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1954-09-22 第19回国会 衆議院 農林委員会蚕糸に関する小委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十二日(水曜日)     午前十一時十四分開議  出席小委員    小委員長 佐藤洋之助君       田子 一民君    松岡 俊三君       松山 義雄君    金子與重郎君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       芳賀  貢君    川俣 清音君       中澤 茂一君  委員外出席者         農林委員長   井出一太郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  原田  博君         農林事務官         (糸政課長)  大戸 元長君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  傳君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 九月二十二日  松岡俊三君六月十日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員に補欠選任された。 同日  松山義雄君同月十日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員に補欠選任された。 同日  吉川久衛君八月十一日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一八二号)     —————————————
  2. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 これより会議を開きます。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案議題といたします。金子君。
  3. 金子與重郎

    金子委員 今本委員会継続審講中繭糸価格安定法の一部改正案を見ますと、結局これは今の蚕糸常法の一部の法律をもとにして、繭の取引に対しては特に団体契約並びに取引が大部分行われておるのでありますが、その点が今度の法律改正によると、より以上強化されて参りますし、この団体取引が強化されるということは、農産物というものが、非常に零細な農家によって個々ばらばらの形で生産されおり、従つて取引の一方である者が、農民から見れば相当資本力を持ち、政治力を持つておる強い立場に立つておるために、これを自由経済の原則に立つばらじらの放任した取引にまかせるということになると、結局交換過程矛盾というものが農民にしわ寄せが来るということは、ひとり繭はかりではありませんので、すべての問題にそういうような結果が生れて来ると思う。従つてこの繭の取引に対して団体取引を強化して行くということは、生産並びに価格計画化の、面から行きましても、私は一応好ましいことだというふうに考えておるのでありますが、但し団体取引して、一定の基準によつて掛目協定をして行くということになりますると、今度はその取引契約内容がはたして妥当であるか妥当でないかということを、相当政治的に強く指導なり、あるいはもう一歩踏み込むならば規制しなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。従つてこの法律改正が行われた後に行われるところの団体取引契約内容というものを、今のような状態よりも、もう一歩強い形において指導なりあるいは規制しなければ、法律改正のこの点の意味がなくなる、こういうふうに考えておりますが、それに対して政府は、どういうふうな施策をとろうとしておるか、その点はまた説明が具体的にありませんので、この際説明を聞いておきたいと思います。
  4. 原田博

    原田説明員 お答え申し上げます。改正法案におきまして、掛目協定のバックになります繭の価格製糸業者間における協定というもの、あるいは必要な場合にはさらに一歩前進しました協定というものを認めるように立案いたしてございます。金子先生の御説のように、この掛目協定という問題につきましては、資本力の非常に弱い養蚕農家立場というものと、比較的資示力の強い製糸家側との間におきまして、強弱の関係が起きて参りますので、この点につき永しては、改正法成立をまたない時期におきましても、私どもといたしましては常に注意をいたしまして、いやしくも不当に繭値が抑えられるということがないように、常時留意しなければならない。従いまして改正法成立後におきまして、安定帯を守るために、申し上げましたような必要な措置を講じますので、その後におきましてさらにそういう点につきまして十分な指導を怠らないようにしなければならない、かように考えております。
  5. 金子與重郎

    金子委員 繭の価格決定いたしますところの取引形態団体取引に行くという場合における価格構成価格決定する要素というものがあるわけでありますが、その要素の正しいかあるいは正しくないかというような問題は、直接製糸家養蚕家利害に非常に結ばれるものでありまして、これが数量が非常に厖大でありますために、わずかその掛目が一彦あるいは五%というふうなものでも、繭一貫目自体にはさほどの金額には思えないけれども農家の繭の生産の全体量になりますと、数億というような大きな利害関係を持つて参りますので、これに対してはつきりした線を、指導するとおつしやるけれども、どこまで——その線を出し得るまで、自信のある数字農林省はすでに持つておるのかどうかということは、具体的にどの線まで行つておりますか、その点をお答え願いたい。
  6. 原田博

    原田説明員 農林省といたしまして具体的な数字としてつかみ得るものにつきましては、現在のところ毎生糸年度最低価格最高価格決定いたします際に、ぜひ必要な資料といたしまして、繭の生産費に関する資料並びに製糸業者製糸のために必要な製造販売費というものにつきまして、資料を用意いたします。これがまあ基準的なものであるという考えで用意をいたしております。
  7. 金子與重郎

    金子委員 現在、それ指導によつておりますところの協定する要素というものによいて大部分が行われておるのでありますが、それがその内容に対して相当疑問の点があるというようなことから、また方法の問題もそれに加わりまして、繭の掛目をきめるのに、そのときの浜の相場というものを基準にとるということになりますと、先日来中澤委員や何かから問題になりましたように、その時の相場というものをかるいはことさらに下げている傾向がないかというふうな疑念も起きて参ります。それらの問題をかみ合せまして、大生産地である群馬のごときは、ようやくにしてその繭の掛目協定なりあるいは売買契約というものの内容にいろいろ疑問点があるということが、養蚕家にだんだん浸透して参りまして、その非常に問題を起こしおる。そうして団体契約をやつております当事者の農業団体やり方にすら問題が起つておるのであります。こういうことをはつきりと理解する程度まで持つて参りませんと、結局今の団体取引が法制化させているわくの中でやつているというのじやなくて、一つ指導方向というこうな形でやつておるだけに、結局今度は、県段階協定というものが不満だから郡段階にする。郡段階団体取引をすることに対してまた不満だから町村段階にする。町村段階に対してまだ不満だからといって、今度は部落段階にまで入って行くというふうな方向に、ややともすれば進みやせぬか、そういうふうな結果になって来れば、今度は資本家人たちの思うつぼに入るのでありまして、昔の特約製糸の形において、まったく発言権の少い小さな養蚕グループというものと製糸家が直接取引加納を結んで、そしてその間において肥料蚕具等の資材、供給等も行われて、抜き差しならぬかつて特約製糸の時代の悪い弊害を生んでしまう。そして今の団体取引というものに対して農民が協力して参らないと、結果としてまたそこへおちつきやせないか。そういうことになると、せっかく農村全体、養蚕家全体の生産というものの上に立って正しい取引、公正な価格決定してあけようという今の施策が、逆な方向に行ってしまうというふうに考えておるわけであります。そういう点から行くならば、今まであなたの方で出しておる資料というものが、本委員公等において一度もそれが議題になり、審議になったこともない。まつたくあなたの方の一方的なあれと、養蚕組合なりあるいは製糸家というものだけで知って行われておる。これを卸一考的な立場にはっきり議題として論議された過去の例もないということでありますから、結局第三者としても、われわれがそれは正しいのだという強い信念で指導をするわけにも行かぬ。従ってこういうふうな問題が起つたときに、われわれとして、それが正しいのだとか、あるいはそれが正しいのだとかいうふうな指導的な立場に立って意思表示すらできないというのが現状なんです。そこで私は、今あなたの方でおやりになっておるというけれども、それは私はこの際抜本的に考え直す必要がある。そうしてもし生産費調査ということになると、当然これは人の企業でありますからして、その企業に対して調査をするということに対しては、一つ権限を持たなければできない場合もあるでしょう。そういう場合には、たとえば今やつております肥料審議会のごとく、国会の議員も入りまして、そうして必要に応じて製糸会社生産費というものの内容調査に立ち入るということを、法律的にもこれを認めるというところまで行かなければ、徹底したことはできないと思うのでありますが、その点について、今政府はどういうふうに考えておりますか。
  8. 原田博

    原田説明員 掛目協定の重要な基礎資料の一部分でございます生糸製造販売費というようなデータ正確性を保つということにつきましては、ただいま御指摘通りでございまして、私どもといたしましても、いろいろな面において必ずしもこれが最善の姿であるとは考えられない節がございますので、常時これの適正化というものにつきまして努力を進めて参りたい、かように考えております。  それでこの資料審議と申しますか、審査するという点につきましては、現行制度といたしましては、繭糸価格安定審議会というものが設けてございまして、毎年糸年度ごとにこの資料をその審議会におきまして審議をしていただくというような行き方でやつてつておるわけでございます。この行き方につきまして、はたしてその審議会審議で十分であるかどうかとい研究をしてみたい、かように考えております。
  9. 金子與重郎

    金子委員 そこでお伺いしますが、その審議会は、今度の繭糸価格安定法が改正されました後にもその通りで進んで行くように、今の改正案考えておるように思いますが、その点が一つと、第一その審議会が現在構成されておるのは、一体どんな分子で構成されておりますか。
  10. 原田博

    原田説明員 現在の私ども考えといたしましては、繭糸価格安定法に基きまして設置されておりまする審議会の性質から考えまして、改正法案成立をいたしました場合におきましても、このデータにつきましては、やはり審議会において審議をするという行き方で参りたい、かように考えております。  また、審議委員顔ぶれでございますが、この繭糸価格安定制度関係のありまする業界の各方面代表的な人々並びにその業界のいずれにも偏しない立場であり、かつ学識経験もある、こういう方面方々をもちまして構成いたしております。
  11. 金子與重郎

    金子委員 もう少し内容をこまかく、何の代表からだれとだれが出て、何の代表からだれとだれが出ているか、知らせていただきたい。
  12. 大戸元長

    大戸説明員 会長農林大臣でございまして、委員石黒武重、これは学識経験者ということで出ております。それから石井英之助、これも学識経験岩の範疇でございます。それから市川忍、これは販売業者波多野林一、これは製糸でございます。堀川光記、これは心血でございます。筑紫六郎、この方は取引所とそれから輸出販売等をやつておられます。若杉好平、養蚕でございます。川口正一輸出でございます。吉田清二、これは中央蚕糸協会及び日本蚕糸会会長で、学識経験者あるいは中立委員として出ております。高田利七製糸でございます。中沢正英製糸村上正二郎、これは輸出問屋と両方兼ねておりますが、おそらくこれは問屋で出ておるのだと思います。それから後藤丈長養蚕でかつ協同組合製糸の方をやっておられます。小山邦太郎製糸代表でございます。近藤好一養蚕でございます。佐藤善太養蚕であります。北原金平養蚕であり、かつ組合製糸の方をやっております。岸加八郎、これは販売内地問屋であり、織物関係であります。宮澤修二、蚕種であります。肥円啓治輸出であります。
  13. 金子與重郎

    金子委員 そういう方々構成されている委員会の過去の実績からいつ決定等はこれを別問題としまして、今論議の問題になっております生産費工料やあるいは今の繭の検定のやり方であるとか、あるいは水引きの問題であるとか、そういうような具体的の問題に対して、あなた方が出した原案とい秘匿まで修正されておちついているのですか、その経緯をひとつ伺いたい。
  14. 原田博

    原田説明員 ただいまその過去におきまする審議会の詳細な資料を持っておりませんので、非常に漠然とした状況を申し上げることになりまして恐縮でございますが、大体審議会の最も重要な使命といたしましては、先ほども申し上げましたように、繭及び生糸価格の安定という点に重点をおいておりますので、勢い審議会におきまする審議最低価格最高価格をどういうふうにきめるか、このデータをどういうふうに扱って参るかという点に主眼が置かれまして、その安定帯の中におきまする掛目協定等の問題につきましては、どうも熱心な論議が集中するという傾向は、あまり今まで見受けられなかったようでございます。従いまして、具体的な掛目協定の諸要素について、特にそれを取上げて、論議された場合は、あまりないように記憶いたしております。
  15. 金子與重郎

    金子委員 そういたしますと、先ほどのあなたの答弁では、繭の価格決定要素に対して再検討する必要があるということをお認めになっておりますが、そうすると、それだけの権威者の集まりにおいても糸の最高販売価格最低販売価格、という問題が中心論議であって、取引過程における諸条件、諸要素についてそう強い論議がなされたことはない。そうすれば、それに対して私どもがまず疑問を持つのは、今度の安定法は、最初政府が出しましたときには糸価安定法でありましたけれども、本委員会において委員の諸君の考え方で、それには繭も入れるべきだということで繭糸価安定法ということにしたわけです。というのは、糸というものが、化学工業のように一つ企業形態のうちで、化学繊維のような形において行われる場合ならこれは別でありますけれども、この養蚕家というものとそれから製糸家というものは経済がそこで切られておるのであります。関連性はあるけれども切られておる。だからしてことに取引等におきましては、いかに糸の最高価格を押えてもそれが繭の取引過程において矛盾があるならば、養蚕家が直接利益にはならない。いわゆる繭には影響がないということになりますので、特に繭並びに糸の価格を安定するという法律にしたわけであります。だとするならば、この審議会はその両者立場に立ちまして最高価格なら最高価格最低価格なら最低価格の中における公平な利潤の分配というものを相当強く論議さるべきだと思うのでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  16. 原田博

    原田説明員 先ほど私から、過去におきます審議会審議状況を申し上げたのでございますが、これはあくまでも現行安定法を前提にしまして、審議会がどういう点に論議を集中いたして参つたかという事情を申し上げた次第でございますが、御指摘通り改正法案というものが成立いたしました場合におきましては、単に糸の最低価格最高価格、つまり問題は糸の安定帯だけではなくなりまして、ここに糸の安定帯に関連いたしまして繭の値段の問題が出て参りますので、今後の審議会におきましても、この繭の価格という問題につきまして、相当大きなウエイトをもちまして審議が行わるべきものである、かように考えております。
  17. 金子與重郎

    金子委員 それはおかしいのですよ。今度になればより強化されるけれども、その審議委員も今までの法律の繭糸価安定に関する審議委員なんです。だから今までの審議委員がそういうあり方であるということに対しては、やはり私は、失礼だけれどもその点に対する熱心さがなかつたのじやないかと考えるのですが、その点はどうお考えになりますか。
  18. 原田博

    原田説明員 ちよつと私の説明が不足でございましたことをおわびいたします。現在におきましても、もちろん安定法の建前といたしまして、繭及び生糸価格の安定に関する事項審議する責任を審議会は持つておるのでございますが、具体的には結局最低価格最高価格審議をします際に、資料の一部といたしまして繭の生産費の問題が出て来る。また生糸製造販売法というような問題が出まして、その範囲におきましては審議が慎重に行われておるのでございますが、安定帯の中におきまして、この掛目協定というものがどういうふうにあるべきか。あるいはそのデータは現在行われているような行き方でいいのかという審議には、あまり見るべきものがなかつた。しかしこの改正法案が出ますと、これにつきましては相当強い姿となつて、繭の掛目協定の問題が取上げらるべきではないか、かように考えましたので、先ほどのように申し上げたわけであります。
  19. 金子與重郎

    金子委員 それで問題の点は解明するわけでありますが、そういうふうに繭糸価安定法があり、それに基く審議会があり、一方それを主査する農林大臣がありながら、われわれがこういう問題に対して疑点を持つということは、審議会においてもあなたがおつしやる通り取引という問題に対してはあまり強い論議がされておりません。そうして大部分商慣習のような形で来ておる。それで農民は、こういうものだという戦争中の流れでここへ来ておる。そういうことがだんだん養蚕農家の間に浸透して参りますと、農家自体考えても矛盾があるのではないかということで、先ほど申し上げたような、より強化の方向へ持つて行こうとする団体取引が、逆な方向に行く。養蚕県における養蚕組合の問題、たとえば脱退であるとかあるいは分裂であるとかいうような問題が現在起つておりますが、その原因というものは、どこにあるかというと、大体において取引中心にしての意見の対立からそういうものが起つておる。こういうことを考えたときに、政府はこの際、急遽この問題の解決にほんとうに力をもつて当るべきだ、こういうふうに考えておりますが、それに対して政府は、今どういうお考えを持つておるか。その点が一つ。  もう一つは今の、審議会がそういう構成あり方——おそらくこれは農林省自体が一方的に委嘱するのだと思つていますが、そういう形でその審議会構成あり方、あるいは審議会自体の持つ権限が、今の程度のものでよろしいか、もう少し強化すべきかということについて御意見を伺いたいと思います。
  20. 原田博

    原田説明員 ただいま御指摘団体契約内容的な点につきまして、いろいろこれが疑問を持たれる、あるいは不満を持たれるということのために、養蚕側の結束と申しますか、それがいろいろ脅かされる傾向があるという点につきましては、私どもといたしましても、一万におきまして製糸側繭価につきましての協定というものを認めておりますのとにらみ合せまして、やはり養蚕農家側におきましても、しつかりした共同販売態勢を堅持いたしまして、その両者の間におきまして公正な団体契約掛目協定ができるよう  その次の審議会の点でございますが、審議会委員構成につきまして、今までにおきましていろいろな角度から慎重に検討いたしまして、現在の顔ぶれがきまつておるのでございます。またこの権限につきましても、審議会権限そのものといたしましては、繭及び生糸価格の安定に関する重要事項という規定でございまして、これは相当包括的な規定でございますので、審議会の意向といたしましてこれについていろいろな問題を取上げるという考えさえあれば、これは相当活用の範囲が広いものではないか、かように考えておりますので、さしあたり権限につきましては現在の規定で間に合う、と申しますと語弊がございますが、その審議会の空気がそういうことに向けば、この権限が少ないためにどうこうという問題は、ただちには起きないのではないかと考えております。
  21. 金子與重郎

    金子委員 そうしますと、この問題から今度は別の問題に入りまして、今まで繭の取引繭生産時期のきわめて短期的な相場基準にして行なわれておるのでありますが、これがいろいろな問題を起こして来るのです。もちろん両者意見の一致を見たときに、そういう短期の時期を押えた浜の相場基準にして行くことも一つ方法であるけれども、それは唯一方法ではなくて、別な形における取引方法というようなものも指導さるべきではないかというふうに考えますが、その点はどういうふうに考えられますか。
  22. 原田博

    原田説明員 安定帯の中におきます取引の問題につきましては、どうなければならぬというきめ方があるわけではございませんので、現在実際に、ほとんど全部と言つてもいいくらい普遍的に行われておりますような、いわゆる比較的短期間の市場相場基礎にいたしまして割出しておるあの掛目協定やり方が、唯一無二のものであるとは考えておりません。これにつきましてさらにより合理的な方法が生れるならば、その内容がよろしければそういう行き方も十分考えるべきである、かように考えております。
  23. 金子與重郎

    金子委員 それも取引一つ条件であります。その他たくさんの条件によつて一つ価格決定なり掛目協定がなされるのでありますが、そういう問題をこの際あらためて一つ一つ抜き出して、そしていかにあるべきかということを再検討すべき時期が来ておるということを私は考えて、そうして今の問題点についてあなたに政府考え方をただしておるわけであります。  そこで私ども考えとしては、長い間やつておるのでありますから、少くとも来年の春蚕までにはまだ相当の期間がありますので、全部完成したといわなくてもいいから、とにかく来年の春までにそれに対する具体的な決定をなして、未知数の問題は未知数の問題で残されてもいいから、来年度の春蚕取引を目途として、こうあるべきだという政府基本方針を打出してもらいたいと思いますが、どういうふうに考えておられますか。
  24. 原田博

    原田説明員 ただいまの点でございますが、過去におきましても、こういう問題につきまして関係の方がいろいろくふうされた跡も多少見受けられる節もございますし、また最近の事情から見ましても、こういう掛目協定あり方につきましては、私どもとしても業界関係団体等の実情を伺いながら勉強を進めて行きたいと考えておりますが、何分にもただいまのお話にもございましたように、長い間間習慣と申しますか、習慣的に一つ行き方ができ上っておりますので、こういう問題につきまして新しい考え方を生み出すということにつきまして、資料その他研究を要する点をまとめますのに、相当骨の折れる感じを持っております。しかしながら非常に重要な点でございますので、私どもの力の及ぶ限り、こういう問題についても研究を重ねて参りたいと考えております。来春までにという点でございますが、これはひとつ取組んでみませんと、現在そのころまでにどういう程度勉強が進むかどうか、私どもとしてはまだ予断できないのでございますが、とにかくなるべく早くそういう問題について、私どもの力の及ぶ限り十分な勉強をいたして参りたいと考えております。
  25. 金子與重郎

    金子委員 これは皮肉のようでありますけれども、この間も申し上げておるように、あなたの方は三年研究したつて、五年研究したつて、繭が高くても安くても、俸給が一銭も減るわけじゃないから、幾年でも研究すればけっこうだけれども農家としては、一年続けられればそれだけよけいに損をするのですから、そういうことでなしに、私は今日まで——蚕糸局は一年や二年で店開きをしたのではないのです。たとえば今審議しておる肥料価格のごときは、資料としてはまた未熟である。未熟ではあるけれども法律を施行してわずかの月日の間に一応資料として出して、それが正しいか正しくないかということの判断を今審議会にかけておる。だから私は、少くとも来静養が出るまでに、審議会やあるいは審議会ばかりではなく、こうした問題が起っておる本委員会にも、こうした指導方針で行きたいと思う、今まではこことここにこういう矛盾があったということを、全部の予想でなくてもいいから、判明したものだけは改善して行くという腹づもりで、この際約束してもらいたい、こういうことなんです。
  26. 原田博

    原田説明員 私少し大事をとり過ぎまして、漠然としたお答えを申し上げたかも存じませんが、お話のように、これで完全であるといういわゆる決定版でなくても、いろいろ未確定の要素はあるが、一応こういう構想、こういう行き方があるはずだという意味におきまして、できるだけ研究を急ぎましで御意見に沿うように運びたいと考えております。
  27. 金子與重郎

    金子委員 くどいようですが、申し上げますが、私は一応の結論として、内容にはまだ未確定の点があるというふうな意味で——決定しろというのではなくて、現段階の研究でこの要素はこうあるべきだ、この要素に対しては研究の余地があるというふうな形で、不完全でもというのであって、ただ抽象的に、まだ不完全なところもあるが一応この線でという、そういう意味で申し上げたのではない。要素がはっきり別々になっておるのですから、その点を第三者でも納得するような——それは今審議会がいわゆる学識経験者というりつぱな方々がおり、しかも業者の代表がおり、生産者の代表がおって審議会ができておる。それを今別な国会の立場から、そういう具体的な問題を指摘するということは、その役所やその人たちから見れば、あるいは越権だというふうに思われるかもしれないけれども、しかし私が今の顔ぶれを聞き、しかもその過去の審議の経過において、そういう問題はあまり強く審議されておらないということであるならば、それは当然この場所で取上げて、一歩前進して行くということしか方法がない。だからこれは、ただほかの学者の研究じゃない、直接取引に影響するのでありますし、もはや相当の年月こういうこと一々続けておるのでありますから、それを再検討する時期はとうに来ておるし、あなたもしておられると思うから、それが完成するまで二年だ、三年だということではなくて、来年の春蚕を目標にして、かりに問題点が十あつたなら、その問題点のうち六つなら六つ、七つなら七つを、これはこういうふうに見解をとるということを決定するように、私はそういう意味で来年の春蚕から改善してほしいということを申し上げておるわけなのです。その点もう一度はつきりしておいてもらわないと困るのです。
  28. 原田博

    原田説明員 私その点につきましては、御指摘のように、実際の農家取引というものに影響のある問題でありますから、極力研究を急ぎまして、でき得る限り御趣旨に沿うように運びたいと考えたいと考えております。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 この前一ぺんいただいたと思うのですが、十分検討の余裕がなかったので、あらためてお願いしたいのであります。それは生糸の加工費関係資料ですが、それのみに限らず、審議会に提出せられた資料等を早急にひとつお届け願いたいと思います。  ついででありますので、ちよと申し上げておきますが、審議会に出されたものを、この前散見して感じましたことは、加工費というものが非常に漠然としておりまして、私ども部外の者から見ると、どれがほんとうなのやら、どれがインチキなのやらさつぱりわかりません。あれには各社々々で相当加工費が違っておるわけです。そこで日本の各製糸業者が現在出しておるいわゆる加工費、それを重要な各社別に調べられたものがあれば、それもひとつつけ加えてもらいたいと思うのです。一体どういうものが根拠になってあの加工費というものが出ておるのか。どうも繭糸価格安定法の運用上一番中心になっておるのは、あの加工費が一番重要な要素だろうと私は思う。農民生産費はどちらかというとたたいて、加工費を上げて行くような操作をされたのでは、これは農民は立つ瀬がございません。今までの傾向を見ておると、私どももはっきりとした根拠はありませんが、蚕糸局あたりの考え方は、結果的にはそういうことになっておりはしないかということを、私ども案じておりますので、その点に関する資料々整備して、ひとつお見せを願いたいと思います。もしこの点について御意見がありましたら承っておきたいと思います。
  30. 原田博

    原田説明員 だだいまお話の資料につきましては、すみやかに調整いたしまして話差上げたいと思います。  なお加工費の問題でございますが、これにつきましては、御指摘のように非常にわかりにくい、また信憑性につきましてもいろいろ問題の点もあるように、私ども考えて、寄り寄り研究いたしております。平均的なもの以外に、いろいろのタイプがございますので、そういうものをある程度個別的に、こういうタイプ、こういうタイプのものがあるという資料を、一緒に差上げることにいたしたいと思います。
  31. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 私からも資料をひとつ要求いたします。寺内局長が五箇年計画を発表せられたのですが、原田局長になって、その五箇年計画をどういうように改訂するのか、あるいは踏襲するか、その計画をひとつ表によってお示しを願いたい。たとえば全国の桑園十七万八千町歩に対してどういうふうに対処して行くか、そこで桑園から生れる産繭量が、各県においてどういうふうに出て来るかというふうな問題が一つ。それから各県別の春、夏、晩秋——これは今年は見込みですが、生産の統計、そうしたものを次会までにお出しを願いたい。  この際余子委員より発言を求められております。これを許します。
  32. 金子與重郎

    金子委員 私はこの際本小委員会におきまして、皆さんの御同意々得まして、繭の売買契約並びに団体協約に関する条項に対して決議をいたしまして、政府に対して強く要望しておきたいと考えるのであります。  まず案文を読みまして後、それに対する説明をいたしたいと思います。    生繭の売買契約並びに団体協約に関する件  現在の繭生産者の売買処理方法は、その大部分が蚕糸業法第十五条二に基く団体協約による売買の契約によつて処理されており、尚目下本委員会において継続審議中の繭糸価格安定法の一部改正案においても重要な改正点として、農業協同組合を中心とする共同販売体制の強化につき、これに必要な規定を加えている。これは、繭糸価格安定を図るためにも、零細な農民生産物を正当な価格取引する為にも、一応是認されるべきであるが、現行団体取引を見るに、その内容において種々疑点があり、是正すべき点が多い。従つて繭糸価格安定法の一部改正した後においては勿論のこと、現行のままの団体取引を継続するとしても、この問題については再検討を加える必要に迫られている。   よつて政府は、左記事項につき速かに措置を講ずべきである。     記  一、団体協約による繭共同販売契約内容の再検討をすること、即ち水引の問題、理論掛目の根拠となる加工費の分析、理論掛目の算出方法、代金清算、検定並に供用繭の問題等が、従来の習慣的な惰性で今日に至り、農民の間に不満の多きことに鑑みて、来春繭の取引に間に合うことを目途として指導の規準を作成すること。  二、団体協約による繭の公正なる取引を推進するため、現在既にそのきざしある製糸家経済力のない小規模な繭生産団体との特約取引の弊害について、これを除去するため、万善の措置を講ずること。  三、繭糸価格安定法改正案による農民の共同保管に対する乾繭担保の資金送付について、現存の製糸業者の設備を利用し、これを合理的に運用せしめる等具体的方策を検討すること。  四、繭の販売取引法について、全量長期正量取引の新しい方式を研究し、これが結論を得るよう努力すること。  右決議する。 この問題につきまして、一応内容説明をさしてもらいます。  第一は、ただいま局長との間において質疑応答のありました問題の結論を出してほしいということであります。  第二の「団体協約による繭の公正なる取引を推進するため、現在すでにそのきざしある」ということは、先ほども話にありましたように、今の団体取引が不合理だということから、やがては取引単位というものが県から郡、郡から町村、それから部落というふうにだんだんて小さくなつて参ります。そうしますると、過去においてありましたように、小規模な養蚕団体と、資本力の大きい製糸家とが直接結びついて、そうして特約取引の形を持つて来る。そうなつた場合には非常な弊害が来るからして、それをそうならないようにするためには、どういう措置を講じたらいいかということを研究すべきだというのであります。  それから第三は、繭糸価格安定法の改正によりますると、今度は繭の保管に対して最低価格の場合、繭自体政府は低利資金を貸すという事項があるのでありますが、この場合に乾繭倉庫あるいは乾繭設備というものを農民自体が持たなければならないということになりますと、そこにいろいろ支障がありまするので、委託製糸をいたします。ただ価格決定しない場合のような姿において、現存の製糸業者の設備あるいは倉庫を合理的に運用することができ得るということは、全部がそれにやるというのではなくて、そういう方法も考究すべきだというのであります そうでありませんと、もし最低価格に迫ったときに乾繭保管をしようとしたしましても、そこでまた乾繭設備をするとか、あるいは乾繭倉庫を建てるというようなことになりまして、非常に膨大な経費を要しますし、しかも、農業倉庫のように常に使うものではなくして、繭の価格が一定以上なりましたときはそれがくもの巣を張るということになりますので、この新しい方式をやるべきだというのであります。  第四の繭の販売取引方法について全量を長期正量の形にするということは、委託製糸という形を言つているわけであります。委託製糸のような形で、従来繭はでき秋の相場というもので、一勝負ではたいておつたのでありますが、製糸家も公正な立場生産者も公正な立場において取引することに対して、長期にわたる全量委託製糸のような形のものを打出すのにはどうしたらよいかということ、これは今後の一つ研究課題でありますので、この点についても政府研究してほしい。  以上がこの決議文の内容でございます。何とぞ皆さん方の御賛成を得て、これを決議といたしまして強く政府に要望いたしたいと存ずる次第であります。
  33. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 ただいまの金子委員の提案に対して、何か御意見はありませんか。——別に御発言もなければお諮りいたします。ただいまの金子君提案の生繭の売買契約並びに団体協約に関する件、これを小委員会案として御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 御異議なしと認めます。本件の委員会に対する報告につきましては、小委員長に御一任を願いたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 御異議なしと認めさよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会