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金子委員 私はこの際本小
委員会におきまして、皆さんの御同意々得まして、繭の
売買契約並びに
団体協約に関する条項に対して決議をいたしまして、
政府に対して強く要望しておきたいと
考えるのであります。
まず案文を読みまして後、それに対する
説明をいたしたいと思います。
生繭の
売買契約並びに
団体協約に関する件
現在の
繭生産者の売買処理
方法は、その大
部分が蚕糸業法第十五条二に基く
団体協約による売買の契約によ
つて処理されており、尚目下本
委員会において継続
審議中の
繭糸価格安定法の一部
改正案においても重要な改正点として、農業協同組合を
中心とする共同
販売体制の強化につき、これに必要な
規定を加えている。これは、繭糸
価格安定を図るためにも、零細な
農民の
生産物を正当な
価格で
取引する為にも、一応是認されるべきであるが、
現行の
団体の
取引を見るに、その
内容において種々疑点があり、是正すべき点が多い。
従つて繭糸価格安定法の一部改正した後においては勿論のこと、
現行のままの
団体取引を継続するとしても、この問題については再検討を加える必要に迫られている。
よ
つて政府は、左記
事項につき速かに措置を講ずべきである。
記
一、
団体協約による繭共同
販売の
契約内容の再検討をすること、即ち水引の問題、理論
掛目の根拠となる加工費の分析、理論
掛目の算出
方法、代金清算、検定並に供用繭の問題等が、従来の習慣的な惰性で今日に至り、
農民の間に
不満の多きことに鑑みて、来春繭の
取引に間に合うことを目途として
指導の規準を作成すること。
二、
団体協約による繭の公正なる
取引を推進するため、現在既にそのきざしある
製糸家と
経済力のない小規模な
繭生産者
団体との特約
取引の弊害について、これを除去するため、万善の措置を講ずること。
三、
繭糸価格安定法改正案による
農民の共同保管に対する乾繭担保の資金送付について、現存の
製糸業者の設備を利用し、これを合理的に運用せしめる等具体的方策を検討すること。
四、繭の
販売取引法について、全量長期正量
取引の新しい方式を
研究し、これが結論を得るよう努力すること。
右決議する。
この問題につきまして、一応
内容を
説明をさしてもらいます。
第一は、ただいま局長との間において質疑応答のありました問題の結論を出してほしいということであります。
第二の「
団体協約による繭の公正なる
取引を推進するため、現在すでにそのきざしある」ということは、先ほ
ども話にありましたように、今の
団体取引が不合理だということから、やがては
取引単位というものが県から郡、郡から町村、それから部落というふうにだんだんて小さくな
つて参ります。そうしますると、過去においてありましたように、小規模な
養蚕団体と、
資本力の大きい
製糸家とが直接結びついて、そうして特約
取引の形を持
つて来る。そうなつた場合には非常な弊害が来るからして、それをそうならないようにするためには、どういう措置を講じたらいいかということを
研究すべきだというのであります。
それから第三は、
繭糸価格安定法の改正によりますると、今度は繭の保管に対して
最低価格の場合、繭
自体に
政府は低利資金を貸すという
事項があるのでありますが、この場合に乾繭倉庫あるいは乾繭設備というものを
農民自体が持たなければならないということになりますと、そこにいろいろ支障がありまするので、委託
製糸をいたします。ただ
価格を
決定しない場合のような姿において、現存の
製糸業者の設備あるいは倉庫を合理的に運用することができ得るということは、全部がそれにやるというのではなくて、そういう
方法も考究すべきだというのであります そうでありませんと、もし
最低価格に迫ったときに乾繭保管をしようとしたしましても、そこでまた乾繭設備をするとか、あるいは乾繭倉庫を建てるというようなことになりまして、非常に膨大な経費を要しますし、しかも、農業倉庫のように常に使うものではなくして、繭の
価格が一定以上なりましたときはそれがくもの巣を張るということになりますので、この新しい方式をやるべきだというのであります。
第四の繭の
販売取引方法について全量を長期正量の形にするということは、委託
製糸という形を
言つているわけであります。委託
製糸のような形で、従来繭はでき秋の
相場というもので、一勝負ではたいておつたのでありますが、
製糸家も公正な
立場、
生産者も公正な
立場において
取引することに対して、長期にわたる全量委託
製糸のような形のものを打出すのにはどうしたらよいかということ、これは今後の
一つの
研究課題でありますので、この点についても
政府は
研究してほしい。
以上がこの決議文の
内容でございます。何とぞ皆さん方の御賛成を得て、これを決議といたしまして強く
政府に要望いたしたいと存ずる次第であります。