○久保田(豊)委員 どうも今の
答弁でもはつきりいたしません。まだ了承しかねる。なぜかと言いますと、公示価格と
農林省のきめております指定単価とは相当開きがある。ざつくばらんに言いますと、指定単価の方が公示価格よりずつと甘いと言える。
つまり商社の方に有利にきめてあるようであります。はつきりしたことはわかりませんが、たとえば横浜のばらものの沖取りの指定単価は五百二十一円六十銭にな
つておる。ところが公示価格で行きますと、これが五百四円にな
つております。これを計算してみますと、ここでも相当な開きがある。なお本船の船内作業料がこれには加わ
つておりません。これも相当に落されておることは事実。これに対しまして労働者の方はどうかというと、本船のいわゆる荷役が一トン当りにして三十五円くらいしかもら
つておりません。それから水揚げが四十円、はしけ回送料ははつきりした数字が出ておりませんけれ
ども、いずれにしても非常に安い価格でや
つておるという事実がある。だから相当ここではピンはねをしておるという事実が当然ある。業者はもちろん労働賃金以外に二割なり三割のいわゆる諸掛なりその他をと
つております。大体こういう港内作業料の七割から八割は、条件によ
つて、ところによ
つて違いますが、労賃であります。その事実からみると相当ピンはねをしておるということははつきりしている。
もう
一つ、これはずつと見るといろいろの要素が入
つておるにしても、指定単価というものは非常に公示価格の積み上げよりは有利にな
つております。たとえばもう
一つ例をと
つてみますと、名古屋港の小麦の袋の沖取りの場合、この場合にはA類の方が五百八円七十銭、B類の方が六百六十七円二十銭にな
つております。この場合の公示価格は四百二十三円であります。これはAでありますが、五百八円七十銭に対して四百二十三円にな
つておる。この場合の労働者の手取りは、これははしけがよくわかりませんが、水揚賃と船内作業料を入れまして、大体において九十円から七十五円、これは労賃体系が非常に複雑ですからどうもはつきり出ておりませんが、大体こういうふうにな
つております。それでもう
一つ、特にこれは言うまでもないことで、われわれにもわからぬことが
一つある。それは何かというと、この
輸入食糧の委託運送契約の中には港内作業についての特別手数料として、一般手数料としてトン当り四十四円三十銭というものが輸入商社にはつきり払われておる。これがある限り、要するに私は業者の港内作業についてのいろいろの事務費、あるいはいろいろの弾力的なもの、この二つから見て非常に甘く、要するに公示価格よりも甘く、指定単価の方がきめてあるということ、そのほかに四十四円三十銭というものが特別手数料としてきめられてある。この特別手数料の四十四円三十銭というもの、そうしてこの公示価格のそのほかの、いわゆる港内作業料以外のものも、その中にある
程度含ま
つておる。これは四十四円三十銭の中ではなくて、指定単価の中に入
つていると思う。そうすると私
どもはこう
解釈する。この指定単価というものは、これは言うまでもなく国家の金であります。そしてこれを扱うための、はつきりした手数料の四十四円三十銭が入
つておる。そしてそのほかのいろいろなものも、諸掛というものは当然必要なものは少し甘く見て、これは指定単価の中に入
つている。こういうことになれば、これはこの指定単価の中に入
つている公示価格は、当然国家が正当に業者に払わなければならぬ。これを保証するために、こういうふうにいろいろなものがくつついているので、これを代行業者として商社がピンはねをしたという場合には、これは明らかに公金を横領したことになると思う。業務上の横領じやないか、これははつきりそうだ。片方においてはちやんとそういうものを見て、契約面にはありません。契約面にはないけれ
ども、片方において
法律でも
つて、公示価格というものは強行
規定として
規定されておる。その公示価格というものを土台にして指定単価というものをきめておる。そうしてこういうものを作業するために、その指定単価に当然公示価格以外に必要なものが含まれておると見なければならぬ。その上にさらに四十四円三十銭の特別手数料というものを出しておる。そうすればこれはこの指定単価の間に含まれた公示価格は、いわば業者は自分の私すべきものではないと思う。当然これは国家からお預かりした金で、港湾運送事業法に基いて払わなければならぬもの。それを二割も三割もピンはねしてるということは、明らかにこれは政府からの委任の趣旨に反したものであ
つて、しかも公金を横領したものと思う。こういう事実がずつとあるのを今まで
農林省が——それは口先で、いろいろお聞きすれば、そんなことをしないようにできるだけ公示価格だけは業者に払うようにと口の先では
言つたという。しかしいまだか
つて実効が上
つておらない。労働者その他からやかましく言われて、初めてこのこの四月から部分的に皆さんは一応の改善策を
考えられた、実行し始めたという
程度です。それもまだ軌道に乗らないから、今度のような労働者側の闘争が巻き起らざるを得ないような事態に追い込んだ、こう
考えられるので、そこでこれは、はつきり私は、公示価格と指定単価、この指定単価以外に特別に四十四円三十銭という手数料を加え、そうして指定単価には公示価格以外に、港内作業料以外のいろいろな諸要素を加えてお
つて、なおかつ業者がいわゆるピンはねをしたということは、明らかに業務上の横領である、こう
考える。この業務上の横領を黙認して来た
農林省というものは、はつきりこれは
行政上の責任をとらなければならぬものだと思うが、この点についての御意見はどうですか。