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1954-04-22 第19回国会 衆議院 農林委員会蚕糸に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十二日(木曜日)     午前十一時五分開議  出席小委員    小委員長 佐藤洋之助君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤善一郎君    福田 喜東君       松岡 俊三君    神戸  眞君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    中澤 茂一君       中村 時雄君    安藤  覺君  出席政府委員         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君  小委員外出席者         農林委員長   井出一太郎君         議     員 金子與重郎君         大蔵事務官         (銀行局蚕業         課長)     大月  高君         農林事務官         (蚕糸局蚕業         課長)     小林 明隆君         参  考  人         (日本銀行総務         部長)     山田 精一君         参  考  人         (農林中央金庫         理事)     小野 三郎君         参  考  人         (農林中央金庫         審査部次長)  栗本  平君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 四月二十日  小委員今井耕君が三月三十一日委員辞任につき、  その補欠として神戸眞君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  井谷正吉君が同月十三日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同日  中澤茂一君が同月十六日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同日  中村時雄君が同月十四日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員に補欠選任された。 同日  安藤覺君が同月九日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員に補欠選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  購繭資金融資問題に関する件  牛系輸出確保対策に関する件     ―――――――――――――
  2. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 これより蚕糸の小委員会を開会いたします。  本日は購繭資金の問題につきまして、それぞれ関係方々から参考意見をまず拝聽いたしたいと存じます。参考人の方には本日は御多忙のところお出を願いまして、委員会といたして感謝をいたします。  それではまず最初に日本銀行総務部長山田精一さんから、繭購資金につきまして、日銀のお考え方を御発表願いたいと思います。
  3. 山田精一

    山田参考人 それでは申し上げます。  先般新聞に本年度購繭資金につきまして、日本銀行政策委員会の方針が決定したかのごとき記事が出ておりまして、御心配をおかけいたしましたかと恐縮いたしておるわけでありますが、あの件はまだ決定いたしましたわけではございませんで、一昨日、火曜日の政策委員会におきまして、フリートーキングのような形でもつて一応意見の交換が行われたという段階でございます。私ども事務局といたしましては、今後どういう方向決定いたすかということはむろんわかりませんのですが、ただ考え方がございます点を御説明申し上げようかと存じます。  従来購繭資金につきましては、御承知のごとく日本銀行といたしましては、第一には農村金融であるという点、第二には季節金融であるという点、第三には輸出金融であるという点、こういうような諸点を勘案いたしまして、御承知スタンプ手形制度ということで、スタンプ押捺いたしまして、優遇措置を講じて参つてつたわけであります。今年度におきましては、その三つの要素の中でもつて輸出金融という点が非常に強調されて参りましたことは、現在の国際収支現状から申しまして当然のことかと思われるわけでございます。従つてこの輸出金融であるという点に重点が置かれまして購繭資金金融考えられるわけでありますが、私どもといたしましては、新聞紙上に一部伝えられておりますところの、輸出の分だけについて金融をいたすというようなことは、はなはだ困難であると考えております。むしろ製糸家方々なり養蚕家の方が、どうしたら輸出に有利であるか、輸出をしたいというお気持がわくような方向に幾分でも金融の面から役立つ点がございますれば、そういう方向に努力いたしたい、こう考えておるわけでございます。ただいままでのところで、意見を交換されておりますこまかい点を申し上げますと、本年度は、従来はスタンプ手形一本で行われておつたのでありますが、輸出の分につきましては、できるだけ輸出前貸し手形制度、これを御利用願おうではないか、輸出前貸し手形でございますと、従来の購繭資金スタンプ手形よりも、市中銀行さんのお扱い及び日本銀行扱い、いずれもお借りになる方に有利なわけでございますから、これをできるだけお扱いを願おうではないか、従来といえども若干は御利用になつております。但し期間が比較的短こうございます。長いものでせいぜい一箇月半、普通でございますと一箇月程度しか輸出前貸し手形を使つておられないのであります。これをなるべく約定を早く出す、または信用状を早く先方からとるようにいたすということによりまして、三箇月一ぱいにこの輸出前貸し手形を御利用を願うようにいたしたい。それからその前の、輸出前貸し手形だけでは、繭を買いまして、生糸にいたしまして横浜神戸に出荷いたしますまでの全期間金融いたすことはできませんので、当然スタンプ手形が残るわけでございます。ただ昨年と同じようにこれをいたすかどうかと申しますと、御承知金融引締めの方策が先般来実施されておりますので、そのほかのいろいろなスタンプ手形が全部廃止になつております。鉄鋼関係はちよつと残つておりますけれども、そのほかの重要原材料輸入関係スタンプ、あるいは別口外貨貸付というものが全部廃止になりまして、この金融引締めの政策との調和をどこにとるかという点が問題の中心になつておるわけでございます。従つて昨年通りというわけにも参りかねるかと思われますので、昨年はスタンプ押捺いたします限度が、繭を買いました代金の総額と、それに釜入れ諸費の経費の一部といたしまして貫当り三十円を合算いたしましたものの八五%、すなわちそれが十万円でございますれば、八万五千円までスタンプ押捺しておつたのでございます。その割合を若干低下させるかどうかという問題が一つございます。これは極端に申しますれば、昨年度輸出実績が二割八分とか、あるいは織物も入れまして三割何分でございますか、その程度まで圧縮するという意見もないわけではございませんけれども、その程度まで下るということはまずございません。  それから期間が従来七箇月以内ということになつておりますが、これは輸出前貸し手形の方を御利用願いますると、七箇月一ぱいでなくとも若干短縮できるのではないか、従つて国内の需要に向けました場合には、知かい期間しか金融が受けられないけれども輸出に向けますと、スタンプ手形プラス輸出前貸し手形で、長い期間金融が受けられる。輸出をした方が有利であるという態勢が――期間も長くなりますし、条件もよくなるということで、輸出奨励になるのではないか。むろん金融だけで輸出奨励ということはできないわけでございますが、なお皆様方の御尽力によりまして、生糸をいかにして輸出をふやすかという態勢をお進め願いたいと思うのであります。輸出が進みます限り金融はこれにつれて、輸出金融順便をはかりたいと考えておるわけでございます。  それからスタンプ手形が削られますと、金融が全然つかないかの御心配があるかと存じますので、蛇足でございますがつけ加えますと、スタンプ手形は普通のものよりも優遇いたしておるということでございまして、スタンプの押されなかつた部分につきましては、一般手形ということで、市中銀行金繰り上必要な場合には、日本銀行にこれを担保に持ち込むことがでぎることになつております。むろん日本銀行といたしましては、市中銀行が安易な気持で、預金の吸収に努力をいたしませんで、日本銀行にもつばら依存するということでは困りますので、日本銀行から受けます資金はなるべく締めるように心がけておるわけでございますが、購繭資金のような季節金融でございまして、ある期間どうしても日本銀行に依存しなければならない部分につきましては、むろん順便金融をいたすつもりでおります。  御質問がごさいましたらまた申し上げることにして、一応これで終ります。
  4. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 ありがとうございました。次に小野さん、どうぞあなたのお立場から、いろいろ御説明願いたいと思います。
  5. 小野三郎

    小野参考人 農林中央金庫といたしましては、養蚕農家側立場からする金融をお世話申し上げるのでありますが、購繭資金ととなえられておりますものの二十七年度または二十八年度等の実績の数から見ますると、大体組合関係と申しますか、農業協同組合等経営主体になつておりまする組合製糸、または共同乾繭にして保管をする、こういうものに対する中金融資は、産繭額から申しても大体一割見当に相なるかと思うのであります。でありますから、養蚕農家にとつては非常に重大なことでありまするけれども営業製糸との直接の金融関係はございませんので、金融関係においてはただいま申す通りの地位にあるわけであります。  ところで中金が当面五月の末から六月にかけて、春繭資金扱いについてどのように考えておるかという一端を申し上げてみたいと思います。いわゆる農協が経営主体でありまする組合製糸の、原料繭の受入れにつきましては、これは百パーセント私ども系統で今日までもまかなつております。また共同乾繭保管でありますが、これは糸価その他の事情もありまして、最近は昔ほど共同乾繭保管ということが行われておりません。一部の県では昨年も少々ございましたが、これらについても金融の御相談に応じて参つております。  ところでこの二つの場合は、私ども系統の当然の対象になる団体でありまするけれども一般製糸家養蚕農家から買うと申しますか、この売り方の方法にも、単位の協同組合が売る場合もありましようし、県の販売連合会団体契約をして、集荷販売ということもやつておりまするし、一面養蚕専門農業協同組合もありますので、常業製糸との間で有利な販売に努めております。そういう取引形態の際に、金融引締めあるいはスタンプ手形扱いお話日本銀行からただいまありましたが、これらの今後のあり方いかんによつて養蚕家に対する繭代金決済というものが、どのように様子をかえて参るかというところに非常に関心を持つております。件年におきましては、繭は生もので、乾繭設備がなければ、何でもかんでも持つて行つてつてもらわねばならぬという弱い立場にありまするもので、物は渡したが代金が未収でたいへん困つたという経験が幾度かあります。また昨年あたり、言葉は適切でないかもしれませんが、弱小製糸家に売つた繭代が、今もつて決済がつかぬ地方もあるかのように聞いております。そんなようなことをこの金融情勢下においてやると、また大きくそういう傾向が現われる。これは私ども立場からしても捨ておけぬので、何とか中金等の担当する金融面でこれを解決しなければならぬという気もいたします。願わしいことは、とにかく買いの立場にある製糸家金融が円滑に行つて農家には現金決済を願うことが問題なく願わしいのであります。いわゆる営業製糸銀行方面金融いかんによつては、繭代を県の連合会に一時手形で振出すというようなことも、事態いかんによつては今日までより以上多くなつて来るという傾向も出て来るかと思います。これは中小製糸家でありますれば、その連合会等繭代としてもらつた手形の方で、再割する意思はもとよりあります。しかし手形でもらつても、手形期日決済し得るやどうかということは、これはまた製糸家に対する銀行金融いかんにかかるのでありまして、三十日払いの手形をもらつても、あと手当がつかなければまた手形の書きかえをする。結局これは製糸家に対する金融にひとしいことに相なりますので、資金にゆとりがありますればともかくも、困難な私ども系統団体において、糸をひいたら手形決済をするというような、製糸工程に入るまでの金融は続けて行くことはむずかしいと一応考えております。やむなく手形をとる場合においても、それぞれの常業製糸家にはふだん取引銀行がおありのことと思いますので、これらの銀行の保証のある手形をもらうということも必要なことかと思いますが、中金立場からいたしますと、今申す通り組合製糸共同乾繭をするもの、それに最後に申し上げたような一般製糸家に生繭で取引をするもの、それに対する不足した金融をどうするかという三つの問題であります。  春秋を通じて購繭資金最高残高というものはどれくらいになりますか、相当巨額になりますが、施行でまかなつておるものがただいま申し上げた通り八、九割を占めておるのでありますから、その金融いかんは、私の方の金繰りに至大の関係を持つております。ここでいろいろと御心配をいただいております、昨年の春以来の重なりました災害資金の三月末における貸出しの状況を、御参考に申し上げておきます。  まず第一に、春先に起きました凍霜害、これは法律限度が二十億でありまして、現在の貸出し残高府県信連農林中金貸出額を合せまして十六億三千万円ございます。その次に起きました二号台風は、法律限度が御承知通り四十五億、これの残高が現在三十五億二千四百万円、それから六月、九月の風水害、これの法律限度が二百億に相なつておりまして、信連中金で出したものが合せまして百四十五億五千二百万円、以上申し上げましたものは、すでに洪律上の貸出しの打切り期限が過ぎたものであります。現在取扱い中のものが冷害資金、これは法律限度が二百二十億に対しまして、今日まで百五億五千四百万円、これは五月末が打切りになつておりますので、限度から申すと、まだ百億余の今後の貸出しが予定されるのであります。  以上申し上げました各種の災害益金の三月末合計金額は、三百二億六千一百万円ということに相なつております。これは御承知通り組合金融系統内でせつかく自まかないしなさい、それに対して利子補給なり損失の補償を県と国でやつていただく、こういう仕組みでありまして、必要に応じては、財政資金をこれらの系統機関に入れるという国会側附帯決議もつけていただいておりますが、国の財政等から、現在の見通しといたしましては、簡単に預託等がいただけそうもないような現状にございます。さようなわけでありますので、六月か最盛期になりますが、この購繭資金に対する資金手当ということは、先ほど申し上げた私ども系統団体扱います繭代に相当する金額は、これは何としても中金の本来の仕事でありますので、ぜひ見て行きたいと考えておりますが、手形でくれるというような営業製糸の振出しの手形を、再割の形で見るというようなことを際限なくやる資金手当は、もとよりできがたいのであります。従つてできるだけ円滑なる製糸家金融ができ、養蚕家立場からするならば、現金決済の方式が最も願わしい。あるいは災害資金等の御要請にもこたえなければならぬので、当面の中金立場からいたしますと、やはり繭代というものは、春先農家のふところがかわき切つておりますから、貯金としての歩どまりは多く期待できないと思いますけれども、私どもの困難な金繰りの中から、そういう資金を出した場合には、系統団体貯金振替単協農家のそれぞれの貯金口座に入るというような仕組み考えて参りたいということも、これはことしに限つたことではありませんが、あわせて考えている次第であります。  あまり要領を得ないお話を申しましたが、またお尋ね従つて申し上げます。
  6. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 これよりただいまの御説明に対する質疑を行いますが、なお小委員以外の農林委員及び委員外の議員の方の発言を、適宜委員長において許可をいたしたいと思いますので、御了承願います。通告順により質疑を許します。神戸君。
  7. 神戸眞

    神戸委員 ただいま日銀並び農林中金から、今年度購繭資金についての御説明を承つたわけでありますが、ただいま日銀山田さんの方から承れば、昨年度と比べると相当引締めた御意見のようであります。まだ決定はしておらぬと言われますが、どうも大分腹はきめておられるように考えるわけでありますが、これでは非常に困ると私は思います。というのは、昨年度は御承知通り、凍霜害のために相当大きな打撃を食いまして、養蚕農家現金収入というものが非常に減殺せられている。加うるにただいま小野さんのおつしやつたように、まだ小さい製糸家からの繭代金決済のついておらない養奄家が相当あるのであります。それから考えますと、もしただいま言われましたように、七箇月分を五箇月にする、そうしてしかもあと前貸しにしたらどうかというようなお話がありました。なおまた、ただいまそういうことは発言はせられませんでしたが、八五%ただいままでは貸し出しておられますが、今年度はその八五%の域を下げないでそのまま貸出しが前年通りできるかどうか、なおこの手形におきましても、前貸し手形と言われますが、これは簡単にできるものかどうか、なかなか今までの例から申しますれば、そんなに簡単にできないというのが実情でありますが、まずその点についてひとつ承りたいと思います。
  8. 山田精一

    山田参考人 お答えを申し上げます。まず一番初めは、前貸し手形が簡単に利用できるかどうかというお尋ねでございますが、これは生糸以外の輸出品ほとんど大部分につきまして、現在的確に行われております。海外からの約定、それから海外銀行から参りました信帯状、これの写し、これをそろえまして手形をつくりますと、期間三箇月まで日本銀行では再割をいたします。むろん市中銀行が第一にこれを割引きまして、資金の必要の場合日本銀行に持つて行つて再割を受けるわけです。これはもつとも輸出業者問屋製糸業者との間の緊密な連絡がございませんと、その間の円滑を欠くこともあるかと思います。現在何らのくふうを用いないで、すぐにこれを円滑に利用できるとは思つておりません。十分横浜神戸の私どもの支店、事務所を通じまして、現地の輸出業者問屋、それから製糸家方々と御連絡いたしまして、利用を促進いたしまして、便利に利用できるようにいたしたいと考えております。  それから初めにお尋ねがございました期間の短縮でございますとか、あるいはスタンプ押捺パーセンテージの問題であります。これは先刻お話のございましたような五箇月あるいは八五%が六五%ということは、政策委員会フリートーキング段階で確かに話が出ております。しかしこれはまだ決定段階ではございませんので、御趣旨は十分委員会に申し伝えるつもりでございます。
  9. 神戸眞

    神戸委員 八五%のパーセンテージはわからぬというお話でありますが、これはどうもわれわれ非常に不安に思うものであります。たとい一〇%でも五%でも下げるということは、普通の年ならばともかく、ことしのような金融引締めの年におきましてこの率を下げられるということは、非常に苦痛である。と同時に、購繭資金の活用についてはまことに窮地に押し込まれるというようなことがありはしないかと、私は憂うるものであります。でありますから、この点については、どうしても昨年通りのことで進めてもらわなければならぬ。しかも製糸業者も、やはり昨年の状況を見ましても、相当決済は良好になつておるようであります。先年の状況から見て、昨年は特にいいようであります。そういうことから申しますならば、製糸家相当信用はついて来たというものの、なかなか自己資金でまわるものは少いのでありますから、こういう点についても特に御心配を願いたい、かように思つておるわけであります。特に五箇月に短縮するということも非常に苦痛であります。御承知通ります繭を買いましても、五箇月間は在庫である。それから一箇月は工場にやらなければならない。それから荷づくりその他については、また一箇月かかる。ほんとうに浜出しになるまでには、まだ一箇月以上かかるということになつて来ますと、八箇月はまず必要であらばならぬ。しかも御承知のように、製糸業者が一番資金が逼迫するのは九月、十月というころであります。そういうときにおいては、どうしても五箇月では足りないというように考えて来るわけであります。その点もひとつ御了承願いたいと思います。  なおいま一つは、種繭の問題であります。種繭は御承知通り輸出産業ではございません。しかしながら今年からは、相当輸出蚕種もせられておりますが、これについてのお考えはどういうお考えを持つておいでになるか。一応承つておきたいと思います。
  10. 山田精一

    山田参考人 蚕種につきましては、昨年もたしか一昨年もスタンプ手形対象になつております。それから比率の点、期間の点でございますが、繰返すようでございますが、委員会に十分申し伝えます。また製糸協会地方銀行または農林中金さんと十分御連結いたしまして、実情沿つた扱いをいたしたいと思います。但しスタンプ押捺のございませんでしたものは金融がつかないというふうにお考えくださいますと困りますので、スタンプ押捺いたしてございませんものでも、先刻も申し上げましたように一般手形といたしまして、地方銀行または農林中金さんと御連絡いたしまして、繭が積んであつて腐るけれどもこれを引取る金がないということは絶対に起りませんことを申し上げておきたいと思います。
  11. 神戸眞

    神戸委員 今おつしやる通り種繭についてのスタンプは年々出しております。けれどもこれは輸出に向かないからスタンプを置かないということに解釈せられると、蚕種業蚕糸業の根源をなすものでありますから、これにスタンプ手形がない、蛾が出てしまつたが金が払えないというのではたいへんであります。また種繭というのは普通の糸繭掛日とは違いまして、大体五〇%ないし七〇%の代金を払わなければならぬものでありますし、いわゆる種でありますから、そういう点について格別の御考慮を願つておきたいと思うわけであります。
  12. 佐藤洋之助

  13. 足鹿覺

    足鹿委員 私は農林中金資料を御提出願いたいのであります。購繭資金融通状況という資料をいただいておりますが、この資料によつて判明いたしません常業製糸並びに農業協同組合製糸に対する従来の融資実績、またその後の叫収状況簿、これに関連して参考となるべき資料を御提出いただきたい。今ただちに大体の状況を承ることができますならば一応承つてあとで文書による資料を早急に御提示いただいたらと思いますが、いかがでございましようか。
  14. 栗本平

    栗本参考人 ただいまの実績状況でございますが、詳しくは帰りましてから提出いたしたいと思います。持つて来ております資料で申しますと、二十八年度におきまして、農林中金が累計四十三億五千七百万円貸しております。三月末の残高におきましては、五億二千百万円ということになつております。信連貸出しは入つておりません。二十八年度信連貸出しの統計がまだ集まつておりませんから、二十七年度について簡単に、地方銀行及び信連関係を申し上げたいと思います。二十七年の四月から二十八年の三月までの一箇年間の状況でございますが、地方銀行におきましては、累計いたしまして三十七億六千万円貸出しを行つております。各府県信連の貸出し状況は、同年度におきまして五十四億二千六百万円貸しております。そのうち信連自己資金をもちまして調達いたしておりますものが二十七億五千二百万円ということになつております。あとの差額は地方銀行の方から貸し出しておるということで御了承願いたいと存じます。  以上簡単でございますが、ただいま手持ちしております資料からお答えいたした次第であります。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 概数はただいまお聞きしたわけでありますが、これの農業協同組合による組合製糸一般営業製糸との詳しい内訳はわかりますか。並びにその貸付条件等その他今お持合せあれば承りたいのであります。
  16. 栗本平

    栗本参考人 ただいまの御質問の点でありますが、資料は手持ちいたしておりませんが、二十八年度実績から見まして、営業製糸手形対象にいたして貸しましたのは山梨県一件だけで、ただいま申し上げました数字のほとんど大部分組合製糸に対します融資であります。詳しいことにつきましては具体的な材料を調べまして、御報告いたしたいと思います。
  17. 佐藤洋之助

  18. 中澤茂一

    中澤委員 まず山田さんにお伺いいたしますが、大前提として輸出生糸すなわち輸出増進のための金融はこの際特別に扱わなければならぬ、こういうのが先ほどの御趣旨であつたと思うのでありますが、一体輸出生糸であるか内需生糸であるかということを、どういうところで、どういうふうに差別をして手形扱いをなさるのか、具体的にひとつ御説明を願いたい。
  19. 山田精一

    山田参考人 ただいまのお尋ねでございますが、輸出と直結いたしまして輸出の分だけを金融するということは考えておりません。ただ輸出をいたしました方が金融が有利になるということで、砕いて申しますと、輸出の励みになるような方法を講じたいと思つております。すなわち先刻申し上げましたごとく、輸出の契約をいたしました場合には輸出前貸し手形、すなわちスタンプ手形よりはるかに有利な条件の手形利用いたしまして、これをスタンプ手形につなぐことにいたします。そういたしますとスタンプ手形期間プラス輸出前貸し期間となつて、この期間も長くなるし、条件も有利な金融が受けられる。これに反しまして輸出をいたさなかつた場合には、輸出前貸し手形利用ができませんので、スタンプ手形だけで打切りになり、期間輸出の場合よりは短かうございます。条件も輸出の場合より若干悪い、こういうようなことを考えておるわけでございます。むろんいろいろな考え方がございまして、昨年の輸出実績スタンプを押そうというようなことも考えられないわけではございませんが、今年度においてただちにこれを実施するということは、事務的に見ました限りむずかしいと存じております。来年そういうようなことをいたすかどうかということは、一つの問題点として考えてみたいと思つております。ただいまのところは、今年度においてそういう方法を実行いたそうという事務的な考えはまだ持つておりません。
  20. 中澤茂一

    中澤委員 われわれが心配するのは、結局購繭資金が、先ほど小野さんも申されたように、円滑にまわらないと、現実に弱小製糸など農村に入つて繭値だけは競争でつり上げて買つてみたが、農民に対する支払いが現在においてもまだ決済がつかない。しかもその製糸がもう倒産の寸前にあるというようなものが大分あるのです。そこで農林委員会としても心配するのは、あらゆる凍霜害その他の災害を克服して農民が一生懸命でやつておるのに、売つた繭の代金が去年のものがまだ入らない、そういうようなことは、一にかかつて金融をどうするかというところに問題があると思う。相当に機械座繰等もあるのですが、これらのものが金融の道がとざされておるというところに、実際農村へ入るとそういう問題が大きく今出ておるのです。そうして政府の財政の緊縮方針でもつてつて行く。インフレを防止しようというその趣旨はわかりますが、そういうものが最後は結局農民の上にしわ寄せされて来る。そこにわれわれは、今年の購繭資金をまだ日銀でおきめにならぬというが、新聞ではおきめになつたように二、三回にわたつて書かれておる。だからそういう面において輸出の増進ということをなさるのはけつこうでございます。それに対して金融の特別措置を講ずるのは、悪いとは言わないのですが、問題は、ただ金融の面からのみそういう措置をとられると、その一切のしわ寄せが農民の上に集まつて来るのだ、そこに大きな問題があるわけなんです。そこで輸出の増進もけつこうでありますが、輸出の増進をするには、大前提になるものは繭の増産なんです。繭の増産をさせるには農民にそういう不安を与えないということが大前提なんです。過去の実績を見てみても、生糸輸出というものは日本で相当大きな役目を果して来た。そこでこれはどうしても繭の増産をやらなければならぬ。それにはただ単に目先の輸出ということのみに日銀がとらわれるということは、これは国家財政の緊縮の方針もあるでしようが、一応いま少し大乗的にものことを考えてもらわなければいかぬと思うのです。そういう点について、先ほど神戸さんからもお話のあつたように、新聞では八五%ではなく、ことしは六〇%であるというようなことも書かれておる。それは実際決定したものかどうか。少くとも、新聞だから信用できないというならばそれまでですが、ここ二、三回にわたつて新聞がそれを報じておるのです。それがあなたの御説明を附けは、決定していないのだ、これから皆さんの要望をいれて極力要望に沿うようにするということですが、事実はどうなんですか、ひとつ明確にしていただきたい。
  21. 山田精一

    山田参考人 ただいまお尋ね新聞記事に出ておりましたような点が決定いたしたかどうかというお尋ねでございます。これははつきり申し上げますが、一昨日火曜日に政策委員会を開きまして、その席上においてフリートーキングをいたしました。その際ある委員の口からそういうような構想も出たことは事実でございます。しかしながら政策委員会の議題として決定はいたしておりません。ただ意見の交換をした節にそういう意見も出たという程と、御了解おきを願いたいと思います。  それから前段にお尋ねのございました輸出だけを優遇するのはいかぬという仰せ、まことにごもつともでございます。私どもといたしましても、生糸輸出品の中の有力な一つのものでございますから、これに重点を置いておることはもちろんでございますが、さりとてそのほかの先刻申し上げました三つのうちの二つ、すなわち農村金融であるという点、それから下節金融であるという点、これを無視しておるわけではございませんので、従つて輸出の分だけをどうこういたすということはございません。たた輸出をすれば、ほかの国内の需要に向けた場合より有利になるようにいたしたい、こういうふうに考えております。従つてスタンプの方は限度がどういうことになるかわかりませんが、結果的に見まして、かりに国内向けの糸になりました場合にそれが全然金融がつかぬということはございません。ただ国内向けになつてくれることは望んでいないわけでございます。  それからもう一つお話のございました、弱小の製糸家が繭を買いまして、その代金が払われないで困る場合があるという仰せでございましたが、全国三千何百かございます製糸家の中には、放漫な経営ぶりをいたしまして、あちこち抜け買いをいたしますとか、いろいろなことをいたしますところがあります。こういうところは金融ではいかぬともしがたいところがごく少数はあることかと思います。しかし少くともまじめに堅実な経営をいたしておりますところには、必要な資金を必要の限度において金融をつけるように、地方銀行とも話合いを進めて参わたいと思います。
  22. 中澤茂一

    中澤委員 そこで日銀の構想におけるところの、輸出だけは特別な金融措置によつてそれで輸出が増進できるのだ、金融措置だけで増進できるのだという御確信はございますか。大体砂糖のバーターであるとか、いろいろな方法をもつてやられておりますが、それらのものをやらなくても、日銀金融政策だけで輸出が増進するという確信はお持ちでございますか。
  23. 山田精一

    山田参考人 その点は金融だけで輸出の促進ができるというような大それたことは考えておりません。金融が実際の産業の動きをお助けするのでございますから、金融の面からも輸出の促進にお役に立てたいという気持を持つておりますだけでございます。従つて輸出の増進は、根本にはやはり蚕糸行政と申しますか、農林省のお力、それから市中金融機関がすべて協力した総合的な努力にまつほかはない、かように考えております。
  24. 中澤茂一

    中澤委員 今山田さんのお答えで、全般の蚕糸行政全体から考えての輸出考えなければならぬ、こうおつしやいましたが、それは、ごもつともであります。そこで蚕糸局長お尋ねしたいのですが、一体今度の輸出を増進するということで、蚕糸局は臨時措置法とかいろいろお考えなつたが、一体これは蚕糸局自体が、何らか輸出の増進に対する具体案を立てなければ、これは日銀さんがいかに金融だけの優遇措置を講じても不可能だと思う。そこで一体蚕糸局長は、これに対してどういうお考えを持つておるか、ひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  25. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 生糸輸出増進につきまして、金融措置だけで輸出増進ができないということにつきましては、ただいまの日銀山田総務部長の御章見には私は同感でございます。でありますからこそわれわれといたしましては、蚕糸政策全般といたしまして、輸出振興を考えておるわけでありますが、この根本策は何と申しましても、ただいま中澤先生もおつしやいました通り、繭の増産であろうと思うわけであります。御承知通り、戦後大分復興はいたして参りましたけれども、いまだに繭の生産額がわれわれが望ましいと思つておりますほどの数量にはなつておりません。ことに昨年は凍霜害によりまして、非常な減産をいたしました。一方におきまして、内需におきましても、絹に対する需要が非常に旺盛でありまするので、国内価格が非常に高騰いたしまして、海外で買い得る価格以上の値段が出てしまつたということが、輸出を阻害いたしました根本の原因であります。そこでわれわれといたしましては、まず第一は、繭の増産ということに力を尽しておるのでありますが、これは御承知通り、そう急には参らないわけであります。さればといつて、繭の増産になりまして海外輸出し得る価格にまで安定して参りますまで待つわけには参りませんので、暫定措置としていろいろ御非難もありますけれども、ことしの二月から粗糖等のリンクによりまして、せめて三角貿易だけは食いとめて、アメリカヘの直輸出をやろうという処置をとつたのであります。これは価格の点につきましては、多少の非難をこうむりましたけれども、数量の点におきましては、われわれの目ざしました輸出総額が出ておりまするし、ことにアメリカヘの直輸出というものが非常に延びて参りました。しかしこのリンク制というようなものは、輸出振興のためには一つの頓服剤ではありますけれども、これを恒常的制度にして行くということについては、これは為替政策の方面から見まして相当の反対があるのでありまして、われわれといたしましても、三百六十円の為替レートを堅持するという国家の政策を認めます以上は、これはリンク制を常にやつて行くというわけに参りませんので、一応現在やつておりますことは、六月までの暫定措置としてやつております。六月以降の新生糸年度につきましては、いろいろ頭をひねりまして、輸出の振興措置というものを考究いたしておるのでありまするが、これが遺憾なことに、われわれの考えておりますことが財政当局のいれるところとならず、また財政当局との話合いをつけまして、ただいま一つの案を練つておるのでありますが、これを法制局へ持つて参りますと、今度は法制上にいろいろな議論がありまして、ただいま、この前のこの小委員会で御説明いたしました案につきましては、最後のところぎりぎり二重価格を政府みずからやるということにつきまして、大蔵省とどうしても話がつきません。この二重価格という問題につきましては、これはリンク制とやはり同じようなことでありまして、三百六十円の為替レートを堅持するという建前から申しますと、あまり好ましい政策ではないと思いますので、われわれの方といたしましても、しからば第二次の策というものを考えまして、業界で共同積立金をするというような制度に組みかえまして、目下研究いたしておるのでありますが、これに対するアウト・サイダーにまで行政的な積立金をさせるという法律制度につきまして、実はただいま法制局と協議いたしておりますが、これが現在の憲法の精神から申しまして、法制上いろいろな疑義がございますので、ただいま法制局と毎日協議をいたしておるのでありますが、遺憾ながらいまだに結論が出ませんで、われわれといたしましては、できるだけ早く成案をまとめまして、御審議をお願いいたしたいと思つておるのでありますが、ただいまの状態はそういう状態であります。
  26. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 中澤君、大蔵省銀行局の総務課長大月高君が見えておりますからどうぞ……。
  27. 中澤茂一

    中澤委員 そこでそういうふうな構想を立てておやりになるのはけつこうですが、一体間に合うのですか、間に合うという確信をお持ちなんですか、蚕糸局長はこの六月か七月になつて新構想でやろうというのですが、それを間に合せるならば、少くとも今構想が具体化していなければ間に合わないのです。もう会期もあと幾日ありますか、五、六日でしよう、間に合うという自信をお持ちなんですか。
  28. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 本国会の会期が会期通り終りますと、今になりましてまだその案がま止まらないということにつきましては、必ず間に合うという自信は持てませんけれども、しかしわれわれといたしましては、案がまとまりましたならば至急審議をお願いして、できるだけ間に合せていただきたいということをお願いしようと思つておるわけでございます。
  29. 中澤茂一

    中澤委員 どうもだめなんだ、蚕糸局長。私はいつもあなたに文句を言うのだが、一体蚕糸局というものはどこに主体性があるんだか、ないんだか、てんでわからないんだ。局長は人がいいという話だからあまりつるし上げるのも気の毒なんだけども、いつも手遅れ手遅れをやつているんだ。そこで今金融措置だけでできないとするならば、蚕糸局はこういう案を持つておる、日銀はこれに対してこういう金融政策をとれという一つの具体案がちつとも出て来ない、いつも後手後手になつておる、それじや因るのですよ。それは困るというのは、国全体としても輸出を振興しなければ困るんだし、それからあなたの方は主体性を持つたびたつとしたものが出ないから、日銀の方はああいうことをいろいろぐじやぐじやとだんだんわくをしぼつて来ようとしておるのですよ。問題は蚕糸局の主体制の確立なんだ、こういう案で行くんだと……。だから日銀はこれに対して金融措置としてこういう措置をとつてくれ、こういうことが出て来るんだけれども、基本になるあなたのところが、右を向いたり左を向いたり、暗やみへ牛をひつばり出したようなことをやつているんだから、これではどうにもならない。そこで今ごろそんなことをやつていたつて間に合わない、この議会中にやるならばあと二十日でしよう。それがまた大蔵省とも折衝がついてない、法制局の方に法制上の難点があるんだなんて、そんなことを今言つてつて、私はとても間に合わぬと思う。何とか先にどうするんだということを立てる具体的な構想があるんですか、折衝過程はどうなつておるんですか、それを明らかにしてください。
  30. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 蚕糸局が主体性がないというおしかりでまことに恐縮でございますけれども、われわれは少くとも最後の線を維持するために主体性を主張しているからこそ、あつちにつつかかりこつちにつつかかりしておるのであります。各方面の意見をまとめようと思えば簡単にまとまりますけれども、それではわれわれが輸出復興をはかろうという最後の線が通らないから、まだまとまらないのであります。金融の問題につきましてもある考えはありまして、目下日銀ともお話合いをしておるわけでございますが、せめてわれわれ最後の線を守りたいからこそ少し遅れておるのであります。
  31. 金子與重郎

    金子與重郎君 関連して。蚕糸局長はそんなことをおつしやつてつたのでは、これだけの重大な問題がいつになつてもものになりませんよ。これは今中澤君の言う通り、会期もないので、あなたの方の要請があつたわけじやないけれども、わざわざ農林委員会として特に蚕糸に関する小委員会までつくつて、何か具体的な問題が出たら、即座にこれを全体委員会で、議論に時間を費すことをできるだけ少くしてまとめよう、こうして待機の姿勢で来ておるのに、あなたの方では、主体性を持つべく努力したけれどもうまく行かなかつたとかなんとか言つておるが、もうこの段階に来れば、時間的にどうにもならぬと思う。こういうことではゆゆしき問題になりますよ。そこで具体的な問題として、この会期中に一体まとめるつもりなのか。もう一つのことを考えますと、先ほど私がち七つと開会前に言いましたけれども蚕糸局は何か昔のからにとじこもつて、高いところにいるような気で、この農林委員会自体に対する連絡が非常に足らぬですよ。もし局自体として、大蔵省が言うことを聞かぬとかなんとか言うのだつたならば、国会はあなた方の試作したものだけを審議するのではなく、国会自体としてもできるのです。たとえばこの中で近く審議決定になろうとする肥料の需給調整のごときも、一つの国家管理に近いものです。また今の米麦は国家が管理しておる。自由経済を標榜しておる今の政府の中でそれをやつておる。しかも余つたところの重要農産物に対する価格安定法というものをやつておるのでしよう。それだつたら、それより前に出た絹糸に対する安定策に対して、輸出のアンバランス等においてそこに不合理性があるのならば、常に連絡をとり、そしてあなた方自体の力で行けなかつたならば、なぜ農林委員会と緊密な連絡をとつて、議員立法化するという手を用いるように努力しなかつたか。それに対してあなた方の役所同士の折衝で問に合つて、この目的が達成されるように行ける見通しがありますか、ありませんか。観念論より本具体的な問題ですから、この国会中にあなたの方で大蔵省なりその他の方と折衝して、そうして今あなたの方で主体性と称するその考え方が一体提案できるかどうかということを、かんじんな問題ですから、はつきりとこの際お答え願いたいと思います。
  32. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま検討している案につきまして、法制局側が望むようなところまで折れれば、あしたにもまとまる案があるのであります。それでは輸出復興という最後の線が確保できないものですから、そういうところまで折れてただ案をまとめるというだけでも困るのであります。輸出復興のわれわれが最後に考えておるところだけは入れたような案をつくりたいと考えておりますので、ただいまのところでは、この案をまとめて早急に出すというところまでの段階に至つておらないわけであります。
  33. 金子與重郎

    金子與重郎君 会期が迫つておるのですから、会期は一応この会期だと仮定したとき、それはできるかできぬかという見通上については、どうですか。あなたの方の趣旨を入れた法律案がこの委員会に提案できますか。
  34. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいまのところはもう壁にぶつかつたようなもので、不可能であります。
  35. 中澤茂一

    中澤委員 今蚕糸局長の言つた案は、輸出会社案ではないいですか。
  36. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 輸出会社案につきましては、今業界の方で検討いたしておりますが、われわれとしては会社案を考えておりません。
  37. 中澤茂一

    中澤委員 会社案を考えていなければ、今具体的に折衝している構想についてお話願いたい。
  38. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 この前この小委員会お話いたしました案では、最高価格になりましたら、政府が買い上げて即時市場価格で売り渡す。あの特別会計で売つたり買つたりいたしまして、国内の方は高く輸出は最高価格以下で売るという二重価格制度について大蔵省との話がつきませんので、これは一応為替政策の点もありますので譲歩いたしまして、最高価格以上の市価が出ました場合には、最高価格と市場価格との差額を業界に積み立てさせるという協定を業者にやらすわけであります。それに対応いたしまして繭価協定の場合にも、最初の案は繭の最高価格をつくるという案でありましたが、繭の最高価格をつくらないことにいたしまして、ただ生糸の最高価格を維持し得るような生糸原価になるように、繭価協定のときに繭価の協定をしなさいという協定に主眼を置いて参りました。そういうふうにして繭価がきまつて糸ができたとき、最高価格以上の市場価格が出たら、最高価格と市場価格との差額を積み立てて置く。そうして最低価格につきましては、これを保障するという前の案と同じ考えでありますが、こういう案になりましてから大蔵省とは大体話がついたのでありますけれども、最後に法制局に持つてつたところが、その積立金をいたします場合に、協定が原則でありますので、その協定に入らないアウト・サイダーに対して、われわれの考えとしては、積立金を積み立てるように命令いたしたいと考えておるわけでありますが、そういう命令が現在の法制上不可能であるという法制局側の意見であります。これを除いてしまいまして勧告通りに譲歩すればすぐ案がまとまりますが、勧告通りにやつたのでは、結局製糸業者の中で、まじめに積立てをした者が損をし、不正直で積立てをしない者が、繭の方が高いのでそれだけもうけるという不公平な現象が出て参りますので、われわれとしてはちよつと譲れないというところに来ております。
  39. 中澤茂一

    中澤委員 そうやつていたのでは、衆議院を、今月一ぱいで通つたとしても、参議院の方でつかえてどうにもなりません。そうなると今年の産繭処理は大混乱いたします。一体その責任はだれがとるのでしよう。お役人さんの方はできるとかできないとかぐだぐだ言つておればよいかもしれませんが、迷惑するのは農民です。二重価格制の問題を大蔵省が何か言つておるというが、問題は閉鎖機関になつた残余の財産があるはずです。七億五千万円があつた。一昨年ごろこれを何とかひとつ使つて、それを基金にした一つの何らかの形をつくり上げて、そうしてあれを使つて繭の増産並びに輸出の振興をやろうじやないかというので、議員同士が集まりまして法案をつくつて、税金三億とられるのをこの際増産並びに輸出復興のために大蔵省と折衝してまけてもらつて、そつくり使おうじやないか、こういうことを話合つて、一つの案ができたのです。そうしたら種屋と製糸家と養連と三者がけんかをしてしまつて、あれは出資額に比例してわけてよこせというようなことで、しやくにさわるから、そんなかつてなことを言うならやめてしまえということで、去年でしたかやめてしまつたのです。これに対して大蔵省は、あの残余財産に対してこれを何とか輸出の振興、繭の増産に使つてもいいんだというようなお考えは、大蔵省の方でおありでしようか。
  40. 大月高

    ○大月説明員 私その話は直接聞いておりませんのでお答え申し上げかねます。
  41. 中澤茂一

    中澤委員 輸出にも重大な役割をし、また昨年の凶作など現実にわれわれは視察してみると、それでも繭がとれたから助かつた、冬は何とか繭代金で米を買つて食える、こういう農家が、養蚕地帯に非常に多いのです。そういうような一つの農民の直接工業へつながる換金としては、この繭というものは、養蚕農家としては実に重大な問題なんです。その養蚕農家が一生懸命で増産をしようと思つて今張り切つておるそのとき、国の基本的な方針が一つもきまらない。しかも差迫つた会期未になつて、まだ具体的な案がちつとも折衝がついていない、もうとうてい間に合いませんよ。そうしてここで蚕繭処理の大混乱を起す。お役人さんというものは、ちやんと責任をのがれるようにうまく構造ができているようです。片方は責任のがれで済むかもしれないが、農民の方は大問題です。だからさつき金子委員の言われたように、われわれは農民の立場から真剣なんです。われわれの真剣さに比べれば、蚕糸局の考えていること、やつていることは、実に何をやつているかわけがわからない。私はあなたの顔さえ見ればしよつちゆう文句を言つて、あなたもおもしろくないやろうだと思うかもしれないが、しかし現実にそうなんです。だからもうり少しこれでやつて、どこまでも押しまくるのだ、いけなければおれが責任をとるのだという腹をきめてやつてもらいたい。そういうことをいつも私は蚕糸局長に要望するのだが、いま少してきばきとやつてもらいたい。さもないとこれは困つてしまうのです。それを特に要望しておきます。  それから今度はアメリカで問題になつて来た例の可燃性織物を輸入しないという問題は、その後どういう経過で、どういう折衝になつているか、この際明らかにしておきたい。
  42. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 可燃性織物の問題につきましては、三月の末ごろ向うで法律の施行規則が出まして、これに対する公聽会が二十二日にあるはずでございます。そこに弁護士を依願いたしまして、こちらの軽目羽二重等、あの法律に抵触いたしますものを除外してもらいたいという意見を供述することになつております。一方アメリカの業界におきましても、軽目羽二重の輸入に関係しているものが非常な大問題であるというので、向うの政府へ陳情をいたしておりまして、昨日の情報によりますと、アメリカの商務省においても、あれを一年間延期するというような措置をとるように、アメリカの議会へ申し込んだという情報を得ておりますが、これはアメリカの国会できめることでありまして、政府がそう申し込んでも、ただちにそうなるかどうかということはわからないのであります。それからもう一つ問題になりますのは、やはり四匁以下の軽目の羽二重でございますが、このうちハンカチとスカーフとが問題になるのであります。ハンカチにつきましては、アメリカの関税法の関係でハンカチの部類という独立の項目があるそうでありますから、これは衣料ではない、あの法律の禁止しておるのは、着物として使う織物ということになつておりますから、ハンカチについてはあるいは除外される見通しがなくもないという情報が入つておりますが、スカーフにつきましては、これはなんでも衣料という関税定率表の中に入つておりますので、これにつきましてはちよつと困難性があるという情報でございます。  それからもう一つは、可燃性織物を燃えないような加工をするという点につきまして、今通産省関係の織物試験場の方で研究いたしておりますが、農林省関係蚕糸試験場におきましてもこれに協力いたしまして、その研究を進めておるのでございます。これは技術者等の報告によりますと、幸い生糸につきましては、蚕糸試験場では今まで黄褐変防止の研究をいたしておりましたのと、戦争中に燃えない。パラシユートというものの研究をいたしておりましたので、燃えないようにすることについてあるヒントがあるそうてあります。ただいままでの研究によりますと、これを塗つて燃えないようにすることはわかつておるのでありますが、ただアメリカの方の法律関係では、その織物を五回洗濯し、あるいは三回クリーニングしてなおかつ燃えないということが要件になつておりますので、ただいまの段階では、ある加工をいたしまして燃えないようにはできるけれども、洗濯するときにみな落ちてしまうということが欠点と、それから軽目羽二重を加工いたしまして、軽目の絹の特色である触感を残すという点についてまだ多少の不備な点がある。それから価格が高くつく、そういう加工をいたしましても、価格があまりに高くつけは経済上問題になりませんから、その三つの点についてまだ解決の目途がついていないけれども、全然不可能ではなかろう。ただいまのところこういう報告を蚕糸試験場の方から受けております。
  43. 金子與重郎

    金子與重郎君 先ほど私の党の神戸委員からもお話がございましたが、スタンプ手形の貸付の全量に対する何割まで貸すかという問題と、期間の問題でありますが、これはまだお認めになつておらないようでありますが、特に私ども委員会といたしまして、このスタンプ手形と貸付期間の問題に対して、この率を下げる、条件を悪くすることのないようにお願いしたい。ということは、単にこれはどの金を借りる立場の人がいいましても当然でありますけれども、この委員会として、私ども立場からお願いする理由は、繭から製糸に至るその事業の特殊性であります。と申しますのは、製糸は工業の部面に入つておりますけれども、工業の価値はないのでございます。御承知のように繭を加工いたしまして糸にする、こんなに製品に対する材料費のパーセンテージの多いものはおそらく工業価値はないのでありまして、一つの簡易加工のような程度のものであります。従つてその原料費というものに対する金融というものが、もし百の価格の原料費がかかるものとすれば、それが二百なり三百の価格になるものでありますと、その原料に対する金融というものはそれほど工業の上には響かないのでありますけれども、とにかくその原料というものが大部分を占めており、しかも加工賃の方が原料費よりはるかに多いのであります。それほどこの生糸工業に対する金融というものが、ほかの金融よりも原料代に対して大きな響きが来るということであります。この産業がもし倍にも三倍にもなるような化学工業のようなものでありますれば、この金融の条件が少しは悪くなつても、原料生産者に対する支払い代金等に及ぼす影響というものは比較的少いのであります。それが大事なのであります。  第二点は、先ほど小野理事が言いましたけれども、現在でも去年の繭代金がとれないで、協同組合長は相当ひどい立場になつて、責任をどうとるかというようなものがあるのであります。これは製糸業者か正当な掛目以上に競争して買うという欠点がありまするけれども、しかしながらこの労働攻勢のやかましい中で、自分の設備を遊ばせているということになりますると、少々掛目をよけい買つても、工員を遊ばせるよりもましだ、こういうような企業珠算からいつてつい無理をして、買手市場にありますところの繭というものを、正当な繭の掛目以上に競争して買つておるというのが実情であります。そういう結果からして当然未払いというものが出て来るのであります。そうして今年はなお条件を悪くするということになりますると、当然製糸は日本の巨大製糸の二、三のものに大体集中されて来るということであります。巨大製糸の二、三のものに売り先がきまつて参りますると、今度は地方の、相当歴史がありましても、経済的に弱い立場にあるところの製糸業者というものは立つて行かない。全部現金で買えないで、八掛なら八掛で支払おうと言つても、協同組合は責任がありまするから、共同出荷する場合には、特定の日本における二、三の巨大製糸というもの、資本家の方が安全率が高いだろうという立場から、どうしても巨大製糸のところへ繭が集中する。そういうふうな結果になりますると、今度は小さい製糸はつぶれる。つぶれてしまつて、その後に二、三の資本主義的な強力な製糸たけが残つて参りますと、その人たちのカルテル強化によつて今度は繭をたたく。そして農民はどうにもならぬ。組合製糸では太刀打ちできぬのです。それで地方の弱小製糸はもうつぶれてしまつているから、これは繭を買う対象にはならぬということになりますると、今度は農民は逆に正当な価格以下でいつもたたかれて行かなければならぬ。こういうような関係がありますので、今の製糸に対する金融条件というものが、そういうふうな政策に響いて参りますことを第二にお考え願わなくちやならぬのであります。  もう一つ考えたいことは、唯一のたよりにしているスタンプ手形の条件が落ちるということになりますと、その条件が落ちたことは、それならば今度は資本力のある巨大製糸によけい痛手であるか、資本力のない弱小製糸によけい痛手であるかといこと、やはりこれも資本力のない製糸の方が、同じ率を下げられたのでは、経営上よけい痛手になるのであります。そういうようなことから、購繭資金という資金の特殊性から見て、条件を悪くしていただきたくない。こういうふうな金融の逼迫の時代でありまするから、当然どれも一律にお考えになりやすいのでありますが、繭、糸というものに対する産業の特殊性を、以上大きな三つの点だけを考えましても、特に御考慮願いたい。こういうことを私は、日銀政策委員等にも十分あなたからお伝え願いたいのであります。  もう一つは、こういうような形で行きましたときに、一番恐れるのは、ここに協同組合を基盤にする中金の理事もおられるのでありますが、これは蛇足のようなものでありまするけれども、ことにこれは蚕糸局にもお聞き取り願いたいのですが、今日の趨勢がこのままで行けば、数年足らずで日本の製糸は相当資本力の大きい製糸に八割以上独占されますよ。独占されるときに、繭の購買だけを独占するなら、工業的にそれが能率がよろしいから独占したということなら、私はそれほど問題にしないのでありますが、その資本力によつて養蚕農民を奴隷的に隷属化させますよ。と申しますのは、その製糸が特約をいたしまして、そうして過去のように養蚕農民の経済が悪くなりまするから、今度は養蚕に対する資材、肥料等まで事前に供給いたしまして、そうして供給した資材で利益をあげる。その供給したということは繭を必ず売るということを条件にしてやるのでありまするから、抜き差しで利潤をとる。そうして農民はたくさんの資材を収繭前に借りておるのであるから、当然そこへ繭を出さざるを得ない。こういうような形で、私はそれを非常に恐れるのであります。  そういうふうな場合にどうすれば防げるかということになりますと、これは今までやりつつある購繭資金というものを別な考え方にいたしまして、購繭資金製糸家に出すということでなくて、繭の販売代金を掛売りするだけの余力を持たせるために、農民自体に掛売りした繭の代金を貸す。繭の代金を貸して行きますと、一つの組合になりますると、その二割、三割というものは預金として歩どまりするものがある。そうすると今度はその農家自体が、その会社の乾繭設備を使いまして、銀行製糸家の繭の管理をすると同じように、生産者自体が製糸家の倉庫にある繭の管理をして行く。こういう方法も私は実際にやつた経験もあるのであります。こういうようなことも今後の資金の動かし方の一つの参者資料になると思うのであります。  ただいままでの問題は金融機関に対するお願いでありますが、最後に蚕糸局といたしましては、この購繭資金の問題は一年、二年に終る問題ではありません。でありますから、今のような形だけで行けるか、製糸と農民と一体の形において、金融をどういう形にとることが一番安全でスムーズに行けるか。たとえば私は製糸にも関係したことがあるのでありますが、ある協同組合のごときは、一歳の金もとらずに全部製糸家へ繭を供給する。そのかわり製糸家はそれを乾燥いたしまして、稚んだ繭というものは、手をつけるまではそのかぎは協同組合が預かるということにいたしますと、有力な村の協同組合でありますと、大体半分くらいを払い出せば済むことになります。そういうことになりますと、国家資金も内輪で済ますし、金利の面からいつてみも、協同組合経営も、また製糸家自体も、銀行さんから金を借りるよりもはるかに安い。また協同組合銀行系統機関に預けておくよりも有利である。こういうふうないろいろなふうがありますので、今後の購繭資金のあり方につきましては、この製糸家養蚕家立場、ことに協同組合を中心にしての考え方を、もう一歩あなた方蚕糸局でも研究してみたらどうか。  もう一つお願いしますが、あなたは先ほどの答弁で、もうこの国会ではどうにもならぬということをはつきりお話になつたのであります。そんな段階になりましたのに、いまさらぐちぐち言つたつてしかたがありませんから、あえて申し上げませんが、あなたの方の蚕糸局の一番の欠点は、あなたの局があまり力がないのに、ひとりで何とかしよう、何とかしようというところに問題がある。その点農林委員会に相談して――こうしたらどうだろう、しかしながら役所のセクシヨンなり一つの立場でできないが、国会としてこれを何とか考える余地はないか。こういうふうな動き方がほかの局に比べて一番少いと思う。それがあなたの方の欠点であり、そうして今日の段階になつては、もうもぐらが岩につかえたようなもので、どうにもならぬということを言わざるを得ないような立場に追い込まれておる、一つの大きな理由だと私は思います。それはなぜならば、政府がいやがる法律であつても、国会自体の力によつて強引にやつた例も幾つもあるのであります。そういう点から、私は最後に今後蚕糸局にお願いしたいことは、問題があつたならば、もう少しこの農林委員会に率直に出して、そうしてともに相談したらどうか、協力したらどうか、こういうことを私はあなたに御注意申し上げます。
  44. 中澤茂一

    中澤委員 小野さんにお伺いしますが、御承知のように去年の春の凍霜害から冷害までかけて、総額四百八十五億という厖大な資金中金は放出するわけであります。このごろちよつと中金のほかの理事の方に伺つたところが、これはどうも弱つた、二百二十億はきめてもらつたが、とても金が間に合いそうもないということを伺つたのです。しかも蚕繭の購繭資金の問題がすぐ出て来ておる。これを農林中金自体で日銀から何とかの方法を講じてもらわずにできるかできないか、ひとつ御答弁願います、。
  45. 小野三郎

    小野参考人 災害の各種の資金を扱うにあたりましては、国会であのような附帯決議をつけていただいておりますが、私ども立場から申しましても、国のふところも容易でないということもわかつておりますので、まず自分たちのできることだけは努めてみたいというので、昨年の十一月くらいかち第四次、第五次というふうに、地方の信連とも打合せて、資金計画を情勢の変化に応じてつくつて参つております。その見通しから、申しますよりも、資金計画の際には政府の御要請――災害というまことに困つた事態に対応しなければならぬことはもとよりでありますけれども農業協同組合なり中金の本来の活動をも阻害して、災害資金を優先的に考えることは、いろいろ問題のあるところでありますが、最後にできぬところは、やはり国で法律なんかをつくられたのだから、国なりで足らざる資金を見てほしいという念願のもとに、本来の機能はそこなわないという基本的な考え方を、御批判はありましようが持つておるのであります。そこで先刻申し上げたように、組合製糸なり共同保管をしたいという例年の傾向がわかつておりますから、それらのことは、資金計画にあたりまして織り込んであるのであります。銀行方面融資が潤沢に行かない結果、養蚕農家は例年と違つて非常に金融に困る。これは先ほど申しましたように、中金だけで力んでみてもなかなか達成しがたいのであります。この点は先刻来お話のように、各委員の方及び日本銀行の力も十分御承知つて帰られると思いますので、中金にそれらの事情が起きます前に、いろいろな事態を予想して、日本銀行とも緊密な連絡をとりたい。いずれにしましても、時間的に非常に短かい間に出まわり、それに対する金融をつけなければならないのでありますから、私どもも間断なく勉強し、くふうもいたしますが、皆様の御協力もぜひ賜わりたいということをつけ加えて申上げます。
  46. 中澤茂一

    中澤委員 そこで先ほど申し上げましたように、山田さんにお願いしておくのですが、政策委員会等には、山田さんも御出席のことと思いますが、昨年の異常な災害によつて中金金融が非常に困難な状況に追い込まれているということは、これは事実であります。われわれは冷害のときにも附帯決議で、もしこれで資金のやりくりができない場合には、困り方が責任を持つてめんどうを見ろ、こういう附帯決議も一応つけてある。そういう点についてひとつ日銀の方も、農民と直接のつながりを持つている中金立場を御理解願つて、そうして極力御援助をしていただかなければならぬということを、希望申し上げておきます。
  47. 神戸眞

    神戸委員 ただいま中澤並びに金子御両氏から、日銀並び中金に対して、非常に熱烈な御希望がございましたが、私も重ねて申し上げておきたいと思いますことは、二十一日の日本経済新聞に載りました、日銀政策委員会のあの発表を見ますと、もうすでに製糸業者のごときは非常に萎縮しているわけであります。と同時に養蚕家は、ことしの繭の代金は思うように入らぬぞというようなことを、直感的に思つているわけであります。そういたしますと、もうすでに帰立てを目前に控えております。それがために、増産しようと思つている者が、掃立ての手控えをするのじやなかろうかということを私は心配するものであります。そういうわけでありますから、ああいうことはあまり新聞に発表しないで――いいことならいい。前年通り踏襲するというようなことなら、どんなに大きく書いてもらつてもいいと思いますけれども、ああいうことは、あまり新聞に載せぬようにしてもらいたいということを、私は特にお願いします。重ねてお願いすることは、国の予算等の関係もありますが、そういうことは、とにかく輸出復興と日本の経済復興の両面から行きまして、昨年通りつてもらいたいということを、私は特に御両氏のお話につけ加えて御考慮願いたいと思うわけであります。
  48. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 この際委員長から参考人の皆さんに申し上げておきたいと思います。たいへん時間が延びて恐縮ですが、ただいま硬戸委員中澤委員、金子君、足鹿委員からるる申し上げましたように、この購繭資金の問題が新聞に出ますや、かなり大きなセンセーシヨンを起したわけであります。これについて蚕糸委員会としては、一応当局の方々に来ていただいて、事情を承ろうじやないかというのが、本委員会の本旨であつたのであります。だんだんお話を承りまして了承いたしたのでありますが、大体新聞に出ておりました問題は、これはまだ決定でないのだというので安心をしたのであります。御承知のように、これは私が申し上げるまでもないことですが、蚕糸行政としては蚕業五箇年計画を立てたわけです。その途上にありまして、二十七年度までの三年は非常に非常に参つたのでございます。昨年は御承知のような凍霜害を受けまして、非常な打撃を受けました。再生産にも困るというような状況まで養蚕家八十万は追い込まれたわけです。そこで養蚕の非常な苦境であると同時に、輸出生糸も非常に風雨が強いわけであります。国内生糸が二十六万円以上もするのに、輸出は最近四ドル五十セントという程度まで落されているのです。非常な波瀾を生んでおります。要するに蚕糸及び生糸界はこれから相当な波瀾につつ込んで来ることも予想しなければならぬと思う。すなわあノーマルでない状況が今後も続く、こう見ますと、よほど金融当局としてはお考え願わなくちやならぬのは、とにかく日本の八十万養蚕家のことでもあり、それから蚕糸関係から行きましても重要な問題でございますから、ひとつここのところで十分にこの業界が発達するように御心配を願いたいと思うのでございます。  それで今年は、実は一昨日も霜害を受けたようでございますが、これがどの程度霜害を及ぼしたかまだはつきり統計上に現われて参りません。しかし気構えは大増産、大増産といつては少し大げさかもしれませんが、三千万貫以上はつくろうという意気込みでございます。養蚕家がそういう意気込みで出て参つたこのやさきにおいて、単純に輸出に対してのみスタンプ手形を認めるというようなことになるといたしますと、これは生産意欲を阻害するのみならず、たいへんなシヨックを受けます。そこでこれはぜひお考えいただきたいと思います。  そこで昨年の実績、これは実はノーマルでなく、アブノーマルなものでございますけれども、一月から十二月までの実績輸出検査を受けた生糸は生産量の八割に達しておりますが、実際輸出は二割五分程度つたのです。これは輸出が三角貿易になりまして、非常な変調を来しております。品物は直接アメリカに行きますけれども、買うのは第三者が買うという状況を現出したわけでありまして、まことに平常な輸出ではなかつたのであります。そういうようなこととなお絹織物として輸出された分を加えますと、三割二分六厘になつておるのであります。これをもしあなたの方の日銀として、単に輸出だけにとどめるということで参りますと、こういう計算になつて来るのであります。昭和二十七年を基準として私ども考えて、実はそろばんを入れてみたのであります。昭和二十七年度生糸年度における購繭資金の融通総額は、ちようど四百二十三億四千万円でございます。そのうちスタンプ手形によるものが二百五十七億二千万円で、これは五三・六八%を占めておるわけであります。今かりにこのスタンプ手形輸出用にのみ限定すれば、およそ次のごとく減額するものと考えられるのであります。それは輸出生糸のみに限定すれば約百一億三千万円になつてしまうのでありまして、絹織物として輸出された分を加えた四割と見れば百六十八億八千万円程度となるのでございます。なおこれを従来の掛員九五%から、この新聞で見ましたところの六〇%に落ちたとすれば、前述の金額からさらに三五%減となつて来るのでございまして、この結果製糸業者等の養蚕農家への支払いが非常に延ばされて参ります。これらが非常な支障を及ぼすのでございまして、また価格にもある程度の買いたたかれが来ることも考えなくてはならぬと思うのでございます。価格について、団体契約によるものが大部分なので、かつ生糸に対する需要か衰えない限りは、さしあたり非常な買いたたきが行われるとは考えがたいのでございますが、その交渉には渋滞を来すことのおそれもあるのでございます。こう考えますと、どうしてもこの購繭資金というものについては相当に御考慮願つて、今神戸委員の言われたように、昨年通りやるのだ、しかしその昨年は御承知のような凍霜害を受けて生産が少かつた、二十七年が非常にノーマルだつた、こういうのを標準にして、今後処置をなさるときにお考えおきを願いたいと思うのでございまして、これをぜひ山田さんにお話を申し上げておきたいと思うのでございます。  それから日銀融資引締めに追従して、一般銀行があるいはまた融資を引締められるということも想像されるのでございます。こういうことがあると二重にまた非常に影響をこうむりますので、私も現在の購繭資金融通を行つておる銀行はどんなものかと思つて調べてみたところ、長野の八十二銀行、群馬の大同銀行、埼玉銀行、茨城の常陽、栃木の足利銀行、福島の東邦銀行地方銀行がおもでございますが、養蚕が地方産業としてそれぞれ当該県の重要な地位を占めておるので、急激に、かつ大幅に引締められることはあるまいと考えております。なお大銀行では富士銀行が最も多く融資しておりますが、ことに片倉、郡是、昭栄等の大製糸業者がこれに依存しておるものと見られるのであります。ですからこの日銀と相まつて市中銀行が引締めをやられることになりますとこれは非常に影響が大きいと思うのございまして、ここに銀行局の総務課長さんが見えておりますから、これは後に御意見を述べていただきたいと思うのですが、こういうこともひとつ考えていただきたいと思うのでございます。  以上、委員会といたしましては、そういう点を心配をいたしましてこの委員会を開いたわけでございますが、この点を十分御考慮を願いたいと思うのでございます。  それから今の後段にちよつと申し上げました、市中銀行の引締めをせられることが非常な影響を及ぼすのじやないかという懸念につきましては、ひとつ銀行局の総務課長さんからお答えを願つたらけつこうかと思います。
  49. 大月高

    ○大月説明員 この繭の問題は、日本の農村経済にとりまして非常に重大な問題でございますことはかねがね承知しておりますが、米と繭ということは二大支柱として昔からやかましく言われて来たと思うのでございます。この購繭資金の問題につきましても、毎年スタンプの問題その他で決定をいたしておるわけでございますが、去年の秋以来の金融引締めは、御存じのように方針として相当強く打出しております。特に輸入金融の面において締めておることは御存じの通りだと思います。各種の面におきましても、根本的には新しい投資を締めるということと、在庫がどんどんふえて行くということ、この点がやはり今の金融情勢としては困るのじやなかろうか、こういう点を中心にして締めておるわけでございます。この繭の問題も、根本的には生産に必要な資金を欠かしてはいけないという態度で臨んでおるわけでございますが、全体の資金量が何と申しましても減つて参りますので、ある程度その量が減るということはごかんべん願わなければいけないのじやなかろうか。ただこういう重要な基本産業でございますので、急激なシヨツクがこの面にかからないように、特に金融的なしわがこういう面に寄らないように、十分日本銀行とも相談をいたしまして善処して参りたいと考えております。
  50. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 ちよつとこの際小委員長といたしまして蚕糸局長に申し上げておきたいのですが、実はこの小委員会は、三月十六日に開きまして以来約一箇月、その間荏苒日を送つたのです。しかしその間において、蚕糸局長としては提案に対する当局者の折衝を行つたようでございます。今大体蚕糸局長のお議を承ると、今国会にあるいは間に合わないのではないかというようなお話であります。実はわれわれも輸出生糸に対しては何らか手を打たなければならないのだということを考えておりまして、できるだけ妥当な案を政府提出としてお出しになるのがいいと思うのです。そこで問題点である繭の最低価格保障の問題及び二重価格制度の問題、それから売出し価格における政府納金の問題、この三つの問題あるいはそれらに付随した法制上の疑義がいろいろあるでございましようが、これらの問題につきましては、まずすみやかに交渉妥結をはかりまして、委員会に今後何らかの意思表示をしていただくことを、この機会に寺内蚕糸局長に要望いたします。
  51. 神戸眞

    神戸委員 先刻以来中澤さんあるいは金子さん、しかも委員長まで、とにかく蚕糸局長をそれほどまでに鞭撻しておられるのに、私は蚕糸局長がまことにたよりのない話をしておられるのは、蚕糸業のために残念に思います。これは皆さんが熱烈に蚕糸業を何とかしなければならぬというので、当農林委員会でも小委員会まで設けてやられておるのです。先刻来の御答弁を聞いて私はまことに悲しむものです。どうかひとつ何らかの方法を考えて、農林委員会並びにこの小委員会に持つて来て、胸を割つて話されたらどうか、自分一人でくよくよそう女の考えておるように考えないで、もう少し大らかな気持で、どうですといつて委員長のところに御相談せられたらどうか。金子さんがさつきおつしやつたように、隠してやつておられるのではまことに残念に思います。これはぜひひとつ私もそういう方面に関係する上において、養蚕家のためにも、また日本の蚕糸業のためにも、ひとつがんばつてもらいたいと思つております。老婆心ながらひとつ申し上げておきます。  次に私もう一つ蚕糸局長に申し上げたいと思いますが、例の繭糸価格安定法についての問題であります。御承知通り、繭糸価格安定法は十二国会で決定せられまして以来、これを実施せられておりますが、この法のできましてからというものは、まず蚕糸業の振興のためにも、また非常なる繭糸価の変動のためにも備えられまして、非常にこれは壷系業の前途に対しては、すこぶる好ましいものであると私どもも思つております。でありますから、この蚕糸業に寄与することは相当大きい、かように考えておりまするが、御承知通り、本法は生糸の白の十四中並びに二十一中に適用せられておるものでありまして、大体十名柄に適用せられておるのでありますが、しかしながら玉糸は何らこれにうたわれておらない、将来この玉糸に対してこれを入れるというようなお考えを持つておられるかどうかということを、ひとつ承つておきたいと思います。
  52. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 玉糸を繭糸価格安定法の対象にするかしないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、玉糸の輸出に向けまする二百二十五中の生糸に対しましては、買上げ対象とするように努力いたしておりますが、この点については二つの問題を解決しなければならぬと思います。それは一つは、この法律で御承知通り最高価格、最低価格をきめます場合には、生産費を基準とすると書いてあります。ところが五糸の生産費となりますと、これを調査する方法がちよつと見当がりかない。御承知通り玉繭はつくろうとしてつくるものではなくして、たまたまできるのが玉璽でございますから、その生産費を幾らにするかという問題と、玉糸の製造業者は非常に零細な業者でございまするから、機械生糸の加工販売費のような記帳などをしておらないのが大部分でございますので、この生産費を正確にはじき出すという点につきましても、もう少し研究しなければならぬという点が一つと、もう一つは買上げの資金の問題であります。御承知通り三十億しかございませんので、この三十億の資金をはじき出しました場合には、ただいま買上げの対象になつております生糸だけであの数字がはじき出されておりますから、玉糸を買上げの対象といたしますると、資金を増額するという問題が必ず起つて来るのでありますが、この二つの問題を検討いたしました上、輸出向けの二百二十五中については買入れ対象にしてもよろしい、またそうすべくただいま申しましたような点について努力をいたしております。
  53. 神戸眞

    神戸委員 ただいま蚕糸局長からお話がございましたが、玉繭の生産費あるいは玉糸製糸の生産費等についてのお話がありましたが、玉繭というものは御承知通り、玉繭をでかそうとして養蚕家は飼育しておりません。蚕の性状からできたものであつて、別に正繭と違つた生産費はかけておらぬわけであります。同じことであります。蚕の性状から出て来るものであります。でありますから玉繭のみが生産費が安いとか高いというものではない、しかるにどうも玉繭だけが正繭とは違つて低位にあるということは、養蚕家としても実に気の毒だと思つております。これは蚕糸局といたしましても、一般蚕糸製造業者としても、これをなくしようとして努力いたしておりますが、どうもこれは不可能のことであると存じております。こういう点から考えて、生産費については私は論ずる点はないと思います。そこで玉糸製糸の生産費というものは、これは今蚕糸局長の言われましたように、幾分難点があると思いますが、これにいたしましてもやはり中小企業者でありますから、この点は十分調べれば私はできないことはないと思います。必ず私はでき得られるものと思つておりますが、特に玉糸が近来アメリカの婦人の嗜好に投じまして非常に売行きがよいということは争われぬことでありまして、しかも玉糸の生産額の九〇%が輸出に向いておる、なおアメリカベ参りまして婦人の意向あるいは玉糸を扱つておる輸入商あたりに聞いてみましても、二、三年前までは日本の玉糸はあまりよいものではなかつたが、近時改良せられて来て相当需要も多くなつて来るだろう、こう言つております。加うるに局長も御存じの通り、昨年のミラノの大会におきまして、日本の玉糸の検査の格付は日本式に同意せられたのてございまして、国際格付というものはいよいよこれを実施せられることになつて来たのでありますから、これに対する御心配は私はないと思います。それと資金の問題を言われましたが、資金問題は先刻中澤さんも言われましたが、あの七億何千万円というものがたな上げになつておる、あれのごときも相当活用ができるものであると私は思います。中澤さんは先刻、蚕糸業者の中でけんかをしてしまつたという話でありますが、決してけんかをしたのではないと私は思つております。有効に使われるならば、私どもはどこへ使われてもよいと、こういうふうに解釈いたしております、そういう意味において、あれのごときも活用して行くのも一つの方法ではあるまいか、こういうふうに私は考えます。この意味において、私はどうしても玉糸というものは付属物ではない、とにかく輸出額が九〇%も出るということはほかのものではとうてい認められないし、しかも安いと思われておつた玉糸が、ほんとうの生糸と同じような相場に近ずいておるということは、日本の蚕糸業のために喜ぶべきことであると私は思つております。こういう意味において、ぜひこれに繰入れられるよう努力を願いたいと思いますが、それに対して先刻申し上げたように、もつと根強くやつてもらいたいと思います。
  54. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 この際委員長より申し上げておきますが、実は繭売買業者あるいは座繰製糸方面から非常な要望がありますので、要望を当局に申し上げておきたいと思います。これは省令で解決できることですから、すみやかな機会にこれをおとりはからい願いたいと思うのですが、それは繭検定規則の改正が現在あります。現行制度は天災その他の理由により検定を受けることが不可能な場合及び不適当と認められる場合は、検定を受けなくてもよいということなんです。これを一般用語としては、改正案として検定供用繭採取が不適当と認められる場合は検定を受けなくてもよい、こういうふうにひとつ改正してもらいたい。第二は繭流通対策の要綱ですが、これは通牒でもよいのです。  イ、繭売買業者は製糸業者団体及び養蚕団体と協定して繭の売渡し場所における売渡し実務を担当して手数料を受ける。  ロ、共同販売に乗り得ない繭について、製糸業者その他の繭需要者と談合の上これが取扱いを担当する。  こういうような要望を申し上げておきます。
  55. 中澤茂一

    中澤委員 山田さんにお願いしますが、二十八年度の購繭の実績、それから片倉とか大きな会社の一般融資スタンプ融資の割合はどのくらいか、その資料がもしできましたらお出しを願いたい。それから蚕糸局長に、例のバーターをやつた砂糖の数量と価格、生糸の数量、それの会社名、これをこの次の小委員会までに資料として出してください。
  56. 山田精一

    山田参考人 会社別の御注文がございましたが、これは各銀行農業協同組合個々に方々にまたがつておりますから、ちよつと困難かと存じます。できるだけ努めますけれども、お請合いいたしかねますから御了解願います。
  57. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 一昨日の加害に対する概要を蚕糸局長から報告させます。
  58. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいままでに参りました霜害の報告は、電話で蚕糸局の方に連絡がありましたので、はなはだ大ざつぱで恐縮でございますが、これによりまして大体どういう方面に霜害があつたかということだけでも御報告いたします。  二十一日には群馬県の一部の畑で一万町歩について霜害があつた。そのうち一千町歩は非常に被害が激甚の模様であるという電話報告がありました。埼玉県においては、秩父、ことに県北方面に広範囲の霜害があつたが、被害程度は目下調査中ということであります。九州は、鹿児島県から電話がありまして、相当広範囲の霜害があつたが、被害程度は目下調査中である。その他の県にもある模様であるという電話でありました。山梨県には四、五百町歩の霜害があつたが、主として富士山麓地帯であります。東北地方は、今のところまだ報告がありませんが、なかつた模様ということでありました。  なおついでに今後の見通しにつきまして気象台からの連絡を申し上げておきますと、本日はなかつたようでありますが、長期予報としては、今月中は大体気温が上るからやや安心してよろしいが、月末には多少の不安がある。来月の三、四日ごろは警戒を要する状態である。これを過ぎれば大体安心してもよかろうということが気象台から出ております。
  59. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 参考人各位にはたいへん長時間御熱心にお話くだされましてまことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四分散会