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1954-07-26 第19回国会 衆議院 農林委員会食糧に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十六日(月曜日)     午前十一時五十一分開議  出席小委員    小委員長 金子與重郎君       小枝 一雄君    佐藤洋之助君       松岡 俊三君    松山 義雄君       井出一太郎君    井谷 正吉君       芳賀  貢君    川俣 清音君       安藤  覺君  小委員外出席者         食糧庁長官   前谷 重夫君         農林事務官         (食糧庁業務第         一部長)    伊東 正義君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 七月二十六日  小委員秋山利恭君及び吉川久衛君が同月二十六  日それぞれ小委員辞任につき、その補欠として  松岡俊三君及び井出一太郎君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  小委員足鹿覺君が同月二十二日委員辞任につき、  その補欠として井谷正吉君が委員長指名で小  委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  食糧管理制度改正に関する件  昭和二十九年産六等麦の買入れに関する件  昭和二十八年産米に対する追加払に関する件     ―――――――――――――
  2. 金子與重郎

    金子委員長 これより会議を開きます。  ただいま懇談会において協議いたしました本年度産麦のうち、六等麦の買上げ問題について議事を進めます。佐藤君。
  3. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 ただいま小委員長からお話の、本年度産麦六等麦買上げの問題については、去る二十二日の本委員会において、農林大臣並びに前谷食糧庁長官に対しまして、九州方面視察談と兼ねて強く要望を申し上げておいたのであります。それにつきまして、実は昨年も五万二千トン買つたのでございますし、即答を要求したのですが、これはいろいろ事務的な折衝のことでもあるしするから、私はそれ以上の言明を避けておいたのでありますが、大臣は大体においてその要求にこたえるというような意味答弁をされております。そこで本日前谷長官がおいでになつておりますから、事務的問題について、六等麦のその後の大蔵当局との折衝の仕方及び今後いかなる措置をとるか、――実はこの問題は申し上げるまでもなく、差迫つた問題でございまして、現地において見ますと、かなり買いたたきが行われておるような実情が露呈されておるのであります。そういうふうな情勢から判断いたしまして、早急にこれらの問題をひとつ御解決願いたいと思うのでございます。昨年は救済の意味もあつたでありましようが、今年においても特段にこの点は速急な方法を講じてもらいたい、こういうことを強く申し上げたいのであります。実はこの問題は、関東及び東北方面ではあまり要求がないのであります。大体において本年の産麦情勢から判断をいたしまして、九州地方に限られておるというように限定して申し上げてもさしつかえないのではないかと私は判断いたしておるのであります。こういう意味から申しまして、前谷長官の、適切なる方法を講ぜられる上の方針を承りたいと思います。
  4. 前谷重夫

    前谷説明員 先般の当委員会におきまして、九州方面の御視察によるその実態を承りましたし、またその後のいろいろな点についてただいま佐藤委員お話も承りまして、われわれといたしましても実情を十分認識いたしたわけでございますが、現在各種の資料を整えまして、検討すべき点を検討いたしておるわけでございまして、大体今週中には資料を整え、検討すべき問題点はつきりさせたい、そうしてさらに関係ある官庁との話合いも進めて行きたいというふうに考えております。
  5. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 この結論おぼろげながらもわれわれつかみたい思いますので、前谷さん、もうちよつと具体的にお話願えないでしようか。やはり九州方面の各県の代表者も非常に熱心なる陳情をされておりますので、また明日も委員会があるわけですが、ひとつなお適切な方法をどういうふうにやるかという程度まで御明示願うと、非常にけつこうなんですが……。
  6. 前谷重夫

    前谷説明員 この問題につきましては、ただいま御指摘のありました地域の問題、あるいは三麦の種類の問題等がございます。われわれといたしましては、現在大体地方におきます見込み量県別にとつております。さらにその歩どまりにつきまして各地でもつて試験をしております。これは価格決定につきましてのいろいろな資料になるわけでございますが、さらにその点を検討いたしますと同時に、見込み数量の問題と価格の問題、さらにそれに関連します財政負担の問題というふうな面が検討を要する点でございます。今週中には資料を整えまして、そういう点につきましての検討を終りたい、かように考えておるわけであります。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの佐藤委員の質問に関連してちよつと申し上げますが、長官の御答弁は非常に抽象的であるということは否定できないわけですが、もう少し具体的に、現段階において食糧庁として、六等麦の買上げを行うべきであるというくらいの、そういう構想段階に達しておるかどうか、それくらいのことは御表明できると思いますが、どうですか。
  8. 前谷重夫

    前谷説明員 大体の大きな考え方につきましては、先般の委員会におきまして大臣から申し上げたわけでございます。われわれといたしましては、ただいま申し上げました問題を、事務的に資料によつて検討し、さらにこれは財政負担の問題とも関連いたしますので、やはり財政当局とも協議しなければならぬ段階にあります。これはいろいろ考え方がございますが、われわれといたしましては、当委員会におきましていろいろの実情も十分承りましたので、そのお話は十分私の頭の中に入れておるつもりでございます。それ以上のことはまだ今後の折衝段階にありまして、この程度で差控えたいと思います。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 最終的には当然財政当局との折衝が必要になつて来ると思いますが、その前段においては、やはり食糧庁当局一つの決意を持つてこれに当るということが、何としても必要であるというように考えるのであります。その点は今の長官の御答弁で大よそ了承はできます。  もう一つは、先ほどの佐藤委員の御見解によると、大体の地域をきめて、九州くらいでよいではないかというようなお話もありましたが、これは川俣委員も一緒に東北地方調査にまわつたわけでありますが、特に岩手、青森等畑地帯の六月九日、十日における凍霜害の被害で、麦に対する影響が非常に大きいわけであります。その結果収穫してみると、稔実歩合が非常に予想外に悪いということになると、当然規格外の麦の販売される数量というものは相当出て来るのではないかというふうにも考えるわけであります。ですからこの地域を限定するというような問題、あるいは三麦のうちどれを対象にするかというような問題は、全国的にやはり統計調査部等資料等十分検討の中に入れて、最終的には疎漏のないような結論を出すべきだと考えますが、この点に対して長官の御意向はいかがですか。
  10. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいま御指摘の点が一つの問題として提起されると思います。われわれとしましては、通常事態以上の場合に対しましては、やはり同じように考えなければならぬのではないかと思います。また通常事態以上なりやいなやという点につきましては、十分検討いたさなければならぬと思いますが、現実の問題として、ごく事務的に考えますれば、地域なり品種を限るのが適当ではないかという考え方を持ちます。しかしこれは御承知のようにいろいろな問題があります。単にそういう面だけから割切れるかどうかということをわれわれも検討しなければならぬと思います。
  11. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 今の芳賀さんの構想は私も同感です。やはりそういうような考え方で処理して行くことが結論としては当然だと思うのですが、今まで声が聞けなかったものですから、大体私は今のような意見を述べたのですが、政治の動き方として、政府処置としては、あなたの言うようなことが私は考えられていいのじやないかと思います。
  12. 川俣清音

    川俣委員 ちよつと午後の審査の上に必要な資料だけひとつ……。これは多分お手元にあると思うので、急いでお出し願いたいと思います。これは二十八年度産米の各府県別収穫高供出割当数量確保数量供出数量並びに県別石当り買上高、これは超過供出完遂奨励金等を加えました県別石当り買上高が出るはずであります。またあなたの方でお持ちのはずであります。並びに配給基準になっております各県別消費人口、これは普通人口と違うようでありまして、消費人口は別にお持ちのようですから、食糧庁で持っております消費人口、以上です。
  13. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの資料要求は、先般の小委員長からの要求とも関連しておりますが、それに附加して消費人口、それに県別生産量供出数量等につきましては、印刷の関係がございます。ただ最後の手取り価格の問題は、非常に計算上の仮定の問題がございますので、むしろこれは生産量供出量の点からして全国一本でごらんになっていただきたい。と申しますのは、仮定のいろいろな問題がございますので、これを御説明を申し上げる資料として出すことは、いろいろ誤解を生ずるおそれがありますので、御了承を願います。
  14. 川俣清音

    川俣委員 それは長官非常にしろうとをごまかす言葉であって、五月現在あるいは四月現在で締め切った計算でもけっこうです。三月は相当の供出数量が出ておりましたので変化が多いと思います。四月末でありますと異動は少いので、誤解を受けるおそれは毛頭ございません。御心配なくお出し願いたい。
  15. 前谷重夫

    前谷説明員 御趣旨はわかるのですが、実際問題といたしまして、われわの方としては今県別支払つた額仮定の数字からいたしまして、供出量なり集荷量なりそういう面から逆算することは可能でございます。われわれといたしましては、現実県別支払額というものを押えようとしておるところであります。そういう点から資料の点がまだ整っておらないはずであります。ただ計算的にはこういう計算になるということになりますが、それが実際とは相当違って参ります。
  16. 川俣清音

    川俣委員 それでけっこうです。
  17. 金子與重郎

    金子委員長 それでは午前中は以上をもちまして休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。    午後零時五分休憩      ――――◇―――――    午後二時十二分開議
  18. 金子與重郎

    金子委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  午後は食糧管理制度の改正問題について調査を進めます。川俣委員
  19. 川俣清音

    川俣委員 食糧庁長官に第一にお尋ねしたいのですが、それはもう米穀統制が非常に行き詰まっておるのではないか、こういうことが世間にいろいろ流布せられるわけであります。これは単に風説ではなくして、消費量として七千万石くらい入り用な米が、実際平年作といっても六千五、六百万石よりとれない。従って大体需要を満たす力が国内にないのだ。ところが国外から米を輸入するということは、今日の国際収支の上からいって容易でない事態だということで、粉食奨励等の考慮も加わって来ておりますが、いずれにいたしましても、昨年の供米成績を見ますると、二千百万石の予定が二千五十万石か三十何万石かと思いますが、それよりも集まらないという状態であります。去年などは二千百万石は悠々たるものだということで相当自信のほどを示されたはずです。われわれは非常に危険ではないかということを強く申し述べておったのでありますけれども、相当確信あるということでいろいろな手を打たれた結果、早場米奨励金を初め完遂奨励金あるいは超過供出奨励金特別集荷手数料等のあらゆる方法を講じてやってみても、二千五十万石より集まらなかったということになっておるわけであります。そこでこの上とも米穀統制を続けて行かなければならないとお考えになっておるようでありますが、何ゆえに一体米穀統制を続けて行かなければならないかという点について明らかにしていただきたいと思うのであります。
  20. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。御承知のように現在直接統制を実施いたしておりますのは米だけでございます。従いましてそういう全体の経済体制の中におきまして、米の統制を遂行して参るということは非常に困難な点があるわけでございます。ただ米統制を廃止いたした場合にどういう状態が実現するであろうか、こういう点についてわれわれもいろいろ検討いたしておるのでございますが、まず第一に、御指摘のような米自体としての需給状態は、現在の消費者状態からいたしますると、米のみでもって、これを主食として消費者の満足の行くような形において供給するということは、現実の問題として困難でございます。従いまして問題は麦と米と合せての場合におきまして、主食需給バランスをとるということが可能かと思います。消費者の米と麦とに対する嗜好の問題、価値判断の問題がどういうふうな形になるだろうか、あるいは米を統制撤廃した場合におきまする米自体地域的な需給に不円滑を来さないか、価格が高騰しないか、それに対して十分なる政府措置が可能であるかどうか、こういう点が問題になろうと思います。現在のわれわれの方向といたしまして、消費者米麦いずれにおいても、主食としてその間に甲乙をつけないという状態でございますと、米の統制を撤廃することも可能かというふうに考えられるわけでございますが、やはりまだ米に対する需要が強いのではなかろうか。そういたしますると、統制廃止の場合における需給の不円滑、価格の高騰というものを米でもつて押えて参らなければならない。その米でもつて押えるのには、現在の政府手持ち数量等は、端境期においてはほとんど皆無の状態であります。そういう準備もできておらない、こういう観点からいたしますると、やはり現状において直接統制を廃止することは困難ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  21. 川俣清音

    川俣委員 どうも長官の今の説明では、どうしても米穀統制を強化して行かなければならないのだという十分な説明ではないと思う。今までやって来たからしかたなくやって行くのだという印象を与えるようなものであって、確固たる立場から、どうしても統制をして行かなければならないのだという説明としては不十分だと思うのです。ただ米が高くなるおそれがあるから統制を続けて行くのだというだけが一つの意義であって、それだけより持っていない。一般消費国民に与える影響からいいましても、一体何のために米というものを強制的な統制をして行かなければならぬかという理解を求めなければならぬときだと思うのです。これは生産者にも理解を求めなければならぬであろうし、消費者にも求めて行かなければならない。ただ食糧庁の頭の中だけでこういう政策を遂行して行こうとするから、非常な難関にぶつかつて来るのではないかと思う。もう少ししつかりした、こういう理由だという、国民からも支持を受ける、生産者からも支持を受ける、従つて大蔵省もこれまた支持して行かなければならないというような方向理由があるはずだと思う。われわれは持つておりますが、食糧庁が持つていないということは情ないですから、食糧庁からこの点を明らかにしていただきたい。
  22. 前谷重夫

    前谷説明員 御承知のように、現在といたしましては、需給関係においてまだ完全にバランスがとれていない。その結果として、統制を撤廃いたしました場合においては価格においてアンバランスが生ずるということが、やはり最大の原因ではなかろうかと考えておるわけであります。麦につきましては、御承知のように統制を撤廃いたします場合におきまして、大体やみ価格政府配給する価格が一致いたしましたし、従いまして価格関係においても統制を解除いたしましても、大体国民経済に大きな影響を与えない状態に立ち至りましたし、また政府がその価格においてこれをコントロールして行くというふうな準備もできたわけでございますので、直接統制を廃止したわけでございます。米の場合におきましてはその段階ではない、こういうふうに考えております。
  23. 川俣清音

    川俣委員 どうも段階ではないというのですが、段階が来るというふうにお考えなんですか。これは決して私は言葉じりをとらえる意味ではないのですよ。そういう段階が近く招来できるというだけの対策を立てるというところから、今その段階じやない、二年、三年後においては、あるいは来年度においては需給調整ができるのだ、そういう見通しがあるから今の段階においてはと、こういう理由であるならば、この段階ということの説明はそれでよくわかると思う。そうすると二年、三年後において需給調整ができるのだということになりますならば、これは今日の段階においてはまだ統制を解くべきではない、これなら理解できる。それならばそのように土地改良なり何なりを行つて、やはり増産政策をとつて行かなければならぬはずなんです。将来需給調整ができるのだという見通しにおいて、今日の段階においてはまだ統制を解くことができないと言われるのでありますならば、これは増産対策をとらなければならぬということが残されて来ると思う。それではなしに、慢然と今日の段階はその段階じやない、いつその段階が来るのだ、あなたはいつそういう段階が来るというふうにお考えになるか。どうも食糧庁という機構があるから、これに執着しているのだというような印象を与えがちなんです。私はそうではないと思つておるのですよ。私は決して食糧庁の必要から米の統制を続けて行きたいなんて考えているのではない。もう少ししつかりした米の統制の必要だということを、もつと強調できないものですか。これは私にせよというのではなく、世間にそういうことを示さなければならぬと思う。これは食糧庁立場として当然明らかにしなければならぬと思う。食糧対策協議会においても、今日の段階ではまだ早い、まだ早いというじやいつやるのか、この点御答弁願いたいと思います。
  24. 前谷重夫

    前谷説明員 今日の段階におきまして食糧統制を廃止することは困難である、こう申し上げましたのは、やはり一定の条件が可能であります場合に溶いては、全体の経済自由経済である中におきまして、米のみを統制物資としてこれを進めて参るということには、川俣さんも御承知のように、いろいろなトラブルがございます。そういう経済の全体の動きに対しましては、われわれとしてそういう動きを前提といたしますれば、当然米も将来面接統制が廃止されるべきものであろうというふうに考えておりますが、それには統制をする目的が食管法にも規定してございますように、国民食糧確保消費者の家計の安定と国民生活の安定、こういう点を主眼といたしております以上、その配給の円滑と価格の安定ということが期し得られない状態においては、これを撤廃する関係にはならない、かように考えるわけでございます。ただ撤廃する条件は、一つ麦食なり粉食なりに対します国民嗜好が、米に対する嗜好とほぼ同一になりまして、両者いずれもその価格関係において完全代替が行われる、こういう需要面からの変化一つ供給面においては、御指摘のような増産計画も極力推進いたしております。この増産計画と同時に本年度は困難でございますが、作柄等の良好な場合におきましては、ある程度政府の備蓄を行つて参る。こういうふうな需要面供給面におきまする両方の準備が必要でございます。ただこの準備が、日限的にいつの時期を目標にして達成できるかということは、今ただちに時間的な関係において規定することは困難でございます。
  25. 川俣清音

    川俣委員 それは生産需給関係と食生活の改善と両面から解決して行かなければならぬことは長官の言う通りなんです。それには別に異論を唱える人はないと思う。ただそういう目標を立てないでおいて、あたかも来年か再来年統制が解けるのだというような、そういう対策なしに、あるいはそういう対策が具現しないうちにも解けるのだというような印象のあるところに問題があると思う。一体食糧庁がいろいろ大蔵省折衝されておつても、問題が打開しないのはどうか、なぜ一体米穀統制を続けて行かなければならぬかという確固たる主張が弱いところから、これは食糧庁が単に弱いばかりでなくして、国民経済の上からどうしても必要だという国民要望といいましようか、あるいは生産者要望というものを強く表現ができないところに、弱みがあるのじやないかと思うのです。それならば一体国民ははたして米の統制を続けることを願つておるのか、あるいは統制の解除になることを願つておるのか、この点なのです。この点について金子委員から資料要求が出ましたのは、一体統制外にどの程度米が横に流れておるのか、それらのものを吸収することによつて、はたして価格の安定に寄与すると同時に需給バランスを円滑ならしめ、またそれによつて全体がはたしてまかなえるかどうか、コントロールできるだけの量を持つておるのかどうかということで、数量をそれだけ持つているということになりますならば、これはおのずから統制方法もかえて、それらのものをルートに乗せる方法がないではないと思うのです。しかし流れているのが少いということになれば、少いものを大きな犠牲払つてルートに乗せるということは、手間と経費をかけた割合に効果がないということになる。相当な数量ということになりまするならば、手数や経費最大努力払つても、これを正常なルートへ乗せて調整をはかつて来なければならない、そうなると全体の価格安定の上に非常に寄与するのであるから、さらにいろいろな予算上の処置も講じなければならない、ということになると思うのです。ところがそれらの正式なルートへ乗らないものもどの程度あるかわからないというようなことでは、これは政策が立たないと思うのです。こういうようなものをはつきり握らないで、食糧管理対策とか何とかいうことはおこがましいと思うのです。一体それらのものを正確につかんだことによつて、はたして需給調整がつけられるものかどうか、ごく微量であるということになりまするならば――微量じやないかもしれませんが、それだけのものを乗せたところで、多くの犠牲経費とあるいは予算上の措置をとつても大した効果がないのだ、かえつてやみ米に流しておく方が安定するのだということになつておるのか、それを政府だけがルートに乗せて価格調整をし、数量調整をすることによつて、一体国民生活がまかなつて行けるのかどうか、価格調整ができるのかどうかということについて検討なつたことがあるのかないのか、この点一つ
  26. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまのやみ米の問題でございますが、やみ米の問題について数量を把握するということを、実はわれわれの法でも目下販売量等からいたしまして、いろいろ推定をいたそうとして、努力はいたしておりますが、これは御承知のように非常に困難なことでございますし、また的確な把握ということが不可能に近い状態になつております。このやみ米状態は、御承知のように同時にやみ価格との関連もございますし、これをいかにして把握するかということは、地域的にも非常に状態が違うと思います。地域的に申し上げましても、おそらく川俣先生の御郷里のような秋田等におきましては、御承知のようなやみ米状態でございまして、これのやみルートに流れる量というものは、地域的にはその価格関係からいたしまして大きな量ではなかろうかと思いますが、同時に関西、東京近辺の大消費地を中心にいたしましたやみ米価格状態からいたしますると、これを国家の財政及び消費者負担の範囲内において、全部吸収するということも非常に困難でございます。やはりそこは現実事態に即しまして、極力やみ米のなからんことを希望し、その施策をとつて参りまするが、やはり完全には行かない。それはもちろん購買力の問題とも関連いたして参ると思います。われわれといたしましては、統制を実施いたしておる現状においては、そういうことのないように施策をすべきでございますが、施策にもやはり限度がある。現実の問題としてこれを絶無にするということも困難であると思います。
  27. 川俣清音

    川俣委員 私は今やみ米を取締らなければならないというような議論をしているのじやないのです。その数量が莫大な数量に上るといたしまするならば、これはどんな犠牲払つてルートに乗せる必要があるのではないか。それだけの法律的な処置、並びに経済的な処置、人的な処置を講じても価値あるだけの数量かどうか。経費をかけまたは法律を直して行きましても、経済的な効果を現わすに足らないような数量であるならば、これは問題の外だ、一体相当大きいのか、小さいのか、どう見ておるかということなんです。大きければ法律的にもあるいは人的にも、国家経済の上からも、これを相当計上して、単に取締るという意味じやなくして、これを正常ルートへ乗せて、価格調整をして、国民経済に寄与するような方途を講じなければならないであろう、こういうことなんです。そのやみ米を取締るとか取締らぬとかいう議論じやないのです。聞き違えをしないようにひとつ長官答弁を願いたい。
  28. 前谷重夫

    前谷説明員 先般小委員長からもやみ米状態についてこれをどの程度に見るか、こういうふうな点についてのお話があつたわけでありますが、先ほど申し上げましたように、このやみ米の量を推定するということは非常に困難でございます。と申しますのは、二つの見方がある。一つは、農林省におきまして、現在農家経済調査からいたしまして、農家の販売量、消費量を調べております。この面からした平均のいわゆる政府以外に対する販売量がどういうふうになつておるかということから算定する方法一つあります。もう一つは、FIESにおきまして、消費者の家計調査をいたしております。これに基きまして、消費者が家計においてどういう数字を配給以外に買つておるか、こういうことを、これも一世帯平均を全戸数にかけるわけでございますから、非常に不安定な要素になるわけでありますが、そういう不安定な一つの要素が、現実に平均してそういう形になるかどうかということは非常に問題でございます。そういう計算方法をやつてみましても、そこの間におきまして非常に食い違いがあるのでございますが、現実に的確なやみ推定量ということを、われわれとしては現在つかみ得ない状態になつております。
  29. 川俣清音

    川俣委員 次にそれでは、この前の食対の協議会でいろいろなことを決定せられたようですが、われわれの見るところによりますれば、一体統制を強化して行くつもりの答申案になつておるのか、あるいは統制を徐々に解いて行くという方向でこの答申案ができておるのか、どちらにも解釈できるような答申案になつておるわけでございます。まことにあいまいな答申案なんです。これは答申案自体が一体あいまいなのか、発表があいまいなのか、これはひとつ議論があると思いますけれども、やはり専門家でないものが寄り集まつたところでいい案が出ないのがあたりまえのことなんです。私は率直に言うてそう思うのです。今日の農村のほんとうの事情を正確に把握しないで、やみ米が一千万石もあるのだろうという見方をする人があるだろうし、あるいは百万、二百万石と見る人があるだろうし、そういうところから、全体的な思想統一も現実の把握もできていないので、私はこういう非常にあいまいなものになつておるのじやないかと思う。それと同時に、急所である統制を今後続けて行くとすれば、一体どういう集荷対策で行くのかという点についても、これも非常にあいまいです。これくらいの集荷対策ではたして集荷し得る自信あつての答申案であるかどうかということになると、みな自分がやつたことのないような人がやられたものでありますから、自信のほどがこれらの紙上に脈々として現われておるというようなものじやなくて、どこか逃げ腰で、責任は食糧庁にあるのだ、集荷はこんなことをしてやればいいのだ、こういうふうになつているのじやないかと思われますが、いずれにいたしましても、大臣は、これは非常によい答申案ができて、御説ごもつともであるから、大いに尊重するのだということを申し述べられておりますが、こんなあいまいなものを出されて、一体どこを尊重して具体的なものをお考えになつておるのですか。
  30. 前谷重夫

    前谷説明員 全体の答申案の基調といたしましては、先ほど私から申し上げましたように、消費者が自由に消費し、生産者が自由に売れるということは、理想形態として最も希望するところであるけれども、諸条件がそこの段階に至つていない、こういうことを前提といたしまして、集荷制度――集荷制度につきましては予約制度という一つの集荷制度を提唱されておりますし、また配給面につきましては、配給の非常に複雑いたしております年齢差の問題なども簡素化いたし、また消費者の希望に応じた選択的な配給制度を提唱されておるわけでございまして、ある程度集荷、配給につきましては、具体的な一つ方向目標というものを示されておりますので、それを現実事態に即しましてどの程度に実施できるかということをわれわれとしては検討して参りたいと考えております。
  31. 川俣清音

    川俣委員 私は長官から今の御説明を聞いて実は唖然としておるのです。というのは、長官説明だと、何か米の一手販売会社の社長の答弁みたいで何も農業政策がないですよ。今は米が不足しておる。そこでこれを国民経済の上から一定の配給をして行かなければ食糧が不公平になるからやつて行くのだ、これは確かに一つの農業政策ですよ。しかし米が多くなつた場合には統制を解くのだ、こういうことなんですね、そういうことは理想だと言うのです。農業政策上そんな理想がありますか。米が多くなつたということは、一体何のために多くなつたのか、ひとりでこれが多くなるのではない、農民が競つて多くなるのじやない、国が今増産をしなければならないということで、その努力を農民に強いて、その結果多くなつたのであるから、多くなつたからお前はもうかまわないのだ、これじや農民をまるででくの坊みたいに扱つておるようなものです。米が多くなつた場合においてはむしろ統制をして行く、買上げをして行く、あるいはほかの代作物に転換して行くのだというような政策が打ち出されて来て、初めて多くなつた場合においてはこういうふうにするんだということが出て来なければならない。それが理想だなんということはおかしいことですよ。一体理想だなんというからには、もう少し土地改良でもやつて政府の計画があつてこの計画通りに行けば大体需給バランスがとれるのだ、それ以上のところは増産はやらないのだ、こういうことになつて初めて農業政策が完璧になるのですよ。多くなつたときには、理想だからそのときには統制を解くのだ、これじや計画性も何もないじやないですか。農林省はいらないんですよ。そうなんじやだめだと思うのです。一体何年度までの間にはどれだけの食糧の増産が必要だ、それには国としてはどれだけの努力払つて行く、その期間は統制は解けないのだ、それ以上になつた場合においては、また別な方向から農業政策をかえて行かなければならないのだ、こういうふうになつて来なければならないと思うのですよ。どうも最近の食糧庁は農政がないと言われておるのは、このことから出るんです。まるで取扱い販売会社みたいで、ただ国の命令で委託を受けて独立会計になつたというところから、頭がそういうふうになつて来ておるのかもしれませんけれども、そうじやないと思う。国がこれだけの大きな経費をかけて、食糧庁を行政機構の中に持つておるということは、やはり国民経済の上から、農業政策の上から必要であるという観点であるのであつて、単にそういうだけの事務的な取扱いをするのでありますならば、これは独立の公社でもいいはずなんです。少くとも農林省の中にあるからには、農業政策というものを常に堅持しながら食糧政策をやつて行かなければならないと同時に、国民の消費経済の上から国民経済をになう意味と、二つかね合されて行政が行われなければならないものだという観点、この立脚点を忘れてはならないと思うんですよ。だからしてどうなれば理想だ。それならば一体食糧庁としては、あるいは農地局に対してあるいは大蔵省に対して、これだけの増産計画を立てて行かなければならないのだという点を堅持されておつて、何年後においては粒食は大体この程度――七千万石なら七千万石、あるいは八千万石なら八千万石つくることによつて、そのときは統制は解けるのだということならは、これはよくわかりますけれども、一体どのくらい農民が努力していいのかめどがないじやないですか。あまり一生懸命やつたならば非常な損が来るということをみすみすわからしておきながら、単に増産やれやれじや農業政策にならない。七千五百万石、八千万石は必要だから、そこまでは増産に努めなければならない、あるいは生産条件の悪いところはその間においてやめて行かなければならないであろう。今のところはどんなに生産条件が悪くても、増産だ増産だということでやらしておる。だからして七千五百万石、八千万石になつた場合においては、そういう生産条件の悪いところはもう米はつくらないのだということになつて行かなければならないと思うのです。また一方において当然そういう八千万石、九千万石というような増産計画が当分ここ十数年の間に立たないということになつたならば、これは食の転換をはかつて行かなければならない。食の転換によつて米の消費規制が何千万石ぐらいできるはずだ。まず六千万石に規制できる。それならば六千万石でこの生産条件に合うところがつくられなければならないというふうになつて行かなければならないと思うんですよ。一方でただ増産だくで、まじめに増産をやる者がおるかと思うと、できたならば今度自由になつてつてだぞ、これではまつたく何のための政策だかわからなくなつて来ると思うんです。この点ひとつもう少し明瞭に答弁を願いたい。
  32. 前谷重夫

    前谷説明員 私あるいは言葉が足りなかつたかと思いますが、私が申し上げました統制撤廃は、直接統制の撤廃ということを申し上げたわけでございます。従いまして農業政策として、あるいはまた食糧政策といたしましても、現在麦で行つているような間接的な統制方式をも含めた意味での統制撤廃という意味で申し上げたわけではありません。直接統制といたしましての意味で、統制の問題を申し上げたわけでございます。従いまして需給の面におきまして、一つはもちろん供給面からする何千万石できれば統制の撤廃が可能であるという見方もございますが、同時にまたそれは需要面との関連もあるわけでございまして、需要面との関連においては、やはり購買力の問題、嗜好問題等影響しますので、これが端的に現われるものは自由価格ではなかろうかと考えるわけであります。従いましてその自由価格が麦との関連において適当な価格になり、麦との関連において米麦合せての需給の安定、価格の安定が庶幾し得られます状態におきましては、いわゆる直接統制配給制度と申しますか、直接の買上げ制度というものは、そういう時期においては廃止し得られるじやなかろうか。川俣先生が御指摘の農業政策、食糧政策の面からして全然手ぶらでいいのかということについて、私は手ぶらでいいという意味で申し上げたわけではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  33. 川俣清音

    川俣委員 自由価格の問題ですが、一体米の需給が非常にきゆうくつな場合、需要を満たすことができない場合の自由価格と、非常に多くできて、農民が自分の生活費を切つて安くしなければならない需給状態に陥つた場合の自由価格と、同じ自由価格でも非常に違うのです。そうでしよう。米が非常に不足な場合における、需要を満たし得ない場合の自由価格と、非常に増産ができて、または食生活が転換されて、米の供給増になつた場合の自由価格とは違うと思うのです。そこで一体自由価格が希望だ希望だとよく一部の人々から言われますけれども、また長官も自由価格が望ましいんだと言うけれども、その場合の自由価格はどつちを意味しているんですか。農民から言うと、自由価格を希望しているのは、すべての物の需給バランスが必ずしもとれていないのにかかわらず、自由価格にしている。そこで米の需給バランスが最もとれていないときの自由価格が、農民にとつて手取りが多くなるから、一時希望することになつて来ている。これは米が非常に多く、食生活の転換または増産ができて、米の供給が余つて来た場合における自由価格は、おそらく農民が望まない自由価格だということになることは明瞭です。そこで一体自由価格を希望するというのだけれども、いつのどういう自由価格なんですか。
  34. 前谷重夫

    前谷説明員 あるいはお答えが少し的をそれるかと思いますが、私が申し上げましたのは、供給の面からの目安及び消費面からの目安を一つの計画的な目標のもとに、どの程度状態に立ち至つた場合において、直接的な統制が廃止できるか、こういう御質問に対しまして消費者需要の動向というふうなものは、これは非常に的確につかみ得ないわけでございますが、供給消費の関係が端的に現われるのは、自由価格によつて現われるのじやなかろうか、従いまして政府がとつております統制価格と自由価格とがほぼ一致する場合におきましては、大体需給バランスがとられておるというふうに見てさしつかえないのじやなかろうか。麦の場合においては、そういう見解のもとにいわゆる直接統制を間接統制に移行した、こういうことになつております。従いまして米の直接統制が間接統制に移行し得る時期を抽象的に申し上げますれば、そういう時期ではなかろうか、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  35. 川俣清音

    川俣委員 一体そういう時期を今判断できる材料が、食糧庁にもないし、今の政府にもないのですよ。できる見通しもないときに、そういう議論をされるから議論倒れになるのだと私は思うのです。だから議論倒れになりますからその点は転換いたしますけれども、一体見通しもなしに議論すべきじやないと私は思います。今までは世間にそういうことが伝わつておりますために、調整意味でこれだけの議論をしたわけですが、元へもどりまして、一体今統制を続けて行かなければならないという本体はどこにあるかというと、昨年よりも今年なお統制を強化して行かなければない要請の上に立つておると私は見ておるのです。それは国際収支の上から、なるべく食糧というようなものは輸入を避けて行かなければならない要請の上にあるということが一つと、もう一つは、いい悪いは別にいたしまして、政府がデフレ政策をとつておるときに、そのデフレ政策の基本であります食生活の上に経費がかさんで参りますと、そこから大きく破綻をするということが憂慮されてのものだ、私はそう理解するのです。従つて今日において統制をゆるやかにすることは、政府の側から行けば考えられないはずだと思うのです。ところが食対協議会は相当政府の意向を聞いて答申されておりながら、非常にあいまいになつている。これは何人が見ても、一体統制を強化して行く意味なのか、緩和して行く意味なのか、まつたく了解に苦しみます。私一人だつたら問題はないのですが、私ばかりじやない。現にこの委員会においても某委員から、一体この食対の結果は統制を強化する意味でしようか緩和する意味でしようかと、現に聞かれておる。従つて世間からわれわれが聞かれる場合においても、一体政府は強化して行く方向でしようか、近く緩和する方向でしようかということを常に尋ねられるのです。ということは、これは発表が非常にあいまいであるということなんです。ところがそういうあいまいを許されない状態が内外に出て来ておるときに、こういう発表をしてもらつて、まことに御説ごもつともだ、この意見に従いますというようなことはどの点にあるのか、食糧庁長官大臣にかわつて答弁願います。
  36. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの御指摘のように、本年度状態におきましては、外貨の面からいたしまして、国内の集荷を多くする必要がある、これは一つの要請でございます。同時にまた国内のデフレ関係からいたしまして、消費者価格はできるだけデフレに逆行しないようにという一面の要請があろうと思います。同時にまた財政負担でもつてやります場合におきましては、やはり通貨量の増大ということにおけるデフレ政策との相反する面があります。またわれわれといたしましては、現実にはそういう各種の要請のもとに、やはり米の自給不足からいたしまして、ここに現実の集荷の場合におきましては、そういう集荷されたものを公平に分配して行くという消費者面からの要請もあるわけであります。こういう相反する要請が多々あるわけでございますので、この相反する要請を、現在の社会経済情勢のもとにおきまして、できるだけ間整して参るということをわれわれとしては念願といたしております。
  37. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 関連して。この際あなたに聞くにはあたらないかもしれないけれども、食糧増産五箇年計画というのが立つたわけですね、それが二十六年、七年とだんだん漸減的に減つてしまいまして、これは非常にぼやけちやつた状態にあるですね。御承知のように、今年の予算をとるには大分われわれは骨を折つた。前年が食糧増産対策費としては三百八億七百万円だと思います。それから大蔵省査定が、今年は二百二十一億六千百万円と非常に減らされたわけですね。どうも土地改良なんかの金をつぎ込んでも、これが面接実際的な効果が現われるのが薄いのです。私今度旅行して干拓の仕事を見まして、ことに長崎あたりの干拓は、土地ががたといいまして、十年間も肥料をくれずに行くという、これはまさに増産にはぴつたり行くわけです。こういう適切な方法をとるように私ども転換しなければならぬと思います。今川俣さんの質問を承つて、あなたの答弁を聞いても、食糧の配給制度、それに伴う供出の問題ということに対しては、もはや再検討を要し、国策としてここに転換を要する事態に来ているんじやないか。よかれ悪しかれ、統制というものに対してひとつ考え直さなきやならぬ転換期に来ておると思うのでございます。これは少し無謀かもしれませんが、私はある人に聞いたら、佐藤さん米は絶対量は不足していないんだ、統制を解いてごらんなさい、必ず米が出て来て調節はできるんだという議論で、この人は数字に立脚しない議論だから一応参考程度に聞いておるのですが、絶対量としては少くない。もちろん昨年の冷害、今年の冷害を予想した場合における五千万そこそこというのではだめですが、そうでない六千四百万石から七千万石程度であると、三百万町歩の作付で平均一石一斗くらいの収穫とすると八千万石、それから麦が約三千万石ということになると、八千万の人間が食うのには大体バランスはできておる。自然の調整にまかせて行けるんじやないかという議論があるのです。これはきわめてしろうとの質問だけとども、漠然としたことに対してどうです、食糧庁としての目安は。
  38. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの御指摘は、国内の生産量の見方の問題かと思いますが、約三百万町歩でございまして、二石一斗とすれば六千三百万。これに麦を足しまして、麦の三千万石を米換算にいたしますると、大体二千万石程度。従いましてその総体といたしますると約八千万石でございますが、個々の個人の消費量をどの程度考えるか、こういう問題でございますが、やはり戦前においては一石以上のものが消費されておつたということを考えますと、現在の八千六百万の人口に対しまして国内生産でもつて十分まかない得るということにはならないんじやないか。ただ御指摘のように、米と麦と合せてどうかということになりますと、輸入数量全体として合せますると、これはやはり全体としての需給バランスはとり得ると思いますが、まだ米に対する嗜好性が麦と同じ程度になつておるかどうかという点につきましては、われわれもなかなかわからぬ問題でありますから、個人々々のそれぞれの嗜好があろうと思います。これをわれわれから抽象的に机上で判断することはむずかしい。これが集約的な現われとしては、麦に対しましては、大体政府の買入価格なり売渡し価格なりにその実態が現われてまず需給バランスが十分とれている。米につきましては、まだ政府統制とやみとの間に差があるということにおきまして、需給バランスはとれておらないのではないかというふうにいわざるを得ないのであります。
  39. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 それは大体私も今の前谷長官お話を首肯し得るのでありますが、なるほど日本は御承知のように、戦前は台湾と朝鮮を持つていた。朝鮮は一番輸入したときには米は約七百五十万石くらい入れております。台湾の蓬莱米は一期作ですが、四百八十万石日本に入れておつた。戦争の結果は朝鮮を失い台湾を失つて、領土は三千五、六百万に減つてしまいましたから、従つて食糧の不足いたしましたことは、私は大づかみにわかつているのです。しかし何としても最近の情勢から行きまして――私は毎日いなかから通つて来ますが、やみ列車です。列車内の取引をつぶさに見ておるのですが、もう憂うべき傾向にある。これは何としてもやまないのです。昔東京は一日に四万俵ずつもの消費量があつた。昔でさえそのくらいあつた。今日七百万近くもあれば六万俵くらいの消費になるかもしれない。この表を拝見しても、内地米は五日で米としては月半分に足りない。どうしてもやみ米を得なければ生活できないという情勢である。ところが終戦後におけるジープがはなやかに活躍した時代、いわゆる占領行政の時代には、恐しかつたから供出したかもしれない。知事が官選の時代にはある程度言うことを聞いたかもしれないが、最近の情勢では供出制度は破れて来た。どうしても破れた供出制度に立脚して配給をしようというところに非常な無理がある。私は米を平等に配給することは、極端な言い方をすれば悪平等だと思う。きよう拝見した表を見ても、特別加配として三十三万トンくらいの加配米をしているのですから、こういうようなところがあつて、かなり私は平等観念における米の配給に疑問を持つて来ております。そこで平年においては、大体三千万石というものが米屋の手を経て需要家に渡るわけです。それにはいろいろの機構があつた。仲買人という機構、廻米聞屋という機構があつた。今日はそれがない。しかし平素は三千万石は大体出まわつておる。それで供出が二千そこそこなんです。農家はやはり売らなければならない。納得する相場が来れば農家は売るのですが、この兼ね合いです。これをどういうように持って行くかという段階に来ているのではないかと私は思うのです。これはなか  大きな問題で、実は私は、もはや統制は撤廃して自由販売に移行すべき段階に来ておると思うのです。今年のような凶作にでつくわすと、これはちよつと異例なことですから問題ですが、どうも川俣さんの議論を承り、あなたの答弁を聞いても、何とか供出配給制度に対してひとつ一大考えを起さなければならぬ段階に来ておると思うのです。その段階という問題でさつき川俣さんから話があったようでございますけれども、統制を撤廃し、自由にするには政府として処置すべき問題はあります。これは手放しで統制を撤廃するわけには行きませんから、いろいろの機構をこしらえなければならないし、また買占めなんかに対する対策考えなければならぬというのも当然のことですが、どうも法律が守れない。すなわち米の移動を禁止したという制度は十四年につくって以来、農林省のあなた方は米々で朝から晩まで暮されておる。だけども国民としては米の移動は常識なのです。見つかると食管法違反でもつてえらい罰金を食う。体刑まで食うという情勢であって、これは何か非常に割り切れない矛盾があるように考えておるのですが、どうですか。これに対するあなたの考えを、私の質問ははなはだ漠としておりますけれども、それを総合して答えていただきたい。
  40. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの佐藤さんのお話は、現実面からしてお話になりました点であります。現実は、お話のように相当のやみ屋が活動いたしております。ただこの現実からただちに全体の直接の配給を廃止し得るかどうかということは、先ほど私申し上げたように、やはり廃止した場合における事態に対して、政府としてはその手段がなければならない。過去の例を見ましても、米騒動が起りましたのは、日本全体といたしましてはやはり需給バランスは十分とれておった次第でございます。ただ地域的なアンバランス地域的な米の偏在及び価格的な関係からしましてああいう事態の起つたことは御承知の通りであります。やはり現在の状態におきまして、まだ米のやみの価格が相当高いという状態においては、そういう事態に対しまして十分なる対策が立ち得ない場合におきましては、軽々に直接的な統制を廃止するということは、政府としては困難ではなかろうかと思います。ただ、それではこの法律の趣旨に従いまして、統制を強化いたしまして、やみ米がほとんどなくなるというふうな状態に持って行き得るかどうか、これは一般的な社会情勢でございまするし、また米に対する、あるいは食糧全体に対する考え方もありますので、これもまたなかく法律の命ずるところに理論通りに持って行くということも困難の点があることは、御承知の通りでございますが、やはりその面面をにらみながらやって行くという以外に方法はないのではなかろうか。ただわれわれといたしましては、米の需給なり価格の安定からいたしますと、百パーセントの効果を上げた、あるいはやり方によりましては何十パーセントの効果しか上げていないという見方があるか知らないが、やはり全体の量からいたしまして、消費者といたしまして、ある程度配給があるということが一つ消費者に対する安心感となる。現在は消費者はほとんど配給があるということでもって、家庭の米びつが空になることがあっても、あまり問題は起りませんが、配給がないということになると、各消費者の家庭におきましては、ある程度米を切らさないようにするためにランニング。ストックが相当に増加するということになる。そういう各種の事態考えながら供給量の増加をはかり、また消費の転換をはかり、価格関係が安定するように持って行く必要があります。これは簡単には行かないで、その間の準備をしつつ時間をかけなければならないというふうに考えておるのであります。
  41. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 米の統制をといて配給のないことにした場合の政府処置として、相当政府としてはお考えになっただろうと思うのです。またそういうふうな案がもうすでに政府としてはあるのではないですか。ここで発表せいというのではないのですが、ひとつ大いに研究しておく必要があるのではないかということを申し上げておきます。
  42. 川俣清音

    川俣委員 今佐藤委員から質問が出ましたので、結末をつけて前に進みたいと思うのです。  この食対の答申案によりますると、終局的には自由な取引を認めと、こういうことになりますが、統制をしておる場合と自由な取引を認めた場合との差は一体どこにあるかというと、これは私が説明するまでもなく、統制をいたしておると生産も一本価格、消費も一本価格ということになる。自由取引になりますと、価格が不足になって来る。おそらく生産者一本価格消費者一本価格でないということが自由な取引だという意味だと思うのです。一体そうなって参りますと、今の頭で描いておるような生産様式が全国的にとられるかどうかという点が出て来るのじやないか、結局産業構造がかわって来るのじやないかと思うのです。ちよつとおわかりにくければもう一度説明いたしますが、統制を続けておると生産者販売価格が一本、消費者買取り価格が一本、こういうことになって、全国一律であるという点が統制一つの行き方であります。このための統制ということになると思うのです、全国一律であるという点が統制の結果生れて来る。一番の最大目標はそこにあると思うのです。これを自由にするということになりますると、生産者販花価格が不同になる。東京に近い所は高くなり、あるいは山間僻地になりまするとこれが安くなるということになると思うのです。結局東京へ来ての相場ということになると思うのです。今の木材相場と同じだと思う。木材は、御承知の通り山の奥になりますると、ほとんど立木は値段がしない。結局運搬賃と手数料に追われてし願う。これと同じようになると思う。そうなって参りますと、今開墾者がやっておるような、あるいは山間僻地において米を増産いたしておるようなものがやらなくなって、別に転換して来なければならない。おそらく米が自由販売になると酪農の方へ転向して来るのじやないかと思うのです。これはやってみなければわからぬということにもなって来ると思うのですが、大きな変化が来ると思うのです変化が来た場合の米の全体の収量がどういうふうになるかというと、今の頭で想像しておるような収量が確保できるかどうかということは瞬間だと思うのです。ある地帯におきましてはもっと増産になるでしょうし、ある地帯におきましては米の作付反別を転換するというようなことが起って来るので、総体的にはどういう結果になるかというようなことについては、いろいろな想像はあろうと思いますけれども大きな変化を来す。こういう大きな変化というものの予定をつけないうちに、また対策もできないで統制を解くなどということは、とうてい不可能なことだと思うのです。不可能なことを将来あり得るのだというような考え方統制を続けて行くことに、私は問題があると思っているのです。可能なことがごく近年に行われるなら別です。佐藤さんの言うように二、三年に何とかの方法で解除できるような状態が一体生れて来得るのかどうかというと、ほとんどできる可能性がないのじやないかと私は思う。あるならお示し願えればけっこうです。お示しによりまして、今後の食糧対策のあり方がかわって参りまするから、お示しくださればまたそれに応じた対策を講じて行かなければならないと思いますが、ここ当分崇めないのじやないか、ここ数年あるいは十年以内にはなかなか望み得ないのじやないかという考え方で、統制を継続して行かなければならないのじやないかという立場に立って今後の統制のあり方をどうするか、こういうことになると思うのです。近く解かれるという場合の統制のあり方と、農政上からいつても将来なかなか解けないのだという立場をとつて統制を続けて行くのか、この観点が違うと対策も異なつて来ると思うのですが、長官は一体どつちを考え対策を立てておられますか。そのよしあしは別です。
  43. 前谷重夫

    前谷説明員 現在の統制と次に来るべき形とがどういうあり方であるかということについての違いについては、感覚が違うと思いますが、御指摘のように完全な自由の販売、自由の消費ということでそこに政府が何ら介入をしない、こういう場合におきましては、御指摘のように生産者の販売価格というものは、消費地への距離その他の関係において異なつて参ると思います。全体的にはやはり一物一価という形になろうかと思いますが、運賃差、手数料、労賃差によりまして、また消費の状況によりまして生産者の販売価格が異なつて参るということはあろうと思います。従いましてそれに応じました生産形態の変更ということも想像できると思います。ただ先ほど申し上げましたように、統制撤廃の問題は現在の食糧統制の問題といたしまして、その統制に対する考え方として二つあると思います。一つは完全な自由、統制撤廃と申しますか、間接統制を乗り越えた完全な自由の取引の場合と、さらに直接統制統制ではありまするが直接的な配給統制、集荷統制と間接的な統制と、つまり無制限買入れのような形におきまして生産者に対する一つの生産に対する価格の保障をし、それから消費者に対しましてやはり一定価格以上に対する価格の抑制を防止して参るという一つの幅のある、一本でない統制形態も理論としては考え得られるのじやなかろうか、こういうふうに考えられるわけであります。ただそれに対して、現実にそういうことは可能かどうか、それに対する間接統制の諸条件が備わつておるかどうかという点について、これはまた別問題であります。従いまして統制の撤廃と申しましても、これを完全に自由化するという場合と、直接統制を間接統制に移して参るという場合とにおきまして、その影響度、影響の部面というふうなものは異なつて参るだろうというふうに考えられるわけであります。
  44. 川俣清音

    川俣委員 どうも私の聞かんとすることと答弁とは大分隔たりがあると思うのです。私のは前提を置いて、強制統制であろうと間接統制であろうと――体間接統制というのはどういう意味であるかということをあとでお聞きしなければわからないのですが、私は統制という意味を、結果においては生産者が一律な一本価格消費者が一律な一本価格、こういうことに現われることを統制という、こういう意味を言つておるのです。従つて間接統制であろうと、そういう結果になることを統制ということで質問を進めているわけなのです。そこでそういう統制が結果的には消費者一本一律一価絡で行く、生産者はまた一律価格で行く、こういう統制が当分続けられるものとしての今後の対策と、間接統制とはどういう意味かわからぬけれども、間接統制というものがどういうときに考えられるか、それによつて対策がかわつて来ると思いますが、今私が申し上げた以外の間接統制というものがあり得るとすれば、これはお聞きしなければなりませんが、一体間接統制というのはどういうふうなものですか。
  45. 前谷重夫

    前谷説明員 間接統制の言葉が当るか当らぬかは問題でありますが、現在政府が米についてとつておりまするのは、政府以外の売買は認めない、こういう形をとつておるわけでございますが、その直接統制でない場合におきましては、これは見方の点もあろうかと思いますが、現在麦でとつておりまするような一つの方式、生産者から消費者に対する売買ということが認められながら、一つの幅において価格の安定、需給の安定がはかられておる、こういう形に想像されるわけでございます。これにはもちろん先ほど申し上げましたように、いろいろな前提条件が必要であり、実施が可能かどうかということは別問題でございます。そういう場合と完全に政府が関与しない場合とでは、その効果影響ということもおのずから違いがあるだろう、こういう趣旨を申し上げたわけでございます。
  46. 川俣清音

    川俣委員 麦の現在やつておるようなことが間接統制だということを言うならば、これは非常に論外になるわけです。私どもは現在麦のやつておるのは間接統制とは思つておりません。というのは、ほんとうに間接統制というようにあなた方がお考えになつておるとすれば、当然六等麦の買上げなどは端的に解決されなければならぬはずであります。これをなかなか渋つておるところを見ると、間接統制などというような表現は当らない書き方だと思う。これは確かに一つ支持価格であつて、こういう条件に当てはまるものは買い上げる、それは将来の消費者のためをも考え生産者立場も一部は考えて買い上げてやるのだ、こういうことだけで、これは間接統制でなくて一つの農業政策の保護政策の一環の現われでありまして、そんなのを間接統制だというように言われるとすれば、対策も非常に混乱して参ります。いずれにしてもこれは別問題にいたしまして、私はやはり米の場合は麦のようなわけには行かないという前提に立たざるを得ないと思う。理由は明らかで、申し述べてもいいが、時間がないから申し述べませんが、そういう観点に立つた場合において、今のような、また食対が考えておるような集荷制度で、はたしてこれらの目的が達成できるかどうか。この集荷対策は、要するに予約申込みを受けて、民主的な割当制度に移行するために予約制度を認める、そのために奨励金を交付するのだ、これは予約制度を認めるというからには、予約制度というものから行くならば、奨励金ばかりでなくて、おそらく予約手形によつての割引であるとか、融資であるとかいうものは考えて行かなければならないことになると思うのです。これは仮買上げですから、すでにできぬうちの売買の契約でありますから、手形売買、先付手形みたいなものですから、当然これは割引なり融資なりというものがいて来なければならぬはずだと思います。奨励金だけで済まされる問題ではない。予約制度などというので新しい名前をつけて、これはうまくやれるのだなんと言いましても、予約制度本来の意義は、単作地帯の供出なんかを考えると、経済的にいえば手形売り、約束手形売りです。必ず売らなければならないという条件がついた先売りです。予約制度というものは先売りということになるならば、これは手形割引のように融資がつかなければならないし、割引がつかなければならないわけです。割引がつくから奨励金を出すのか、またその奨励金では足りないからもつと集荷の面から奨励金を出すのかという問題が起つて来なければならないと思いますが、この点について、しろうとが書いたかどうかわかりませんが、非常に不徹底なもので意味がわからぬのです。ただ言葉だけとつて来て、集荷制度にこれをとるのだなんと言つたつて、とてもそれは問題になりはしません。特に本年度については、割当と集荷団体によるところの申告制度とをあわせ用いるというのだけれども、一体頭で考えたようなこんなもので、米が集まるとあなたは思つておられますか。これは非常に名答申案だというようにお考えになつて大いに採用されるらしいけれども、どこに名があるのです。新しいという考え方は出て来るかもしれません。これによつて的確につかめるというようなことは、今まで苦心してやつてもできないのを、こんな言葉だけを持つて来たつて、とうてい集荷などというものは及びもつかないと私は思います。これはこの間あなた方が二千百万石は必ず集荷できますと断言した。われわれは三千万石もあぶないと思つたが、それよりは幾らかよけい集まつたようですが、それほど自信のある案だとも思いませんが、これを尊重されるというのはどこにあるのですか。
  47. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘のように予約制度につきましては、根本的に融資の問題等も十分に考えなければならないわけであります。ただ本年度におきましては、答申にもありますように、時間的の問題もございまして、そういう万全の態勢を整えて、そういう制度に移行することは困難であるということも、同時に認められておるわけであります。ただ、これは現実の問題といたしまして、従来割当制度につきまして行政権による割当をもつて実施いたしておったわけでありますが、これに加うるに集荷団体特に生産者団体である農業協同組合等におきます協力ということが加わりますれば、さらにその点が政府の集荷としては円滑に行き縛る道が開け得るのではないか。単に行政権による割当集荷ということのほかに、集荷団体としての生産者団体の協力ということがこの制度として入つて参りますれば、少くとも従来いろ集荷その他についてトラブルがありましたことが避け得られるのではないかと考えておるわけでありまして、極端に申しますと、われわれとしては、われわれの行政力のほかに、生産者団体の協力を求めるというような趣旨におきまして、こういう考え方に対して十分検討して実施することが必要ではないか、かように考えておるわけであります。
  48. 川俣清音

    川俣委員 ますます私はおかしくなつたのですが、法律の背景をもつてしても、行政権のバツクをもつてしてもよく集め得なかった。それは経済力を伴っておらなかったからだというようなことにはなるかもしれませんが、大きな国の法律的な背景及び行政的な背景をもつてしてもよく集め得なかったものが、民間団体にそれをやらせるというようなことは、よほど経済的な援助を与えるという条件を振りかえて行くならば、これはなし得られることでしょうが、民間団体が経済力を比較的持っておらない、また大きな法律的バツクも持っておらないときに、行政官があげてやったことですらできないのに、また法律的背景をもつてしてすらよく集め得なかったのに、民間団体だから集められるというようなことは、およそ見当違いだと思うのです。それはおそらく、民間団体でやらせろという意味は、経済的に見て、政府がやるならば経済を無視した強用でやるから集まるのだ、民間団体でやればそういう強圧ができない、そのかわりに経済的な恵みをもつてやるからできるのだ、こういうことだと思うんですよ。首をかしげたつてそうですよ。政府の強圧がいけないというのは、法律の背景、行政の背景で安く買い上げようとするからいけないのた、こういうことなんですよ。同じ価格であれば法律の背景と行政官の力をもつてつた方がよく集まる、それでは集まらない段階に来たということは、単なる権力だけでは集まらない、権力で集まらないということは何かというと、財政的な処置を講じてやらなければ集まらないということが起きて来たということです。それを全然たな上げしておいて、前の完遂奨励金もやめ、超過供出奨励金もやめて、それにかわるにごくわずかのものを奨励金としてつけて、振りかえに少いものをもってもっとうまくやるというのだから、これはおそらく手品師でなければできないことだと思いますが、手品師でなくともできますか。言葉は非常に悪いけれども、御答弁を願いたいと思います。
  49. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げますが、経済的なバツクが必要であるということは、これは政府の行政的な面及び集荷団体による予約制度の場合においても同様かと思います。その点は御指摘の通りであります。つまり権力で補えない場合を経済的なベースにおいて補って行く、この場合におきまする面は、いずれの場合におきましても同様の価値を持つと思います。ただこれは見方の問題になろうかと思いますが、現在の生産者の受ける感じと申しますか、強圧的な割当制度によって出すということが非常に何か頭を押えられているような感じをお持ちになっておる、こういうこともまたこれはよく末端の実態として言われておることでございます。これは同じ経済条件においていずれがよく集まるか、これは非常にいろいろの見方があると思います。われわれといたしましては、ある程度行政権の現在のあり方を考え、また集荷団体に対する協力も求める、両方一体となってやるということが、集荷を促進する点においてプラスではなかろうか、こういう観点に立つておるわけでございまして、予約制度を実施いたしまする場合においても、完全に行政権がこれについてなくなるというふうなものではなくして、法律の規定に基く形は異なりまするけれども、やはり行政権も同時に協力して参って集荷をして参らなければならないということは、御意見の通りだと思います。
  50. 川俣清音

    川俣委員 私は形式として――形式というよりもほんとうの意味において、行政機構と農業団体とが相提携してこれに当るというその形ですね、その形は決して悪いとは思っていないのです。しかしそれは、みずからできなくなったしりを経済団体なり農業団体なりに負わせて事足りるというような考え方でこういう新しい方法をとったのではないかという点を問題にしているのです。権力の背景をもつてすらよくなし得ないのを、これらの団体にやらぜるということになりますならば、これらの団体は権力を持たないのでありますから、最後的には行政を背景にいたすでありましようが、そうなると前と同じことになる。従って任意の自主的な団体に協力を求めるというからには、その協力に値するような財政支出、経済的な援助というものを政府考えずにこれらの案は成り立たない、こういうことです。一体みずからやっても行き誌まっておるときに、ほかの団体がやったらよく行けるというような、そんなことはないと思う。今強圧の割当はいけない、強制割当はいけないというのはどういうことかというと、安い位置でものをとって行くから強制ではいけない、こういうことなんです。相当な値段で買ってくれるならば決して割当不当なんてだれも言いやしませんよ。超過供出を見てごらんなさい。これこれの金をやるから出さないかと言ったら出て来るじゃないですか。だから、今まででも完遂奨励金をつけることによって、少しくらいの不服は追つぱらって、とにかく割当を完遂した、こういうことが出て来ている。もう単なる強権ではいけなくなったのたという頭が、ほんとうにあるのかないのかという問題なんです。強権でいけないということになって来ると、これは個人経済からいえば経済的な、国からいえば財政的な格段の努力を払わなければならないときだという観点に立って、一体集荷対策考えるかどうかというのが基本問題なんです。また六等麦の問題になるけれども、単に六等麦を買い上げるという問題でなくて、六等麦になると、これは救済価格で買ってくれるのだという大きな期待があるところに六等麦買上げの問題が起って来ておると私は思うのです。それと同じように、経済的な援助というものが大きく加わったということになると、強制買上げだとか、割当不当だとかいうことをだれも言って来ないですよ。今まで大きな批判が加わったのは、経済コスト、生産コストを顧みないで、他の物価趨勢を顧みない価格を押しつけて来ているところに割当が非常に不当であるとかいう反発が起って来たものなんです。それによって恵まれた価格で買い上げてくれる、保護買上げ価格であるというふうなことになりますれば、これは買ってもらいたいという申込みの方が多くなって来るけです。現に早場米奨励金を出した場合に、むしろ早場米の予定額を越えて来るじゃないですか。これでいやだという人はないじやないですか。ただ農業政策上、一体ああいうやり方がいいか悪いかという議論はありましても、割当を突破いたして来ているのであって、農民はあれは不当な割当だなどと決して言いやしませんよ。むしろ割当を突破いたして来ており、割当のわくを拡大せいというような問題が出て来ている。一体総体的に強権割当がけしからぬということは、安い価格で無理に奪取するような買上げ方をするところに今日の反対運動があるのだという観点に立たなければ――そういう観点から集荷制度を考えて行かなければ集荷というものはできぬのだ、こういうことになるじやないかと私は思うが、長官はいかようにお考えになりますか。
  51. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘の割当の問題が価格の問題と関連する点があるという点は、われわれも十分考えております。価格の問題につきましては、先ほど川俣委員も御指摘なつたように、国際収支の問題、デフレ政策の問題、低物価政策の問題と関連した財政の問題があると思います。従いまして、この面からの一つの要請があるわけでございまして、その要請のもとにおける実現された価格がどうあるかということは、今後の問題でございますが、全体といたしましては、国民経済的な立場における食糧の問題をも考慮した一つの調和点と申しますかがなければならないわけでございます。これをどこに求めるかということはなかなか困難な点はあります。しかしそういう調和を目ざした価格でなければならないことは当然でございますが、そうした場合におきまして、これは見方の問題といたしまして、その価格が調和点なりやいなや、適当なりやいなや、そこに見方の違いがあろうかと思います。これが各人一致した形において価格が形成される場合におきましては、御承知のように割当も簡単に行くかと思いますが、そこに見方の遠いがあるというところに大きな点があるわけでございましてそういう困難な点を、精神的にしろ打開し得る道も講じて参るということもとらるべき一つ考え方ではなかろうか。また現在の割当の方法論につきましてもいろいろ御批判があるのでありますが、そういう点を改善して参る方策としてこういう提唱があるわけであります。この見方の問題でございますので、この点につきましては、割切つてこうだということもなかなか申し上げにくい点があると思います。
  52. 川俣清音

    川俣委員 この予約制度と申しますか、これは価格を度外視してはまつたく無意味なんです。他の条件は別にいたしまして、相当農民の期待に沿うような価格が決定せられる条件のもとに予約制度が出て参りますならば、おそらく予想外数量が殺到して来るであろう患います。あるいはいろいろな方面の制約を受けて、その制約から米を集めるのだということになりますると、どんなに予約制度を使いましても、おそらく期待に反するような結果になると思います。だから、予約制度がいいか悪いかという議論ではなくして、価格がどう決定せられるかということによつて、この予約制度というものが非常に役立つ制度になるか、役立たない制度になるかということになると思います。だから、この答申案というものはまつたく無意味なんです。価格の問題に触れないで、予約制度は非常にいい方法だ、この制度は大いに尊重しますと言つているが、尊重しますと言つても、無効なものを尊重して何の効果がある。だからこれはまつたく無責任なんです。価格を無視した予約制度なんてまつたくナンセンスです。今かりに石七千円ということを予約制度でやつてごらんなさい。一俵の申込みもおそらくない。あつたらお目にかかります。おそらくない。人をばかにしたということで、おそらく集荷団体といえども引受けないでしよう。予約制度というものは、適当な価格ということよりも集荷の上から行けば農民の期待に沿うような価格、その価格の決定が他の面では困難であるということはあるかもしれないけれども、予約制度を尊重して行くということになれば、思い切つた価格ということにならなければ予約制度は役に立たない。単価ではなくて総体の結果がですよ。単価ばかりではなくて、融資の面であるかあるいは奨励金の面であるとか、総体の価格が期待されるようなものでなければ、総体価値としての高いものでなければ、この予約制度というものは無意味になるというようにお考えにならないかどうか。予約制度が非常にいいのだというお考えは私は間違いだと思う。みんな予約制度を主張しておりますのは、おそらく予約制度はたくさんの米を集めたいということから価格を度外視して、総体側側を高めて買つてくれるというところに予約制度の申告があつたものと、そう私は善意に解釈する。そうでなければこういうものは無意味であるとお考えにならないかどうか。
  53. 前谷重夫

    前谷説明員 米の集荷につきましては、もちろん価格問題が非常に関連することは御指摘の通りでございます。ただ一つ経済条件価格条件のもとにおいてどういう方法をとることが集荷を円滑にし、またより多く集荷できるか、こういう見方、考え方の問題でございまして、あるいは強権的な制度の方がいいという見方もあり得ると思います。また同時に、同じ条件のもとにおいてもお互いに生産者の団体として納得ずくで出してもらうということが、同じ量でありましてもトラブルがなくてスムーズに行くというような面も考えられるわけでございまして、これは右左どちらがいいということは、それぞれの考え方なり見方の問題としてなかなか割切りにくい点じやなかろうかと考えます。
  54. 川俣清音

    川俣委員 同じ価格という場合の意味が二つにとれると思います。現実に農民の手取りが同じだという場合と、国の経費が同じだという場合と違つて来ると思います。同じ価格だというのは、国の財政支出額が同じだという場合においては、自分の団体である集荷団体に食糧庁の手数料が――食糧庁経費の大半が集荷団体に来た場合は、国の支出が同じであつても、農民の手取りは同じであつても、その中間である自分たちの団体が益するから、それは総体的な価値としては、村に入る総経費または農業経営全体に入る経費を換算すると、その方が得であるから予約制度を尊重するということはあり得ると思うのです。どうも食糧庁は。今までの機構で同じだ、集荷団体の経費は出さないということになつて来ますと、農民の手取りは少くなるというようなことでありますと、国の経費は同じだということでも農民の手取りが少くなつて来るというとこになる。農民の手取りは、それは多くした場合においては、できるだけ中間経費といいますか奨励経費というようなものの手数がない方が手取りが多くなるということになつて来ると思う。従つてこれは予約制度を使うというのでありますけれども、一体ほんとうにデフレに相当するというならば、むしろ食糧庁の現在の機構を三分の一に減らして、それだけの機構を民間団体に与える、こういう意味で思い切つてこれを使われるなら、これはまた意味がありますけれども、私は決してそういうことが今可能だとは思いません。しかしながらその集荷というものに重点を置くのか、ほかの財政に重点を置くのかということによつて、この集荷制度の効果といいますか、能率というものが違つて来る。集荷制度の方を重点にして、財政の方は――この緊急食糧を円滑ならしめることが何よりも今の財政上必要だということでこつちに重点をかけるとすれば私はこの予約制度というものは役に立つと思うのです。しかしながら一般の財政面の方を重要視して、ただもつともらしいことを並べたことによつて、米が集まつても集まらぬでもいいということでよろしいというならば、そういう意味の予約制度でありますならば全然効果がない。そこで私は、どつちに一体重点を置くのか、同じ国のデフレ政策並びに国際収支バランスの上からいつても、米を多く集めることの方に重点を置いた方が財政上健全財政だと私は深く信ずる、そう信じるのです。それらのための財政支出は、これは少しぐらいはいとわない方が、むしろ日本のデフレ政策を遂行する上に役立つのだ。ところが大蔵省は逆に、そうではないという考え方においてわれわれと衝突する面が出て来るのです。この衝突する面を解決しないで、予約制度によつて集荷するのだ、あたかも農民にはこれらの予約制度によつて特典を与えるがごとく見せておいて、現実何も与えないということであるならば、こんな制度というものは無価値なものになって来ると思うのですが、この点いかがですか。
  55. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘のデフレ政策と米の集荷の政策とにおいて価格の問題におきまして相反する面がある、そこでいずれに重きを輝くか、こういう問題でございまして、これは国全体の政策立場からいたしますれば、これは私から申し上げる筋合いじゃないかと思いますが、私の所管いたしておりまする食糧の面から言えば、私としてはやはり集荷を重点として考えるべきではないか、これをさらに商い見地におきまして財政面を判断し、集荷面を判断し、その両者の調整をどうとるか、これは実は私としてはちよつと申し上げかねます。
  56. 川俣清音

    川俣委員 まことに初めて明療な――そうなんです。これは食糧庁としては集荷に重点を置かなければならないことなんです。いたずらにほかのわかりもしない財政面のことを考えないで、このことをやることが日本の財政に大きく寄与するのだという少くとも信念に立たなければならないという点を強調したかったのですが、そういう御答弁ですからその点は了承します。しかしながらどうも心配なのは、そういう信念に立たれようと、奨励金をごくわずか、予約制度で名を売ったけれども、これには融資がついておらないようにも見えるのです。もしつけるのだったら、当然奨励金並びに約手のような融資というものをつけなければ意味をなさない。まつたくこれは予約というからには先発りですよ。普通の商取引からいって先売りする場合には、融資がつくのはあらゆる場合の条件ですよ。一般的な条件すら満たさないで、奨励金で、しかも幾らつくかわからぬ、完遂奨励金を減らすあるいは超過供出奨励金を減らしたかわりに何かつけなければならないというような情ないつけ方で予約制度なんというものは立って行かぬと思う。金子委員も常に言っておられることでございますが、一体日本の農業が企業であるかどうかということについて大きな疑問がある。企業だといたしましたならば、これは企業の面が全然ないとも言えないのであります。あるとすれば、少くとも予約制度によるところの金融ぐらいなことの考えなしにはやれない問題なのだ。一体日本の農業は企業だとは決して私も思いません。企業でないから、それでは予約制度に金融しなくてもいいのだということにはならないと思う。むしろ保護政策をとって行かなければならないのになし得ないでおるのだから、少くともそういう面においてはカバーしてやろうという考え方が出て来なければならないと思う。これは企業だからという意味じゃなくして、ほんとうから言えば、保護政策でやって行かなければならぬのができないのだから、せめてもこの辺で解決して行かなけれはならないという考え方にならない予約制度というものは、無意味だという議論がおそらく食対でも出たと思いますが、出なかったのですか。
  57. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘の予約制度に伴いまする金融の問題につきましては、議論が出たわけでございます。それで、金融面における前渡しなりあるいは融資なりのくふうを講ずることが必要であるということは、答申案にもうたわれておるわけでございます。これを具体的にどういうふうにするかということについては、これまたわれわれもさらに検討いたさなければなりませんが、そういう面には出ておるわけでございます。
  58. 川俣清音

    川俣委員 この答申案にはないですね。
  59. 伊東正義

    ○伊東説明員 私から今の点御説明いたします。川俣委員おつしやいました通り、予約制度を補完的といいますか完全にやりますためには、予約をやった方が経済的に得だということにならなければならぬことが当然でございまして、それが一つ奨励金という形で現われております。それからもう一つは答申の四番目に、集荷制度の改変に伴い集荷金融について適切な措置を講ずるものとすと書いてある。これは会長の説明のところにもございますように、これについては集荷団体に対する資金の前渡等――前渡しをするとか、そういうようなことを当然考える必要があるという説明を会長がなされておりますので、川俣委員がおっしゃった点は、答申の中に入っておるというふうに私は考えております。
  60. 川俣清音

    川俣委員 その金融問題のところに入っておるというが、しかし金融問題というのは別になっていると私は思うのです。こういう金融の問題というのは全体的な金融の問題を考えるべきだ。予約制度というものと金融というものは密接不可分な問題です。別な点で取扱うべきものでない。普通の経済観念からいつて別個に取扱うべきものではない。おそらくこんな取扱いをするのは食糧庁だけだと思います。あの中には小汀君も来ているし、ほかの経済団体の人もたくさん来ているはずだ、商取引の上においては別個に取扱うという観念は通例ない。それでこれが農民のは企業ではないのだから商取引ではない、別個に保護買上げでもってやっておるのた、こういう観点に立っておるのならば別問題ですよ。だけれどもこれを通覧してみると、保護買上げというような観念がにぶいのですよ。今いろいろな経済状態から言つて、日本のデフレ政策から言ってなかなか買えないという前提に立っておるならば、保護買上げではないのです。農民に犠牲をしいながら、デフレの犠牲をも農民が一部負担しなければならぬ――一部どころでなくて、しわ寄せを多分に負担しなければならないというような出発において出発をしておりながら、単に予約制度でもつてのがれようとするならば、当然そこに金融を考えて行かなければならぬものだと思うのです。全般的な金融について配給制度の運営に資するため――それは配給制度で当然なことです。別項目です。だから全体のところに入ってないという今のへりくつを言うのじやなくて、当然そういうことが加味されてなければ、一体予約制度という思いつきみたいなことではおそらく不可能だと思うのです。  次にそれでは配給問題に移ります。一体現在の配給が十日とか十五日とか、これは内地米を基準にした場合と全体の米という表現での配給の場合ともちろん違います。外米を含めた場合と、準内地米、内地米と三本になっておりまして、もちろん配給問題が異なって参りますが、現在のような本年年間にいたしすと、配給が約半分、あとの半分は麦その他自己まかないをしなければならないような配給をもつて完全配給たということは言えないと思うのです。おそらく世界的にも、配給というからには、大体一箇月のうちの三分の二くらい配給することをもって配給という。一日か二日あるいは十日くらい配給いたしまして配給いたしておるなんということは、これは言わなければならぬから言うようなものの、学問的に言えば、これは配給でございますとは言えないと思う。部長などとても十五日配給をもつて配給だとはおそらく言えまい。長官ならそうではないでしょうが、部長は言えないと思うのですが、どうですか。
  61. 伊東正義

    ○伊東説明員 私はやはり十五日の配給でもやはり配給だと言つてさしつかえないと思います。御承知のように現在やっておりますのは、たしか資料も差上げましたが、二十日の県とか何かいろくありまして、最低は月の半分だけは国が責任を持つという形で、十五日という県を最低にしてやっておるわけでありまして、十日という県はございません。
  62. 川俣清音

    川俣委員 今部長が十五日でも配給だと言うのですが、実際は十五日を切れておりますね。切れてないというお話ですが、現在は十五日を切れて、正確に計算したならばおそらく十四日も切れるのじやないかと思いますが、一人当りの一日の配給量を幾らにしておりますか。前から見ますと減らしておるはずす。歩米とかいろいろな口実のもとに配給基準が下つておるわけです。
  63. 伊東正義

    ○伊東説明員 今の点はお手元に資料でたしか差しげてありますが、米の配給日数は、全国平均いたしまして一五・七日という数字になっております。おつしやいました点は一日幾らが基準量かということでこれは違って来ると思うのです。現在七段階の基準量をやっておりまして、あれで行きますと、平均のところが二合七勺よりちよつと下になっております。これは年齢構成から来ておりまして、七段階のどこに一番大きな層があるかということで違って来るのであります。二合七一よりちよつと下になっていることは確かでございます。
  64. 川俣清音

    川俣委員 前は二合七勺をちよつと上まわったのですが、ほんとうは二合七勺を越えるのがほんとうだと思うのです。それが何だかんだということで減つて来ているのですよ。だから名目は十五日をとつているけれども、内容的には減らして来て十五日だというふうに言つておる。これ一合にすると三十日になる、あるいは五勺にすれば何日になる。そういうことで基準量を減らして十五日にした場合と、基準量を完全にした十五日とは違う。こういうことはそろばんで明らかです。私はそういうことを議論しませんけれども、一年のうちに一箇月くらい配給量を確保するというならば、やはり基準量を普通にしても十五日ということでなければならぬと思う。それもだんだん逼迫してくるような情勢下において、完全な配給をいたしておりますというようなことでは、これだけ膨大な食糧庁の機構及び小売り商人の機構を使っておって、一体小売り商人の経費からいいましても、一箇月に半分くらいの削給をもつて配給させるということが、配給コストを非常に高くすることなんです。割高の配給コストですよ。これは二十日配給にすると十五日配給にするのとでは、配給コストが大分違います。そういう場合に十五日でもつて完全配給だなんと考えておるから、コスト高なんということに一向無関心でおられることになると思う。だからやはりそれだけのコストを使ってもなお配給をしなければならないほどに配給というものを重大視するならば、それは少くとも一箇月に三分の二程度配給する。それならば相当のコストを見込まれてもやむを得ない、あるいは財政的支出があってもやむを得ないけれども、一箇月のうち十五日、半分くらいをもって、しかも内容的には半分以下のものをもって、それで配給いたしておりますと部長が言うのは、少し私はおかしいと思う。長官が放漫的にそう言わざる得ないというならば別ですが、良心的な部長が、これで完全な配給だと言つたら、これからの計算が全部あいまいということになる。そんなことでなく、もっと努力するというお考えはないですか。
  65. 伊東正義

    ○伊東説明員 私、さつき言葉が足りなかったかもしれませんが、完全な配給だとは考えておりません。この点は確かだと思います。ただ米を二十日やるのが完全な配給だとも実は私ども考えておりませんで、完全な配給といえば、まず主食の定義からして、米と麦で完全配給するのなら、西方で三十日でありますし、今は一応麦が配給からはずれておりますので、米と麦を主食考えました場合に、配給というからには、そのうちのどのくらいをやるべきかということは、これは常識の問題になると思いますが、十五日を二十日にするということは、これは相当外米の輸入その他に関係して参りますので、私個人としましては、上の方にならすということは非常に困難な情勢たというふうに考えております。
  66. 川俣清音

    川俣委員 上の方にならすことが困難だというのは、これは食糧庁でない人、大蔵省が言うならわかりますけれども、食糧庁が上にならすことは困難だというようなことを言うのはおかしいじやないですか。だからして、集荷制度については、もっと多く集荷できるという状態をつくって、そうしてできるだけ、五日でも配給量をふやして行くということが食糧庁最大の任務でなければならぬと思うのです。だんだん情勢が悪くなるから減らして行くのだというなら、何も長官から部長をたくさん置く必要はないですよ。自然のままに減つて行くのだったら、何も努力をする必要もないじやありませんか。困難に打ちかつて、そうしてこれをまかなって行くところに、努力を払うところに大いに部長、長官の価値があるので、大勢やむを得ないというようなことでやつて行くならば、何もそれだけの努力を払ってもらう必要はなくなって来る。私はそう思うのです。決してけなす意味ではないのです。期待をかけておるからこういう質問をするのです。少くとも集荷制度について最善の努力をするならば、もう三日なり四日なりというものがふえて行く余地が日本の状態からいってないかといえば、ないとは言い切れないと思う。断じてないとは言わせない。外米が入らなくたつてないとは言わせない。さつき佐藤さんが言ったほど大きな数量か横流しされているかどうかは別問題といたしましても、もっとふやすことができないということは断じてないけずです。外米を入れなければできないというようなことはない。集荷制度のまずさを今度は消費者に転嫁して、これよりもできないのだと言いのがれ序するような配給機構については、もう一ぺん考え直す必要があるじやないか、こう聞いておるのですから、これに対して所見をお伺いしておきたい。
  67. 伊東正義

    ○伊東説明員 これも私は、内地の米をよけい集めれば配給がふえるという可能性はよくわかります。また絶対できないということは言い切れぬと思うのですが、今まで食管制度が歩んで来ました道を見ておりますと、現実の問題としまして、やみをまた相当元へもどして配船に乗せることは非常に困難だというふうに考えますので、絶対不可能とは申し上げませんが、今まで歩んで来た道を振り返ってみますと、相当困難な問題だというふうに考えます。
  68. 川俣清音

    川俣委員 これは困難だということで逃ぐべきものではない。逃げたんでは任務にならないのです。いたずらにできないものを多く配給せよというととではないのです。この程度のことは、佐藤さんも言つたけれども、佐藤さんの言うほど大きな数量でないかもしれないという前提を置くいるのです。その程度のものもつかみ得ないということでは、無能だとは言いませんけれども、努力が足りないではないか。努力はあなた方の努力だけでなく、これは大蔵省理解も深めて行かなければならぬことはもちろんです。しかしながら、そういう基本を置いて集荷にも努力をするということでなければ意味をなさぬではないか。特に消費者に外来を入れる余地というものがだんだん少くなるにかかわらず、配給の面に行くと外米で代外するというようなことが出て来る。これは純内地米のみを配給しているところを外米に振りかえるという意味のあることも想像されますけれども、日本の国際収支の上からいって、今外米を買うべき時期でないということは、これはあたりまえなんです。外米を買うだけのドルがあるならば――国内においてどっちのデフレが一番大きく影響するかというと、外米を買うところのデフレ破綻の影響の方が大きいのです。外貨支払いによるデフレ破綻の方が大きい。これは政府がそういうふうに説明いたしておりますからその通りに理解しておるのですけれども、外貨払いによるデフレ破綻の方が大きいわけですから、従って外米は極度に押えて行かなければならない。それには、一億ドルの金を使うならば、それを五千万ドルにいたしまして、国内において五千万ドル以上の円払いによる膨脹くらいは大した痛手もないということになって来なければなりないので、これは大蔵省も実際おかしいと思っている。外米はドル払いだからいけない。MSA小麦は円払いだからよいと言つているけれども、日本国内の月払いでドルが済むものならは、少しくらいの経費はいとわないで、むしろ外麦を極度に押えるということに主力を注ぐべきではないか。従って配給の面も、外麦を抑えたために削給が減って参るというならば、デフレ遂行上やむを得ないことは私もわかりますが、それにかわるに国内米に少しべらいの経費をかけて行つても、外米を押えるための努力は当然払うべきだと思う。そのことが必要だという観点に立たなければならないと思うけれども、それに対する食糧庁長官の御説明を願いたいと思う。
  69. 前谷重夫

    前谷説明員 問題は、外麦外貨とデフレとの関係ということと、同時に、国内集荷の問題に関連するわけでありますが、集荷の面からいたしますとできるだけ多く集荷し、それをできるだけ多く配給するというこの建前はもちろん御指摘の通りであります。ただ現実の問題といたしますと、現実に過去において食糧管理のもとに集荷して参りましたものが、作柄のいかんによつて変動はいたしますが、政府の集荷する数量がだんだん困難になつて来るので、この現実の問題に処して、これをどういうふうにやつて行くか、こういうのがわれわれ当面の問題でございます。デフレとの関連の問題は、これは私の議論ではなく、財政当局からの議論として参りますと、一方は購買力の問題と関連して参るわけでありまして、外貨の支払いは、外貨自体の窮迫からいたしまして、輸入数量をどうするかという問題になるのでありまして、輸入数量を押えれば押えるほど国内の供給力は減るわけでございますので、それの需給バランスを失する傾向になり、それが同時にデフレを破つて参る、こういう見方もあるわけでございます。しかし、これは一面外貨の面からいたしまして、無制限に入れるということも困難でございますので、そこの努力をどうするかという問題になつて来るわけでございまして、それだけの月換算のものを国内に支払う、これは別の面での通貨と数量との関係、購売力の問題としてはやはり議論されておる点もあるわけであります。
  70. 川俣清音

    川俣委員 私は少し不十分だと思う。一体日本の農業労働というものは二男、三男対策が非常に困難な情勢になつておる。日本の農業労働者といいますか、農業に関与しておる者が人口過剰であるとさえ言われておる。移民問題さえ起つておる。外米を入れるということは別な言葉で、別な表現で言えば、南方の人を日本に連れて来て米をつくるということと同じことなんです。経済的には同じ結果なんです。技術が進歩した者を連れて来てやるなら別といたしまして、遅れておる者を連れて来て、しかも高額な労働賃金を払うということと経済的には同じ結果なんです。ただ向うでできた物を買つて来るのと、日本でそれだけの物をつくるということは同じことです。そうでしよう。日本の耕地面積からつくり得ないかといえば、つくり得るのです。しかも人が足りないかといえばあるのです。ソ連のように、耕地はあつても人がないから、無理に抑留させてその労働力を使うということはありますけれども、日本のような場合には、人口が過剰であつて、しかも農業に従事しておる者が多いときに、よそから人を入れて来て働かせなければならないような条件でないことはよくわかつてなければならないはずです。これらから生れて来ているものを完全に把握して配給するということに、全力を注ぐべきだというのが私の議論なんです。それはまわりくどい外貨の説明をすることよりも端的に表現できるのです。だからして、そういう意味で日本の農業からいいましても、決して外米は入れるべきものでない、たとい安かろうとも入れるべきものではないのです。その観点を忘れて――外米の問題は、ただ食糧困難だということから言うならば、むしろ日本の土地改良をいたし、日本の農業就業人口を完全に働かせしめて、そうして国内食糧の自給態勢をつくることに多大の努力を払うべきだ。それを忘れておつて外米に依存するということになると、日本の独立というものは、いつまでたつても不完全な独立へ押しやられてしまうことになる。そういう点から外米については極力、国の要請があろうとなかろうと、食糧の上から言うならば一つも入れないくらいがいいのです。しかも黄変米というような食えないようなものが相当量入つておる。その犠牲は一向――一向じやないでしようが、相当苦慮されておるのでしようけれども、内地米なら黄変米というものはありませんよ。大等米でも六等麦でも黄変米よりもつと上等なんですから、そういうものを買うことに力を入れて、少しぐらいの財政支出があろうともいとわない、外米のような、また黄変米を含んでおるようなものは断じて買わないという基本政策を立ててかかるべきだと思う。この点が一点。  もう一つ配給問題については、労務加配についていろいろ陳情があるようでありますけれども、私は決して労務加配が悪いとは思わない。けれども、農民に犠牲をしいて、安く買つた米で働かせるのだ、これはどうも一方は窮地に陷つてもかまわない、一方だけは救済しなければならないという考え方は、私は矛盾じやないか、こう思うのです。この二点です。
  71. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの川俣さんのお話は、長期的にはお話の通りだと思います。つまり食糧増産を進めて行つて、それによつて外米を減して行く。これはわれわれももちろんその通りだと思います。ただ御承知のように、食糧増産にはある程度時期的なずれがございます。食糧管理の面は、生産者の面と同時に消費者の面もございます。その年における需給の管理をどうするかという問題、これが二年、三年の将来の増産をあてにするわけには参りませんので、短期的には食糧の需給の面をやはり考えて行かなければならない。大きな方向といたしましては、川俣委員のおつしやるような方向と同様にわれわれも考えておるわけでありますが、食糧管理はその年その年の需給をどうして行くかという問題に当面いたしますので、その遮りに行かない点があるわけでございます。それから労務加配の問題につきましては、これは労務加配制度がとられました当時におきまする経済情勢また食糧事情と、現在におきまする経済情勢、食糧情勢とは、そこに差があるわけでありますので、この点につきましては十分検討いたさなければならないというふうに考えております。
  72. 川俣清音

    川俣委員 私はこれを二つに考えておる。永久的な増産対策としての土地改良の問題、今年の問題としては集荷の問題、集荷の問題を落されたが、問題は集荷なんです。土地改良の問題は農地局の問題で、あなたと農地局とがよく打合せして、今後増産に努めて行かなければならぬことは、その通りです。これは来年に必ずしも期待できない。年々相当な経費を増大して行かなければならないのにもかかわらず、だんだん公共事業費の削減というようなことで減らされております。これは逆行ですよ。しかし今はこの問題については論じません。あなたに問題にしておるのは、集荷の問題なんです。集荷はあなたの手ですぐやらなければならない。しかも凶作とは言いながら、もう出来秋が近くなつて来ておる。これについて、さつきから言つておる予約制度というような、集まりもしないようなことをやり、集まらないから配給を減らす、あるいは外米に依存するというようなことをやるよりも、外米の依存をやめて、すみやかに集荷手数料なり集荷奨励金なり金融なり、あるいは価格の維持なりあるいはさらに価格の割増しなりを考えて、集荷対策を講じて行かなければならないのじやないか。この配給の面からもさらに集荷のというものは重大になつて来る。こういうことなんです。どうですか。
  73. 前谷重夫

    前谷説明員 われわれ直接食糧行政の衝に当つておる者といたしましては、もちろんできるだけ集荷をいたしまして、配給の円滑を期したいということ、これはもう当然でございます。ただ御指摘の外米との関連におきますると――川俣委員お話は、価格の問題に最終的にはなるだろうと思いますが、外米との関連におきます価格の問題は、補給金の問題ということになると思います。これは量的な問題あるいはまた今後の外米価格の動向等もございまして、そう大きな補給金は今後予定され得ないわけでございまして、価格の問題全体といたしましては、先ほど申し上げましたような考え方でもつてわれわれはおるわけでございますが、全体的なより高い立場においてどう調整するかということは、先ほど申し上げたように別個の問題になろうかと思います。
  74. 川俣清音

    川俣委員 これも重大なんです。やみ米によつて生活させるか、あるいは配給量を増大して、食生活の安定をはかるかということになると、これは何人も外米を減らして、配給量を増量して、国民生活の安定をはかるべきだ。しからばやみ米のような高い米でなくても、集着手数料なり、集荷奨励金なり、あるいは米価を引上げて行くことによつて、完全配給した方が国民生活の上に寄与する点が大きい。こういう点からいつて、集荷問題については非常な経済的な努力財政的な努力をすべきではないか。これはもう何人も否定できないことなんです。ただ努力をするかしないかということなんです。やみ米政府の責任が軽い、これは原因はそれだけなんですよ。実態の消費生活から言うならば、やみ米を下げて、配給ルートによつて、少しくらい高くても配給ルートによることの方が好ましいことは、何人も否定できないことなんです。それは政府が手数がかかるからといつて逃げるだけのことで、生活全体から考えますならば、やみ米を減らして配給ルートに乗せて行くならば、幾分高くともよろしいということになることは、何人も否定しないと思うんですよ。なせそれだけの努力を払う勇気がないのです。この一般の常識をなせ実行できないのですか。
  75. 前谷重夫

    前谷説明員 あるいは質問を取違えているかと思いますが、消費者の面におきまして、配給数量以上にヤミ米が配給ルートにその価格つて参るということが喜ばしい、これはもちろんさようだろうと思います。結局消費者の家計としましては、消費者価格の値上りとヤミ米の価格と両者合せた実効上の米に対する支払い価格がより安くなるということは、消費者として当然希望される、またわれわれもそういう方向に向つて努力しなければならぬという点は、さように考えます。ただ先ほど申し上げましたように、いかなる形においてその数量をどの程度に集めるかという場合におきまして、御承知のように、まだやみ価格といわゆる政府買上げ価格との間に相当の開きがあります。その開きをどの程度に持つて来た場合に、どの程度にそれが吸収できるかというような点については、これはやみ価格まで持つて行けば完全に吸収できるということは当然でございますが、それには相当の財政負担あるいは消費者負担がいるわけでございます。その面をあわせ考え消費者負担という面も同時に実効価格として考えて参る、そういう点も実はどう考えて行つたらいいか、われわれも実は苦慮いたしておるわけでございます。考え方といたしまして、われわれそれに対する別の考えを持つておるわけではございませんが、現実事態としてどの価格が実現され、それがどの程度に吸収できるか、また財政負担がどの程度にできるかという、われわれの及ばない他の問題が別にあるわけでございます。その総合判断がどうされるかという問題が別個にあるわけでございます。
  76. 川俣清音

    川俣委員 私は食糧庁がやみ尾と競争して、やみ価格までつり上げて行かなければ集荷ができないというほど考えてはおりません。やみ屋と食糧庁が競争したつて、結局は競争負けするのですから、それを競争しなければならないというような不当な考え方をもつて長官に迫つておるわけじやないのです。ある程度農民の了解のつくような集荷価格というものを出して、それによつて妥当な価格になつて行かなければならないのではないか。やみ屋と競争するような価格で買い上げるというようなことになると、結局これはやみと同じ価格でなければ売れないということになるのですから、かえつて相対的にやみ価格消費者が追いやられるということになるので、私どもはそんな考え方をしておるのではない。しかしながら今ではできるだけ超過供出奨励金をやめ、あるいは完遂奨励金をやめて、できるだけ安く買おうというような集荷対策をとつて、これによつて前よりも安く集められるというような安易なことでは、配給量も続けて行けないのではないかという点から、今配給問題を論じておるわけです。結局集荷ができなければ、十五日配給、二十日配給ということが実施できない状態に来るのではないか。この点から、配給の面から言つても、集荷のためには大きな犠牲を払うべきではないか、こう言つておるのです。この点に対する御答弁を願いたい。
  77. 前谷重夫

    前谷説明員 そういう考え方についてはわれわれとしても同じ考え方を持つ薫るわけでございます。たびたび繰返すようでございますが、現実に形成される価格がどういうことになるか、これは先ほど申し上げましたように、われわれの立場から希望する価格と他の面からする価格と、それぞれ全体的に総合されなければならぬわけでございます。その実現された価格のもとにおいてどういうふうに集荷をやるかということも問題があろうかと思います。その実現される価格が集荷を容易ならしめるように努力しなければならぬことはもちろん当然でございます。それには他の面での問題があるということでございますので、そういう考え方でわれわれとしてはこれを考えて参りたい、かように考えます。
  78. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけ質問いたします。結局日本の現在の状態からいつて、無理な米の増産はコスト高になりまして、農民のためにも決して好ましい結果ではない、そこに行きますと、食生活もだんだんと改善されて来ておりまして、米と麦とが一体に考えられる時代になりつつあると思うのです。かつて農村において、代用としての麦の需要も決して少くなかつたのであります。かつては一時戦争というようなものから――戦争のみとは言い切れないけれだも、米の配給が一率になつたことによつて、米の需要も相当進んだこともあるわけであります。今後の国際情勢から見まして、日本の麦の増産の余地は米よりももつとあると見てよろしいと思うのです。従いまして米と麦とをもつて日本の食糧をまかない得る素地は十分あると思います。ただ遺憾なことには、政府施策が足らないというだけでありまして、政府施策をもつてするならば、麦と米とによつて日本の食生活をまかなう余地が十分あるのです。この点、麦に対しても十分な増産とこれに対する対策考えないで、米だけに熱心になりましても、日本の食生活はとうてい完璧には至らないと思うのでありますが、これに対する所見を述べてほしいと思います。この麦については、食対ではあまり触れていない。日本の食糧対策で麦に触れてないなんという食糧対策があり得るか。一体どこをねらつておるか。米ももちろん重要でありますけれども、当然これとうらはらであるところの麦の問題を解決しなければならないことは、私が議論しなくてもみな一般に常識ですよ。何日かかつたか知らぬが、食糧対策協議会などという堂々たるものをつくつて、そこで麦の問題に一つも触れていないということはおかしいのじやないですか。あわせて伺います。
  79. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘のように、主食の問題は、米のみならず麦もあわせて解決すべきであるということにつきましては、われわれも同じ考えを持つておるわけであります。食糧対策審議会におきましても、食糧増産問題として、増産の問題は米だけの増産ではございません。米麦をあわせました増産計画として取上げておるわけでございますし、さらに消費面につきましては、食生活の改善というような意味合いからいたしまして、安食の普及という点も取上げておるわけであります。これを具体的にどう進めて参るかという点につきましては、増産につきましては、食糧増産計画を進めて参るわけでございますし、安食につきましては、学校給食等の中心的な問題を取上げて参つておるわけでございまして、決して麦を度外視して考えておるということではないわけでございます。ただ集荷配給の問題は、現在麦としては直接的には政府は関与いたしておりませんために、集過配給の問題としては麦の問題を取上げていない、こういう筋合いになつております。
  80. 川俣清音

    川俣委員 麦の問題は食生活の上から、また日本の農業のあり方からいつて重要な問題です。従つて米と麦とは日本農民の主要農産物であることは何といつても否定できない。農業政策の上から言えば、この二点は重要な問題であります。従いまして日本の食生活の上から、また日本の農業政策の上から、この三本は切離すことのできない問題であります。一方は統制であろうと、一万は間接統制であろうと、あるいは支持買上げ価格であろうと、いずれにいたしましても切離すことのできない、おのおの切り難しては解決のつかない問題であるのでありまして、本委員会は特にこういう点を重要視しておるということを念頭に置いていただきたいと思うのであります。  もう一点は、二十八年度産米のバック・ペイの問題でありますが、去年早場米奨励金を出し、あるいは米価を早く決定いたしますについては、将来パリテイ価格で買つた以上、春にパリテイの上昇によつて当然これを補償するということが条件づけられて、強制的に買い上げられたものであることは、私が申し上げるまでもない。これは支持価格でもなんでもない、強制買上げでありますから、当然強制買上げに伴うところの義務を負つておるものと農民は理解いたしておるわけであります。また指導者等もそういう意味説明いたしまして、供出を鞭撻いたしておるのでありますから、もしもこれを裏切られますると、一朝にして供米に影響することは明瞭であります。何といいましても指導者の権威が失墜いたしますと、供米などは不可能になるわけであります。いわゆる善良な指導者が無責任なそしりを受け、信頼度を失わせないように当然バツク・ペイを考慮されておると思います。大臣もバック・ペイについては、農林省は十分配慮しなければならないという答弁であつたわけでありますが、一向その後遅々として進まないようであります。その態度にはかわりはないと思いますけれども、どの程度この補償の問題についてお考えになつておりますか、御答弁を願います。
  81. 前谷重夫

    前谷説明員 態度につきましては、先般の委員会で私が申し上げた通りであります。事務的には大体今月末には六月の数字が集まるのでありまして、今諸般の資料を集めておる段階でありまして、まだ大蔵省との折衝という段階・には参つておりません。
  82. 金子與重郎

    金子委員長 先日の委員会におきまして、食糧対策に関連する資料要求をいたしておりまして、きようその一部が配付になりましたから説明していただきます。
  83. 前谷重夫

    前谷説明員 先般小委員長から大部の資料の御要求がございましたが、できましたものにつきましてお手元に差上げております。第一表は、現在配給いたしております米につきまして、県別配給日数を掲げてございます。二十日、十九日、十八日、十七日、十五日、こういうことでもつてその府県名がございます。二十日の県におきましては、内地米の配給は十五日で外米が五日、かようになつておるわけでございます。  第二表は、労務加配の関係でございまして、現在労務加配につきましては、中央で業種を指定いたしておりますのが、百三十六業種ございます。地方でもつて業種を指定いたしておりますものが百十業種ございます。全体の総所要量といたしましては、二十八米穀年度におきましては三十一万四千トンでありますが、人口増加の関係、就業増加の関係等で、二十九米穀年度、つまり現在実施いたしておりますのは三十三万トンでございます。これが年間の総所要量でございます。これにつきましては、大体中央指定業種につきましては、たとえば港湾運送業のような重労働のものにつきましては、その加配量が多くなつておりますし、その労働の強度に応じて加配量を違えて参つているわけでありまして、現在十九段階にわかれているわけであります。地方指定業種につきましても、同様十八段階ございまして、一人一日当り四百五十グラムから百グラムの間において労働の強弱に応じて決定しているわけであります。この基準量はたしか経済安定本部におきましてそれぞれの労働関係の作業の内容等を検討して決定したものを現在踏襲いたしているわけであります。  第三表は、米麦の総消費量として掲げているわけでございますが、この資料は先般小委員長お話資料と多少違つているわけでございまして、委員長お話は、米について一五・七日配給しておりますから、その残りのものについては、計画としては小麦及び大麦で配給することになつているわけでございます。しかし現実に売却いたし、消費されたと推定されるものが、麦について一二・二日ということになつているわけでございまして、その差は結局やみ米が消費されて、麦の消費がそこまで参つていない、こういう形になつているのであります。計画としては米麦合せて完全に供給する建前になつておりますが、現実の問題としては、麦の消費は残りの十五日全部には行つていないというふうにお考え願いたいのでございます。これは当初から十三二日の供給計画ではないと御了解願いたいと思います。  その次の表は、それを月別にどういうふうに消費されているだろうか――これはもちろんある程度の推定をいたしているわけでありますが、売却の関係、製造出荷の関係等から推定をいたしたわけであります。  それから二十八年産米価格関係について、基本価格、包装代、供出完遂奨励金超過供出奨励金、早期供出奨励金を全政府の買上量から平均したものについてここに掲げているわけでありまして、それぞれの単価はもちろん異なつておりますが、それを総体の買上げ量に平均して計算いたしますと、かようになるということを示しているわけであります。  次のページは、生産者価格を決定いたし、消費者価格を決定する場合におきまする生産者価格及び政府経費、卸売、小売の経費、そうして消費者価格が七百六十五円、こういうことを算定いたしました基礎数字でございます。生産者価格につきまして、括弧いたしておりますたとえば減収加算額五百五十円、供出完遂奨励金五百三十七円、超過供出奨励金二百万百分の二百五十七円、その括弧いたしております生産者価格のものは、消費者価格に織り込まないという形になつておるわけでありまして、織り込んだものは七千四十一円でございます。以上の括弧いたしております三者は、消費者価格に織り込まないで財政負担になつておるという形でお読みを願いたいと思います。そこで、それから出て参ります財政負担が、二十八年度につきまして二百八十一億、かようになつておるわけであります。  それから主食配給価格の値上りの影響であります。大体申しまして、二十六年度、七年度、八年度と並べてありますが、一十六年度においては、総体の家計費のうち主食の占める割合は二〇%でございましたけれども、二十八年度におきましては、主食の占める割合は一八・四%になつております。そのうち米の関係につきましては、一二・四%が内地米につきまして全家計支出の中に占める割合となつておるわけでございます。従いまして、米の消費者価格がこの割合に対して一割上りますれば、一二%の一割で一・二%が全体の家計費に対する影響率、かように相なつておるわけでございます。大体資料についての御説明は以上でございます。
  84. 金子與重郎

  85. 芳賀貢

    芳賀委員 まず二十八年度産米のバック・ベイの問題についてお尋ねしたいと思います。最近長官の御答弁等を聞いていても、たとえば六等麦の買上げの問題についても、当委員会において具体的な説明等をある程度避けたいような御意向がうかがわれるわけでありますが、このバツク・ペイの問題等に対しましても、これは当然パリテイ指数が上昇した場合においては追加払いをするということが、閣議等においても決定事項になっておるので、これに対しては、全国の生産者は当然期待を持っておるのであります。最近伝え聞くところによると、この実現もどうなるかわからないというようなことにもなっておるので、まずバツク・ペイをやるかやらないかという点に対する御答弁はできると思いますが、この点はいかがですか。
  86. 前谷重夫

    前谷説明員 バツク・ぺイの問題は、芳賀さんも御承知のようにいろいるな問題が関係いたしております。農林省の態度といたしましては、先般大臣が申し上げたように、いろいろの問題があるが、それに対して努力いたしたいという大臣の先般の御言明で御了承願いたいと存じます。ただ事務的に申し上げますが、目下いろいろ資料を整備し、検討いたしておるわけでございまして、財政当局との交渉もまだ始まつておらない段階でございます。私としては、これを今どうする、こうするということはちよつと申し上げられないわけでありますが、農林省の考え方といたしましては、先般大臣が申し上げたことで御了承願いたいと思います。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、農林省当局としては、当然バツク・ベイは行わなければならない、そういう考えは明確に持っておるわけですね。ただ問題は、財政当局との今後の話合いになると思いますが、二十八年度のバツク・ペイの問題と、二十九年度の今後決定さるべき新米価の問題というものは、切り離して行われることができるものであるか、不可分のものであるか、そういうところにも一つの問題があると思います。これはどうですか。
  88. 前谷重夫

    前谷説明員 端的に申し上げますと、われわれとしては必ずしも不可分のものではない、可分のものだというふうに考えております。しかし財政当局の面から見ますと、来年度の米価における財政負担としては、全体として二十九年度における財政負担としてやっぱり一本で総体を見たい、こういう考え方はあるだろうと思います。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 しからば二十九年度予算の中で、バツク・ペイの関係はまったく考慮されておらなかったのですか。もちろん一兆円予算関係、あるいはデフレ政策を進めて、ある時期には実際にその効果が現われて来ることを、政府は当初から言っておったわけです。現在においては、デフレ政策の霊験はまだ完全に現われて来ておらぬわけですが、そういうような関係はどうなっておりますか。
  90. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘のように、先般御承認いただきました本年の予算におきましては、バツク・ペイの財源はございません。財政負担、繰入れ等もございません。第二のデフレの問題でございますが、これは見方の問題でございますが、卸売物価は大きなものは一割五分、全体的には七、八%は下つておるわけでありまして、これがタイム。ラグの関係で小売価格には反映しておりませんが、反映しつつあるということは言い得ると思います。
  91. 芳賀貢

    芳賀委員 二十九年度予算の中に全然考慮されておらぬということになると、今後バツク・ペイを行うことが決定された場合における予算的な措置が結局問題になって来ると思います。そういう場合における関連性、二十九年度予算米価のわくはこれだけしかない、その中から予想しておらぬところのバツク・ぺイの支出がこれだけあったのだから、二十九年度産米の価格は引下げなければならぬというような、例の持前の暴論がそこから出て来るかどうかということも一応考えておかなければならぬわけですが、こういうような点に対しては、どういうお考えを持っておられますか。
  92. 前谷重夫

    前谷説明員 二十九年度予算につきましては、バツク・ぺイの支払いの予算項目は明確にございません。しかしながら食糧買入れ費として経理さるべき性質のものであると私は考えております。ですから予算の補正いたさなければバツク・ペイができ得ないということではなかろうかと思います。ただその場合におきまして、食糧特別会計が赤字になる問題が出て来る。消費者価格にこれを転嫁しなければ赤字になるという問題が出て来ます。これは全体的な財政政策の問題と関連するわけでございます。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、ことさらに補正予算等を行わなくても、やろうと考えれはこの問題はやれるということですね。しかも農林省当局は実行しなければならぬということを考えておるということになると、これは相当可能性があると見てさしつかえないですか。
  94. 前谷重夫

    前谷説明員 私が申し上げましたのは、予算項目としての変更という問題として申し上げたわけでございまして、後段に申し上げました食糧特別会計が赤字になる、こういう問題では、もちろん財政当局としては相当強い対があろうと思います。われわれの態度は先般申し上げた通りでございますし、また折衝も開始していない段階でございますから、それ以上のことはちよつと申上げかねます。
  95. 芳賀貢

    芳賀委員 どうも後段の方が非常にたよりなようですが、ほんとうに長官大蔵省当局などとまじめな折衝をやって具体的に実現をする考えでおるのですか。ただまだ発表の限りでないとか、考えだけは持っておるとかいっても、将来までずっと続いて具体的にならぬということになる場合もあるわけですが、そういう見通しというものは、どういうふうに持っておられますか。
  96. 前谷重夫

    前谷説明員 見通しにつきましては、相手のあることでございますから、正直に申しまして私わかりません。しかし先般申し上げましたように、われわれとしてこれを努力して、強硬な交渉をするということは、これはあらためて私が申し上げるまでもないことでございます。
  97. 芳賀貢

    芳賀委員 長官の言われる相手とは、常に吉田総理大臣が言う相手とは違うと思うのです。同じ政府の内部において話す場合は、外交交渉などとまつたく異なっておると考えるわけですが、ただ問題は、吉田内閣の中における農業政策が最近非常に後退しつつある。この現実の力関係の上に立って、考えはあるのだけれども実現はどうだかわからぬ、相手があるということはそういうことですか。
  98. 前谷重夫

    前谷説明員 これは先般申し上げましたように、われわれとしては食糧需給の面、あるいは食糧管理の面からしてものを考えるわけでございますが、やはり政府部内といたしましては、財政金融の面から考え、あるいは他の面から考えるわけでございます。それを総合されてどういう結論を出すかということは内閣全体の問題でございまして、今私がその見通しについて云々するのはちよつと言えない時期じゃなかろうかと思います。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 パリテイ指数の上昇等によってバツク・ペイをやるということは、政府の農民に対する約束なんです。もしこれをやらぬとなると、公約をまったく履行しないということになると思うのです。背信的な問題に一つはなると思いますし、もう一つは、当局が実現に対して安易な見通しを持てないということは、パツク・ベイをやることによって二十九年度の米価に、政府から見ると非常に悪影響生産者の側から見れば、別にそれが一つの基本的なものになるのだから悪影響にはならぬけれども、低米価をやろうとする考えの上に立つた場において今日バツク・ペイを行うということは、政府にとっては非常に悪影響を来すというような、そういう思想が流れておるのではないですか。
  100. 前谷重夫

    前谷説明員 その問題は、結局におきまして現在のデフレ予算を遂行するための財政金融政策、これは当然に消費者負担ができないということになりますれば、そのしりが財政に行かざるを得ない筋合いになります。それとの見合いの問題だというふうな形になるわけであります。これを総合調整してどういう形にするかということは、やはり今後の大きな問題になろうかと思います。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 一兆億予算のいわゆるデフレ政策の推進ということは、国民生活の上においてそういう影響を与えるということになつて来るわけですが、しかし消費面においてデフレ政策が実現不可能であるということになつた場合、これは米価問題に対しましても消費者負担は無理であるということになると、結局それは農民だけにデフレの失敗のしわ寄せを持つて行くということになると思いますが、それに対して農民が責任を負わなければならぬ筋合いはどこにあるのですか。
  102. 前谷重夫

    前谷説明員 先般も申し上げましたように、あるいは私の食糧管理の狭い視野かもしれませんが、狭い視野からいたしますれば、これはわれわれとしては強硬に要求したい、こういうことを申し上げておるわけでありまして、その他の面からすると、それは他の面からの考え方になるわけでありまして、私から答弁するのは、あるいは十分に説明ができないかと思います。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 私は決して長官に力以上の期待を寄せておるわけではない。ただこのまま放置しておくと、農林政策全体がどんどん後退して行く、特に食糧行政の面においてもそういう傾向は強いと思うのです。だから食糧庁の全体をたばねておる長官として、やはり今の段階では、相当重大な決意を持つてがんばるというところまで来ておるんじやないかと私は考えておる。これは当然長官の決意いかんにもよることと思いますが、ただ単に相手があるとか、相手が強いからというだけでは、われわれとしてはまつたく期待が持てないわけです。ですからして、今度のバツク・ペイの問題にしても、たとえば、いつまでにその作業が終るなら終る、そうしていつからは対外的な折衝の範囲、およそ結論は八月のいつごろ出るというような見通しを立てて、それに向つて進んでいただきたいと思うのですが、それらの見通しはどういうように持つておられますか。
  104. 前谷重夫

    前谷説明員 御鞭撻は非常にありがたく承るわけでございますが、大体私たちの予定としましては、本月中にはいろいろの資料の整備を終りたい。それから来月に入りますと、それぞれその面についての討議に入りたいと思つております。ただ私たちの希望からいいますれば、大体八月中には結論を得たいと思つておりますが、その点は将来の見通しでございまして何とも申し上げられませんが、われわれはそういう一つのスケジュールを頭においておるわけであります。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 結論が出る場合は、二十九年度の米価と同時的に出るようなことになりますか、それともさつき言われたように、これは可分の問題であるということであれば、バック・ペイだけは切り離した結論ができるとも想像できるわけですが、そのいずれになりますか。
  106. 前谷重夫

    前谷説明員 交渉の段階といたしましては、バツク・ベイの方の資料が先に整うと思います。二十九年産の米価につきましては、さらに資料を整えなければいかぬ点もあることと存じますが、交渉の段階といたしましては、バック・ペイの問題は先に出ると思います。ただ結論がわけて出るか同時に出るかどうか、これは私正直に申しまして現在見当がつきませんが、傾向としては同時的な傾向になる可能性もある、そういうことは言い得られると思います。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 次に七月十七日の食対協議会の答申ですが、これは先刻来川俣委員がるる質疑を進められたので、あるいは重複するおそれがあるかもしれませんが、当面として重要な問題になるような点だけを若干尋ねたいと思います。まず本年度の集荷方針でありますが、農林当局としては、この答申を相当重要視して今年の集荷対策等を立てられるお考えであると思いますが、この経過的な措置といたしましては、一つは、従来のような割当方式、いわゆる義務供出制をとつてつて行く。もう一つは、新しい試みとして予約集荷制を採用する。両建で行くということになりますが、これのウエートはどちらにかけて運営されようとしておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  108. 前谷重夫

    前谷説明員 ウエートのかけ方ということになりますと、これは考え方の問題でございますが、われわれとしては並行して考えておるわけでございます。もしウェートの考え方を量的にいう意味でございますと、もちろん義務供出が当然先行するわけでございます。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 予約供出の場合ですが、これは何か生産者に対して一つの明るい感じを与えるような表現はとつておるけれども、実際の段階に入つた場合においては、結局失望を与えるんじやないかというふうにも考えられるわけですが、特に本年度のように、現在から大冷害が予想されるという場合においては、当然政府としては一定量の供出確保ということは、どうしても、相当無理があつてもやつて行かれると考えられるのですが、そういたしますと、予約供出に対する期待というものはそれほどできないんじやないかというふうに考えますし、この予約供出に対して大きな期待を持つた場合においては、さらにまた強権的に義務供出を強行させなければならぬというような事態も生じて来ると思うわけですが、特にこういうような年柄に遭遇したような場合において、あえて二本立ての集荷方式を採用なさろうとしておるのですか。
  110. 前谷重夫

    前谷説明員 御指摘のように、通常の作柄の場合と、本年度のような作柄が現在まで順調に参つてないという状態とは、非常に考え方が違うと思います。審議会の答申は、まず通常の作柄を作提といたしましていろいろ考えられておるようでございます。本年度の作柄についての具体的な適用にあたつては、そこにおのずからニュアンスが出て参るだろうというふうに考えております。われわれとしては、一定の必要量はぜひ集めなければならないという考え方でやつて参るわけでございますが、同時にまた義務割当の困難性ということもあるわけでございます。両々相まちまして、できるだけ多く集荷したいという気持は持つておるわけでありますが、具体的な適用は、本年度の作柄において具体的にどう適用するかということを十分検討しなければならないというふうに考えております。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 今長官の言われた予算集荷に先行して義務割当をやるというお話ですが、そうすると割当を行う時期というものは、今までよりは実質的に非常に早い時期に行うということになると思う。そうなると何か事前割当的な考えもそこから生れて来るように思いますが、この割当の根拠というものは、いつごろの作況を当の予想に基いてやることになるか、その点をお尋ねします。
  112. 前谷重夫

    前谷説明員 本来予約制度を実施いたします場合においては、御指摘のような事前割当の考え方に立つことが適当であろうというふうに現在は考えております。しかし本年度におきましては時間的な問題もございますし、同時にまた本年度の作柄の状態もございますから、やはり作柄を見なければならない、かように考えるわけであります。ただこういう予約制度を一部にしろ実施するにつきましては、従来の供出割当のように時間がかかる、おそくなるということではその効果を発揮し得ませんので、できるだけ割当は早くやりたい、かように考えております。ただ作況の問題につきましては、八月十五日現在の作況が、政府として第一次に、オフイシアルに作況を見得る第一次点のチャンスである、かように考えております。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 次にこの予約集荷制の場合は、これは既往においても特別集荷制度のような形を試みたこともありますが、これは当委員会としては、二十八年度産米の場合においては特集米制度は行うべきでないというような議決を行つたこともあるわけですが、何か義務割当と予約制を併行してやつて行くというような場合において、この予約集荷制というようなものは特集制度の変形されたようなものでないかというような考えも持たれるわけですが、実際の含みはそういうことじやないのですか。表面は何か非常に明るいような、予約制度は自主性を認めたようなものになつているけれども、そうでなくて、これはやはり特別集荷制度をこういうように偽装して打出したわけじやないのですか。その点をお伺いします。
  114. 前谷重夫

    前谷説明員 特別集荷制度の問題でございますが、先般実施いたしました特別集荷制度については、われわれとしては問題は二点あると思います。一つは、政府の買入れ価格は一本でありますが、特別集荷業者が特別集荷制度に従つて農家から買い入れる価格というものはある程度幅がある、こういう点が一点だろうと思います。一つは、従来の集荷業者に加うるに新たなる集荷業者を認めた点、この二点が特別集荷制度の中心でなかろうか、こういうふうに理解いたしますと、今後の予約制度の考え方でございますが、特別集荷制度とはそういう点については異なつて参るのじやなかろうか、かように考えます。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 結局予約制度の関係は、主として集荷業者にゆだねるということになつて生産者の側から言うと、自主的な申告によつてその数量がだんだん積み上げられて行くというふうに思うわけですが、それは的確に言えば、具体的な生産の上に立つた供出可能数量と必ずしも一致しない場合も非常に多いわけであります。特に予約数量を完全に政府に売り渡した場合においては、何か別の報奨制度を考えるということになりますが、これらの報奨制度は、集荷団体等にある程度の含みを持たした意味における委任の方法で報奨を行うのか、まつたくまつすぐに生産者自体に届くものなのか、そういう点はどういう見解になつておりますか。
  116. 前谷重夫

    前谷説明員 この実施の具体的な問題については、実はわれわれの方でいろいろ議論をいたしておる点でございまして、まだ最終的結論に達しておりませんが、私の今の考えといたしましては、金融その他の面は別問題といたしまして、予約の奨励金等はそのまま生産者に行くべきだと考えております。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 集荷団体の場合には、当然農業協同組合等の生産者団体とまた業者団体とがあるわけですが、これらに対する扱い方等も、政府としては事前に当然考えておかなければならぬと思うわけですが、こういうような予約制度ができることによつてまた集荷の面における不必要な競争であるとか、あるいはどろ試合というものが現出しないとも限らぬと思いますが、こういう事象に対する予防的な措置等はどうなさる考えでありますか。
  118. 前谷重夫

    前谷説明員 集荷の建前といたしましては、現在集荷業者として登録いたしておるものを使うわけであります。従いましてその間において無用な混乱が起るとは考えておりません。またわれわれといたしましても、集荷の業者といたしましては農協系統と一般の業者があるわけでありますが、建前といたしましてはこれは同じに取扱つて参らなければならぬと思います。ただ具体的な問題になりまして、資金の前渡しあるいは資金の融通ということになりますと、協同組合におきましては農林中央金庫その他の組織があるわけでございますが、一方一般集荷業者についてはそういう画然たる組織はないわけであります。実質的にはそこに違いが生ずることは、これはやむを得ないと思います。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 予約数量の完全供出に対する報奨金という制度がありますが、これは従来とられた供出完遂奨励金であるとかあるいは超過供出奨励金、かかる奨励金の制度は、新米価の決定する場合において当然政府当局としては再考慮するようにも見受けられるわけですが、この新らしい報奨制度と関連して、既往の奨励金というものはどういうように処理なさるお考えですか。
  120. 前谷重夫

    前谷説明員 価格問題につきましては、従来から奨励金の整理という問題が各方面から言われておるわけでありますが一われわれとしてはそういう面も検討いたさなければならぬと思つております。ただ具体的にはまだ二十九年産米についての価格の建て方についてどういうふうにするかということを、われわれの方でも検討をいたす段階になつております。まだはつきりしたことは見当がついていないのが正直申しました実態であります。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合基本的な腹構えとしては、二十八年のいわゆる実質的な手取り米価よりおそらく下まわることはあり得ないと私たちも推察しておるわけですが、その点に対する明確な一線はどうお考えになておりますか。
  122. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいま申し上げましたように、実はわれわれもどういうデーターを集めて、どういう建て方で強力に交渉するか、こういう点についてまだ検討中でございます。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 私の申しておる点は、米の場合においては、これは一つ政府の意図によつて一方的に価格をきめて買上げ行つておるわけです。そうして経済的な要素というものは、たとえば農業生産のあるいは肥料であるとか農機具であるとか、そういうような投入する資材に対しても、何ら価格の低落というものが行われておらないというようないろいろな経済事象を憂慮に入れた場合においても、これだから米価を下げなければならぬという具体的な理由は、今の段階においては出て来ないと考えられるわけです。ですから新しい米価の算定方式をきめる場合においても、結局総合されたものは、今までの手取り米価より何ら下まわることのないことは、確信をもつて御発表できると思いますが、その点はいかがですか。
  124. 前谷重夫

    前谷説明員 この米価の問題につきましては、従来われわれはパリテイ方式をもつてつておるわけであります。一方からは生産費方式という問題も出ておるわけであります。同時に手取りの米価の問題になりますと、早場米奨励金の問題もありますし、また基本的な供出とその他のものとの数量比の問題もありますが、今ちよつとそういうところまで具体的にどうだ、こうおつしやられても、データーなり要素で非常に動く要素がたくさんあるわけであります。われわれとしては、集荷の面からして強力に交渉したい、こういう気持は十分持つておる。具体的に今どうだ、こうおつしやられても、ちよつと答弁に苦しむわけであります。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 私の言つておるのは、ただ単にパリテイ米価だけでこれでいいというのではなくて、いろいろの奨励金制度とか何とかは総合化されて、一つの現在の米価という形成を持つておるわけであります。これは一つの既成的な事実の上に立つて、この線がくずされるということになると、これは生産者立場からいつても、重大な問題になつて来ると私は思うのであります。今の政府のやり方を見ておると、政府の単なる一兆円の予算とか、そういうデフレ政策というような実現の伴わないような考え方だけの失敗というものが一つのしわ寄せになつて、この低米価の方に現われて来ないとは限らぬわけです。だから結局今まで一つの既成事実として獲得された米価の線というものは、今年度の米価決定の場合においてもくずされないであろうというような考え方は、全国の農民も持つておると思うのであります。ただたまたま新聞等においては、八千五百円くらいに引下げるのではないかということを流布されることもあるので、こういう点に対しても非常な不安がかもされておると思うのです。集荷当局である食糧庁においは、基本的な構想としては、手取り米価については既往の価格を下まわることのないために最善を尽してやつてもらうとか、そういうような決意を持つておるという発表は、今の時期に必要だと私は思うんです。このくらいのことは長官としても大体抽象的に言えると思うんです。
  126. 前谷重夫

    前谷説明員 私がそういう意思を表明するかせぬかとは別に、お考え願いたいと思いますことは、実はわれわれとしても来年の基本供出米価を幾らにするか、かりに単価が違わないでも、基本供出なり追加供出なり集荷数量というものによつて全体が違つて参るわけです。従つて価格の建て方としてバリテイ方式をとる場合においては、従前通りの方式をとらなければならぬ。同時にまた一方においては生産費方式という主張もあるわけであります。これもとり得るとり得ないは別問題といたしまして、生産費方式をとり得るかどうかというふうな建前も検討しなければならぬわけであります。生産費方式をとる場合におきましては、また全然要素は異なつて参ります。価格パリテイの方式をとる場合におきましても、いろいろ問題があるわけであります。それを検討しているわけであります。これは生産量の問題、集荷量の問題とも、手取り価格ということになりますと、その量の問題と非常に関連して来るわけであります。これを去年よりも下げるのだとか下げないのだということは、今そういう問題を前提としてどうこう言うことは、ちよつと危険じやなかろうかと思います。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 その問題はきようはこの程度にしておきまして、次に消費者に対する問題ですが、この答申等によりますと、たとえば凶作等のあつた場合において、国内における米の集荷量が減つた場合においても、外来輸入はできるだけこれを防止するという建前がうたわれておりますが、そういう場合において問題になるのは、結局配給日数等の問題とか、あるいは配給量の問題、あるいは労務加配等の問題になつて来るわけですが、これを圧縮しなければならぬ事態が生じた場合においては、順序として規制量の問題に手を打つか、それからあるいは消費者に対する配給日数に手をつけるか、労務加配の問題に手をつけるかということがいろいろ考えられるわけですが、そういう事態の場合には、順序としてどういうことで処理することになりますか。
  128. 前谷重夫

    前谷説明員 この点も非常にむずかしい問題でございます。これが一つ考えられますのは一これもまだ十分検討しておりませんが、現在の配給制度における年齢の点について非常に複雑である。こういう点は量の問題と関連がないわけであります。こういう点は再検討いたさなければならぬと思いますし、量が集まらなかつた場合において、労務加配に手をつけるか、一般配給量に手をつけるか、こういう御質問でございますが、これは量のいかんにもよります。また労務加配ができた当時は、食糧事情も非常に困難なときでありますし、また日本の経済状態も現在とは異なつた時代においてその基準量をきめたわけであります。現在の状態において非常にむずかしい問題でありますが、再検討はいたさなければならぬと思います。ただ量的にこれだけ集荷が減つたから、どれにしわ寄せするか、こういう問題は集荷量とも関連しますから、もう少し検討しないと何とも申し上げかねるのであります。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 この労務加配等の問題は相当大きな影響も出て来ると思いますが、ただ現在の配給日数の場合においては、消費地と生産地の場合に十五日から二十日までの間という幅があるわけです。ですから極端に外米輸入を押えて、しかも国内における生産が凶作等によつて激減したという事態なつた場合においては、当然それらの問題がまず先に取上げられて来るというふうにも想像できるわけですが、最近における外米の輸入等を見ても、特に中共米等は大体百八十ドルくらいで入つて来るという現況になつて来ているのです。ですから問題は、外麦に比較して外米が今まで非常にコスト高であるということから、輸入補給金等をできるだけ節約する意味において外米の輸入を押えるという方針がとられて来ておつたと思いますが、最近におけるように、たとえば中共米等においても値段が非常に下落しておるというような現実が現われて来ておる場合においては、何はさておいても外米は一定量以上入れないという極端な政策だけをとるということもどうかと考えるわけです。特に外米も押えるということは、結局はMSA小麦に依存するという以外はないわけですから、これらの点には政治上から言つても非常に問題が多いと思うのでありますが、今後食糧庁当局としては、新たな分野としての中共米の輸入等に対しましては、どういう見解を持つておられるか、参考までに聞かしていただきたいと思います。
  130. 前谷重夫

    前谷説明員 外米の問題につきましては、答申案におきましても、外米が外麦に対して割高――これは見方の問題ですが、現実には外貨の問題から見ますると、ただいま御指摘の中共米が百八十ドルといたしましても、小麦、大麦というのは大体八、九十ドル、大体八十ドル程度でございます。外貨の面からいたしますると割高という形になつております。品質の面からどうだという議論は別にあろうと思います。そういう外貨面の前提からいたしますると、外麦の方が外米よりは割安だということになるわけであります。しかしわれわれといたしましては、やはり消費の実態を考えて参らなければいかぬ。従来われわれが各方面から指摘されておりますることは、高い外米を入れて配給辞退になつておるじやないか。われわれといたしましては、必ずしもそれが全面的な配給辞退じやないということを御説明いたしておるわけでございますが、そういう御意見もあるし、また現実の外貨の事情ということも十分考えて参らなければならぬ。同時にまた消費者に対する一つの安心感ということも国内集荷量と見合せて考えて参らなければならぬわけでございます。具体的にどういたしますか、これは別問題として、考え方といたしましては、やはり外米が外麦に対して割高な間においては、日本の国際収支の面からすれば、安い麦を入れて行くということは当然のことになろうと思います。ただ御指摘の中共米につきましては、最近五千五百トン輸入いたしたわけでございますが、これは北支米でございます。この北支米は内地種を持つて参りましたので、品質はよろしゆうございます。ただ北支の場合におきましては、精米工場の関係かと思いますが、日本と違いまして胚芽がずいぶんついております。これは長期保管、長期輸送ということになりますと、多少の問題があろうと思います。今後の輩方といたしましては、われわれとしましては、品質がよくて安いものなら買いたいと思います。また買う計画も進めております。ただ決済関係といたしましては、これは輸出商品との関連がございますので、われわれが無制限に買いたいと思いましても、決済関係から来る輸出商品の見合いということから、数量的には制限されるということも考えられまするし、同時にまた北支につきましては、大体今度とりました米について安心をしたわけでありますが、北支以外の地域になりますと、やはり相当の在来種、いわゆる普通の外米というものでなかろうか。その品質についてわれわれもまだ見通しを持つておらない状態でございます。
  131. 金子與重郎

    金子委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたします。    午後五時二十四分散会