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1954-02-25 第19回国会 衆議院 農林委員会農業災害補償制度に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十五日(木曜日)     午後二時五十二分開議  出席小委員    小委員長 足鹿  覺君       秋山 利恭君    足立 篤郎君       佐藤善一郎君    松山 義雄君       吉川 久衛君    芳賀  貢君       中澤 茂一君    安藤  覺君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  小委員外出席者         農林委員長   井出一太郎君         議     員 川俣 清音君         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  久宗  高君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月十日  小委員足鹿覺君が一月二十六日委員辞任につき、  委員長指名で小委員に補欠選任された。 同日  小委員長足鹿覺君が一月二十六日委員辞任につ  き、委員長指名で小委員長に補欠選任された。 同月十九日  小委員足鹿覺君が同月十八日委員辞任につき、  委員長指名で小委員に補欠選任された。 同日  小委員長足鹿覺君が同月十八日委員辞任につき、  委員長指名で小委員長に補欠選任された。 同日  佐藤善一郎君、佐藤洋之助君、松山義雄君、金  子與重郎君、芳賀貢君及び中村時雄君が委員長  の指名で小委員に追加選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業災害補償制度改正問題に関する件     —————————————
  2. 足鹿覺

    足鹿委員長 これより会議を開きます。  本日は先回に引続きまして、農業災害補償制度改正につきまして、御審議を願いたいと存じます。  審議に入るに先立ちまして、一つ報告を申し上げておきます。去る二月の十一日、参議院農林委員会に設けられました農業災害補償制度改正小委員会出席を求められまして、私、委員会出席をいたしまして、本委員会農業災害補償制度改正に関する中間報告について説明をいたし、これに関連いたしまして、参議院の小委員の諸氏から、いろいろ御質疑がありまして、私どもの今日までの経過をいろいろと御説明を申し上げておいたことを、この際御報告を申し上げておきます。なお参議院は、毎週一回小委員会を開いて審議を進めておられるようでありますが、本委員会とも密接な連絡をとりまして、当初打合せをしておりましたように、並行して進むことを向うの委員長ともよくお打合せをしておきましたので、御了承おき願いたいと思います。  それでは、本日は農林省におきまして検討せられております、「農業災害補償制度改正に関する件」の問題点と称する別紙の資料がお手元に届けてありますが、今後の審議の参考に資したいと思いますので、小倉局長からこの資料について御説明を聴取いたしたい、かように存じます。
  3. 小倉武一

    小倉政府委員 それではただいま小委員長からお話資料につきまして御説明いたします。  先ほど小委員長からお話のように、小委員長参議院農林委員会小委員会で、中間報告に盛られております案につきまして御説明になりましたそのあと、それについての私ども見解を聞きたいという御注文がございました。見解と申しまして私どもお話するのもいかがかと存じまして、見解と申しますよりも、むしろ今後この案をさらに実施して参る、あるいは立案して参るという場合に起つて来る問題、あるいはさらに検討しなければならない問題ないし研究をしなければならない問題というような観点からお話した方が、むしろよくはないか、こういうことで実はこれをつくつたのであります。従いまして、各項目にわたりまして、実施をいたして参る。立案をいたして参るような場合に、当然起つて来るような問題、あるいは具体化して参ります場合に明らかでないような点について列挙したのであります。多くの点は、これまで小委員会等におきましていろいろ御議論がございました点とダブる点もあります。簡単に一応ごく概略を初めから申し上げたいと思います。  第一項の問題についてでございますが、保険補償を分離するという問題でございます。補償保険をわけます場合に、国が補償するという理論的な根拠をどこに求めて行くかという検討が、今後必要であろうと存じます。その場合に、作物災害でございますので、全部国家補償ということは、もちろん参りませんが、補償すべき理由損害程度できめて行こう。大きい損害に対しては国がやつて、ある程度以下のものについては国は補償しない。損害一定以上のものは国が補償し、一定以下のものは団体がやる、こういう考え方で行くのか、あるいは損害の種類や原因によつて、たとえば水害といつたようなものによる作物災害は、国が補償する。そうでなくて、病虫害、こういつたものについては、保険的なものでやつて行く。その辺をどういう点からわけて行くかについての検討が必要であろうと思います。そこで損害理由につきまして問題を整理して行つた場合に、個々の損害につきましては原因にさかのぼることができますが、結局それを国が補償するかしないかということになりますと、損害がある程度大きくなつた場合、たとえば現在で申しますれば、通常の場合は団体がやり、異常の場合に国が再保険をするというようなことになりますが、そういつたことになる場合の補償の理論づけをどうするかといつたようなことが、考えられなければならぬ、かように思います。  それからなお、この案には出ていないのでありますけれども、農民と申しますか、団体負担する掛金部分団体の営む保険についての掛金部分について国がどの程度負担するかどうか、こういつた問題については必ずしも明確でございませんので、今後全体の分と農家負担割合とも関連して検討しなければならぬと思います。  それからもう一つの問題は、これは現在の制度でもあるのでありますが、国と農家負担割合が、地帯によつて非常に違つておるのであります。その現在の制度が合理的であるかどうかということは別問題でありますが、補償保険とわけた場合に、国が補償する部分が厚い地方と薄い地方と出て来るといつたようなことになろうかと思いますが、それをどの程度にすれば、負担均衡と申しますか、国家補償する程度が、公平を期したことになるのかといつた点について、さらに検討を必要とするのではないか、かように考えたのであります。  次は、実損額の七割までを補填するという点でありますが、これはもちろんしばしば御指摘がありましたように、国家財政との関係がございますが、なおそのほかに、非常に技術的になりますが、一筆単位当り関係で、七割補償をどう解決するかという点でございます。一筆ごと引受けの場合に、七割補償ということをやりますと、財政負担なり、農家負担なりが相当増しはしないかという点も心配されますが、なおこの点はあとの引受けの問題、第六項目の点に関連いたしますので、そのときにお話をしたいと思います。  次の点は、蚕繭共済について桑葉災害に直すという点であります。このお説についても確かに一理あると思うのでありますが、そうした桑葉災害についても補償しなければならぬという地帯につきましては、確かに現在の蚕繭共済では漏れている点があると思います。他に桑を売つているといつた農家についての補償が十分でないというような点が確かにありますので、その点は桑葉共済ということにして、それを救つた方がいいのか、あるいは現在の蚕繭共済のままで、桑葉について特別の措置をした方がいいのかということは、なお検討が必要ではないかというふうに思つたのであります。もつとも桑の措置を切り離して、この養蚕自体につきまして養蚕技術の振興、向上から、違蚕ということが今後あまりないといつたこともあろうかと思いますので、この点につきましては、なお蚕種関係の点も十分参照いたしまして具体化をはかりたい、かような意向であります。  四番目の、団体保険収支短期的均衡という問題でありますが、何分この団体保険をどの程度に下げましても、作物災害の態様からしまして、短期的に均衡するということはなかなかむずかしいのではないか、こう思うのでありますが、その点をどういうふうに——短期と申しましても総体的なものでありますが、必ずしも普通の損害保険的なことを意味しておるわけでは当然ないと思いますが、短期というのをどの程度に考えるかということが問題になつて参ります。それから団体保険収支均衡ということに重点をおきますと、安全割増し、現在もございますが、これを相当大きくする。安全割増し部分を大きくいたしまして、団体保険収支安全性を期するということができるのであります。しかしこのことは、他方掛金が多くなることは当然でありますので、この点についてもさらに具体的に検討を必要とするであろうということであります。  第二項目でございますが、菜種大豆保険の中に加えて行くという御趣旨についてございますが、この点については現在データが不整備でありますが、菜種については経過的な措置としては、何らかの方法で便宜的な方法を取入れると同時に、すでにそういう方向で進む研究が必要であるというふうに思います。大豆についても同じでございますが、それは特に北海道が大きなウエートを占めております。御趣旨によりますれば北海道の畑作ということについての御考慮が特におありのようでございますので、その点について検討しなければならぬと思います。  なお畜産行政との協調ということについて触れられておるのでありますが、これは畜産行政家畜保険行政とが局課が別れておりまして、その間不都合がないかということについての特に御注意だと思いますが、そういうことともに、なお家畜共済につきましても、長期共済という問題、あるいは中家畜についての集団引受けというような問題についても、今後検討いたして参りたいと存じます。  三は団体事業機構整備の問題でありますが、第一点は再保険団体を新設する、こういうことであります。第一の項のように、保険補償ということを分離してやりました場合に、なお再保険団体がいいかどうかということについては、なお考慮しなければならぬところではないかとも思いますが、再保険団体をつくらないとすれば、共済基金、特別の金融的な措置がもちろん必要になつて来ると思いますが、そういう金融的な措置でやつた方がいいのか、あるいは再保険団体ということでやつち方がいいのか問題があろうかと思うのであります。  それから次の共済団体のあり方の問題につきましては、いろいろここにも書いておきましたけれども、こういう点についていろいろ検討して具体化に努めたいというふうに存じます。  それから四の項目でありますが、事業指導監督事業自体についての関係を厳正明確にする、こういう点でございまして、御趣旨の点もわからないことはないのでありますが、事業指導監督をわけた方がいいのか、あるいは特に監督の点を分離した方がいいのかという点につきましては、最近の共済制度全体の運用の発展から見まして、どちらがいいかということにつきましても、若干問題があろうかと存じます。それから何らかの意味において、全部を一元的にやるということについては必ずしも適当でないということについての御趣旨は、私どももさように存ずるのであります。  それから第五番目の、いわゆる任意共済、特に建物共済につきまして農協に一元化する、この点につきましてもいろいろ議論がございまして、いまさら繰返す必要はないのでありますが、このような農協に一元化するという建前についてどういう問題があるかということを書いたのであります。それは一つ風水害の問題であります。現在風水害を取扱つておりませんが、どちらにいたしましても、風水害というものを保険事故として取上げなければ、建物共済意味があまりないのではないか。多少意味が薄れるのではないかと思いますが、風水害というものを取上げるかどうかということについて、また風水害を取上げる場合には、どうしたらいいかということについての検討が必要と思います。その場合にどうしても民間だけではやれない。財政的な裏づけが必要になつて来やしないかと思いますけれども、その点についての検討であります。  それから次は損害保険でありますが、原則はそう長期的なものではございませんが、建物の更新といつたようなことで、若干長期的な共済が行われつつあるのでありますが、こういう長期共済になると貯蓄的な性格を持つて参ります。現在農協では生命共済等もいたしておりますけれども、こういう長期共済をいたしますというと、農協団体組織といつたようなものについての継続性と申しますか、そういうものを相当確保して参ることが必要になつて来やしないか。なお準備財産といつたような問題についてももちろん必要であります。それから、かようにいたしますれば末端ではそう競合しておるというようなこともないかとも思いますので、末端は自由にして、上の方だけ一元化するということもあるいは考えられやしないかという意味で、四の事項を掲げておいたのであります。なお一元化するとすれば、現在までやつておる事業につきましての経過的措置、その締めくくりの処置ということが当然考えられなければならぬのであります。  それから六の点でありますが、これは非常にむずかしい問題をたくさん含んでおります。一つは当然加入義務加入は、おそらく現行制度のような建前をくずさない、こういう御趣旨でありまして、この点について、なおでき得ますればそういつた建前をくずさないとともに、でき得ますれば、あまりぎこちないことはやめたらどうかといつたようなことも考えられますので、その点については少し研究したいと思います。  それから一筆単位引受けの問題でありますが、俵建と申しますか、石建ということに引受けを直しましても、一筆であることは同じでございますので、この点については損害の点を合理化するという観点から、ただいま農家単位共済を実験しておりますけれども、あの実験の成果からみまして、やはり農家単位はだめかどうかということを少し確認した上でひとつ考えたい、かような気持であります。  次の補填方式の問題につきましては、これは先ほどの七割という問題、それから現行一筆単位では損害の三割以上ということになつておりますが、三割未満についての補償をどうするか、この点はむしろ実施上の細目になろうかと思いますけれども、その点について検討をなお必要とするのではないかと思います。それから俵建でやるという場合、反当の収穫量について共済をいたしますとき、その収穫量選択を認めるかどうか。二石とれる田がある場合に一石でもいいのか、一石五斗でもいいといつたような選択権を認めるか、あるいは石当りの金額をきめました場合に、石当り一万円あるいは八千円、六千円といつたように単価をわけまして、その選択は認めるのかどうかといつたような、弾力性を与える方法について、どういうふうに考えたらいいかといつたような、細目の問題があろうかと思います。  次は料率上の調整の問題でありまして、一つ個別化危険に相当する掛金の率をきめて行くということが妥当なことは言うまでもありませんが、これに限界がありまするので、無事もどしとかあるいは備荒貯蓄というようなことについての検討を進めたいという御趣旨だろうと思いますが、こういう備荒貯蓄あるいは無事もどしをいたします場合には、申すまでもなく、御承知の通り財政の問題がありまするので、補償の限度を引上げるといつたようなことと関連をいたしまして、備荒貯蓄とか無事もどしといつたような両方の制度を必要とするのか、あるいは料率個別化がどの程度行き得るかといつたことを見きわめてやるのか、この点などにつきましてなお研究が必要であるように思います。  七番目は備荒貯蓄の問題でございまして、ただいま触れましたので八番目でありますが、これは損害評価につきまして、統計調査作物統計を利用することについての問題でありますが、これも作物統計を利用する場合に、統計の方を整備していただかなければなりませんし、また共済制度といたしましても、それにはできるだけ高度に利用できるように仕組みを考えなければならぬということで研究を進めたいと思います。  九番目の防災事業でございまするが、この点につきましては、特に病害虫防除ということにつきましては非常に技術が進歩して参つておりますので、これと補償の責任の問題あるいは労力的危険の問題といつたようなものについての措置をもなお技術的な研究をしたいと思います。  それから補償保険とわけます場合に、病害虫防除といつたようなことをどういうふうに考えるか、この点についてもなお検討を必要といたします。  それから防除計画防除主体につきましては、現在のところ必ずしも一元的な運用なつておらぬという御指摘でございました。また実情その通りでございますが、防除計画を国、県あるいは公共団体に求め、防除主体共済団体というような団体に求めた方がいいのかどうか、この点についてなお検討を必要とすると思います。  それから十の連合会不足金の問題、この点については、連合会不足金が出ました原因を尋ねて、その上で処置をするといつたような以前の政府の方針もございましたが、制度が根本的にかわろうということになりますれば、お示しのような方式に基いて整理をするということが当然考えられます。  それから相殺の禁止、こういうことにつきましては、これは別に不足金の問題に限つたわけではございませんが、組合掛金なり賦課金なりいろいろ金がかかるわけでございまして、そういつたものと共済金との相殺関係について、徹底的に合理的な線に持つて行くことについて、いろいろ私ども研究をこれまでもいたしておりまするが、なかなかむずかしい問題があるようであります。ただ組合といたしましては、掛金組合員あるいは農家から徴収しなければならない。その場合、どちらかというと付随的な仕事である共済金相殺する、こういうことは徹底的にやめてもらうというようなつもりで運用をして行つたらどうかと思いますが、この点などにつきましては、共済金が徹底的に農家人々にわたる、こういう趣旨で公正な処置手段等について検討してみたい。かように存じております。
  4. 足鹿覺

    足鹿委員長 この際小倉局長お尋ねしておきたいのですが、農林省の内部に研究会のような機関を設置されて、小倉さんが会長になつていろいろと御検討なつておるということを聞いておりますが、それはどういう趣旨のものであり、現在どういうふうなメンバー運用されておりますか、またどういう点について御研究なつておりますか、この際ちよつとお聞きしておきたい。
  5. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、実は小委員会中間報告の最後にございまするような審議会をつくろうということでございまして、実は二十九年度の予算的な措置の中に審議会の予算をわずかはかり計上してあります。こういう御案がきまりますれば、正式にそういう審議会を何らかの形で発足したいと思つております。ところがこの審議会が発足いたす前から、小委員会の大体の結論めいたこともほぼわかつて参りましたので、さらに私どもとして立案のために、細目と申しまするか、深く検討して参るためには、むしろ現在からでき得べき今後の審議会幹事会といつたようなものに当るようなものをつくつて、そこで検討を始めた方が案も早くできはしないかと思いまして、こく内々の研究会といたしまして発足したのであります。  委員メンバーは、東大農学部川田信一郎先生、東京農工大学の大谷省三先生共済基金理事安田誠三氏、農林省総合研究所研究員山内豊二氏、西ヶ原の農業研究所畑村部長鴻巣試験場研究官であり同時に農林省改良局企画官である龍野徳三技官、さしあたりこういう方々で発足いたしておりまして、なお財政関係の方、あるいは社会保障関係の方について適任者があれば加わつていただくということにいたしております。ただこれは研究会なつておりまして、恒常的なつもりでありますが、委員の方には別段恒常的になつていただくということで集まつていただいたのではなくて、さしあたり懇談会といつたようなことで御出席願つてつておりますが、だんだん固まつて参りますれば、何らかの形で委員と申しますか、幹事といつたようなかつこうになつていただいたら、こういうつもりでおります。
  6. 足鹿覺

    足鹿委員長 なおその研究会と、ただいま御説明なつ問題点としての資料関係ですが、この、料の内容については、その研究会等であらかじめ御研究になり、意見を徴せられたものをここに問題点として出されたのであるか、その研究会とは全然別個に、ここに一応農林省事務当局として御研究なつたものを御提示になつたのでありますか、その辺の関係はどうなつておりますか。
  7. 小倉武一

    小倉政府委員 研究会は、実はまだ一度開いただけでございまして、補償制度改正の問題についてのこれまでのごく概略経過を私どもからお話しまして、若干の意見の交換があつた程度で終りましてて第二回目は、現行制度がどうなつておるかということについていろいろその後研究したものもございますし、まとめたものもございますが、それを報告しようという会を近くやりたいと思つております。本日お配りしましたものは、もちろんこの研究会にはかけてございません。まだ実は御相談はいたしておりません。国会にこの中間報告についての印刷物はお配りをいたしましたけれども、これを作成いたしましたのはその後でございまして、これに類するようなものは配つてはございません。なお今後研究会の活動が軌道に乗りますれば、本日お配りしたようなものも研究会に配りまして、具体的な作業に入る機会もあろうかと思います。
  8. 足鹿覺

    足鹿委員長 そこでその研究会というものは、あくまでも小委員会が現在考えておるような点について、主として計数的な問題、あるいはその他法制上の問題、そうした具体的な問題について一つ骨組み従つて研究を願うのですか。農林省自体は、この小委員会の大体の方向というものを一応おわかりになつておるのであるから、手まわしよくその線に沿つて審議会ができたときにはいつでも間に合うように準備を整えておく、こういう趣旨のものでありますか、その辺が私よくわからないのですが、はつきりさしていただかないと、せつかくこの委員会検討は進める、一方においてはそうした人々によつて別個な骨組みになり、構想なり、また具体的なものが出て来るということになりますと、参議院でも現在やつおる、われわれの委員会でも検討を進めておる、当初の申合せによつて、最終の調整参議院調整をした上で両院意向としてとりまとめるということになつておりますので、こんがらがつてもつれがないように、よくその辺の限界をつけてやつていただきたいと思うのです。
  9. 小倉武一

    小倉政府委員 それはもう御説の通りでございまして、先ほどお尋ねの後段の方、この小委員会の結論が出ました場合の作業といたしまして委員会ができますので、その幹事会と申しますか、下準備をする会合、こういうことで考えておるのであります。従つて両院小委員会と離れた別個の作業をするとか、考え方を求めて行くということではございません。ほぼ小委員会の案も固まりつつございますので、それをまとめる意味におきまして、その具体的な措置法制化とか、計数のとりまとめ、こういつたことを促進するような意味で組織したものであります。従いまして今後の作業といたしましては、この間も私第一回の研究会お話したのですが、まだ決定にはなつておりませんけれども小委員会中間報告によりまする案を中心的な問題にしてこれを具体化する、こういつたことに焦点を合せて今後の研究をしたらどうか、こういうことを研究会でも話をいたしまして、大方の意見もそれを中心にしてやるのが一番よかろう、こういうことになつております。
  10. 足鹿覺

    足鹿委員長 それではただいまの小倉局長説明されました問題点等について、何か御質疑なり御意見がありましたら……。
  11. 中澤茂一

    ○中澤委員 保険課長にちよつと伺いますが、この前小委員会であなたは、大体目の子勘定で現在の財政負担の二・八倍になるとおつしやつたが、その後若干それについて具体的な計数整理をおやりになつたか、おやりになつたのならば、大体七割をやつた場合にどのくらいの財政負担になるか、それをお聞かせ願いたい。
  12. 久宗高

    ○久宗説明員 ただいま問題点の中でも若干申し上げた問題でございますが、いろいろ前提ではつきりのみ込めない問題がございまして、むずかしい計数が実は整理できないのでございます。この前申し上げました二・八倍くらいになるのじやないかという問題も、ここにお書きになつておることをそのままとりまして、ごく概算したものでございまして、厳密なものではございません。従いましてさらにさつきの七割の考え方でございますとか、あるいは三割未満の問題でございますとか、その辺のところも明らかにしていただかないと、いわゆるがつちりした計算はできないのじやないか。特に通常の線、これをどうきめるかというような問題もございますので、ごく大ざつぱなものしか計数がはじけないわけでございます。
  13. 中澤茂一

    ○中澤委員 その三割以下はずつと今までで行つて三割以下のものはずつと自主的な共済制度にして、三割以上の共済制度に対して実質損害の七割を目途として補償する、大体こういう考えだつたですがね。それでこの前保険課長は大体二・八倍くらいになりやせぬか、こうおつしやつたのだと思いますが、その後は、大体その三割くらいの問題もどうかわからぬから、具体的には全然計数整理はやつていないのですね。
  14. 久宗高

    ○久宗説明員 さようでございます。さらにこまかい計算をしております。
  15. 川俣清音

    ○川俣清音君 私、委員外発言ですが、もう少し御検討願つて資料一つほしいと思つておりますことは、私欠席いたしておることもありましたので、あるいは聞き漏らしておるかもしれませんが、共済組合としての事務費及び調査費が、全体としてどのくらいかかつておるかということについて、調査費、事務費とこうわけて——人件費等も含まれておるのでわかりにくい点もあるかと思いますが、できるだけわけてお示し願えないものか。これは漠然としてでなく、なるべく詳細に承りたいのです。  それからもう一つは、最近私実際に当つて参りますと、農業統計の中で共済統計統計事務所の統計、大蔵省の統計あるいは食糧庁関係統計、府県の統計というものが、反収について非常にまちまちであります。どれが正確であるかということは、いずれも正確ではないか、こういうことだと思うのです。みな理論的に実際的にやつておるということでありますから、いずれも尊重すべきものだと思う。その尊重すべきものがいずれも違つておることになつておる。大体の趨勢として、私見て参りますと、大体農業共済の方は反別は小さくて平年反収が上つておる。それから農業統計の方は大体反収は低いけれども、作付面積が大きい、こういうことになつて、総額においてはあまりかわらないと思うのですけれども、問題のつかみ方によりましては大分違つて来るわけです。日本の総収量というようなことについては、結果的にはあまり大した差がないようです。あるいは県全体としても大した差がないようですが、個々にはずいぶん違つて来る。こういうことから、いたずらに大蔵省あたりから農業共済が水増しじやないかというような誤解を受けて、警察などでも捜査をしてみたりしたようなことがあるようですけれども統計自体においてとり方が違つているところがある。私このよしあしを論じているのではなくて、そういう点で過去二十年の統計資料を基礎として都道府県ごとに計算するというのだけれど、その基礎がおのおの違うだろうと思います。何を基礎にして過去二十年間の統計をとられたのか、その点をお聞きしたい。
  16. 小倉武一

    小倉政府委員 ただいまのお尋ねは、統計調査部あるいは共済関係、大蔵省の租税関係の調査だと思いますが、そういう各種の調査がまちまちに行われておりまして、しかもその間相当開きがあることは事実だろうと思います。ただ農業共済につきまして申しますならば、今後の制度改正と関連しての考え方でございますが、統計調査部の作物統計の調査と共済調査とは、できるだけ一元化することが望ましいのではないかと思います。どこでどういう程度に一元化するかについては、なおむずかしい問題があると思いますけれども、できるだけ一元化の方向に行くべきである。末端共済組合のやる損害評価まで一元化するというわけには参りませんけれども、どこかで一致点を見出す必要があると思います。  それからただいまのところは、県の段階では基準収量、平年反収と申しますか、そういうものは統計共済では一致させているのでありますけれども、町村別になりますと、御指摘のように相当の開きがあるところが出て参つております。そこを一致させることはちよつと困難な実情もありまするし、また一般的に申しますならば、どちらかというと真実の平年反収よりむしろ共済が低いのです。従つてそのために必要な補償が十分に行かないというような原因一つなつておりますが、制度改正といたしましては、基準収量を現実の収量に近く持つて行くといつたようなことも、実質的には大きな問題であります。これをどういうようにして可能ならしめるかということも、今後検討しなければならぬ、かように存じております。
  17. 川俣清音

    ○川俣清音君 私あまり意見お尋ねしたのではないので、そういう観点から、減収率は少くとも過去二十年間の資料を基礎として都道府県ごとに計算する必要があると説明され、問題点としてあげられておりますが、この過去二十年間の資料が非常にまちまちである、こう言うのですよ。そこで何をとろうとしておられるのか。今申し上げたようないろいろの資料があるので、でこぼこがあつたのでは資料にならないじやないか。もちろん今までの資料は、作報は作報の生れた歴史があるし、農業共済共済が生れてからよりしか資料がないであろう。そうすると過去の二十年というのは何の資料をとるのか。県の資料農林省資料と違うんですね。各府県別にそういうことになつているので、過去二十年というのは一体何をとられるのか、こういう点を聞いているので、きようは意見をお聞きしたのではない。
  18. 小倉武一

    小倉政府委員 この被害率を見ます場合に、二十年——これがいいかどうかは問題が別ですが、二十年をとつているわけですけれども、農業保険が始まりまして以来、農業保険制度に基いた資料がございますので、それをとる。それ以前は従来の農林統計——現在の作報とはもちろん違いますけれども、従来の農林統計あるいは県の統計でもつて調べたのがございますので、それを利用しているわけです。従いまして以前のものについてどの程度の信憑性があるかという問題になりますと、もちろん相当疑問がございますが、他に資料がございませんので、昔の農林統計の基礎になつたデータでもつて整理しているわけであります。
  19. 川俣清音

    ○川俣清音君 この減収率は平年反収が出て来なければ出て来ない。この平年反収のとり方にいろいろ議論が出て来るわけです。従つてその結果減収率が非常に問題になる。今後農業共済の上で一番問題になる点は、現実においては減収率の問題であろうと思うのです。これを突き詰めておかなければ、法案自体がいかにりつぱにできましても、運用のときにまたそしりを受けることになる。これは相当重要視してかからなければならぬ。そこで平年反収のとり方なんですが、大よそ総収量をつかんでいるようですけれども、反別の異動といいますか、決潰したりあるいは壊廃したりして減つた、あるいは増反によつてふえたというような異動は明らかでありますけれども統計上の誤差としてずいぶん変動があるのです。去年の暮に岩手県へ行つて参りましたところが、三百六十町歩去年と今年と調整している。これは実質上の異動じやない、調査上の異動なんですよ。こういうふうになつて来ると、去年より今年がそれだけ増反になつたんでないものですから、去年に割る場合には、総収量をそのままにしておいて反収で減らして行つて、それだけ去年もあつたんだ、今年急にふえたんじやない。それで反収を減らして去年の総計と合せている、こういう操作をやつているわけです。そこで問題は、結局作付反別の正確な面積を把握しなければならない。それでなければ反収が出て来ないということです。そこで私ちよつとこの間秋田へ帰つたときに、郡内のやつをよく調べてみましたら、これは必然の勢いでしようが、共済はできるだけ減収率を出すために反収を上げて行かなければならない傾向がある。反収を上げるには反別を減らして行く。そういう意図でやつたかどうかわからないけれども、農業共済の方はどうしても反収が上つてつて反別が少い。さらにまた反別を少くして反収を上げている町村は、税金等の関係から、あまり台帳面積から離れたくないというところから、作付反別をあまり多くしたくないという考え方が出て来る。これもまた役場の徴税事務として当然なことだと思うのです。そういうところから反別はなるべく少くしたい。ところが作報の方というか、農業統計の方は、かなり反収を下げているけれども、面積を拡大してみている、こういうやり方をしておられるようです。これは現に実際のものを合せてみましても、大分の開きがあります。ある郡のごときは、千三百五十八町というのが作報統計であつて、反収が二石三斗三升七合、県が千三百二十三町で二石三斗七升八合、それから農業共済が千二百四十一町で二石三斗八升七合であります。二石三斗までは一致しておるけれども、あとの方で幾らかずつ上げておる。こういうふうになつて参りまして、結局個々の一筆ごとの減収率というものが非常に問題になると思うのですが、正確に減収率というものはどの程度把握できるとお考えになつておるか、伺いたい。
  20. 小倉武一

    小倉政府委員 お尋ねのように、基準反収もそうでありますし、面積につきましても相違があるのであります。ことに共済につきましては、面積を全部調査するといつたことよりも、むしろ引受けの面積の把握といいますか、引受けが百パーセント行つていない、その違いは従つてりくつといたしましてはいろいろありますが、一番の根本原因は百パーセントの引受けが実はできていないのであります。百パーセント引受けができておりましても、もちろん共済引受けの場合の面積と作報あるいはその他の調査と開きが出て参つておりますが、一番大きな原因引受けの率の問題だろうと思います。それから基準反収の違いでありますが、これは作物統計とできるだけ一致させたいと思つております。そういう方針でずつと最近までやつておりますが、違いが出て参りますのは、作報でありますと、せいぜい村まで基準反収をつくればいいわけです。御承知の通りどもの調査の関係は、一筆々々に基準反収をつくらなければならぬ、そうするとどうしてもそこに齟齬ができて参ります。ある程度の基準を示して一筆ごとにきめて行く、きめた一筆を集めて村の平均、郡の平均を合せますと、作報と初め合せたつもりでも、郡段階で違つて参る、こういうことになつておりまして、もちろんでたらめに違つておるのじやなくて、そこにある程度の幅を示しておるのでありますが、その幅の程度、範囲内においては間違つて参るのでありますが、今後損害評価を厳正にいたしまして、限定いたしますれば、こういう違いは、たとえば郡として四%違つても、村々に行きますと相当大幅な違いになりますので、その点については何らかの勘案をしなければならぬというふうに思つております。
  21. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 いろいろ問題点等が提供されましたので、なお質疑はたくさんあると思いますが、予算委員会等関係もございますので、本日はこの辺で打切られんことを望みます。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員長 ただいまお聞きのように吉川委員から、本日はこの程度にして、この問題点については各委員研究をし、さらにこの委員会審議を進めたらどうかということでありますが、さようにはからつて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 足鹿覺

    足鹿委員長 御異議なしと認め、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会