でどれを一番最初に取上げて行くかということでまたわれわれはジレイマに陥るわけでございますが、たとえば今申し上げました長期予報態勢を完備して行くという点から申しますと、非常に技術的た問題で、もし間違つておりましたら、専門家気象台の方がおられますから、御訂正願いたいと思いますが、現在の東北凶冷の問題は、オホーツク海上における高気圧が長くあすこに滞留するために、冷たい風が来る、これははやてという名前のものでございますが、これが凶冷の大きな原因をなしております。従つて今年ははやてが吹くかどうか、吹けばいつごろ吹くかという問題をよく検討すれば、凶冷予報一つのポイントになると思います。そういう点を見るためには、かりに北方定点がやれないとすれば、北海道の北端に測候所を置きまして、そこで流氷の調査をよく見れば、そういつた資料も集められるのではないかということも、考えられるわけでございます。その点も気象台としてはいろいろ検討の結果、測候所新設の――全国で八箇所くらいだつたと記憶しておりますが、要求が出ております。  東北につきましても二、三箇所の新設の要求が出ておつたと思いますが、それぞれそういつた問題につきまして、今私が申しましたような見地から、できるだけ検討を加えたいと思います。  現在ではこの程度しかお答えできないかと思います。
  6. 渡部伍良

    ○渡部説明員 最上地域総合開発関係して、その地域気象測定のお話でございます。ただいま気象台大蔵省からお話がありまして、むしろ私が説明するよりも専門的でありますが、農林省総合開発の点から言えば、当然そういうものが前提になつておるのでありまして、気象台の方にお願いしておるような次第であります。
  7. 松岡俊三

    松岡委員 東北冷害に対する農作物の問題について、ただいま大蔵省主計官から長期予報計画の問題が述べられたのでありますが、これについては東北六県の知事が非常に心配のあまりに、長期予報計を東北六県で東北六県の金を出して、今やつておる。これを政府でどう見るか。あの貧弱な、しばしば災害に見舞われておる東北六県が、やむにやまれずしてこのように長期予報計画を何とかしてというので金を出し合つてつている。これをどういうぐあいに御認識になるかということが一つ。  それからただいま渡部農林官房長のお話大蔵当局気象台お話がございましたが、われわれは繰返してお願いしておく次第であります。昨年の北上川総合開発に今のようなぐあいに測候所がどうしても必要だということになつて、日本中で初めて北上川総合開発測候所が坂上げられ、第二番目には最上総合開発、第三番目には秋田の阿仁の方面がなるだろうと思われる。この総合開発の必要なそもそもの根本は雪害問題から起つたことなんである。けての雪害問題が起つたことは、気象の方面の盲点から起つている。一冬にあれだけの雪が降り、他に類例な見ざる地域であつた。それを閑却しておつたからこそああいう問題が起つた。それを昨年の北上の総合開発には気象方面の必要を感じて設立された。今度の畑地改良の特別な新しい計画、これに対して万一気象方面がよくマツチするようなことがなかつたならば、これはわれわれとしては実に懸念にたえない。それで大蔵当局は特に気象関係ばかりじやなく、ただいま私が申し上げたようなぐあいに農業災害防止のための気象対策充実について――これは四年計画の後半に入つている、それがただ頭々出したのが昨年の北上総合開発気象関係である。それですから、この四年計画の後半における計画は、洞爺丸事件関係した北方定点のことは別個の問題だと気象当局が御説明されました。さようであろうと思いますが、大蔵当局が言われておる通りに、金をいかにすべきかという経費の問題が出て来ると、その間にあんばいが出て来る。ここにおいて、この重要なる問題が、そしてまた黙々として一毛作に終始し、しかも全国の食糧の供給源である東北冷害が、洞爺丸の突発事件のために犠牲にたるようなことがあつたならば容易ならぬことでありますから、私は加藤国務大臣に特にこの点に御関心な願いたいのであります。すでに四年計画の後半に達しておるのです。そこのところに今の問題が起つたのです。わざわざ北海道までお出かけくだすつて御苦労願つて、実情を親しく御視察くだすつたのでありますが、明治御一新以来津軽海峡をつつ走つて北海道に国力がよほどつぎ込まれて、ややとむすると東北が閑却されていた。しかも一たび北海道から津軽海峡を渡つてこつちへ来て、東北へ来、関東に来たならば、その差がどれくらいであるかということは何人も想像されるところであります。そういうぐあいに黙々として来た東北一毛作地である食糧供給源の大切なる東北、それの冷害、しかも四年計画の後半期に述しているときに、ただいまのような加藤国務大臣をお煩わしするようになつたのです。ただいまいかにも大切だがしかしたがら金の問題だという大蔵当局の御答弁がございましたが、私がただいま申し上げたように、東北六県の知事協議の上で、長期予報計画のために金を出しているということと、やむにや来れずして、一県に二つ測候所があるにかかわらず、観測の及びつかないような盲点最上総合開発地区に、しかも三十四箇町村がこぞつて私設の測候所をつくつてこの五箇年間金を出して来た。こういう熱意と必要度というものを、加藤国務大臣には御査定のときに特に東北のためによくよく御関心をいただきたいと思う次第でございます。私の質問はこれで終ります。
  8. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 天候の観測測候所の増設及びそれに関連すろ設備につきまして、それが災害冷害水害に非常に関係のあることは松岡君から熱心に述べられたところでありまして、私は深く傾聴いたしました。予算関係もありますが、ただいまの御熱意に対しましては深く考慮いたしたいと存じます。
  9. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 川俣君、吉川君より関連質問で先に申込みがありましたから、吉川君の次に願います。吉川君。
  10. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 気象台に簡潔にお伺いいたします。長期予報はどの程度までが可能であるか。これはおそらく過去の統計によることが必要だううと思うのですが、そういう統計はどの程度のものができているのか、まずそれを一点。  それから次に農業気象の問題でございますが、これは運輸省の所管に入つておるが、戦前は運輸省ではたかつたと思うのです。運輸省にまかせておきますと、この間の青函連絡船のようなああいう事故さえ起きておるのです。農業気象などは運輸省にまかせておいては不安のように思うのですが、あなたは実際その方を担当しておいでになつてその点についてどういうふうにお考えでございますか。  それからおそらく農林省関係局と十分連絡をとつておいでになると思いますが、その場合に、農林省はそれな都道府県にどのように連絡をし、そして指導をしておいでになりますか。実は十号台風については、青函連絡船のあの事故の際だけでなしに、その他の農業方面の被害を見ますと、この気象予報がきわめて不徹底であつたのでございますが、そのために対策が手遅れにたつて被害を非常に大ならしめておるという事実がございます。こういう問題等も今後憂慮されますので、その辺の農林省との連絡の関係農林省がそれを受けてどのようにその連絡、予報事項をこなしておるか、そういう点についてまずお答えを願いたい。
  11. 北村純一

    北村説明員 お答えを申し上げます。  まず最初に長期予報はどの程度まで可能か、こういうお話でございましたが、これは御答弁申し上げるのに非常に困難な問題だと思うのです。現在長期予報気象台でやつております。ただ長期予報が技術的に非常に困難でございまして、これは世界的共通の現象だと思うのですが、現在の長期予報の精度が短期予報に比べまして非常に劣つておるということは、残念ながら事実でございます。この精度を何とかしてもつと高めたいというふうに観点からいたしまして、三十年度から長期予報のやり力を一新するという意味合いで新しい予算を御要求申し上げておるような次第でございます。それでどの科度まで可能か、これは精度の問題でございますが、現在及ばずながら気象台の全能力をあげまして、できるだけの長期間にわたる予報を出しておるわけでございます。  それから次に農業気象関係から気象台の所管の問題についてお話がございました。気象台昭和十八年までは文部省に所属しておりました。それ以後運輸通信省、引続いて運輸省に所属しております。運輸省に所属しておるがゆえに青函の事故が起つたというふうな――これは何かのお言葉の間違いじやないかと思うのでありますが、私は、運輸省に所属しておるから青函のあの事故が起つたとは思いませんけれども、青函連絡船の事故が起りました際の気象台の措置が非常に完璧であつたというふうには申し上げませんので、気象台があの当時いろいろな設置をとるにつきまして、気象台の設備なりあるいはその他の点におきまして不十分な点がございまして、そのために若干不完全な措置をしたということは私ども考えるのでございますけれども、これは運輸省に所管されておつたということは直接関係がないと確信しております。文部省から運輸省に所管がえになりました理由は、おそらく当時の関係は、軍用の航空気象というふうな問題が中心であつたと思うのでございますけれども、その後日本におけるところの航空事業が壊滅いたしましたためには現在気象台が運輸省に所属しておりますものの、この動機となりました事情は若干薄れたような感じがいたします。けれども世界の気象台の所属官庁というものを現在調べてみますのに、大体新しい航空事業が発展しておるところ、いわば文明の程度の高いところにおきましては、航空関係に所属しておるのが一般の現象でございます。もちろん運輸省では海難防止のために、あるいは鉄道事故の防止のために、交通安全確保のための必要は非常にあるのでございますが、そういつた目的はもちろん産業に及ぼすところの災害の防除とか、産業興発のためへの貢献であるとか、その他一般の治山治水に関係いたしまするところの気象災害の防止、そういつたものみな気象台のそれぞれの使命の中に数えられますので、その使命自体には私はおそらく価値の差異はない、どれもみんな重要であつて、ゆるがせにできないものだと思うのでございます。特に交通だけが重要であるというふうには考えておりませんし、われわれが業務を執行して行きます上にも、決して力のあんばいは設らないようにしておるつもりであります。従いまして農林関係についての仕事につきましては、農林省とできるだけ緊密に連絡いたしまして、農林省の御意向も承つてその仕事をやる、こういうふうに措置しておるつもりでございますが、航空につきましては、航空の業務というものが安全確保と経済運航というふうな観点からいたしまして、航空気象業務の現業というものは時々刻々のこまかいデータ々非常にたくさん要します。従いまして現業業務というものを経営いたしますと、航空が盛んになればほとんど大半の労力を航空気象にとられるというのが実情でございまして、そこに集まるデータは非常に瀕繁で非常に数の多いものでございます。そこから抽出いたしまして統計をとるというふうな方法によりまして、大半の他の業務に対しましてもサービスができるというふうな傾向が出て参ります。おそらくこれが、世界各国が航空気象関係から航空事業関係あるところへ気象台を所風させておるところのゆえんではないか、こういうふうに考えております。従いまして現在は運輸省に所属しておりますけれども、運輸省に所属しておるがゆえに、農林省であるとか、あるいは建設省であるとか、そういつた方面に対寸る手配が足りないというふうたおしかりをこうむるようでございましたならば、私どもはいろいろお話な承つた上で十分改善して行きたいと思いますが、現在におきましては、自分たちの気持では、先ほど申し上げておりますように、農林関係のものにつきましても相当気を配つて予算要求をしておるつもりでございます。  それから台風十五号の際の連絡についてのお話でございましたが、私台風十五号のときのデータをここに持つて参りませんでしたので、どのように具体的に各地方へ御連絡申し上げたかということは御説明申し上げかねますが、私どものこれまで調べて参りましたところでは、大体各地の測候所が非常編成をしきまして仕事をやつてつた形跡は顕著でございますし、警報は、大体函館を例にいたしましても、台風がその勉に来ります約十二時間前には警報を出しております。これは注意報ではございませんで、ほんとうの警報を出しておりますので、県庁その他への連絡についても、特別の手落ちはなかつたのではないかというふうに考えております。なお詳細の点は、私はそこのところは、資料を持つておりませんので、まだあるいは具体的に手落ちがあつたところがあるかもしれませんが、そういう点があれば申訳ないと思いますが、私どもの手元にある資料では、そういうところはなかつたのではないかというふうに考えております。
  12. 渡部伍良

    ○渡部説明員 ただいま気象台の方からお話があつた通りでありまして、複雑な気象予報は、やはりそこの専門の組織設備でやらなければ、やつてもなかなかむずかしいのであります。農林省としましては、要するに結局気象予報を受けて、どういうふうな対策を講ずるかということを、過去の経験から、こういう場合にはこういう手配々する、こういう場合にはこういう手配をする、ということを研究いたしまして、それを農家に徹底させる、そしてあらかじめ対策を講ずるものは対策々講じておく、気象台から気象予報が出れば、現在でありますので一番早いラジオあるいは新聞等で、こういう予報の場合にはどういう措置なとるべきかということを、農林省の各機関あるいは都道府県あるいは市町村等を通じて受けて立つということが実情じやないかと思います。もつとこまかい資料を たとえば霜害であるとか、先ほど来いろいろ出ております特殊地方気象等、いろいろ問題がありますが、そういうものについて、こうしていただきたい、ああしていただきたいということは、過去の経験、あるいはこうあつてほしいというふうな点から、気象台に絶えず連絡しておるつもりであります。自然界のことで、データが全部つかめない、こういうところにこの予報のむずかしさあるいは対策のむずかしさがあるのであります。それからまた対策のいいのがあつても、たとえば霜が今晩おりるぞといつた場合に、桑の上に煙をかけても、十分煙がかからないとか、そういつたいろいろのむずかしい問題がありますので、十分徹底したことはできないのでありますが、これらはくふうをこらして、気象台予報に応じて対策をやるのが農林省の務めで、気象台が現在運輸省にあるから、それによつて支障々来しておる、こういうふうには考えておりません。むしろもつと気象予報を利用する方で気象台にいろいろな注文をつけ、それによつてくふうすべきところをくふうして行かなければならぬ、こういうふうに考えております。
  13. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 いや、私の尋ね方では渡部官房長にはちよつと答えられないです。それは聞き方が悪いより、内容が答えられないのです。ということは、気象台から農林省に一々そのときどき連絡はしてないのですから、あなたのところはそれを受取つて、各都道府県に流すということはないのです。それからまたそんな職員もいないし、そして毎日役所へ出て来てその方を担当しておるという人もいないのですから……。気象は刻々にかわる。言われる通りの自然現象ですから、それはやつていないのです。やつてあるであろうと思うのは指導の問題です。どういう気象予報があつた場合に、どういう対策をとれという、そういう予報に対する指導の問題だと思うのですが、そういう指導の仕力に欠くるところなきやということを私は聞いている。従つて煙を立てるとか、そのためには重油をたくとか、まきをたくとか、そういう防除の仕方に対して、農林省は何も配慮してない。その一つ々見ただけでも、農林省はいかにこの農業気象の問題に熱意が欠けているかわかる。だから、そういう点に一体多少でも配慮をしたことがあるかどうなのか、こういうことを伺つているわけなんです。  それから、この気象統計の問題ですが、私の近くから昔の天気博士と言われた藤原さんが出ていられたのです。藤原さんが四年前なくなられるときに、昭和二十八年、九年の天候異変の予報を諏訪湖の神渡りの氷の張り方で予言をしていられるのです。そのあとを荒川博士が続いて研究をされているということを聞いておりますが、そういつたような今の日本の気象科学の点から行けば、長期予報については私は統計以外にたよるところはないのじやたいかと思うのです。そういう点についての検討が十分なされていたいのじやないかと思うのです。そういう点をやつているのかどうか、今後やるような予算的な措置をとろうとしているのかどうなのか、その点だけをお答え願いたい。
  14. 渡部伍良

    ○渡部説明員 私は今吉川先生が言われたようなつもりでお答えしたつもりなんです。つまり気象通報が流れて来たときに、それに対してどういう対策を構ずべきかという準備を農林省が受持つべきじやないか、ところがそれがなかなかむずかしいということを申し上げたつもりであります。防除対策の具体的なことについてはいろいろ検討しておりますし、また今後大いにやらなければいかぬと考えておりますが、ながながむずかしいのであります。しかし長期的に見て冷害対策に対する品種をどうするとか、あるいは栽培方法に対して温冷床を使うとか、あるいは肥料のやり方をどうするとか、水のかけひをどうするとか、そういうことは長期的には行つているのですが、たとえば暴風警報が出た場合に、それの防除対策をどうする、あるいは霜の警報が出た場合に、それを一時に広い範囲にどうして処置するか、そういうことについてはいろいろ研究しているけれども、まだいい対策が講ぜられない、こういうことを申し上げたつもりであります。かりに助成金を組んでも、はたして実行できるかどうか、こういう問題で悩んでおります。
  15. 北村純一

    北村説明員 ただいま長期予報についてお話がございましたが、お話通り長期予報には過去の気象あるいは海象の資料を収集整理しまして、気象の基礎となるところの条件をどうしても把握しなければならぬと思います。その重要性についてはよくわかります。従つてこれまで測候所においても、それぞれ自分の手元の資料をできるだけ整理して参つたのでございますが、非常にたくさんのデータがあります上に、その整理にもつぱらそろばんと人手でやつたようなかつこうでありまして、作業がながく進捗しないということで非常に困つておりましたので、昭和二十六年だつたと思うのですが、あるいは七年かもしれませんが、最初機械統計を利用いたしまして、現在過去の資料々集計する作業を進捗させるように努めております。何しろ日本の資料だけでも約八十年分の全国の資料を持つておりまして、これが非常にこまかいデータまでありますので、なかなか容易なことには完成しないと思いますが、特に本年度予算でもつて要求申し上げたいと思つております。長期予報業務なさらに一段と進展させるためには、この統計の進捗が絶対必要でございますので、その点はこの長期予報の刷新の業務の一環といたしまして経費な計上して、御要求申し上げておるということであります。それによつて得ましたところの諸条件と、それから地球全体の気象の変換の態勢なつかみまして、それによりまして今後の天気予報、特に長期予報な実施したいと思いますか、そういうような意味合いでは、現在の短期予報をやるためにはどうしても北半球、しかも日本の西側のヨーロツパあたりまでも重点にいたしまして気象データをつかんでおるわけであります。地球全体の動きをつかんで長期予報をやるということになりますと、日本からいえば裏側に当るところのロンドンとかニユーヨークとかいう大西洋方面の資料までも完全に把握いたしまして、地球全体の動きを握つて、それと過去の資料をにらみ合せまして長期予報を実施したいと思いますので、今年の長期予報予算はそういう二点を重点にいたしまして御要求しておる、こういうことにたつております。
  16. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 岩尾主計官にお尋ねいたしますが、今お聞きのようなわけで、気象観測農林省対策がむずかしくてちよつとお答えできませんというようなはなはだ不満足なお答えしかできないのですよ、あなたの先ほどの松岡委員に対する御答弁はまさに局長級の御答弁でございましたが、私は非常に意を強うするのです。未然に災害を防除して、そしてできるだけ農業生産な確保するということでなければならぬ、一兆億の予算な越えてはならない、それでは低物価政策、デフレ政策はできないのだということでなく、そんな一兆ということにとらわれなくとも、生産さえ上れば低物価政策はできるのですよ。物を生産するということ々考えないで、ただ金触の面で、財政の面で押えて行くという、そういう片寄つたものの行き方は必ず反動の来ることを考えなければならないので、そういう点を十分ひとつ留意してもらいたい、この点についてあなたはどういう態度でこの予算査定に当られるか、あなたの考え方を聞いておきます。
  17. 岩尾一

    岩尾説明員 ただいまの吉川先生の御質問にお答えいたします。私は今御質問を聞いておりまして、実は吉川先生の御説にはまつたく同感でございます。特に気象の問題が、気象自体の制度の問題よりもその気象予報というものをいかに利用して災害の予防に当てるかという点の方がむしろ問題ではないかという御意見、さらには地域的の予報につきましては、統計をよく整理いたしまして、その統計によつてあるデータを出して行こうという御意見にはまつたく同感でございます。ただいま気象台の方からもお話がございましたが、私は現在気象台のやつておる予報がそうひどく違つておるとは思わないのです。また予算をこれに入れましても、それによつて現在気象台がやつておるところの三日あとには何メートルの台風が来るだろうという予報がさらにもつと正確なものになるかということは、これはなかなか保しがたい、むしろ現在では、現在やつておるところの気象台予報自体をどう末端に受入れて、そしてそれを災害防止に有効に使つて行くかということの方が大切ではないか、その意味合いでたとえば気象台からの下部機関に対しまする無線の問題、あるいは都動府県におきまするところのそういつた予報を受けたあとの災害防止態勢というような点にできるだけ配慮いたまして今年は予算を組んでみたい、私はこういうふうに考えております。  それから統計の問題につきましては先ほどから申されましたように、ある意味で基本的な要素を集めた天気図を描くとともに、それを地方的に具体性を持たせるためには、その地方の統計というものを集めて行かないといけないと思うのでございます。この点はわれわれとしても、できるだけそういうふうに府県あたりで御協力を願つて地域的な従来の統計が整備されて、それがまた測候所に反映されて行くことが最も望ましい、こう考えておるわけでございます。現在はその点については具体的な施策は特に持つておりませんけれども、そういう点が今後の気象台の運営についての大きなポイントであることは疑いのないところであろうと考えております。  それから一兆円の予算の問題でございますが、この点は私のような弱輩がお答えするのはかえつてどうかと思いますけれども、もとより一兆というのは一つの相言葉のようなことになつております。従つてわれわれも何か言う場合にはすぐ一兆ということを申すわけでございますが、この一兆ということは何もこれにとらわれるということではございませんので、現在の基本的な考え方は、できるだけデフレ政策な推進して、ある時期まで来るならば、それから拡大生産の方に持つて行こうというような考え方が基本になつて出ておる一兆でございますので、一兆というその数字自体にはとらわれないで、有効な施策はできるだけ取入れて行きたい、こういうふうに考えております。
  18. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 川俣君。簡単にお願いいたします。
  19. 川俣清音

    ○川俣委員 今大蔵省主計官答弁の中に、ちよつと聞き捨てならない言葉を発見したのです。これは私は言葉じりじやたいと思うので、この際明らかにしておきたいと思います。それはこの降雨量の測定にあたつてロボツト測定器の配置等は水害被害高のデータをもつて行政区域ごとに分類してやつたのだということで、得々とその算出基礎な明らかにいたしまして雄弁を振われたのです。私はこういう頭で大蔵省がおるのじやないかと思つておったところその通り答弁されたので、これは聞き捨てたらない、こういうことなんです。雨量というようなものは行政区域に関係なく降るのです。これは見落してはならないのです。同じ雨が降りましても、これは川の整備状態のいかん、または山の整備状態のいかん、あるいは針葉樹等森林分布状態のいかんによつて水害が起る。雨が多く降つたから水併が起つたので測定器が必要だというような、大蔵省があまりにも机上的な見方をされておる結果こういうことが起つて来ると思うのです。一体大蔵省というものは、日本の産業経済地理というものを考えて配分しなければならないのに、被害高でロボツトを配置したなどと言われ、データデータデータばかり尊重されて、データの出る基礎というものについては予算を削減した結果、正しいデータが出て来ないようたことをしておつてデータデータと言われておる。やはりデータを尊重するならば、データの出るようた基礎なはつきりしておいて、しかる後データを尊重しなければならないと私は思うのです。従つてこれは大きな山であるとか、山の南面に降るけれども北面に降らない場合がある。あるいは同じ雨が降りましても大河川に注ぐ場合と、小河川でとどまる場合と、早く海へ注ぐ場合と注がない場合とは違つて来るのです。こういうことが十分検討されておりませんから、今の電力会社等は最初の既定計画通りの電力の出力がない、埋まつて低下して来ているのです。失礼ですが大蔵省はそういうことをお知りにならないのです。おそらく一年前にできた貯水池で半分の出力を出しているところはないでしよう。そういうところもありますよ。みんな莫大な金をつぎ込んでダムをつくつていながら、半分埋まつてしまつて、既定計画の出力が出ていたいのじやないですか。まつたくこれはむだな金なつぎ込んでしまつておる。山に対する認識、雨に対する認識、雨がどういうようにして保有されておるかというような認識を持たないから、こういう配置を考える。災害が起きたらば起きた場所に必要だ、そうじやないのです。山の上に降る場合もあるし、里に降る場合もある。この山の上には降るのか、あるいは南面に降るのか、北面に降るのかという測定があつて、これが何年か続いて初めて参考になるデータが生れて来るのであつて水害が起きたところにだけ置いたからといつて、決してこれは生れて来やしないのです。これは川によつて県がわかれている場合もありましようし、山によつて県がわかれている場合もありましようし、あるいは川が半分県が違つている場合もありましよう。右岸、左岸によつて県がわかれている場合もありましよう。あるいは川を中断いたしまして、たとえば信濃川の上流にたりますと長野県で、そこから出発して新潟県に入るということもある。行政上区域通りに川は流れていないのです。行政区域通りに山は配置されていないのです。従つて行政区域的に算出したなんというものがデータだということで予算を組むというようなことが間違いであつて、どうしたたらば日本の正確な雨量をつかむことができるかということにを置かなければならないと私は考える重点けれども、あなたはどう考えるか。
  20. 岩尾一

    岩尾説明員 先ほど申し上げました水害に対しますロボツトその他の測点増加についての算定の考え方でございますが、今おつしやいましたように私もいわゆる降水量だけでそういつたものがきまるとは考えておりません。少し言葉が足りませんでございましたが、県別に見ましたのは、県の内部におきます共体的な測点の設羅の箇所につきましては、今申されましたように川の状況でありますとか、あるいは降雨の状況でありますとか、山の状況でありますとか、そういうものをよく見まして具体的に決定をするのでございますが、考え方として、どの地方に大体ことしはたくさんの測点な設置したらいいだろうかという目途を得るためにはいろいろなデータがあるかと存じますが、われわれといたしましては、できれば一年間にこれを一全部つくりたいのでございますけれども、そういうこともできませんので、かりに三年ないし四年計画で行くとするならば、県としてはどの辺を選んだらよかろうか、それをつくります場合に先ほど申しましたように大体五、六年問の被害額を中心順位なつけます。さらに今度は降水量につきましても順位をつけます。そういつたことをやりまして大体の見当をつけて、なお具体的にその川についてどこに測点な置くかということは、その土地の地理に従つて具体的に決定して行こう、こういう考え方で、気象台と相談をいたしてきめております。
  21. 川俣清音

    ○川俣委員 それは逆なんです。予算の配分から行きまして、重点的な配分をしたければならぬ、その点は認めます。ところが水害被害額を重点にして、その次に地理的なことを条件にするのは剛違いたんです。日本の産業地理的な観点に立つてどこに必要かということを考える。その順序は水害が起きたところの順序にやるというならわかります。全然進うじやないですか。どこに必要かということは水害が起つたところに必要なのではないのです。日本の産業地理的に見てどこに必要かということな考える。その配分は水害の起つた方面から――九州の方面からとか、あるいは中国方面からというのならこれは話がわかります。産業地理的な観念を持たないで水害が起きたところなんという考え方を持つから、ほんとうの測候所の期待するような、気象台または林野庁が期待するようた測定器の設置場所ができていない、こういうことを指摘したいのです。これ以上言つたつておそらくなかなかむずかしいだろうから、これで終つておきます。  第二点として、そういう考え方から、これは吉川委員が指摘されました点に関連いたしますが、今運輸省にあることによつてちつともお困りにならないということですが、私には大いに不満なのです。別にあることが悪いとは言いませんけれども、航空気象というものはかなり重要な地位を占めるものでありまして、これは航空方面から来るところのデータが基礎にならなければなりませんから、私もあえては言わないのです。しかし今の日本の政治機構から見ますと、運輸省にありますことが気象台として、予算獲得と申しますか、日本の国政全体から見て正常た予算、配分ができるかというと、日本の今の機構ではなかなかできそうもないところに憂にがあるのです。あなたはそんなことはないと言うが、北方定点というこの重要なものは今まで認められていないじやありませんか。これでもちやんと認められておつたならば、たかが運輸省にあつたって、この通りりつぱにやつておりますということを大言壮語できるかもしれないが、あの北方定点さえ今は廃止されておる、それでもって、これで満足でございますということな、あなた方気象台としてそんなことが言えますか、おそらくそうは一言いたいのだけれども、この際は忍んでそれをおつしやらなかつたものと私は想像します。それで私は、迎輸省にあつたつてかまわないと思うのです。それが十分に理解されて、北方定点あたりも廃止されたいようにしてもらえるならば、運輸省にあつたつてけつこうたんです。どこにあつたつていいのです。しかしながら予算の編成からいつて大蔵省がどうも運輸省に出すというと、そろばん高い運輸省として、ああいう大疑獄事件が起るような、そういうもうけ仕事のところにくつついておつて損するような機関があるのですから、どうしても度外視されるのじやないかという不安があるのです。問題はそこなすです。その点たんです。あなたが言われる通り、一体世界的に見てどこに所属したらいいかと言えば、運輸省に所属した方がいい、こういうふうに思います。しかし運輸省は一体そこまで理解しておるかどうかという点になるとまことに心細いのです。ことに先般林野庁の嘱託の青木航空機が墜落ないたしましたが、あれはSOSを打つて、アメリカ軍にそれが伝わつておるはずなんです。それを日本側には少しも伝えていないような状態なんです。従つてそういうところから見ると、航空に関係のある気象といつたものをあなた方としては十分に考えておられるかもしれぬけれども、一体全部とつておるかないかというと疑問なんです。これはあまり大きな声では言えませんけれども、確かに航空気象というものと気象台というものは不可分の関係にあるのだから、運輸省にあることにはあえて私も反対ではないけれども、そういうことでは農業気象につきましても、海上気象にいたしましても、航空気象にいたしましても、こういう損するような機関だと決してお考えにならないで、これが将来の日本の基礎を築くのだという勇敢な態度で前進できないいものかどうかという点を気象台にお伺いし、また、大蔵省にもこの点々お尋ねしておきます。
  22. 北村純一

    北村説明員 ただいまいろいろ御意見な拝聴したわけでございますが、はなはだお言葉を返すようで非常に申訳ないのでありますけれども、これは先ほど御説明申し上げましたように、たとい運輸省に所属しておりましても、疑獄事件とは全然関係がないと思いますし、私らの仕事をやる上におきまして、運輸省の熱意が足りないというような点な私どもは実際には考えておりません。運輸省の本省の方にいろいろ御支援を願いまして、自分らの仕事をやつておるわけであります。それかといつて、運輸省の本省が所管しておりますところの運輸山交通の仕事だけに偏しまして自分たちの業務を運営するというふうな考え方は、全然持つておりません。建設省に限らず、農林省に限らず、あるいは文部省であるとか厚生省であるとか、非常に多方面にわれわれの仕事が関連しておることは確かでございまして、われわれが運輸省専属の気象業務をやつておるというような考えは全然持つておりません。そういう意味合いで、現在私どもがやつておりますところの業務が、もし運輸省の所管事項のみに偏しておつて非常にやり方が悪いじやないかというふうな点がありますれば、御指摘を受けましてそういうことは絶えず改めて行きたいと思いますが、そういうわけで私どもは運輸省に所属しておりますための弊害が発生しそうな場合におきましては、虚心坦懐にできるだけ排除して行きたいと思います。運輸省に所属しておるがために自分たちの仕事ができたいというふうな考え方はちよつと……。
  23. 川俣清音

    ○川俣委員 それならどうです。北方定点は削られたじやないですか。それでいいのですか。
  24. 北村純一

    北村説明員 北方定点につきまして御説明申し上げます。北方定点は、実はアメリカとの行政協定あるいはその前から引続いてアメリカの命令によりまして、日本が南北両定点におきまして気象観測継続して参つたのでございます。昨年突如アメリカ軍から、これまで分担しておりました四分の三の経費の負担の打切りを申し出られましたので、その機会にこれをやめたわけでございます。それをやめました善後措置といたしまして、両方の定点観測を実施いたしますにつきましては、従前の観測船では危険でございまして、中央気象台が責任を持つてこの観測継続することができないと考えました。従いましてそういう観点からアメリカ軍に対しまして、米国政府に対しまして、外交交渉を通じまして、日本は行政協定があつても現在の観測船によりましては、北点は、昨年の十二月、冬期におきまする観測継続は実施できない、それで新しい船艇を供給してもらいたいということを要求しておつたわけでございまして、そういうときでございますので、急に補助金の打切りを申し出られました際に、日本政府において当時三十三億と考えておりましたが、両定点の観測船を建造してもらうということが当時の財政状況から困難ではないか。これはいろいろ大蔵省と御相談を申し上げたのですが、そういう情勢で非常に困難だということでございましたので、南方定点を半年に制限いたしまして、北点は今申し上げたようにあきらめた次第でございます。(「それがだらしがないのだ」と呼ぶ者おり)そこでそれがだらしがないというお話でございます。まことにだらしがないかもしれませんが、これは運輸省に所属しておるためにそういうふうな決意をいたしたわけではございませんで、中央気象台長が責任を持つて一応これ々打切りまして、現在の船でやって行くということは困難でございますから、新しい船のできるときまでこの観測を中止した、こういう経過になつておる次第でございます。(吉川(久)委員「運輸省の協力を得るのではなくて、運輸省自体の問題なんです。別の機関ではない。運輸省自体にある。」と呼ぶ)私どもは運輸省それ自体だと考えておりますが、先ほどから、運輸省に所属しておるからというので、運輸省を別の対象してのお話のように受取りましたので、非常に言葉が足りなかつたかもしれませんが、私どもは運輸省それ自体でございまして、運輸省自体が運輸交通以外に気象の業務について責任を持つておるところの官庁だというふうに考えるわけであります。
  25. 岩尾一

    岩尾説明員 大蔵省といたしましては、気象台が運輸省に所風するがゆえに、それらの要求に対して過小評価をするとかあるいは過大評価をするとかいうことはございません。
  26. 川俣清音

    ○川俣委員 もう一点だけです。運輸省に所属するかしないからとかいうことではないのです。一体運輸省に所属しておるから、あなたの査定が第一になつているのです。こんなものは事務官が査定なやるべき事項ではない。大臣みずからやるべきなんです。ここに加藤国務大臣もおられますが、おそらく加藤国務大臣つたら、そんた属僚どもにはまかせておらず、おれがやるといつて引受けられますよ、おそらくそうなるだろうと思う。こういう重要な点は、――これは気象台北方定点なんかいらないと言うたら別です。入用だ、入用だけれども船が悪くて行けたいからと言うので、私はお伺いしておる。こういう重要な問題は事務官や主計官にまかすべきものじやないのです。査定外の問題であつて、やはり政治的に大臣にまかせるとか次官にまかせるべき問題だと思う。しかも外交にも影響する問題じやありませんか。それを、これはおれの管轄だという考え方が運輸省にあるからそういう考え方をするのです。もしもこれが加藤国務大臣だとか農林省つたら、そんた考え方はさせませんよ。小さな点は確かに大臣は一々見ておられないから、あなたの手を経て審査をやられることは必要でしようけれども、こういう重要な問題は、私がみずから解決すべき問題ではなくて、閣議においてきめてたいたいということを大蔵省の事務官が言うのがこれが本当の政治なんです。これは私の手に余り手と言うのがほんとうなんです。予算があるかないかの問題じやない。こういう事外交にも関するような大きな問題は、大蔵省の事務的な処理でやるべき問題じやないのです。私はこの点を指摘しているのです。そういうことが運輸省にあるからそういうだらしのないことになるのじやないかと指摘しているのです。別に運輸省にあるから農林統計をやらないとか、あるいは建設関係の資料なやらないとかそんなけちなことを言つていやしません。そんなことを気象台がやつておられるとは思いません。良識のある気象台の人々がへんばなことをやつているとは私は思わない。その良識に基いた予算がとれているかとれていたいかということな私は問題にしている。学者的良心の満足するような予算がとれているかいないかということを言つているのです。学者的良心を満すに足るようになつているかいないか、これだけです。気象台答弁を求めます。
  27. 北村純一

    北村説明員 気象台がやりたい仕事は非常にたくさんございます。財政とかそういう点を全然無視しまして、気象台計画を出しますれば、おそらく厖大な予算要求になると思うのでございますが、気象台の過去に持つて参りましたいろいろな基礎的な条件、たとえば人員の能力とか科学の発達の程度とか、そういうようなものを総合勘案いたしますと、やはり財政問題を離れましても、実際の予算要求につきまして順序を踏まなければならないような情勢もございます。いろいろな要求な勘案いたしまして相談いたしました結果、自分たちの手によつて実行できるもので、しかもどうしても早くやらなければならぬ緊急性のあるものから順次大蔵省へ御要求申し上げるというふうなことをやつておる次第でございます。もちろん大蔵省に御要求したものが全額そのままうのみにされたということは過去においてございませんけれども、おそらくどこの官庁におきましても若干財政によるところの制約な受けることはやむを得ない当然のことだと想いますので、いろいろ折衝いたしまして、本年度においてはこの朴度でがまんしなければならぬというところで妥協いたしまして予算要求いたして編成していただいているわけでございます。
  28. 岩尾一

    岩尾説明員 ただいまの御質問は、北点のような重要な問題は大臣の決定すべきところではないか、事務官僚のやるべきことではないというお話のように承りました。私ももちろんそうだと思います。あらゆる予算の問題は大臣がすべてこれを決裁されるわけでございまして、私の申し上げておりますのは、事務的段階におきます作業においてわれわれは運輸省が非常に悪い官庁だからということは考えておらないということを申し上げたわけでございます。
  29. 川俣清音

    ○川俣委員 それでいいことにして私の質問は一応終ります。
  30. 佐藤洋之助

  31. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 ただいま気象の問題につきまして皆様から非常に熱心なる御意見の御発表がありました。私も今後これに対しまして非常な関心を持ちたいと思います。気象の問題につきましては、私は全然しろうとでございますが、中共の気象の連絡がないのをすこぶる遺憾に存じております。このごろ文化人があちらを訪問いたしました節に、この話を持ち込ましたのでございますが、中共はいろいろの関係がありまして、連絡をとりませんことはまことに遺憾でございます。その事情もこまかく申し上げますれば、私もわかつておることでございますが、とにかく運輸省といたしましては、今の機構におきましてもあらゆる手段を講じて、御期待に沿うまでには行かぬかもしれぬが、努力させるつもりでおります。今後予算の問題については、財政上の問題もありますが、ただいま御意見を承りましたし、私も重大な関心を将来払いたいと思います。  この際、私は北海道へ参りましたから、そのことの状況の大略及び災害に対してどうしたらばよかろうかという大まかなものなまとめるとまでは行きませんか、草稿をまとめましたからこれを御報告いたして皆様の御協力な一お願いいたしたいと存じます。  去る二月二日から二十七日までの六日間にわたり、災害連絡本部長として北海道各地の冷害と、台風災雷の状況々を視察しまして、陳情も聞くとともに親しくお見舞を申し、対策について政府の意のあるところを説明いたしまして、復旧再建を激励して参つた次第でございます。見て参りましたのは石狩、後志、空地、上川、留萠、網走、渡島、胆振の八箇支庁管内であるのであります。被害状況及び陳情事項の詳細を申し上げることはこの際必要もないと思いますので、特に感じた点だけを申し上げることといたします。  まず第一は、昨年の冷害不作に次ぐ今年の冷害、台風による凶作で、加域的に程度の差はありますが、空地、留萌、上川、網走支庁管内は、特に冷害の被宵がひどくて、局部的には稲作の収穫皆無というところもありまして、予想以上の被害に、驚いた次第でございます。  次に大火のために一夜にして三千有余戸の住宅を焼きました岩内町の復旧は、もちろん容易な仕事ではありませんが、区画整理事業の進捗と相並びまして、被害者の自力によろ住宅建設も着々進んでおり、自力回復の意気の盛んなのに私は意を強くいたした次第であります。小学校の教室に応急収容されておる十余の世帯、その他住宅のない被害者の住宅問題と、漁業水産加工業等の再建による生活安定が最も緊急課題であると思います。住宅といたしましては、すでに完成した災得救助法による応急仮説住宅が二百戸、北海道庁が今年度分といたしまして実施する公営住宅の二百戸、町が建設する町営住宅、被災者の自力建設の住宅、これは現在約三百戸、火災保険金を充当して被災者が建設する住宅、さらにまた往宅金融公庫による融資住宅等各種の住宅建設によつて当面の緊急課題は大体解決できると思われますし、また解決しなければならないと思つております。なお岩内町に限りませんが、漁船、漁共に被害を受けた漁業の復旧再建のために、早急な復日資金の融資について特別の措置をとる必要があると思います。  第三に、道、支庁、市町村関係者の要望陳情のうち、最も強い主たることを申し上げますと、被災者に現金収入を与えるために救農土木事業を実施してもらいたいということであります、また常農資金、漁業着業資金の融資に特別の措置を講じてもらいたい。災害対策費の緊急需要と税収減とによる資金の遍迫を救済するために財政経理資金のつなぎ融資をしてもらいたい、これはとりあえず交付税交付な見返りのつなぎ融資といたしまして、現に道に二億、市町村に一億すでに出しておりまするが、さらに追加融資を要望しておるわけであります。そのほかに台風災害に伴う住宅復旧対策、開拓入植施設の復旧対策、国有林風倒木の払下げその他いろいろありましたが、これは一応省略いたします。  なお私は、日程の大半を終えましたる去る二十五日夕刻道庁で、巧遅よりも拙速なたつとぶの意味で対策の大綱を発表いたしました。この対策の事項につきましては、ここに私から申し上げる前に皆様に御配付いたしてあることであると存じまするがゆえに、これは略さしていただきます。  私は災害地におきまして自力復興の煮気盛んなるを見て喜ばしく存じました。私としても、自力復興の熱意のあるところ政府の援助また熱意あり、また期待できるのであります。政府としましては、財政の許す限り復旧に援助の手を差処べたいと存ずる次第であります。昨日は連絡本部の会議を開きまして、いろいろ新情熱に基く協議をいたしました。今後なおいろいろ困難な問題があることと存じまするがゆえに、皆様の御協力をお願いいたす次第でございます。一応大略、以上御報告申し上げます。
  32. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 この際質疑の通告がありますからこれを順次許可いたします。芳賀貢君。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま加藤本部長から北海道調査の御報告がなされましたが、二十二日から二十七日にかけまして北海道の広汎な地域をよく調査されたということに対しましては敬意を表するものであります。当然加藤本部長といたしましては、北海道調査行つたからして北海道だけの対策を立てるということではないと思います。結局全国的に多発したところの台風災害あるいは冷害等全体の施策々災害対策連絡本部を通じて確定する、しかもこれは政府の責任において行うというところに大きな任務があると考えますが、問題は、北海道における災害調査されたことによつて、たまたま政府当局においては、昨年の災害はともすると政治的な災害であつた、府県が実際の災害を過大に評価して、それを中央の施策に依存したということから、何か意図的に政治的な含みのある災害であつたというようなことを政府みずからが批判して、今年度の場合においてもまたそうでないかというような印象をまず持つてつたように私たちは考えるわけであります。それで、結局大臣が現地を視察されたということは、政府自身がそういうような疑惑な持つてつた点が、現地を踏査されたことによつて明快になつたと私は考えろのであります。政府の各主管当局調査し、あるいは道庁、県庁等が災害の状態を中央に報告して緊急なる施策を求めておるという、その実態というものが非常に過大に歪曲されて報告され、要請されておつたか、そうでなくて、現地に行つたところが、災害の様相というものはほんとうにその通りであつたというようなことになつてつたか、その点の判断においては、今度の対策な立てる場合において非常に重要な御視察であつたと私は考えるのであります。それで、ただいまの御報告に上りましても、また先般の保利農林大臣を通じての御報告によつても、予想しておつたよりも、現地に行つて見た場合において、その災害の度合いが深刻であつたという御報告がなされておるわけでありますが、そういたしますと、今年度災害というものは、現地において報告されておる災方の実態というものが、それは決して過大なものであつたり、架空なものでなかつたということを身をもつて確認されたというふうに私は理解したいのでありますが、その点に対する御判断はいかがでございますか。
  34. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私が現地を視察いたしましたのは、すでに専門及び各責任君が災害地等にただちに行つておりますし、また農産物に対しましては保利機林大臣が行つておりますので、私が屋上屋を架するような感じもいたしまするが、私は昨年の災害が全部水増しであり、過大のものであつたと思うものではございませんが、一部にありました。しかし私が今度参りましたのは、そういう水増しがあるかないかというようなことを見る目的ではないのでありまして、親しく本部長といたしまして一応お見舞々申し上げ、かつまた全国各恥をできるだけ私も見て参つて災害対策の均衡をとらなければならぬ、こう思つて参りましたわけでございます。それで、今まで報告されたのがその通りであつたとか、過大であるとかないとかいう意味は、また専門家をして調査させる、また報告をまつことといたしまして、私がごく大局的に見てどうするかということの判断のために伺つた次第でございます。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀委員 お伺いしたいのは、今本部長の御報告の中に、想像したよりも災方の度合いが現地に行つてみた場合ひどかつたということを言われておつたのです。ですから、中央においてあらかじめ察知されておつたような事態よりも、現地に行つた場合の方が深刻であつたということは、率直にお認めになつたと私は聞いておつたわけでありますが、その点はいかがでありますか。
  36. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 場所々々によりましていろいろ違いますが、大体において大観的に私が、しろうとがこちらで思つておりましたよりは深刻であつた、こう思うのであります。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は率直にお認めになつておるようでありますが、それでお伺いしたい点は、今の御報告の中にありましたが、時期的に緊急を要する事項が非常に多いと思うのであります。それで以前加藤国務大臣は当委員会において、今次の災害対策に対してはこのためにことさらに臨時国会を開いて対処する必要はないと思うということを前提されておるわけであります。この点に対しましては、いまだに政府はいつ臨時国会の召集を決意するかということは、われわれとしては予測できないわけでありますが、かかる寛大な被害の中において、漫然として臨時国会がいつ開かれるかわからぬというような事態というのは、これは非常に無責任な態度であるというふうに考えるのでありますが、この災害対策のために臨時国会の召集をすみやかになさるべきであるというようなお考えは持たれましたか、その点をお伺いします。
  38. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 これは先般の委員会のときにも申し上げました通り、政府は漫然として、この災害に手々下すことなく見ておるというようなことは、ございません政府としてはできる範囲におきまして、いわゆるつなぎ資金とか緊急の措置は――もちろん現地の方から見ますれば十分でないかもしれませんが、決して手をこまねいて見ておるということはないのでございます。ことに私が聞くところによりますと、昨年はちようど国会が開会中、でありましたがゆえにあれは救農国会という名が打たれたのでありまして、そうしてただちにいろいろ審議されたのでありまするが、実際予算上の措置をするにはさらに専門家がいろいろ査定もしなければなりませんので、あの予算が成立いたしましたのはしばらく後のことであつた、かように私は思つております。ことに臨時国会はすでに議員の方から請求もありますし、もうそう遠くないことでありまするがゆえに、それまではつなぎ資金等あらゆる措置をとりまして、臨時国会が開かれるときに、なるべくすみやかにそれらの立法措置をせなければなりませんものは提出いたすつもりでおります。りてれでただいまのところでは、このためにただ国会を開きましても、ごくくだけたことで申しますれば、店開きをいたしましても、さて何などうするかということではいかがか、こう思いまして、ことにこういう委員会において、国民の代表の皆様のいろいろな御意見を拝聴し、政府としては臨時応急の措置はとり得るのでございますので、まずただいまのところでは、臨時国会が近く開かれるまで開くという考えは持つておらないのであります。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま昨年の救農国会は、旧会の開会中であつたからたまたまその国会で農業関係災害問題を取上げたので、いわゆる救農国会であつたということな申されましたが、これは大臣のお考えは非常に誤つておるわけであります。昨年の救農国会は第十七臨時国会でありまして、これは十月の下旬に召集されたのです。そうしてこの内樽というものは、ほとんどが災害問題の内容を持つた臨時国会であつたわけです。それでもう昨年の十月末というのはことしの十月末と時期的にやはり共通しているわけです。ところか今年の場合は最後の災害であつた十五号台風は、これは九月の二十六日であります。それから見ると、もうすでに一箇月以上経過しておるわけであつて、今日においてまだ十分の把握ができておらぬ、本部長は北海道あるいは後日また九州に行かれるかもしれませんが、主として見舞を兼ねて、そうして災害問題のバランスをとるために行脚するということになると、そういうお考え全国各地の災害地を行脚される場合に、その視察はことし一ぱいに終りますか。その後においておもむろに対策な立てるということにたると、これはもう時期的にずれてしまつて間に合わないことになつてしまう。ですから、本部長が災害地な調査されるという意義は、主宴たる災害地に行かれて、その災害の状態というものの様相がどうであるかということな一応確認されることによつて全国地域における災害の内容というものがほぼどうであるということが、その中から把握できると私は考えておるわけであります。ですから、今後何箇月かを費して全国災害地をまじめにおまわりにたられるというよりも、大体の見通しがつく場合には、緊急適切な方法な当然のこととして臨時国会な通じて樹立されろということが順序であるというふうに考えるわけでふります。今日においてもまだ具体的な対策が講ぜられておらない、その間の経過措置としてはつなぎ融資等を行うということでありますが、今日はたしてどれだけのつなぎ融資ができておるかということ、これは非常に微々たるものです。そういうことで、いつ召集になるかわからぬような臨時国会に依存するということはできぬのであります。ですから、本部長の判断というものは、結局臨時国会な早期に召集する必要なお感じになつたかどうかということによつて、今後の展開というものは期待が持てるかどうかということになると思うのですが、そういうような判断はまだ明確についておりませんか。
  40. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私は全国各地をことし中かかつてゆうゆうと見て歩くような考えは持っておりません。ごく大局的に本部長としての職責上そうしたいというのでありまして、もう一週間か十日も過ぎれば一切は終了する、こう思うのであります。それでこの対策が皆様に対してまことに十分でないかもしれませんが、北海道視察いたしまして、それで四日目にとにかくすでにあそこで拙速をたつとぶゆえんなもつてこの実行にかかるようにいたして参つたつもりでおりまして、今後私は見て参りましたところな、ただちにこういう拙速主義で行きたい、こう思つておる次第でございまして、こうやつておれば、いろいろの見方はあるでありましようが、いずれ近く、十一月のしまいかそこらあたりには国会を開くべきものであろうか、こう考えておりますがゆえに、それで必ずしも援助がおそくなるというようなことはなかろうやに存じておるのでございます。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは拙速主義で北海道において御発表になつた中間的な対策、本部長としての決意でありますが、これは十一項目にわたつておるわけでありまして、このことごとくは当然必要な問題でありますが、たとえばこの中に種子対策に関する言及というものがまつたく行われておりませんが、北海道をおまわりになつて災害地から、あるいは水稲の種子が足りぬのでこれを確保してもらわなければならぬ、あるいは雑穀等の種子がまつたくないので、これを手配してもらわなければならぬというような要請はなかつたのか、またこれに対しては、政府として、どのような措置を講ずるというような言明を当時現地においてなされたか、その点についてお尋ねいたします。
  42. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 種子の問題につきましては、たとえばばれいしよのごときでも運輸省といろいろ話合いをしておりまして、内地に対する問題はやつておりますが、あなたのお話北海道に対することでおろうか、こう思つておるのでありますが、被害農家が、水陸稲、雑穀種子不足のために再生産に支障を来すものにつきましては特別の対策を講ずる必要がある、具体的措置におきましては農林省において今協議中でございますので、近くこれも実行いたしたい、かように存じておる次第でございます。
  43. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私がお伺いしておりますのは、この十一項目の中に、種子対策というものがやはり緊急性があると私は考えておりますが、せつかく北海道に行かれて、種子の問題に言及されておらなかつたというのは、これは、どういうお考えであつたかということをお尋ねしておるのです。
  44. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私は巧みにおそくするよりも、拙速をたつとぶ、こう申しましたが、こういう重大な問題をこの中に入れたかつたのははなはだ何でありますが、これで大体を包含すると思いまして入れなかつたのであります。急ぎまして、もう朝の八時ごろから夜の十時ごろまで走つておりますから、そ、の途中々々の何でございまして、一つ指摘していただきますれば、まだほかの問題もあると思いまするが、これをもつてその他の問題は一切取上げぬなどというような考えはございませんので、先刻ここで御報告申し上げるときに、御協力をお願い申し上げたいと、こう申しましたのは、つまりこういう問題がありますれば指摘をしていただきまして、そうして私の方でとるべきものなりと確信いたしましたならば、この項目が十二になろうが十三になろうが、あえていとうものではないという意味であります。
  45. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことに私はこだわつておるわけではないのですが、二十一五日に本部長は北海道庁において関係団体等を集めてこの十一項目を御発表になつたのですから、お忙しい間ではあつたかもしれませんけれども、災害対策としては来年の再生産を確保するために、種のとれない農家に対しては、まず種は確保して行かなければならないということは、やはり何なおいても当初において、当然その中に打出す必要があつたのではないかということに私は気がついたわけです。農林当局としては、本部長が御視察中であつたけれども、種子問題等に対しては共体的な計画を立てておるので、御心配はないと想いますけれども、この点についてどういう方針であつたかということを一応お伺いしたわけであります。  その次にお伺いしたい点は、北海道等の寒い地帯なおまわりになつた場合、ああいう北の寒い地帯において水稲の栽培々やつておる農民の苦労というものは、しろうとの本部長におかれでも察せられたと思うわけです。それで北海道というような地帯において、平年作において一石近い、五俵近い米がとれるという事態の中には、やはり寒冷施帯におけるいろいろな人知れない施設とか苦労があるわけです。たとえば北海道における温床苗しろの設置の問題であるとか、あるいは東北地帯等における保温折衷苗しろの設置の問題であるとか、そういう地域においては普通以上に生産を確保するための施設を行つておる。いわゆる生産のための投資を特別に行つておるわけです。それがこういう災害のために財政的な支出というものがまつたく回収つかないような状態になつておる、そこでそれらの地域においては、今後とも温床苗しろとか保温折衷苗しろ等に対しては、国が恒久的、永続的に財政的な支出をすべきであるというような要請も必ずや強かつたと思うわけでありますが、そういうような声はお聞きにならなかつたのですか。
  46. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 種子の問題でありますが、これは至るところで皆様が御陳情になられまして、その都度できるだけ専門の農林省の力で考慮するということを言つて参りましたが、この問題で一番要求されるのは現金がないので困る、住宅がないので困る、木が倒れたのだが、その処理をどうしてくれるか、つなぎ融資をひとつ出してくれとか、もちろんいろいろの話がありまして、各所におきまして長時間にわたつていろく陳情も承り、かつ懇談もいたしましたが、その一番のどこも共通した眼目は、ただいま申したようなことでありまして、こういうものな早急に出しましたが、専門の各省の部員が寄つておることでありますから、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと考えておるわけであります。
  47. 庵原文二

    ○庵原説明員 私加藤国務大臣の随員といたしまして北海道へお供いたしましたものの一人でございますので、ただいまの芳賀委員の御質問に対しまして、説明をさせていただきます。  種子対策につきましては、すでに御承知のように、農林当局といたしましても各種計画中のものでございますし、特に本部長が北海近へ渡られて、ことさらに発表されるという事項でもないと思いまして、各地におきまして種子対策についての御要望はあつたのでございますが、今申しましたような趣旨で、大臣の御発表にはお入れにならなかつたというふうに了解いたしております。それから水稲建笛対策につきましても、北海道については温床苗しろの重要性は私ども十分承知いたしております。それに関する御要望もございましたけれども、これは予算的の問題が非常にからんでおりまして、随員の間でもいろいろ討議いたしましたけれども、事務的には意見の一致を見るに至らたかつたというような事情がございまして、そういうものについて、特に大臣から発表されるということはいかがかというような感じもいたしたわけでございます。以上のような趣旨で種子対策及び健苗対策が大臣の発表から除かれておる、かように私は考えております。
  48. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私がこの際特に温床あるいは保温折衷問題に言及しておるのは、これは本部長が現地において、政府の責任においてこういう施策はやるということを御発表になれば、それは当然政府の責任において実行に移さなければならない。政府部内においてこういう問題なことさらに取上げたくてもいいわけなのですが、たとえば当農林委員会において、大蔵省の一主計官が出席して、この災害対策の一環としての建苗対策等に対しても、これには疑義を持つておるということをいまだに言つておるわけです。政府部内においで、そういうような不統一な状態が現存しておるわけです。ですからほんとうにまじめに災害対策を行うというような場合においては、現地の災害地において最も熱願しておる問題に対して、政府が熱意をもつてこたえるかどうかということを明快に証明するということが、現実発表の一番重要な内容であると私は考えておるわけです。加藤本部長においては、温床苗しろとか折衷荷しろがどういうものであるかということを理解してもらうのは困難なことでありますけれども、しかし冷害対策災害対策を、今後本部長としてりっぱに立てられろためには、こういう問題が対策の中に現われて来るわけです。今後大蔵当局との折衝の中には、これは非常に困難な問題として出て来るわけです。そういう場合に本部長が、その場になつて、これはどういうものかわからぬ。植物か動物かわからぬというようなことでは、これはまつたく自信のある対策が講ぜられることは不可能であるというふうに考えておるので、本委員会等においても、これは非常に重要な問題として現在取上げられておるわけなのです。冷害をこうむりやすいような地帯において、いかにして冷害対策を恒久的にやつて行くかといりような場合においては、こういう施設というものはあくまで国の責任において、保護政策の一環として続けて行くことがどうしても必要なことになつて来ると思う。今後この健苗対策等の問題が災害対策の中の一つの項目として出て来ておる場合においては、この点に対して本部長としてあくまでも責任をもつてやられるという決意をぜひ述べてもらわなければ困るのです。この点に対して、どのような御決意を持たれるか、その点を参考までに聞かしてもらいたい。
  49. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 対策というものも、別にかれこれ私から言つてもいかがかと存じまするが、従来の例によりますれば、これも帰つて来てゆつくりやるところでおりますが、私といたしましては相当奮発したつもりでやりました。ただいまのようた問題が、これから落ちましたことは、あなたはまことに御不満のようでありますが、これは十分私といたしましても研究いたします。そして御趣旨を尊重するようにいたしますが、何分こういう問題では門外漢でありますので、十分専門家意見を聞き立して、できるだけ御趣意に沿うようにいたしたいと思います。これは専門家意見を一度十分聞きたいと存じます。この窮状を訴えられたことはよく承つております。
  50. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 関連しまして……。大臣のただいまおつしやつた通りでございます。これはその事情をよくつまびらかにしておきませんと、その重要性度合いというものはおわかりにならないのです。きようはたいへんお急ぎのようでございますから、私はお尋ねいたしませんが、あとでゆつくり時間をいただいて御勉強を願いたいと思うのです。  そこで、今大臣は非常に拙速をたつとぶということでたいへん御心配をいただいておることは、私非常に感銘を覚えますが、そうなつて参りますと立法措置等な伴う問題がありますので、臨時国会の早期召集の必要が出て来ると思うのです。それでないと、本部長としての大臣がせつかく拙速なたつとばれて御心配になりましても、これの実現は容易なことでなくなるわけでございますから、吉田さんがお帰りになりましたらさつそく御進言になつて、早期国公の開会という御決意を固めておいでになると思いますが、その点をひとつ。それから庵原さんにお尋ねしますが、何か水稲健苗育成の問題についていろいろ御意見があつたそうでございます。どんなようた御意見が出ましたか、それ々お聞かせ願いたい。
  51. 庵原文二

    ○庵原説明員 水稲健苗につきましては、北海道におきましては御承知のように温床苗代の分でございますが、これにつきましては現場から相当いろいろな要望を承りました。その内容のかんじんな点だけ々申し上げますと、これは寒冷地における水稲栽培の上に非常に重要なものであるから、継続して実施してもらいたい、こういうことでございます。
  52. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 それだけですか。反対の意見はどうなんです。いろいろな意見があつたということですが。
  53. 庵原文二

    ○庵原説明員 それから大臣が札幌において発表されました事項全部を通ずる問題でありますが、各省の随員の間におきまして相当いろいろ協議をいたしたのでございます。しかしながら種子対策につきましては先ほど申し上げ北したように、これは大臣が発表される発表されぬということにかかわらず実施すべきものである、すでに農林省としてもいろいろ対策を講じつつあるということで、これは特に発表されなかつたわけでございますが、その他の問題につきましては、いろいろ予算の問題等にからみまして、随員の間におきましても意見の一致々見るに至りませんでした。そういうものを大臣から発表していただくこともわれわれとしてはできかねた次第でありますし、事実私どもそういうこと々決定し得るような立場にございませんので、私としてはそういう気持は十分に持つておりましたけれども、保留した次第であります。
  54. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 ぼくの尋ねていることに触れていないのです。たとえば再生産を確保するための健苗育成施設等について反対の意見予算関係だけですか。そういうことを事務官諸君がきめて、そうして本部長にこれを進言をして発表させるという態度をとらないで、本部長にお聞かせしないで、あなた方のところで取捨選択してしまつた、こういうわけですか。これは越権だ。
  55. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 私が先刻申しましたように、陳情はいろいろございましたが、拙速々たつとぶために項目はこういう項目にしてくれ、こう申しましたものですから、それでこういうことになつたことだろうと思うのでありまして、ただいまの御趣旨はよく承つておきます。
  56. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 加藤国務大臣に申し上げますが、実は本委員会において先ごろ決議をいたしました中の重容項目として、あげまするたらば救農土木事業、常農資金、それから今の健苗育成の六億五千万、それから種子確保の七億等あるのです。特に北海道においては、健祐育成と種子確保ということは急務中の急務なんです。従いましてこの問題は本委員会における決議でございますから、御尊重願つて特に考慮を願いたいということを委員長からこの際申し上げておきます。
  57. 松岡俊三

    松岡委員 委員長のただいまの御発言について、もう一つ今日の会議の空気からいつて、また前会の動きからいつて加藤国務大臣の主管する対策本部において相当あんばいせられるべき問題の中に、私が発言した気象関係があります。一方においては洞爺丸関係、一方においては冷害関係、これは対策本部長として相当に御考慮せらるるものと思います。委員長におかれてはこの会議の空気をよく御勘案くださいまして、御善処を願うと同時に、加藤国務大臣が本部長として、この査定その他の上には相当な御考慮をいただくことを、特に委員長の発言の中に入れていただきたいと思います。
  58. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 松岡君にお答いたしますが、ただいまの気象問題はきわめて重要だと思います。それで運輸委員においてもすでに決議をいたしておりますし、本委員会におきましても、これを特段に取上げまして、そして小委員会の決議なり何なりで御相談の上でお諮りいたしまして、本委員会においてこれを取上げていただくようにしたい、こういうふうに考えております。いかがでございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 非常にお疲れの本部長をいじめるわけではありませんから、その点御了承願います。今庵原課長から言われましたが、大事な問題が落ちている。対策本部の各部員が行かれて、現地における意見に不統一のあつたような問題は、おそらくこの発表から落ちておつたように私は大体理解したわけです。ですからこの発表に落ちているような問題は、今後また非常に困難な事態をはらんで来るということ本予想される。先ほど本部長は専門家意見を聞かなければならぬと言われた。それはその通りです。もちはもち屋、お医者さんはお医者さん、やはり専門家意見を尊重するということが大事です。ですから災害復旧についても、農業政策の中においてこれをどうするかということについても、当然その専門的な意見を持つている諸官の意見をまず聞かなければならぬ。それを大蔵当局等の圧力に屈して、一主計官ぐらいの発言におびえて、この正しい打ち出しができないようなことでは困る。おそらく加藤本部長はそういうような情ないいくじのないようなことはされぬと思いますが、これはなかなか楽観を許されぬ。とにかく一兆億の予算のわくをくずさない範囲において災害地の期待に沿りような対策を立てるということはなかなか至難なことなんです。ですから基本的な思想的なものから改めなければ、期待に沿つたような対策はなかなかこれはできないと私は見通すわけでありますが、今後本部長としてのあくまでも重大なる責任の上に立つてやられるという苦労は十分わかりますが、どうか基本的な筋だけは立てて、ぜひこれはまつしぐらに進んでもらいたいということを特に希望しておくわけです。  なおつけ加えて申し上げますが、当委員会においては、二十一円に農林委員会全会一致の災害対策に対する決議を行つております。これに対しては、本部長はこの決議の内容等はごらんになりましたかどうか。この際お伺いしておきます。
  60. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 今ここで拝見いたしておるのでございます。私はおとといは笹つばなしでございました。昨日は気分がよくなつてちよつと出ただけで、これ々受取りまして、ここでよく拝読をいたしました。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではただちにこの内容を十分検討になられると思いますが、この決議の内容は十五項目にわたつておるわけでありますが、大部分は本部長か中間発表された内容と共通しておるわけであります。この内容において結局行政的な支出に対しましては財政支出として百二十億、それに開拓関係の入植施設災害復旧等に対する費用が十五億で、約二十五億財政支出を必要とするということをまずうたつておるわけであります。それから融資の面に対しましては農林漁業金融公庫の出資のわくを八十億拡大して、これを農林関係災害の融資に充てるという問題と、もう一つはこの経算資金に対しましては百億の融資を損失補償、あるいは利子補給な政府が行うという、こういうような筋がこの決議の内容であります。ところが現在農林当局考えておる災害対策構想というものは、非常にこれに比べて貧弱であります。まつたく半委員会の意を体しないような原案が現在できておるわけでありますが、これによりますと、農業共済保険金の支払い不足の補填金の六十六億を入れて、総額が百四十六億七千万程度にしかなつておりませんので、これから農業共済関係の六十六億を引いたあとでは八十億七千万ぐらいにしかこれはならぬわけです。そういたしますと、農林委員会の決議の線とは実に五十億以上の食い違いが現在あるわけであります。これさえも百パーセントの歩どまりで大蔵省が了承するかどうかわからぬというようなことを、渡部官房長はまだ自信がないということを再三表明しているわけであります。こういうような困難な事態において、当委員会等においても特に災害対策に関する小委員会を設置して、この機林委員会の決議の実現にわれわれは努力を惜しまない態度を堅持しているわけでありますが、どうぞ本部長におかれましても、農林委員会のこの全会一致の決議というものは、単なるゼスナユアではないのであります。最小限度これだけは、どうしても災害対策に対しては融資の措置あるいは財政支出が必要であるということを、各党共通の判断と確認の上に立つてこの要請を行つておるということを十分認識されて、今後災害対策の処理に向つて善処されんことを期特しているわけでありますが、これに対するわれわれの期待というものは、本部長を通じて実現可能であると私は信を寄せているわけてありますが、この判断は間違つておりますかどうか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  62. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 よく検討いたしてみます。
  63. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 先ほどから大臣のお答えを伺つておりますと、誠心誠意お答えになつているように私たちは伺いました、残念なことにたいへんお疲れで、まだ御勉強が足らないようでございますから、しつかり勉強なさつて御健康を回復されて、日をあらためてなお質疑を続けたいと思いますから、そういうように御勉強方なお願い々いたします。  それから、委員会にお願いいたしますが、本日はこの程度で散会をしていただいて、日をあらためてやつていただきたい、川俣委員から特別の要求がございますが、どうも本部長は大分お疲れのようですから、そのように委員長においてとりはからわれるようにお願いをいたします。
  64. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 吉川委員の御発言もありますので、本日はこの程度にとどめまして散会いたしたいと思います。次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十六分散会